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保育職志望の高校生における書き物に対する認識 -特に指導計画の作成に焦点を当てて-

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保育職志望の高校生における書き物に対する認識

―特に指導計画の作成に焦点を当てて―

永盛 善博

 本研究の目的は、保育職志望の高校生における書き物業務に対する認識を明らかにする ことにあった。そこで、本学子ども学科のオープンキャンパスに参加した高校生141名を 対象に、保育職に対するイメージや、書き物としてどのようなものがあるかを尋ねるアン ケート調査を行った。その結果、永盛(2012)と同じく保育者の仕事内容として指導計画 の作成があることは、回答にあまり出てこなかった。高校生のこのような認識の原因とし て、そもそもそこまで確固たる思いで保育職を志望しておらず、そのためそこまで念入り に保育者の仕事や保育者養成課程での学びについて把握しようとしていない可能性や、そ れでも連絡帳や記録といった指導計画の作成以外の書き物業務については決して無知では ないことを確認した。そしてこの認識を踏まえた指導計画の作成に関する指導について考 察を行った。

問題と目的

 本研究の目的は、保育職志望の高校生における書き物業務(特に指導計画・指導案 の作成)に対する認識を明らかにすることにある。  保育の仕事において、保育の記録や計画の作成といった書き物業務は、重要なもの であると同時に大きな負担となるものである。永盛(2016)が示したように、その大 変さは学生が思っていた以上である。永盛(2016)では、短期大学保育者養成課程の 学習を終えて卒業間近の学生91名を対象に、保育者の仕事と保育者養成課程での学び に関する入学前と入学後でのギャップについて尋ねており、保育者の仕事、養成課程 での学びのいずれにおいても「書き物」が1位となっている。また、木梨(2017)は 『もう「書く」「伝える」に困らない!保育で使える文章の教科書』の冒頭を「『保育 士がこんなにも文章を書く仕事だったなんて』保育士になったばかりの人たちから は、このような声が多く聞こえています」(p.9)という言葉から始めており、保育 現場に出てから真の大変さに気づくこともあるくらいである。その大変さは、時に、 ベテランの保育者でさえ仕事をやめようと思うことがあるくらいのものである(渡

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邉、2004)。最近では、一般向けの雑誌である『AERA』においてすら、「保育士が 忙しすぎる:書類作成に行事準備…トイレに行けず膀胱炎」(深澤、2016)という見 出しで記事が書かれているほどである。  数ある書き物業務の中でも、保育において計画を立てることは、保育者の専門性の 1つであり、保育活動の本質につながる部分である。たとえば三浦・垣内(2011)は、 保育者の専門性にかかわる指標として、月案・週案づくりといった指導計画の作成を 挙げている。また、吉村(2001)は保育者の仕事内容として実際に保育を行うことや 記録をとること、研修を行うこと、家庭との連携を進めることなどを挙げている中で、 保育の計画を立てることを第一に挙げている。さらに、日本の保育・幼児教育の大前 提となる『幼稚園教育要領』『保育所保育指針』(平成20年版)においても、それぞれ 「指導計画」「保育の計画」という名称を用いて1つの章が設けられているほどであ る1。また保育活動としても、白石(2015)は、「援助・指導は、保育者の意図的・ 計画的な行動である。行き当たりばったりの無計画な行動を、指導とは言わない。保 育者は、最善の努力を尽くし、慎重に自分の指導の意図を検討し、計画していかなけ ればならない」(p.21)と述べ、計画の作成義務だけでなく、計画の作成に最善の努 力を尽くすことまで求めている。また田中(2011)は、「保育は『保育所保育指針』 や『幼稚園教育要領』に基づいて進められ、思いつきや行き当たりばったりで行われ るものではありません。保育は意図的計画的な指導そのものです。それゆえに、「指 導計画」があります」(p.2)と保育を「計画的な指導そのもの」とまで言い切って いる。それは保育現場に就職してから始まることではなく、保育者養成課程で学ぶ段 階においても、指導計画を立てることは必須であり、「実習で最大の課題」「実習のな かでも最大のエネルギーを使うこと」(久富、2009)、「実習の最難関」(開、2012)と 言われるほど、重要なものである。  このように保育計画の作成は重要かつ大変なものであるが、このことに対する学生 の理解や、それを保育者の業務として受け入れる姿勢は、必ずしも好ましい状態とは 言えない。私のそもそもの問題意識は、保育者養成課程の学生の学びを、より意欲的 なものにするために、記録や指導案といった書き物に対する指導が重要な役割を果た すのではないかということから始まっている。保育者養成課程の学生、特に短期大学 の学生は2年間という限られた時間の中で保育士資格、幼稚園教諭免許状を取得する 必要がある。そのため、時間的・体力的・気力的に厳しいスケジュールの中で学びを 進めている。そのような学びを指導する中で私が感じたのは、実習の指導案や記録と いった書き物に難しさを感じ、学習意欲や保育者としての就職意欲が低下している学 生が多くいるということであった。  保育士不足が社会問題となっている中、保育現場に就職してから、自分が思い描い ていた保育現場と現実との違いにショックを受けて退職してしまう「リアリティ ショック」(たとえば谷川、2013)や早期離職(内田・松崎、2016など)の問題がある。 1 計画性や計画を立てること自体は、必ずしも書くことを伴うわけではない。ただ、「保育の仕 事は、指導案に限らず「書く」ということからは逃れることができません」(久富、2009、p.1) や「多くの現場が、保育を計画し、それを紙面に表し、実践できることを、1つの実習の達成、 つまりは保育者になるためのマイルストーンと考えています」(p.2)、「保育者は「書く」とい う営みから逃れることはできません」(谷川、2006、 p.3)と指摘されている。これらのことから、 本論文では、指導計画を立てることは、指導案を書くことと捉えることとする。

