へき地・小規模小学校における校内研究の現状と課題 ―北海道における事例調査を通して―
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第66巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 66, No.2. 平 成 28 年 2 月 February, 2016. へき地・小規模小学校における校内研究の現状と課題 ― 北海道における事例調査を通して ―. 深見 智一*・津田 順二** *. 北海道鶴居村立幌呂小学校. **. 北海道教育大学大学院教育学研究科高度教職実践専攻. Present States and Issues of In-service Training in a Small Rural School ― Through the Investigation in Hokkaido ―. FUKAMI Tomokazu* and TSUDA Junji** *. Hokkaido Tsurui Hororo Elementary school. **. Hokkaido University of Education Advanced Professional Development Program. 概 要 北海道の公立小学校における事例調査を通して,へき地・小規模校における校内研究の現状 と課題を報告する。一般的に,へき地・小規模校においては,地理的な制約から,校外への研 修機会が不足していたり,教員の年齢構成に偏りが見られたりすることが多い。そのような状 況でも,教師の専門性を向上するための方策の中心となる校内研究を実施するに当たっては, 都市部・大規模校よりもきめ細やかに教員の研修ニーズを汲み取り,少人数の教職員集団であ る特性を活用して,限られたリソースを生かしていく方策がとられていることが明らかになっ た。. 1 はじめに. 校の適正規模・適正配置等に関する手引』(文部 科学省 平成27年1月27日)を適切に活用するた. 文部科学省が,2015(平成27)年1月に「公立. めに~」(2015)を発行し,市町村教育委員会へ. 小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する. の情報提供を行っている2。. 手引き~少子化に対応した活力ある学校づくりに. これまでに単学級小学校や複式学級小学校を含. 1. 向けて~」を公表したことを受けて,北海道教育. む学校の統廃合を推進してきた北海道内の自治体. 委員会も, 「北海道における少子化に対応した活. としては,①産業構造の変化等により,人口が減. 力ある学校づくりについて~『公立小学校・中学. 少したことに対応した自治体(小樽市,室蘭市,. 275.
(3) 深見 智一・津田 順二. 函館市など) ,②大きな人口減少はないものの,. 第一に,若手教員が多いへき地・小規模校にお. 宅地造成の終了等の要因で,一部地域において住. いて,どのような校内研究テーマを設定すること. 民の高齢化が進んだことによって児童数が減少し. が望ましいのか。明日の授業をどのように計画し,. たことに対応した自治体(札幌市,旭川市など),. 指導するのかという短期的な視点に加え,教師(学. ③行政区である自治体の合併に伴って学校を統廃. 級担任)としての専門性の向上を図っていくため. 合・再編成した自治体(釧路市,旧阿寒町など),. の校内研究になっているかが鍵となる。教師の職. ④財政的な事情を発端として統廃合に着手した自. 能成長の舞台をまとめた木原(2010)は,多様な. 治体(夕張市) ,⑤学校の耐震診断・耐震化工事・. スタイルの教員研修を共通性,個別性の要素に分. 新築工事等の実施に伴い,中・長期的な展望から. けて,そのなかに,行政研修,校内研修,サーク. 学校統廃合に取り組んだ自治体(釧路市,室蘭市. ル活動,自己研修を位置づけている6。校内研修は,. など)が挙げられる。. 同じ学校に属する教師たちの協働的な営みである. 学校の統廃合の動きがあるにしても,現にへき. 以上,共通する課題,共通する手だてが必要とさ. 地・小規模校で学んでいる子ども達の学びを保障. れる一方,教員個々の経験や志向性の違いもある. することは当然のことである。これまで筆者らは,. ことを踏まえ,共通性と個別性を満たす必要を指. へき地に多く所在する単学級担任が抱える課題を. 摘している。調査対象の各小学校においては,学. 研究し,校内研究への期待の低さや校内研究に満. 力向上のように,北海道教育委員会から提案され. 足していない状況があることを明らかにしてき. る様々な施策を行わなければならない状況にあ. た。例えば,深見・津田(2015)は,単学級担任. る。加えて,学校の経営方針を達成するための管. 経験者への事後調査を通して,若手教員の多い学. 理職からの要請,教職員,とりわけ若手教員から. 校における校内研修のテーマ設定の難しさや個別. の要請なども擦り合わせて,校内研究の方向性を. のニーズに即していないという若手教員(教職経. 定めていく必要があり,その調整が求められる。. 3. 験年数5年以下)の意見を報告した 。また,深. 第二に,若手教員が多いへき地・小規模校にお. 見(2013)は,単学級担任への調査から, 「単学. いて,若手のニーズをどのように汲み取り,対応. 級の小学校では,大規模校に比べて担任をもたな. していくのか。校内研究の中心は,教務主任や生. いいわゆる『フリー』の教員やTT・少人数指導. 徒指導主任と同列に当たる研究主任が担うが,教. の教員が少なく,校外の研修に参加しにくいこと. 職経験年数が一定程度ある教員が,学校の実態に. や, 都市部から離れた地域にある学校もあるため,. 即した校内研究を実施できるかという担い手の問. 都市部の研究会に参加しにくいこと」 を報告した4。. 題,運用上の課題を考える必要がある。. ほかにも,石原(2012)は, 「目的の明確な校内. 第三に,校内研究を行うための時間確保をどの. 研修の必要性」に言及し,新任教師の様々な悩み. ように図るか。教材研究や学校行事の準備等の業. や課題を解決するために,学校の研修で何を明ら. 務もある中で,学校規模に関わりなく,校内研究. かにしようとしているのか説得的に伝えること. にあてられる時間には制約がある。そのなかで行. が,彼らに主体的な参加を促し,校内研修課題を. う授業研究(事前研究会や事後協議会)をどのよ. 5. 内面化されることにということを報告している 。. うに効果的に行えるかという課題がある。. これらのことから,一つの仮説として,学校規. そこで,単学級小学校を含む小規模小学校にお. 模・教員の年齢構成・地域性などにより即したか. ける校内研究の現状について調査し,今後の解決. たちで校内研究を進めることが,地理的・人的な. 策を検討する一次資料を収集する目的で本研究を. 制約があるへき地・小規模小学校の校内研究の改. 実施することとした。. 善・学級担任の専門性の向上に資すると考える。 課題としては,以下の点が挙げられる。. 276.
