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教師が行う不登校児童生徒への支援:小中学校教師へのインタビューから

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(1)

I 問題と目的

不登校児童生徒の数は 2001年の約 13万 8千人をピークに初めて減少に転じ,その後 10年間で

は 13万人前後を推移している。その在籍比率

(2009)

は小学校で 0.

34%,中学校では 2.

91%を占め

ている。依然,日本の学校教育における喫緊の課題であることに代わりはない。

保阪

(2002)

は不登校研究をめぐる課題の一つとして,学校環境に関する実証的研究の不足を指摘

している。例えば,村山内山

(1972)

は「学校ぎらい」は人口集中が起きている地域に出現率が高

く,過疎地域は低いと報告している。これに対して,古川菱山

(1980)

,渡辺

(1992)

は,出現率の

高い東京都で調査し,地域環境の変化の大きい地域で出現率が高いことを見いだしている。また,不

登校の出現率には学校差があることが指摘されている

(小野,1972;室田ら,1984)

。しかし,大規模校

ほど不登校が多いとする結果

(浅野,1990)

がある一方で,逆に学校規模が小さく,生徒数が少ない

方が不登校が多いという結果

(渡辺,1992)

もある。

こうした学校環境による不登校の出現率の研究は様々な結果を導き出しているが,一方,同一の学

校における出現率の変化という問題も指摘されている。保阪

(2000)

は 4年間の不登校出現率の変動

Abstract

Thepurposeofthi

sstudy i

stoexami

nethecharacteri

sti

csand teachi

ng phi

l

osophy of

teachersthrough understandi

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y

i

denti

fi

ed.

Keywords:supportforschoolnon-attendees

(不登校支援),teacherbel

i

ef

(教師の認知信念),

teacherpersonal

i

ty

(教師の個性),schoolenvi

ronment

(学校環境),theuni

quenature

ofeachcase

(事例の固有性)

学苑初等教育学科紀要 No.836 50~62(20106)

教師が行う不登校児童生徒への支援

 小中学校教師へのインタビューから

岸 田 幸 弘

TeacherSupportforStudentsNotAttendi

ngSchool

―Intervi

ewswi

thEl

ementaryandJuni

orHi

ghSchoolTeachers―

Yuki

hi

roKi

shi

da

〔研究ノート〕

(2)

を調べ,長期欠席の多い学校と少ない学校を取り上げて,生徒達の学校生活についてのアンケート調

査を行っている。その結果,長期欠席の多い学校では不登校予備軍やグレーゾーンの生徒が多く,そ

の要因を友人関係や教員との関係に代表される指導体制にあると指摘している。つまり,不登校問題

を学校環境から捉えようとするときには,客観的なデモグラフィック的な要因としての学校環境だけ

ではなく,学校を構成している児童生徒同士の関係や教師との関係,あるいは指導体制や教師の考え

方なども含めた学校環境を視野に入れる必要がある。

また,岸田

(2002,2008)

は学校の内部から教師が主体的に不登校問題に取り組み,学校環境の改

善によって不登校児童生徒を減少させた事例を報告している。その内容は,教師同士の連携の工夫や

情報の共有のシステム作り,教師の意識改革,保護者との対応の在り方,居場所づくりの工夫,学校

内外の援助資源の有効活用,そして不登校支援を見据えた集団づくりや授業づくりなど,総合的に学

校環境を整えることによって不登校の予防的な支援が可能になり,不登校児童生徒を減少させている。

つまり教師自身が学校環境を改善し,不登校児童生徒への効果的なアプローチを工夫するとともに,

児童生徒を不登校にしないための取り組みが行われた実践報告である。

このように不登校児童生徒の支援を行う教師は,様々な方法で不登校問題に取り組んでいるのであ

ろうが,実際には不登校児童生徒の多い学校と少ない学校があり,また不登校児童生徒を多く抱えて

しまう教師とあまり抱えない教師がいるのも事実である。このように教師は学校環境を改善する立場

にあると同時に,教師自身,あるいは教師の支援の在り方そのものが学校環境であるという見方もで

きるのではないだろうか。

教師による有効な不登校支援については山本

(2007)

が小中高等学校教師 290名を対象に質問紙調

査を行い,不登校児童生徒の各状態に有効な支援方法について分析している。まず不登校状態をとら

える観点として「自己主張」「行動生活」「強迫傾向」「身体症状」の 4つを抽出し,測定尺度を作

成した。これを用いて 4つの不登校状態に対する教師による有効な支援方法を明らかにするとともに,

教師が行う支援を 6カテゴリー,11支援方法に整理している。このように実際の不登校児童生徒を

想起して,教師の視点から有効と考える支援方法を明らかにしたことは,実際に教師がどのような支

援を行っているのかを知る上で大変意義のあることである。

しかし,教師が行う不登校支援はすべてが有効に働いているわけではない。むしろ効果がない支援

を繰り返している可能性もある。時にはそれが逆効果な場合もあるはずである。だからこそ現場の教

師は悪戦苦闘しながら努力を続けているのである。

また,不登校児童生徒の多い学校と少ない学校があるのはなぜか,同一校でもなぜ不登校児童生徒

が増減するのか,効果のない支援を選択したのはなぜか,そこには様々な教師の個人的要素も含めた

子どもを取り巻く要因があるだろう。

そこで本研究では,教師が実際に行っている不登校児童生徒への支援を具体的に把握し,それがど

のような教師によって行われたのかを明らかにしたい。効果がなかった支援や効果がはっきりと確認

できなかった支援も含めて,実際にどのような不登校児童生徒に対して,どのような支援をしたのか

を,具体的に把握すること。そして,その支援を行った教師の特性やその教師の考え方について,詳

細に検討することを目的とする。

(3)

II 方 法

1.調査対象

中部地方の A県の小学校及び中学校の教師 18名。詳細は Tabl

e1に示すとおりである。

2.調査時期

2008年 8月~9月

3.調査手続き

筆者の知り合いの教員やその人から紹介してもらった教員などに調査を依頼し,日時,場所を設定

した上で,個別に半構造化面接を実施した。調査場所は教員が所属する学校,喫茶店,レストラン等。

時間は約 1時間 50分から 4時間 30分。

4.調査内容

( 1) フェイスシート

年齢,性別,現在勤務校の校種,教職経験年数,主に経験してきた校務分掌役職等,経歴

(教職以外の経歴や研修歴,教職に就いてからの経歴等)

