生態研究と環境制御
著者
東北大学遺伝生態研究センター
雑誌名
IGEシリーズ
巻
9
ページ
1-53
発行年
1991-03
URL
http://hdl.handle.net/10097/49095
打◎匿シリーズ惨***
生態研究と環境制御
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東北大学遺伝生態研究センター
I GEシリーズの発刊にあたって
地球上の環境は,今,かってない大きな問題に当
面しております。世界各地で進行している生態系の
急速な変化のなかには,人間生活に深刻な影響をも
たらす可能性のあるものが,多数含まれています。一方,人間の活動が宇宙空間へと拡がるにつれ,地球
外生態系の構築が,新しい課題として登場しつつあ
ります。生態系の崩壊を防ぎ,より豊かな環境を創
造するための科学的努力が,今日ほど強く求められ
ている時はありません。本研究センターは, DNA分子技術を中心に遺伝
子的段階にまで到達した生物研究の諸成果を生か
し,生態系における生物の生活を一層深く解明し,節
たな人間環境の創造に貢献することを目指しており
ます。いうまでもなく,この課題はきわめて学際的であり,多分野の研究者との相互交流と協力によっ
て,はじめて達成されるものであります。本研究セ
ンターでは,ワークショップによる研究者間の討論と意見交換を重視するとともに,その成果をより多
くの方々にご利用いただく出版活動にとり組んでお
り ます。ここに発刊しますIGE(Institute of Genetic Ecologyの略)シリーズも,こうした努力の一環であります。
本シリーズの内容は,多岐にわたる可能性をもっ
ておりますが, 3つのタイプに大きく類別されるだ ろうと考えております。すなわち, (i)特定のテー マ,又はトピックについての解明に関するもの(* 印を付します), (ii)特定のテーマ又はトピックに関する最新の文献,実験法の紹介に重点をおくもの
(**印),そして(iii)新しい可能性を求める学際的 交流,対話を試みるもの(***印)であります。 このIGEシリーズが,多方面の方々のお役に少し でも立つことを願って,発刊の辞とします。 1989年3月東北大学遺伝生態研究センター
⑳目 次⑳ ワークショップのねらい 菅 洋 発芽生態学の二つの目標と実験における環境 制御 鷺谷いづみ----・---・・・-・・・--・ 3 作物の根系研究における実験的方法 鯨 幸夫 制御環境下における植物の表現型可塑性の解析 石栗 義雄,工藤 洋,河野 昭一---25 生態研究・環境制御・成長モデル 広瀬 忠樹 植物の形質発現機構と進化 河野 昭一
ワークショップのねらい
菅 洋 生態研究における実験的方法の問題は,古くて新しい問題である。生態 学と生理学の境界がまだ分明でなかった時代には,例えば当東北大学でも 生態学講座の吉井義次教授は光周律(photoperiodism)の研究を実験的に 行い,初期の開花研究に多くの知見をもたらした。戦後同氏は『植物生態 学集説』として8冊のモノグラフの刊行を計画し,その一巻は『植物の光 週性-付 開花の問題』として1949年に刊行された。同氏が計画した 他の7冊は, 『植物の培養と微量元素』 『植物の凍死と耐寒性』 『植物の水分 吸収と発散』 『植物の同化と呼吸』 『植物の生育と土壌』 『植物分布の問題』 『植物の社会』であるが,後の2冊を除いては現在ではむしろ生理学の分野 の課題であろう。これらは,多くの実験を基礎において発展した。 吉井教授も上記モノグラフの序文のなかで,今日植物生態学と呼ばれる ものの中に,環境と植物の関係を論究する個体生態学(植物環境学)と,植 物の集団社会を研究の対象とする群落生態学(植物社会学)とが含まれて いるとしている。その後吉井教授が個体生態学と呼んだ分野は,対象が植 物個体から器官,組織,細胞,分子へと細分化され実験方法も生理学,生 化学的のものが多くなるにつれて,次第に生理学あるいは生化学の分野と して研究されるようになった。 一方,生態学の本流となる群落や社会を対象とする分野でも,多様な理 論化や数理的手段の導入によってめざましい発展をとげるようになるが, どちらかと言えば実験を中心とした個生態学の手法は『生理主義』として 東北大学遺伝生態研究センター2 しりぞけられる傾向があった。他方いわゆる遺伝子DNAの構造解析に端 を発する遺伝学の怒涛のような発展により,遺伝子生物学が定着するにつ れて,群落や社会を対象にする生態学においても,一種の反省が生まれて くる。それは群落や社会といっても,結局はそれを構成しているそれぞれ の生物種についての遺伝的にきちんとした把握と解析がなければ,群落や 社会すなわち生態系の本当の動態や進化は解からないのではないかと言う ことである。そして,生物種集団を構成する各個体の遺伝的解析には,実 験的手法が不可欠である。 生物種の表現型は遺伝子と環境との働き合いで発現するので,環境を制 御して行う実験的手法は生態学研究においても,現在の上に述べたような 情勢の文脈のなかでは,極めて重要な役割を演ずる可能性がある。当セン ターでは改組以前の農学研究所の時代から,環境調節装置をもちいて多様 な業績を挙げてきた。改組により全国共同利用施設としての新しい機能が 加わるこ、ととなり,その一環として共同利用研究とワークショップを行っ てきた。前者については,平成2年度より計画研究として主として環境調 節装置をもちいた研究を推進している。今回それに連動してワークショッ プにおいても, 『生態研究における環境調節』を取り上げ,上記計画研究に 参加しておられる研究者からの話題提供も加えながら,この間題について 今日的理解を深めようと計画したものである。 もとよりこの間題は冒頭にものべように,生態学における実験的研究と いうおおきな話題を含んでいるので,今回とりあげような範囲の議論です むものでないことは当然であるが,この中からも我々は今後さらに議論を 発展する必要のあるようないくつかの問題点を指摘することは容易であろ うと思われる。 生態学における実験的手法は,当センターの機能と関連した特徴でもあ るし,我々としてはその蓄積も少なくないと考えるので,今後の発展を期 してさらに議論を進めたいと考えている。 今回我々に意図に賛成下され,このワークショップに貴重な話題を提供 下された学内外の諸先生には衷心よりお礼申し上げるとともに,今後もこ の種の議論が活発になることを念頭したい。
発芽生態学の二つの目標と
実験における環境制御
鴬谷 いづみ
I.発芽生態学の二つの目標と研究法
