Title
沖縄のサンゴの現状と未来 サンゴの病気:壊れる環境
,はやる病
Author(s)
山城, 秀之
Citation
名桜大学総合研究(10): 59-60
Issue Date
2007-02-27
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/7067
Rights
名桜大学総合研究所
出張公開講座 :2006/03/16(伊 江村) 沖縄 のサ ンゴの現状 と未来
サ ンゴの病気 :壊れる環境,はやる病
山城秀 之 名桜 大学 国際学部観 光産業学科 催' サ ンゴ樵 は島々を縁取 る天然 の防波堤 として,透明度 の高い美 しい海は観光資源 と して, また多種多様 な生物 が生 まれ暮 らす場所 としてな くてはならない存在である。 巨大 なサ ンゴ樵 も′トさな生物 (サ ンゴ虫)が気の遠 くな るような時間をかけて創出 して きた ものである。 そのサ ンゴ樵 の立役者であるサ ンゴは, イソギ ンチ ャ クと近縁の動物で基本的な構造 に違 いはない。サ ンゴが 炭酸 カルシウムの骨格 を沈着する点が イソギ ンチ ャクと の大 きな違いである。サ ンゴ樵 の形成 に寄与するサ ンゴ は,細胞 の中に微細 な単細胞 の藻 を共生 させてお り,共 生藻の作 り出す光合成産物 は動物 としてのサ ンゴ-餌 と なって供給 される。一方で,動物 としてのサ ンゴが出す 老廃物 は共生藻 にとっては肥料 となる。 この ように持 ち つ持 たれつの関係が,結果 としてサ ンゴの成長, ひいて はサ ンゴ樵 の成長 に結 びついているのである。サ ンゴと 同様,共生藻 を持つ有孔虫 (星砂)や シャコガイも成長 が速いのは栄養供給 を難 な く手 に入れることがで きる同 じ理由で説明で きる。 - 59-サ ンゴ樵 は海のオアシス と称 される。9-サ ンゴがあるこ とによって実 に多 くの生物達が暮 らせ るようになる。そ の理 由の一つ 目は,サ ンゴが共生藻か ら得 た栄養物 の大 半 を粘液等の形 に して海中に放出 し,それ を餌 として利 用で きる生物がいること。二つ 目は,サ ンゴが種類 によっ て色 々な形状の形 (塊状,妓状,テーブル状 など) をと るため,その枝の問を隠れ家 として利用で きる生物が増 えること。三つ 目は,サ ンゴの骨格 が炭酸 カルシウム と い う比較的柔 らかい素材 でで きているため,骨格 に穴 を あけて住 む生物 たちに利用 されやすい こと。更 に, これ らの生物 間の食 う-食われる等複雑 な関係が成 り立つ こ とが挙 げ られる。 この ように,人間に とって も他の多 くの生物 に とって も重要 なサ ンゴ礁が危機的状況 にある。サ ンゴを直接捕 食す る生物の代表 としてオニ ヒ トデは有名であ り,駆除 も続 け られているが散発的 に発生 を繰 り返 しているのが 現状 である。 また,サ ンゴ樵 は陸 と海の間に位置 し,陸 地の影響 を最初 に受 ける場所であるため,陸地での人間 の活動 によって河川 を通 じて海 に流れ出す赤土等 は人間 が直接サ ンゴ樵 にダメージを与 えている例である。 人間の活動 によって間接 的ではあるが,広い範囲のサ ンゴ礁 にダメージを与 えることもある,白化現象である。 共生藻は暖かい温度の海 を好 むが,意外 なことに暖かす ぎる水温 を嫌 うため,許容範囲 を越 えた水温 になると, 生活の場のサ ンゴか ら脱 出す る。褐色の共生藻が抜 けた 後のサ ンゴは,組織がほぼ透明のため,炭酸 カル シウム でで きた白い骨格が透 けて見 えることか ら白化現象 と呼 ばれる所以である。 この状態が長 く続 くと共生藻の栄養 に頼 っていたサ ンゴは栄養失調 になって死滅 して しまう。