女性活躍推進を進める企業で
女性が管理職になりたがらないのはなぜか
――小売業 X 社における管理職志向のない女性正社員の語りから――
Why Don’t Women Want to Become Managers?
Focusing on the narrative of full-time retail Company X employees who
are not management-oriented
佐藤 洋子
Yoko Sato
Through a case study of Company X, a retailer, this paper clarifies reasons why women do not want to become managers in companies promoting women’s active workplace participation. In re-cent years, Company X has set the target for increasing the proportion of women in managerial positions to 20% and is working to do so. Specifically, Company X is targeting single women in their thirties, and these women are promoted to managerial positions before giving birth and after raising children. In this case study, however, few single women chief at Company X are interested in becoming a manager. In “promotion of women’s participation” Company X expects to increase the number of “women in management who marry and raise children.” This contradicts the work-ing style of the swork-ingle woman chief, however. For one thwork-ing, Company X’s managers are trans-ferred every one or two years, and they work long hours, day and night. At the same time, Com-pany X is reducing the location-specific employee system chosen by many married women. These circumstances not only make it more difficult for a single woman chief to marry, but also for wom-en who are raising childrwom-en to continue working as regular employees—never mind taking de-manding managerial positions. Company X’s “active participation of women” aligns with Japan’s policy of promoting women’s active workplace participation, that is, emphasizing “bearing and rais-ing children” and “promotion of women to managerial positions.” Resolvrais-ing contradictions in Com-pany X requires fundamentally changing the government’s policy on women’s workplace participa-tion. However, if companies try to overcome this problem at the corporate level, they should assume a variety of woman managers.
1.本稿の課題
近年「女性の活躍推進」は重要な政策課題となり、女性の就労を促す施策が展開されている。だが 日本ではいまだ管理職として働く女性は少ない。役職者に占める女性の割合は部長級で 6.6%、課長 級で 11.2% であり、依然として低い水準となっている(内閣府 2019: 112)。 なぜ日本で女性管理職が少ないのか。2 章で述べるように、それについては主に企業内の性別職務 分離に着目した研究と、女性の昇進意欲に着目しその要因を探ろうとする研究が行われてきた。後者の研究では、企業が女性活躍施策を行うこと、それが現場レベルで認知されていることが重要だと指 摘されている。 女性活躍推進法が施行され、近年では女性の活躍推進を進めている企業が多くある。だがそのよう に女性の活躍推進を進める企業でも、管理職にはなりたくないと考える女性は多くいる。それはなぜ なのか。本稿では 2018 年に小売業 X 社で正社員を対象に行ったインタビュー調査の結果から、管理 職になることを希望していない女性たちが、X 社の女性管理職登用の取り組みをどう受けとめている のか、なぜその取り組みが彼女たちの昇進意欲につながっていないのかを検討する。 X 社での調査は、2018 年 2 月に X 社女性活躍推進プロジェクト担当者に対して行った聴き取り調 査と、2018 年 4 月から 6 月にかけて X 社本社、各店舗で働く従業員 25 名(女性 21 名、男性 4 名) に対して行った聴き取り調査の二つからなる。従業員への調査は、女性活躍推進プロジェクト担当者 から紹介された従業員に対して、調査対象者が働く店舗の一室(本社の場合は会議室)で、1 人あた り 30 分から 90 分程度の半構造化インタビューを行った。本稿ではこの二つの調査で得たデータに加 え、「女性の活躍推進企業データベース」等、X 社の女性活躍の取り組みが掲載された資料も参考に 分析を行う。以下で言及する X 社の取り組みや従業員に関する数値は、記載がない限り 2018 年 2 月 の担当者への聴き取り調査で得られたデータである。4 章以降では従業員への聴き取りのうち、主に 30 代独身の女性主任 8 名の語り(4 章)と勤務地限定社員として働く既婚の女性主任 3 名の語り(5 章) を検討する。4 章で取り上げる 30 代独身の女性主任は、X 社が店舗管理職への登用を期待している 女性たちである。一方、5 章で取り上げる勤務地限定社員の女性は、同じ X 社で働く女性主任である が X 社の女性管理職登用の主たる対象とはなっていない。両者の語りをともに検討することにより、 X 社の女性活躍推進が意味するものを描き出していきたい。 以下、2 章では女性の管理職の少なさに関する先行研究を整理することで本稿の課題と分析視点を 示す。3 章では X 社の概要とこれまでの女性活躍推進の取り組みについて述べ、それをふまえて 4 章 と 5 章で X 社女性従業員の語りをまとめ、6 章で考察を行う。
2.女性管理職の少なさに関する先行研究
