教育デザイン研究の立ち位置
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(2) 教育論を日本の教育実践にそのまま当てはめること. こる様々な教育の事実を基にし、それをよりよく改善. は、木に竹を接ぐようなものである。. していくことが、教育研究の課題でもある。その課題. 「教育デザイン研究」が、教育の現実からの研究的. を解決するためには、教育実践の現実から教育研究を. 実践と、実践的研究の機能の追究を行うことにより、. 立ち上げる必要もある。それは、教育研究と教育実践. 今日の教育研究を再構築するとともに、新しい教育実. とが乖離している現実や、教育研究が教育実践に機能. 践の創造を可能にするものと期待したい。. しないという現実があり、この現実的な問題に対応す るために、新たな教育のシステムが求められているか. 3 「教育デザイン」の内容. らである。そこに、「教育デザイン」を中核とした新. 三宅氏は、「教育デザイン研究会」設立の趣意書に. たなシステム作りが求められている拠点がある。. おいて、次のように述べている。. さらに、 「教育デザイン」について「授業や学級・学校・ 地域連携といった教育のプランとプロセスを設計する. 「教育デザイン」とは、教育学研究の各ジャンル. こと」と三宅氏が言うような教育実践の具体的な内容. について、自ら教育の現実に対応し改善しうる実践. 設計は、これまでの教育内容へのパラダイムシフトを. を生み出す創造力とその具体を指し、授業や学級・. 視野に入れていないと、「教育デザイン」として設計. 学校・地域連携といった教育のプランとプロセスを. が行いにくい。. 設計することである。従来の教科別・ジャンル別の. 先にも述べたが、教育は、現実として進行形で行わ. 固定的な教育・研究のみではなく、現代社会に即応. れている事実である。その事実を相対化するために現. できる、あるいは近未来を見据えた、新しいスタイ. 実に行われている教育の内容を、たとえ、それが優れ. ル・内容の横断的・総合的な授業などの、教育デザ. たものであっても、再検討しなくてはならない。教育. インを試みる。. の現代的な課題の解決のための自己変革は、絶えざる 自己認識によることから、いかに、これまでの教育を. これまでの教育実践研究とは、どこが違い、どこが. 認識することができるかが、鍵となる。. 同じなのか。三宅氏の言う「自ら教育の現実に対応し. これからの時代に生きる教育のあり方は、これまで. 改善しうる実践を生み出す創造力とその具体を指し」. の教育を基にしながら、それを改善 ・ 変革し、新たな. としていることからは、その主体が個としての一人ひ. 教育内容のプランとプロセスの設計という「教育デザ. とりの教育の現実を基にしていることが読み取れる。. イン」をすることが求められている。. これまで、日本の教育は、誰でもが語れることにそ. 「教育デザイン」は、上記のような教育に関わる機. の良さを見いだしてきた。しかし、それは、全ての人. 能と、それを実施するプロセスを対象とする。. が教育を受けてきたその体験や経験に依拠した教育論 でもあった。それを、原体験に依拠した教育論という。. 4 教育研究と教育実践との融合に向けて. 「自ら教育の現実に対応し改善しうる実践を生み出. これまで、教育研究と教育実践との融合は、多く語. す創造力とその具体」は、上記の原体験に依拠して語. られてきた。しかし、それが実行性を持たなかったり、. られる教育の枠組みを超えたところに位置づけられな. 絵に描いた餅となってきたのは、それぞれの間に、融. くてはならない。「自らの教育の現実」は、常にその. 合する実質的な機能がなかったからでもある。. 変革のための自己認識を潜り抜けなければ、相対化さ. また、この教育研究と教育実践との融合は、言うは. れたものにはならない。「自らの教育の現実」が、相. 易く、その実行性に問題があった。. 対化されずに語られるとしたら、それは、個人の理念. その大きな要因は、教育研究と教育実践とが、教育. としては有効ではあるが、「現実に対応し改善しうる. と言うことに関しては共有しているものの、その基本. 実践を生み出す創造力」には成り得ない。ここに求め. 的な機能が大きく異なっているからでもある。. られるものは、教育を対象化した絶えざる自己認識に. 自明のことではあるが、教育研究は、実践性を志向. よる自己変革である。. することはあるものの、あくまで理論の追求であり、. 教育は、未来を創るものであり、今という現実に起. 実行を伴わないこともある。一方、教育実践は、日々. 教育デザイン研究 創刊号 75.
