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第 31 回 日本老年医学会 東北地方会 プログラム 抄録集 日時 令和 2 年 10 月 24 日 土 9 時 30 分 15 時 45 分 会場 オンライン開催 福島県立医科大学 総合内科 会 福島県立医科大学 総合内科 福島県立医科大学 総合内科 事務局 福島県福島市光が丘 1 番地 TEL

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(1)

第 31 回

日本老年医学会 東北地方会

プログラム・抄録集

日時

令和 2 年 10 月 24 日(土)

9 時 30 分~15 時 45 分

会場

オンライン開催(福島県立医科大学 総合内科)

会⾧

福島県立医科大学 総合内科 濱口杉大

事務局

福島県立医科大学 総合内科

福島県福島市光が丘 1 番地

TEL 024-547-1933

FAX 024-547-1210

E-mail fmu-gim@fmu.ac.jp

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第 31 回日本老年医学会 東北地方会の開催にあたって

第 31 回日本老年医学会 東北地方会 会⾧ 福島県立医科大学 総合内科 教授 濱口杉大 この度、第 31 回日本老年医学会東北地方会は、新型コロナウイルス感染への懸念を考慮し、 地方会初の完全オンラインによる開催となりました。面積の広い東北地方では、むしろオンライ ン開催によってより多くの皆様の参加が可能になると考えております。 東北地方は日本の中でも傑出した高齢化が生じており、人口減少とあいまって、高齢者医療は 喫緊の課題でございます。本地方会における情報交換はこのような時代に大変貴重な機会である と考えます。その最中に生じた新型コロナウイルス感染症という新たなる問題は、高齢者医療に も大きな影響を与えております。今回の教育講演では福島県立医科大学 会津医療センターの山 中克郎教授からは「新型コロナウイルス時代の高齢者医療」、白河厚生総合病院の東光久先生か らは「がん×コロナ×ACP」と、新型コロナウイルス感染症を踏まえた老年医学の話題をお願い しております。 その一方で、高齢者における心疾患、脳血管疾患、脂質代謝、糖尿病、神経疾患、骨粗鬆症、 認知症などについては、依然として新型コロナウイルス感染症以上に高齢者の死亡に影響を与え ており、また終末期医療を考慮する場面も多く、エビデンスに加えて個別の状況を考慮したオー ダーメイドの側面が大きいため、その治療、マネージメントにおいて、さらに知識、経験などの 情報交換が必要な状況でございます。このような背景から、石巻市立雄勝診療所の⾧純一先生か らは「被災地での地域包括ケアに取り組み ~認知症と在宅医療を中心に~」、福島県立医科大 学腎臓高血圧内科学講座の風間順一郎教授からは「みんなで取り組む脆弱性骨折予防」というテ ーマでそれぞれご講演をいただく予定です。 コンピュータの前にいるだけで、明日から現場で役立つ知識と情報交換が可能となる 1 日をご 用意したいと考えます。ぜひとも皆様、ご参加の程よろしくお願い申し上げます。

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ご参加の皆様へ

 当日 9 時 30 分から地方会開始ですが、9 時から Zoom 会議室に入れるようになります。  当日のログイン情報(Zoom 会議室の URL、ID、PW)はセキュリティの関係上10 月 23 日の 12 時以降にメールにて配信申し上げます。  地方会に参加する場所は商業施設や公衆 wifi がある場所などは避け、できるだけプライベー トな安定したネット環境の中でお願いいたします。  当日の参加の仕方は以下の 2 通りがございます。①が簡便だと思います。 ① メールで送られてきたURL をクリックいただく。 ② Zoom のホームページの「ミーテイングに参加する」(https://zoom.us/join)から、ID と PW を入力する。 いずれの方法でも入室の際に「所属とフルネームを入力」いただきます。その後事務局が認 証すると会議室に入れます。 例)福島県立医科大学 濱口杉大  所属とフルネームはのちにZoom 参加履歴を調査して単位付与に使用します。  所属とフルネームを書かずにログインしてしまった場合は、ログイン後に次に示す URL の 方法で表記を書き換えることができます。https://applimura.com/zoom-name-change/#i-2

 マイクは原則 offとしてください(off になっていない場合、事務局側で off とさせていただ

く場合がございます)。  演題や講演での質問は、チャットに打ち込みをお願いいたします。画面下部の「チャット」 という部分をクリックすると右側にチャット画面があらわれるためそこに打ち込みます。   座⾧がチャットに打ち込まれた質問を拾い上げて演者に応えていただきます。時間の都合上 すべての質問を拾い上げることができないためあらかじめご了承ください。

一般演題演者の皆様へのお願い

 一般演題の発表は 5 分、質疑応答 2 分、計 7 分となります。時間厳守のため4 分 30 秒の時 点で一度合図を申し上げます。  当日のログイン情報(Zoom の URL、ID、PW)は10 月 23 日の 12 時以降にメールにて配 信申し上げます。発表時間の 20 分前までには Zoom 会議室に入り待機ください。  スライド操作は事務局側でおこないますため、「次、お願いします」といった合図をお願い いたします。  座⾧が演題と演者の紹介をしますため、マイクを on にして発表を開始してください。

