フランツ・リストにおける調性回避の諸相
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(2) . 平成5年3月. 3巻 第2号 北海道教育大学紀要 (第1部A) 第4. M窓山 199 3. SeCdonIA)VOL43 fEdu壊don( f且o油議doUI前例顎けo j o図o脚 o .2 ,No. フラ ンツ・リス トにお ける調性回避の諸相. 大. 塚. 夏. 生. Die Erscheinungen der Tona1itat一Entfernung. Franz Li szts. Natsuo otsロka. は じ め に 18 フランツ・リスト ( 1 1‐8 6) は一般に浪漫派の作曲家として位置づ けられているが, その作品 には若い頃から部分的に調性の枠から抜け出そうとしている部分がみられ, 更に中期・後期とすす むにつれてこの傾向は益々つよくなってゆく‐ 本稿においては, 18 3 8年以降, 最後期にいたるまで の書法的推移のうち, 調性回避の書法がみられる箇所および明らかに調性領域の外において音関係 を成立させている作品をとりあげて, リストの前衛性の実体を明らかにしてゆこうとおもう. ここ における前衛的傾向とは19世紀の中・後期に活動した他の浪漫派作曲家には稀であった無調的構造 の論理的形成のことである. 即ちこれらは決して偶発的行為ではなく, また熱狂的な破壊でもない. 新しい語法を探索するにさいして, 常に図式的整合性への理智を働かせ, 最後にその無調的構造が 精神内容の唆厳性そのものと不即不離の関係をつくりあげたところに彼の特質がある. この姿勢は後にシェーンベルクとバルトークにうけつがれ, 更に全く異なった精神領域において ストラヴィ ンスキーとフランス近・現代の作曲家達につよい影響を与えた.減音程,増音程,全音々 階, 移調の限られた旋法e tG の窓意的音程関係をまさに時代を先取りして数多く連続的に取扱い, その中で平行2度, 4度, 5度, 7度, 等々を継起的に使用し, 減和音, 増和音の連続と半音々階 , 全音々階などとの同時的組みあわせによって, 多岐にわたる彼独自の非調性書法によって伝統的時 空からの離脱をなしとげたところに深い歴史的意義がある. 本稿をかくにあたっ ては, 既に 「音楽と教育」 P. 7 1一80(本学, 札・岩両分校音楽科論文集, 1991・ 3 ・31) に お い て 筆 者 が 取 り 上 げた Fr t em」 1885へ の 言 及を . リ ス ト晩 年 の ピ ア ノ 曲 「Uns. 割愛されていただくが, この作品こそが彼の精神的・語法的繍結であることをここにあらためて述 べ て おき た い.. 143.
(3) . 大 塚 夏 生. 〔11. 初期の様相. 838 8 初期の作品からは 「超絶技巧練習曲, 第3番」183 , 「演奏会用 , 「半音階的大ギャロッ プ」1 84 9の三曲をとりあげて問題の箇所にふれてみたい. 練習曲, ヘ短調」1 「超 絶 技 巧 練 習 曲i E悦des ぜexmロon 出頭scendant e 第3番・ヘ長調には短3度関係の周期的使用 がみ と め ら れる. T.94一98の 例 は1853年 版 以 降 ほ と ん ど み ら れ な い も の で あ る が, 若 き 日 の リ ス. トの試みのひとつとして興味深い. 先ず左手のう ごきをみると6つの音からなる下降的半音階の群 的4連続であり, 各群の開始音はc2ーe s2-g e s-A であって, 減7和音と同じ組成である. 各 群 の 最 終 音 と 次 の 群 の 開 始 音 は g ー es, b ー ges, des - a と い う 長 3 度 間 隔 を と っ て い る‐ 短. 3度関係は更にソ プラノの各群の開始e2一g2-b2ー ds3として現れる. 左右の各拍を総体的に みるとき和絃の連鎖状況に気がつく. 即ちそこには調的定着を目指さない半音階和声進行のみがあ る. 半音階的進行は右手最下音の流れのなかで上昇的にg2からf3まで継続する. 左手4群の場合 は各音が4分音符であるのに対して, 右手の場合はより長い単位を用いている. i i呈- D: V2 i理一 F: V2- D: V7- A:i 和 声 的 にみる と 第 1 群 は F: V7- C:i , 第 2 群 は As:. V7から始まり前群と同じ和声関係をたどる‐ 第3群はCe s:V7 , 第4群はD:V7から各々始まり, 上記と同じ状況を呈する‐ この場合, 第1群の前半が第2群の後半と同じであり, 第2群の前半と 第3群の後半, 第3群の前半と第4群の後半, 第4群の前半と第1群の後半が各々同じ同じ和声進 行となっている. 即ちここには循環性 が存在する. この群のなかでは各々隣合う和絃間に共通音が 少なくとも2つはあって, しかも各声部が短2度進行を数多く用いているために前後の緊密さと流 暢さが目立つ. 詰り, ここでは調性回避が冷静な計算にもとづいてなされることによって秩序付け られているのである. これらを表にまとめると次のようになる. 前. 半. i i塩- F: v2 第1群 F: v7‐ C:i i i夏- As: v2 第2群 AS: v7- Es:i 第3群 Ces: V7- Ges:i随一 Ces: V2. 第4群. v7- A: m星- D: v2. 後. 半. D: v7- A: 雨量- D: v2 i i量‐ F: v2 F: v7- C:i As: v7- ES:行d- AS: v2 Ces: V7一 Ges:i i i零. dque1838 に お い て は T‐231一238の 上 声 部 と l 「半音々階的大ギャロッ プ」 G園QdGa op C無oma 3 中声部は半音々階という組成がみられる 低声部が全音々階, ‐ 即ち 上声部はg から長2度ずつ4. 分音符によって下降し, 低音部はe, テノールはfから各々長2度のみで下降する. 中声部は8分 音符のみでb3から半音ずつ下降することによって, 他の声部との並行関係を維持する‐ 右手の和 ]e t 絃の進行においては平行5度 が り ] G と連続する. 以上の状況からここにおける非 調性は明らかなのである. 譜例1は原譜を解りやすくするために三段譜にかき直し, 更に骨子とな る線のみに整理したものである. 849Emdede Concertの T‐60一67を み る と T.60, 62, 64, 66の 「演奏会用練習曲, ヘ短調」 1 バ ス の 各々 第 1拍 は H ー C i s - Es - F の 全 音 々 階 的 関 係 を な し, T‐66一67にお い て は バ ス の 各々 強 拍 と弱 拍 に F 一 G - A ー H が 同 様 の 関 係 を つ く っ て い る. そ の 間 を 縫 っ て バ ス の F ー Ges -. i i i G, F s s一 G s一A, A - 嵐sー H ーCという短2度の上昇形が規則的に散在し, 更に中声部・ 最下線の進行も短2度上昇形をとっている‐ 詰り, ここには大きな尺度における全音々階と 、さ な 尺度における半音々階と が絡みあい, 更に右手のう ごきには大きな尺度におけるd e s-e一gとい 144.
