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大気中亜酸化窒素のGC-MSによる測定

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Academic year: 2021

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(1)35. 大気中亜酸化窒素のGC−MSによる測定 Direct Measurement of Nitrous Oxidein the Atmosphere by GC−MS. 花井 義道,加藤 龍夫,荒井 隆則* YosimichiHANAI,Tatsuo KATOU and TakanoriARAI. SymopsIS. Nitrous oxidein the atmosphere was measured directly by GC−MS equipped with5mb gas sampler.NitrousoxidewasseparatedinthePorapak Q column and detected by MS・Ion. currentsofm/e30,andionizationvoltageof90eVweresettoavoidalargedisturbanceofCO2・ The relative standard deviati。n。f measured values of nitrous oxide was5.5%,and analysis time. was5minperasample・Thismethod obtained much greater sensitivity and better selectivity than with thermalconductivity detector.. 1.緒. 言. 膿度変動,また土壌,海面からの発生量について十分 なデータがなく不明な点が多い。これら解明に必要な. 大気中の亜酸化窒素は太陽スペクトルの分光測定1〉. 多数のデータを得るためには,従来より,簡単で短時. 質量分析計2),ガスクロマトグラフ3)等によってこれ. 間の測定法をうることが切実な課題であった。このよ. まで0.2∼0.5ppmの値が観測され,窒素酸化物のな. うな意図の下に,GC−MSを用いて,感度,選択性に. かでは大気中最大の常在成分であることが知られてい. 優れたマスフラグメソトグラフィーとくにSIM法を. る。本邦においても筆者らは,大気を液体酸素冷却で. 検討した結果,以下のような分析条件によって大気の. 濃縮し,ガスクロマトグラフ(TCD検出器)で測定し. 直接選択分析が可能となったので報告する。. た結果,同様の値(平均0.26ppm)を得た4)。亜酸化 窒素は土壌5),海水中6)の/ミクテリア活動によって発 生し,成層圏で光分解(ス<333)7)あるいは08の光分. 2.分析条件の設定 GC−MSは電子衝撃イオン化,単収束直交磁場塾の. 解によって生成する酸素原子との反応N20+0(1D). 島津LKB−9000型,記録計は日立056型を使用した。. →2NO8)等によって消費されると報告されている。こ. 試料は5m£ガスサソプラ←を用いて導入した。この. のように,これまで亜酸化窒素は地球化学的関心から. ために必要な大気試料量は約10m旦である。カラムは. 測定されてきたが,筆者らはさらに地表から発生する. Porapak Q(50∼80mesh),ステンレスカラム3mm¢. 人為活動によらない特別な物質として,その濃度変動. ×3m とし,Heキャリアー30m£/min,30OC条件で. が大気の上下循環の停滞性を示す指標になるのではな. 使用した。N20,およびその他通常大気中に存在する. いかと注目している。しかし地域,時間および気象的. 成分の保持時間を図1に示す。N20の保持時間は約. *当センター環境基礎工学研究室.

(2) 36. 90 eV 100-. >l芯u雲リー. −00. 図2 N20マススペクトル 4分である。つぎに,フラグメソトイオンを選定する. ためにイオン化電圧をかえてマススペクトルを求め 50. た。図2にイオン化電圧20eVと90eVのマススペク. lonization Voltage(eV). トルを示す。20eVでは分子イオン44だけであるが,. 図4 NO+のイオン強度. イオン化電圧をあげると,次式によって開裂し,NO+ 30のフラグメソトイオンがあらわれる。 N20+(44)→NO+(30)+N \N2・(28)+0. したがってSIMで可能な質量数は44,30,28であ る。最大強度を示す分子イオン44は,約1分前にでる. CO2の分子イオンでもある。一般大気ではCO2(約. 350ppm)がN20(0.25ppm)の1500倍以上の渡度を 有するので,m/e44のクロマトグラムでは,N20の ピークは,大きなCO2ピークのなかにかくれてしまい,. 完全に脱炭酸しない限りN20を測定することはできな. い。一方m/e30のNO十イオンほ2番目の強度であ るが44CO2からは30のフラグメソトイオンほ生じな. いので,m/e30にすれば44CO2の妨害ほ全く受けな い。以上の理由によってm/e は30に設定した。図3 にイオン化電圧を20∼90eVに変えた時のN20+に対 するNO+イオン強度比(N20+ を1とする),図4に NO+強度(任意目盛)を示す。図3は相対的,図4 ほ絶対的なNO+イオン強度を表わす。30eV以下で. はN20+は開裂せずNO十 イオン強度は弱い。70eV 以上ではN20+に対するNO+比は0.14となり安定 する。イオン強度もイオン化電圧にともなって増え, 70eV以上で一定となる。結局イオン化電圧は90eV とした。その他の設定条件は以下のとおりである。 加速電圧 3.5kv,トラップ電流 60/JA,増巾器フ ィルター120Hz,イオン源湿度 2700C,出口スリ. ット 0.4mm,コレクタスリット1.Omm,利得 (マルチプライヤー)3,利得(ガルバノメータ増 巾器)×10. 50. Ionization Voltage(ev) 図3 N20+(44)に対するNO+(30)フラグ メソト比. 3.検量線の作成 つぎのような方法で0.1∼1.Oppmの標準ガスを作 り,これによって検量線を作成した。まず1£真空び.