種子がその植物特有の季節や場所を選んで発芽することはよく知られて いる。 「発芽生態学」の「目標」は,野外におかれた種子の種(個体群)特 異的な発芽時期(場所)選択の(1)生理的機構および(2)進化的機構の解 明である。生理的機構の解明とは,特異的な発芽時期選択を可能とする種 子の生理反応とその環境因子依存性を明らかにすることであり,他方,進 化的機構の解明とは,そのような性質,すなわち戦略が何故,また,如何 にして進化してきたかということを明らかにすることである。一一 二つの目標に近づくための研究方法と,その方法において要求される環 境制御のレベルを表1に示してみた。研究方法は,研究目標や研究課題に 応じて,また手間や経済的なコストにも応じて適切なものが選ばれる必要 がある。そして, 「環境制御」は生態学の実験や測定にとっては,研究方法 の本質的な一要素をなす。 二つの目標に向かう研究は,その問いの性格の違いに恥じて研究方法が 大きく異なる反面,その成果においては相互に補完しあう面もある。また, この表には,ひとつの解明対象について主な研究法が複数しめしてあるが, それらのいずれかを選んで事足りるというものではなく,それらが相補い 合ってわれわれの理解を深めるのに役立つ。それは,生物的自然は,どん な小さな対象であれ,複雑な階層的な構造をもつ歴史的存在であるからで 筑波大学生物科学表1発芽生態学の研究目標と研究法
解明対象 偃X,位Hクid 環境制御レベル
生理的機構 進化的機構 意義.機能 鳴v薹宥& Jリ梭 ヒ ニ ヒ 4 (6h8イ Oxャ(コケ ゥ. NHァ) i Hァy4 ゥ.り ヒ yル 4佶 :" ルzィ8(6h8イ 齷 ) ,ノ ゥ. yル 4佶 :" )6 8(6h8イ 高 0-高
過程 -中 あり,多様な視点から眺めことによってはじめてその全貌を把握できる。 生理的機構の研究では,温度や光などを十分に制御した室内実験が有効 かつ不可欠である。そのような実験を通じて,環境因子が種子の休眠と発 芽におよぽす影響を十分に把握することが生理機構の解明の第一段階をな す。そのような研究では何万個もの種子を用い,各種条件およびその組合 せのもとで反応を記録する。したがって,どのような制御環境を利用でき るかが成功の鍵となる。その結果にもとづいて,種子の挙動を環境パラメー タとその組合せにより数式で表現することができれば,後に行なう科学的 推論は-一一層容易となる。この段階の研究には,経験的な数学モデルが有用 であるが,それは実験結果の数学的要約であると同時に予測の道具として
も役立つ(Washitani & Takenaka19・20), Washitani13))。さらに野外で種子
を取りまく微環境をその時間的・空間的不均一一一性をも含めて正確に知るこ とができれば,その植物の種子が特定の時期に特定のミクロサイトで発芽
する生理機構を明らかにすることができる。
種子が特定の季節に発芽する仕組み(WashitanilO・11) ; Washitani and Kabaya15), Washitani and Ogawa17))やギャップを検出して発芽するた めの仕組み(Washitani and Saeki18,19) ; Washitani and Takenaka22), 198723); Washitani12・14))は,そのような一連の研究を通じて明らかにされ た。
生理的機構の解明は,目前の種子と環境との相互作用をできるだけ詳細
発芽生態学の二つの目標と実験における環境制御 5 とすればそれは環境制御法や環境測定法など,純粋に技術的な問題である。 そして,十分な種子試料と制御環境が用意できれば,研究遂行上特に難し い問題も生じない。また,実験データさえ正確にとることができれば,そ の数学的要約である経験的モデルを作成することも比較的容易である0 それに対して,進化過程の解明は,ある意味では長期にわたる種と環境 の相互作用を研究することでもあり,直接的な研究方法がとりにくい。ま た,次元の異なるいくつかの現象を総合して捉える必要もある。そのよう な難しさもあって,これまで発芽生態学においては,進化機構の研究は手 薄であった。そして,かなりの部分を適応万能論的スペキュレーションで すませてきた。しかし,最近になって進化的機構の研究にもその発展の兆 しが見え始めてきた。発芽生態学における進化的機構の研究としては,こ れまでは最適戦略の検討など,主として「戦略モデル」を用いた理論的な アプローチが優勢であった。一年生植物にとっての休眠の意義を検討した Cohen3)の先駆的な仕事をはじめとして,そのような理論的研究は,現象の 「合理的な見方」を提供し,特定の性質の生態学「意義・機能」を明示する のに有効である。ただし,それにより理解できることは我々がのぞむ進化 の理解からいえばごく一部分でしかない.同様な戦略に植物隆ごとに多様 な生理的機構から採用されていることなど, 「戦略モデル」からは決して説 明されない進化上の問題はいくつもあり,また,実際の進化の過程を支配 する法則を把握するためには,異なる性質のアプローチが必要となる。 生態的「意義・機能」を明らかにするための研究方法は,何も理論的な ものだけとは限らない。 「比較」の手法も時として非常に有効である。比較 生態学的スクリーニングは,特定のハビタットやフロラの多数の種を対象 に,特定の性質がどのよケに分布しているか,また他のどの様な性質と結 びついているかを分析することで,その性質の進化に影響をおよぽした要
因や拘束要因の推論を可能にする(Grime et al.4), Masuda and Washitani7), Washitani and Masuda16)。生理的性質を対象としたスクリー
ニングでは,十分な環境制御のもとに試験を行なう必要がある。
実際の進化の過程の理解のためには,進化の素過程である「自然選択」や 「自然選択に対する集団の遺伝的進化的反応」などを, 「測定」や「実験」な
6 ど,経験的な手法を用いて,事実の面から研究することも必要である。最 近では,多変量動態理論の発展により,形質間の複雑な相互作用を捨象す ることなく,形質あるいは形質群の自然選択を測定することが原理的にだ けでなく実際的にも可能となった(Arnold&Wadel・2))。今後,発芽に限ら ずいろいろな植物の形質について自然選択を測定するような仕事が行なわ れるようになるであろう。自然選択を自然の条件のもとでの測定すること が必要なことは当然であるが,環境ストレスや戯争を制限した「制御環境」 のもとで測定を行なうことにより,選択圧の構造を分析するような研究も 有益であろう。種子や芽生えでは,集団を対象とした測定・実験が比較的 容易である. 「自然選択」の過程一般に関するわれわれの理解を深めるため には,種子形質は格好の研究対象である。
ⅠⅠ.研究例-ヌルデ種子の発芽における裸地検出機構
先駆木本樹種であるヌルデは,わが国の暖・温帯の森林にそのシードバ ンクが広く用意されている。しかし,森林の閉じた林冠下にその実生を見 かけることはほとんどなく,山火事の後や伐採跡地にしばしば一斉発芽し た実生が観察される。裸地化に依存するヌルデの発芽がどんな生理機構に よるものであるかを一連の研究により検討し,以下に述べるような機構が 明らかにされた。 ヌルデ種子は散布時には硬皮休眠の状態にある。硬皮休眠とは,非取水 性の種皮による休眠である。硬皮休眠の解除および非休眠種子の発芽の環 境条件依存性を明らかにするために,多様な温度条件とその組合せのもと での発芽実験を行なったところ,生理的温度を越える高温の短時間の処理 が硬度休眠の解除に有効であること,非休眠種子の発芽は,少なくと10-34ccの広い温度範囲で可能であり,発芽の最適温度は25oCで,発芽に必要 な積算温度(基準温度5oC)は2,000-3,600Kh (Kelvinxhour)であること が明らかにされた(Washitani and Takenaka22)。また,硬度休眠解除と 発芽可能種子数に及ぼす高温温度と処理時間の影響をさらに詳しく検討したところ,高温処理効果の限界温度は種子集団内で正規分布しており(平