なぜ女性の管理職が少ないのか。その理由を明らかにする研究は大きく以下の二つのタイプに分け られる。一つは企業内の性別職務分離に着目する研究、もう一つは女性の昇進意欲に着目する研究で ある。 前者の企業内の性別職務分離に着目する研究では、職場で男女にわりあてられる職務が異なること が、昇進やキャリア形成の男女格差をもたらすとされている。大槻奈巳はシステムエンジニアの事例 を分析し、同一待遇で採用されたシステムエンジニアであっても、女性には「こつこつ行う」データ 変換やシステム開発のサポート、女性が行ったほうが「場が和む」と考えられている拡販デモなど「女 性用」の職務がわりあてられることを明らかにしている。女性が行う職務は男性が主として行う職務 に比べて周辺的であるがゆえに、女性には職務を通じた知識やスキルが十分に与えられず、その結果、 男性が女性より昇進していく傾向があると指摘する(大槻 2015: 38-80)。駒川智子は銀行事務職にお ける性別職務分離とキャリア形成について論じている。それによれば 1960 年代から 90 年代の都市銀 行では、大卒男性が「融資」や「得意先」に重点的に配置され支店長に必要な能力を形成する一方、 女性は「出納」や「預金」、「テラー」などの「女性職」に配置され、異動を通じた能力育成機会が得 られず、管理職に昇進することは稀であった。1990 年代後半以降の「女性活用」は女性の管理職を増加させているものの、女性をリテール業務に誘導する「女性活用」が新たなキャリア格差を生成し ていることを指摘する(駒川 2014)。また山口一男は経済産業研究所が行った調査のデータを用い、 課長以上割合の男女格差が人的資本の違いでは 20% 程度しか説明できず、性別がもっとも大きな要 因であることを明らかにし、その背景には統計的差別により女性を管理職昇進トラックから外す日本 企業の雇用慣行があると指摘する(山口 2014)。 一方、後者の女性の昇進意欲に着目した研究には、男女で昇進意欲にどのような違いがあるのか、 昇進意欲に影響を及ぼす要因は何かについて量的データの分析を通して探ろうとする研究がある。川 口章は労働政策研究・研修機構が実施した調査のデータを用いて、男女の昇進意欲に影響を及ぼす要 因を分析している。その結果、個人属性や企業属性を調整したうえでも女性の昇進意欲は男性と比べ て低いこと、積極的改善措置を熱心に実施している企業では男女とも昇進意欲が高いこと、女性管理 職が多い企業では女性の昇進意欲が高いこと、仕事と育児の両立支援施策は女性の昇進意欲と有意な 関係がなく、男性の昇進意欲とは負の相関関係があることを明らかにし、女性の昇進意欲を高めるう えで均等化施策が有効であると指摘している(川口 2012)。また武石恵美子は労働政策研究・研修機 構が 2012 年に実施した「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」のデータを分析し、女性 の昇進意欲を高めるうえで企業レベルでの施策実施の効果は限定的であり、職場における取り組みと して従業員が認知すること、とりわけ上司の部下育成にかかわるマネジメントのあり方が重要である ことを指摘している(武石 2014)。島直子はパネルデータ分析により女性新入社員の管理職志向に影 響を及ぼす要因を検証している。その結果、入社 1 年目から女性は男性より管理職志向が低く、入社 2 年目にかけて女性は男性より管理職志向を失う傾向が顕著であることがわかった。また入社 1 年目 から 2 年目にかけて管理職志向を変化させた要因として、残業頻度や上司が熱心に育成してくれると いう認識、将来のキャリアにつながる仕事をしているという認識、リーダーシップ力に対する自己評 価等の影響を指摘している(島 2019)。島と同じデータを用いた大槻奈巳は、女性が男性よりも「主 に女性が担当する仕事」についている傾向があること、リーダーシップを求められない仕事について いることに着目し、そういった仕事の状況に管理職志向が影響されることを指摘している(大槻 2019: 67-81)。 またこれとは別に、すでに管理職になった女性たちの経験から、何が意欲を変えたのかを分析する 事例研究もある。たとえば中村恵は、大手スーパーの女性管理職者・専門職者へのインタビューから、 入社当時は強い目的意識もなく数年働いたら退職して結婚しようと考えていた女性たちが、売場を任 され自らの工夫で売場を組織していく経験を得たことで、売ることの楽しさや売場を組織することの 楽しさを覚え、仕事に対する意識を変化させ昇進していったことを示している(中村 1988)。大槻は 先に述べた論文の中で 5 人の女性管理職の事例を挙げ、管理職になった経緯や要因を提示している(大 槻 2019: 86-110)。 ここまで女性管理職の少なさに関する先行研究を概観した。女性の昇進意欲に着目するこれまでの 研究においては、量的データを用いた分析でも管理職女性の事例分析においても、昇進意欲を持つ (持った)側に焦点をあてた分析がなされており、昇進意欲を持たない女性たちに焦点をあてた研究 はなされていない。企業の女性活躍推進施策を従業員自身が認知することで昇進意欲が増すという知 見が得られているが、ではなぜ女性活躍推進の取り組みを進める企業でも管理職になりたがらない女 性が多いのか。本稿では管理職になることを希望しない女性たちの語りに焦点をあてることでそれを 明らかにする。またその際、X 社の女性活躍推進の取り組みの一つである「女性リーダー育成研修」と、 彼女たちに求められる時間的・空間的制約のない働き方に着目する。
3.X 社の概要と女性活躍推進の取り組み
(1) X 社の概要
X 社は 1960 年代に設立し、ショッピングセンター、GMS、スーパーマーケット等 100 店舗以上を 展開する企業であり、近年も新規出店や譲渡・継承物件への出店などを進めている。 従業員数は、正社員約 2,800 名、パートタイマー約 6,100 名(8 時間換算)であり、正社員の男女 比は男性 60.3%、女性 39.7% である(2019 年 2 月時点、X 社ウェブサイトより)。「女性の活躍推進企 業データベース」で公表されている情報(2018 年 2 月時点)によれば、正社員採用者に占める女性 の割合は 45.1% である。正社員の平均勤続年数は男性 16.6 年、女性 13.6 年であり、女性のほうが 3 年短い。 X 社の正社員は、標準となる異動範囲に制限のない社員のほかに、異動の範囲が通勤 2.5 時間以内 の範囲に限定される勤務地限定社員がある。入社時は全員が異動範囲に制限のない社員として入社す るが、社内結婚、妊娠・育児(小学校 3 年まで)、介護、病気の 4 つの場合には勤務地限定社員に切 り替えることができる。以前は結婚を機に勤務地限定社員に切り替える場合が多かったが、結婚での 切り替えを社内結婚に限定したため、現在の社員区分の切り替えは大多数が妊娠・育児を理由とする ものであるという。この 2 つの社員区分には異動範囲の制限のほかに、昇進の上限(後者は店舗次長 級まで)と給与面での違い(基本給が後者は前者の 9 割)がある。この社員区分別に男女の人数を見 ると、同じ正社員であっても女性の割合は異なっている。2018 年 2 月時点の勤務地限定社員は 439 名であるが、その女性比率は 85.8%と圧倒的に女性が多い。一方、異動範囲に制限のない正社員では 女性比率は 28.4%である。なお、勤務地限定社員で管理職として働く女性は本社には少数いるものの 店舗にはいない。(2) X 社におけるキャリアプランと女性活躍推進の取り組み