(4) . . フランツ・リストにおける調陛回避の諸相. 8. へ. s: W - d: う増2 (短3) 度上昇 (減3和音的) 線が存在する‐ 中声部の和声進行 はb: 鴎 - De. ‐ ‐ o d 亨で あ る. こ こ に 潜 在 す る 高 ・ 中 音 の 流 れ 亨 i i i i i i s:v v , e: 1室- F:N 一 a , s: 鴎 - D:N 一f:v. は短3度進行をなし, 下音の半音々階との対照がはっきりしている‐ これらは音長規模がことなっ ているために, 和音連結はスムーズであるが調性はまったく ぼかされている. 右 手 声 部 の 下 半 分 を た ど っ て ゆく と des - es - e 一 五s ~ g ~ a ~ (b ~ c) , 即ち 長短の2度. 2) が 「我が音楽 190 8一9 音程が交互に現れる8音々階となる. これは後年オリヴィ エ・メシアン ( 語法」 において系統的に名付けた く移調の限られている旋法〉 第2番と同じである‐ そのほか大胆 な付加音をも含めてこの曲の作曲法はまさに同世代の作曲家のそれをはるかに超えて新しいのであ る. ^ ′ 」. . 8. ,. ・. . g. ・,. 1【hl ′n ・ 」▲ ー -- - - - L P , ー・ ▼ 灯 ム ーつ . ; , - ー・ l 「- f “ 1 1 ‐ ヒート÷イ ゴ 1、、 ‐* r,v′ n サ ー ′ へ〃h ′ 1 ノ r. つ r′. . ′ - - i 2 K弾′ r J l ′ 戴r 】 ” ′ . ▼ ′ イr. 』 ′’ ソ ‐ ^「1 ′ Vリ . n′. ′ 1 蔓′/ ;、.ムー庵 . ”ムJロー ー 1 - - ′ v ′′\ 4 c . ‘ ▼ -”ー - - - - - \ リメ ・・ ー \P ・ - 1 」 J .・ 響 一 r ロ 1 .り ・ ′ ′ ▼. ・′ 7 .. -ロ ′ ′. / ′. ′ ′. も. ′ ′ ・. .rつ. ′ コ t ‘ 1 1 へ′ ▼ 覆 4 ・ L J▼ ・ ぐ. ′ L ァ ご 、 ′ ” ▼ y -“ ム. ′ し - ′ ′. 顧. ,. - ,一 1 H 」 ′ J 1 ‐ ”・. 1′ ′ ′. ’ ′. り ′. ′ ‘. J ▼. r. 145.
(5) . . . 大 塚 更 生. 【韮〕 中期の様相 ( 185 0一60 ) リスト20歳代において芽生えた避調性的傾向は3 0歳代になって益々その度合いを深め, かつ高め て い っ た. 「マ ゼ ッ パ」 Ma珍eppa 1853の T.61一62で は全 音々 階 が 生 の ま ま で用 い ら れ, 左 と 右 が16分 音. 符ひとつ分ずつずれているだけでなく, 左手オクターヴ進行の上の音と右手オクターヴの下の音が l 交 互 に現 れ て 半 音々 階 進 行 を な して い る. T‐106一 9 の 場 合 は ソ プ ラ ノ が clか ら c i s ま で 半 音々. 階により上昇するのに応じて, 中声部は移調の限られた旋法・第2番・第2移調をgとeの短3度 平行によって上昇的に用いている. この場合バスには半音々階内の3つの音c-c e s-b, e s- d-c i s, 6 s-f-e が現れる. この3つの群は短3度ずつの上移関係にある. 以上の諸点からみ て, このパッセージが非調性書法によっていることが明らかである. 移調の限られた旋法・第2番 は中声部に用いられており, これが1オクターヴ1 2の音のうちの8つの音を半音~全音という音程 順に交互に並べ たものであるため ゾルタン・ガル ドニイZo l加ーGa d iはこの音列を 「交互性8 1 o n y 卜 「b ( h 「÷証 音々 階」 母鎧国er i t t と よ ん で いる. この 曲 に お いて は内 声 が g ( as endeAd1 sb証i夢e es ( d [ (fお よ び (f[ ( [ b ( h [ d ( d な の で あ る 次 の 譜例 は T 106一 7 を わ か e e es g as . ‐. りやすく3段譜にかきなおし, 重複音を省略したものである.. 謂輝 り3 ー - 、. ・ し・ 1・ r I 1ー. 1 ▲1 ‐ 1 L ”′ 一 ;1 , ▼ rー. 1 1 1 ‐ y l- ” -. 1. y ′ 【 ゞ ▼ ロ ー “ h - l .・ 1 1ー ′1 ′ 1 ′ ・ 1 ′ 1 ′ 1 ′. ー 身ヂ1 「 「‐ 1 1 、 1 1 ‐ ‘ ノ! ・ご ;. ■ rγ 1 ′′ ′ .. ー ー ▼ .. 二 1 “ー ▼ ▼. ▼ 什′. りr 『 ′. す り 十 b+. 、1 ・′ b n ′・ 一 1 ・ ′′ ′. -- ー虹・l l 1 11 l、 I. 統一 1 1▲ y ▼1 ▼ ▼ i ▼ i i , .. 1 ー ・ ′. . U ′ ′. ′. 一 1 1. f. 「 ‘ 1 ー ‐ 1. b ,′ . ▼ 虹ム. 北岳 ′ ー ′‘. ‐ 1. ‐ . 1 1 r. i UI. 1醇11 1 6粋 影. llI U - M I u ′ 1 ′1 ′ I ′. 洲, ,1 ;. 1′ 1 ′ I. 11 1 1 -1 1 ′1 u ‐ .』1 ー」ー 1 ′ 1 ′1 ′1 ′ 1 ′ 1 1 1 ′1 ′ 1. 「「「「「「. 1 1 - 1 」t ▲ 1 ‐ 9 一 I ・ ‘- ′ ? - .. 1 1 1 ‐. 1 1 - 1. ー 1 i ー. 」 ÷ 1 1 ー. s-b- 「練習曲, 幻影 V i i 5 3において はT e s on」 18 .27のソプラノの各拍頭に長3度の連続 g 2以降の和声進行はD:1 dによる増3和音の分散もみられる ,が, 和声組織は調性的である. T ‐2 i ーV i i iで あ り, こ こ に も D 一 F i s: エ ーV s (Ges) - B (癌s) の 増 3 和 音 関 係 , F , B: 1 一V が ひそ ん で い る. こ れ を 更 に 詳 しく トニ カ の み の 配 列 に な お して み れ ば D: 1 - h: 16一 F i s: l t c es: 1 ー B: 1 」 g: l e . と な り, 更 に 各々 の 主 音 の み を た ど れ ば d - h 一 鮎 - es - b 一 g な の で あ る が, こ れ を 音 階 的 に 並 べ か え る と b (a i i s) - ges (五s) - g, s) 一 h - d - es (d i 短2度-短3度-短2度-短3度という ぐあいに交互に配列された 鼠t d t 即ち e加配en esechsb面 津e. (交互性6音々階) を形成する. 2一27のなかで用いられている音をすべて (異名同音は1箇として) 集合させて音階的 更にT .2 1. 1. 1. 1. 1. にな ら べ か え る と d ) es ] f) ges ) g ] a ) b ) h ] des と な る‐ こ れ はメ シ ア ン の いう 移 調. の限られた旋法・第3番と同じであり, 同じ音程関係による3つの音列を3箇つ らねた9青々 階 146.