発芽生態学の二つの目標と実験における環境制御 7
(oo)aJT11PJeduJo18PJJnS TTOS
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70 0 0 ∩) 0 0 0 0 ノh) 5 4 3 2 1 nu o 0 0 0 0 0 0 7 ′b 5 4 3 2 1 4 8 12 16 20 24 Time (hr)
Pine forest
4 8 12 16 20 24 Time (hr) 図1ヌルデの発芽季節の裸地および隣接する松林の地表面温度の日変化(1988 年5-7月)0 で達成されるが,高温下では,高温傷害をうける種子の割合が増して最適 時間を越えると発芽率が低下することがわかった(Washitani14))0 50-60oC では数時間の処理で種子集団内の種子の25-50%が発芽できる状態にな る。 さて,裸地あるいは林内の地表面に置かれた種子は,硬皮休眠の解除に 有効な温度条件にさらされる可能性があるのであろうか。その検討のため に,松林とその隣接する裸地で,ヌルデの発芽季節である晩春から初夏に8 わたって地表面温度の連続測定をおこなった(図1)。地表面温度の日変化 パターンは,季節の進行とともに変化し,また,天気次第で多様に変化す るが,林内と裸地の間にはきわめて大きい違いがある。ヌルデの種子の硬 度休眠の解除に必要な温度条件は林内には無く,種子が裸地地表面に置か れたときに限られることがわかる。したがって,硬度休眠と高温によるそ の解除がヌルデの発芽における裸地検出のための生理機構であると結論す ることができる。 次に検討する必要があるのは,ヌルデが裸地を選んで発芽することの生 態学的な意義である。その研究の一環として, 「種子が裸地を選んで発芽す る性質はどのような状況のもとで適応度にどのような影響をあたえるの か?」という問いに答えるべく行なった野外実験とその結果を以下に紹介
してみよう(Washitani, Yoshizawa, and Kaneko,未発表)0
裸地検出機構のような戦略については,それをもつかもたないか,二つ の質的に異なる状態についての比較を行えばよい。暖・温帯の森林土壌に はヌルデのシードバンクが用意されているので,もし種子が裸地検出機構 をもっていないとすれば,林床にはヌルデの実生が出現するはずである。そ こで実験室で発芽させて,発芽直後に林内に移植することで,裸地検出機 構をもたないヌルデのモデル実生を作り,そのパフォーマンス,すなわち 生存と成長を追った。裸地検出機構をもつ現実のヌルデ種子は,裸地の条 件が与えられたときにのみ発芽するので,林に隣接する裸地に植えて,こ れを対照集団として比較することにした。 2つの実験地は図1の地表面温 度のデータを得た場所である。また,結果の解析は,中間の条件を含めた ほうが容易となるので,林緑にも第三の実験地をつくった。木の一生の適 応度を測定することは困難なので,この研究ではその重要な要素である実 生の生存とバイオマス蓄積のみを測定して比較した。適応度は生存率と産 子数のかけ算の形で表わされ,初期のバイオマス蓄積はその後の生存や繁 殖を支配する重要なパラメータでもあるので,この二つの適応度要素に よって,裸地検出機構の有無と適応度との関係をかなりのところまで評価 することができるものと考えたからである。 この野外実験では当然のことながら環境制御は行なわない。しかし,で
発芽生態学の二つの目標と実験における環境制御 9 きるだけ詳しく環境条件を把握することを目指した。特にバイオマス蓄積 に大きな影響をあたえると考えられる光条件についてはかなり詳細な測定 をして,その時間的空間的不均一性も把握した(WashitaniandTang,莱 発表)。 7月の散光条件下での光合成有効波長域相対光量子密度(ミクロサ イトの光利用性の指標として有効であることがわかっている)は,裸地を 100として,林緑の実験区では9.3±2.0,林内では2.8±0.4であった。この 実験の結果はきわめて明瞭なものであった。一年目の生育期を通じての生 存率は生存は裸地,林縁,林内の順に, 86%, 40%, 0%であった。林内で はすべての実生が夏を越えられず全滅した。成長・バイオマス蓄積も実験 地間で大きな違いが認められた。裸地では生育期を通じての平均相対成長 率が0.04 day 1で最終的なバイオマスも平均7gに達したが,林緑では, 生き残った個体の平均相対成長率の値はその半分であり,最終バイオマス は0.4gにすぎなかった。年度を替えて同じ実験を繰り返したが得られた 結果は同様で,いずれの年にも林内の実生は-個体も生き残らなかった。し たがって,林内にはヌルデの実生が確立できるミクロサイトは存在しない と結論できる。裸地化にいたるまで長期間種子で待つことによる死亡率を 考慮しても,裸地検出機構をもつヌルデはもたないヌルデに比J<て適応度 は高く,裸地検出機構は,その進化が期待される。先駆植物の一般的特徴 である実生の大きな光要求性は,種子の裸地検出機構を相伴って進化せぎ ろうをえず,植物種ごとに多様な裸地検出機構が進化したのであろう。
ⅠⅠⅠ.種子の量的形質の自然選択の測定と環境制御
次に裸地検出機構のような質的な形質ではなく,量的な種子形質の自然 選択を検討した研究を紹介する(Washitani and Nishiyama,未発表)。ここでは,進化生態学の普通の用例にしたがって,自然選択という言葉を単 に表現型の選択という意味で用いる。 「自然選択による進化」は, 「自然選択 (適応度の表現型依存性)」と「自然選択に応じた個体群の遺伝的な(進化 的な)反応」の二つの素過程から成る。自然選択が実際に進化を進める力 になりうるかどうかは,その形質の発現がどの程度遺伝的に支配されてい るかに依存して決まるが,自然選択は進化の第一の必要条件であり,その
10
J† :実生・成熟植物体のパフォーマンス
図2 種子サイズと発芽時期が適応度に及ぼす影響の概念図
理解無しには進化過程の理解はありえない。自然選択は形質値と適応度の
関係,言い換えれば,適応度の表現形質値依存性として捉えることができ
るが,量的形質の選択埋葬(Lande and Arnold6), Arnold and Wadel))
によれば,形質間の相互作用や環境の影響を考慮して多変量動態的に把握 しなければならない。自然選択の測定において重要な3つのパラメータは, 選択機会,選択差および選択勾配である。選択機会は相対適応度の分散で, 自然選択の余地がどのくらいあるかを示し,選択差は相対適応度と形質値 の共分散であるが,数学的には選択の前後での形質値の変化量と等値であ り,選択勾配は偏回帰係数で選択の方向性をしめす。 さて,発芽時期は種間でも異なるだけでなく種内でもばらつく。そして, そのばらつきかたは種や種子集団的にとって多様な生態学的な意義を秘め ているようにもみうけられる。また,発芽時期にどのような自然選択がか かるか,その実態を把握することは,発芽の季節性の進化を考える上で欠 かせない作業でもある。そこで発芽時期の自然選択をブタクサとオオブタ クサの実験個体群で測定してみた。ただし,芽生えのパフォーマンスは芽 生えの大きさ,つまり種子の大きさにも依存することが知られているので, 発芽時期と種子の大きさ,さらにミクロサイトの環境条件が個体の適応度 にどのような影響をあたえるか?(図2)を野外実験により研究した。ミク ロサイトの環境条件としては,特に成長(バイオマス蓄積)を大きく支配 すると思われる光利用性を考慮した。