,語られた不登校支援を行ったときの教職

経験年数と支援の立場,不登校児童生徒の学年,性別。

( 2) 不登校支援の経験

「不登校の子どもを支援した事例を 1つ,詳しく話してください。」という導入で,不登校支

援の経験を語ってもらった。記録は録音と同時に,話を聞きながら筆者がパソコンでできるだ

け詳しく入力していった。よって記録の文書は逐語録とはなっていない。録音は半数の教師の

み許可された。

( 3) 面接内容(半構造化面接)

① 趣旨説明

「学校の先生方が不登校児童生徒への支援をどのように行っているのかを調べています。

先生の支援や指導をできるだけ具体的にお聞かせ下さい。また,先生がそのような支援や指

導を行った理由などもお聞きして,今後の不登校支援のあり方を考えたいと思います。」

② 過去に支援した不登校の事例を 1つ想起してもらう

③ その事例について語ってもらう

不登校児童生徒の学年および支援期間,性別,家庭環境,不登校の直接のきっかけ,不登

校状態の時期と期間,支援者の立場

(担任等)

,経過と結果の様相,最も苦労した点等

Tabl

e1 調査対象者の構成

面接時に勤務していた校種および支援した時の立場

職 種

不登校支援時の経験年数

小学校(合計 14)

中学校(合計 4)

学級

担任

学年

主任

特別支援教

育コーディ

ネーター

養護

教諭

学級

担任

養護

教諭

教諭

養護

教諭

11~20

1~10

21~30

31~

2

2

2

0

4

5

3

0

6

7

5

0

3

7

1

0

0

2

0

1

2

1

0

1

6

10

0

2

10

1

2

1

3

1

16

2

6

12

18

(4)

④ 質問項目

(インタビューの中で適宜行った質問)

a.どうしてそのような支援をしたのですか

b.その支援は有効でしたか

c.特に有効だった支援は何ですか

d.あなた自身が行った支援で,うまくいかなかった支援は何ですか

e.その児童生徒に対して,他の人からその児童生徒にどのような支援をしてほしかった

ですか

f.支援者であるあなた自身は,周囲からどのような支援を受けていましたか

g.支援者であるあなた自身は,他にどのような支援がほしかったですか

h.学校内外にはどんな援助資源がありましたか

i.不登校の予防的な支援やその学校での取り組みはありましたか

j.現在の児童生徒の様子

(分かる範囲で)

k.この事例を振り返って思うことは何ですか

5.分 析

語られた不登校支援の記述から支援の方法を,山本

(2007)

の不登校状態に有効な教師による支援

の 6カテゴリー11支援方法

(Tabl

e2)

によって分類する。11支援方法については次の通りである。

ただし,山本が具体的な支援方法として例示した具体例に,筆者が加筆した部分も含まれる。

① 「関係維持」支援では,家庭訪問や電話をしたり,プリントを届けるなどして,不登校児童生

徒と教師,あるいは子ども同士の関係維持を目的とする。したがって教師が一緒に遊ぶことなど

もこの支援に含まれる。

② 「家庭支援」支援は,保護者や家族の話を聞いて不安を軽減することであるが,実際には家庭

環境に大きな困難を抱えている場合が多く,直接的間接的に家庭そのものを支援する事項も含

める。

③ 「校内援助源」支援は,校内にいるスクールカウンセラー,相談担当者などに援助を要請する

ことである。スクールカウンセラーは校内常駐に限らず,巡回や訪問も含めて,このカテゴリー

に含める。また,相談の専門家に限らず当該の児童生徒にとって援助資源となりうる人はすべて

含まれる。

④ 「別室登校」支援では,一般に相談室や保健室が考えられるが,自分の教室以外の校内にある

別の場所を居場所

(安心して活動できると子ども自身が感じた場所)

にしていた場合と考えると,研

究室や事務室,校長室など多様な対応が考えられる。ただし,一時的に避難していた場合などは

含まれない。

⑤ 「意欲喚起」支援は,活躍の場を作ったり趣味や夢,進路などの助言をしたりする支援である。

学習面での意欲喚起は,基本的に「学習指導」支援に含め,このカテゴリーからは除く。

⑥ 「児童生徒支持」支援では,不登校児童生徒の不安や焦りなどに耳を傾け,しっかりと話を聞

きながら,情緒的に子どもを支持して安心感を与えることである。

⑦ 「人間関係調整」支援は,友人,教師,家族等との関係調整を行うことである。支援する教師

自身との関係を調整した場合は,教師が意図して行っている場合に限ることとする。

(5)

⑧ 「登校援助」支援は,送り迎えをしたり登校できる状況を作ったりすることである。教師以外

の母親などが送り迎えをする場合も,教師が母親と協議して決めたことである場合には含めるこ

ととした。同様に友だちが迎えに行く場合なども,それを教師側の意図的な支援として行ってい

る場合には含めるものとする。

⑨ 「学習指導」支援は,個別に学習指導をすることであるが,放課後に友だちと一緒に勉強を教

えた場合なども含める。

⑩ 「生活指導」支援は,生活の乱れや校則違反などについて,指導的に助言することである。昼

夜逆転の生活や,家庭での過ごし方などの指導的な事柄が含まれる。保護者に対する間接的な指

導も含まれる。

⑪ 「専門機関連携」支援は,病院,児童相談所等の学校外の専門機関との連携による支援である。

また,効果があった支援のみならず,効果がなかった支援についても分類し,その教師の経歴や教

職経験と併せて不登校支援の特徴を記述する。

III 結果と考察

結果を Tabl

e3に一覧表にして示した。教師 A

(No.1)

から教師 Q

(No.18)

まで,面接順に記述

した。全く支援が行われない項目は空欄になっているが,ひとつの項目の中に複数の支援が含まれて

いる場合もある。フェイスシートとは別に 経歴等の欄にはその教師の主な経歴や研修歴,教職の

専門性など,不登校支援の在り方に影響すると思われる事柄を分かる範囲で記した。支援の特徴

の欄は不登校支援の概要とその教師の不登校支援の特徴についての考察や筆者の感想等である。

18の事例は学校種や学年も違い,支援した教師も担任だけではなく学年主任

(当該学級以外の担任

でもある)

,副担任,養護教諭,特別支援教育コーディネーターとその立場は様々である。また,年

齢や教職経験年数も異なっている。不登校児童生徒も小学校低学年から中学生まで様々であり,採用

された支援の方法は事例によって異なってくるのは当然と考えるべきであろう。

Tabl

e2 不登校状態に有効な教師による支援の 6カテゴリー11支援方法

(山本 2007)

