Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
短波長紫外線の照射総エネルギーの違いによるチタンの
アルブミン吸着量および骨芽細胞接着数の変化
Author(s)
内山, 宙; 山田, 将博; 櫻井, 薫
Journal
歯科学報, 111(4): 425-425
URL
http://hdl.handle.net/10130/2577
Right
目的:埋入時のインプラント体への細菌付着は,骨 結合や軟組織の治癒に悪影響を与える。近年,短波 長紫外線(UVC)照射後のチタン表面では,物理 化学的変化が生じ,骨結合能が亢進されることが明 らかになった。それら物理化学的変化は細菌付着に 影響を与え得る。一方,長波長紫外線(UVA)照 射による光触媒効果を介した菌付着の抑制が知られ ている。そこで我々は UVC を照射したチタン表面 の細菌付着減少効果と,チタン表面への物理化学的 変化の影響を明らかにすることを目的に,UVC を 照射したチタンへの創感染の代表的な原因菌である 黄色ブドウ球菌の付着程度を評価し,UVA 照射表 面との比較,さらに紫外線照射によるチタン表面の 物理化学的変化の検証を行った。 方法:試料として機械切削面(MA)または酸処理 面(AE)の2種の表面形態を付与したチタンディ スクを用いた。紫外線未照射,UVC または UVA を500KJ/cm2 にて48時間照射したチタンディスク上 で Brain Heat Infusion 液体培地中に黄色ブドウ球 菌209P 菌株を培養した。培養1分後,30分後およ び1時 間,4時 間 後,8時 間 後 に チ タ ン 表 面 を CTC 生菌染色後,蛍光顕微鏡観察および蛍光染色 面積率の計測によりチタン表面の黄色ブドウ球菌の 付着を評価した。また,物理化学的変化の評価とし て,濡れ性試験およびX線光電子分析装置(XPS) によるチタン表面の元素解析を行った。統計解析と し て,二 元 配 置 分 散 分 析 後 に Bonferroni 検 定 を 行った。 成績および考察:表面形態に関わらず,UVC 照射 チタン上の CTC 陽性面積率は,各培養時間におい て,未照射表面の値よりも低かった(p<0.05)。 UVC 照射により,機械切削面上の菌付着は UVA 照射表面のそれと同程度まで減少した。しかし, UVA 照射による酸処理面の菌付着の減少は UVC 照射によるものよりも小さかった。UVA,UVC 照 射の両表面形態で,濡れ性を疎水性から超親水性へ と変化させた。チタン表面の炭素原子質量濃度は, 紫外線未照射で20%を超えたが,UVA または UVC 照射後には10%未満となった。これらの結果から, 表面形態に関わらず,UVC 照射は,UVA 照射と 同等以上に,チタン表面の黄色ブドウ球菌の付着を 減少させた。また紫外線照射による菌付着の減少に は,チタン表面の超親水性の獲得および炭素原子の 減少の関与が示唆された。 目的:短波長紫外線(UVC)の照射処理は,チタ ン表面の骨結合能を著しく亢進させることが知られ ており,それは光機能化と呼ばれている。しかしチ タン表面への UVC 照射量と表面改質効果の変化と の関連には未だ不明な点が多い。本研究の目的は UVC 照射総エネルギーの違いによるチタンの細胞 生物学的変化を明らかにし,物理化学的変化を検討 することである。 方法:直径20mm の機械切削面(MA)もしくは酸 処理面(SA)のグレードⅡ商業用純チタンディス クに UVC 照射総エネルギー量がそれぞれ0および 10,100,250,400,500,600,750,1000J/cm2 と なるように照射処理を行った。細胞生物学的評価と して,8週齢ラット大腿骨骨髄由来初代継代骨芽細 胞もしくはウシ血清アルブミン(BSA)をそれら試 料上に播種し,培養1日後に骨芽細胞接着数および BSA 吸着量を評価した。またチタン表面の物理化 学的評価として,試料上のぬれ性を測定し,さらに 表面元素分析を行った。統計処理は一元配置分散分 析後に Bonferroni 検定を行った(α=0.05)。 成績および考察:培養1日後のチタン表面における 骨芽細胞接着数は UVC 照射総エネルギー量に伴っ て増加し,未照射表面と比べて500J/cm2 照射され た MA で は2.7倍,700J/cm2照 射 さ れ た SA で は 1.7倍となった。それ以上の照射量では両表面とも に骨芽細胞接着数は減少した。また BSA 吸着量は 未照射面と比べて500J/cm2 照射された MA では2.3 倍,10J/cm2 照射された SA では1.4倍となった。し かし,両表面形態とも1000J/cm2 照射すると,その 値は低下した。UVC 未照射表面において,MA は 接触角約66度,SA は約85度を示したが,MA では 100J/cm2 以上,SA では10J/cm2 以上の UVC を照射 すると接触角は約1度となり,超親水性を示した。 チタン表面上の炭素原子の割合は,両表面形態とも に未照射面では約30%,500J/cm2 照射された表面 では5%未満,1000J/cm2 では4%未満となり,照 射総エネルギー量に伴い減少した。今回の結果から UVC 照射により表面の炭化水素が減少することで チタンのアルブミン吸着量および骨芽細胞接着数は 向上するが,UVC 照射エネルギー量の過多はその 効果を減弱させることが示された。