発芽生態学の二つの目標と実験における環境制御 11 研究対象としたオオブタクサとブタクサは同属の北米産の帰化植物であ る。2種は種子サイズが十倍ほど異なり,種子サイズの意義の検討のための 比較に好都合である。両種とも野外では春先のかなり早い時期に発芽する が,そのような発芽時期の選択は,冷湿条件によって解除される休眠と変 温感受性によるものであること,両者の発芽休眠温度反応は比較的よく似 ていること,種内には野外の発芽時期のばらつきを十分説明できるだけの 発芽速度の生理的ばらつきが存在すること,などを発芽実験によって予め 明らかにした。 ススキ群落の緑に種子を蒔いて,多年生草本との競争下で種子形質の自 然選択を測定した。ススキ群落の光条件については,その空間約・時間的 不均一性も含めてかなりよく把握されている(Tang, et al.8・9))o多年生草 本群落の縁にオオブタクサやブタクサの種子が散布され,侵入のチャンス が与えられとしたらこれら一年生植物はどう振舞うか?種子の性質はそ のことにどう影響するか?といったことを検討するための実験でもあ る。定期的に生存や個体のおかれたミクロサイトの光条件の測定を行い,種 子繁殖を始めた頃にサンプリングして,種子形質や光条件が成長・繁殖の パラメータに及ぼす影響を分析した。 オオブタクサでは芽生え時期(生育期の長さ)と種子サイズの両方が適 応度に有意に影響を与えた。ブタクサでは芽生え時期だけが,弱いが有意 な影響を与えた。ところが,生育期に3回測定した光条件は,いずれの種 においても統計的に有意な影響を及ぼさなかった。同じススキ群落におけ るコナラの生存成長がミクロサイトの光によって強く支配される(Tang, etal.,未発表)のに,ブタクサやオオブタクサではそのようなミクロサイ トの光条件への依存生が認められないのは,これら草本種が弱光適応的な 形態形成によって,光条件が悪いミクロサイトに置かれたものほど草丈成 長を優先させ,同一水平面上の光条件の不均一性を垂直的に補償すること によるものであろう。 種子サイズと発芽時期の両方の効果が認められたオオブタクサについて は重回帰によって適応度へのこれらの貢献度を比較してみた。偏回帰係数 には大きな違いがなく,貢献度はほぼ同等であり,得られた重回帰モデル
12 からは,種子のバイオマスを1mg増大させることと一日発芽を早めるこ とがその効果においてはほぼ同等であることが明らかにされた。 発芽時期はオオブタクサでは顕著に,ブタクサでも多少適応度に影響を 与えていることが示されたが,このことは,種子集団が,発芽時期をばら つかせるような発芽休眠特性の変異をもつことと一見矛盾しているように もみえる。それは,この実験では,撹乱が排除されており,また実験年に は遅霜などなく,気象条件に恵まれたことに由来する。そのような好条件 のもとでは,早い発芽が選択される可能性をこの実験結果は示しているの である。早い発芽は競争上の有利さとより長いバイオマス蓄積期間の確保 という点からみて,早期の撹乱や気象異常の無い条件では最適戦略である と推論できるが,この野外実験の結果はそれを支持する。しかし,撹乱に 依存してハビタットを確保する生活史戦略をとるオオブタクサやブタクサ のような一年生植物は, 「世代でも平均適応度0となることは絶滅を意味 することから,埋土種子集団を常に確保するような発芽特性のばらつきが 重要であろう。 種子の大きさがブタクサでは適応度に影響しないことは,種子サイズが ある程度大きくないと,大きいことの有利な効果が生じないこと,すなわ ち域値が存在していることを意味しているものと思われる。 上の考察からも明らかなように,種子形質と適応度との関係は,野外で 個々の植物がおかれた状況・環境に大きく支配される。自然の条件のもと で影響力の大きい環境パラメータの値をモニターしながら測定を行い,そ の影響をも含めて統計的に解析するという方法に加えて,適切に制御した 環境のものとでの実験的個体群を用いた研究も,自然選択の可変性,状況 依存性を明らかにする上で有効であると思われる。Klaisz5)は,ゴマノハグ サ科のCollinshtの適応度要素におよぼす種子形質の影響を温室内実験で 分析した。その実験では種子の大きさや発芽時期が適応度に及ぼす影響の ほか,親の違いや種子が他殖・自殖のいずれに由来するのかといった違い が種子形質に及ぼす影響も検討されたが,親の遺伝的差異が子の適応度に 大きく影響するのに対して,種子サイズや発芽時期は有意な影響を及ぼさ ないという結果が得られた。それは,おそらく,競争もストレスもない温
発芽生態学の二つの目標と実験における環境制御 13 室の中では,種子サイズや発芽時期は適応度にとってあまり重要な要因で はないことを示しており,種内種間競争があるからこそ種子の大きさや発 芽時期が重要な形質になりうるという見解の裏返しの証明にもなってい る。競争や特定の物理的ストレスをコントロールした制御環境のもとでの 自然選択と,それらが存在する野外条件のもとでの自然選択を比較するこ とによって,どのような選択圧に対して,どのような戦略が対応している のかを経験的方法にもとづいて明瞭に把握することができるものと思われ る。 参考文献
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作物の根系研究における実験的方法
鯨 幸夫
Russel136,42)は,植物根系の本来の環境である土壌中での生長と機能につ いて,学際的な見地から論じている。土壌中に分布している植物の根系は, 植物の種類が異なることによって,また,生育環境を異にすることによっ て特有の形態を示している。作物の場合も種類,品種,栽培条件(施肥条 件,水管理,その他)の違いによって根系形態に違いが認められる。根系 形態の差異というこの表現型は,遺伝的変異と環境変異とによって生じた ものである。これまで,植物の根系に関しては,根をいかにして科学的に 正確に把握するか,という根系調査法に関する研究,品種間差異を遺伝的 変異と環境変異との観点から解析しようとする研究,根の養水分吸収を生 理学および土壌肥料学の立場から解析しようとする研究等が行なわれてき た。ここでは,作物の根系研究に関して, 1)根系形態を解析するための実 験的方法, 2)根系形態を支配する要因としての遺伝的変異と環境変異に ついて検討し,更に,これらの実験を遂行してゆく上で環境制御施設の果 たす役割と意義についても触れてみたい。Ⅰ.根系研究の実験的方法