1)X 社のキャリアプラン X 社の正社員は入社すると店舗の一般販売職として食品・衣料品・住居関連品の各部署に配属さ れ(1)、売場での OJT や節目ごとの教育研修を経て売場責任者である主任となっていく。X 社が提示 するキャリアプランでは主任昇格は 1 年半からとあるが、主任に昇格する年限には個人差があり、担 当者によれば、早い人で 2 年目、平均すると入社 3 年くらいで主任に昇格していくという。主任に昇 格するスピードでは男女差はほぼないと担当者は認識している。 主任になった後に想定されているキャリアは、店舗でのキャリアアップをめざすコースと本社での キャリアアップをめざすコースに分かれる。店舗と本社の間での異動もあるものの、店舗の場合はお おむね主任を経て、次長、店長、支配人とキャリアを積んでいくことが想定されている。本社の場合 は、商品部・営業推進部では、バイヤー、チーフバイヤーまたはスーパーバイザー、課長、部長とい う流れ、スタッフ部門では、スタッフリーダー、担当マネージャー、課長、部長という流れでのキャ リアアップが想定されている(図 1)。なお X 社では店舗では次長以上、本社では担当マネージャー 以上が管理職である。バイヤーは主任経験を経て就くが管理職にはあたらない。 2)X 社における女性活躍推進 X 社では以前から女性の活躍や両立支援に力を入れてきた。過去には厚生労働省の「均等推進企業」 や「ファミリー・フレンドリー企業」を受賞した経験があり、近年では「くるみん」マークや「えるぼし」認定(3 段階目)も取得している。仕事と子育ての両立に関する制度は、育児休業制度(満 3 歳まで)や育児短縮勤務制度(小学校 3 年生まで)、子育てや介護を理由に退職した職員の再雇用制 度など充実しており、そうした制度は正社員だけでなくパートタイマーの従業員にも利用されている。 だが女性の管理職登用という面での女性活躍推進は十分に進んではおらず、2014 年 9 月時点の女 性管理職比率は 7.3%にとどまっていた。X 社としてもこのように管理職に占める女性比率が低いこ とを課題ととらえ、2014 年には「女性活躍推進プロジェクト」を設置し、2020 年までに管理職に占 める女性の割合を 20%にすることを目標とする取り組みを始めた。このプロジェクトでは、①制度 の充実(両立支援制度の拡充)、②能力開発(研修制度の拡充)、③全体への周知(広報誌の発行等)、 を 3 本柱に置き、女性従業員の定着、スキル向上と能力発揮、意識改革と制度周知に努めている。ま た X 社では「働きがいのある会社」をめざし、男性社員を含めた働き方改革を同時に進めている。 担当者への聴き取りにおいても、短時間で成果を出しているのに十分に評価されていない社員がいる ならば評価軸を変えることも必要だと語られていた。このように X 社の女性活躍推進プロジェクト は、女性管理職比率を 20%に上昇させるという数値目標が掲げられているものの、女性だけでなく 従業員全体が仕事と家庭を両立しやすい環境をつくること、男性社員も含めた働き方改革を念頭に置 いた取り組みであることが特徴として挙げられよう。 3)女性管理職登用に向けた取り組み X 社では管理職への昇進にあたって、①管理職登用検定に合格すること、②ライセンス要件を満た すこと(販売士 2 級と社内ビジネススクールの受講)の 2 点が必要な条件となっている。 X 社における女性管理職は 52 名である。女性活躍推進の取り組みを進め女性管理職は増えている ものの(2)、いまだ全管理職 632 名のうち 8.2%を占めるにすぎない。女性管理職 52 名のうち店舗の 女性管理職は 14 名(店長 4 名、次長 10 名)とさらに数が限られている。本社勤務であれば勤務時間 が 9 時から 18 時で土日が休みであるため生活との両立がしやすいが、店舗では 1 か月ごとのシフト 制で勤務時間帯も休日も定まっておらず、病欠者が出た場合に代わりに出勤するなどシフト変更が頻 繁に起こるため、女性が管理職につきにくいのだという。 X 社の女性活躍推進プロジェクトで増やそうとしているのはまさにこの店舗における女性管理職で ある。これまでの X 社の女性活躍推進の取り組みは本社の女性管理職を増やしたものの、店舗では なかなか予定どおりに取り組みが進まなかった。だがさらに女性管理職を増やすならば、社員の多く 図 1 X 社のキャリアプラン
が働く店舗で女性管理職を増やす必要がある。また X 社では近年でも新規出店や譲渡・継承物件へ の出店を進めていることから、店舗での管理職となる人材が必要であるという背景もある。 では X 社では具体的にどのような女性たちを管理職に登用しようとしているのだろうか。以下は 女性活躍推進プロジェクトの担当者の語りである。 管理職をどこで増やすかとなると、そういった出産する前の若い段階ですね。で、あともう一 つは育児が落ち着いた後。……育児休業から育児短縮を含めて、この期間はさすがにそうはいっ てもちょっと難しいかなというのを思っててですね。そこで増やそうという対策を立ててもなか なか現実的じゃないと思って。……本当は増やしたいのは出産前です。出産前に管理職を経験し てると、育児期間で管理職からポジションを落としたとしても、次、育児が落ち着いた後に管理 職になりやすいというか。要はもう経験者なので、仕事のだいたいの内容も把握できてるし、そ ういう気持ちの部分でも前の仕事をまた同じようにこういう形でやっていけばいいというのがあ るので。育児後の管理職を増やそうと思えば、出産前の管理職を増やしていくのが一番いいのか なと。(プロジェクト担当者) ここからわかるように、X 社では女性管理職を増やすための照準を出産前の比較的若い段階の女性 に定めている。出産前に管理職を経験していれば子育て後に管理職に復帰することも可能であるとい う言葉からは、数値目標のために無理やり女性管理職を増やすのではなく、長期的な視野で女性管理 職を増やそうとしていることも読み取れよう。 そして出産前の女性を管理職に登用するための方策として実施しているのが「女性リーダー育成研 修」と「ライフプランセミナー」である。「ライフプランセミナー」は入社 3 年目の女性従業員を対 象に 2017 年から実施している研修であり、自身のキャリアプランの設定や X 社の両立支援制度の説 明などが行われる。2014 年から行われている「女性リーダー育成研修」は、女性活躍推進プロジェ クトの中心に置かれる取り組みであり、管理職候補とされるある程度キャリアを積んだ女性主任を集 め、キャリアアップ志向の醸成やスキルアップを図るための研修が行われる。女性リーダー育成研修 には、聴き取り時点で 20 代後半から 40 代前半までの女性のべ 70 名程度が受講している。受講者の 中には子育て中の女性も含まれているが、中心は 30 歳前後の独身女性である。前述のとおり X 社で 管理職になるには管理職登用検定を受検しなければいけないが、これまで管理職登用検定を受ける女 性は少なかった。そこで女性リーダー育成研修の受講者から 10 名程度を選抜し、プロジェクト推薦 という形で管理職登用検定を受検させる取り組みも行っている。 だが女性リーダー育成研修を受講した女性でも管理職になりたいという人は少ない。研修内でアン ケートをとると、今後管理職になりたいと答える人は 1 割程度だという。なぜ女性主任たちは管理職 になりたくないのか。彼女たちは X 社の女性活躍推進の取り組みや研修をどのようにとらえている のか。次章ではその点について検討していきたい。
4.なぜ女性主任は管理職になりたがらないのか
(1)対象者のプロフィール