(3) 教育デザイン研究の立ち位置. の目の前の学習者を対象としており、教育の具体性と. ために、機能不全を起こしていることがある。. 実行性とを求められている。このように教育研究と教. 先に引用した、三宅氏も言うように、 「教育デザイン」. 育実践との間には、教育と言うことについてはその対. を「教育に関する最新情報のハブとしての機能」を担. 象を同じくしてはいるが、その実質は、異なっている。. わせるのなら、そのハブの中に、教育研究と教育実践. それ故、研究と実践とを融合し、これまでの固定化さ. とを取り込み、一つの機能として実効性ある組織とす. れたものからの研究的な離陸を図ることが、教育研究. ることに「教育デザイン」の意味がある。. の新たな地平を開くことになる。そこで、「教育デザ. これまで、教育研究と教育実践との連携が機能しに. イン」としての中核的な機能の中に、教育研究と教育. くかったのは、この教育研究と教育実践とを結ぶ機能. 実践とを融合する機能が求められる。. をする機関が存在しなかったからである。. この機能は、これまで語られてきた、机上の論とし. そこで、「教育デザイン」が機関として機能するた. て、単に「教育研究と教育実践とを結ぶ」などと、安. めには、教育研究と教育実践とを融合した形の機関と. 易な言説を行わない方が望ましい。. して、「教育デザイン」を大学という教育の研究機関. 教育研究と教育実践とは、元々、結びつかないとい. の中に位置づけることに意味がある。. う前提のもと、この結びつかないものをいかに機能さ. . せるか、ということからの融合の方略を考えたい。. 5 ハブとしての「教育デザイン」. そこでは、教育研究と教育実践のそれぞれの特徴を. ハブ(hub)とは、自転車の車輪の中心部 ( 受軸 ). 生かしつつ、この二つを結ぶことによって、一つのも. のことで、スポークとの間で伝わり合う双方向の力の. のを創るのではなく、それぞれが、それぞれの機能と. 伝導するシステムを、ハブシステムという。. 役割と実行性を果たすものとすることが重要である。. 「教育デザイン」を、教育研究と教育実践とが中核. 教育研究は、教育を対象としつつも、言い過ぎでは. となるハブにすることにより、教育研究と教育実践を. あるが、現実に直接的な学習者の育成と言うことを. 機能的に融合することが可能となる。このハブを中核. 担っていない。いわば、教育の方向性や理想の追求と. として、「教育デザイン」から伸びるスポークの先に. 言うことや、教育実践の理論的な基盤を創ることに寄. ある様々な教育主体と結ぶことにより、「教育デザイ. 与したりする役割でもある。. ン」というハブの外に様々に存在する他の教育研究と. 一方、教育実践は、教育の主体である学習者の育成. 教育実践とをシステムとして結び、それによって、今. を直接的に担っており、そこでは、きわめて現実的な. 日的な教育課題を「教育デザイン」というハブに集約. 様々な問題を抱えながら、教育内容を実行し、学習者. ・ 集中させることになる。. の自己実現を図っている場でもある。この両者は、水. この様な「教育デザイン」をハブに、それと他の主. と油とは言わないが、本来的な機能が異なる、という. 体としての機関とを、ハブというシステムで結ぶこと. ことを前提に考えないと、その融合は、難しい。. により、対象となる教育の内容や問題を焦点化するこ. 例えば、マヨネーズを作るのに、卵の黄身と油とを. とが可能となる。そして、その解決のための英知を様々. 混ぜるが、この混ぜ方を失敗すると分離して、マヨネー. な観点や方向からハブシステムとして集約しつつ、そ. ズにならなくなる。この例がそのまま、教育研究と教. れを一般化すると同時に、個々の問題をも解決する道. 育実践に当てはまるとは言わないが、教育研究と教育. 筋を研究する基盤の機関として「教育デザイン」が位. 実践とが分離したり、乖離していることは多くある。. 置づき、ハブとして機能することができるようになる. では、この教育研究と教育実践とを分離したり、乖. ことが求められる。. 離したりせず、いかに融合させ、さらに機能させるか. この課題を解決するには、ハブとしての「教育デザ. について考えたい。. イン」が、教育研究と教育実践とを、いかに融合し機. 教育研究と教育実践とは、本来、教育に関して共通. 能させることができるか、にかかっている。. の指向性を有しているはずである。この二つを機能さ. そもそも、教育という対象は共有しているものの、. せるためには、この二者の間を結ぶ機能が必要となる。. その役割や立場、活動している状況そのものが異なる. これまで、教育研究と教育実践とを直接結ぼうした. 中で、教育研究と教育実践とが融合すること自体に難. 76.