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また、渡邉(2004)が指摘しているように、ベテランであっても計画作成の大変さか ら仕事を辞めようと思うことがある。保育者養成課程、および保育者としての就職後 において指導計画の作成がこれらの問題の一因とならないためにも、丁寧な対応が必 要となる。永盛(2016)が示しているように、保育者養成課程への入学前と学び終え た後でギャップが大きかったのは、「書き物」に対する認識であった。したがって、 対応の1つとしては、保育者養成課程入学後の対応に加え、養成課程以前、すなわち 高校生の段階から保育者の書き物業務についてどのような認識を持っているのかを考 慮し、その認識を踏まえた対応をする必要があるだろう。  この点について、永盛(2012)は、入学する前の保育者志望の高校生が、保育者の 仕事内容をどのようなものと理解しているかを調べるために、約20名を対象にアン ケート調査を行った。その結果、子どもの成長援助や保護者との連携といった仕事内 容は理解していた。しかし、保育の計画を作成したり、日々の保育の記録を書いたり といった書き物業務は自由記述ではほとんど出現してこなかった。  このように保育計画の作成には重要な役割と大変さがあるにもかかわらず、なぜそ の重要さ、大変さが高校生に認知されていないのであろうか。この点について、高見 ら(1999)と山本ら(1999)による一連の研究が示唆的である。この研究では、高校 生の職場体験の内容を巡って高校生や現場の保育者に調査を行っている。その中で、 保育者は「子どもと一緒に楽しくすごしてもらえばそれで十分です」「『保育者』と なって子どもを援助したり、働きかけをしてほしいといった指示は出さなかった」「と ても楽しく過ごし、進路を決める参考になった様子であったので、よかったと思う」 (p.796)と述べている。また、永盛(2018)が保育者養成校入学生約400名に職場体 験内容について尋ねたところ、「先生方と同じような仕事」「先生とほとんど同じ」「小 さな先生のような存在になって一緒に働いた」といった回答が得られている。さらに 大久保(2015)によれば、保育者養成課程に入学した学生のうち、64%の学生は中学 校・高校時代に保育ボランティアや職場体験を行っており、そのうち94%が進学の きっかけになったと述べている。これらのことから、職場体験で行ったようなことが 「保育」そのものであり、それゆえそれ以上の情報が入りづらくなったり、情報を求 めなくなったりした可能性がある。  また、そもそも保育者を志望していると言っても、そこまで強い思いではなく、そ れゆえ情報収集もあまりなされない可能性を示唆する研究もある。山本(2014)は保 育者養成校の学生の中高時代の職場体験時の振り返りを行い、職場体験が必ずしも現 在の進路選択につながっていないことや、自分の適性を判断する材料となっておら ず、進路選択の理由もテストの成績が大きな比重を占めていることを示している。こ の研究結果を踏まえると、保育職志望の高校生は、そもそもそこまで念入りに、自分 の進路について考え尽くしてはいないということが考えられる。また大久保(2015) によれば、保育者になることを保育者養成校入学の時点で心に決めていた学生は2割 程度で、保育者以外の仕事にも興味を持っていたり、そもそも何になりたいのかわか らない状態で入学したりする学生が8割近くであったとのことであった。保育職は小 学生の頃より女子に人気の職業であり、なりたいものランキングでは上位の常連であ る。たとえば第一生命の幼児・児童を対象とした調査では、1990年から年1回発表さ れるランキングで、トップ3に入らなかったのは、1993年、1998年、2000年の3回だ けである(第一生命、2017)。しかし、その憧れや決心の強さは、必ずしも強いもの

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ではないのかもしれない。またそれゆえ、そこまで積極的に情報収集をしようとも思 わず、保育職に対する誤解や理解不足があるままに保育者養成校に入学し、保育の実 際を知ってギャップを感じてしまうのかもしれない。  本研究はこれらの先行研究を受けて行うものである。高校生が保育ボランティアや 職場体験などを通して形成したと思われる「保育者」「保育者の仕事」に関する認識 の中で、書き物はより具体的にどのようなものとなっているのだろうか。この点につ いて調べた研究は限られている。永盛(2012)はこの点について調べているものの、 調査対象人数が20名と非常に限られており、「高校生は保育者の仕事として保育の計 画や書き物があることを理解していない」という結果を一般化するには問題がある。 また、保育者の仕事内容を自由記述形式で尋ねたため、たとえこれらの業務に対する 理解があったとしても尺度があいまいなため書いてこなかった可能性があった。そこ で本研究では、保育者志望の高校生の調査対象者を増やすとともに、保育者の業務と しての書き物に何があるかを明示的に尋ね、書き物業務に対してどのように認識して いるかを明らかにすることを目的とする。

方法

対象者:子ども学科オープンキャンパス参加の高校生141名2 形式:アンケートの一斉配布・回収。 質問項目:  ①保育者(幼稚園教諭・保育士のこと)と聞いてイメージすることはなんですか。  ②保育者の仕事と聞いてイメージすることはなんですか。  ③ 保育者の仕事は「書き物が多い」と言われます。そのことを聞いたことがありま すか。(ある・ない)  ④実際には、どんな書き物があると思いますか。  ⑤「子どもの遊び」と聞いて思いつくものは何ですか。  質問④を除いて、いずれも自由記述形式で尋ねた。各回答欄はおよそ縦3センチ、 横15センチ程度のものを設けた。なお、本研究では、質問①②③④を分析する。質問 ⑤について、アンケート作成当初は、高校生がイメージする遊びと保育における指導 計画のある遊びとの内容の違いを検討することを考えたが、違いは遊びの内容そのも のではなく、その遊びについて計画を立てるかどうかということにあり、質問⑤では この点について調べることができないため、今回は分析対象から除外する。 2 文章の得意不得意には性差があり、女性の方が比較的得意であることが指摘されている(たと えば前田、2015)。ただし、本研究の調査対象者、そして実際の入学者のほとんど(本学では約 9割)が女性であり、それでも書き物に苦手意識があることや、保育者養成校における保育記録 や指導案の指導に関する研究論文において性差は特に問題となっていないこと、さらに、記録や 指導案に留まらず、より広く学生の文章力低下について調べた佐藤(2014)や宮崎(2015)にお いても性差は取り扱われていないことから、今後の検討課題としつつ、本研究では性差を検討と しないこととする。