(4) へき地・小規模小学校における校内研究の現状と課題. ⑵ 調査に関わる基本データ. 2 研究の概要. ①回答校の学校規模,地域性. ⑴ 調査方法. 学校規模を学級数別で分類すると,第一に,一. 本調査では,北海道教育委員会の釧路教育局,. 学年につき複数学級がある学年が中心の小学校. 根室教育局,留萌教育局管内のすべての小学校を. (便宜上,以下「複数学級小学校」),第二に,一. 対象に行った。これらの3教育局管内を対象とし. 学年につき一学級の単学級である学年が中心の小. たことや学校規模・地域性を問わずすべての小学. 学校(以下,「単学級小学校」),第三に,二学年. 校を対象にした理由については,後ほど触れる。. につき一学級の複式学級が中心の小学校(以下,. 調査の実施時期は,2015年3月で,その時点での. 「複式学級校」)に分類できる(表3)。. 対象校は113校であった。そのうち,70校の回答 を得ることができた(回答率 61.9%)。回答者は, 校長,教頭,校内研究に直接携わる研究主任のい ずれかに依頼した。調査は,今後の追跡調査の可 能性を考慮し,記名式の質問紙法で行い,各学校. 表3 回答校のへき地指定(地域性) 無 準・特 1. 2. 複数学級小学校. 16. 5. 2. 単学級小学校. 8. 4. 7. 2. 9. 7. 複式学級小学校. 3- 計. 教諭の平均人数. 23. 24.6人. 1. 22. 13.4人. 9. 25. 5.36人. での校内研究の状況について尋ねる選択式を中心 に, 一部記述部分も取り入れた(表1)。この際,. 本調査の回答校は,複数学級小学校が23校,単. 研究倫理上の留意事項として,調査依頼文におい. 学級小学校が22校,複式学級小学校が25校となっ. て,調査結果を各学校が特定されないよう配慮し. ており,学級数では小規模校の回答が多いと言え. て活用することを記述し,調査への回答をもって. る。また,回答校のうち,単学級小学校および複. 同意を得たものとしている。. 式学級小学校は,へき地指定を受けている学校の 比率が高いことが分かる。参考までに,平成26年. 表1 調査概要. 度の北海道の国公立小学校数は1,120校で,その. ・実施時期:2015年3月 ・対象校:113校 ・回答校:70校(回収率:61.9%) ・回答者:校長,教頭,研究主任のいずれか ・調査方法:質問紙法(記名式) ,選択式・記述式. 教職経験年数5年以下の教員が一般教諭の25%. なお,北海道教育委員会の出先機関である14の. を含めて若手教員が多く配置されている傾向にあ. 教育局の中から3つの教育局管内の小学校を抽出. る。逆に,単学級・複式学級のある小学校のほう. したのは,各教育局の要覧によって公開されてい. が経験年数5年目以下の教員の比率が低かった。. る一般教諭の平均年齢,北海道教育委員会が公表. ここ数年来,北海道では,人事異動や初任者研修. している全国学力学習状況調査の結果,へき地指. の制度変更が段階的に実施されている。そのため,. 7. 定校の割合の差異を考慮したものである(表2)。 表2 対象校の属する教育局管内の相違点 釧路教育局 根室教育局 留萌教育局 教諭の平均年齢. 43.3歳. 37.2歳. 38.1歳. うち422校(37.68%)がへき地指定を受けている8。 以上の割合の学校は,全体の30.0%であった(表 4)。一般的に,規模の大きい学校ほど,初任者. へき地校への初任者の配置が減少したり,へき地 校への経験者の異動が増加したりしていることが 影響していると思われる。また,教員数が相対的 表4 若手教員の割合が25%以上の小学校. 平成27年度全国 国A,算A 全てが全道 全てが全道 学力学習状況調 が全道平均 平均を下回 平均を上回 査の結果 を上回る る る へき地指定の割合. 55.7%. 100.0%. 88.9%. 本調査の回答校 47校/64校 14校/29校 9校/20校 (平成27年度 各教育局要覧をもとに作成). へき地指定の有無. 回答校に対する割合. 無. へき地. 複数学級小学校. 5. 3. 34.8%. 単学級小学校. 2. 5. 31.8%. 6. 24.0%. 複式学級小学校. 277.