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単位登録について

 老年病専門医、高齢者栄養療法認定医、老人保健施設管理認定医の単位付与となります。  付与単位数は以下の通りです。 地方会参加:7 単位 教育企画(教育講演)参加:3 単位  単位付与の資格については以下の通りです。 ① 地方会参加は午前、午後ともに 1 回ずつ Zoom 会議室に参加された方 ② 教育企画参加は2 つの教育講演にそれぞれ 3 分の 1 以上の時間参加された方  すべて Zoom 会議室への入退室履歴を日本老年医学会事務局に送付し判定の上、単位登録を おこないます。

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第 31 回日本老年医学会 東北地方会

プログラム

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【開会のあいさつ】9:30 9:35

福島県立医科大学 総合内科 濱口 杉大

【一般演題 1】9:35 10:10

座⾧:福島県立医科大学 総合内科 會田哲郎 1. 転倒発熱で入院後,続発する多数の問題を適切に対応しえた超高齢心不全患者の一例 大原 貴裕, 大山 千佳, 植田 寿里, 宮澤 イザベル, 菅野 厚博, 住友 和弘, 佐藤 滋, 濃沼 信夫, 古川 勝敏 東北医科薬科大学地域医療学 2. 認知症診療における老老介護を考察する 石木 愛子, 田中 陽子, 冨田 尚希, 高野 由美, 山本 修三, 舘脇 康子, 沼崎 宗夫, 武藤 達士, 瀧 靖之, 荒井 啓行 東北大学病院加齢・老年病科 3. GLP-1 受容体作動薬導入後に認知機能が改善した高齢 2 型糖尿病患者の一例 山田 芙久子, 戸田 幸子, 大友 瞳, 加藤 俊祐, 福岡 勇樹, 菅沼 由美, 森井 宰, 藤田 浩樹 秋田大学大学院 代謝・内分泌内科学 4. 肝動脈化学塞栓療法を施行された高齢の肝細胞癌患者における骨格筋量減少と予後の関連 藤田 将史, 高橋 敦史, 林 学, 阿部 和道, 大平 弘正 福島県立医科大学消化器内科学講座 5. 急性胆嚢炎治療にフレイルの及ぼす影響 斎藤 拓朗, 添田 暢俊, 押部 郁朗, 樋口 光徳 福島県立医科大学会津医療センター外科学講座

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【一般演題 2】10:10 10:45

座⾧:福島県立医科大学 総合内科 下谷陽子 6. 高齢の C 型肝硬変患者に対し直接作用型抗ウイルス薬を導入した一例 内原 大樹, 鈴木 智浩, 江尻 豊, 田井 真弓, 市井 統, 松橋 暢生 福島労災病院消化器科 7. 動作緩慢・食思不振・自発性低下として経過していた超高齢者の空腸出血の一例 冨田 尚希, 石木 愛子, 沼崎 宗夫, 荒井 啓行 東北大学病院加齢・老年病科 8. 患者に合わせた治療選択が有用であった後期高齢者胃癌の 1 例 和田 淳, 市井 統, 松橋 暢生, 田井 真弓, 鈴木 智浩, 江尻 豊 福島労災病院消化器 9. 繰り返す発熱・MRSA 菌血症 佐藤 光, 渡辺 綾, 矢口 貴絵, 中本 洋平, 會田 哲朗, 下谷 陽子, 濱口 杉大 福島県立医科大学総合内科 10. 在宅医療におけるポケットエコーの活用:肺炎シミュレーターの開発と教育 小林 只1), 米田 博輝2), 穐元 崇1), 大沢 弘1), 加藤 博之1) 1) 弘前大学医学部附属病院総合診療部 2) 弘前大学大学院医学研究科 総合地域医療推進学講座 (Buffer 5 分)

(8)

【特別講演】10:50 11:50

座⾧:東北大学加齢医学研究所老年医学分野 荒井啓行 被災地での地域包括ケアに取り組み ~認知症と在宅医療を中心に~ 演者:⾧ 純一 石巻市立雄勝診療所 所⾧ 東北大学医学部臨床教授 東北医科薬科大学医学部臨床教授 NPO 法人 在宅ケアを支える診療所・市民ネットワーク 理事 地域医療研究会世話人 日本保健医療福祉連携教育学会理事 宮城の認知症をともに考える会世話人

【ランチョン講演】11:50 12:40

座⾧:東北医科薬科大学地域医療学 古川勝敏 みんなで取り組む脆弱性骨折予防 演者:風間 順一郎 福島県立医科大学 腎臓高血圧内科学講座 教授

【東北支部からのお知らせ】12:40 12:45

日本老年医学会東北支部事務局 東北大学加齢医学研究所 老年医学分野 教授 荒井 啓行 (Buffer 5 分)

【教育講演 1】12:50 13:40

座⾧:秋田大学大学院 呼吸器内科学講座 中山勝敏 新型コロナウイルス時代の高齢者医療 演者:山中 克郎 福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 教授

【教育講演 2】13:40 14:30

座⾧:秋田大学高齢者医療先端研究センター 大田秀隆 がん×コロナ×ACP 演者:東 光久 白河厚生総合病院 総合診療科 部⾧ 福島県立医科大学 白河総合診療アカデミー 准教授 (Buffer 5 分)

