多軸行列法による三相誘導電動機の特性
杉浦修 (昭和49年8月31日受理)
Characteristics of Three Phase Induction Motor
Analyzed by Poly Axis Matrix Method
OsamuSUGIURA
Ahstr孔Ct
Various alternating machines have been analyzed by the poly-aXis matrix method. But the theoretical results fromit do scarcely be comparedwith theresultsoptained by the ampere turnmethod.Usingthreephaseinductionmotor,therelationbetween the former and thelatterisinvestigated.
Itis concluded that the same equivalent circuit and circle diagram are obtained. Furthermore an another equivalent circuitisintroduced from the analysis ofthe POly・aXis matrix method,and a new measuring method of theinduction motor
constantsis proposed by the author.
1.まえがき 今まで,多軸行列法1)によって各種の交流機の解析 を行ってきたが,一般的に使用されている方法との関 係が,はっきりしていなかった。そこで本文では,三 相誘導電動機について,多軸行列法によって求められ た結果と,アンペアターン法2)による結果との関係を 調べた。また,新しい三相誘導電動機の定数測定法を 考案したので報告する。
2.理 論 式
三相誘導電動機の巻線モデルは図-1のようになる。 a,b,Cの三相巻線は固定子側で三相平衡電圧が印加 され,電機子電流が各巻線を流れている。回転子側は 3相巻線で表すのが一般的であるが,三相同期横に利 用することを考慮して,図-1のごとくd,q軸で表さ れている。.Rlは電機子巻線抵抗,Rd=Rqは回転子 側のd,q軸の抵抗,エ1は電機子巻線の自己イソダ クタンス,エd=上せはd,q軸の自己インダクタソス, 〟1ほ固定子巻線間の相互インダクタソス,〟d=〟官 は固定子巻線と回転子巻線間の最大相互インダクタン スである。前報告3)において,界磁巻線がなくて,突 極がなく,円筒形であるという条件にすれば,前報告 は三相誘導電動機の解析結果となる。前報告に,この 条件を代入すれば, Ⅹ。=gmJ=Ⅹ肌′d=0,Rd=月α,Ⅹd=Ⅹせ=田上ゎ Ⅹ肌d=Ⅹ仰せ=雪の机,R′=Ⅹ′=∞,すべり ぶ=(炒。一叫)/の。 となるためⅩ肌′=Ⅹ朗2=0,Ⅹ頼=gl二詔警告,
虎′=∞,Ⅹ1=α(エ1+〟1) ° 11′=j与=112=0,電源周波数と同一周波成分の電一 ° 流111は a有げル
図-1誘導電動機の巻線 Fig.1Windingmodel. ofinduction motor.i・i−R璃㌃
したがって,電機子電流i。は,次式のようになる。i・・Tt、鑑,、1…(tut+Pii)(…)
つぎに,τr=τf ・O,Iqi=−jld1,1,,== ldf=lq2=0∫・1−R漂翫f・・の条件を前報告のトルクの式
・に代入すると. ・一元甜{一∫1・*i・i+7・・∫・・*} +ス計∫1・fqi*+ii・i・1} +÷|−i・∫・・1・i・(・S・・t+β・6) +芸・1;11∫・11…(・Sω・+β・・)−b・謬轟1云・12 (・・2)
から,トルクが求まる。ただし, β。6=∠(−1nldi),β。8=∠(ln lai)である。3.等価回路
誘導電動機の固定子巻線の自己インダクタンスL, ・は有効分L,eと漏れ分1、との和である。回転子側も 同様で L1=Lie十1, Ld=Lde十ld と表せる。固定子巻線間の相互イングクタンス.M、は 一ルち一TL・・ である。固定子巻線と回転子巻線間の最大相互イソダ クタンスM,は M,=V’Lle・Lde である。したがって, X1一ω(L,+M1)一ωGL1・+1・)=・ t1・+xlt Xd=ω(Lde+ld)=Xde+tdlXmd一乎ω批一乎ωw㍍・Lde−v …疏