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表1.「保育者」イメージ7タイプの出現人数 5 日 時 :2016 年 7 月 31 日 。 手 続 き:学 科 オ ー プ ン キ ャ ン パ ス 内 の 模 擬 講 義 開 始 時 に 、ア ン ケ ー ト 用 紙 を 一 斉 配 布・ 回 答 ・ 回 収 し た 。 な お 、 対 象 者 へ の 倫 理 的 配 慮 と し て 、 ア ン ケ ー ト 用 紙 に は 質 問 に 先 立 っ て 「 以 下 の 質 問 に つ い て 、 今 の 気 持 ち や 考 え を い く つ で も 教 え て く だ さ い 。 お 答 え い た だ い た 内 容 に つ い て は 。学 内 外 で の 報 告 に 使 わ せ て い た だ く こ と が あ り ま す 。そ の 際 は 、個 人 が 特 定 で き る 形 で は 用 い ま せ ん( そ も そ も 無 記 名 で す )の で 、 安 心 し て お 答 え く だ さ い 。」 と 記 し て あ る 。 ま た 、 用 紙 配 布 時 に は こ の 文 言 を 口 頭 で も 伝 え る だ け で な く 、回 答 は 任 意 で あ り 、答 え た く な い 場 合 は 無 回 答 の ま ま 提 出 し て 差 し 支 え な い 旨 、 併 せ て 伝 え た 上 で 回 答 い た だ い た 。

結 果 と 分 析

1. 質 問 ① 保 育 者 の イ メ ー ジ の 分 析 対 象 者 の 回 答 を 、 次 の 7 タ イ プ に 分 類 し た : 各 タ イ プ の 出 現 総 数 順 に 個 人 の 内 面 、 子 ど も 関 連 業 務 、ス キ ル・資 質 、保 育 職 の 印 象 、労 働 環 境 、保 護 者 関 連 業 務 、そ の 他 。 各 タ イ プ と そ の 内 訳 の 出 現 数 を ま と め た も の が 下 表 1 で あ る 。 な お 、1 名 が 複 数 の 記 述 を 行 な っ て い た 場 合 、 そ れ ぞ れ を 出 現 数 に 含 め た 。 表 1 .「 保 育 者 」 イ メ ー ジ 7 タ イ プ の 出 現 人 数 日時:2016年7月31日。 手 続き:学科オープンキャンパス内の模擬講義開始時に、アンケート用紙を一斉配 布・回答・回収した。なお、対象者への倫理的配慮として、アンケート用紙には質 問に先立って「以下の質問について、今の気持ちや考えをいくつでも教えてくださ い。お答えいただいた内容については。学内外での報告に使わせていただくことが あります。その際は、個人が特定できる形では用いません(そもそも無記名です) ので、安心してお答えください。」と記してある。また、用紙配布時にはこの文言 を口頭でも伝えるだけでなく、回答は任意であり、答えたくない場合は無回答のま ま提出して差し支えない旨、併せて伝えた上で回答いただいた。

結果と分析

1.質問①保育者のイメージの分析  対象者の回答を、次の7タイプに分類した:各タイプの出現総数順に個人の内面、 子ども関連業務、スキル・資質、保育職の印象、労働環境、保護者関連業務、その他。 各タイプとその内訳の出現数をまとめたものが下表1である。なお、1名が複数の記 述を行っていた場合、それぞれを出現数に含めた。

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 保育者のイメージを尋ねる研究では、「優しい−怖い」といった対義語を複数提示 して、評定を求めていくものが見られる(たとえば脇、2005や広瀬、2013など)。本 研究は自由記述であったものの、先行研究とほぼ同じく、「優しい」「明るい」「元気」 といったものが多く出現した(本研究では「個人の内面」タイプに分類)。また、保 育者のイメージ研究としては、他に、鳥丸(2016)が保育者養成校入学直後の学生を 対象に、「保育者」をキーワードとした学生によるマインドマップと文章構成法から 得られた文に、テキストマイニングを行ったものもある。そこで得られた40のキー ワードのうち、上位10個は次のようなものとなっている:子ども、保育者、笑顔、ピ アノ、元気、必要、上手、好き、人、保護者。これに対し本研究でも類似した結果が いくつか得られた。たとえば、子どもに関するキーワードとしては「子どもと共に成 長」「子どもが好き」とあったり、「子ども関連業務」タイプの中に「子ども」に関す る種々の記述が得られている。また、本研究で「個人の内面」タイプに分類した笑顔、 元気といったキーワードも、鳥丸(2016)と共通して出現したものである。また、数 は少ないものの、鳥丸(2016)において出現した「必要」「保護者」について、本研 究でも「社会で必要」「保護者との関わり」「保護者をサポート」といった回答が得ら れている。ただ、このような保育者イメージはまだ表面的・理想主義的なものであり、 入学後の学びや実習を経て容易に変容することも指摘されている。椛島ら(2007)は、 期間や場所を決められた実習ではなく、空き時間に自主的に参加する保育活動におけ る学生の利用表での記述を分析し、子どもや保育者を見る目が漫然としたものから 徐々に意識的なものへと変化していったと報告している。また京免(2011)は実習を 通しての学生の保育者イメージの変容を尋ねており、約半数の学生はイメージが変化 したと報告している。その変容の中でも、半数はよいイメージになっているものの、 残りの半数は悪いイメージへとなってしまっている。本研究で高校生を対象に得られ た結果についても、あくまで高校生時点でのイメージであり、今後多様に変化してい くものと捉えておく必要があるだろう。  本研究の目的である書き物や保育計画の作成について見ると、直接的に書き物に言 及したのは「書き物が多い」という1件のみであった。その他に、書き物に関連しそ うな回答として「字が綺麗」というものも1件のみあった。これまで取り上げてきた 先行研究においてもそのような姿は出現しておらず、デスクワークをする保育者の姿 は、あまり想起されないようである。ただし、「書き物」と直接明示してはいないも のの、「子どもを育てる」「指導」といった回答もそれぞれ11件と9件見られた。高校 生がどこまで具体的にイメージしたかは不明であるが、子どもが育つためには時間が 必要であり、放っておいても勝手に育つわけではなく、大人の関わりが必要となる。 また、大人が関わる際も何も考えずに関わるわけではない。特に保育者においては、 「指導」といえる関わり方も出てくるだろう。そのような意味では、保育計画の作成 を直接想起したかは分からないものの、関連しそうな回答が一部出現したと見ること ができる。 2.質問②保育者の仕事のイメージの分析  永盛(2012)では、高校生が考える保育者の仕事を次の8タイプに分類した:成長 の援助、園内業務・準備、保護者、世話、連絡帳、遊び、楽しみ、その他。今回の調 査での回答でも、ほとんど同様の結果が得られた。本研究の目的に照らして言えば、