(4) しさもある。. 図的・計画的に構成することが求められる。. そこで、 「教育デザイン」をハブとして、それと様々. カリキュラムという用語には、様々な定義や解釈が. な主体としての教育実践とを結ぶには、教育研究と教. あり、ここでは、意図的・計画的に教育実践を行うた. 育実践との両者が、それぞれの主体の個性を生かした. めの指導計画や指導過程、学習内容、学習評価等と位. 機能として、それぞれが独立を図りつつ、ハブとして. 置づける。このカリキュラム・デザインを行うことに. の「教育デザイン」に収斂して行くことが求められる。. より、教育内容をより具体化することが出来る。. 単に、ポジションとして教育研究と教育実践とが存. (7)教育環境のデザイン. 在するハブという機関では、教育の内実が伴わないた. (8)学校全体の教育目標のデザイン. めに、「教育デザイン」としての機能はしない。「教育. 上記、(1)~(8)までは、児童生徒の学習に直. デザイン」がハブという機関として機能するには、教. 接関わりのある内容を対象としたデザインである。. 育研究と教育実践としての「教育デザイン」の内容と. また、児童生徒の発達や心の問題に関して、それを. 質が問われ、さらに、それらを「教育デザイン」とし. 教育デザインとして対象化するのかも、課題である。. て、どのように取り上げるかが問われる。. この児童生徒の発達を「教育デザイン」として取り 入れると、. 6 「教育デザイン」の機能. (9)児童生徒発達に関するデザイン. 「教育デザイン」を構成する個々の各部分が、いか. (10)児童生徒の心の問題に関するデザイン. に相互に関連し合って内容を構成したり、構成する要. も対象となる。. 素をどのように融合するかが、「教育デザイン」の機. さらに、「教育デザイン」の対象となるのは、学校. 能として問われる。. 教育全体であるため、以下のものも対象となる。. ハブとしての「教育デザイン」の機能は、その構成. (11)学校の組織 ・ 運営に関するデザイン. 要素として、これまで行われてきた教育研究の内容と、. (12)学校評価に関するデザイン. 教育実践の内容の、それぞれの具体を、どのように再. また、学校教育を行う教師自身を対象とすると、次. 構成するがが問われる。この具体は、教育という営為. の二つのデザインが考えられる。. 全般に広がっているものであり、その対象を本論で絞. (13)教師教育のデザイン. り込み、「教育デザイン」の内容として機能するかに. (14)教師の力量形成のデザイン. ついて、ここに提示することは難しい。そこで、どの ような「教育デザイン」の機能があるのかを、構成し ている項目を、整理する。 (1)学習内容のデザイン. 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学という校 種の違いの中での連携に関しては、 (15)各学校種間の連携のデザイン (16)学校制度に関するデザイン. ① 教科内容のデザイン. がある。. ② 各領域内容のデザイン. このほかの重要な課題として、. (2)学習方法のデザイン (3)指導方法のデザイン. (17)特別支援学校の教育に関するデザイン もある。. ① 学習指導のデザイン. ここまでは、学校教育を「教育デザイン」の対象とし. ② 児童生徒指導のデザイン. たが、これ以外に学校文化も対象とすべきである。. (4)指導過程のデザイン. 学校文化は、それぞれの学校のヒドゥン・カリキュ. (5)学習評価のデザイン. ラムとして、大きく学校教育の内実に関わっている。. 上記を統括するものとして、カリキュラム ・ デザイ. それは、まさに、学習者の現状と実態とを視野に入れ. ンがある。. た学習者論に依拠し、教室文化の中で、学習者の世界. (6)カリキュラム・デザイン カリキュラム・デザインには、カリキュラムの内容 を、各学校の児童生徒の実態や学校の実態に即し、意. と指導者との関係性を生み出す大きな機能を果たして いる。このことは、 (18)学校文化のデザイン. 教育デザイン研究 創刊号 77.