となる。x、,は固定子巻線の有効分自己リアクタンス でエ1Lはその漏れリアクタンス, Xdeは回転子巻線の 有効分自己リアクタンスで,XdZはその漏れリアクタ ソスである。 つぎに,以下のような,漏れ係数を定義する。 σ1−・一│一晋
炉・一一│一一受
a2Rd/s 1・, 」αXdt合
図一2 誘導電動機の等価回路 Fig.2 Conventional epuivalent circuit of induction moter. の・一・一 譏U一・−iiiiXlig}{9}id2 漏れ係数の3つの式から, (1一σ、2)=(1一σ1)(1一σ、) が導びかれる。 (2.1)式は1。=V/Z、と表されるから,電源から見 たインピーダンスZ1はz一
毎黷q,+元x,+藷織 (3・・)
である。(3.1)式を,これまでに与えられた関係を用 いて変形すると, Z1=R1十元σ1×1 十 1π=1i瀞亮+ 1
一ユ__+ 1」Xle瓢乎+斑・}
(3.3) 固定子と回転子巻線間の有効巻数比をaとすると, Xle 2 =a JUdθ であるから,(3.1)式は図一2のような回路が描ける。 図一2において,R、は固定子巻線抵抗, xユ1は固定子 巻線漏れリアクタンス,a2Rdは回転子巻線抵抗を固 定子側に換算した値,a2XdZは回転子巻線の漏れリア クタンスを固定子側に換算した値,Xl,は固定子巻線 の有効リアクタンスである。鉄損を考慮して抵抗を x、eと並列に置けば,アンペアターン法2)によって得 られる等価回路と同一である。この等価回路から誘導 電動機の円線図や諸特性が導びかれるが,一・般的に行 われている場合と同じ結果となることが明らかである ので,それらに関する説明は省略する2)。誘導電動機 の特性を具体的に計算するため各種の実験によって, 定数を測定する必要があるが,これも同じ実験を行え x/flSilii;ilig,ig.XG{一㌢+」のx・} (3.2) となる(付録)。 (3.2)式は,つぎのようにも書ける。 21=R、+元工、L+ 1、I R、 jx・ =j(X・−2Xnd2/Xd) il
l勢
Ir 〉_.⊥______ jx、=j 2 Xnd…シXd Rr/S=(2 Xnd 2/Xd) ×(Rd/Xd)(1/S) 図一3別解による等価回路 Fig.3 Another equivalent circuit introduced by the poly.axis ブ(・一・・2)Xi+(・−a12)・漂 (4.1) が求まる。(4.1)式は,つぎのようにも書ける。 Z−R・+」(X一2鷲2) matrix method. ばよい。すなわち,多軸行列法によって解析された三 相誘導電動機の特性は,アンペアターン法によって得 られた結果とまったく同じとなることがわかった。 4.別解による等価回路 (3.1)式のインピー一ダンスZ1は 2・・=(R1十元X1)(Rd十ゴSX, Rd+」8Xd)+2SX・d2と難㍍璽欝驚RD
−Rd(R1+元al2x,)−1…『…1≡巴}≦豊『元Rdx,のように㌫蕊㌶籔過程によつ.(,
2・−R1+」φ・X・+ 、 1、
+12:Xllliz::zimd2)+蔭)廊(‘・ 2) (4.2)式より,図一3のごとき,1新しい等価回路が描 ける。図一3の特徴は図一2と異なって,漏れ分に対す る定数がなく,そのかわり固定子と回転子間の相互リ アクタソスが存在することである。また,図一2より, いくらか回路が簡単となっている。この等価回路から 誘導電動機の諸特性を求めると, 一次入力 P、=3VI・ノcosP〔W〕 一次銅損Ptl=3(1,1)2Rl〔W〕 二次銅損 Pt2 ・= 3(lr)2Rr〔W〕 蹴的出力P・・ 3(・・)・i1毛8)R・〔W〕トルク丁
ヘ一5)=蒜(埠〔N’m〕
R1 B C A β X、/2 0 X、 0ノ B’ β Cノ A!1
jx, R。/s」手帥心をもち願・樋る円cとなる・
③2・=R・噛
嶽働主図
一4のようilc R,+jxぷだけ,原点を0から0’に 移した場合の円Cである。 (4)7、’=↓の軌跡は,原点0’からみた円Cの Z1 逆図形4)を描くと,図一4の円Cノが得られ,これ に電圧V倍すると電流の軌跡が求まる。 図一4において,円Cの半径RはR=Xe/2F、苦4隠鷲艦質㍍。,1。,。,.