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表2.書き物の多さを聞いたことがあるか 7 保 育 の 計 画 ・ 指 導 案 と い っ た 書 き 物 に 関 す る 回 答 は 直 接 的 に は 出 現 せ ず 、 書 き 物 と し て は 連 絡 帳 、 お た よ り 、 掲 示 物 と い う 回 答 が 8 件 、記 録 に 関 す る 回 答 が 1 件 あ る の み で あ っ た 。 前 回 の 調 査 対 象 者 は 21 名 と 少 な く 調 査 結 果 の 信 頼 性 に 欠 け る 部 分 が あ っ た が 、 今 回 約 141 名 に 尋 ね て も 同 様 の 結 果 が 得 ら れ た と 言 え る 。 3. 質 問 ③ 書 き 物 の 多 さ に 対 す る 認 識 の 分 析 対 象 者 の 回 答 を 「 あ る 」、 も し く は 「 な い 」 で 集 計 し た も の が 下 表 2 で あ る 。 表 2. 書 き 物 の 多 さ を 聞 い た こ と が あ る か 約 3 分 の 2 は 、保 育 者 の 書 き 物 業 務 が 大 変 で あ る こ と を 認 識 し て い る と い う 回 答 で あ っ た 。 た だ し 、 こ の 質 問 だ け で は 、 ど れ ほ ど の 大 変 さ で あ る と 考 え て い る か は 明 ら か に な ら な い 。 こ の 点 に つ い て 、 永 盛 (2016)に お い て 、保 育 者 養 成 課 程 入 学 前 後 で 「 思 っ て い た も の と 違 っ て い た も の 」 と し て 「 書 き 物 」 が 筆 頭 に 挙 げ ら れ て い た 。 ま た 、渡 邉(2004)や 深 澤( 2016)が 指 摘 し て い る よ う に 仕 事 を 辞 め よ う と 思 う ほ ど の 大 変 さ と 認 識 し て い る な ら ば 、 そ の 上 で 保 育 者 を 志 望 す る と は 考 え に く い 。 し た が っ て 、 こ こ で の 「 あ る 」 と い う 対 象 者 の 回 答 は 、「『 書 き 物 も 保 育 者 の 業 務 で あ る 』 と 知 っ て い る 」 程 度 の も の と 受 け 止 め る こ と が 妥 当 と 思 わ れ る 。 4. 質 問 ④ 書 き 物 の 種 類 に 対 す る 認 識 の 分 析 前 節 で 見 た よ う に 、 約 3 分 の 2 の 対 象 者 は 書 き 物 も 保 育 者 の 業 務 と み な し て い る 。 こ こ で は 、 そ の 業 務 と し て ど の よ う な 書 き 物 が あ る と 考 え て い る か を 明 ら か に す る た め 、 対 象 者 の 回 答 を 書 き 物 の 種 類 ご と に 8 つ に 分 類 し た 。 な お 、 原 則 と し て 同 一 回 答 が 2 名 以 上 い た 場 合 に 1 タ イ プ と み な し た 。 た だ し 、 2 名 以 上 い た 場 合 で も 、 実 質 的 に は 他 の 類 似 し た 回 答 と 統 合 で き る と 思 わ れ る 場 合 に は 、 よ り 汎 用 的 な タ イ プ に 統 合 し た( た と え ば 、「 記 録 」タ イ プ に は「 成 長 記 録 」「 日 誌 」「 レ ポ ー ト 」と い っ た も の が 統 合 さ れ た )。ま た 、1 名 が 複 数 タ イ プ の 記 述 を 行 な っ た 場 合 、そ れ ぞ れ を 集 計 に 加 え た 。し た が っ て 、出 現 総 数 は 調 査 対 象 者 の 数 よ り も 多 く な る 。な お 、先 取 り と な る が 、 種 類 の 記 載 順 序 は 、 出 現 数 の 多 い 順 と な っ て い る 。 連 絡 帳 : 端 的 に「 連 絡 帳 」と だ け 記 し た も の や 、「 連 絡 ノ ー ト 的 な も の 」な ど 表 現 が 若 干 ぼ や け て い る も の 、「 今 日 の お 子 さ ん の 様 子 を 手 帳 に 書 く ( 連 絡 帳 )」 な ど よ り 詳 細 に 記 し た も の が 含 ま れ る 。 記 録 : タ イ プ 名 通 り「 記 録 」と だ け 記 し た も の だ け で な く 、「 日 誌 」「 レ ポ ー ト 」「 成 長 記 録 」 な ど と 表 現 し た も の 。 い ず れ も 、 行 な っ た 保 育 の 内 容 や そ の 結 果 な ど 、 行 っ た こ と に つ い て 記 し た も の で あ る 。 た だ し 、 書 い た 中 身 を 読 む の は 、「 連 絡 帳 」 タ イ プ と は 異 な り 保 護 者 で は な く 、 書 い た 保 育 者 自 身 や 同 僚 ・ 上 司 、 小 学 校 教 諭 な ど で あ る 。 お た よ り : 端 的 に 「 お た よ り 」 と し た も の や 、「 ク ラ ス 通 信 」「 ク ラ ス だ よ り 」 な ど 、 保 護 者 に 向 け た 書 き 物 で あ る 。 た だ し 、「 連 絡 帳 」 の よ う に 毎 日 書 く よ う な も の で 保育の計画・指導案といった書き物に関する回答は直接的には出現せず、書き物とし ては連絡帳、おたより、掲示物という回答が8件、記録に関する回答が1件あるのみ であった。前回の調査対象者は21名と少なく調査結果の信頼性に欠ける部分があった が、今回約141名に尋ねても同様の結果が得られたと言える。 3.質問③書き物の多さに対する認識の分析  対象者の回答を「ある」、もしくは「ない」で集計したものが下表2である。  約3分の2は、保育者の書き物業務が大変であることを認識しているという回答で あった。ただし、この質問だけでは、どれほどの大変さであると考えているかは明ら かにならない。この点について、永盛(2016)において、保育者養成課程入学前後で 「思っていたものと違っていたもの」として「書き物」が筆頭に挙げられていた。また、 渡邉(2004)や深澤(2016)が指摘しているように仕事を辞めようと思うほどの大変 さと認識しているならば、その上で保育者を志望するとは考えにくい。したがって、 ここでの「ある」という対象者の回答は、「『書き物も保育者の業務である』と知って いる」程度のものと受け止めることが妥当と思われる。 4.質問④書き物の種類に対する認識の分析  前節で見たように、約3分の2の対象者は書き物も保育者の業務とみなしている。 ここでは、その業務としてどのような書き物があると考えているかを明らかにするた め、対象者の回答を書き物の種類ごとに8つに分類した。なお、原則として同一回答 が2名以上いた場合に1タイプとみなした。ただし、2名以上いた場合でも、実質的 には他の類似した回答と統合できると思われる場合には、より汎用的なタイプに統合 した(たとえば、「記録」タイプには「成長記録」「日誌」「レポート」といったもの が統合された)。また、1名が複数タイプの記述を行った場合、それぞれを集計に加 えた。したがって、出現総数は調査対象者の数よりも多くなる。なお、先取りとなる が、種類の記載順序は、出現数の多い順となっている。 連 絡帳:端的に「連絡帳」とだけ記したものや、「連絡ノート的なもの」など表現が 若干ぼやけているもの、「今日のお子さんの様子を手帳に書く(連絡帳)」などより 詳細に記したものが含まれる。 記 録:タイプ名通り「記録」とだけ記したものだけでなく、「日誌」「レポート」「成 長記録」などと表現したもの。いずれも、行った保育の内容やその結果など、行っ たことについて記したものである。ただし、書いた中身を読むのは、「連絡帳」タ イプとは異なり保護者ではなく、書いた保育者自身や同僚・上司、小学校教諭など である。 お たより:端的に「おたより」としたものや、「クラス通信」「クラスだより」など、