土壌中における根の分布と機能の研究については,古くは, Weaver55)に よる方法があるが,その後,ピンボード(pinbord)6)を用いた方法が検討 された。 WelbankとWilliams56)は,土壌コア(円筒形土柱)調査法を簡 易化し,コアで採取した土壌を適当な長さに切断し,階層ごとの根を調査 金沢大学教育学部16 する方法を用いた。土壌中に分布している総根長を推定するには, Newman28)のインターセプト(intercept)法を用いれば便利である34)0 同位元素を用いた方法では, 32P29・33), 86Rb7・35), 42K36), 15N57)が利用され ている。32Pはβ線を放射するが,β線の透過力は弱いので測定できる土壌 資料は小さいものに限定される。一万, 86Rbや42Kは,透過力の大きいγ 線を放射するので,適当なシンチレーションカウンターを用いれば,根系 を含んだかなりの量の土壌(2kg)についても正確に測定することができ る36)。また,近年, 32Pに代わるものとしてアクチバブルトレーサーとして の152Eu (ユーロピウム)を利用して,作物根系の活力を測定する方 法8・9・26・37・38)が検討されている。 Euは動植物に対し安全であり,ごく微量で も高感度で検出可能であり,植物の根系から吸収されたEuは古葉に多く 集積する傾向があるので, 32Pを用いた実験と比較して同一の結果が得ら れている36)。また,水稲酒米品種,山田綿を用いた実験では,登塾期におけ る止葉のEu濃度と根量,止葉のEu濃度と根のα-ナフテルアミン酸化力 との間に正の相関関係がみとめられている8)。しかし, Euの分析は原子炉 を用いて放射化して行なう必要があるため若干不便である。 非破壊的に根系を計測するためには, NMRイメージングを用いた方法 が検討されている。生存している木本を対象にした年輪の測定31)で試みら れており,ポット栽培のソラ豆,ダイコンを材料とした実験30)では,土壌 が風乾状態の場合,NMR信号強度は小さくノイズレベルであったが,土壌 が湿ると信号は大きくなり,土壌と根を容易に分離できた。 パーソナルコンピューターによる水稲根表面積の簡易測定法によれば, 生育初期から最高分げっ期までは,本法を用いて根群を定量的に測定する ことができる57)。植物の根を土壌中から採取し,洗浄した後,墨汁液に一分 間浸漬しヘアードライヤーで乾燥させ,重ならないようにB。またはA4の 白色台紙に張り付けて原稿とする。コピー機で縮小コピーを繰り返し, B7 (128mmX91mm)サイズの大きさの投影画像を作り,イメージスキャ ナーによって解析する。この場合,従来,測定不可能であった細根でも,ス キャナーで十分読取りが可能である。 また,根箱およびモデル理論によって作物の根系形態を定量的に解析す
作物の根系研究における実験的方法 17 るさまざまな方法も検討されている。モデル的根箱試験法27),パイプモデル 理論39,40)を基礎にして根系に関する数学的モデル(パイプモデル)を提起 した田中らの方法43-45),圃場実験でも応用可能な方法であるイネ一次根の 空間的分布を推定するモデル23),根長密度モデルを用いた解析法24・41),分枝 形態をフラクタル次元で解析する方法12・25),土壌の硬さと根の伸長との関 係を把握するための新しい根箱を利用したモデル実験13・14)等である。 Minirhizotron Techniquel・2)を用いた根系調査法とは,前もって,アクリ ル製の円形または方形の筒を圃場に垂直または斜方向に埋め込んで置き, 医学用または工業用のカメラ(内視鏡)を筒内に導入して,土壌中の作物 根系の発達を観察,記録する方法である。群落内においては,群落状態の 根系を推定することはできるが,個体の識別はできない。上記に示したさ まざまな実験方法は,作物の根系研究の実際の場面において,目的に応じ た形で選択的に利用されてはいるが,同時に多数のサンプルを採取する必 要性がある場合,対応が難しいことがある。このような時に,シードパッ ク(Seed-packGrowthPouchi)を利用した実験を行なえば,簡単に多量 の根系サンプルを同時に得ることができる。シードパックは,これまで,作 物の発芽試験やダイズの根粒菌の同定等に利用されていた。透明なポリエ チレンの袋の中に折り畳まれたロ紙が入っておlり,袋の中に培養液を入れ ると毛細管現象で培養液が上昇してくるため,ロ紙の上に種子を置床する と,作物はロ紙表面に根を密着させて生育してゆく。根はしっかりとロ紙 に固定された状態で生育してゆくので,クリーンな根系形態(物理的損傷 を受けていない)について,正確に観察,測定することができる21)。
II.根系形態におよ尽す遺伝的および環境的影響`
作物に表われる表現型は,遺伝的変異と環境変異とによって生じたもの である。各種作物の根系形態に及ぼす遺伝子変異に関しては,0'too132)の総 説にも示されているように,いくつかの遺伝子が推定されている。根の生 育の品種間差異については,Trougtonら49)によって確認されており,稲に ついてもChangの報告4)がある。水稲根系の品種間差異については,環境 変異に関わる生態型分化50-52),根系形態の環境変異および遺伝的変18 異15-20),ころび苗抵抗性46-48)等の観点からの研究がある。ころび苗抵抗性 に関しては,冠根中心柱の断面積の大きい品種ほど根の発育量が大きく,中 心柱の細い品種ほど横方向に伸長する冠根の割合が多くなる傾向が認めら れる47)。中心柱の細い多くの日本稲は,土中の浅い層に根が多く分布する根 系を示し,短銀坊主,北海道の品種を除いた多くの日本の品種が世界の品 種の中で最も冠根が細く,維管束が小さいグループに位置する46)という。 冠根断面積と中心柱断面積との間には,正の相関関係が認められるので,選 抜に関しては,どちらかの形質を遺伝的形質として測定すればよいことに なる。上野ら50-52)は,酸性土壌抵抗性に関わる特性として,イネの根の形 態,とくに根の伸長方向を検討していたが,播種後約100日目に稲株から 根が放射状に土壌表面上に現われている現象を発見し,この根を「気根」 (Aerialroot)と名付けた。このような根は,生態型Buluの品種にのみ認 められ,日本の稲を含む他の稲には見られなかった。鯨16)は, 1930年代か ら今日まで栽培されてきた水稲品種の中の代表的品種と,現在の多収穫品 種とを材料に用い,水稲根の養分吸収力(特に窒素吸収)を,施肥水準を 変化させて検討した。その結果,生育に伴い,水稲根の全窒素含有量は変 化するが,品種によってその変化の型に違いが認められた。 A型(仮称,以 下同様)は,少肥区(2.5kg-N/10a)と多肥区(10kg-N/10a)で根の全 窒素含有量に大きな差はなく,生育期間を通して全窒素含有量の変化も小 さい傾向を示す品種群をさす。 B型は,生育期間を通して多肥区より少肥 区で根の全窒素含有量が大きい傾向を示す品種群である。C型は,少肥区よ り多肥区で根の全窒素含有量が大きい傾向を示す品種群であり,D型では, 生育前半は少肥区で根の窒素含有量が大きいが,生育後半で多肥区で大き くなる傾向を示した。A型から,撰-,農林3号, B型から十石,朝日,双 莱, C型から竹成, D型から陸羽132号の品種を選び,その他,外国稲の多 収穫品種として南京11号,桂朝2号,来敬,密陽23号,Calrose76,Saturn, Rancaroloの計14品種を材料として,生育初期における根系形態の品種 間差異を検討した15)。根箱試験を常時湛水状態で行い,各品種による根系生 育量の変化を表1に示した。 根系占有面積は乾燥させた根系標本から根系のトレース図を得,板系の
