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アジ研ワールド・トレンド No.253(2016. 11)
アフリカ開発会議︵TICAD︶は今年一大
転
機
を
迎
え
た。
五
年
お
き
の
開
催
が
三
年
に
な
り、
日
本
と
ア
フ
リ
カ
交
互
で
開
か
れ
る
こ
と
に
な
っ
て、
初めての会議が今年だからだ。
アフリカ連合
︵A
U︶の強い要請によってTICADも中国アフ
リカ協力フォーラム︵FOCAC︶と同じ形式
に変更されたわけだが、これにより日中はアフ
リカで、それぞれTICADとFOCACを掲
げて相対峙することになった。
そもそもTICADの潜在的動機は、国連安
全保障理事会改革に向けてアフリカとの連携を
深めることであり、そのコンテンツは、開発と
援助について話し合うフォーラムだった。安保
理改革のほうは二〇〇五年に頓挫したが、開発
と援助におけるTICADイニシアティブは一
九
九
七
年
の
D
A
C︵
O
E
C
D
開
発
援
助
委
員
会
︶
新開発戦略に結実して、これがミレニアム開発
目標︵MDGs︶の母体となった。
ア
フ
リ
カ
開
催
初
回
と
な
る
T
I
C
A
D
Ⅵ
は
ケ
ニアの首都ナイロビが舞台で、テーマはビジネ
ス、
主役は企業だ。ジェトロはそこでアフリカ
・
日本ビジネス会議とジャパンフェアを担当する。
アフリカ各国もそれぞれ企業を連れてくる。
TICADに企業が参画するようになったの
は
二
〇
〇
八
年
の
T
I
C
A
D
Ⅳ
か
ら
だ。
T
I
C
A
D
Ⅳ
と
T
I
C
A
D
V
の
舞
台
は
横
浜
だ
っ
た
が、
いずれにおいてもジェトロはビジネス会議とア
フリカ物産展示会︵アフリカフェア︶を開催し
た。二〇〇三年から資源価格の全般的高騰が始
まり、アフリカ経済は史上かつてない高成長を
呈したが、日本企業のアフリカ参入も徐々に動
き出していた。私自身もこのあたりからTIC
ADと本格的につきあうようになったが、今回
ナイロビでは、総括として現場指揮の一角を担
うことになった。
それはそれとして、今回私がもっとも気にな
っていたのは南シナ海問題である。七月一二日
に国際仲裁裁判所が、南シナ海における中国の
領有権の主張を全会一致で斥けた。この裁定に
中国は猛反発しているが、このような中国の態
度は国際社会の一員として常軌を逸したものと
言わざるをえない。中国は﹁領土問題は関係国
が
相
対
で
協
議
す
べ
き
事
柄
だ。
六
〇
カ
国
以
上
が
我
々
の
方
針
を
支
持
し
て
い
る
﹂
と
強
弁
し
て
い
る。
中国の弁に従えば、うち三〇カ国がアフリカで
ある。アフリカの元首たちには、ケニヤッタ大
統領も訴追された国際刑事裁判所への反感が働
いているのかもしれない。
とはいえ、アジア海域における中国の覇権主
義はアジア全体にとっての脅威だ。アジアの平
和をアフリカの国の多くが支持しないというの
なら、どうして日本はアフリカの開発を支援し
なければならないのか。国連安保理改革という
旧来の課題に加え、緊急性の高い外交課題がT
ICAD
Ⅵに課せられたと思うのだが、
どうか。
これを書いている時点︵八月八日︶では、会
議の詳細を含め不明な点も多い。ただ、TIC
ADが中国対策としての色合いをますます強く
もつようになったことは確かだろう。
エ ッ セ イ
アジ研ワールド・トレンド 2016 11
平 野 克 己
TICAD VI の意味とは
ひらの かつみ/独立行政法人日本貿易振興機構理事
アジア経済研究所地域研究センター長等を経て現職。
主な著作に『経済大陸アフリカ』中公新書、2013年、『アフリカ問題:開発と
援助の世界史』日本評論社、2009年など。
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