(5) 深見 智一・津田 順二. に少ない複式学級小学校への若手教員の配置をい ずれの教育局管内でもできるだけ避けていること も考えられる。 ②回答者属性 本調査の回答者は,校内研究への関わりを考慮 して,管理職である校長,教頭,そして,校内研 究の担当者である研究主任のいずれかに回答を求. Ⅱ 平成26年度の校内研究における個人テーマ ⑴ 個人テーマの設定の有無 ⑵ 設定していた理由 ⑶ 設定していなかった理由 Ⅲ 平成26年度の授業研究の実施体制について ⑴ 研究授業の実施の仕方 ⑵ 研究授業を行った教員数,選定方法 ⑶ 研究授業の指導案検討の方法 ⑷ 研究授業の指導案検討の回数と時間の平均 ⑸ 授業参観する際の工夫 ⑹ 事後の協議会の実施体制,回数と時間の平均. めた(表5) 。. 3 調査結果と考察. 表5 回答者属性 校長. 教頭. 研究主任. 実数. 5. 26. 39. 割合. 7.1%. 37.1%. 55.7%. ⑴ 校内研究を取り巻く状況について 校内研究の目的の一例として,北神(2010)は, ①子どもの成長・発達という学校教育課題の達. ③設問項目. 成,②教職員の職能成長,③教職員集団の協働関. 本調査では,以下の設問を設けた(表6)。設. 係の構築,④学校の経営改善・組織革新を挙げて. 問の中には,各学校で行っている取り組みがあれ. いる10。. ば回答を求めるものも含まれていた。. 校内研究でどのような研究に取り組むかは各学. なお,本調査の質問項目などは,国立教育政策. 校に委ねられているが,北海道では,全国学力学. 研究所(2011)「教員の質の向上に関する調査研. 習状況調査の結果を受けて,全道的に学力向上が. 究報告書」を参考にしている9。本調査中で用い. 一つの課題となっており,北海道教育委員会を中. ている「校内研究」は,研究テーマを設定し,授. 心に,様々な施策が講じられている。. 業研究などを通して,年度末に研究成果をまとめ. 例えば,児童に直接かかわるものであれば,前. ることと捉えている。また,「授業研究」とは,. 学年までの学習内容を数か月に1回振り返る. 研究授業を校内の教師などが参観し,授業後に批. 「チャレンジテスト」が行われている。また,退. 評したり意見交換したりすることと捉えている。. 職教員や大学生ボランティアを活用した放課後学. 表6 調査項目 Ⅰ 平成26年度の校内研究全般について ⑴ 校内研究のテーマ(副主題も含めて) ⑵ 校内研究の期間(何カ年計画か) ⑶ 研究していた教科・領域 ⑷ 校内研究のテーマを設定する際に,留意し た事項 ⑸ 校内研究のテーマを設定する際に,自校に 教職経験5年以内の教員がいる場合,配慮し た事項 ⑹ 校内研究のテーマを設定する際に,自校に 教職経験年数10年以上の中堅・ベテラン教員 がいる場合,配慮した事項 ⑺ 校内研究のテーマを設定する際の協議方法 ⑻ 新年度(平成27年度)の研究テーマ ⑼ 平成26年度末の現時点での校内研究の課題 ⑽ 校内研究の時間確保のために,全校的に 行っていた取り組み. 278. 習サポートや長期休業中の学習会の積極的な開催 が行われている。 学校経営に関わっては,特定の小学校を拠点校 として「学校力向上に関する総合実践事業」が行 われている。 教員への研修に関わっては,学力向上研修の実 施,指導主事による学校教育指導の回数の増加, 巡回指導教員活用事業の実施等が挙げられる。 さらに,各教育局の取り組みも行われ,例えば, 釧路教育局管内では,「ALL釧路 学力・体力向 上八策」として,全国学力学習状況調査B問題に 対応した「チャレンジテストwithB- project」, 体力調査に対応した「体力アタック E-project」 , 学校のニーズに応じた指導主事による学校の総合.
(6) へき地・小規模小学校における校内研究の現状と課題. 的な支援である「指導主事サポート」 ,学校訪問. 山瀬(2012)は,教職大学院生の修了研究のテー. の充実を図る「学校訪問スペシャル」 ,教員1-. マが,現職教員であれば勤務校,学部卒院生であ. 5年目までの指導力の向上を図る支援の「若手教. れば実習校の研究テーマに何らかの影響を受けて. 員育成サポート」 ,学校力の普及を図り,学校組. 変化・変更していくことがあることを指摘し,個. 織の強化を図る支援「トライ『学校力』」,委員会. 人課題の追究に少なからず周囲からの影響を受け. のニーズに応じた研修と全国調査結果を活用した. ることを指摘している11。. 教育課程及び授業の改善・充実に向けた支援であ. 本調査だけでは,結論を導き出すことはできな. る「パワーアップ研修」,学力・体力向上を図る. いが,校内研究の主題に「基礎・基本」「わかる・. ための機会を提供する支援策である「STUDY&. できる」等の文言が多いことを踏まえると,学校. SPORTSキャラバン」といった事業を総合的に展. が抱えている「教育課題」の中には,学力向上に. 開している。. かかわる要素が含まれていることから,北海道の. このような学校を取り巻く状況があることを踏. 学力向上を推進する取り組みは校内研究に少なか. まえて,校内研究がどのように進められているの. らず影響を与えていると推察できる。なお,直接. かが関心の一つとなる。. 的な因果関係を明らかにするには,さらに詳細な 調査が必要であり,今後の検討課題である。. ⑵ テーマの設定の際の留意事項 各学校が校内研究のテーマを設定する際に,ど. ⑶ 校内研究のテーマの設定の協議方法. のようなことに留意して決定しているのか,先の. 各学校が校内研究のテーマを設定する際に,よ. 校内研究の目的を参考に質問し,回答を求めた(表. り多くの教員の意見・意向を汲み取ろうとしてい. 7) 。また, 各学校の校内研究のテーマをキーワー. るかについて調査するため,校内研究のテーマを. ド別にまとめたところ,次のような結果となった. 設定する際の協議方法について回答を求めた(表. (表8) 。. 9)。. 表7 テーマ設定の際の留意事項. 表9 校内研究のテーマの設定の協議方法. 選択項目. 実数. 割合. 学校が抱えている「教育課題」を達 成すること. 55. 78.6%. 「学校の教育目標」を達成すること. 45. 64.3%. 教職員の「専門性」の向上. 36. 51.4%. 教職員の「協働関係」の構築. 17. 24.3%. 学校の「経営改善」「組織革新」. 6. 8.6%. その他. 14. 20.0%. (複数回答可). 表8 校内研究に使われている言葉 キーワード. 選択項目. 中・大規模校 小規模校 n=23 n=47. 1 研究担当 (研究部等) で検討した. 19 25 (82.6%)(53.1%). 2 全教員が参加する全体研修の場 16 27 で検討した (69.5%)(57.4%) 3 研究担当(研究部等)がアンケー 8 18 トを配布し,教員の意向を調査した (34.7%)(38.3%) 4 KJ法・SWOT分 析・ ブ レ ー ン 4 6 ストーミングなどを通して,教員 (17.4%)(12.8%) の意向を調査した 5 研究推進委員会等,校内研究の 1 5 ための全校的な委員会で検討した (4.3%)(10.6%). 実数. 割合. 基礎・基本. 8. 11.4%. わかる(わかった). 8. 11.4%. できる(できた). 6. 8.6%. 確かな学力. 4. 5.7%. 主体的. 4. 5.7%. 学び合う. 4. 5.7%. 複数の選択が見られる学校が54校(77.1%)あ. 表現. 4. 5.7%. り,1・2,2・3,1・3などの選択が多いこ. ※その他のものは,1~2校のものであった。. 6 研究指定・研究委嘱を受けるこ とが決まってから,研究のテーマ の検討が始まった. 3 (6.4%) (複数回答可). とから,程度は別にしても,丁寧なプロセスを経. 279.