作物の根系研究における実験的方法 19 也 EJ 冢ィキ" bO 亡tr.17...■ 着封 煙 i R 礁 S ▼・.■一・.■▼・.」一・.一▼..1■・.■▼・.■ 一・.■T...■r●1「..1「.■T...■r■一 壁 # R 喋 ==、 輸 一..■▼・.■▼..一▼・.1「■▼・.■「1▼・.■ 世 倬2 匿 a 蛋 Tr I..■▼-■一一一..■ ## 比R R ⊥□ 喋 妥層 也 E」 b:=▼ 儉リヘ ヲツ 偲" bβ 【ー(エ) 辛 響 藻 R 礁 S ▼・.■l・.■▼・.■▼・.■r1▼・.■ 「■▼・.■'--1▼J.■一・.■7-1r■▼・.1 響 # R 樵 砕く ▼・.■一・.一▼・.」rll<▼・.1▼・.■▼・.■I・.■ 今\ ィ耳爾 7-1▼-.-1I・.■7-.1一...■ 世ピ 冢r 塞 樵 i I..■一..■▼..■一.一「■ ip:# 」□ 比R R 礁 蜜値 一・.一「..一一・.■一..1▼・.1一・.■ ▼・.一▼・.■▼・.1一・.一▼・.■「.1▼・.1 # 増 .DO r、-I-
蓋去蓋:芸芸≡壷壷≡緋貞 N 蒔菓
琳棚田EJJぜt]EJ nrDJiJ.I+,味芸ri. f‥∵品!rjl・tJ輔聖讃 T≠20 全体を切りぬいたのち,葉面積計によって面積を測定し,根系占有面積と した。根系占有面積は施肥水準の違いによって有意差(P<0.01)が認めら れ,少肥区で大きな値を示した。根系開度は,水稲根がどのような角度で 土の中に入りこんでいるかの全体像を表す指標として用いた。施肥水準の 違いによる有意差は認められなかったが品種の違いによる有意差(P< 0.05)は認められた。農林3号は狭い角度で,陸羽132号は広い角度でそれ ぞれ特徴的な根系を形成していた15)。地上部乾物重は,品種による有意差は 認められず,施肥水準の違いによる有意差(P<0.001)が認められた。地上 部生育は,ほぼ同じ生育量を示しているにもかかわらず,根系形態につい ては根系開度,根系占有面積に有意な品種間差異が認められることになる。 品種による根系形態の変異を遺伝的な現象として考えることが可能と考え られ,引き続き遺伝分析に関わる実験を継続している。 一万,品種の特性としての形態や機能は,どのような範囲で把握したら よいのや'.ということは大変難しい問題を含んでいる。水稲の根圏温度を低 下させ,地下部温度の低下が根系形態に及ぼす影響を常温区と対比させて 検討した17)。大型のハンディークーラで冷却水を循環し,根圏温度を18oC に保ち,また,土壌温度調節装置(コイト165-A)を利用して同様に18oC で実験を行なった。根系占有面積は,陸羽132号, Rancaroloで大きい値 を示し,十石,農林3号では小さかった。根系開度も,根系占有面積と同 様の傾向を示した17)。また,根および葉身部の全窒素含有率には品種による 有意な差は認められなかった。地下部温度が常温でも低温(18oC)でも,陸 羽132号は,根数が多く広い角度で疎な根系を形成し,農林3号は,密な 状態で狭い角度の根系を形成していることが特徴的に認められた。生育初 期の段階で,人工的に根切除処理を行なった場合でも,これら2品種の根 系形態の特徴は変化しない18)ところから,かなり安定した形質であるもの と考えられる。 施肥法の違いによる根系形態の変異を品種間差の面から根箱試験で検討 した。陸羽132号,農林3号,コシヒカリを材料に,深層施肥,全層施肥 側条深層施肥(片側)および表層施肥(深水管理,浅水管理)を行なった 場合の根系形態の変異を調査したところ,基本的には各品種の根系形態を
作物の根系研究における実験的方法 21 維持しながらも,施肥条件への反応の仕方には差が認められた18,20)。表現型 としての根系形態を,最大限に発揮させるための環境要因(ここでは施肥 条件)は,品種によって違うものと考えられる。 根系形態の異なる品種間での交雑によって得られた, F.水稲の根系形態 の変異を根箱試験によって検討した。狭くて密な根系形態を形成する品種 として農林3号,来敬を,広くて疎な根系形態を示す品種として陸羽132 号,密陽23号を選び,これらの品種の組合せの中で正道交雑を行いFl世 代の根系形態の変異について検討した19)。農林3号と陸羽132号との正逆 組合せのF., F2については現在検討中であるが,その他の組合せについて は,根系占有面積と根系開度の双方について, Fl品種は両親の中間または, 両親より小さい値を示した19)。しかし,これは生育初期の栄養生長期につい ての結果であり,生育の進んだ収穫期における根系形態については,また 異なった様相を示す場合もある。 高等生物の遺伝子型には膨大な数の遺伝子が含まれている。各遺伝子が それぞれ一つの情報(命令)であると仮定すれば,これらの命令同士が互 いに組み合わさって周囲と相互作用をはかりながら,現実としてある表現 型が表われることになる。つまり,遺伝子型空間と表現型空間の間には,請 種の遺伝的命令がお互い同士ならびにその生物が発生していく環境条件と 相互に作用しあう,一連の過程全体が存在することになる。したがって,こ のシステムは,遺伝子型空間から「後成約空間」 (すなわち発生過程の空間 であり,発生過程のある方向ないし別の方向に進めようとする矢印かベク トルで表すことができる)を経て,表現型空間へと移行することになる53)0 この矢印(ベクトル)の全部が遺伝子型から生じるとは限うないわけで,中 には環境に起因するものb/ある。したがって,発生システムの環境によっ ては,同じ遺伝子型から多数の表現型が生じることもあり,このことは,表 現型から出発すれば(自然選択がそうであるが),表現型と遺伝子型との関 係は本質的に不確定なものになることを意味している53)。環境要因を考慮 しながら,表現型(本論では根系形態をさしているが)を遺伝的に解析し ようとする理由には,このような背景がある。
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ⅠⅠⅠ.根系研究と環境制御施設とのかかわり