表 1 は本章で取り上げる女性 8 名のプロフィールである。いずれも 30 代前半から 30 代後半の独身 女性であり、X 社が女性管理職候補として照準を合わせている年代の女性である。個人の特定を避けるため表には示していないが、彼女たちの入社年は 2002 年から 2010 年であり、8 年~ 16 年のキャ リアを X 社で積んでいる。学歴は 6 名が大卒、2 名が高卒である。8 名のうち 1 名はアルバイトとし て X 社に入社した後に正社員登用されている。 担当は 1 名が本社バイヤー、7 名は店舗衣料品部門の主任である。X 社店舗の衣料品部門の場合、 正社員主任は午後から閉店までの遅番勤務が一般的であり、聴き取りを行った衣料品主任も 13:00 ~ 22:00 あるいは 13:15 ~ 22:15 の遅番勤務の者が 5 名、11:00 ~ 20:00 の中番勤務の者が 2 名であっ た(3)。また 7 名の衣料品主任女性はみな大型店で勤務している。大型店で主任として働く彼女たちは、 正社員数名とパートタイマー数名の部下を持ち、売場の責任者として、数字の管理や人員配置、売場 づくりなどを行っている。X 社では、中型店を経て大型店に異動するといったように、キャリアを重 ねるにしたがって売り上げの大きな店舗に異動していくのが一般的である。現在大型店で主任業務を 行っている彼女たちは、バイヤーや次長など次のステップに進まない限りは、大型店の主任として異 動を繰り返すことになる。 店舗異動数(部門異動を含む)は H さんが 12 と多いものの、その他は 3 ~ 8 で平均すると 1 ~ 2 年に 1 回異動がある程度の頻度である。主任昇格年は A さんと H さんが 8 年目と遅いが、その他は 3 年から 4 年程度で主任に昇格しており、概ね X 社では平均的な年数で昇格していると考えてよい。 女性リーダー育成研修は 8 名中 6 名が受講している。残りの 2 名は女性リーダー研修を受講しては いないものの、バイヤーのライセンスを取得済みであったり、X 社が行っているアメリカ研修に参加 した経験があるなど、X 社が管理職候補として想定している女性であることに間違いない。
(2)入社時と現在のキャリア展望
8 名のうち F さんは入社時にはバイヤーを希望していたが、それ以外の女性たちは入社時には管理 職やバイヤーになりたいとは考えてはいなかった。「3 年くらいでやめて、普通に結婚して」という 言葉に見られるように、彼女たちは X 社でずっと働き続けようとも考えていなかった。先行研究で は女性がキャリアの途中で昇進意欲を低下させることに注目されることが多いが、本稿の対象者たち はキャリアの途中で昇進意欲を低下させたというより、X 社に入社した頃から高い昇進意欲は持って おらず、キャリアを重ねても昇進意欲が生じていないととらえたほうが現状に即している(4)。 現在、彼女たちは X 社から女性管理職になるよう大きく期待をされているが、1 名を除き管理職に なることを望んではいない(5)。彼女たちは現状を「次長になるかバイヤーになるか、行きたくない 2 択しか選択肢がない」状態だと認識している。そのため、女性リーダー育成研修を経て管理職登用検 定を受検せざるを得なくなった場合も、ライセンス要件を満たさないように、あえて販売士 2 級の資 表 1 女性主任 8 名のプロフィール格を取らなかったり、社内ビジネススクールを受講しなかったりすることによって管理職になること に抵抗を示している。
(3)管理職になりたくない理由
ではなぜ彼女たちは管理職になりたくないのであろうか。 一つには、管理職になるとやりがいが得られなくなると考えていることに理由がある。彼女たちは 主任として、正社員やパートタイマーの部下と一緒に売場を作り上げていくことにやりがいを見いだ している。インタビューでは、仲間とともに自分の思いどおりの売場がつくれたとき、部下の成長が 見られたとき、目標となる売り上げを達成でき仲間とともに喜べたときなどに仕事のやりがいや喜び を感じると語られていた。次長に昇格すると一つの売場の責任者としてではなく、衣料品部門全体の 責任者として振る舞う必要があり、売場に関与しづらくなってしまうことから、売場づくりの楽しさ や売場責任者としてのやりがいがなくなってしまうと彼女たちは考えている。 また店舗管理職の労働時間や拘束時間の長さも管理職を忌避する要因の一つである。彼女たちがこ れまで接してきた上司の多くは、毎日長い時間店舗におり、休日も少ない働き方をしている。そのよ うな長時間拘束される働き方はしたくないと彼女たちは考えている。もちろん X 社でも大型店の中 には管理職同士で早番・遅番のシフトを組み、管理職が長時間労働にならないよう工夫をしている店 舗もある。だが次長に昇格してすぐはたいていの場合小型店や中型店に配属される。管理職の人数が 少ない小型・中型店舗ではそうしたシフト制をとることが難しく、長時間勤務せざるを得ない場合が 多いことを彼女たちは知っている。 だがそうした「管理職になりたくない理由」以上に、彼女たちの語りに見られるのは、以下のよう に、「行き詰まっている」、「もうなんか常にわからない」、「なんでこうなってしまったのか」といっ た言葉である。 今は行き詰まっています。やっぱりこう、会社にいるからにはやっぱどんどんこう、上に行く のが自然というか(管理職に)ならなきゃいけないのかもしれないんですけど、本当に上向きじゃ ないので、自分が。……私たちぐらいの年代になって残っている人は、もう結婚をしないでずっ と主任をやってる人たちなんですよね。こう言っちゃなんだけど。で、やっぱこの先っていうの が難しいところなんですよ。男性だったらもう、どんどん上に行けばいいんですけど、女性だと もう上に行きたくなかったら、これ以上の行き場がないと思う。転職できるじゃないですか、男 だったら。女性も転職できると思うんですけど、やっぱり私たちの年代になると難しくなってく る。35 までとかじゃないかなと思うんですけど。女性の転職、考えたら。(H さん) 管理職も、なるような年齢まで自分が働いて、結婚とかせずに働いているとも思ってなかった ので、なんでこうなってしまったのかっていう感じですかね。……私、自分の母親が専業主婦だっ たっていうのもあるかもしれないんですけど、やっぱり結婚したら、仕事をやめて、パートとか しながら子育てをしてみたいな、あんまりバリキャリを求めるタイプではない感じでしたね。【筆 者:じゃあ今の状況っていうのは、まさかここで今この年で働いていると思ってなかったという 感じですか?】思っていなかった。まあ、それなりに楽しいけれどもって感じです。(C さん) こういう予定ではなかったんですけど。なんかこう、特に結婚するわけでもなく。別に将来結婚するのかって聞かれたら、ちょっとその予定もなく。……もうわかんなくなるんですよね。30 前半から、もう常にわかんないんですよ。……こう、目的があればもうちょっと早く管理職にな るって(道もできたし)、早くやめて結婚して地元に帰ってっていう道ができたんでしょうけど。 ちょうど考えているときに、ばんって転勤して。……よし、そろそろちょっと婚活でもってとき に、ばんってまた転勤して。(B さん) 今は全然、別に結婚してないし、する気もないですし、別にそういう執着もないので、あの、 なんて言うんだろう、このまま続けていくしかないのかなっていう感じですね。もう転職ってい う年でもないし。(A さん) 彼女たちの語りには「結婚」という言葉がたびたび現れる。実際には、1 ~ 2 年に 1 度転勤があり、 昼から夜にかけてのシフトで働く衣料品部門の主任の彼女たちは、結婚相手を探すことすら難しい(6)。 結婚しないと強く思ってきたわけでもないのにいつの間にか結婚せずにいる自分。店長や管理職にな りたいと思っていたわけではないのに、いつの間にか主任としてのキャリアを一定以上積んできた自 分。いつの間にか選択肢がほぼなくなっている状況。彼女たちの語りからは、管理職になりたくない という明確な意思というより、こんなはずじゃなかった、いったいどうしたらよいのか、と当惑する 様子が見て取れる。