(7) 深見 智一・津田 順二. て設定を行っている学校が多いことが分かる。教. 学校),「誰でもできる取り組める研究内容にする. 職員数の少ない小規模校においても,とりわけ3,. こと,授業力の向上を図ることを目的にすること」. 4の選択率が高い。筆者自身の経験からも,小規. (へき地・小規模小学校),2に関しては,「基本. 模校でもフォーマルな場では意見が出にくいこと. 的な授業づくりの意識化⇒目標の明確化,課題と. もあることから,よりきめ細やかに教員の研修. まとめの正対,45分で授業を終えること」(へき. ニーズを汲み取ろうとしているものと思われる。. 地・小規模小学校),3に関しては,「分からない ことを分からないと言える雰囲気づくり。全体論. ⑷ 若手教員への配慮事項. について共通認識を持つための場を何度も設定し. 「校内研究のテーマを設定する際に,自校に教職. た。」(へき地・小規模小学校),5に関しては, 「意. 経験5年以内の教員がいる場合,配慮した事項があ. 図的な工夫,手立て,アイデアをみんなが持ち寄. る」と回答した学校が33校(47.1%)あった(表10) 。. り考え,授業者を中心にそれが目標を達成するた. 表10 「校内研究のテーマ設定に当たり,5年目以 下の教員に配慮した事項がある」学校 都市部. へき地. 大規模 小・中規模 大規模 小・中規模 1 研究テーマやサ ブテーマ,設定理 由を分かりやすく 設定する. 3. 1. 合計. 見られた。. 10. 4,6に関しては,校内研究の運用上の対応策. 1. 4. 6. プ形式を取り入れて,意見や感想を表出しやすく した。KJ法を用い,課題を分類・整理する作業 た。」(へき地・小規模小学校),6に関しては, 「授. 1. 1. 3. 5. 業に関わって,学年の先生や教務主任などアドバ イスやサポートする体制を整えた。」(へき地・小. 2. 5 研究テーマを達 成するための手立 ての明確化. 1. 7 あえて特別扱い しない. 5. も,話に参加できる形となった。」という記述が. を通して,テーマ設定の狙いを共有する場を設け. 4 ワークショップ 形式などで質問や 意見を表出しやす くする配慮. 6 組織づくり(若 手とベテランを組 み合わせたグルー プ・部会を設定). 1. う形で進めたため,どの経験年数の先生であって. と言えるが,例えば,4に関しては, 「ワークショッ. 2 研 修 に 当 た っ て,授業づくりの 基本的なことを指 導する(学習過程, 複式授業) 3 補充の説明をす るためや共通理解 を図るための時間 を多めにとる. 1. めの有効な手立てになっていたかを検証すると言. 1. 2. 5. 規模小学校),「教職経験5年以内の教員(新卒教 員)を研修部に入れ,研修部長から指導・助言を 受けやすくした。」 (都市部・大規模小学校)といっ. 3. 4. た記述が見られた。 都市部とへき地の大きな差は見られなかった。. 2. 1. 3. ⑸ 中堅・ベテラン教員への配慮事項 1. 1. 「校内研究のテーマを設定する際に,自校に教 職経験年数10年以上の中堅・ベテラン教員がいる 場合,配慮した事項がある」と回答した学校が25. 記述内容から,1,2,3,5は,校内研究を 行う前段階としての意味合いが強いことが分か る。例えば,1に関しては,「若手教員の授業力 向上に結びつくような副主題を設定し,授業実. 校(35.7%)あった(表11)。 表11 「校内研究のテーマ設定に当たり,中堅・ベ テランに配慮した」学校 都市部. 践・研究が進めやすい環境,研究体制に留意した」 (都市部・大規模小学校), 「基本的な学習過程(研 究テーマ)を研究すること」 (都市部・大規模小. 280. へき地. 大規模 小・中規模 大規模 小・中規模 1 経験を還元する 場の設定. 2. 1. 3. 合計 6.