(6) . フランツ・リストにおける調性回避の諸相 Ne皿 帥面 夢e i tな の で あ る. 3 3 「練習 曲, 鬼 火」 B垣deFe囲 おne t s1853 の な か の T‐ 7 を み る と 上 声 部 の des4- b3 , 五s ー es , 3ー 3 3- 3の 流 れの う ち の 前 半 に6 を e i e, c a s ges と み な お した 場 合 は G g s:V 4 7の 逆 行, 後 半 に は. C:v i 7の逆行形という音関係がある‐ 変トとハは減5度遠隔調であり, このひとつの拍のなかでそ れが継起しているため, 後続の小節と同じく非調性的である‐ しかも, この音列にたいして左手に は前半に右手の後半中の4つの音を用い, 後半には右手の前半の4つの音を用いている. ソ プラノ の 音列 を な ら べ か え る と c ( des [ es ( e [ 五s ( g [ a ( b の 交 互 性 8 音々 階 で あ り ア ル ト声 , 1. 11. 部は減7和音の分散形である‐ 第2拍からの左右の縦関係をみるとe一 g-b-d e sa-c-e s .. ー -. -. - 負sb - d - e - ge 一 鮎 - a - c と い う 減 7 和 絃 の 4 連 続 と な り 上述 の よう な 関 係 が 後 続 す ,. ることによって非調性は益々濃厚になってゆく‐ 「ソ ナ タ, ロ 短 調」 1854に お い て は T.529の 前 半 が (異名 同 音 的 に み れ ば) f- e - es - as , 後 半 は 鮎 一a i s - ds - e, 即 ち B: V7ー H: V7 ‐530は C: V7- A: V7 , またT , そ し て T‐531 はF i s: V7一 Di s:V7一 C: V7ー A; V7で あ り, こ の 小 節 の 和 音 の 調 名 の みを た ど れ ば, 明 らか に. -短3度下降の減7和音関係となる T 5 3 1の前半の頭をたどると半 . ‐ 30の前半の頭, 後半の頭, T .5 音 上 昇, T.531の 頭 を み る と g - e - ds - 延s ー 6s i s - e w w →, 即 ち 減 7 和 音 の 関 係 に あ る.. 更に同領域の頭の2音ずつをたどるとg[f(e[ d( ds[h(a i s[ 淳sという 下降的交互性8 音々階の潜在があきらかになって〈る‐ 即ち, これらの小節には半音々階的進行, 分散的減7和音 形, 交互性8音々階, 様々な調の属7和音の連続などの諸要因が窓意的に絡みあわされた, 極めて 複雑な図式が展開しているのである. ( M T 0の右手最終拍の頭の音からT 1の最終拍の頭の音ま でたどると g(a s a c( ds(d .5 ‐5. M ( f 6s ( g と いう メ シア ン の 第 4 旋 法 を み とめ う る‐ T.51~ 4 の 右 手 を和 声 的 に みる と c i s: V - ー - - g1v ヱ io, H:〉 ーv i ー i& 1, e:vMio, a: V -v vM;。, G: ~- V, 6S:v i i-v i i 1 と な り, あ る 種 の パ ター ンを み と めう る が, フ レー ズと して は調 的 浮 遊 性 があ き らか で あ る‐ しか し こ れ ら , の 和 声 に 特別 な 解 釈 を く わ え れ ば 次 の よう に な る. As: 1 - A: 1 ー ds:V i io, Ci s: 1 - D: エ ーF i i io, E: 1 ー F: 1 - A:v io, a: 1 ー B: 1‐ i s: 1 一 G: 1 ー H: 1 ー H: 1 - C: 1 - E:v o こ れ らの う ち のV i i を除いた和音, 即ち トニカが所属 している調名を順にたどると As( A [ C i s. ( D [F i s( G [ H ( C [ E ( F[a( B となり, 短2度と長3度の交互性がみとめられるので ある‐. 和声的には3拍1単位 であるが, 音型的には16分音符8箇 (2拍) で1単位となっている‐ T‐ 5 1の第2拍以降T 4の第1拍ま での各拍の頭の音をみると」とDが交互に現れており, 上記の1 ‐5 単位とこれらの音符との3つの要因が同じ拍節形をなさず, 巧妙にずれ合って反復形をつくってい る と ころ にもま た 窓 意 性 がみ と め ら れる の で ある.. 「ファ ウス ト交響曲」. Fausts y 閃Gphome1854 , 譜 例 4 の 冒 頭 主 題 は明 ら か に12音々 列 で あ り, そ I E I I I I ー. れ は4つ の トロ ン ソ ン か ら な っ て い る. g ー h - es 一 錠 - b - d -f- a - ds - e ー 淳s - c の. 各トロンソンは増3和音であり, これらは短2度ずつ下降している. また12音々列の完結後にも増 〈 - 〈 ( 〈 ( tr 3和音形は幾度もつ づく. T e, e一d e s一cの各々第1音c ‐7ー8ではc一a-多s, 淳s一 に r:ざ: 癖 ‐e, 第2音f-a-d e s, 第3音 響s cに増3和音関係がみとめられる‐ T ‐6-7に はf- a - ds, c ■ e ー 淳s が あ り T , . 8 - 9 の 旋 律 e - des - c - a - as -fのう ち の 第 1,. 第3, 第5音をたどるとe-c-a s (多s) e s-a-fとなり, 各々 , 第2, 第4, 第6をたどるとd ( [ 旨; キヌ 旨了≠ 霞 まT 6-7の ご は増3和音の関係をもつ‐ またここにみられる音列e d e s ‐ [ ( [ ( [ [ ( 音列 多s a ds c a 多s f eと音程の交互関係において同一である‐ これら1-3小 147.