欝の㌶つぎの手順で描け6。
(・)毒+R7T,の軌蹴図一4のたて座標
一嬬を通り横軸と平行な醜となる・
(・)・:・嚇⊇・のたて軸上の
願’に対する円Cの恥座標は(R・・x・+手)
横軸と《πとのなす角βはβ一・・n−・(X・]2)
円ctの半径R・はR’一丁(1 10A OB) _ Xe/2 R、2+Xぷ(Xs+X,) 原点O’と円C’の中心間の長さ0∫C’はσσ一・一,B,+R,一爵鵠譜鶏2
γ β C! 0’ 毛 0” ↑ 図一5電流軌跡 Fig.5 Current locus. Pi
−←一
Ie 0 R1 jX、→v
図一6Po−V曲線 Fig.6 Po−V Curve. 図一4をもとに,電流1,の円線図を描くと図一5の ようになる。図一5では,鉄損を考慮して鉄損分に相当 する抵抗瓦が.電流に並列につながれているものとす る(図一3の点線のRiの部分)。 O/0”は鉄損電流Iiで Ii=V/Ri たて軸と0℃ノ間の角βは β一・・n−1(Xs+X,/2 R,) 原点0”に対する円Cノの中心の座標は嚇標R、毒鵠詰)v・
たて座標{貢+R、2+X捻醐}V
円Cノの半径R’はR’−R12+煮隻。瑚γ
つぎに,定数測定法について述べる。 (1)一次巻線抵抗測定試験 直流電圧を一次巻線端子間に加え,電圧降下法によ ってt(°C)における抵抗R1ノを求める。基準温度 T(°C)の値に換算した抵抗R,を(4.3)式によって 定める。 R・ 一 −li’Riノ鑑篶〔Ω〕 (・.・) 図一7 無負荷時の等価回路 Fig.7 Equivalent circuit at no Ioad. 測定は,巻線の温度上昇を防ぐため,すみやかに,か つ小電流にて行う。 (2)鉄損Piと機械損Pmの分離試験 誘導電動機を無負荷で運転し,印加電圧Vを,しだ いに低くしていき,回転数が同期速度より,あまり落 ちない電圧まで無負荷電力P。を測定する。vとP。の 関係は図一6によって示され,Pmが常に一定値である ことから,PmとPiとが分離される。 (3)無負荷試験 無負荷のため,S≒Oとなり,図一3は図一7として 表される。Xユ>R、であるので Ri一コ・zli−V(五Vo)2−(十)2
(4)拘束試験 誘導電動機を拘束して,3相平衡電圧を印加すると (2.1)式より,電機子電流のベクトル表示1、はi。_ v
R・+元x1+念i¥1浩 したがって R藩后一丁{¥一(R,+元x、1α)} が求められ。 R藷ε一(鐙謬名{貢一」}=・ r・・一・7’・x・r とおくと 琶一芸・莞ゴーx・・{(貢)2+・} となるから,この値を定数として用いる。この実験で は,S=1で印加電圧が低いため,.Pm=0, Pi≒0で ある。 以上の4つの実験によって,図一3の等価回路の定数 が求まり,誘導電動機の諸特性を計算することができ る。 5. ま と め いままで述べたことから,つぎのことが明らかとな った。(1)多軸行列法によって求められた誘導電動機の特 性,等価回路,円線図は一般的に使用されている 場合5)と同一となる。 (2)多軸行列法の解析結果から,上記とは異なる等 価回路も得られ,前の回路より,いくぶん簡単な 回路となる。それより,誘導電動機の諸特性が求 まり,新たな円線図も描ける。 (3)解析結果を利用して,新しい定数測定法を考案 した。 終りに,この研究を進めるにあたり,いろいろ有益 な助言をくだされた山梨大学の数野教授に感謝の意を 表します。