(9)

【一般演題 3】14:35 15:05

座⾧:福島県立医科大学 総合内科 中本洋平 11. 高齢悪性リンパ腫患者における運動療法の実行可能性について 窪田 淳子1), 笠原 龍一1), 山本 優一1), 神保 良平1), 甲斐 龍幸2), 大平 葉子1), 大槻 剛智1), 吉田 浩3) 1) 北福島医療センター リハビリテーション科 2) 北福島医療センター 血液内科 3) 北福島医療センター 内科 12. EML4-ALK 融合遺伝子陽性の高齢者肺癌の一例 奥田 佑道1)2), 佐藤 一洋1), ⾧谷川 幸保1), 滝田 友里1), 泉谷 有可1), 熊谷 奈保1), 浅野 真理子1) 2), 竹田 正秀1), 大田 秀隆2), 中山 勝敏1) 1) 秋田大学大学院呼吸器内科学講座 2) 秋田大学高齢者医療先端研究センター 13. 高齢者終末期の諸問題への考察 佐藤 琢磨, 小坂 陽一, 岩崎 鋼 名取熊野堂病院 14. ビタミン B3 投与により、食思不振が改善した 1 例 鵜山 保典, 山中 克郎, 宗像 源之, 林 聖也, 平野 雅, 木村 俊英, 斉藤 有佳, 三宅 真理世, 浅野 奈緒美, 虻川 真澄 福島県立医科大学附属会津医療センター 総合内科学講座

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【一般演題 4】15:05 15:35

座⾧:福島県立医科大学 総合内科 中川紘明 15. 肥厚性硬膜炎により視力低下を来たした顕微鏡的多発血管炎の一例 鈴木 英二1), 板垣 裕也2), 門脇 傑2), 菅野 孝1) 1) 太田西ノ内病院リウマチ科 2) 太田西ノ内病院脳神経内科 16. 診断に難渋し治療し得なかった,高齢中枢神経系原発悪性リンパ腫の一例 渡辺 綾1), 上野 真一2), 濱口 杉大1) 1) 福島県立医科大学総合内科 2) 福島県立医科大学脳神経内科 17. 抗トポイソメラーゼ I 抗体陽性を示した pleuroparenchymal fibroelastosis の一例 沼崎 宗夫, 石木 愛子, 冨田 尚希, 荒井 啓行 東北大学病院 加齢・老年病科 18. 抗癌剤治療中に発症した帯状疱疹による下肢運動障害の 1 例 岡野 希恵, 宮下 淳 福島県立医科大学白河総合診療アカデミー

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【次期会⾧挨拶】15:35 15:40

東北医科薬科大学 地域医療学 教授 古川 勝敏

【閉会のあいさつ】15:40 15:45

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第 31 回日本老年医学会 東北地方会

一般演題抄録

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1. 転倒発熱で入院後,続発する多数の問題を適切に対応しえた超高齢心不全患者の一例 大原 貴裕, 大山 千佳, 植田 寿里, 宮澤 イザベル, 菅野 厚博, 住友 和弘, 佐藤 滋, 濃沼 信夫, 古川 勝敏 東北医科薬科大学地域医療学 【症例】92 歳、女性.主訴は転倒.既往歴は高血圧.自宅で転倒し救急外来を受診.身⾧ 150 cm,体重 45.3 kg,体温 39.3 度,血圧 132/38 mmHg,脈拍 60 回/分,左右前額部皮 下血種.眼瞼周囲内出血.胸骨左縁下部に低調な収縮期雑音(2/6 度)聴取し,呼吸音正 常.軽度の下腿浮腫.頭部 CT:外傷性硬膜下血腫.心電図は徐脈性心房細動.心エコー上 左室駆出率は 60%と保たれていたが,重症三尖弁逆流,肺高血圧を認めた.【経過】経過観 察のために入院.出血増悪のリスクのため抗凝固薬は投与せず.入院 3 日目に起坐呼吸発 症.心不全増悪と考え利尿剤投与と同時に,抗凝固療法を開始.入院 7 日目に右後頭葉に脳 梗塞を認めたが,明らかな麻痺は認めなかった.利尿剤に対する反応は乏しく,徐脈性心房 細動が転倒と心不全の原因と考え,入院 10 日目に VVI ペースメーカー植込み.以降利尿が 付き心不全改善.リハビリを行い自宅に退院なった.【考察】高齢者心不全は多疾患を合併 し,治療による副作用も生じやすい.病状の変化に応じてリスクベネフィットの判断を行 い,侵襲的な治療をも時宜を逸しないように行うことが重要である. 2. 認知症診療における老老介護を考察する 石木 愛子, 田中 陽子, 冨田 尚希, 高野 由美, 山本 修三, 舘脇 康子, 沼崎 宗夫, 武藤 達士, 瀧 靖之, 荒井 啓行 東北大学病院加齢・老年病科 [背景・目的]令和 2 年版高齢者会白書(内閣府)によると、高齢者のいる世帯のうち老老 世帯は 32.3%を占める。老老世帯の患者を診ることは茶飯事であり、疾患コントロールのた めに医師が生活支援も行うことも珍しくない。今回は物忘れ外来で経験した 2 症例を通し、 老老世帯における支援につき考察する。[症例]症例 1)85 歳女性、軽度の混合型認知症 (MMSE20 点)。同居者は認知機能正常だがインスリン治療中で、車椅子利用の夫である。 本人の夫に対する Zarit 介護負担尺度短縮版(Zarit8)は 14 点と高値。症例 2)83 歳女性、 軽度のアルツハイマー型認知症(MMSE26 点)。脳梗塞のため要介護 4 の夫と 2 人暮らし。 本人の夫に対する Zarit8 は 2 点だが、会話からは介護負担がみられ、夫への暴力行為もあ った。本人のレスパイト目的でのデイサービス利用を勧め、利用に繋がった。[考察・結 論]認知症診療において、患者本人の治療と並行し家族の介護負担軽減を検討することが多 いが、現在では、患者自身が介護を担い、その負担が症状悪化へ繋がる場合がある。家庭環 境把握や介護負担尺度を活用し、多職種連携の下で適切に介入していきたい。