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表3.「書き物」として高校生が記載したものの出現数 は な く 、 基 本 的 に 月 単 位 で 書 く も の で あ る 。 制 作 物 : 主 に 子 ど も に 向 け て 提 示 す る も の が こ の タ イ プ に 含 ま れ る 。 具 体 的 に は 「 壁 面 装 飾 」「 教 室 の 掲 示 物 」「 絵 」「 絵 本 」「 誕 生 日 カ ー ド 」「 ア ル バ ム 」「 図 工 」「 教 材 」 「 名 前 書 き 」「 創 作 」 と い っ た 回 答 が 得 ら れ た 。 ど ち ら か と い う と 、 書 き 物 の 印 象 は 他 の タ イ プ と 比 べ て 薄 い と い う 特 徴 が あ る 。 計 画 :「 指 導 案 」 と し た も の と 、「 計 画 」 と し た も の が 含 ま れ る 。 こ れ ま で 挙 げ て き た 「 記 録 」「 お た よ り 」「 連 絡 帳 」 は 、 行 な っ た 保 育 の 内 容 や 実 際 に 見 ら れ た 子 ど も の 姿 と い っ た 過 去 に 焦 点 が あ る 。 こ れ に 対 し て 、「 計 画 」 は そ の 過 去 の 「 記 録 」 を 元 に 作 成 さ れ る 未 来 に 注 目 点 が あ る と い う 違 い が あ る 。 出 席 簿 : 園 児 の 登 園 に 関 す る も の で あ り 、具 体 的 に は「 出 席 簿 」「 出 欠 」「 欠 席 者 」「 名 簿 」 と い っ た 回 答 が 含 ま れ る 。 そ の 他 : 原 則 1 名 の み が 記 し た も の が こ こ に 分 類 さ れ る 。 具 体 的 に は 「 課 題 」「 実 習 録 」「 メ モ 」「 申 請 書 」「 書 く よ り パ ソ コ ン の イ メ ー ジ 」 と い っ た も の で あ っ た 。「 メ モ 」 の み 2 名 が 記 し て い た が 、メ モ の 用 途 が 不 明 で あ り 、こ れ 以 外 の タ イ プ に 統 合 す る こ と が 困 難 で あ っ た た め 、 そ の 他 タ イ プ に 含 め た 。 無 回 答 : 質 問 ④ の 欄 が 空 白 と な っ て い た も の 。 以 上 の タ イ プ に つ い て 集 計 し た の が 下 表 3 で あ る 。 表 3.「 書 き 物 」 と し て 高 校 生 が 記 載 し た も の の 出 現 数 ま ず 、「 連 絡 帳 」「 お た よ り 」 を 合 わ せ る と 146 と な り 、全 出 現 数 の 5 分 の 3 程 度 と な る 。 こ こ か ら 、 高 校 生 の 認 識 と し て は 、 保 護 者 に 向 け た 書 き 物 が 思 い つ き や す い こ と が わ か る 。 実 際 、 保 育 現 場 を 外 か ら 見 て も イ メ ー ジ し や す く 目 に 入 る の は 、 こ の 2 つ で あ ろ う 。ま た 目 に 入 る と 言 え ば 、27 件 出 現 し た 制 作 物 も 園 を 見 学 し た り 体 験 学 習 な ど に 行 っ た り す れ ば 見 ら れ る も の で あ り 、 印 象 に 残 る も の で あ る と 言 え る 。 記 録 や 出 席 簿 に 関 し て は 、 必 ず し も 目 に 入 る も の で は な い も の の 、 高 校 生 自 身 が 何 か を し た 際 に 記 録 を つ け て い た り 、 学 校 な ど で 出 席 簿 に 出 欠 を 記 さ れ て い た り す る こ と が あ る た め 、 自 ら の 経 験 と 照 ら し 合 わ せ て 想 像 で き る 部 分 で あ っ た の か も し れ な い 。 こ れ を 敷 衍 す る な ら ば 、 保 育 計 画 の 作 成 に つ い て も 、 中 学 生 ・ 高 校 生 の こ ろ の 保 育 ボ ラ ン テ ィ ア や 職 場 体 験 で 遊 び の 計 画 な ど を 立 て て み る こ と で 、 保 育 計 画 の 作 成 も 保 育 者 の 仕 事 で あ る こ と の 理 解 が 深 ま る か も し れ な い 。 た だ し 、 こ の 実 践 に つ い て は 、 難 し さ も 保護者に向けた書き物である。ただし、「連絡帳」のように毎日書くようなもので はなく、基本的に月単位で書くものである。 制 作物:主に子どもに向けて提示するものがこのタイプに含まれる。具体的には「壁 面装飾」「教室の掲示物」「絵」「絵本」「誕生日カード」「アルバム」「図工」「教材」 「名前書き」「創作」といった回答が得られた。どちらかというと、書き物の印象は 他のタイプと比べて薄いという特徴がある。 計 画:「指導案」としたものと、「計画」としたものが含まれる。これまで挙げてきた 「記録」「おたより」「連絡帳」は、行った保育の内容や実際に見られた子どもの姿 といった過去に焦点がある。これに対して、「計画」はその過去の「記録」を元に 作成される未来に注目点があるという違いがある。 出 席簿:園児の登園に関するものであり、具体的には「出席簿」「出欠」「欠席者」「名 簿」といった回答が含まれる。 そ の他:原則1名のみが記したものがここに分類される。具体的には「課題」「実習録」 「メモ」「申請書」「書くよりパソコンのイメージ」といったものであった。「メモ」 のみ2名が記していたが、メモの用途が不明であり、これ以外のタイプに統合する ことが困難であったため、その他タイプに含めた。 無回答:質問④の欄が空白となっていたもの。  以上のタイプについて集計したのが下表3である。  まず、「連絡帳」「おたより」を合わせると146となり、全出現数の5分の3程度と なる。ここから、高校生の認識としては、保護者に向けた書き物が思いつきやすいこ とがわかる。実際、保育現場を外から見てもイメージしやすく目に入るのは、この2 つであろう。また目に入ると言えば、27件出現した制作物も園を見学したり体験学習 などに行ったりすれば見られるものであり、印象に残るものであると言える。記録や 出席簿に関しては、必ずしも目に入るものではないものの、高校生自身が何かをした 際に記録をつけていたり、学校などで出席簿に出欠を記されていたりすることがある ため、自らの経験と照らし合わせて想像できる部分であったのかもしれない。これを 敷衍するならば、保育計画の作成についても、中学生・高校生のころの保育ボラン ティアや職場体験で遊びの計画などを立ててみることで、保育計画の作成も保育者の 仕事であることの理解が深まるかもしれない。ただし、この実践については、難しさ