6カテゴリー

11支援方法

支援の具体例

1 家庭連携

① 関係維持

家庭訪問や電話をする,連絡帳プリントなどを届ける

② 家庭支援

保護者や家族の話を聞き,不安を軽減する

2 組織的支援

③ 校内援助源

スクールカウンセラー,相談担当,養護教諭などに援助要請

④ 別室登校

相談室や保健室に居場所づくり,個別の学習室などの設置

3 心的支援

⑤ 意欲喚起

学校で活躍の場づくり,趣味,夢,進路などの助言

⑥ 児童生徒支持 本人の不安や焦りを傾聴する

4 登校支援

⑦ 人間関係調整 本人と友人,教師,家族との関係調整

⑧ 登校援助

送り迎えをしたり,登校できる状況づくり

5 指導的支援

⑨ 学習指導

個別の学習指導

⑩ 生活指導

ルールや校則指導,規則正しい生活指導

6 専門機関連携 ⑪ 専門機関連携 教育センター,適応指導教室,児童相談所,病院等との連携

(6)

しかし,その支援がよいと判断して実際に行われるには支援者個人が判断したり,あるいは学年会

や支援チームでの協議などで決定されたりするわけで,少なくともその時点でベストな支援方法と判

断された理由があるはずである。例えば「教師が家庭へお迎えに行って学校へ連れてくる」という

「登校援助」支援は,対象の児童生徒は小学校低学年児童

(教師 Bと教師 Gの事例)

もいれば高学年児

(教師 Dの事例)

もいるし,中学生

(教師 M の事例)

の場合もある。つまり「教師がお迎えに行く」

支援は小学校低学年だから有効であるとか,高学年だからその支援を行うべきだとか,中学生だから

そのような支援はおかしいといった判断は,安易に下せないように思われる。

また多くの場合,不登校になる要因,あるいは不登校児童生徒の特性として,「人間関係調整」の

支援が必要になる場合が多い。しかし教師 Qの事例のように,部活動でいじめのような事態に遭遇

していても,教師 Qは部活顧問の教師と折り合いが悪く,そこに介入できないでいるケースもある。

しかし結果としてこの不登校生徒は 1年足らずで登校できるようになるのである。この場合,教師 Q

は人間関係に介入できないとしても,例えば学年主任や生徒指導係が調整に乗り出すべきだという考

えは正当であると思われる。それができなかったのは教師 Qの被援助志向性

(田村石隈,2001)

低さが原因と捉えるか,お互いに助け合うことができないような非協力的な教師集団だからと捉える

のか,今回の面談の仕方ではそこまで判断することはできなかった。しかしその支援を「どうして行

ったのか」ということと同時に,「なぜその支援を行わなかったのか」にも理由があるはずである。

さらに 18人の教師の中には大学院へ進学し,臨床心理学を学んだり学級集団づくりを研究したり

した者も何人かいる。また,自ら進んで学会や研究会に参加するなど,学ぶ意欲の高い教師も多くい

る。これらの教師は心理学的なアセスメントに長けていると思われるが,同じように不登校支援にも

長けているとは限らないのではないだろうか。

このように考えてくると,「担任なのだからお迎えぐらい行かなければ」という考えや「教師がお

迎えするよりも親が連れてくるべき」といった,支援する者の考え方や信念などが,支援方法を決定

している可能性がある。例えば受け持ったときにはすでに不登校状態で,担任としては責任をあまり

感じなくてもよい事例でも,教師 Fは「卒業までには何とか登校できるようにしたい」と考え,3年

間にわたって家庭訪問を繰り返し行っている。一方,教師 Rは前担任が行っていた支援方法を踏襲

することを基本にして,本人から学校を休みたいという希望があるときには休ませるという方法をと

っている。また,教師 M は休日返上で 3年間も家庭訪問を続け,勉強を教えている。一般的には

「何でそこまでするのか」,「そんな自己犠牲を払ってまでやるべきではない」といった声が聞こえて

きそうである。このような判断は教師の信念や考え方

(認知)

によるところが大きいと思われる。あ

るいは教師の個性とでも言うべきものかもしれない。同じ授業内容を同じ指導方法で教えていても,

必ずその教師らしさがにじみ出るものである。それによって子どもたちの学習意欲が向上したり,学

習集団の特性が変わったりすることはよくあることである。

さらに,ある事例ではこうせざるを得ないといった,支援に選択の余地のない場合もあるだろう。

教師 Lの事例では山間の小規模中学校で,教員数はたいへん少ない。そんな中,不登校を理由に転

入してきた女子生徒にとって男性教諭は近寄りがたく,必然的に若い女性教師 Lが副担任として関

わることになる。部活動も数えるほどしかないであろう中学校で,自らが顧問を務める吹奏楽部に入

部させ,そこで生徒と関わりの場をつくりながら支援するわけである。このような場合の不登校支援

の決め方は,学校環境や事例そのものの特性に左右されることになる。

(7)

Ta

bl

e3

教師

18名

(教師

A

から教師

Q

の不登校支援の一覧

教師による不登校の

11

支援方法

家庭連携

組織的支援

心的支援

登校支援

指導的支援

専門機関連携

教師

被支援 児童生徒

関係維持

家庭支援

校内援助源

別室登校

意欲喚起

児童生徒支持

人間関係調整

登校援助

学習指導

生活指導

専門機関連携

No

.1

A

小学生

・連絡帳や電 話で学校の様 子を母親とよ く話した ・父親は本人 と話 ができず , 不安を抱えて おり, 来 校し てよく話した ・家が留守に なると児童本 人が不安にな るので, 懇談 会に欠席して もよいことを 話した ・学年会で毎 回相談 ・コーディネ ーターに相談 し様子を見て くれた ・学習支援の 先生が授業中 に支援してく れた ・「これでいい の?」 と言う不 安に答え何度も 説明した ・担任と交換日 記をし, 気持ち が安定した ・友だちに 「 嫌」 といわれると不 安になるので, 間を取り持った ・本人を気遣っ てくれる友人を 支援した ・不安定にな ったときは個 別に勉強を教 えた ・当番の時に 固まってしま うので, 動け るように声掛 けした ・巡回相談員に 相談 ・大学の相談員 に観察依頼