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3. GLP-1 受容体作動薬導入後に認知機能が改善した高齢 2 型糖尿病患者の一例 山田 芙久子, 戸田 幸子, 大友 瞳, 加藤 俊祐, 福岡 勇樹, 菅沼 由美, 森井 宰, 藤田 浩樹 秋田大学大学院 代謝・内分泌内科学 症例は 84 歳男性。62 歳発症の 2 型糖尿病患者で、76 歳時より当科通院中。当初アログリ プチン 12.5mg、ミチグリニド 30mg、ボグリボース 0.6mg/日内服で HbA1c 6.8%程だった が、間食多く、薬剤増量も HbA1c 9%台が続き、血糖コントロール目的に入院。昼の怠薬が 判明し、服薬アドヒアランス低下による高血糖の可能性も考えられた。内因性インスリンが 保たれており、過食が高血糖の一因と考え GLP-1 受容体作動薬を導入。デュラグルチド週 1回注射を開始し、アドヒアランスの観点からグリニド薬をグリメピリド 1.5mg /日に変 更、ボグリボース内服は中止、メトホルミン 500mg/日追加し退院。退院後 HbA1c は一旦 7%台まで改善も、間食の影響もあり 8%台へ上昇。目標 HbA1c 8.5%未満とし、薬剤調整 を行った。入院直前の認知機能検査では軽度認知機能障害(MCI)の診断であり、一年後に 再検。糖尿病患者の MCI 検出に適した検査である MocaJ の改善(19 点→21 点)がみられ た。糖尿病と認知症との関連は周知だが、今回 GLP-1 受容体作動薬の導入後に認知機能が 改善した症例を経験したため報告する。 4. 肝動脈化学塞栓療法を施行された高齢の肝細胞癌患者における骨格筋量減少と予後の関連 藤田 将史, 高橋 敦史, 林 学, 阿部 和道, 大平 弘正 福島県立医科大学消化器内科学講座 目的:肝動脈化学塞栓療法(TACE)を受けた肝細胞癌患者で骨格筋量減少と予後について検 討した.方法:2020 年 3 月までに当科で TACE を受けた肝細胞癌患者 200 例(男 145,女 55)を対象とし,75 歳以上を高齢群,75 歳未満を非高齢群とした.骨格筋指数は L3 腸腰 筋の『⾧軸×短軸の左右合計/身⾧ 2』(PMI),cut off は男 6.0 cm2/m2,女 3.4 cm2/m2 と して,Low PMI・Normal PMI に分けた.TACE 不応までの間での 1 ヶ月毎の PMI 変化量 (CPMI)を算出し,75 percentile で Severe atrophy・Mild atrophy に分けた.主要評価項目 は OS とした.結果:高齢群 87 例において Low PMI・Normal PMI の間で OS に有意差は みられなかった(中央値 42.7 vs 36.4 ヶ月, P=0.648).CPMI は OS に対するリスク因子で (Hazard ratio 55.35, P<0.001),OS は Severe atrophy で有意に短縮した(P<0.001).結論: TACE 治療中の骨格筋量維持が重要である.