(7) . 大 塚 夏 生. 節は増3和音の分散形を組みあわせた12音々列であり, それに続く小節群も調性的ではない. 上記 0に含まれている音列は短2度と短3度が交互に配列された6音々階と同じであ のようにT ‐8-1 る‐ 譜例5は第1楽章の第3主題, この場合はハ短調の道筋にある. 譜おり6は第3楽章, ここには s一gの半音下降の筋が潜伏し, その他のクロマティ シズム及び7度進行の要 cl-h-b-a-a 因も多くあって, きわめて調性浮遊的である. この楽章には他にも動機を半音ずつ上昇させて調性 をあいまいにしている箇所が少なくない‐ このようにリストは原作 「ファウスト」 のもつ謎と神秘 性を多く含んだ内容の表現において ドデカフォニイ的発想を適用したのである. これはきわめて級 密な計算によるものであり, まさにおどろく べきこの前衛的着想は, かの有名な12音々楽の提唱者 ア ーノ ル ド・ シ ェ ー ン ベ ルク (1874一1951) の 生 れ る20年 も昔 に魅胎 したの で あ る.. ,語櫛珪4. ⑦. ⑥. ◎◎. ① ㈲ ④⑤ ⑥ ⑦ ⑥ ぎ ⑮ ⑪ 57第1楽章の主要主題であり, 調性のあいまいさが目につく‐ 語帯り 譜怖u7は 「ダンテ交響曲」18 8は同第2楽章のフーガの主題であり, ロ短調で始まる が, 後に下属調へ移っている.. ① ① ① ◎ ◎⑤. 148. ⑦ ⑨⑦. ). ⑩. あ.
(8) . フランツ・リストにおける調性回避の諸相. 瀞暫8. Ea仇eれto. ①. ⑦. ① ◎◎◎ ピ アノ と オ ー ケ ス トラ の た め の 「死 の 舞 踏」 To 1859 t ) の T.11一12の 独 奏 部 分 で は左 手 en口m曜(. に減7和音の分散形を連続的 (溢s, ds, e, g) に用い, 右手にはその構成音のうちのひとつ は短2度関係, 他のひとつとは長2度関係にある減3和音 厚s-h-d及びg i s-h-fなどを添 えて いる‐ T‐12の 左 手 が h - d -f- 寡s の 分 散 使用, 右 手 は c - es - a と es - 6s - c そ し ,. て 超 -a-e 5では左手の和絃の上音につづ s等々の減3和音であり, 左右は交互に現れる‐ T .1 いて右手の単音が2度関係を保って用いられる‐ 例えば左手の和絃b- ds-6 sにつづいて右手 が短2度上のg, 更に左手のds-e s-aにつづいて右手がb, 左手のe一g一cには右手のds, ‐右手のgーb-e sには左手のeという具合いである‐ ここでは, 左手が異名同音的解釈によれば 3和音の第1転位, 右手は和絃3節の合計に相互共通音があるために減7和音となり, これらが連 続的に上昇及び下降するのである‐ 3 i 最後の右と左のオクター ヴ連続箇所は左手がAか らd s ま で の 全 音 々 階, 右 手 はb か ら e3ま で. の全音々階となっている‐ 左と石が交互に現れるために両者の内声部のう ごきは半音々階となり, ここにおいてもまた計画的な組み合わせがうかがえる‐ T ‐11の左手の進行と右の下の音をたどる. と 祖s ( h [ ds ( d [ e (f[ g ( 厚s [ 縦s, 即 ち 交 互 性 8 音々 階 と な る‐ T 2の同じ音関係を ‐1 ( [ ( ( [ [ ( ( [ ( [ た ど る と d es f 6s 淳s a h c, T‐15の 同 じ位 置 を た ど れ ば 脳 g a b (d [ ( となり 共 に同型の旋 法といえる の である s es e . ,. 149.
(9) . 大 塚 夏 生. 86 0) は完全5度の堆積例であり, E と H が基盤となっては 「メフィ ス ト・ワルツ」 第1番 (1 いる が, ホの調 性 に あ る と はい え な い. しか し, こ の 曲 も テー マ に入 っ て か ら は調 性 に 立脚 して 進 ん で いる.. ′. ′ V‐ ” ”^・ イ ′▲ . ▲ ‘ 」 1 ム ー 」 ー 」^ 11 1 11 r ▲r ー” ・r ハ ” 乳′ ′ yr 「r r 1 r1 「r . コ 「 「 r 「ー 11 ・ 11 1 r ′ r 、 .. ・ ’ .1 ・ .. 1・ . ・ 1 1・ ^ ′1 1 1 ‐ 1 1 y チ #リ‘◆ ◆ ー・ ◆. リ ロ鱒. ‘ 、 ー1 L . .’ ー ・ r , L i ・ ▼ ′ 【 r ”. 〉. 1 . ・ 11- 1- 1- 1 1 ‐ “ 「「 「「「. 〉 - -・ 11 1 「「ー ー -「 「. 卿だ. 1 11 . ・ ・ r’ ・- 1 -1 1 ’‘ ti DI I - 1 1 . ′1 . ・ ‐ ‘ リ. 111 11 1 一「 一「 ー 一 一ー 「 【「 「【 【 「【 「. 〉. ・ 1 .‐ i ‐” 1 1 11. 〉〉. m m m. 1 11 ー ーー ー ーー 「 「「 「 「【 「 “「 「 「「. 【 ー 「 「ー 「 ー 「 【 「ー 「. 1 8 8 0年代) 〔皿〕 後期の様相 ( 「死 の チ ァ ル ダッ シ ュ」 CS欲das Macabr e1881‐2 に お い て は T‐ 1 一30が左 右 の 並 行 関係 に あ り,. 両手共に6 sと dsの5度重音を短2度ずつ移動している. 6 sと dsを中軸としているが, 調性の ない空虚5度の連続のみである. T .33一53で は減和音と増和音の交替が頻繁にあらわれ, 調的組 成に近くて異る性格がはっきりしている. T 2一70はイ短調であるが, その次からは調整があい .5 まいになり, T 7 6 一 1 0 3 3一9 2においては左手が右手と3度ず では右手に平行5度が現れる . T . .8 れた平行で進むために3和音の第1転位が長々とつ づくが, 半音々階的進行の故に調性は明白では ない‐ T 3一1 03は冒頭と同じ原理によっている. T .9 ‐104以降しばらくの間は調的和声書法がつづ く. しか し, いず れの 終 止 形 も み ら れ な いま ま に 他 調 の 和 声 にう つ り か わ っ て ゆ く. T.170一185 は H:, B:, H:, C:, H:, Des: 等 々 の 属 7 和 音 の み を 経 て い ゅく. T.187一193で は As:. G:f i i :e:D:のV 7の ほか他の和絃をも混えつつ進み, 調的安定性は希薄であるが, 一部にホ短調 の和声進行もみうけられる. lは冒頭部, 終結部共に単旋律の原 18 85?) Di ll 「悲しみの ゴン ドラ」 第2番 ( rGo nd eT猿u e e 理によっている. これは語法上の厳しい凝集性を示すものである‐ 更に全体としては甘さとうつく しさを断固忌避し, 虚飾を一切排除して深くもの想う思索者, 求道者の精神をあらわしている. こ の方向は 「リヒァルト・ヴァーグナー・ヴェネツィ ア」「葬送のための前奏曲と行進曲」 「悲運」 な どにつなげられるものである.ここにおいては避調性という行為が単なる新しい思い付きではなく, 心の深層を音として定着させてゆく, ぎりぎりまでに迫った純枠なものなのである. ここにもまた減音程と増音程が数多く現れ, 更に別の手段による調性の ぼかしもみられる‐ T‐ 150.