性別

女女

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

35

12

1~

2

支援時

34

11

父母  病気 の弟 保育園の時 から不安定 経歴等  小学校高学年を経験して低学年の担任になった。 支援の特徴  完全な不登校ではなく, 精神的な不安定による不登校を予防した事例。 担任との 3 年間にわたる交換日記によって信頼関係を築き, 安心して登校・学習で きるようになった。 学 年会やコーディネーター, 相談員との連携によって, よくアセスメント ( 見立て) ができている。 学年会での共通理解や支えもあったが, 担任とし てできる支援と児童が望む支援がマッチした。

支援の立場

担任

No

.2

B

小学生

・安心できる ように手をつ ないで歩いた ・よく話しか けた ・友だちに頼 んでプリント を届けた ・母親の話を よく聞いた ・母親が通っ ている精神科 の巡回看護師 と担任が意見 調整した ・コーディネ ーターと相談 したり学年会 で検討した ・参観日に親 子で共同工作 の授業をした ・始業式に作 文発表の学年 代表をやらせ た ・友だちに一緒 に遊ぶよう要請 した ・たびたび担 任がお迎えに 行き連れてき た ・児相関係機関 と懇談した ・以前の施設と 連携 ・養護学校相談 員に相談した

性別

女女

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

47

26

2~

4

支援時

44

46

23

25

施設育ちで 母親と同居 と同時に小 2で転入 経歴等  専門は音楽。 中学校に 1 校勤務経験あり。 あとは小学校経験のみ。 音楽を中心にした学級活動を得意とし, いつも学級に音楽が絶えない。 現職で大学院へ行き, 音楽教育で修士。 支援の特徴  複雑な家庭事情を考慮して, 母親の安定と本人の登校を支援した事例。 男性不信の母親に配慮して直接の支援は女性担任 (教師 B ) が 行った。 親子関係へ の介入は保健師,以前過 ご した施設の職員や母親の 罹 っている精 神 科の看 護 師 な ど とも 多 様な連携支援 をしている。 学 級 内 での支援と家庭への介入で 難 しい事 例 だったが, 多 くの支援 者 とよく連携できている。

支援の立場

担任

No

.3

C

小学生

・友だちを連 れて家庭 訪問 して遊んだ ・よく話をし た ・友だちと手 紙を交換した ・父親ともよ く話した ・養護教 諭 が 母親の話を聞 き, 担任に情 報 をくれた ・ 好 きな 作 文 , 詩 を 書 かせ入 選 した ・行事参 加 を 促 した ・友だちと手 紙 をやりとりして , 担任が 仲 介した ・ 賞状伝達 で 登校を 促 した が 効果 がなか った ・初め は電話 で登校を 促 し たが 効果 がな かった ・お 泊 まり会 に参 加 したが , 登 校 できず ・学習プリン トを届けた ・家が経 営 し ている ロ ッ ジ のア ル バイ ト のお 姉さ んに 継続 して勉強 を見てもらっ た

性別

男女

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

41

17

5~

6

支援時

26

27

2~

3)

教師 C は 4 年から 継続 。 休 む理 由 い ろ い ろ 経歴等  小学校での教職経験のみ。 途 中で 埋蔵 文 化財 センターで 主 事を経験。専門は 社 会科。 支援の特徴  い ろ い ろ 理 由 を 挙げ て欠席し, 不登校になった。 教師 C は本人との関わりは 薄 かったが, 家 ( 親が経 営 している ロ ッ ジ ) にいると本人を 尊 重 してくれる人 がたく さ んいて, 居 心 地 がよ すぎ ると 思 っている。 友だちとの関わりや学習を中心に, 学校に 目 が 向 くように支援している。 しかし 最後 までよく 分 からないと 感じ た事例 のようである。

支援の立場

担任

(8)

教師による不登校の

11

支援方法

家庭連携

組織的支援

心的支援

登校支援

指導的支援

専門機関連携

教師

被支援 児童生徒

関係維持

家庭支援

校内援助源

別室登校

意欲喚起

児童生徒支持

人間関係調整

登校援助

学習指導

生活指導

専門機関連携

No

.4

D

小学生

・ 担任, 教頭, 学年主任が母 親の話を聞い た ・養護教諭や 担任にお迎え に行ってもら った ・保健室登校 をさせた ・情障学級で 過ごしたこと もある ・中学クラス編 成で友だちと一 緒にした ・対人関係ゲー ムで関係づくり をした ・保健室で友人 と給食を食べた ・担任や養護 教諭がお迎え に行ったが, 登校には至ら なかった ・市の相談員 もお迎えに行 った ・プリントを 届けた ・母親が夜に 働いていたの で昼夜逆転し ており, 改善 を指導した ・市の相談員 ・保健師家庭訪 問 ・児 童相談所と 相談し, 学 校 で は手に負えない と考え, 施設に 戻 そうとしたが , 本人が拒んだ

性別

男男

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

48

27

6

支援時

48

27

小 5 で転入。 以前は施設 入所 経歴等  荒れた中学校で生徒指導主事を経験。小学校経験も多い。集団づくりに関心があり,ソニー教育賞受賞。大学院で学級集団づくりを研究。 支援の特徴  母 親 再 婚に伴う親 子 同 居 であったが, 親 に養 育 力 がなく , 家 庭への介 入が必 要な事 例 。 父 親も若く ( 母 40 ,父 23 ) 支 援 困 難 。 以 前 育 っ た 施 設 は本 人が拒み, さらに支援困難。 学 年主任 (教師 D ) が 交換授業でその学級で友だち作りのゲームをしている。 担 任による対象児童とのリレーション作りに, 学年主任は不適切感を感じ ている。学年主任として,同学年他学級の不登校児童の支援のありかたに難しさを感じるが,実際には多くの現場で起きていることであり,参考になる事例だろう。

支援の立場

学年主任

No

.5

E

小学生

・家庭訪問し て遊んだ ・友だちがプ リントを届け た ・同僚の先生 に相談し, 見 に 来 てくれた ・行事への参 加を促した ・学級オリンピ ックで友と関わ れるよう配慮 ・エンカウンタ ーをやったが本 人はくだらない と感じていたと 思う ・教師 E がカ ウンセラーに相 談した