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表4.質問①での「保育の計画」に関連する回答と質問④の回答のクロス集計 あ る 。 高 見 ら (1999)が 示 し て い る よ う に 、保 育 現 場 に 理 解 と 協 力 を 求 め る 必 要 が あ る 点 で あ る 。 関 わ り に お い て す ら 、 高 校 生 が 「 保 育 者 」 と し て 関 わ る こ と を 求 め て い な い 中 で 、 よ り 難 易 度 の 高 い 保 育 計 画 の 作 成 と な る と 現 場 の 保 育 者 に よ る 協 力 は 不 可 欠 で あ ろ う 。 も う 1 点 、 こ の 体 験 を 通 し て 、 高 校 生 が 「 こ の 程 度 で 大 丈 夫 」 と 思 っ て し ま い 、 結 果 的 に 実 際 の 保 育 者 養 成 過 程 で の 学 び や 保 育 現 場 の 理 解 に 関 す る 新 た な ギ ャ ッ プ と な る こ と を 避 け る 必 要 が あ る 。 次 に 、 本 研 究 の 中 心 的 テ ー マ と な っ て い る 「 計 画 」 に つ い て は 、 6 件 し か 出 現 し な か っ た 。 全 出 現 数 の 約 2%程 度 で あ り 、 極 め て 想 起 さ れ に く い 、 も し く は 知 ら れ て い な い 書 き 物 業 務 で あ る と 言 え る 。 こ の 結 果 は 、 永 盛 (2016)に て 短 期 大 学 生 が 学 び の ギ ャ ッ プ と し て 挙 げ て い た こ と と 一 致 す る 。 た だ し 、 全 く 出 て こ な か っ た わ け で は な い 。 こ の 点 を 含 め 、 保 育 者 の イ メ ー ジ に 関 す る 回 答 と 併 せ て 次 節 で 分 析 を 行 う 。 5.質 問 ① と 質 問 ④ の ク ロ ス 分 析 本 節 で は 、 質 問 ① と 質 問 ④ そ れ ぞ れ の 回 答 に つ い て 、 い く つ か の 焦 点 を 当 て て ク ロ ス 分 析 を 行 う 。ま ず 質 問 ① で 保 育 の 計 画 と 関 わ り そ う な「 子 ど も を 育 て る 」「 指 導 」「 書 き 物 が 多 い 」「 字 が 綺 麗 」と 回 答 し た 対 象 者 の 、質 問 ④ で の 回 答 を ま と め た の が 次 の 表 4 で あ る 。 1 名 の み 、「 子 ど も を 育 て る 」「 指 導 」 と 2 つ 回 答 し て い た た め 、 こ の 回 答 に つ い て は 、「 指 導 」 に 集 約 し た 。 表 4.質 問 ① で の 「 保 育 の 計 画 」 に 関 連 す る 回 答 と 質 問 ④ の 回 答 の ク ロ ス 集 計 該 当 し た 回 答 者 は 18 名 と 少 数 で あ っ た が 、そ の 中 で も 保 育 の 計 画 を 挙 げ て い る も の は 2 名 お り 、 こ の 回 答 者 に つ い て は 子 ど も を 育 て る た め に は 指 導 が 必 要 で あ り 、 そ の た め に は 計 画 を 立 て る こ と が あ る と 認 識 し て い る と 思 わ れ る 。ま た 、「 字 が 綺 麗 」と 答 え て い た 1 名 に つ い て は 、そ の 具 体 的 な 業 務 と し て は 連 絡 帳 を 想 定 し て い た と い う 回 答 が 得 ら れ た 。 最 後 に 「 書 き 物 が 多 い 」 と い う 回 答 に つ い て も 、 そ の 内 容 は 連 絡 帳 で あ る と い う こ と が 確 認 さ れ た 。 次 に 、 質 問 ④ で 「 計 画 」 と 挙 げ た 回 答 者 6 名 が 、 質 問 ① で ど の よ う な 回 答 を し て い た の か 集 計 し た の が 表 5 で あ る 。 な お 、 1 人 の 回 答 者 が 質 問 ① で 複 数 タ イ プ の 回 答 を し た 場 合 は 、 そ れ ぞ れ を 集 計 に 含 め た 。 もある。高見ら(1999)が示しているように、保育現場に理解と協力を求める必要が ある点である。関わりにおいてすら、高校生が「保育者」として関わることを求めて いない中で、より難易度の高い保育計画の作成となると現場の保育者による協力は不 可欠であろう。もう1点、この体験を通して、高校生が「この程度で大丈夫」と思っ てしまい、結果的に実際の保育者養成課程での学びや保育現場の理解に関する新たな ギャップとなることを避ける必要がある。  次に、本研究の中心的テーマとなっている「計画」については、6件しか出現しな かった。全出現数の約2%程度であり、極めて想起されにくい、もしくは知られてい ない書き物業務であると言える。この結果は、永盛(2016)にて短期大学生が学びの ギャップとして挙げていたことと一致する。ただし、全く出てこなかったわけではな い。この点を含め、保育者のイメージに関する回答と併せて次節で分析を行う。 5.質問①と質問④のクロス分析  本節では、質問①と質問④それぞれの回答について、いくつかの焦点を当ててクロ ス分析を行う。まず質問①で保育の計画と関わりそうな「子どもを育てる」「指導」「書 き物が多い」「字が綺麗」と回答した対象者の、質問④での回答をまとめたのが次の 表4である。1名のみ、「子どもを育てる」「指導」と2つ回答していたため、この回 答については、「指導」に集約した。  該当した回答者は18名と少数であったが、その中でも保育の計画を挙げているもの は2名おり、この回答者については子どもを育てるためには指導が必要であり、その ためには計画を立てることがあると認識していると思われる。また、「字が綺麗」と 答えていた1名については、その具体的な業務としては連絡帳を想定していたという 回答が得られた。最後に「書き物が多い」という回答についても、その内容は連絡帳 であるということが確認された。  次に、質問④で「計画」と挙げた回答者6名が、質問①でどのような回答をしてい たのか集計したのが表5である。なお、1人の回答者が質問①で複数タイプの回答を した場合は、それぞれを集計に含めた。