(5) 教育デザイン研究の立ち位置. と、言うことができる。. 大学と、校種の違う中で、それぞれに育成を図ってい. さらに、学校を取り巻く教育との関係で言うならば、. る。また、学校という教育機関のみでなく、保護者 ・. (19)保護者 ・ 家庭 ・ 地域 ・ 社会との連携のデザイン. 家庭 ・ 地域 ・ 社会という中でも育成が図られる。さら. (20)各地域の教育委員会・教育センターとの連携の . に、学校に関係する例えば各地域の教育委員会や教育. デザイン (21)附属学校との連携のデザイン. センターという諸機関もある。 このように捉えると、日常すべてが教育となってし. がある。. まい、対象を絞ることが難しくなる。. 特に、附属学校は、その研究の先進性と具体性とに. 大学における「教育デザイン」と言うことに対象を. よって、新しい教育実践のモデルを示すことを、その. 絞ると、大学に関連する機関のみで、まず、どのよう. 機能としている。その新しい教育実践のモデルは、他. な機能が存在するか、出来ること、出来ないことの洗. の公立等の学校においても、児童生徒の実態は異なる. い出しをする必要がある。. ものの、実践の目指すところや内容のベクトルは共有. 大学・大学院における教育は、学生 ・ 院生の教育と. できるものでなくてはならない。さらに、附属学校に. 育成とを、その第一の対象としている。したがって、 「教. は、教員養成における授業の具体を提示し、提供する. 育デザイン」を考えるとき、大学・大学院の授業のカ. という機能もある。附属学校が「教育デザイン」の構. リキュラムがどうしてもその対象となりやすい。. 成に果たす役割は、きわめて大きいものがある。. しかし、それのみだと、これまでの大学 ・ 大学院の. しかし、附属学校の現状としては、それぞれの学校. 教育内容やカリキュラムとのパラダイムシフトは難し. ごとに教育内容があり、大学の機関として「教育デザ. くなる。. イン」の一翼を担うには、様々な制約があることも事. では、というと、次によく出てくるのは、教育実践. 実である。大学側からの視点だけではなく、附属学校. との融合として、学生や院生を教育実践の場に行か. 側からの視点からの検討も含めて、その制約をいかに. せ、そこでの出来事を基に教育や研究をさせることで. クリアーしていけるかが、附属学校が「教育デザイン」. ある。ただ単に、教育実践の場に出向かせるだけでは、. 研究に参画できるかの課題でもある。. 教育研究と教育実践の融合とは言わない。そこでは、. これまで、ここに挙げたものは、全て教育に関わる. 傍観者としての見学者がいるのみで、教育実践を実感. 内容であり、それらが有機的な関係を持って学校教育. として学ぶというシステムには成り得ていない。. を形成している。. 教育実践に出向き、そこでの体験や経験をすること. そこで、「教育デザイン」として、何を対象とする. に意味がないとは言わない。しかし、それを対象化. のか、対象を広げるのか絞り込むのか、その範囲と、. し、その実践の意味づけを多角的に行うことをしなけ. さらに、どこまで深めるのか、が課題にもなる。. れば、一面的な見方を経験したと言うに留まってしま. また、「教育デザイン」として、上記の全てを対象. うことになる。. とする場合、どのようにそれぞれの項目が機能し、そ. 教育実践研究は、授業を多面的、多角的にいかに見. れぞれが有機的な関係性を持って機能を果たせるのか. るかが研究の始点であり、授業の様々な構成要素とそ. も、検討しなくてはならない。. こで行われている事実を対象化し、意味づけを行うこ. また、これらを結ぶツールとしての ICT の活用も重. とにある。しかも、授業というのは、一回性のもので. 要である。. あり、それを一般化することが難しい。また、授業と. ただ、ここで言えることは、上記の全てのを対象と. は、学習者の成長の過程の中にあり、それを一回の授. すると、その内容の広がりと深まりは、膨大なものに. 業を見ることで判断することも難しい。. なることは事実である。. このような難しさの中に存在する授業を対象化するに は、学習者の成長過程と同様の長いスパンが求められる。. 7 「教育デザイン」の研究の対象. 授業実践の具体では、この長いスパンの中で成長す. 教育は、その対象を児童・生徒・学生という学習者. る学習者の実態を継続的に捉えることは可能である。. においている。その対象を小学校・中学校・高等学校・. しかし、大学という機関に所属している学生や院生は、. 78.