(3) 野際臣FrトFF. 37. ∽Omく. 八一. ≠軋 ブランク. 0.1. 0.4. 0.2. 0.6. 0.8. 1.0. 図5 N20標準ガスのクロマトグラム(ppm) 昭和電工製)からガスシリソジで1m月真空 びんに導入し1000ppmの標準ガスを作る。 つぎにこれから1m旦 ガスシリソジで0.1,. 0.乙 0.4,0.6,0.8,1.Om£採取し,それぞ れ真空びんに導入して0.1∼1.Oppmの標準ガ. スとする。ついで窒素ガスおよびN20標準 dむhd. ガスからガスシリソジで約10m£採取し, 5m旦のガスサンプラ一に導入後分析した。. クロマトグラムを図5に,検量線を因6に示. メ再むd. す。ピーク面積は記録計レンジ50mV,チャ ートスピrド10mm/minの値で単位はmm2 である。希釈に用いた窒素ガス中のN20ほ 極微量で無視できる。図に示すごとく検量線 は良好な直線性が得られた。検出限界はノイ. ズレベルと比較して,SN比3が0.05ppmで 0. 0.2. 0.4. 0.6. Concent ration ppn. 図6 N20検 量 線 んを8本用意し,それぞれポソプで真空にする。窒素. 0.8. 1.0. あった。. 4.大気分析の精度 以上のような方法で実際に大気(横浜国大. 構内)を分析したクロマトグラムを図7に示す。N20. ガスをボンベ(純ガスB,日本酸素製)からテドラバ. の保持時間は約4分,1試料に要する分析時間は約5. ック(30のに採取し,これを真空びんと接続,コック. 分である。これまでの低温吸着,TCD検出による. を開き常圧とする。N20ボンベ(液化亜酸化窒素,. 方法は約1時間を要したので分析時間は大幅に短縮.

(4) 38. 表1繰り返し分析結果(ppm). 表2 横浜での測定結果 1977年8月5∼6日. l+一■. 1. 0 2 4 6. 〔min〕. 図7 大気分析例SIMクロマトグラム された。N20の約1分前,CO2の位置にでるピーク は80CO+のフラグメソトを生ずる46CO2である。 44CO2に対する46CO2 の同位体比は0.40%であり N20 より多少大きなピークである。測定精度を求め るためテドラバックで採取した大気試料を11回線り返. えし分析した結果を表1に示す。平均0.266ppm標準 偏差0.0145,変動係数5.5%であった。 5.大気分析結果 5.1横 浜 検浜国大構内で1977年8月5日から 6日にかけて N20の濃度変動を観測した結果を表2に示す。同時 に測定した温度,風向,風速,NO,NO2の値も示し. 表3 小笠原諸島父島でのN20測定結果(ppm) 1977年8月19∼25日. 月日】時間】濃度Il月日1時間極度. た。N20は0.23∼0.27ppmの範巨乱 平均0.25ppm でほとんど変動は認められなかった。0.25ppm とい う値は前報の平均値と一致したが,気象条件,他の窒. 素酸化物濃度との間に明瞭な相関は認められなかっ た。大気調査については本方法を用いた系統的実験を 計画中である。 5.2 小笠原諸島. 東京から約1000km南下した南緯㌘0の小笠原諸島 父島で,1977年8月19日から為日まで測定した結果を 表3に示す。試料は∽m£ガラスびんに捕集し,ゴム 栓をして研究室に持ち帰ってから分析した。0.20∼ 0.24ppmの範囲,平均0.21ppmで,この値は横浜で. た。この差は海面と土壌の単位面積あたりのN20発. の平均値0.25ppmより低く,横浜の最低値と一致し. 生量の違いによるものなのか,あるいは経度に依存す.

(5) 39. 表4 諏訪湖周辺でのN20測定結果(ppm) 1678年3月6日. 場. 所l時 間l高 度l濃 度. 海洋における調査あるいは気象,他汚染質との相関等 の広範な研究計画を立てることができるようになっ た。測定法としての今後の問題点を上げれば,ジェッ ト型セ′ミレーター,直交磁場塾GC−MS は装置が大 がかりであること,低分子側ほ相対的に感度が低くな る点であろう。さらに連続測定機として開発するには 構造が簡単で低分子量の感度もよいマスフィルター型. GC−MSが有望であると思われる。 文. 献. 1)R.M.Goody,C・D・Walshaw:Q・J・R・Met・. Soc.,79,496(1953) 2)R.L.Slobod,M・E・Krogh:J・Am・Chem・ る他の要因によるのか現在は不明であり今後の課題と. したい。ここではこの分析法によって遠隔地での試料 が分析可能になった点を示すに止める。 5.3 諏訪湖. J.Chromatogr.,‖,585(1973) 4)加藤龍夫,花井義道,三村正文:横浜国立大学. 本州中央に位置する諏訪湖(海抜760m)周辺で1978. 年3月7日試料を採取し,分析した結果を表4に示 す。諏訪周辺地7点での平均値は0.25ppmで,この 日の横浜での測定値0.25ppm と大差はなかった。. 6.結. Soc.,72,1175(1950) 3)M.D.LaHue,D.Axelrod,J・P・Lodge,Jr・‥. 言. 本報告のGC−MS−SIM法によって大気中のN20 を10m旦程度の試料量と5分以内の分析時間で前処理 なく直接分析が可能となった。これにより,各地方や. 環境科学研究センター紀要,3,5(1977) 5)J.Wijler,C.C.Delwiche:Plant Soil,5,155 (1954). 6)T’.Yoshinari:Ph・D・Thesis,Dalhousie Uni− versity(1973). 7)D.R.Bates,P・B・Hays‥Planet・SpaceSci・,. 15,189(1967) 8)J.C.McConnell,M・B・McElroy:J・Atmos・. Sci.,30,1465(1973).

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