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表5.質問⑤での「計画」という回答者の質問①での回答 10 表 5.質 問 ⑤ で の 「 計 画 」 と い う 回 答 者 の 質 問 ① で の 回 答 6 名 の 質 問 ① で の 回 答 は 、 表 5 に 見 ら れ る よ う に 多 様 な も の で あ っ た 。 た だ 、 そ う は い っ て 、保 育 の 計 画 と 関 連 の 強 そ う な「 子 ど も を 育 て る 」「 指 導 」と い っ た 回 答 は 4 件 見 ら れ て い る 。 ま た 、 直 接 関 わ る わ け で は な い が 「 成 長 を サ ポ ー ト 」 と 言 っ た も の も 見 ら れ た 。 こ れ ら の 回 答 者 に お い て は 、 子 ど も の 成 長 と 関 わ る 仕 事 で あ る こ と 、 そ し て そ の 基 底 に 保 育 の 計 画 が あ る こ と が 認 識 さ れ て い る も の と 思 わ れ る 。

考 察

本 研 究 の 目 的 は 、 保 育 職 志 望 の 高 校 生 に お け る 書 き 物 業 務 ( 特 に 指 導 計 画 ) に 対 す る 認 識 を 明 ら か に す る こ と に あ っ た 。 そ の た め 、 高 校 生 に 書 き 物 業 務 に 対 す る ア ン ケ ー ト 調 査 を 行 っ た 結 果 、保 育 者 の 業 務 と し て の 書 き 物 が 多 い こ と は 、約 60% の 回 答 者 が 認 識 し て い た 。 実 際 に ど の よ う な 書 き 物 が あ る か を 尋 ね た 場 合 、 最 も 多 く 想 起 さ れ る の は 「 連 絡 帳 」 で あ り 、 約 3 分 の 2 の 回 答 者 が 記 入 し た 。 つ づ い て 「 記 録 」「 お た よ り 」 と い っ た 回 答 も 、 約 3 分 の 1 の 回 答 者 が 記 入 し て い た 。 一 方 で 、 本 研 究 で 特 に 焦 点 を 当 て て い た 保 育 計 画 の 作 成 に 対 す る 直 接 的 回 答 は 141 名 中 6 件 と あ ま り 得 ら れ な か っ た 。 ま た 、 そ の 原 因 と し て 、 保 育 者 や 保 育 者 の 仕 事 に 対 す る 理 解 は ま だ 不 十 分 で あ る と と も に 、 職 場 体 験 で の 学 び に よ っ て 書 き 物 に 対 す る 意 識 が 向 か わ な い 可 能 性 を 指 摘 し た 。 永 盛(2016)や 木 梨( 2017)が 示 し て い る よ う に 、保 育 者 の 業 務 は 高 校 生 が 思 っ て い る 以 上 に 大 変 な も の で あ る 。 そ の た め 、 保 育 者 就 職 に 対 し て そ こ ま で 強 い 決 意 を 持 っ て い な い 状 態 で 、「 こ の よ う な 業 務 も あ る 」と 安 易 に 伝 え る こ と は 、そ も そ も 保 育 者 と な る こ と を 諦 め て し ま う 可 能 性 が あ る 。 本 研 究 で 示 し た よ う に 、 高 校 生 は 書 き 物 業 務 に 対 し て 全 く 知 ら な い わ け で は な い と い う こ と で あ る 。 回 答 者 の 約 3 分 の 2 は 、そ の 把 握 内 容 自 体 は 不 十 分 な が ら も 、 書 き 物 業 務 が あ る こ と を 把 握 し て い た 。 こ こ で は 、 こ の こ と を 踏 ま え た 、 保 育 の 計 画 に 関 す る 指 導 に つ い て 考 察 を 行 う 。 ま ず 、 書 き 物 と 言 っ て も 種 類 は 多 様 で あ る が 、 こ こ で 重 要 と 考 え る の は 、 過 去 指 向 の も の と 未 来 指 向 の も の と い う 時 間 軸 の 導 入 で あ る 。 過 去 指 向 の も の の 中 で 見 ら れ た 回 答 は 連 絡 帳 、 記 録 、 お た よ り と い っ た も の で あ る 。 一 方 、 未 来 志 向 の も の は 計 画 と な る 。 制 作 物 は 、 過 去 と 未 来 の 両 方 が 含 ま れ る 。 こ の よ う に 見 る と 、 回 答 と し て 多 く 出 現 し た 連 絡 帳 、 記 録 、 お た よ り は い ず れ も 過 去 指 向 の も の で あ っ た こ と が わ か る 。  6名の質問①での回答は、表5に見られるように多様なものであった。ただ、そう はいっても、保育の計画と関連の強そうな「子どもを育てる」「指導」といった回答 は4件見られている。また、直接関わるわけではないが「成長をサポート」といった ものも見られた。これらの回答者においては、子どもの成長と関わる仕事であること、 そしてその基底に保育の計画があることが認識されているものと思われる。