(4)女性主任は X 社の女性活躍推進プロジェクトをどう見ているか
すでに述べたように、X 社の女性活躍推進プロジェクトでは女性管理職比率 20% という数値目標 を掲げているものの、念頭に置かれているのは、男女とも仕事と家庭を両立しやすい環境、すべての 人が働きやすく活躍できる環境である。女性管理職の増加にも長期的な視野を持って取り組んでいる。 だが残念ながら、女性主任たちは X 社の女性活躍推進プロジェクトをそのような取り組みとは見 ていない。たとえば A さんは X 社の取り組みを「育児しても働ける、すてきな会社みたいなイメー ジをつくろうとしている」と評し、次のように語る。 子育てしてても働けるような環境づくりとかあるけど、そりゃもちろん、育児っていうのは、私、 やったことないから分かんないけど、そりゃ大変だろうと。でも、育児してない人も大変なんだ よっていうのがあって。なんか、育児して帰ってきた人が偉いみたいな、今、感じになってるん ですけど。なんていうんだろう。そういう選択をしなかった人たちのことも、してない女性のこ とも、ちょっと考えてほしいなっていうのはあります。(A さん) 育児をしながら働ける会社はもちろん望ましいものである。だが育児と仕事を両立する女性ばかり が理想的な姿として示されているとすれば、独身で働く女性主任たちは自らの存在を肯定されていな いという感覚を持つのではなかろうか。 そして独身で管理職になることに対するネガティブなイメージは、女性たち自身にも内面化されて いるようである。 管理職の女性、独身女性に対して、プラスのイメージは、私はないし、みんなない。男性で、 40、50 過ぎて独身らしいよってなったら、お?ってなるけど、それがじゃあ、女性ほど、ネガティブなイメージを持たれてるかっていったら、全然、たぶん、そうじゃないと思うんですよ。女性 が、独身で管理職になって、独立してて偉いね、すごいねとは思われてるかって言ったら、思わ れてないし、私も思ってないです。じゃあ結婚しろよってなる。(F さん)(7) またもう一点、彼女たちが違和感を覚えているのは、「女性管理職を増やす」ことばかりが「活躍」 として取り上げられることである。 女性が活躍イコール管理職っていうのが、どうしても私はよく分からないなと思って。主任で すら、独身の私のような人間なら、ほいほいできるけど。その、結婚とか出産とか、主任で乗り 切るっていうことすら、今の状態ではなかなか難しいのに、それを管理職でやれっていうのは、 結構ハードル高いなっていう感じで見てますね。まず主任を、そのライフイベントをやりながら できる環境をつくっていくのが、必要なんじゃないかなっていう。 活躍って何っていう。じゃ主任は、活躍じゃないの?とか。パートさんだって活躍してくれて るしとか。会社にとって大事なのは管理職ってことなのかとか。(C さん) つまり彼女たちは X 社の女性活躍推進プロジェクトを「結婚し、子育てをし、管理職になる」こ とをあるべき姿とするものだと見ており、それに対して反発している。 これは女性リーダー育成研修に対する評価としても表れている。女性リーダー育成研修では、「なぜ、 女性管理職比率を向上させることが必要なのか」といった意識改革や、管理職になるにあたって不安 要因となっていた論理的思考力、マネジメント力のアップにフォーカスした研修を実施し、キャリア アップ志向の醸成やスキルアップを図っている。だが実際に女性リーダー育成研修を受講した女性た ちにそれがどのようなものだったかを尋ねてみると、「ライフプランを立てる研修」(B さん)、「『ラ イフイベントに合わせて、キャリアを考えなきゃいけないのよ』みたいなお話を聞いたことがある」(C さん)、といった答えが返ってくる。以下の A さんと F さんの語りに見られるように、そこでは「結 婚し、子育てをし、管理職になる」というライフプランが暗に提示されているのだが、それは彼女た ちが日々営んでいる結婚や出産などのライフイベントを想定しにくい働き方とは矛盾する。そのライ フプランに乗れていない自分たちには関係のない話をされている感覚、嫌ならやめればいいと言われ ているような感覚を彼女たちは覚えているのである。 なんかあの、現実的ではなかった感じ、やっぱり。やってることは、たぶん、普通の一般女性 と同じような感じなんですけど、今の自分の生活スタイルには合わなかった。なんか、もうプラ ンしようがない。なんか空白。書くことがない、みたいな。なんか、みんな子ども産んで、子ど もが大学の何年生になって、何して、何して、みたいな年表とか書いてたんですけど。私、別に 子どもいないし、子どもを産む気ないからずっと、もう一直線で終わるんですよね。なんかもう、 だから、なんかちょっと、はあって思った研修でしたね。(A さん) 女性リーダー研修も強制参加で、29 から 33、34、35 独身の女性をピックアップして、もう無 理やり受けさせて。なんか、ライフプラン、キャリアプランを年表みたいにして書かされるらし いんですけど。……なんか、独身でいいのかとか、結局じゃあ、結婚してほしいのか、結婚して 働き続けられる管理職が欲しいのか、結婚して出産して、育休明けても働き続けられる管理職を
増やそうとしているのかっていったら、多分もう目先の、とりあえず、なってみたいな。見切り 発車じゃないですけど。……だから主任してずっと経ってて、独身で、主任のままとか、主任の ままで 30 代後半っていうのは、もう絶対的にもう、なし。もう、次長になるかしかない。選択 肢がない。一番、私はそれを、それを思います。選択肢が少な過ぎる。嫌なら辞めればいいって 言われてる気がする。(F さん) また女性リーダー育成研修に対して女性主任たちがもう一点声をそろえて語っていたのは、「なぜ 何回もこの研修に呼ばれているのかわからない」、「誰の推薦で、何を評価されて呼ばれているのかわ からない」という点である。 みんな言ってたんですけど、「なんでこの研修に呼ばれたのか分からない」みたいなことは言っ てました。なんか呼ばれ続ける人もいるんですよ。ずっとその、リーダー研修に呼ばれ続ける人 は続けるけど、同年代で全く呼ばれてない人は、呼ばれてないから。そのあれは何?みたいな。 評価基準が分かんない。で、担当の方とかは、「人事の評価とか、上司の評価です」って言うけど。 私、その、ちょうど異動してきたばっかだったから、じゃあ、誰の評価なの?みたいな。(G さん) なんで私たちばっかり。もういつ行っても同じメンバーがいる。……もうね、年とかも、例え ば 30 代って決めているんでしょうけど、40 代でもいいんじゃないかと思うし、50 代でもいいん じゃないかって思うんです。 もうちょっと、この理由であなたを呼びましたよという理由がほしい。いつも同じ人。いつも 呼ばれる。だから、期待はされているんでしょうけど、じゃあ誰が期待しているんですかって思 うんです。「推薦ですよ」とか言われても、じゃあ誰の推薦なんですか。そこは教えてくれない。 ……こういう理由ですよ、だから呼んでいるんですよ、って言われたら少しは、そうかじゃあ、 頑張ろうかってなるんですけど、会社の方針ですってなっているんだったら、もう全部呼べよっ てなるんです。……呼ばれるばっかりじゃなくて、課題もある、発表もある、提出もある、テス トもあるわけですよ。で、普通の業務はそれぞれあるわけですよ。部下の教育もそれぞれある。だっ たらこう、ねえ。なんか、まあ期待してくれているんだろうけど、なんかその目的がこうはっき りしていないから。かといって、過度なこう、期待をかけられているとこっちも疲れてしまうっ てだめなんですけど。……(研修に呼ばれることは)負担ですね。もう何回も何回も呼ばれてい るわけですから。(B さん) 自分の何を評価されて研修に呼ばれているのかがわからないために、彼女たちは、自分が女性だか らという理由で呼ばれているのではないかと感じている。すなわち、自分の能力や振る舞いを評価さ れているのではなく、「女性で主任で昇進適齢期だから」という理由で女性リーダー育成研修に呼ばれ、 会社の求める女性活躍像を押しつけられているように受け止めているのである。 一方で彼女たちは、これまでの勤務経験の中で具体的に上司が自分のふるまいを評価してくれたこ とについては好意的に受けとめている。この点は X 社で管理職として働く女性たちとも共通する。 現在管理職として働く女性たちは、上司の具体的な評価や期待にふれることによって管理職になるこ とを引き受けていた。また女性管理職の中には、X 社の女性活躍推進プロジェクトの中心メンバーに なることによって管理職になろうと吹っ切れたという女性がいた(8)。これはいわば X 社の女性活躍
