本研究は看護学生の対人関係能力がカリキュラム進行の中でどのように発達するのか、また対人関係能力を 育むための看護教育の課題は何かを明らかにする。平成19年11月∼12月に本学の1、2年生を対象に模擬患者 (以下SP)を用いたセッション(7分/人実演、15分間のフィードバック)を実施し、その後自記式質問紙調査を 行った。研究対象者には本学倫理委員会の承認のもと研究目的、方法、倫理的配慮を書面と口頭で説明し、参 加同意者の回答を回収した。質問項目は基本的属性、アイデンティティ尺度、社会的スキル(KiSS-18)、SP演 習の感想、SP演習での体験であり、データは統計パッケージソフトSPSS 15.0J for Windowsにて分析した。 その結果、1年生は「看護対人関係論」(1単位30時間)の一環としてSP演習を体験した78人のうち74人 (94.9%)からの回答を得、71人(91.0%)が有効であった。2年生は1年生で同演習を体験後、基礎看護学実習Ⅱ (2単位90時間)を経た77人の中から、希望でSP演習を体験した10人のうち10人(100%)から回答を得、すべて 有効であった。平均年齢は1年生19.6±3.2歳、2年生21.6±5.1歳、アイデンティティ尺度の平均点は1年生27.3 ±5.7点、2年生27.1±3.4点で、社会的スキルの平均点は1年生56.9±12.2点、2年生59.6±5.2点で、1年生のア イデンティティ尺度と社会的スキルの点数には有意な相関が見られた(p<0.01)。1、2年生ともすべての学生 が、SP演習での学生からの意見やSPの感想が大変参考になった、臨場感のある学習だと答えていた。1年生で 実際にSPと対応した27人(38%)と、2年生10人(100%)のSP演習での体験を比較すると、「沈黙があったので、 別の話をした」では1年生が2年生より有意に多く(p<0.05)、「話の最中に相手に触れた」では2年生が1年生よ り有意に多かった(p<0.01)。「相手と対応するときに自分の態度が影響すると思った」、「相手の気持ちをわかり たいと思った」、「目を見て話した」、「熱心に耳を傾け、集中した」は1、2年生とも90%以上が肯定的に回答し た。 看護における対人関係能力を発展させるには、「対人認知」「対人行動」「対人態度」の3つの要件が伸びること が重要である。今後はこれらを発展させるための教育方法を縦断的に確認し、検討したい。
看護基礎教育における学生の看護対人関係能力の発達 ―模擬患者を導入した演習の学びから―
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