(8) へき地・小規模小学校における校内研究の現状と課題. 2 小グループなど の組織作りで生か す 3 中堅・ベテラン も納得して取り組 める話し合い. 3. 2. 5. た(表12)。 1. 1. 2. 4. 表12 研究テーマの設定方法. 4 授業公開を促す. 2. 2. 4. 5 日 常 の 授 業 改 善・授業力向上に つながる校内研修. 2. 1. 3. 6 研究テーマを達 成するための手立 ての明確化. 別のテーマを設定している学校は1校のみであっ. 1. 1. 1. 3. (複数回答可). 都市部 1 学校として一 つの研究テーマ を設定した. 16. 7. 2 教科,学年集 団など で 研 究 テーマを設定した. 2に関しては,若手教員への配慮の際にも挙げ. 3 個 人 で 研 究 テーマを設定した. られていたが, 「それぞれの経験年数による多様. 4 無回答. な考えがある中,低・高の2ブロックにわけて,. へき地指定 有. 大規模 小・中規模 大規模 小・中規模. 7. 39. 1. 合計. 69. 1. 1 1. 1 1. (複数回答可). 研修部がそれぞれのブロックに入り,説明・調整 などを行うなど,組織的に取り組める工夫にし. 研究テーマの設定過程や運用上の面とは異な. た。 」 (都市部・小規模小学校),「小グループに分. り,個別のテーマ設定をしている学校は少ない。. けて発言の機会を増やす」 (都市部・小規模小学. 個人テーマの設定をしていない理由について,大. 校)という工夫がなされていた。. きく4つに分類することができる。第一に,そも. 1に関しては,どの学校でも行われていそうな. そも校内研究に個人テーマは必要ないという考. 内容ではあるが,「学校の中核となり,研究に積. え,第二に,全員が共通して取り組むことに重点. 極的に取り組んでもらい,各自がもっている教育. を置いているという考え,第三に,校内研究のテー. 技術やコツなどを公開し,共有した。」(都市部・. マが個人の研究テーマと合致しているという考. 小規模小学校) ,「教員それぞれのこれまでの経験. え,第四に,個人の研究テーマを研究する時間が. や蓄積してきた知識や技能を互いに発揮できるよ. 確保できないという考えが挙げられる(表13)。. う,全体の場で話し合うだけではなく,それぞれ 記述していただいたり,ワークショップを設けた りしてテーマを設定しました。」(都市部・小規模 小学校)というように,小規模小学校では,意図 的・計画的に中堅・ベテランを生かす方策を取り 入れることで,校内研究の活性化につなげようと していることが分かる。 ⑹ 個別のテーマ設定について ①個別のテーマを設定している学校について 筆者らは,深見・津田(2015)の単学級小学校 への調査の中で,校内研究に関わる教員個々の個 別テーマを設定して効果を挙げている単学級小学 校の事例を報告した。今回,同様の取り組みをし ている学校がほかにもあるか調査したところ,個. 表13 個人テーマを設定していない理由 ・設 定・把握する必要を感じない。 (都市部・小 規模小学校) ・勝手に個人テーマなるものを設定することは, もはや「校内研究」ではなく,「個人研究」だ と考えます。(都市部・小規模小学校) ・個人がほかにも研究団体に所属しており,必要 はないと考える。(へき地・小規模小学校) ・学校課題を解決するための校内研究であること を考えると,個人の研究テーマは必要ないよう に思うから。個人の研究テーマがあることで, 全校組織としての研究推進についての共通理解 が図られないおそれもあるから。(へき地・小 規模小学校) ・本校の児童の課題や教育目標達成のための研修 を行うのは当たり前で,全校的視野に立った. 281.
(9) 深見 智一・津田 順二. チームでの研究をしている。個人の研究は,職 員それぞれで自覚的に行っているため。 (へき 地・小規模小学校) ・学校として子供をどう育てていくかが研修の前 提。経験のあるなしに関わらず,共通の話題で 議論することで,個人レベルでの見識を広げる 機会にもなっている。 (へき地・小規模小学校). 回答の中には, 「そもそも個人テーマなるもの を設定しているようなところがあるのか」 (都市 部・大規模小学校),「学校課題を解決するための 校内研究であることを考えると,個人の研究テー マは必要ない」 (へき地・小規模小学校)といっ. 教材研究や指導案の検討(事前の授業 研究会)が十分でない. 18. 25.7%. 多忙で校内研究に取り組む時間がない. 16. 22.9%. 研究の目指すべき方向性やテーマが多 くの教員に共有されていない. 6. 8.6%. 教員個々の自己課題と研究テーマが一 致しない. 6. 8.6%. 教員の参加意欲が十分ではない. 6. 8.6%. 管理職や研究主任などのリーダーシッ プが十分に発揮されていない. 5. 7.1%. 研究の継続性・発展性が十分でない. 12. 17.1%. 校内研究のための予算が不足している. 8. 11.4%. 外部講師を招聘するのが困難である. 7. 10.0%. 共有化に関すること. その他. (複数回答可). た記述がみられ,多様な校内研修の在り方につい て十分理解していない管理職がいることも明らか. ②多忙化に関わる対応. になった。. 多忙化・時間確保に関わっては,学校規模に関. 一方で,北海道教育委員会は,教員向けの研修. わりなく,どの学校でも課題となっているが,校. パンフレットの中で, 「共同研究と個人研究を組. 内研究の課題と関連して,「校内研究の時間確保. み合わせて,学校の教育課題を解決したり,個々. の取り組み」があれば回答を求めた。上述の「多. のライフステージに合わせた研修を充実させたり. 忙化・時間確保に関わること」のいずれかを選択. することが大切」と,教員個々のテーマを設定す. した学校(31校)のうち,研修時間の確保のため. る研修を事例として取り上げていることから,教. の 取 り 組 み を し て い る と 回 答 し た 学 校 は24校. 育委員会も個別のニーズにこたえる必要性を感じ. (77.4%)だった。調査回答校全体(70校)のうち,. ていることが理解できる12。また,校内研究の中. 研修時間の確保のための取り組みをしていると回. 核を担う教員が,過去の経験や前例にとらわれな. 答した学校は,50校(71.5%)だった(表15)。. いアプローチをとれるかどうかということも一つ. なお,本調査ではなぜ多忙なのかという点は調. の課題と言える。. 査することができていないが,校内研究の時間を 確保・維持しようという取り組みが多くみられる. ⑺ 校内研究の課題について. ものの,内容・取り組み方法を見直そうという動. ①校内研究で課題となっていること. きはあまり見られなかった。. 本調査は,2014(平成26)年度の校内研究が概 ね終了し,2015(平成27)年度の校内研究の計画 を策定していると思われる時期に実施したので, 年度末の時点での各校が抱える課題について調査 し,回答項目を多忙化・共有化・その他の3つに 分類した(表14)。 表14 校内研究の課題 多忙化・時間確保に関わること 研究授業後の検討(事後の授業研究会) が十分でない. 282. 19. 27.1%. 表15 校内研究の時間確保のための取り組み 取り組み例. 実数. 割合. 年間行事予定作成時に確保している. 19. 38.0%. 全学年5時間授業の日に研修を行う. 18. 36.0%. ブロック単位・学年部会単位で行う. 16. 22.9%. 特別日課による時間の確保(授業時数 のカットはせず,下校を早める). 4. 8.0%. 短時間でも決められた日に行う. 2. 4.0%. 研修の曜日を決めている. 2. 4.0%. 休憩時間にも延長して行う. 1. 2.0%. 資料の配布を早めに行う. 1. 2.0%. 長期休業中に集中して実施する. 1. 2.0%.