(10) . フランツ・リス トにおける調性 回避 の諸相. 1I 譜縮リ. 881 1 -2. A亘egfo. ・. ^. 〉. 〉. 〉. b. ) 〉. -. 〉. 謂輝明2. ′ー リン . ・. ′= \. ・. ・. ・. .. ・ ≦』, ▲ 〉 .. ・ ‘′. . ・. .. ・ v. . ・. : 、. き .. .. . .. 1 - 4, 10一13 t c , 19一22e . はユニ ゾン旋律 であり, 共に同型の減3和音の分散形であるが, 開 i iデ で あ i i《 T‐ 7 は es:v 始音が各々 鮎, f, eという半音下降関係にある‐ T‐ 6 の 後 半 は g:v り, 調 性 が確 定 しな い. T. 5 ー 9 の フ レー ズ は 右 手 に a, 6s, es, d, c, des, h, 滋s, 左. 手にはe 0箇の音からなる. 右の単旋律は増6度-増2度一短2度の開 sとF, 即ち gとeを除く1 始により, 左手共々非調性的である が, T 0 ‐1ー4とは音程と組成の点で対照的である. T ‐10一3 もまたこのような対照的フレー ズ関係を内包している が, T ‐23以降では右手が少々変形され, 左 手 の和 絃 伴 奏 が省 略さ れて いる. 第 2 フ レー ズ (5 - 9) , 第 4 フ レー ズ (14一18) , 第 6 フ レー ズ. ( 23) 以降の各々の開始音はa-h-d e sであり, この全音上行は第1, 3, 5楽節の半音下行性 と対照的である. T.124一131で はユ ニ ゾ ン の 単 旋 律 が 再 現 し, T ‐131一139で は T ‐23一30が そ の ま ま の 形 で 用 い られ て いる. T.127一130に は 4 音 か ら な る 音 群 が 3 箇 あ り, 各々 の 頭 の 音 は五s, f, e と 半 音 下. 降している. これはT 2 5の頭のa sと次の小節の gにつ づく小節動機的開始形の半音移置なので .1 ある‐ T 0 1 4 一 1 5 1 には左右オクターヴ関係のうちに第2転位の3和音の半音的上下波行に よった ‐ l う ごき があ り, 更 に T.144一151に はソ プラ ノ に g1か らd i s に 至 る ま での 間 を 波 行 す る 半 音々 階 が. ある. T 2から最後までは再び右手のみの単旋律にもどり, 増5度を含む小動機を2回用いた後 5 ‐1 l に clか ら 多slま での ゆ っ く り と し た 半 音々 階 を 下 降 的 に 用 い, つ づ い て g か ら d i s ま での上昇的. 151.
(11) . 大 塚 夏 生. 全音々階を用いている‐ このようにして終始非調性的音関係によって唆厳な楽想を貫徹しているの である. 1 8 8 2. 譜有り 13. A皿曲一鯵 国e sお,班皿 如唖. 加幽.艶鈎胸囲 圭8 8. 回. 】 ′ 」 1 1 , ▲ 1 IU-. ‐ = 11 1 Vリ ・ ′ー. リ. せヱ ザ 一一一. ” . ′. -. 1 ‐ ‐ . ・ ′‘ . , - ー … ′ ▲ ‐ ’ ’. 卿 ‘1 ▲ ‐ .. ワ ′ノ. 1. 1‐. ’1 γー. .・ /′ ″ 、. ‐ 1. ‐ 1‐ 4 ▲ ro ry y ー ノ. 園 .り ‘rこ. 」 ・・ 」 r t」 、 ・ ′ 1 .′ 1 ‐ . ri ・ ▲ 1 . ・ ・ ~ t ▲、 て1 t ▲ - . 、; ▼. u に ’ 1 1 1 1 ;. - 1 1. …. r hi r D. ‘ - ▲. ぬ “^ 1 ーー ‐ ー. ‐ ‐. ▲. L^ ‐ ‐v. ur ′ ‐. mザ. ー ・ L1 一 h′ 1、 ・ 1 ▲ ー. ‐1 . 1 . ・ 自学. ー . - - ・” 禰粥. ・. ・. ‐. ‘ ・ 」÷. 152. ‐. ー 捻( ー r --- ・ ---▲. #o. 、. ′ { : 、. - ..