環境要因の変化による根の生長の変異に関する研究は, Mayら22)に よって発達した。彼らは,オオムギを材料として,水耕栽培による根系発 達について,詳細な観察を行い,一定条件下においては一貫性のある生育 パターンがあることを認めた。 HakketlO・11)ち,オオムギにおいて根数,根 長,根表面積および体積の増加率には直線関係があることを認めている。し かし,根の生長にみられるこれらの関係は,人工的に制御された環境条件 下において認められる現象であり,実際の圃場条件下における作物の根の 生長は,土壌条件等によって大きく影響を受けている。 一方,地上部と地下部の温度を別々に制御した研究を行なうことができ れば,根系の温度反応性を正確に理解することができる。Walker54)はトウ モロコシを材料に用い,準温がloC変化しただけで生長と養分吸収が影響 されたと、報告している。また,茎葉部が最大の生育をするような地下部温 度と地上部温度の組合せで生育実験を行なった場合,茎葉部に対する根の 割合が最低になるとの報告3-5)もある。実際の圃場においては,不良条件下 における根の補償的能力が,作物のもつ極めて重要な特性として現われて くるが,作物の根がもっているこの補償的能力を解析し理解するうえでも, 環境制御施設は大きな役割を果たしている。我々はこれまで,表現型を選 抜しながら遺伝子型を考えてきた。同じように,自然条件下における現象 を複雑な有機的つながりの中で検討しながら,同時に,環境制御施設を利 用して特定の表現型を表わす要因の解析を行なう必要がある。 参考文献1) Beyrouty, C.A., el al. (1987). In "Minirhizotron Observation Tubes: Method and applications for Measuring Rhizosphere Dynamics." (ASA
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制御環境下における植物の
表現型可塑性の解析
石栗 義雄1・工藤 洋2・河野 昭一1・2 Ⅰ.はじめに 高等植物は同一種であっても光,温度,土壌水分や栄養などが異なる様々 な環境の下で集団を形成し世代を繰り返している。多層構造をもった森林 の林床のような光強度が弱い環境では光合成器官である葉が弱い散乱光の エネルギー捕捉効率をより高める方向に構造と機能が分化し,また砂漠や 海岸砂丘のような限定的な栄養環境の下では栄養摂取器官の根系が発達し 同時に地上部のサイズが抑制され全体として供給量に見合った個体で生活 環を完結するなど変動環境に対応した様々な形質の分化が起こt)1ている。 一一万,日長や温度の昼夜較差は日周変化として,同時に年変化としても植 物の発育分化に作用する。特にこれらの環境要因の変化の周期性は花芽分 化,分枝性に影響をおよぼし植物の生長や発育相の転換を制御し,結果的 に草型や次世代を担う繁殖器官の形成にも大きく影響を及ぼす。したがっ て,光や栄養のようなエネルギーや物質的基盤に関連した環境要因に対す る植物の表現型可塑性と,光周性やバーナリゼーションなど発育相の転換 をもたらす環境要因に対す/a可塑性とを分ける考え方が必要となってく る。 たとえば地理的に異なった生育地を持つ短日植物アカザ(Chenopodium rubrum L)の花芽分化における光周性の解析から次のことが明らかにされている(Tsuchiya and lshiguri, 1981, 1983)5・6)。光周性の特徴を示す限 1.東北大学遺伝生態研究センター
26 界暗期(花芽分化の誘導に必要な一日当たりの最小暗黒時間)は北緯340に 生育地を持つアカザでは12時間,北緯50oのものは8時間,北緯600では 4時間であり,最も高緯度である620に生育地を持つものは限界暗期がな く24時間明期の下で花芽を分化した。このように高緯度になるほど短日植 物としての性質が弱められ,暗期(夜)が極端に短い夏にしか生育期がな い北緯620では全く光周性にしぼられない花芽分化の機構を持つに至って いる。さらにこれらを日本列島に分布するアカザの生活環に合わせて自然 環境下で栽培した場合,高緯度のアカザほど花芽分化にいたるまでの期間 が短く,北緯620のものは数枚の葉を展開後頂芽に花芽を分化し,さらに膜 芽を発育させてその頂芽に花芽を分化することを繰り返し,栄養生長期と 生殖生長期の区別が明確ではない。この過程で種子数が少ないが大きくか つ重い種子が生産される。一方,低緯度のものは旺盛な茎葉の繁茂の後に 一斉に各頂芽に花序を形成し種子生産を行なう。この場合明確に栄養生長 期と生殖生長期が季節によって分離し,適当な光周期の下で一斉に花序を 作り小型であるが膨大な数の種子生産が行なわれる。このように光周期に 対する可塑性の遺伝的な集団間差異が緯度的に異なる地域での集団形成を 可能にし,その環境の特徴に合わせた季節消長と生活史過程が確立される。 その枠組みの中で栄養諸器官の量的な,機能的な形質特性が発現し,その プロセスが最終的な繁殖器官の特徴を引き出すと考えられる。 植物の生活環の中でバーナリゼーションは光周期と同様に発育相の転換 をもたらす重要な役割を果たしている。特に春から夏にかけて開花する長 目性の植物にとってバーナリゼーションは光周性と密接に関連を持ちなが ら種の様々な形質発現に強い影響をもたらす。光周性との生理的相互作用 についてはまだ不明な点が多いが(Napp-Zinn, 1984)1),冬期の低温による 発育相転換の誘導,あるいは低温が発育相の転換に必須ではないが転換後 の発育を促進するといったバーナリゼーション要求性は種の固有な性質と して分化しているものと思われる。しかし,特定の形質の発現にどの程度 の低温が,またどの位の期間が必要であるかはその植物集団の生育環境に よって異なり,集団ごとにそれぞれ一定の幅をもって調節されていると考 えられる。
制御環境下における植物の表現可塑性の解析 27 植物を取り巻く環境の中で光周期とバーナリゼーションは発育相の転換 といういわば質的な側面に作用し,これらは実験的にも容易にそして正確 に制御しうる要因である。ここでは北半球の温帯圏に広く分布を見るタネ ツケバナ(CardaminePexuosa With.) (アプラナ科)の本州中部地方の6 集団が異なる日長条件の下でどのような形質発現を示すかについて,低温 処理によるバーナリゼーションとの組み合わせで明らかにし,制御環境下 での実験生態学的手法が表現型可塑性の解析にとっていかに有効な手段で あるかについて述べる。
II.季節消長と発育相の変化(Kudo, Ishiguri and Kawano,
未発表資料による)3)
ここで取り上げたタネツケバナ集団は水田に生育地を持つものとして本 州中部日本海側の富山(TP),太平洋側の大阪(OP),その中間の京都(KP) から3集団,果樹園集団として大阪(OG)および山地集団として富山 (TM)I,京都(KM)書から得られたものである.どの集団も共通して春期 に個体サイズに関わりなく主茎,分枝の全ての花序が一斉に開花し,膨大 な数の種子を生産・散布した後個体が枯れあがる。開花期は水田集団では 3月中旬に始まり,イネ栽培の準備が開始される前にほとんど全ての種子 散布が終了する。果樹園集団の開花期はほぼ水田と同時期であるが,山地 集団は約1ケ月遅れその開花期は5月である。 初夏から果樹園集団では種子の発芽が始まり,一定のサイズにまで発育 した個体から順次開花する。したがって,秋期開花期は数ヶ月続き,長期 間にわたって種子散布が行なわれるo水田においても一定準の発芽が見ら れるが湛水されているため1こ発育できない。したがってイネ収穫期まで埋 土種子で存在し,落水後順次発芽し大半はロゼットで越冬する。水田から 畑地に転換された場合には,果樹園集団と同様な秋期開花を示す。一方,山 地集団では春期散布種子は秋まで休眠に入り, 9-10月に順次発芽しロゼッ トを形成し,開花に至らずそのまま越冬する。このように今回取り扱った'分類学的にはタチタネツケバナCardamine Pexuose sspfalkzx 0.E. Schulzに相 当するものとみなされる。