推進プロジェクトのエンパワーメント効果とも呼べる状況であろう。X 社で女性リーダー育成研修を 行ううえでも、その目的や本人に対する評価・期待を本人にきちんと伝えることが必要であり、それ によって管理職に前向きになる者がいることが期待できよう。 本章では、X 社の女性活躍推進の取り組みが、長期的には男女ともに働きやすい職場づくりや長期 スパンでの女性管理職増加をめざしているものの、短期的には出産前の女性に焦点を定め、彼女たち を出産前に管理職に登用し子育て後に再度管理職に登用しようという戦略を取っていることを見てき た。だがこの戦略自体が、転居を伴う異動が 1 ~ 2 年ごとにあり、昼から夜のシフトで働く女性主任 たちの働き方とは矛盾するものとなっている。そのため女性リーダー育成研修は彼女たちにとって キャリアアップ志向を醸成するよりも疎外感を与えるものとなってしまっていた。では X 社の女性 活躍推進の主たる対象とはなっていない女性たちはどのように働きどのような意識を持っているのだ ろうか。次章では勤務地限定社員として働く女性主任の語りからそれを検討していこう。
5.勤務地限定社員として働く女性主任たち
(1)対象者のプロフィール
本章で取り上げる勤務地限定社員として働く女性主任 3 名の年齢は 20 代後半、40 代前半、40 代後 半である。学歴は大卒が 2 名、高卒が 1 名で、いずれも結婚を機に勤務地限定社員になり、出産後育 児休業を取得して現場に復帰し、現在は主任として、前章の女性主任と同じように、正社員・パート タイマー数名ずつの部下を持ち、売場責任者としての仕事を行っている。前章の主任たちと異なるの は勤務時間である。勤務時間は 3 名とも朝から夕方までの勤務であり、うち 2 名は時間短縮勤務をし ている(うち 1 時間短縮が 1 名、2 時間短縮が 1 名)。 主任に昇格した年数は前章で取り上げた女性主任 8 名と大差ないが、店舗異動数は 4 ~ 7 で平均す ると 3 年に 1 回程度の異動となる。勤務地限定社員は異動の範囲が限られ、異動できる店舗が限られ ているため、前章の女性主任よりも店舗間の異動が少ない。近年では同じ部門でのポストを空けられ ず部門を変わるケースも多くなっているという。例えば I さんは入社時には衣料品部門の担当だった が現在は食品部門の主任をしている。また J さんは、X 社で近年導入されている、複数店舗の主任を 担当するブロック主任という役職に就いている。3 名が勤務する店舗は中型店が 2 名、大型店が 1 名 と中型店が多いが、近年では正社員の数が限られているため、夜に勤務することが難しい勤務地限定 社員は、夜間の勤務ができる正社員が他にもいる大型店に配置されることが多くなっているようであ る。 表 2 勤務地限定社員の女性主任 3 名のプロフィール(2)彼女たちのもつ「能力」とその評価
場所や時間の制約がある勤務地限定社員の女性主任たちは、どのように主任の仕事を行っているの だろうか。3 名の語りからうかがえるのは、彼女たちが段取りをする力や仕事を他者に振る能力、先 を見据えて仕事を進める力を持っており、それにより限られた時間でも主任業務を遂行しているとい うことである。 別に子どもがいない女性の方とか、男性の方とかは別に残業し放題で、多分、別に何時までに 帰らないけないとかないと思うんで、多分、だらだら、だらだらというか、まあね、仕事が自分 がやりたいこと終わったら帰ればいいみたいな感じかもしれないけど、私はもう終わりが決まっ てるんで。……催事の立ち上げ、北海道フェアとかお中元とか、そういう立ち上げのときは本当 に終わらなくて、そういうときは、店長とか次長に「申し訳ないですけど、これとこれだけ出せ なかったんで出してください」って言って、「もう私は帰らないといけないんで帰ります」って言っ て帰ったりとかはしました。 1 人目のときにそれを身につけました。……もうね、頼らざるを得ない状況なので。それでも 主任をやれって言ってるのはこの会社ですから。だったらもう、その条件でできることだけはや りますけど、その条件でできないことはできませんっていう感じで。(I さん) その意識はすごく、普通に働いてたときよりは格段に上がりましたね。もう絶対に時間内に仕 事を終わらして、帰るぞっていう。ていうのが、常に恐怖観念があって、子どもがいつ病気にな るか分からないじゃないですか。いつ熱が出るか分からなくって。いつ長期で休みをもらわない といけなくなるか分からないっていう恐怖が、ずっとつきまとってあったので、子どもがちっちゃ いときは。なので、仕事残して帰れないっていう。はい。だから今日の仕事は絶対今日終わらし て帰るみたいな。できれば明日、明後日ぐらいまでの段取りもつけて、帰るっていう。それが最 低限、急に休むことになっても……最低限の迷惑を掛けるぐらいで済むみたいな。 4 時間勤務であろうが 8 時間勤務であろうが、仕事量っていうのは減らないので。やっぱ自分 の中で調整するしかないんじゃないですかね。まあ、それを他の人に仕事を振るなり、自分が効 率よく動くなり。もうそれをするしかないんだと思います。(J さん) 彼女たちはこの力を子どもが生まれてから身につけたと語る。子どもを迎えに行く時間が限られて いるため、絶対にやらなければいけないことや自分にしかできないことを優先して仕事の段取りをし、 必要に応じて部下や同僚、上司に仕事を振っているのである。また子どもがいつ熱を出すかわからな い、いつ長期で休みをもらわなくてはいけなくなるかわからないという状況の中で、その日の仕事を 終わらせて帰るだけでなく、翌日や翌々日ぐらいまでの段取りをつけて帰ることを意識している。そ して定時で帰る、時短で帰るという働き方でも、十分に主任の仕事ができるという自信を持っている。 こうした彼女たちの力については、周囲の同僚や上司も「短い時間にぎゅっと仕事をして帰る」、「仕 事の振り方がうまい」というように認めていた。 また時間や場所の制約に限らず、女性主任の多くはパートタイマーとのコミュニケーションを重視 していた。店舗の主力がパートタイマーである現状をふまえれば、こうしたコミュニケーション能力 が正社員、特に売場の責任者である主任に必要とされることは言うまでもない(9)。ただし、そうした段取り力や仕事を振る力、コミュニケーション力といった力は、X 社の店舗にお いて必ずしも評価されてはいない。本稿で取り上げた 3 名の主任に限らず、時間と場所に制約のある 勤務地限定社員をどのようにとらえているか他の主任に尋ねると、「即戦力」で「サブがもう一人増 えた感じ」と評価する主任がいる一方で、戦力としてカウントできない、あてにはしないという主任 もいる。ここには、小さい子どもを抱える女性はいつ休むかわからないという点に加え、店舗の開店 時間が長いため、特に衣料・住居関連の正社員は主として昼から夜のシフトに配置されるという点も 影響している。いかに時間や場所に制約のある女性社員が効率よく仕事をしたとしても、夜間の人員 が少ない時間に店舗にいられないことがネックになると考えられているのである。この点は勤務地限 定社員の彼女たち自身も同じように認識している。K さんは「正社員は夜のためにいるようなものだ と思っていた」と語り、夜に勤務できないことが正社員として申し訳なく思うと語っていた。 また段取りができる力や仕事を振る能力、コミュニケーション力といった見えにくい能力は評価の 対象とすることは難しく、客観的に評価をしやすい売り上げが X 社の評価では重視されている。勤 務地限定社員自身も段取り力などを評価されていないことを問題にはしておらず、むしろ働き続ける ことが大事であるから評価自体まったく気にしていないという声もあった。