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5. 急性胆嚢炎治療にフレイルの及ぼす影響 斎藤 拓朗, 添田 暢俊, 押部 郁朗, 樋口 光徳 福島県立医科大学会津医療センター外科学講座 急性胆嚢炎は Tokyo Guidelines 2018 に基づいて治療方針を決定するがフレイルの影響は述 べられていない。【対象と方法】2016 年 9 月?2019 年 11 月に手術した 47 例を対象とし、フ レイルの頻度、胆嚢炎の重症度、ASA-PS、チャールソン併存疾患指数:CCI、開腹率、手 術時間、出血量、術後合併症、入院期間、転帰などについて検討した。【結果】17 例 (36%)をフレイルと診断。重症度は両群に有意差なし。ASA-PS は非フレイル群: 2.0±0.6、フレイル群 2.5±0.5(p<0.03)、また CCI は非フレイル群:1.4±0.3、フレイル 群:6.1±0.4(p<0.0001)とフレイル群で有意に高値。開腹率は非フレイル群 8%、フレイ ル群 64%とフレイル群で有意に高かった。CDII 以上の術後合併症はフレイル群で有意に多 く(53%)、入院期間は非フレイル群 12±11 日、フレイル群 25±18 日と有意に延⾧し(p <0.001)このうち 1 例に呼吸不全による死亡を認めた。【結語】フレイルでは、術前 PS が 不良で併存疾患が多く、開腹率が高く、術後合併症により入院期間が延⾧する傾向がある。 6. 高齢の C 型肝硬変患者に対し直接作用型抗ウイルス薬を導入した一例 内原 大樹, 鈴木 智浩, 江尻 豊, 田井 真弓, 市井 統, 松橋 暢生 福島労災病院消化器科 【症例】84 歳女性【経過】2017 年 6 月より腹部膨満感が出現し,前医で肝硬変と診断され 当科紹介となった.C 型肝炎ウイルスによる非代償性肝硬変の診断となり,利尿薬による腹 水コントロール,食道静脈瘤に対する治療が行われた.その後肝機能の改善を認め,本人の 強い治療希望もあり 2019 年 4 月より直接作用型抗ウイルス薬(Direct acting antiviral:以下 DAA,グレカプレビル・ピブレンタスビル)の導入を行った.大きな副作用なく 12 週間の 内服終了し,ウイルスの陰性化を確認した.肝機能悪化もなく経過し,以後定期的に腹部超 音波検査を行っているものの,明らかな肝癌の発症なく経過している.【考察】2014 年にイ ンターフェロンフリーの直接作用型抗ウイルス薬が導入されて以降,副作用が少なく, 100%に近いウイルス陰性化率が得られる治療が可能になった.治療の目標は肝発癌を抑え ることにあるが,治療自体高額な医療費がかかり,高齢者に治療導入するか議論が分かれる ところである.当院で高齢者に DAA を導入した症例のまとめも加えて報告する.

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7. 動作緩慢・食思不振・自発性低下として経過していた超高齢者の空腸出血の一例 冨田 尚希, 石木 愛子, 沼崎 宗夫, 荒井 啓行 東北大学病院加齢・老年病科 94 歳女性。受診半年前頃まで自立した生活を営んでいた。受診 5 か月前に同居の⾧男が動 作が緩慢になってきたことに気が付いた。次第にボーっとしていることが目立つようにな り、受診 1 カ月前からは食思不振あり。かかりつけ医が採血したところ Hb 3g/dL まで低下 していることが判明。緊急の受け入れ要請あり当科入院。入院時、大球性貧血で血小板の減 少も伴い、白血球数は正常であった。便潜血陽性であったが肉眼的血便やタール便ではなか った。末梢血中に芽球はみられなかったことから骨髄異形成症候群の可能性を念頭に、緊急 輸血を行いながら精査をすすめた。上部・下部消化管とも内視鏡では明らかな出血は観察さ れず。赤血球輸血を繰り返し行い、Hb 8g/dL まで改善。しかし呼吸状態改善せず。また輸 血終了後、貧血が緩徐に低下する傾向が見られた。追加検査を行ったところ左膝窩静脈血栓 症と肺塞栓症が確認された。また消化管出血シンチにて空腸からの出血を疑う所見が見られ た。抗凝固療法を最低量で持続、輸血も追加で行ったところ呼吸状態は改善。Hb 低下進行 の速さを考慮し抗凝固療法終了し在宅にて輸血を定期的に行う予定で退院となった。 8. 患者に合わせた治療選択が有用であった後期高齢者胃癌の 1 例 和田 淳, 市井 統, 松橋 暢生, 田井 真弓, 鈴木 智浩, 江尻 豊 福島労災病院消化器 【緒言】切除不能進行胃癌に対しての化学療法は比較的若年の患者を対象に検討されてき た. しかしながら, 本邦における胃癌罹患者の半数は 70 歳以上であり, 治療のコンセンサス を得ることは重要である. 今回,切除不能進行胃癌と診断した後期高齢者に対して, 化学療 法が奏功した 1 例を経験したので報告する. 【症例】85 歳の女性.貧血を主訴に当科を受診 し,各種検査で腹膜播種を伴う切除不能進行胃癌と診断された.【経過】PS 0 で本人も積極 的治療を希望されたため化学療法を行う方針とした. 初回レジメンとして S-1 + シスプラチ ン療法を選択した. 導入 3 日後に心不全兆候が出現し, その後, 骨髄抑制も顕著であったた め, 継続困難と判断し, S-1 + オキサリプラチン (SOX) 療法へレジメンを変更した. 変更 後, 有害事象はコントロール可能な範疇で, 効果判定が PR であるため, さらに負担の少ない S-1 単剤療法へレジメンを変更することとしている.【結語】後期高齢者の進行胃癌では, 患 者の状態に合わせた適切な治療選択を行うことで, QOL を損なうことなく生命予後を延⾧さ せる可能性がある.