(10) へき地・小規模小学校における校内研究の現状と課題. 職員会議の回数を減らす. 1. 2.0%. 後述する年間の授業研究会の回数が多い学校ほど. 担任外教員を活用して,学級担任に空 き時間をつくる. 1. 2.0%. 教員一人一人の時間的な負担が増すことが予想さ. 授業案をチームで作り上げる体制. 1. 2.0%. 指導案の簡略化. 1. 2.0%. 時間ほどの事前研究が行われているということ. 時間通りに開始する. 1. 2.0%. は,平日の放課後に多くの回数・時間がとられる. (割合は,取り組みをしている学校数に対するもの。複数回答可). れる。研究時間の確保が難しいとされながら,4. ことから,内容・時間の妥当性が問われる。なお, 事前研究会・事後研究会の実施については,学校. ⑻ 授業研究会の課題について. 規模による差異は見られなかった。. ①授業研究会の事前研究会・事後の授業研究会 の時間が十分ではないと回答した学校について. ②研究授業の取り組み方について. 授業研究会の事前研究会の時間が十分ではない. 研究授業の実施について,すべての学校が研究. と回答した学校が17校,事後の授業研究会が十分. 授業を実施していた。また,回答校のうち半数近. ではないと回答した学校は15校あった。いずれも. くが授業公開日や授業公開週間を設定しているこ. 不十分とした学校は6校あった(表16,17)。. とが明らかになった(表18)。. 表16 授業研究会の事前研究会の時間が十分ではな いと回答した学校の事前研究会の回数 回数 30分まで. 60分まで. 90分まで 120分まで それ以上. 大 小・中 大 小・中 大 小・中 大 小・中 大 小・中 1. 1. 1. 2. 1. 2. 1. 3. 1. 1. 1. 1. 3. 2. 4 5. 1. 表18 研究授業の取り組み方 実数. 割合. 研究授業を複数の教師で参観し,その 後批評等の機会を持っていた. 70. 100.0%. 授業公開日や授業公開週間を設け,そ の期間中に授業を見合うようにしてい た. 33. 47.1%. 教員が児童役になって模擬授業を行 い,協議の機会を持っていた. 7. 10.0%. (複数回答可). 回数の無回答校 1 ・事前研究会の回数の平均:2.06回 ・時間の平均:1回あたり126.9分 (参考 選択していない学校の平均) ・事前研究会の回数の平均:2.0回 ・時間の平均:1回あたり133.8分. 表17 授業研究会の事後研究会の時間が十分ではな いと回答した学校の研究会の回数 30分まで. 60分まで. 90分まで. 120分まで. 大. 大. 小・中. 大. 大. 4. 6. 小・中. 小・中. ③研究授業の実施体制について 研究授業の実施体制については,8割以上の学 校が全教員が年に1回は研究授業を行うこととし ており,授業研究への積極的な取り組みが見られ る(表19)。. 無回答. 小・中. 大. 小・中. 1. 1. 2. 表19 研究授業の取り組み方 実数. 割合. 全教員が研究授業を行うこととしてい た. 59. 84.3%. 指導主事が計画的に訪問する際に,授 業を公開し,研究授業を行うこととし ていた. 49. 70.0%. 5. 7.1%. 択していない学校の実施回数と時間に際立った差. 初任者研修や10年経験者研修等の対象 となった教員が行う研究授業を校内の 授業研究に位置づけていた. 異は見られなかった。1回あたり120分で2回が. そのほか. 3. 4.3%. 1. 1. ・時間の平均:1回あたり63.75分 (参考 選択していない学校の平均) ・時間の平均:1回あたり67.6分. 事前研究会の時間が不十分と選択した学校と選. 平均だとすると,1本の研究授業につき4時間く らいが平均となる。この回数の妥当性は,各学校 で行っている授業研究の実態によって異なるが,. (複数回答可) (参考)全教員が研究授業を行うこととし,指導主事が 計画的に訪問する際に,研究授業を行うこととしていた 学校 41校(58.6%). 283.