(3)女性管理職登用についてどう見ているのか
会社の管理職への女性登用という方針は、勤務地限定社員の女性にとってもまったく無縁のもので はない。数年前から X 社では、育児を理由とする勤務地限定社員への切り替えの年限を、育児短縮 勤務の上限と同じ子どもが小学校 3 年生までとした。また勤務地限定社員も管理職候補となる場合も ある(10)。こうした状況を当事者である 3 名はどのように考えているのだろうか。 現在 2 人の子どもを育てながら勤務地限定社員として働く I さんは、下の子が小学校 3 年を終えて 勤務地限定が外れたらどうするのかという問いに対し、以下のようにパートになるかやめるかという 選択肢をとるだろうと語る。 どうなんですかね。どうしろっていうんですかね。それすごい、あの、周りのママ、X 社のマ マさんたちともすごいお話になるんだけど、それってじゃあ、パートになれってことなんかねっ ていう。だって小学校 3 年生になって、じゃあ、お母さんちょっと県外に転勤になったから、じゃ あね、単身赴任だからお母さん、みたいな感じになってもおかしくないと思ってるってことよねっ て話で。で、そこまでして子持ちの女性社員を飛ばさないといけないのかっていう。普通に(給 与を)10 割もらってるねえ、社員を行かせばいい話で。実際その勤務地限定が外れて、お母さん がどっか飛ばされたとかいう話は聞いたことないですけど……多分、皆さんパートになるのか、 異動が出たときに、じゃあやめますって言うのか。私もまだ全然、考えてないんですけど。(I さん) 勤務地限定社員の彼女たちにとって、勤務時間と勤務場所は仕事をするうえで重要なポイントであ る。管理職になることについて、J さんは仕事の内容は頑張ればできると考えているが、時間や休み、 勤務地の問題で管理職になるのは難しいと語り、管理職になるにしても「もう勤務地限定社員じゃな いと嫌」だと語る。K さんは管理職になる気はないというが、夫の実家近くの店舗であれば夜まで働 くことができるし、その店舗は小型店のため実質的に部門全体を回すことになるだろうと考えている。 I さんは、管理職をやりたくないというわけではないというが、勤務地限定社員として給与が 1 割カッ トされている自分たちが通常の社員以上に頑張る必要があるのかと疑問を呈している。(管理職になることは)会社からはすごく言われます。プレッシャーを与えるような感じでは ないですけど。……ただ、現実問題、じゃあ、自分に落とし込んでそれができるかっていったら、 その仕事の内容的なことは、頑張ればできると思うんです。研修とか勉強をちゃんとすれば。た だ、やっぱり、あれですよね。時間的な問題とか、勤務地の問題とか。休みが取れるかという問 題だとか。そういうのがまた入ってくるんで、今、主任としてバランスを取ってる仕事と家庭の 両立から、またちょっと違ったバランスの取り方を、しなくちゃいけなくなってくるので、そう なったときにできる自信がないんですね。仕事の内容うんぬん以上に、そういう制約が。管理職 になったら、それこそ閉店までの勤務とか、しなきゃいけなくなりますし。うーん。なので、今 すぐは無理だろうなと思ってます。(J さん) 実際にやりたくないとかそういうわけではないんですけど、実際問題……そんなに私たちが頑 張らないと、この会社、回らないのっていう。……別に私たち 1 割カットされてるから、そんな 10 割もらって、普通の社員の方が頑張ったらいいんじゃないのかなと思うんだけど。……そん なわざわざ、小さい子のいる主婦を動かさなくても。(I さん) 本章では X 社で勤務地限定社員として働く子育て中の女性主任 3 名の語りを検討した。彼女たち は朝から夕方までのシフトで勤務しているが、効率的に仕事を行うことで十分に主任の職務を果たし ている。だが効率的に仕事を行える能力は X 社で十分に評価されていない。 現在進められている X 社の女性管理職登用において、管理職は夜の勤務もでき、転居を伴う異動 が可能であるというイメージは払拭されていない。だが勤務地限定社員の女性たちにとっては勤務時 間と異動の範囲こそが働くうえで重要である。それゆえ I さんが語るように、子どもが小学校 4 年に なり勤務地限定が外れれば、パートになるか X 社を退社するかという選択肢が現実的なものとなる。 X 社では長期的な女性管理職の増加を念頭に置いた取り組みを進めているものの、現時点では勤務地 限定社員として働く女性社員が異動範囲に制限のない社員区分に戻り管理職になることは難しいと言 わざるを得ない。
6.考察
(1)X 社の「女性活躍」の現状――女性管理職の登用と勤務地限定社員の縮小
前章で見てきた勤務地限定社員の動向を、正社員数の内訳の推移から確認しておきたい。表 3 は X 社における正社員の内訳を 2005 年と 2018 年で比較したものである。この間、X 社では大型店の出店 等が進んだことから、正社員数は 2,195 名から 2,723 名へと増加し、男女ともに社員数を伸ばしている。 ただしこの間の正社員数の増加は男性で大きく、女性正社員の比率は 42.0% から 39.7% へと低下して いる。また正社員のうち勤務地限定社員は 437 名から 439 名とほぼ横ばいであるが、こちらは女性の 比率が 82.2% から 85.8% へと高まっている。X 社では 2013 年に結婚による勤務地限定社員への転換 を社内結婚のみに限定し、数年前には出産・育児による勤務地限定社員制度の年限を小学 3 年までと した。制度的には勤務地限定社員制度は縮小しており、その人数も今後は減少していくものと思われ る。三山雅子は、構造改革による規制緩和が雇用・ジェンダーにいかなる影響を与えたのかをスーパー を対象に分析している。構造改革による規制緩和によりスーパー業界では営業時間が長くなり販売競 争が激化した。そうした中でスーパーの正社員には時間的・空間的制約なしに働くこと、売場や店舗 の管理・経営業務の担い手となることが求められていった。ここでは性別は問われていないため正社 員の社員資格上位にも女性が進出した一方、時間的・空間的制約なしに働けず店舗管理・経営業務の 担い手となることができない女性たちは正社員として働くことが難しくなり、スーパーで働く正社員 女性は大きく数を減少させている(三山 2016)。X 社では三山が対象としたスーパーほど女性正社員 の数は減らしていないものの、正社員に時間的・空間的制約なしに働けること、店舗管理・経営の業 務を行うことを求める傾向は同じであり、それによって特に勤務地限定社員として働くことがより いっそう難しくなってきているといえる。 