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9. 繰り返す発熱・MRSA 菌血症 佐藤 光, 渡辺 綾, 矢口 貴絵, 中本 洋平, 會田 哲朗, 下谷 陽子, 濱口 杉大 福島県立医科大学総合内科 3 年前、洞不全症候群に対してペースメーカー(PM)挿入術施行された。5 ヶ月前、悪寒戦慄 を伴う発熱あり前医入院した。血液培養検査で MRSA2 セット陽性であった。VCM で加療 され 14 日間で退院した。4 ヶ月前、発熱の再燃あり前医受診し、血液培養検査で 2 セット MRSA 陽性であり 14 日間入院加療された。1 ヶ月前にも発熱の再燃、PM 挿入部から滲出 液あり前医入院した。血液培養検査で MRSA3 セット陽性、VCM で加療され 14 日間で退 院した。さらに 2 日前から発熱の再燃認めた。前医入院し血液培養 4 セット採取され VCM 投与開始された。繰り返す MRSA 菌血症の原因精査・加療目的に当科転院した。転院後、 PM 挿入部から滲出液の排出ありグラム染色を施行したところ分葉核球と GPC 認めた。培 養検査で MRSA であることが判明した。前医での血液培養検査は 4 セットとも MRSA が検 出された。以上より植え込み型心臓電気デバイス感染症と診断した。抜去が必要であるため 他院転院とした。高齢者では、誤嚥性肺炎・尿路感染症など感染症を繰り返すため、熱源の 精査を十分に行う必要がある。 10. 在宅医療におけるポケットエコーの活用:肺炎シミュレーターの開発と教育 小林 只1), 米田 博輝2), 穐元 崇1), 大沢 弘1), 加藤 博之1) 1) 弘前大学医学部附属病院総合診療部 2) 弘前大学大学院医学研究科 総合地域医療推進学講座 【背景】高齢社会に突入した日本で, 肺炎・誤嚥性肺炎は医療機関内だけで対応しきれず, 在宅医療や訪問看護におけるケアの質向上が期待される. 近年, 小型化が進む超音波診断装 置(エコー)は「第2聴診器」とも称される.「精密検査」を目的に検査室で実施される従来型 のエコー検査とは異なり, 「その場の判断」に手軽に役立つ携帯型エコー(ポケットエコー) は, 医療機関内外で広く活用されつつある. 【目的】単純 X 線写真が容易に実施できない医療現場において, ポケットエコーを活用した 誤嚥性肺炎の評価を学修できる仕組みを開発する.

【結果】産学連携により肺炎シミュレーター(A-lines, B-lines(少ない), B-lines(多い), 肺炎 の 4 種)を開発した. 2019 年 9 月より, 「らくらくフォン」のような操作性を叶えたポケッ トエコー及び専用テキストと供に教育コース(PELS)を開講した.

【考察】医学生・医師に加えて看護師を対象とした病棟・在宅医療など多様な現場を想定し た教育コースが世界中で展開される. 日本の臨床現場の実情に合う, エコーの活用方法が普 及することを願う.

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11. 高齢悪性リンパ腫患者における運動療法の実行可能性について 窪田 淳子1), 笠原 龍一1), 山本 優一1), 神保 良平1), 甲斐 龍幸2), 大平 葉子1), 大槻 剛智1), 吉田 浩3) 1) 北福島医療センター リハビリテーション科 2) 北福島医療センター 血液内科 3) 北福島医療センター 内科 悪性リンパ腫の発症率は 70 歳代でピークとなるため、治療対象者は高齢であることが多 い。61 歳以上は予後不良因子とされているが、80 歳までの初発であれば標準治療が適応さ れ、支持療法薬や分子標的薬の開発・応用により、治療成績は飛躍的に進歩している。 近 年、造血器腫瘍患者に対するリハビリテーションは積極的に実施されるようになり、その効 果検証に取り組んでいる。我々の研究において、血球減少を伴う悪性リンパ腫患者に対して 一定負荷量の運動療法の実行可能性について検証し、94.4%と高い実施率を示した。今回、 75 歳以上の高齢者(21 名)と 74 歳以下の准高齢者(25 名)で実施率を比較した。結果 は、高齢者 94.9%、准高齢者 97.9%であり、有意差は認められず、中止回数にも有意差は認 められなかった。今回の結果から、高齢リンパ腫患者においても准高齢者と同等の運動療法 を実施できることが示された。*高齢者と准高齢者の群分けは老年医学会の提言を参考に致 しました。 12. EML4-ALK 融合遺伝子陽性の高齢者肺癌の一例 奥田 佑道1)2), 佐藤 一洋1), ⾧谷川 幸保1), 滝田 友里1), 泉谷 有可1), 熊谷 奈保1), 浅野 真理子1) 2), 竹田 正秀1), 大田 秀隆2), 中山 勝敏1) 1) 秋田大学大学院呼吸器内科学講座 2) 秋田大学高齢者医療先端研究センター 【症例】86 歳、男性【生活歴】喫煙歴なし【現病歴】糖尿病コントロール目的の入院中に 右肺に腫瘍性病変を指摘され当科を紹介受診した。気管支鏡検査を施行し、原発性肺腺癌-の診断となった。CT では縦隔のリンパ節腫大を認め、PET-CT をおこなったところ縦隔お よび軽度の腫大のみであった左肺門部リンパ節にも FDG の集積を認めた。遠隔転移は認め ず、病期は T2b N3 M c-stage3B となった。Performance status 0-1 で全身化学療法の適応 ではあったが、超高齢であり細胞障害性抗がん剤の投与は難しいと考え、積極的治療は行わ ない方針で進めていた。しかし EML4-ALK 融合遺伝子検査の結果が陽性であったため ALK 阻害薬であるアレクチニブ内服治療を行う方針となった。入院でアレクチニブを導入し、目 立った有害事象も見られず、現在は外来で治療継続中である。ALK 融合遺伝子を有する肺 癌は非小細胞肺癌全体では 2-5%程度と少なく、その中でも若年者に多いと報告されてい る。今回超高齢でありながらも ALK 阻害薬の適応となった症例を経験したので文献的考察 を踏まえ報告する。