(11) 深見 智一・津田 順二. なお,全教員が研究授業を行うと計画していた. 表22 研究授業の実施率(都市部・へき地別). 学校について教育局別にまとめると以下のとおり. 実施率. 都市部 n=24. へき地 n=46. となった(表20)。. 100%. (12.5%) 3. 21 (45.7%). 90%. (20.8%) 5. (6.5%) 3. 表20 全教員が研究授業を行うとした学校 (教育局別). 80%. (12.5%) 3. (10.9%) 5. 70%. (20.8%) 5. (13.0%) 6. 50%-. (33.3%) 8. 11 (23.9%). 釧路教育局 根室教育局 留萌教育局 n=47 n=14 n=9 実数 回答校に対する割合. 39. 14. 6. 83.0%. 100.0%. 66.7%. 表23 研究授業の実施率(学校規模別) 複数学級 n=23. 釧路・根室両教育局管内の小学校は,留萌教育 局管内の小学校に比べて,全教員が研究授業を行 うこととしている割合が高い。参考までに,指導. 都市 100%. 単学級 n=22. へき地. 都市. へき地. 1 (4.0%). 学校が,釧路管内33校(70.2%),根室管内12校. 4 (17.4%). 80%. 2 3 1 2 (8.7%) (13.0%) (4.5%)(9.1%). 70%. 5 2 (21.7%) (8.7%). 教育局の指導主事が行う学校教育指導の回数がこ こ数年で増加傾向にあり,授業公開が積極的に求. へき地 13 (52.0%). 90%. 路・根室教育局管内で高い割合となっている。両. 都市. 1 2 2 8 (4.3%)(8.7%)(9.1%) (36.4%). 主事訪問の際に研究授業を行っていると回答した (85.7%) ,留萌管内4校(44.4%)とこちらも釧. 複式学級 n=25. 50%4 (17.4%). 5 (22.7%). 4 4 (18.2%) (18.2%). 4 (16.0%) 7 (28.0%). められるようになってきたことも影響していると 思われる。. いずれにおいても,へき地・小規模校のほうが 実施率が高い学校が多い。教員数が少なく,研究. ④研究授業の実施率について (都市部・へき地別). 授業を行いやすい状況にあることが要因と考えら. 本調査では, 管理職,一般教諭(支援員を除く). れる。また,前述した表4において若手教員が多. の数を調査し,そのうち,実際に2014(平成26). い 学 校 は, 複 数 学 級 で は 8 校 の う ち 1 校 が. 年度に授業を行った教員数の回答を求めた。これ. 100%,1校が90%,3校が80%,70%が2校,. を都市部とへき地に分けて表したものが次の表で. 50%が1校とバラつきが見られた。単学級小学校. ある(表21) 。. では7校のうち,3校が100%,2校が80%,2. また,回答校すべてのうち,校長・教頭等の管. 校が50%となっていた。複式学級では6校のうち. 理職を除く本研究授業の実施率については,以下. 5校が100%,1校が70%の実施率であった。小. のとおりとなった(表22,23)。. 規模校ならではのきめ細やかな校内研究は,小規 模校であることのメリットの一つとも言える。. 表21 全教員が研究授業を行うとした学校の実施率 (都市部・へき地別). 284. 実施率. 都市部 n=19. へき地 n=40. 100%. 3(15.8%). 20(50.0%). 90%. 5(26.3%). 3(7.5%). 80%. 3(15.8%). 5(12.5%). 70%. 5(26.3%). 5(12.5%). 50%-. 3(15.8%). 7(17.5%). 参考までに,表20と同様に,3つの教育局別に まとめると,留萌教育局管内のへき地校の実施率 が最も高かった。しかし,このことの理由につい ては,判別することができなかった(表24)。.
(12) へき地・小規模小学校における校内研究の現状と課題. 表24 研究授業の実施率(教育局別) 釧路教育局 n=47 都市 100%. へき地. 3 12 (6.4%) (25.5%). 根室教育局 n=14 都市. へき地. 留萌教育局 n=9 都市. 5 (35.7%). 90%. 5 1 (10.6%) (21.2%). 80%. 2 2 (4.3%)(4.3%). 3 (21.4%). 70%. 5 3 (10.6%) (6.4%). 3 (21.4%). 50%7 7 (14.9%) (14.9%). 3 (21.4%). へき地 6 (66.6%). 表26 全体での検討をしない事前研究会を実施して いた学校 複数学級 n=23. 単学級 n=22. 都市. へき地. 都市. へき地. 9. 6. 5. 11. 6. 16 (72.7%). 6 (40.0%). 15 (65.2%) 1 (11.1%). 2 (22.2%). ⑼ 研究授業実施時の工夫について 校内研究の時間を確保し,研究授業の事前研究 会,研究授業の参観,事後研究会をどのように開 催しているのかについて調査した(表25,26, 27,28) 。. 複式学級 n=15 都市. へき地. 表27 校内研究の工夫 指導案を参観者に配布していた. 70. 100.0%. 写真を撮っていた. 53. 75.7%. 授業についての意見等を記入するため の学校独自の記録用紙(授業評価シー ト等)を配布していた. 31. 44.3%. 授業についての意見等を記入するため の付箋紙を参観者に配布していた. 30. 42.9%. ビデオ記録を撮っていた. 28. 40.0%. 座席表を参観者に配布していた. 24. 34.3%. 授業記録をとっていた. 22. 31.4%. 抽出児童を設定していた. 11. 15.7%. そのほか. 11. 15.7%. 教科会や学年会,ブロック等で検討し, 最終的には全教員で検討していた. 46. 65.7%. (複数回答可) (参考)付箋紙もしくは授業評価シートのいずれかを配 布していた学校 41校(58.6%). 教科会や学年会,ブロック等で事前検 討を行っていた. 37. 52.9%. 表28 事後の研究会の開催の仕方. 指導主事等の校外の指導者の指導を受 けていた. 19. 27.1%. 校長等の校内の指導者の指導を受けて いた. 16. 22.9%. 指導案を修正するため,先行授業や模 擬授業を行っていた. 16. 22.9%. 事前検討に費やす校内研究の時間や回 数に制限を設けていた. 5. 7.1%. 授業時に指導案や略案を配布するが, 事前の検討は行っていなかった. 1. 1.4%. その他. 5. 7.1%. 表25 指導案の検討方法について. (複数回答可). 全体会のみを行っていた. 70. 100.0%. グループ別に協議等を行った後,全体 会を行っていた. 24. 34.3%. グループ別に協議などを行うが,全体 会は行わなかった. 30. 42.9%. そのほか. 31. 44.3%. (複数回答可). 4 まとめ ⑴ 成 果 第一に,へき地・小規模校においては,学力問. 指導案の検討方法については,全体での検討を. 題の影響を受けつつも,教師の専門性を向上する. せずに,教科会や学年会,ブロック等で事前検討. ための方策の中心となる校内研究を実施するに当. を行っていた学校は,大規模校のほうが多くみら. たって,都市部・大規模校よりもきめ細やかに教. れた。. 員の研修ニーズを汲み取ろうとする工夫が見られ た。 第二に,へき地・小規模校においては,研究授 業を積極的に行うなど,限られた人的リソースを 生かしたり,少人数の教職員集団であることを生. 285.