性別

男男

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

50

27

5~

6

支援時

37

38

14

15

行事は出る が学級活動 になじめな い 経歴等  小学校経験が多い。支援当時,学級にもう一人不登校児童がいて,支援が大変だった。 支援の特徴  いろいろ支援したが卒業時に 「先生何がいけなかった?」 と児童に聞いたら, 「先生, 熱血だからなあ」 という返事。 これにより自分の学級経営を見直した という。 多様な学級活動に力を入れ, それが本人には気に入らなかったのかもしれないと考察している。 その後中学, 高校と欠席, 登校を繰り返し, 大学医学部在籍。 小 学校時代も勉強はできた。教師 E は積極的不登校と分析していたが,自分が不登校にしたのではないかという思いも強かった。父親は医者で教員嫌いだが,対立はしてい なかった。

支援の立場

担任

No

.6

F

小学生

・毎日のよう に家庭訪問し 関係づくりと 維持 に 努 めた ・友だちがプ リントを届け た ・母親 に SC * 1 に相談 す る事 を 勧 めたが, だめだった ・母親に 勤 め に出ることを 勧め, 勤 め出 す と 明 るくな った ・ 旧 担任も家 庭訪問 ・校 長 が母親 面 談 ・小中 連絡会 で 報告 。中 学 は家庭 状況 に 理解 なく支援 しなかった ・ 運 動, ゲー ムを一緒にや った ・対人関係ゲー ムをやったが, あま り 楽 しそう ではなく, 次回 は拒 否 した ・ 新 教室の訪 問 ・放課 後登校 で 職 員室で先 生 方 にあいさ つ させた ・教室で母親 と3 人でソ フ ト バ レーを 楽 しんだ ・学 習 プリン トを届けた ・学 習 の 進 み 具合 を気にし たので, 教室 の様子を話し た ・適 応 指導教室 に毎日 通 い, 遊 んだり学 習 した りした

性別

男男

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

40

16

4~

6

支援時

33

35

9~

11

母親がう つ 病 。 兄姉 も 不登校 経歴等  発達 支援の事例研究 会 に若いときから参加し,大学院では対人関係ゲームによる学級集団づくりを研究。小学校経験が多い。 支援の特徴  担任になった時は す でに不登校 状 態 で, 4 月 は毎日家庭訪問をしリレーション作りに 励 み,その後も卒業 ま で 2 日に 1 回 は訪問を 続 けた。母親がう つ病 で 兄 姉 も不登校。 卒業 ま でには登校させたいと強く 願 う。 本人の 元 気と母親の健 康 ま で考え, 友だちとの関係を切らせないようによく配慮している。 受け 持 ったときは不登校 になっていた児童との 3 年 間 の 苦闘 である。集団づくりや学級経営に力を入れる教師 F としては,なんとしても学校 復帰 をさせたいという思いが強かったと思う。卒業 間 際に 少 し登校できるようになった。

支援の立場

担任

* 1) SC : スクー ル カウンセラー

(9)

教師による不登校の

11

支援方法

家庭連携

組織的支援

心的支援

登校支援

指導的支援

専門機関連携

教師

被支援 児童生徒

関係維持

家庭支援

校内援助源

別室登校

意欲喚起

児童生徒支持

人間関係調整

登校援助

学習指導

生活指導

専門機関連携

No

.7

G

小学生

・友だちや担 任と一緒に遊 んだ ・本人の絵を 褒め関係づく りした ・母親の話を よく聞いた ・学年職員が 声掛け ・養護教諭か ら情報をもら い, 保健室か ら教室へ連れ てきてくれた (保健室に居 つかないよう に) ・別室登校さ せないように 共通理解した ・絵を書くの が好 きなので , 褒めたりして 意欲喚起した ・対人関係ゲー ムで関係づけの ゲームを楽しん だ ・強い子の影響 排除 ・たびたび担 任がお迎えに 行った ・行事への参 加を促した ・登校が少し できるように なって, トー クン (猫のシ ール) で 早起 指導した。 し かし母親が実 行できなかっ た ・発達支援の事 例研究会で事例 を報告し, 検 討 してもらった

性別

女女

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

43

20

1

支援時

38

15

入学式翌日 から母親同 伴。 4 人兄 弟末っ子 経歴等  小学校のみの経験。現職で大学院へ行き,学級集団づくりを学ぶ。 支援の特徴  保育園時代からの不登校で,母親と遅刻登園を繰り返していた。友だち作りや行事などで少しずつ学校や学級に慣れさせていった。 4 人兄弟の末っ子で姉も 不登校で,母親に悲壮感がなく,ほとんど担任一人で対応していた。担任は 2 年次に転勤のため担当を離れた。

支援の立場

担任

No

.8

H

小学生

・特支学級で 活動 (・担任が家 庭訪問して父 親と面談。 母 親は病気) (・担任が毎 日, 適応指導 教室へ会いに 行った) ・担任と一緒 に父親と三者 面談 ・中学校参観 に連れ て 行き, 不安を取り除 いた ・自分が担任 をする特支学 級で受け入れ, 仲間と一緒に 活動した ・友だちを偶然 を装って会わせ た ・次第に学級 へ ・適応指導教室 を勧め, 通い出 した ・家庭相談員, 指導員 と 検討会議 ・市の教育相談 に依頼した ・精神保健福祉 センター ・児童相談所

性別

女男

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

48

26

5~

6

支援時

46

47

24

25

母親は統合 失調症。 本 人は発達障 害の疑い 経歴等  小学校での特別支援学級担任が長い。 支援の特徴  特別支援教育コーディネーターとして関係者を集めて支援会議を開催したり, 自分が担任をする情緒障害学級 ( 特別支援学級) へ受け入れて仲間と活動を させたりした。家庭訪問相談員,適応指導教室,市の教育相談,担任等多くの援助資源を駆使して連携し,多様な援助をしている。しかし,教師 H は自分が支援の中心に なるのではなく, 学年会が主体の支援にした方がよかったかも知れないと 振 り返っている。 母親は統合失調症, 児童本人も発達障害が疑われ, 学級・学校だけでは 困 難 な 事例かも知れない。

支援の立場

特支

* 2

コー

No

.9

I

小学生

・担任が プ リ ントを 届 けた ・母親と毎日 話した ・父母同 席 の 支援会議 ・支援会議の 開催 ・担任, 相談 室, 教 頭 等の 支援 チ ームの コーディネー トをした ・教 頭 が WI SK を実 施 した ・相談室と保 健室では楽し く遊んでいる 感じ だった ・教師 I の知 障学級 に 誘 い, そ こ で 過ご し たがク ラス で 支 配的 な 存在 になってし ま った ・ 得 意な 運 動 で友だちと関 わるよう促し た ・ 給食 は仲間の いる教室で 食べ た ・ フ リ ー ス ク ールやいくつ もの適応指導 教室を 紹介 し たが, 都 合の よいと ころ へ 行くだけ ・病院で 薬 を 処 方されたが 副 作 用 で不登校, 適 応指導教室を 紹 介 ・母親 SC に相 談