(6) 学習者の成長過程を捉えるには、大学に通っている短. 社会学、国語科教育学を担当する教員 5 名 ( 教育学が. い期間の中では限りがあり、難しさもある。. 2 名 ) が、すべてに関わりながら横断的な授業展開を. この難しさを乗り越えない限り、これまでの教育研. したことがある 1)。. 究のパラダイムシフトは難しい。. この授業では、担当者が相互に関わりながら授業を. では、どのようなことが考えられるのか。. 構成し、授業の事前指導、事後指導、レポートについて、. 「教育デザイン」として教育を対象化し、新たな教. 学生を指導するという構成を取った。専門領域が異な. 育を創造するために行う機能としては、研究の継続性. る教員が、それぞれの立場から専門的領域についての. と研究を相対化する多数の視点の導入が必要である。. 話題提供と授業における討論を、それ自体を対象とし. (1)研究の継続性. てモニタリングしながらメタ認知を行うという、授業. 各学校において授業改善を図るとき、その改善の期. そのものを研究対象としたダブルバインドの授業研究. 間は、筆者が関わっている小学校では、その多くが 4. を行った。これまでも大学教育においては、オムニバ. 年以上の期間を要している。中学校の場合は、それよ. ス形式で、多様な授業者が関わる授業は既に行われて. り短い期間もあるが、単年度で授業改善が図れる学校. いる。一つのテーマを基に、そこに関わる様々な問題. は、体験上ほとんどない。このような現状から考える. を考えるに、有効な方法である。. と、教育研究の継続性は、授業研究においても重要で. このような授業担当者が複数いる授業では、担当者. あり、授業改善には、長いスパンを通した研究が必要. の複眼的な見方や考え方を学習者に提供・提示するこ. となる。. とが可能となる。このことは、逆に学習者から見ると、. 大学 ・ 大学院という教育機関において、毎年の継続. 様々な「教育デザイン」を実体験することになる。. と言うことだけではなく、経年変化を追うという形で. 「教育デザイン」を大学・大学院における具体的な. あっても、研究の継続性は必要である。. 授業として想定したとき、そこに設定される研究とし. 「教育デザイン」において、この様な研究の継続性. ては、個人研究、共同研究は自明である。さらに、こ. をいかに位置づけるかも課題である。. の共同研究をどの範囲まで広げ、どの様な人数で研究. この研究の継続性は、一つの授業を対象とした授業. を行うことが可能か、研究主題を融合し、多数で研究. 記録の継続にも同様のことが言える。. するということも視野に入れることも可能である。. 授業記録の継続性を行うには、対象とする授業を継. そこでは、研究主体としての組織 ・ 運営をも「教育. 続的に記録をしなくてはならない。しかし、これまで. デザイン」の対象とし、教育をハブとした無限連鎖を. の大学 ・ 大学院における授業は、週当たり 1 回のも. 図ることが可能となる。. のが多く、小中高等学校のように、週に何時間も授業. しかし、そこにはそれらの裏返しとして、「教育デ. があると、それをすべて記録するには、かなりの時間. ザイン」をいかに実行するか、という枠組みの設定と. と労力とがかり、難しい。. 構成が問われてもいる。. この様に、授業記録一つとっても、研究の継続性を. このハブとしての機能を有効にするためには、教育. 図るとなると、これまでの大学 ・ 大学院の授業システ. の現代的な課題に特化し、その解決や実行に向けて、. ムでは、実現の教育問題を乗り越えるだけの解決策を. 組織を柔軟に組み替えながら構成することも考えから. 見いだすことが、難しい問題を抱えている。. る。構成が固定化されない機関として「教育デザイン」. (2)多数の視点による授業構成. が機能することにより、現代的な課題について、適時. 大学 ・ 大学院の授業では、これまで多くの授業が一. 性を持った研究を行うことが出来る。. 人の教員によって担当されていることが多かった。筆. 「教育デザイン」の研究の対象は、その対象をどの. 者がかつて勤務していた福井大学において、授業科目. 範囲として位置づけるか、その機能をどのように捉え. 「コミュニケーション研究」として教育学、教育心理学、. るか、にかかっているともいえよう。. 注 1)「コミュニケーション過程にお ける自己省察:その構成と分析 -大学教育における授業『コミュニケーション研究』の実践をとお して-福井大学教育学部」 「福井大学教育学部紀要 第Ⅳ部 教育科学(その1)」 第 41 号 平成 3 年 2 月. 教育デザイン研究 創刊号 79.
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