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13. 高齢者終末期の諸問題への考察 佐藤 琢磨, 小坂 陽一, 岩崎 鋼 名取熊野堂病院 背景 高齢者の終末期医療での生じる諸問題を整理し、それに対する対策を検討した。結果 終末期医療における諸問題点として次のようなものが生じていることが判明した。終末期で は予期せぬ急死が比較的多く、しばしば、家族がそれを受け入れることが困難であった。専 門外の医師による不適切な医療がみられることがあった。当直医が記載する死亡診断書の病 名と主治医が病状説明で、説明していた病名が一致せず、家族が不信を抱くことがあった。 普段、関与していない親族(遠方にいる次男など)の要求に応じて、延命的な治療が行われ ることがあった考察 これらの問題の対する対策としては、これまで生じた諸問題を想定し た説明や対応を、早期から行うこことが有効とおもわれた。 14. ビタミン B3 投与により、食思不振が改善した 1 例 鵜山 保典, 山中 克郎, 宗像 源之, 林 聖也, 平野 雅, 木村 俊英, 斉藤 有佳, 三宅 真理世, 浅野 奈緒美, 虻川 真澄 福島県立医科大学附属会津医療センター 総合内科学講座 (症例)87 歳 男性(現病歴)受診 23 日前に発熱、意識レベル低下、体動困難で救急搬送、近 医総合病院に精査加療で入院となっていた。受診 9 日前、症状持続し不明熱として精査目的 で当院に転院となった。(入院後経過)入院時、口腔内びらんあり採血でフェリチン、抗核抗 体高値、抗 SS 抗体陽性、骨髄穿刺で血球貪食像があり、シェーグレン症候群に伴う血球貪 食症候群と診断し、ステロイドパルス、G-CSF 製剤を開始した。第 3 病日には発熱、意識 レベルの改善あったが、食思不振や意欲低下は持続していた。本人家族の精査希望なく、在 宅看取りの意思決定をしたが、第 24 病日に採血でナイアシン低値が判明、同日朝よりナイ アシンの内服加療を開始した。第 26 病日にはほぼ全量自力での経口摂取が可能となり、第 33 病日、自宅退院、かかりつけフォロー方針となった。(考察) ビタミン B3 欠乏による精 神症状の症例を経験した。腹部や皮膚所見に乏しかったが、口腔所見はビタミン B3 欠乏が 原因であった可能性が考えられる。ビタミン B3 はアルコール多飲者で知られているが、症 状乏しい高齢者でも内服により劇的な改善がみられるため、考慮すべき病態であると考え た。

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15. 肥厚性硬膜炎により視力低下を来たした顕微鏡的多発血管炎の一例 鈴木 英二1), 板垣 裕也2), 門脇 傑2), 菅野 孝1) 1) 太田西ノ内病院リウマチ科 2) 太田西ノ内病院脳神経内科 71 歳男性、【主訴】視力低下、【既往歴】55 歳:高血圧 、71 歳:左尿管結石、【現病歴】 X-3 年間質性肺炎および MPO-ANCA 陽性にて肺限局型の顕微鏡的多発血管炎(MPA)と診 断されプレドニゾロン(PSL)50mg にて加療され改善した。X-1 年 7 月発熱、頭痛、倦怠感 が認められ当科に紹介された。MPA の再燃と診断し PSL を 30mg へ増量し改善したが、 PSL の減量にて症状が再燃した。⾧期の PSL 使用にて血清 IgG が低下し免疫抑制剤の追加 は困難であった。X 年 5 月上旬より左眼の視力が低下し、中旬には失明し、精査加療目的に 入院した。【経過】頭部造影 MRI にて左側の肥厚性硬膜炎と左眼静脈の拡張および血栓形成 が認められた。PSL30mg へ増量し、抗凝固剤、シクロフォスファミド(CY)500mg パルス療 法を施行したところ視力が改善した。全身倦怠感、炎症、硬膜肥厚も改善した。【結語】 MPA は高齢者にみられる。治療ではステロイド剤に加え CY 等の免疫抑制剤の使用が推奨 されているが、併存疾患や易感染性から使用できない患者も多い。本症例では易感染状態で あり当初は使用が躊躇われたが、CY が奏効したと考えられた。 16. 診断に難渋し治療し得なかった,高齢中枢神経系原発悪性リンパ腫の一例 渡辺 綾1), 上野 真一2), 濱口 杉大1) 1) 福島県立医科大学総合内科 2) 福島県立医科大学脳神経内科 症例は 80 歳女性.2020 年 3 月より両下肢の痺れ,4 月下旬に対麻痺が出現し近医に入院し たが診断がつかず,精査目的に当院に転院した.脊椎造影 MRI で造影効果を伴う馬尾の腫 大を認めたが,悪性リンパ腫やサルコイドーシス, 多発性硬化症,感染症等を疑う身体所 見,検査結果は認めなかった.自己免疫機序による脊髄炎としてステロイド治療を開始した が神経学的所見の改善は認めなかった.血清可溶性 IL-2 レセプターは上昇し続け,再度髄 液検査,骨髄生検,ランダム皮膚生検を施行したが悪性リンパ腫の診断はつかなかった.そ の後血小板が減少し,骨髄生検を再検しびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫と診断した.し かし精査中に生じた多発脳梗塞により意識障害が進行し,全身状態不良のため緩和治療の方 針となり転院した.脊髄に発症する中枢神経系原発悪性リンパ腫は稀で,非典型的な経過を 辿ることが多く診断が難しいため,早期診断には徹底した組織生検が重要である.しかし高 齢者では極めて予後が悪いことが報告され,化学療法による合併症のリスクも高く,治療適 応にある全身状態かを判断しながら侵襲的検査を行う必要があり,教訓的であったため報告 する.