性別

女男

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

47

25

4

支援時

46

24

低 学年か ら 休 みがち。 言語性 低 い。 自 中心 的 経歴等  小学校の特別支援学級担任や特別支援学校の経験が長い。 支援の特徴  低 学年から 休 みがち。 3 週 間 休 んで支援 チ ームが出 来 , そ の間に母親は ス クール カウ ンセ ラ ーに相談。発達障害なのか病気なのか 怠 学なのか 判 然とせず, ア セ ス メ ントに 苦労 している。 学 級はいやだが校 内 の 他 の 場 所では楽しく遊んでいるという 印象 なので, 可愛 く 思 えないというのが支援者の共通の 思 い。 コーディネーター として様 々 な支援者をつな ぎ , 専門 性 の 高 い人 材 ( ア セ ス メ ントができる教 頭 等)もいる。父 性 的 な対応が 必要 だったかも知れないと 振 り返っている。

支援の立場

特支コー

* 2) 特支コー : 特別支援教育コーディネーター

(10)

教師による不登校の

11

支援方法

家庭連携

組織的支援

心的支援

登校支援

指導的支援

専門機関連携

教師

被支援 児童生徒

関係維持

家庭支援

校内援助源

別室登校

意欲喚起

児童生徒支持

人間関係調整

登校援助

学習指導

生活指導

専門機関連携

No

.1

0

J

小学生

・家庭訪問し た ・友だちが家 庭へ行って遊 ぶ ・中学生の兄 の不登校で苦 しんでいる母 親の話をよく 聞いた ・新卒指導教 員に相談 ・養護教員に 相談 ・時間割を変 えて授業に出 やすいように し, 参加を促 した ・フリースク ール, 中 間教 室, 学校の 3 つから自分の 居場所を選択 させた。 (本 人は登校を選 んだ) ・プリントや 学校で個別支 援した ・朝起きるよ うに指導した

性別

女女

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

30

8)

4~

6

支援時

22

24

1~

3)

週明けに休 み多く, 夏 休み明けか ら不登校 経歴等  面接時は育児休業中。新卒で小学校勤務し,いきなり不登校支援を経験した。 支援の特徴  教師 J は初任であり指導教官が不登校支援の支えになっていた。 兄の不登校に母親が気を取られ, 本人は学校生活に困難がなくとも休んでしまう。 教師 J ら支援者には気まぐれで休んでいるように感じ, フリースクール, 適 応指導教室, 学校への登校を選択させ, 「登校」 を選ばせている。 これで実際に登校できた。 いろい ろな立場の相談員がいるから自分自身も相談できてよかったという。 父母の在り方などを SC に働きかけてもらうことも, 今ならできたかも知れないと振り返り, 支援の 在り方を学んだようである。

支援の立場

担任

No

.1

1

K

小学生

・関係づくり のために家庭 訪問して遊ん だ ・一緒にリコ ーダーの練習 をした ・夏休中に家 庭訪問をして 遊んだ ・教頭, 学年 主任に相談 ・旧担任に相 談 ・学年会で相 談 ・リコーダー を勧め意欲, 自信をひきだ した ・帰りたいとき には引き留めず に帰らせた ・初期は 「もう 少し学校にいた ら?」 と無理強 いした ・仲よくつきあ う友だちを支持 した ・班づくりで配 慮した ・中学クラス編 成配慮 ・母親に送っ てもらった ・プリントで 添削した ・家の手伝い をさせるよう 校長 に言わ れ, 母親や本人に 指導した

性別

女女

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

45

22

4

支援時

29

6)

1 年生から 母子分離不 安で休みが ち。 経歴等  公立小学校の教員を 10 年務め,一旦退職後非常勤で学習習慣形成教員をして,主に小学校低学年の学習支援に入っている。 支援の特徴  低学年から不登校が続き, 4 年生で受け持つ。本人との関係づくりに力を入れよく遊んでいるが,子ども同士の関係づくりと専門家への相談が足りなかった と振り返っている。 しかし SC 導入前の不登校支援で, 担任が抱えて支援することが普通の時代であった。 校内での担任への支援はそれなりにできている。 受け持った時 点で不登校状態の子どもをどのように支援するかは,まず担任の支援意欲にかかっているようである。

支援の立場

担任

No

.1

2

L

中学生

・家庭訪問や 部活での指導 ・母親の話を よく聞いた ・吹奏楽部に 入部を勧める ・前籍校と情 報交換した ・翻訳の夢語 る ・吹奏楽部を を勧めクラリ ネッ トに取り 組 んだ ・友だちが手 紙 を 書 いた ・女子とのトラ ブル 解決 に立ち 会った ・プリントを 渡した ・適応指導教室 で英 語の 勉 強 ・ 病院 で 若 年 性 うつ 病 と 診 断 さ れた ・母親が SC に 相談

性別

女女

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

30

7)

3

支援時

26

3)

前籍校で不 登校。 再 起 をかけた 転 校 経歴等  専門は 音 楽。中学校 1 校経験。面接時は小学校学 級 担任。 支援の特徴  不登校のため中 3 の 5 月 に 転 入してきた生 徒 の支援。 本人はやり 直 しの気持ちで 1 週間登校したが 「 疲 れた」 と 欠席 。教 師 L が 顧 問を務める吹奏楽部入部 を勧め, 副 担任 兼 部活 顧 問として支援を 継 続。 担任らと一緒に家庭訪問をしたり, 進路 指導をしたりしている。 対 人不安が強く, 特 に 男 の 先 生が苦手なため 若 い女 性 教師 である自分 (教師 L )が 何 とか支援しなければという 思 いでいた。 副 担任, 部活 顧 問という中学ならではの シ ス テム を 有効 に活 用 している。 山 間 地 の小 規模 校だからこそ できた支援かも知れないが,それしか援 助資源 がなかったと 捉 えることもできる。

支援の立場

担任

部活

(11)