(12) . フランツ・リストにおける調性回避の諸相 h園ぱd wa仰ervene (油 ( 1883 ) はリ ス トが ヴ ァ ー 「リ ヒ ア ル ト・ ヴァ ー グ ナ ー ・ ヴ ェ ネ ツ ィ ア」 Ri c. グナーの死 を悼んで作曲したものといわれている‐ A (1 -30), B (31一43), C (44一50) と いう短かい曲であるが, レント・アッサイというゆるやかな流れのうちに万感胸に迫るおもいがこ められており,単純な組織のなかに厳粛さがみなぎっている.A部分とC部分は非調性的であるが, B 部分は調性的である‐ T .1-4はひとつの増3和音の分散的反複をオクター ヴ・ユニ ゾンでお こ なう‐ T .9-13 .5-8の ds, f, bは鍵盤楽器の性質上 (異名同音) 短3和音の転位に, T の ds, 6s, b は 長 3 和 音 の 転 位 に ひ びく. しか し フ レー ズ の 流 れ の な か で は 記 譜 ど お り の 意 味 I を も っ て いる‐ T.14は d負sais ds, 即 ち 増 3 和 音と 長 3 和 音 の 合 成 で あ り, T.15一18の 左 は ds -6s - hと いう 4 度 堆 積 和 音 と h - d 一 脳 と いう 短 3 和 音 の 合 成 で あ る. T‐19一20の ds 一 g 一. hは減5度と長3度の組合せであり, T .21一24は増3和音の下に減5度を付加したものである‐ 2 一 2 7はオクターヴ・ユニ ゾンで増3和音を半音ずつ 上行させ これらユニークな和音につ づく T 4 ‐ 8一3 たものであるが, T 0になると増2度, 短2度, 長2度 (4回) ‐2 , 増2度, 短2度の上行音程 をソ プラノがたどる‐ 即ち中程に全音々階が用いられる. ここではソプラノが増2度上行するとき, 他の2声は長2度上行し, ソ プラノとバスが短2度上 行しているとき, 中声部は減3度上行し, ソ プラノが長2度上行しているとき は他の2つの声部が 増2度上行しているのである‐ 半音進行は右手の和音群に数多く, T .4-7にその上行形, T ‐7 ごき があ の と ころ 7一2 も に そ のう に 他 T 0に 右 手 り 更 9 1 4一1 7と1 ー にその反復形がみられる‐ ‐ , にはこれら全ての音程的素材を左右同時に用いているために不協音程 が数多く現れて調性的構造を 打 ち 消 して い る の で あ る‐ A部分にも甘さと美しさを遥かに超越したもの静かさのなかに, 寂夢 と唆厳の楽想が存在している‐ B 部分はまさに葬送行進曲のリ ズム によって万感胸に迫る想いを あらわしているが, T 4からひびきは突如として変り, 増3和音となる‐ 次に左右のオクターヴ・ ‐4. ゑず83. 請縮リ 15. Le耐oassai.M‐M‐j.▲8. 1 、. ・ ‐. . . -. 「. # . . . ー ● c o osub 1 8 8 4. ・ r . ‐““”“““”“ p .”““‐ ‐ ・ - -”- - - . ‐””. ‐ .”.”.““. ‐”‐ . ‐““・“‐ ・“‐”‐“‐“‐ ‐ ‐””・“““”“““”- ・ . r f▲ .. 「ニメ, ‐・. ”′ ・ ・. ◆ ▲ 罰・ . ‐, , - ” . . ・. 一≠~〆 - ‐- -- ‐ 、 ‐,; .. ・. b ・”&”“.”. . . ‐“”””“”- ‐ ‐”‐ ‐ ・ ・“・”- ・ ・“・ ・“‐”“‐ .“””“-“““.“-”‐”-“””‐“”“ ‐ .”‐“”“”.”.“.. 153.
(13) . 大 塚 更 生 ユ ニ ゾ ン で ds2ーbl- al-flの モ テ ィ ー フ を ゆ っ た り, しか も 静 か に3 回 連続 さ せ る. こ の 流 れ はひとつ 前の 小節 の d:v6及 び T.44の d:+m室と 同 じく d - mo旧こ属 し て い る た め, 終 末 で 息 絶 える ごとく にき こ える 2つ の嬰ノ、音 は尊 音 で あ っ て, 決 して 解 決 感 を も っ て はい な い と ころ に 作 曲. 者の心境がうかがえる‐ しかしながら曲頭の ds-f-aと曲尾のa-f- dsには逆行の関係が あって非調性ながらも回帰性が存在するのである. Vo i lund Marsch(1885) 「葬送のための前奏曲と行進曲」 T鎚ue r ‐ r s e p 8 5年4月 にブダペストで書かれ, 行進曲は同年9月にヴァイマールでかかれた. この前奏曲は18 i k の 理 念 を 表 明 して い る. こ れ は 近 代 ・ リ ス トは1 87 3年, 6 2歳の頃既に無調音楽 D i eato鯛Je Mus 現代の作曲家達に先立つものであり, その歴史的年代のはやさは真に驚異的である. 「前奏曲」 に i おい て は調 性 を か ん じさ せ な い 下 降 的 7 音々 列 ds [ H ( B ( A ( F ( E ( Es [ c sが6 回も用. i いられ, 更に最終音の C sに至るまで要所には必ず嬰ノ、音がおかれていることから, この音が中心 となっていることがわかる. またこの音列は音程構造からみて前半と後半 が鏡像的につくられたも のであることにも気がつく‐ 更に左と右の各拍をあわせてみると左右ユニ ゾン以外の部分が全て不 協音程をなしている. 右手のみをみても増3和音が常に要所を占めており, テムポがおそく, 音の 数も少いが, ひびきは鋭い‐. Trauer.vorspieI. 謝明6 1 Andante1 re 1g1 1 l 1. ・. .. , Cだ薯 { .-. . 1 t V ; l 1. じ o 軸8. -. ‐. . -. -. -. ″ザ ′ - ’”輯た. ′. 「. ノ. -. -. -. -. -. ・ ・. ‐. ‐. ′ . ー. -. -. .. ・. ー. ー. ー. ( i (G〈 s つ づく 行 進曲 T耀uer ‐Ma r s鉱 も 序 奏 は左 右 オ ク タ ー ヴ・ ユ ニ ゾ ン で あ り, 音 列 は F F ー ー. 」. .即ち開始音と結びとの間には増5度の関係がある 前半F一F i i B〈 C s- G は半音々階, 後半 s, ‐ h (T i G -B . C r c s s は減3和音の分散形というものでもあるが Ma ‐9) に入ってからはF音を ・モ ティ ーフ と して T i i 除い た F s が グ ラ ウ ン ド・ s一 G 一 B 一 C ‐77ま で 続 き, そ の 後 T.90の 右 手 に. 5) までそれが幾度もオクター ヴ・ユニ ゾンでくり返 8から最後 (T 単音で1回現れ, 更にT .12 .9 3一50の3度使用例 えされる. T 3一3 4の右手は減3和音の半音移動をくり返し, それ以降もT .4 ‐1 :ヲ の 以外は半音移動を本筋としている. 更にこの範囲ですら内声部 隊半音移動を原則としておりJ 3もま 1‐7 音型にいくどもみられる3度進行 は和絃内の音をたどった結果のものなのである. T .5 154.