28 6集団のうち山地集団のみが秋期開花を示さない。 このように冬期に受けるバーナリゼーションと春期の長日条件への移行 という環境の変化に対応してタネツケバナは栄養器官形成から繁殖器官形 成に発育ステージを切り替え,すべてのエネルギー生産と物質の転流は種 子生産に向けられ,これが同調的,爆発的な開花・結実および種子散布を もたらすことになる。夏から秋にかけてのロゼット個体は発育相の切り替 えを同調的に行なう要因に遭遇しないので,葉など栄養器官の成熟などに よる個体の加令(エイジング)の度合いに応じて繁殖器官形成へと移行す る。この成熟度は個体毎に異なり集団の開花期は揃わない。また個体内で も頂芽と肢芽で生理的な令が異なるので花序の位置によって開花が大きく ズレる。
III.発育様式と環境(Ishiguri, Kudo andKawano,未発表資
料による)2) タネツケバナの発芽種子は子葉展開後つぎつぎと葉を形成し節間のつ まったロゼットとなる。その後主軸の節間伸長の開始と平行して主軸頂端 が花芽を分化し花序を形成する。主軸の節間伸長がどの節位から始まるか によって個体の基部に残すロゼット葉数,あるいは基部からの分枝数に強 く関係し,これらは最終的な草型を決定する。節間伸長と同時に節から分 枝が始まり,より基部の節ほど旺盛な生長を示す分枝が形成される。低温, 長日は主軸の節間伸長の開始を早めるために,より下位節の節間伸長が促 され,これが基部からの分枝を促す。このようにタネツケバナの発育様式 は低温と光周期によって制御され,それらが草型および栄養・繁殖器官を 構成する諸形質に著しい影響をおよぼしている。 ⅠⅤ.野外集団における低温,日長の効果(Eudo, Ishiguriand Kawano,未発表資料による)4) 次のような処理によってタネツケバナの低温,日長の効果の解析が行な われた。 なお, C-Lは越冬個体の春開花, NC-Sは夏の発芽個体の秋開花にほぼ
制御環境下における植物の表現可塑性の解析 29 対応する。 1.繁殖器官形成相への移行 栄養器官形成の発育相から繁殖器官形成への移行を示す最初の形質発現 は基部節間の伸長開始である。図1に示したように,すべての水田,およ び果樹園集団は低温の後に長日条件が与えられると著しく節間伸長開始期 を早め,かつ集団内での変異も少ない。節間伸長の開始はそのまま主茎の 開花期と同調するので,この結果はこれらの集団の一斉春期開花という野 外集団におけるフェノロジーと一致する。さらに富山,京都の水田集団で は長日のみでもほぼ同様な結果であることから;節間伸長促進という点で (days) nU nU 42 voBIFB■ot_U_暮S●暮Shed
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制御環境下における植物の表現可塑性の解析 31 応の幅が極めて小さく,節間伸長の開始が環境に左右されにくいことから この形質の低温,日長に対する可塑性が低いといえる。この事実は北陸地 方における水田集団がこの地域に独特な淘汰圧にさらされていることを物 語っている。 (2)大阪の水田および果樹園集団は低温あるいは長日条件に 節間伸長開始期が強く依存しており,与えられる環境による反応の幅が大 きく高い可塑性を示し,京都水田集団はそれらの中間であると考えられる。 (3)さらに山地集団は繁殖器官形成相への切り替えに対して強い環境依存 性を示したが,同時に節間伸長開始が著しく遅いことから他の集団とは異 なった可塑性を持つと考えられる。 異なる立地環境にある水田の環境圧,資源分布,イネ栽培管理などの相 違を反映して,水田集団では環境要因に対する反応性の違いが集団間で際 立って大きく,比較的安定した環境下にある山地集団では小さい。このよ うに生育地の環境要因の変動パターンと集団の可塑性が密接に関連し合っ ていることは,タネツケバナ群における集団分化の機構を解明するうえで 興味深い課題である。 2.分枝性 早い発育段階での節間伸長はロゼット期を短縮し,これとほぼ平行して 主軸頂芽に花芽が形成されるので主軸の節数が減少する。この場合より基 O nU つエ SaOUaaSaLOFUサ←○}_qUrLN J .J (乃 ∽ I l l l U U U U ;≡ ⊇≡ OP J .J (∩ 〟) J ..」 く乃 (乃 」 .」 ∽ (乃 J _,J U) J J ∽ l I I l I I l I l I l I I I l t I I u u u u u u u u 0 U 0 U U U U U U U と Z Z E :己 ーZ ≡ Z KP TP 06 K「1 T卜1 図2 各集団の花序数(-分枝数)4)
32 部の主軸節は高い分裂活性を維持し,同時に節間の細胞は高い伸長能力を もっている。これらがより低節位からの節間伸長を引き出し,同時により 基部の節位からの分枝を促す。基部の節位からの分枝ほど多くの節をもつ 分枝となり,さらに2次分枝をすることによってより高次の分枝を可能に し,結果的に分枝性の高い個体となる。タネツケバナは分枝の先端には必 ず花序を伴うのでこの発育経過は花序数の増大に直接的に反映する。節間 伸長の遅れはロゼット期を延長し,多くの葉を持つ個体となりしたがって 主軸節数が多く`なる。この場合低位の節の分裂活性は低下し,節間細胞の 伸長能力も失われていることによってより高位の節からの伸長が開始す る。これは基部分枝の発生の抑制に結びつき,分枝は専ら主軸上位の節か らのみ生じる。このように節間伸長開始の遅速はその後の分枝性を制御し, 最終的に個体の草型を大別して叢生型および直立型の2型にする。 図2に各集団における花序の数を処理別に示した。タネツケバナでは全 ての分枝が花序を形成するので,このまま分枝様式として見ることができ る。一次から三次までの総分枝数は山地集団を除いて低温と長日が与えら れた場合に著しく増大する。長日のみの条件では明らかに低温一短日よワも 分枝数の増大が見られることから,長日条件がより分枝を促すことがわか る。このように,低温はより若いステージでの主軸の節間伸長を促し,分 枝を可能にする場を用意し,長日条件が強く分枝を促す方向に作用すると 考えられる。 各集団では富山 京都水田集団が低温,長日によく対応して分枝数を増 大しているが大阪の集団では水田,果樹園共に低温,長日がそれぞれ単独 では分枝形成能が一段と低下する。とくに京都水田集団は長日のみで低 温-長日と変わらない分枝数を示し,強い長日効果をもっている。また富山 も同様の傾向を示すが,この集団では低温一長日が与えられると三次分枝ま で分化し,分枝性の高い集団であることがわかる。このように水田および 果樹園集団は総分枝数の環境に対する可塑性が明確に示され,同一の集団 であっても環境によって分枝性を高めたり抑制したりする反応に大きな幅 をもっていることが明らかになった。さらに,興味深いことにはこの分枝 性に関する可塑的反応は京都,大阪の集団は主として一次分枝の分化段階