教師による不登校の

11

支援方法

家庭連携

組織的支援

心的支援

登校支援

指導的支援

専門機関連携

教師

被支援 児童生徒

関係維持

家庭支援

校内援助源

別室登校

意欲喚起

児童生徒支持

人間関係調整

登校援助

学習指導

生活指導

専門機関連携

No

.1

3

M

中学生

・毎週, 勉強 を教えに家庭 へ行って関わ りづくりをし た ・母親の愚痴 をよく聞いた ・父は P T A 会長で, 学校 の授業で蕎麦 打ちなどをし てくれた ・教師 M が 支援会議のま とめ役だった ので, こ の事 例も検討して いた ・教師 M の 社会科研究室 で勉強を教え た ・本人からの話 もよく聞いた ・本人の様子を 学級で話し た り , 学級便りでも伝 え, クラスの一 員であることを 忘れないように 支援した ・朝, お 迎え をした ・ 3年間毎週, 日曜日に家庭 訪問して勉強 を教えた

性別

男女

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

50

28

1~

3

支援時

38

40

16

18

小 5 から不 登校。 入学 後関係づく りからつま ずく 経歴等  中学校をずっと経験してきた。生徒指導や生徒会を主に担当。専門は社会科。県教委で生徒指導担当の指導主事の後,中学校で教頭。面接時は高校の教頭。 支援の特徴  入学時からの不登校で, 3 年間毎週休日に家庭訪問をして学習支援を継続した。 チーム支援ができていた中学校だそうであるが, あまりにも不登校生徒が 多く, 他 の先生方には頼れなかったという。 教師 M は自分の家庭を犠牲にしてまで休日の学習支援を続け, 高校進学が可能になった。 振り返って自分の話も誰かに聞い てもらいたかったと言うが,荒れた不登校生徒の多い中学校で,チーム支援を行うことの困難さを感じる。しかし,なぜと思う。他の支援方法はなかったのか。

支援の立場

担任

No

.1

4

N

小学生

・家庭訪問し て遊んだ ・友だちがプ リントを届け た ・母親と面談 した ・養護教諭に 相談した ・事務職員が 遊び相手にな ってくれた ・特支担任に 言葉の指導を してもらった ・切り絵や剣 玉が得意で, よくやらせた ・担任に寄って きた時はよく話 した ・人と違ってい てもいいことを 全体指導した ・班づくりで配 慮した ・遊びによく誘 った ・母親と一つ 布団で寝るこ とをやめるよ うに指導した ・私服の清潔 を保つことと 着替えること を指導した ・児童精神科受 診 ・SC , 家庭児童 相談員

性別

女女

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

41

18

5~

6

支援時

40

41

17

18

以前から友 達との関わ りが少なく 変な子と見 られる 経歴等  現職で大学院の心理臨床課程で学び, 臨床心理士資格を取得。 学年に不登校児童が多く, 心理臨床や教育カウンセリングを学ぶ。 小 学校のみの経験だが, 音楽 専科の経験もある。教育相談や生徒指導の担当が多かった。特別支援教育コーディネーターも 兼ね ている。 支援の特徴  人と 視線 が 合 わせられずうまく関われない児童の支援。 うまく 走 れないなどで友だちからも 「 おかしな子 」 と見られがち。 母 親も話が支 離滅裂 になってし まい, 兄弟 も不登校など, 家 庭支援にも 苦労 している。 専門 性 を 活 かして ア セス メ ントしているが, 限界 を感じている。 教師自 身 の専門 性 を 活 かした不登校支援が 参考 に なる。

支援の立場

担任

No

.1

5

O

中学生

・母親と担任 とよく話した ・担任 ( 初 任) は毎日保 健 室 へ 顔 を 出 し, 母親と本人の 信頼を得てい た ・支援会議, 生徒指導, SC ,担 任 , 養護教諭 ・養護教諭が 保健 室登校を 勧 めた。 ( ひ どい ア ト ピ ー と不 定愁訴 が あったせいか , 人に会うこと を拒 んだ) 保 健 室 内 の 個 室 を 用 意 ・得意な絵を 教室に 掲示 ・毎日 数 人の友 だちに 給食 を保 健 室へ 運ば せた ・ 2 年になっ て担任が教室 へ促 したが 拒 否 した ・登 山 には教 師 O と一 緒 に 登った ・保 健 室で 数 学の授業をや った ・担任が保 健 室で勉強を教 えた ・ SC ,母 ,本 人 相談 ・SC 毎日 F AX で相談 ・病 院を 勧 め 起 立 性 調節障害 と 診 断 された

性別

女女

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

43

19

1~

2

支援時

32

33

8~

9)

全 身 の 重症 な ア ト ピ ー。 入学して す ぐ 頭 痛 , 吐 き 気 で保 健 室へ 経歴等  看 護師を 2 年務め, その後保 健 師を 1 年経験の後, 養護教諭になった。 看 護師や保 健 師の経験は養護教諭として子どもたちと接 す るために役に 立 っているとい う。特に家 族 を 含 めた子どもの見方ができるようになった。家庭や専門 機 関との 連携 に役 立 っているという。 支援の特徴  ア ト ピ ーが不登校の 原因 かどうかは分からないが, 養護の面から高いスト レ スはや む を得ないと感じ, 全 職員 納 得のもとで保 健 室登校させ, 養護教諭中心 に支援してきた事例。 専 門 機 関や SC などともよく 連携 している。 しかし自分が他校に 転 任して, 違う支援タ イ プの養護教諭が関わったことで高校進学が 果 たせたのかも 知 れないと,自分の支援の 在 り方を振り返っている。

支援の立場

養護教諭

(12)

教師による不登校の

11

支援方法

家庭連携

組織的支援

心的支援

登校支援

指導的支援

専門機関連携

教師

被支援 児童生徒

関係維持

家庭支援

校内援助源

別室登校

意欲喚起

児童生徒支持

人間関係調整

登校援助

学習指導

生活指導

専門機関連携

No

.1

6

P

小学生

・母親とメー ルのやり取り をし安心感を もたせた ・保健室で母 親の話を聞い て支援 ・母親のヒス テリーや不安 を受け止めよ うと気を配っ た ・家庭内の相 談にものった ・中学との情 報交換 ・中学の担任 を女性にして もらった ・担任と一緒 に保健室登校 を勧め, 母親 同伴で居場所 にするように なった ・相談室を居 場所にしたこ ともある ・将来パン屋 になりたいと いう夢を活か し, パンを焼 いて先生方に 配った ・話しかけの SST * 3 ・クラスの友だ ちと会わせよう としても, 母 親 の都合で予定が すぐ変更になっ て困った ・保健室で学 習支援 ( 音楽 会の練習, 総 合学習の発表 練習など)