(14) . フランツ・リストにおける調性回避の諸相. 3一7 0の3度進行もまた上記の楽段と同じ原理にもとず た右手は半音移動の和絃関係が続き, T .6 いている‐ 時たま協和音も用いられるが, 前後との関係からみて調性の存在をみとめることはでき な いの である‐. 3〈 b ( a2と 低 声 部 のb ( dsM五s ( は新 しい 音 列 で あ り リ ズ ム の 新 し i T.74・75の es3[ c s g , ( g - ズ i-v i i s:v さ と 同 時 に es 絹 b の 3和 音 群 が 目 につ く‐ こ の フ レー は 異名 同 音 で み れ ば F. i i 6 s:1-a s:v 7の和声連結を反復したものである が, これを調性的なものとみることはできない し, 更につ づく希薄な配置による和絃の位置関係 (T ‐ ‐97に到るまで) にも調整は存在しない. T の から支配的であ た主要動機と同じ 動機 ) 的進行のうちで曲頭 7の楽段に在る音列 ( 74一9 っ (ヘヘ 音程 関 係 を もつ も の は T.90と T.93‐97の ソ プラノ の み であ り, 他 の も の は 全く 異 な っ て いる‐. 8以降は再び主要動機 が支配的となり, 最後の音は嬰ノ、(即ちこの曲の前奏部の最初の音) T ‐9 である‐ 全体的にみて嬰ノ、音を主要音として, 無調的関係を設定した作品なのである.. Trauer‐Marsch 譜例17. Ei l ” ー t ei uu lg AI ーe maやStりSo r旺I 1daI 1 I でbrや. (. ▲. ・ . bl 醤 $ a・. . ‐. ・. -. ,. -. ★. ー. -. ー. ー. ー. ー. Marsch. ねV t 謁b 8 ・ o鯖 -. -. -. t銀v ies emp t t 8 r cc o n8 a c c a o-. -. -. ー. -. -. -. -. -. -. -. -. -. -. -. 155.
(15) . 大 塚 夏 生 譜例18. ′. \ \. \ \. 「無 調 的 バ ガテ ル」 Baga t i t eue ohne Tona鶏 ca18854 ‐W辻Z s o e”潟題名 に 「無 調 的」 と い . Meph. う語がついているリスト唯一の曲であるが, 組成をみると既にとりあげてきた後期の諸作品のよう な, 無駄を一切はぷいた, ぎりぎりの唆厳さなどはなく, 調性音楽に多くみられるような素材の断 片がひんぱんに用いられている. そのため鋭利な不協音程のぶつかりはなく, いかにもワルツらし い3拍子の流れによっ て軽やかにすすむ‐ 曲想はBa罪t n e eという題名の示すように小じんまりと した もの である. ( ( 序 奏 (1 -12) は単 音 に よ っ て h [ ds ( d ( d i s e fの 6 音 の み を 用 い, 音 程 関 係 に は 減 ( [ 5 度 と 減 4 度 が 含 ま れ て い る. T‐10一13の ds d e (f (2 回) は T. 1 - 9 の 跳 躍 性 フ レー. ズをまとめる滑らかな上行素材であり, 後続のさわやかなスケルツァン ドの導入にふさわしい .. T‐13一32の 右 手 は es, d, c を 除く 9 音, g ( 淳s ( a [ h [ dsMe (f( 鮎 か らなる. モ ティ ー フ は調 性 音楽 に多 く用 い ら れ て い る も の の み で あ り, 伴 奏 に は T.13一16と T .25一28に d 一 g - h. のコー ドを用いるなど調整的な素材が多い. また左右を合わせて考えるとT 5 ‐13 , 15 ,2 , 27など は明らかにC:V7とV9であるが, 各々直後の小節の主軸音が嬰へであるため (右手) フレーズ全 , 体としては調性に定着しない. T 4の半音々階に対する伴奏は不協和音のみによっている‐ .17一2 T‐40 , 44 , 47 , 48 , 51一56は二 長 調 の 素 材 を 右 手 にも ち, T .45一46 , 49一50はハ 短 調 の そ れ を も 十 つ. しか し, T.37一39 左 手 はロ 短 調 のv g一 皿 一v i i =≦で あ る た め に 複 綜 して き こ え る‐ , 40一43の 但 し, T 5 1一5 6はま さ に 二 長 調 の 川 V V か か れ い る た め に トニ カ は出 て こ な い が 無 調 で て g . 7 7 , 9. 的緊張感がない. T.57一86で は曲 想, 音 形 態, 拍 子 な ど が一 変 す る. T‐62ま で は Ci s, f, h が 保 続 音 と な り, l l 1 ソ プ ラノ が a - 鱒s - g を く り か え す‐ 但 し, h とfは T.64ま でつ づく. T.62一70は D 音 が 保 l l l l 続 き れ, T ‐65一70に は 鮎 と c の 保 続 音 も 加 わ る‐ T‐65一72の ソ プ ラ ノ はb - a - 淳s - a - l l 1 1 1 l 1 2 l 1 b を 2 回 た ど り, T‐73一76は h 一 ais - a 一 ais 一 h , T.77・84は c 一 h 一 ai s 一h - 2 1 i c s - h 一 頭s1一 h1と い う 具 合 い に 漸 次 上 に 移 行 す る‐ 左 手 お よ び右 手 の ソ プ ラ ノ 以 外 の 音, 即 ち 保続 音 の 状 況 を ま と め て み る と, T.57一62は ds, f, h, T.63一64は d f h T‐65一70 , , , はd, 丘s, c, T.71一72は es 五s c, T‐72一74は es g cis T 75一76は e g ci , , , . , , , , s, T.77一78は e, 多s, d, T.79一84はf, 多s, d と いう よう に 変 化 し て ゆく. メ ッ ツ ォ ・ ソ プ ラ ノ の 線 を たどる とf- 6s 一 g 一 躍s, ア ル トの 線 を た ど る と h - c - c i s - d, テノ ー ル の そ れ はf 156.
(16) . フランツ・リストにおける調性回避の諸相 i - 6s - g - g i s - D - Es - E - F と い う, 全 声 部 が 各 々 半 音 ず つ 上 行 す る 大 き な s, バ ス は C. 流れが存在する‐ この楽段の和絃組成をみると協和音 がひとつもないのに気がつくのである. 諸存嵯 i9 ▼ 〉\J す 因めa. ゆ. ン. ーd伽ド. お キ. 三. ◎ 炉≠ 、 ′ノ. 骸 こ÷二÷/. 6. h c c h Z ; 回 d Ps o. 6. 6. 、 「2 3 1 2 1. j 8 2132 .. ・. ‐. ・. 23 12. .. . . 121. 212, ‐. . .. . 3. 1 21. ・. .. . . . 23 i d 寂 : mpにPI総g cm ぎに αM a n 。. ◎1 9 i i d 8 4b d 【 t a s oM唖c a u P e yE ,B. 譜暫q 20. ‘ i - L ′L r i ・ ““ ー . ▲“ . ▼”-▼ 平川′″ ー lr”→ 灯″ ′ 謬 1‘ ’ ’、 イ I !. ▼ ▼ ,. d. A. A. 官学. 【】 イふ ′ 塵立 、争9 ・ ′ 9 1‐ “′; ・ i\ /ー ! ▼ ′ ′ ′. 157.