考察

 本研究の目的は、保育職志望の高校生における書き物業務(特に指導計画)に対す る認識を明らかにすることにあった。そこで、高校生に書き物業務に対するアンケー ト調査を行った結果、保育者の業務としての書き物が多いことは、約60%の回答者が 認識していた。実際にどのような書き物があるかを尋ねた場合、最も多く想起される のは「連絡帳」であり、約3分の2の回答者が記入した。つづいて「記録」「おたより」 といった回答も、約3分の1の回答者が記入していた。一方で、本研究で特に焦点を 当てていた保育計画の作成に対する直接的回答は141名中6件とあまり得られなかっ た。また、その原因として、保育者や保育者の仕事に対する理解はまだ不十分である とともに、職場体験での学びによって書き物に対する意識が向かわなくなる可能性を 指摘した。  永盛(2016)や木梨(2017)が示しているように、保育者の業務は高校生が思って いる以上に大変なものである。そのため、保育者就職に対してそこまで強い決意を 持っていない状態で、「このような業務もある」と安易に伝えることは、そもそも保 育者となることを諦めてしまう可能性がある。本研究で示したように、高校生は書き 物業務に対して全く知らないわけではない。回答者の約3分の2は、その把握内容自 体は不十分ながらも、書き物業務があることを把握していた。  ここでは、このことを踏まえた、保育の計画に関する指導について考察を行う。  まず、書き物と言っても種類は多様であるが、ここで重要と考えるのは、過去指向 のものと未来指向のものという時間軸の導入である。過去指向のものの中で見られた 回答は連絡帳、記録、おたよりといったものである。一方、未来指向のものは計画と なる。制作物は、過去と未来の両方が含まれる。このように見ると、回答として多く 出現した連絡帳、記録、おたよりはいずれも過去指向のものであったことがわかる。 一方、未来指向の計画は、あまり出現しなかった。過去のものはすでに行った保育で

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あり、具体的な子どもや保育者の姿があり、比較的想像しづらい。これに比べて、計 画は、まだ見ていない先の子どもや保育者の姿を想像する必要があり、このことが、 保育計画の作成の困難さの一因となっていると思われる。このことのヒントとなるの は、記録である。保育における記録は、単に書くだけのものでも、備忘録でもない。 「毎日の保育のようすを、記録しておきます。子どもたちのようすで気づいた点も書 き込みます。次の指導計画を立てる際や、保護者との話し合いにも役立ちます」(成 田、2002、p.101)や「記録は、その日に行った保育の内容や事象を冷静に評価し、 明日の保育に役立てるためのもの」(岡田、2001、p.39)とあるように、記録にある 過去の具体的な姿をもとにして、未来の姿を計画するのである。ただ、記録といえど も難しさはあり、また、高校生の認知度も連絡帳と比べると若干下がる。また、連絡 帳やおたよりが保護者向けであるのに対して、記録や計画は内部向けのものである。 これらのことを考慮すると、指導計画の作成に関する教授形態も考えうるだろう。  まず、指導計画作成にあたり出発点とするのは、特に多かった回答は連絡帳やおた よりといった保護者向けの書き物である。連絡帳やおたよりは、記録や指導計画など とならんで、保育者養成課程学生向けの文章の教科書で取り上げられている(木梨, 2017;谷川,2006,田上,2010)。連絡帳やおたよりは、保護者向けに書かれている ため、場合によっては自分が子どもだった頃のものも目にしていたり、読むこともで きたりするかもしれない。そのような意味では、学生にとってなじみがあり、当然書 くものと考えており、書くことへの抵抗感が比較的少ないと想定される。その上で、 書いて当たり前のものとして終えず、なぜ保護者に連絡帳やおたよりなど書く形で伝 える必要があるのか、これらのものを書くことは保護者、保育者にとってどのような 意味や意義、利点や良さがあるのかを考える。つづいて、同じく高校生の時点で認知 度が比較的高く、保護者つながりということでおたよりを書く。その上で、保護者向 き、言うなれば外向きの文書だけにとどまらず、保育者自身や他の保育者といった内 向きの書き物もあることを伝える。その際、記録が重要な役割を果たす。記録は、上 述したとおり、内向きであると同時に、過去指向のものであり、保護者向き・過去指 向の連絡帳・おたよりと、保育者向き・未来指向の計画とをつなぐ、両方の側面を 持った存在と見ることができる。このステップを設けることにより、計画の作成に対 する学生の抵抗感をわずかながらでも減らすことができるかもしれない。そして、記 録においても、実際の保育の観察でも保育の映像視聴でもよいので実際に作成した上 で、その意味・意義を考える。そして最後に、記録から保育の計画の作成へと移行し ていく。このような、具体と抽象の往復活動を繰り返しつつ、高校生や学生において イメージとのズレが大きく、難易度が高い指導計画の作成へと徐々に移行していくと いった過程が考えられる。このような方法を通して、久富(2009)が次に述べるよう な指導計画の作成に関する授業として展開していければと考える:「『指導案を書く』 ということが、あなたにとって、たいへんだけれども意味のあるやりがいのあること と思えたとき、専門職としての保育者への道が確かなものとして見えてくる」(p.2)。

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引用文献

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参照

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