かつて筆者は、X 社で女性従業員が結婚を理由に勤務地限定社員に切り替えて働くことを取り上げ て論じたことがある(佐藤 2006)。そこでは、結婚後も X 社で働き続ける女性たちが家庭への思い と仕事への思いから自発的に勤務地限定社員を選択し、X 社側は女性の家族責任への「配慮」によっ て女性を勤務地限定社員へと誘導していることを明らかにするとともに、この切り替えによって〈男 性・男性並みに働ける独身女性〉と〈男性並みに働けない既婚女性〉という分離が形成されているこ とを論じた。言い換えれば、当時、結婚を機に X 社の女性正社員はマミートラックに乗らざるを得 ない状況に陥っていたといえる。 現在の X 社の女性管理職登用の取り組みは、独身女性を管理職に登用し、その女性たちを出産・ 子育て後に再び管理職にするという想定で進められている。これは女性をマミートラックに乗せず、 子育てしながらでも管理職として活躍できる環境をめざそうというものであり、大いに評価できるも のである。だが実際にはこれは勤務地限定社員の縮小と併せて進められているために、二つの点で成 功することが難しい。第一に、X 社で想定されている女性活躍の姿が「結婚し、子育てをし、管理職 になる」ことであるにもかかわらず、対象となる女性主任が結婚することは困難である。1 ~ 2 年ご とに転居を伴う異動があり昼から夜のシフトで働く彼女たちが結婚相手を探すことは難しく、結婚を 理由とする勤務地限定社員への転換ができなくなったことはそれをさらに困難にさせた。結婚し子ど もを産み育てることのプレッシャーと管理職として活躍せよというプレッシャー、その両者の間で彼 女たちは戸惑い、管理職になるという選択をとらないでいる。第二に、勤務地限定社員の規模を縮小 させ子育て後の管理職を増やそうとする方策は、正社員に時間的・空間的制約なしに働くことが求め られる限りにおいて、子育て中の女性社員に受け入れられることは難しい。正社員として働くことが 難しいと感じた彼女たちは、パートタイマーとして働くか退職することを選択するだろう。 かつての X 社の状況と現在の X 社の状況は図 2 のように示すことができる。現在は〈男性・男性 表 3 X 社正社員数の変化
並みに働ける独身女性〉と〈男性並みに働けない既婚女性〉の分断は残ったまま、〈男性並みに働け ない既婚女性〉の規模が小さくなった状態である。行き場を失った女性たちは、パートタイマーのほ うへ引き寄せられていくと考えられるのである。
(2)「女性活躍」政策の矛盾
こうした状況は決して X 社にのみ見られるものではない。このような状況が生まれているのは「女 性活躍」政策そのものに矛盾があるからである。 「女性活躍」が掲げられた「日本再興戦略」(2013 年)では、女性の力を「我が国最大の潜在力」 ととらえ、女性の労働参加率を引き上げること、より具体的には 25 歳から 44 歳までの女性の就業率 を 2020 年に 73% にすることを成果目標とした(日本経済再生本部 2013: 16)。つまりここでの「女 性活躍」とは、女性が「労働参加」すること、それにより日本社会を活性化させ成長させることを指 しているといえよう。翌年の「『日本再興戦略』改訂 2014」ではこれに「指導的地位に占める女性」 という力点が加えられ、指導的地位に占める女性の割合を高めるために女性の活躍加速化のための新 法を制定することが計画に加えられた(日本経済再生本部 2014: 8)。この法律とは 2015 年に成立し た女性活躍推進法のことである。 一方、現代日本で暮らす女性には、労働参加という形での「活躍」のほかに、「子どもを産み育てる」 こともまた大きく期待されている。特に地方ではその期待は非常に強い(11)。 つまり政策レベルにおける「女性活躍」とは、国や地方の活性化や成長のために、①女性が労働参 加すること、とりわけ指導的地位に占める女性を増やしていくこと、②子どもを産み育てること、の 両方を求めることであるといえる。三浦まりはこのような日本の「女性活躍」のあり方を、女性活用 図 2 X 社における男女正社員の分断状況と母性活用という点で新自由主義と国家家族主義が結合した「新自由主義的母性」と呼ぶ(三浦 2015: 66)。X 社が想定する「結婚し、子育てをし、管理職になる」というモデルは、国の想定する「女 性活躍」=「新自由主義的母性」にまさに合致したものである。 そしてまた、この「女性活躍」から外された者は誰なのか、を問うことも重要になる。三山は、時 間的・空間的制約がない労働者を働き方の中核に据えた「女性活躍」政策を進めても、この二つの制 約を抱えた労働者(典型的には女性正社員と女性パートタイマー)が職場の中核に包摂されることは なく、中核に存在できるのはこの二つの制約を無化できた男性労働者と少数の女性労働者であると指 摘し、現在の女性活躍政策が脱ジェンダー化することはないと述べる(三山 2016: 76)。X 社でも、 女性管理職登用の対象となっているのは、夜の勤務も転居を伴う異動も可能な女性であった。それが できない勤務地限定社員の女性たちは、たとえ効率的に仕事を行う能力を有していたとしても、それ を十分に評価されてはいなかった。 本稿で明らかにしようとした問いは、「女性活躍推進を進める企業であっても女性が管理職になり たがらないのはなぜか」というものであった。これに対する答えは、そこで女性活躍として示される 像が「結婚し、子育てをし、管理職になる」という画一的なモデルであるからだと結論づけることが できる。 この状況を根本的に解消するには、上で述べてきたように女性活躍政策そのものを見直す必要があ る。だがひとまず企業のレベルでこれを乗り越えようとするならば、「結婚し、子育てをし、管理職 になる」モデル以外にも、多様な女性管理職のモデルを想定することが必要になるだろう。X 社であ れば、独身で管理職として頑張る女性がマイナスにとられないような環境づくり、本社を含む複数の 部署を経験していくようなキャリアプランの設定、子育て後の女性を管理職に登用する取り組み等が 考えられよう。その際、子育て後の女性を管理職に登用するためには、彼女たちの持つ段取り力や仕 事を振る力、コミュニケーション力といった能力を評価する仕組みをつくり、時間的・空間的制約の ある社員が活躍できる環境を整備することも欠かせない。 聴き取り調査の後、2018 年秋に X 社では、転居のない正社員制度が導入された。本稿ではこの制 度について検討することはできなかったが、この制度が X 社における新しい働き方として女性活躍 を推進するものなのか、注目している。 謝辞 お忙しい中、調査にご協力いただいた X 社のみなさまに感謝申し上げます。 注 (1) 以前は食品部門には女性がほぼいなかったが、現在は食品部門にも女性を配置しており、食品部門出身の 女性管理職やバイヤーも複数いる。ただし今の管理職候補の年代では圧倒的に非食品部門の女性が多いた め、本稿の対象者も衣料品部門の女性主任が中心となっている。女性活躍推進プロジェクトの担当者も、 女性リーダー育成研修に選抜したいが食品部門の女性主任が少ないことを課題として語っていた。 (2) 過去に筆者が X 社で行った聴き取りでは、2005 年 4 月の女性管理職は 19 名、2013 年 4 月の女性管理職は 27 名であった。それに比べると女性管理職者数は大きく増加している。 (3) 本社バイヤーの勤務時間(定時)は 9:00 ~ 18:00 である。なお本章で取り上げる女性主任には食品部門の 主任はいないが、食品部門では朝早くからの勤務が多いという特徴があり、衣料品部門の主任とは働き方 の点で異なる面も多い。