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17. 抗トポイソメラーゼ I 抗体陽性を示した pleuroparenchymal fibroelastosis の一例 沼崎 宗夫, 石木 愛子, 冨田 尚希, 荒井 啓行 東北大学病院 加齢・老年病科 患者は 77 歳の男性で、認知機能の低下と呼吸苦が生じたため、当科に紹介となり精査目的 に入院となった。胸部写真で両側上肺野を中心に線維化病変が認められ、KL-6 および SP-D が上昇していたことより当院呼吸器内科に紹介し、間質性肺炎の1病型である

pleuroparenchymal fibroelastosis と診断された。Pleuroparenchymal fibroelastosis は、近年 間質性肺炎の1病型として加えられた比較的希な疾患である。また、膠原病に関連する自己 抗体のスクリーニングを施行したところ、抗トポイソメラーゼ I 抗体のみ異常高値を示し た。抗トポイソメラーゼ I 抗体は強皮症に特異性が高く、強皮症患者の間質性肺炎の出現に 強く関連することより、リウマチ・膠原病内科に紹介したが強皮症を疑わせる症状がなく、 強皮症の可能性は低いとの診断となった。入院経過中に気胸と縦隔気腫を併発したが、これ らは pleuroparenchymal fibroelastosis に高頻度に併発することが報告されている。今後、 肺の線維化の進行および気胸の悪化により、呼吸状態が急激に悪化する可能性がある。 18. 抗癌剤治療中に発症した帯状疱疹による下肢運動障害の 1 例 岡野 希恵, 宮下 淳 福島県立医科大学白河総合診療アカデミー 症例:69 歳 男性.主訴:帯状疱疹に引き続き出現した右下腿の筋力低下.既往歴:悪性リ ンパ腫.現病歴:悪性リンパ腫に対して R CHOP7 コース目までが終了していた.令和 2 年 8 月 11 日右足背~足底にかけて帯状疱疹が出現し,アメナメビル内服で加療開始され た.8 月 18 日再診時,水疱は痂皮化傾向を示したが右下腿~大腿,体幹,前額部に紅斑性 丘疹が広がり,皮疹に一致した L4/5 領域に神経痛を認めた.汎発性帯状疱疹として経静脈 的に 1 週間アシクロビル投与したが,経過中に右前脛骨筋及び大腿屈筋群の筋力低下が出現 した.頭部 MRI で異常認めず,髄液検査で単核球優位の細胞数増加を認めたため,無菌性 髄膜炎と下肢運動障害を併発した汎発性帯状疱疹と考えた.アシクロビルを 1 週間追加投与 (計 2 週間)した.その後,髄膜炎は軽快したが,神経痛・運動障害は残存した.神経痛は 鎮痛薬で対応し,運動障害に対しては短下肢装具を用いながらリハビリを行い,生活動作可 能になるまで入院を継続した.帯状疱疹による運動神経障害はまれであるが,生活機能の低 下防止のために早期診断による適切な抗ウィルス薬投与が重要と思われ報告した.

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共催・協賛

企業(五十音順)

株式会社ツムラ

協和キリン株式会社

武田薬品工業株式会社

中外製薬株式会社

東北医薬品協議会

ノバルティスファーマ株式会社

医療機関(五十音順)

医療生協 わたり病院

仁泉会 北福島医療センター

本研究会を開催するにあたり上記の賛助団体より本研究会の趣旨にご賛同を賜り、多大なご援助 をいただきました。ここに芳名を記して、深甚なる感謝の意を表します。 第 31 回日本老年医学会 東北地方会 会⾧ 濱口 杉大

参照

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