性別

女女

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

48

22

4~

6

支援時

44

46

18

20

クラス替え 後に友人と トラブルで 不登校 経歴等  遺伝子工学が学びたくて医療短大へ進学し, 看護師を目指したが, 子どもに負担の大きい治療が大変で, 養 護教諭を目指した。 公 立小中学校で養護教諭として 不登校支援にも取り組んできた。病院の心療内科の先生の勉強会に参加している。地域の養護教諭の勉強会の中心メンバー。 支援の特徴  保健室で本人と母親を抱え, 担任と連携しながら長期にわたって支援した事例。 母親への支援が困難で本人の不登校問題を大きくしているようである。 ま た, 母親の精神的な不安定さに振り回され, SC などの援助資源の有効活用があまりなされていない。 今なら母親に対して専門機関への受診などを勧めていると振り返っ ている。

支援の立場

養護教諭

No

.1

7

Q

中学生

・本人とメー ルをやりとり し, 関係づく りができた ・プリントを 届けた ・母親からの メールには丁 寧に対応し, 何度もやりと りした ・学年会で同 僚に相談した ・担任と同じ 趣味をメール で話した ・教師 Q が 顧問を務める 部活で意欲喚 起 ・適応指導教室 を勧める

性別

男男

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

46

24

1

支援時

43

21

部活での友 人関係, 父 親の過度な 期待 経歴等  教職経験は中学校のみ。専門は技術家庭科。 P C が得意で情報係の経験が多い。小学校の免許は持っているが経験はない。 支援の特徴  荒れた学級,複数の不登校生徒を抱え,大変苦労していた。そんな中でこの不登校支援事例は教師 Q にとっては「オアシス」となっていたという。理由は, 不登校生徒本人ともその母親ともリレーシ ョ ンがとれ, 責 められるわけでもなく, 共通 の趣味の話でメールの交換ができたから。 積極 的な人 間 関係 改善 などをしたわけで はないが 結果 的に不登校生徒も 元 気になった。 学級経 営 に苦 手 意 識 を持 つ 教師 Q にとって 確 かにクラスは荒れたかも 知 れないが, この不登校生徒にとっては教師 Q の支 援方 法 は意味があったと 思 われる。

支援の立場

担任

部活顧問

No

.1

8

R

小学生

・担任と同じ テレ ビ を 観 て 楽しんだ ( 共 通 の話題がで きた) ・連 絡帳 を届 けた ・家庭 (母親) からの 休 ませ る 申 し 出 を 容 認 した ・ 前 担任には 話をして相談 した ・本人が 休 みた いと 言 ったとき は 休 ませた

性別

女男

年齢

(教職

経験 年数)

面接時

46

23

4~

6

支援時

37

39

14

16

低 学年から たまに 休む ことは 前 担 任も 了承 経歴等  専門は 図 工 美 術教 育 。 中学校での教職経験は 1 校のみで 美 術と 国語 の教科担任をしていた。 小学校経験が多い。 聾児 を受け持った経験がある。 面接時 は小学校 で 5 年生の学年 主 任であった。 支援の特徴  担任になったときには, 前 担任と家庭との 間 の 約束 でたまに 休 ませることを 認 める 状況 ができていた。 そ れで 完全 な不登校にならないでいられるならよし とする 状態 が 続 いた。 学 校では問題なかったが, 本人は 「 八 方 美 人的」 な ので, 疲 れるのかなあと 思 っていたらしい。 母親と 前 担任の支援方 針 にしたがい, 積極 的な支援 は 行 っていない。

支援の立場

担任

* 3) SS T : ソ ーシ ャ ルス キ ルトレー ニ ン グ

(13)

IV 今後の課題

このように不登校支援の決定には「教師の認知信念」や「教師の個性」,あるいは「学校環境」,

「事例の固有性」などが関係しているように思われる。しかし,なぜそのような支援に至ったのか,

あるいはなぜその支援をしなかったのか,その決定にまつわる背景や教師の信念などについては詳し

く聞き取れていない。また,その効果についても詳しく聞き取れてない事例が多い。今回の調査を予

備調査として 18事例の中からいくつか再面接を行い,具体的な支援方法についてその背景を探るた

めのインタビューを行うことで,不登校支援の様相をさらに詳しく分析する必要がある。

引用文献

浅野房雄(1990) 欠席の多い児童に関する調査(資料) カウンセリング研究,23(2),158169

石隈利紀(1999)『学校心理学』 誠信書房

小沢美代子(2008) 不登校の子どもへの適切な登校刺激 教育と医学 353359

小野 修(1972) 登校拒否の基礎的研究 1.香川県における 1調査 児童精神医学とその近接領域 13(4),

250259

岸田幸弘(2002) 日本カウンセリング学会 第 35回大会発表論文集 150

岸田幸弘(2003) リソースマップ 月刊学校教育相談 5月号 2629

岸田幸弘(2008) 日本カウンセリング学会 第 41回大会発表論文集 220

杉本希映,庄司一子(2007) 中学生における「居場所」の有無と不登校傾向との関連の検討 日本教育心理学

会総会発表論文集 286

田上不二夫(2003)『対人関係ゲームによる仲間づくり』 金子書房

田上不二夫(2007)『対人関係ゲーム活用マニュアル』 東洋館出版社

保坂 亨(2000)『学校を欠席する子どもたち』 東京大学出版会

保坂 亨(2002) 不登校をめぐる歴史現状課題 教育心理学年報第 41集 157169

古川八郎菱山洋子(1980)学校ぎらいの統計研究(1)東京都における出現率の推移と社会的要因の考察

児童青年精神医学とその近接領域,21,300309

室田洋子柴田雅子他(1984) 区立小中学校にみる登校拒否児の発生状況について 教育心理学研究,25(1),

5152

村山正治内山喜久雄(1972)『講座 情緒障害児.4 登校拒否児』 黎明書房

山本 奬(2007) 不登校状態に有効な教師による支援方法 教育心理学研究 55(4),6071

渡辺亜矢子(1992) 東京都公立中学校における「学校ぎらい」出現率の学校差および地域差 生徒指導研究 9,

143162

(きしだ ゆきひろ

初等教育学科)

参照

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