(13) 深見 智一・津田 順二. かしたりする方策がとられていることが明らかに. 謝 辞. なった。. 調査にご協力頂いた各学校の先生方に感謝申し ⑵ 課 題. 上げます。. 第一に,本稿では校内研究について,学校規模. 本研究は,JSPS科研費 15H00071の助成を受け. (大規模・小規模) (複数学級,単学級,複式学級),. たものです。. 年齢構成(若手の比率),地域性(都市部・郡部) と3つの視点があり,更に調査内容が研究テーマ. 注. (設定の方法, 過程,若手への配慮),研究授業(事 前・事後の研究会の方法,回数,実施率)等と多. 1 文部科学省,2015,「公立小学校・中学校の適正規. 岐に渡ったため,焦点を十分に絞りきることがで. 模・適正配置等に関する手引き~少子化に対応した活. きなかった。 姫野(2012)は,校内研究における,とりわけ. 力ある学校づくりに向けて」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/ chuchu3/052/index.htm(2015年9月13日参照). 授業研究に関する先行研究を①研究会の進め方や. 2 北海道教育委員会,2015, 「北海道における少子化に. あり方を開発する研究,②校内授業研究を進める. 対応した活力ある学校づくりについて~『公立小学. 際の方法論に関する研究,③管理職などのリー ダーシップや同僚関係に関する研究,④校内授業 研究へのICT活用に関する研究,⑤事後検討会の 談話過程や教師の学びを解明する研究,⑥校内授 業研究の現状や課題を明らかにする研究に分類し ている13。本稿においては,②,③,⑤,⑥の部 分を扱ったことになるので,これらの一次資料を もとに,視点を明確にした分析をしていくことが 課題として残された。 第二に,校内研究の担い手であるスクールミド ルと教員個々のニーズの差については,結果を確 かめることができなかった。 これらの課題を踏まえ,今後は,へき地・小規. 校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引』 (文 部科学省 平成27年1月27日)を適切に活用するため に~」 http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/ tebikihokkaidover.htm(2015年9月13日参照) 3 深見智一・津田順二,2015, 「単学級の学級担任が抱 える困難と課題⑵:単学級担任経験者への事後調査を 通して」『北海道教育大学紀要.教育科学編』第65巻2 号,359-374 4 深見智一,2013, 「単学級の学級担任が抱える困難と 課題-釧路管内の普通学級担任へのアンケート結果の 考察-」『北海道教育大学大学院教育学研究科高度教職 実践専攻 研究紀要』第3号,59-74 5 石原陽子,2012, 「新任教員の自律的な成長のための 考察-S市に採用された教員への量的質的調査より -」,新任教員の適応および成長支援に関する総合的研 究 調査報告書,21-37. 模校に対象を絞り,校内研究が教師の専門性の向. 6 木原俊行,2010, 「学校改善と校内研修の設計」 ,講. 上や力量形成にどのような影響を与えているか,. 座 現代学校教育の高度化 小島弘道 監修24,学文社,. 本当に教員一人一人のニーズに合っているものな. 52-63. のか検討していく。特に,小規模校のメリットを 生かして,積極的に研究授業が行われていること は,初任者教員の育成に良い影響を与えると思わ れる。そうすると,へき地・小規模校への初任者 の赴任は,育成という視点から見ると多くの可能 性を秘めているように思われる。. 7 釧路教育局管内の情報については,北海道教育庁釧 路教育局,2015, 「釧路教育要覧 平成27年度」より引 用。 http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/krk/ kushiroyouran.htm(2015年9月13日参照) 根室教育局管内の情報については,北海道教育庁根 室教育局,2015, 「要覧『根室の教育』 」より引用。 http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/nky/ youran_nemuronokyouiku.htm(2015年9月13日参照) 留萌教育局管内の情報については,北海道教育庁留 萌教育局,2015, 「要覧『るもいの教育』-平成27年度. 286.
(14) へき地・小規模小学校における校内研究の現状と課題. 版-」より引用。 http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/l06m01. htm#1(2015年9月13日参照) 8 北海道教育委員会,2014,「平成26年度北海道学校一 覧 小学校の部」に基づく。 http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ksk/ chosa/gakkou-i/2014gakkou-i.htm(2015年9月13日確 認) 9 国立教育政策研究所,2011,「教員の質の向上に関す る調査研究報告書」,40-88 10 北神正行,2010,「学校改善と校内研修の設計」 ,講 座 現代学校教育の高度化 小島弘道 監修24,学文社, 154-170 11 山瀬一史,2012,「教職大学院のMOB研究テーマ策 定過程における課題について-学校現場における研 究・研修への取り組みの概要を通して」『北海道教育大 学大学院教育学研究科高度教職実践専攻 研究紀要』 第2号,59-66 12 北海道教育庁上川教育局,2006,「校内研究の充実の ために」,1-5 13 姫野完治,2012,「校内授業研究を推進する学校組織 と教師文化に関する研究⑴」,秋田大学教育文化学部教 育実践紀要第34号,157-167. (深見 智一 北海道鶴居村立幌呂小学校 教諭) (津田 順二 釧路校教授). 287.
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