(17) . . 大 塚 夏 生 〈 ( [ ( 〈 〈 ( 〈 [ ( i T‐86はカ デン ツ ァ で あ る‐ 使 用 音 列 に は as h [ c s h, h d e f s d f g a ( ( h [ d ( d 等々 があ り こ ら れ に は c, es, 五s, a の 4 音 が 欠 けて い る‐ 素 材 と な っ て a s s ,. いる音を列べかえてみると初期の頃から幾度も用いられてた音階, 即ちオリ ヴィ エ・メシアンのい う移調の限られた旋法の第2番, つまり ゾルタン・ ガル ドニイのいう交互性8音々階となる.. 譜縮リ 2 1 肇. . 宇卿悶 . -. ]Q []JL. ] L I」J. d m . .. . ←二題三塁L厘に三三二準二扇亡擢. ,. . . T .87以降は序奏およびA楽段の変容であり, 曲想は更にのびやかに展開をつ づける. 88 5の無調書法のきびしさと楽想の深さは滞におどろきに これらの諸作品につ づく 「Un t s em」1 価するものである が, 既に他の機会にとりあげたので, 詳述をさしひかえたいとおもう.. おわりに フランツ・リストの ピアノ音楽といえば一般にはハンガリイ狂詩曲, ソナタ, 協奏曲, そして専 門家には更に演奏会用練習曲, 超絶技巧練習曲, その他若干の曲がしられているのみである. これ 8 0年以降の は筆者が直接内外の ピアニスト達から得た情報である‐ 特にリストの後期, なかでも18 心がよせられる例はすくな によ て形成された作品群についてつよい関 深い精神性と透徹した理論 っ い よう である.. リストは唯単に天才 ピアニストであっただけでなく, 若いころから音芸術の構造への知探究心 が 旺盛であった. 中期になるとそれが益々たかまり, かつ哲学や文学への関心の深まりと相僕って作 曲の様相も一層充実してきた‐ 後期に入ると非調性的構造への想いが, 新規な興味や劇的効果とは 全くはなれて, 内観的精神の森厳性と不可分の関わりをもつようになつ た‐ 後期の諸作品はこのよ うな意味において音楽史上の傑出した事象であり, これらが調性回避を企図した多くの近代作曲家 の活躍したはるか以前の創造である だけに, 音楽史のかきかえを迫るものとして価値付けられるべ きなのである‐ さて, 若い頃の作品には減和音と増和音の連続, 全音々階と半音々階の起用, そし てこれらの組みあわせ等々が調性回避の手段として用いられている‐ しかし, それが作品全体を支 配するまでには至っていない. もっ ぱらピアノの演奏効果を追求するなかで音組成のあたらしさを 試 みて い たの であ る‐ こ こ で は種々 の調 の な か の 和 音 を ク ロ マ チ シ ズム の な か で並 列 した り, 時 に. は半音々階と全音々階の交叉を巧妙におこなう例もある. 更に交互性8音々階, 交互性6音々階な どもまた種々和音と並用される. 中期に入ると, 9音々階をも起用し, 交響曲 「ファウス ト」 と 「ダンテ」 においては主要素材の な か に12音々 列, な い しそ れ に 若 干 近 い 音 列 を用 い て い る. こ れ ら がア ーノ ル ト・ シ ェ ー ン ベ ル ク 158.
(18) . フランツ・リストにおける調性回避の諸相. の生前にかかれたこともまた音楽史の記述に問題を呈起すべき事実といえよう. 「メフィ スト・ワ ルツ」 第1番の5度堆積和絃の連続につ づいて 「死のチァル ダッシュ」 のながながとつ づく空虚5 度の試みは後世の作曲家達を刺戟したものである. その後の作品はリスト自身の語法の集大成であると同時に, 音素材の簡潔化と楽想の深化を特質 としている‐ 「悲しみの ゴン ドラ, 江」 「リヒァ ルト・ヴァーグナー, ヴェネツィ ア」 「葬送のため の前奏曲と行進曲」 なども緩やかなテムポのうちに無調的音関係が轍密に組織化されている‐ これ らは作曲という行為において思想, 感情, 計量があくまでも冷徹に統合された範例といえるのであ る. 次にリス トが用いた音列のうちの全音々階以外の主なものをあげておこう‐. 2 語例2. 1 3. . . 7. y ヴ. ナ ソ タ . . 、′. 1 0. 上記の素材は音階や分散音形の他, 多様な用法によって作品の骨子となっているのである‐ その プロセスにおいてはおいては一切の無駄をはぷいて 〈純粋〉 と く唆厳〉 を追求している‐ 詰り, 協 和音を基調とする従来の美的情緒体験, および虚飾の快楽と名人芸の愉悦e t c ‐を意識の根底から 払拭し, 寂霧, 寂葉の人生意識をできるだけ少ない音でもって定着させたといっても過言でない‐ 8 60は全体を 「全音々階」 でつらぬくことに 本稿で割愛した作品のうち, モノ ドラマ 「憂いの僧」1 より, 彼の他の初期以来の作品と共にクロー ド・ ドビュッシーの 「全奏曲集・第工巻」 に50年ほど も 先 立 っ て いる.. そのほかにも装飾を排し, 生命への思慮の深さを加実に示したものとしては 「眠られぬ夜, 問い と答え」 「モソーニの葬送」 「ものみな涙あり」 等々がある. フランツ・リストこそは他のロマン派 作曲家達と決定的に異って感傷, 夢想, 民族主義的感情等々を最終的には見事に超克し, 特に後期 159.
(19) . 大 塚 夏 生. には調性回避と本質への鋭い肉薄を表裏一体のものとして実現し得た, 真に偉大な創造的存在なの である. 1 ▲ 160. i dF i i tゞ V dR t a - be henTob滝憶tl t ec如国kL s z 『 T 1 h enz u コ 〔s eque細 川l ‐AI血e出血g 阻 ・ i縦o戊申t g閣議ロons s 甑彰l r r,ZWi s c oma ge i鋭いmdAvan del 988 t 棚o s g a i i ‘ 1 4 C犯”P欲i i Ted b唖q 0丘近e sl9 ued umonl如guagemus rMes s aen, , i ゼ遊We keが 1978 i l 立 ) dnmgs t 6heni Zo l如 Ga don顕, sFr r ぶi nL s z eueor enderTo r p出血p ”1 ) 9 ミ 込 d i f L i i, 罰 h Ha l 蟹eys桜江 t n o n s z r em u s co 1 p , i i 9鯖,Budapest tsy i s沈”1 錠s rFa us evonL l mphon z oso回随,D唾e Meロロロo l 軍hosede ” i櫛 田l dAvmt dVe S i t r逓帥凹g Wmuos g超edMa use r,De p n on a g a rde e gew・ ,1988.
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