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負の情動および恐怖条件づけ時の脳機能にセロトニントランスポータ一遺伝子が及ぼす影響

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Academic year: 2021

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(1)

負の情動および恐怖条件づけ時の脳機能にセロトニ

ントランスポータ一遺伝子が及ぼす影響

著者

水野 資子

号

2355

発行年

2006

URL

http://hdl.handle.net/10097/22971

(2)

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氏名(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与年月日

学位授与の条件

研究科専攻

学位論文題目

論文審査委員

みずのともこ

水野資子(福島県)

博士(医学)

医博第2355号

平成18年3月24日

学位規則第4条第1項該当

東北大学大学院医学系研究科

(博士課程)医科学専攻

ImpactofSerotoninTransporterGeneon

N'egativeEmotionan〔iBrainProcessing(iuring

FearConditioning

(負の情動および恐怖条件づけ時の脳機能にセロ

トニントランスポータ一遺伝子が及ぼす影響)

(主査)

教授福土審

教授辻一郎

教授上月正博

(3)

軽

論文内容要旨

目的

21世紀の先進国においては,ストレス関連疾患が国民の健康と経済に重大な悪影響を及ぼす と予想されている。これらストレス関連疾患は重症化すれば,治療はしばしば困難である。理由 として,ストレス関連疾患の病態の中核をなす脳内神経伝達に不明な点が多く,また,ある個体 の遺伝子型と生下時から加えられた刺激様式の詳細も不明であることがあげられる。ストレス反 応を規定する可能性のある遺伝子の一つにセロトニントランスポ一夕ー(5-HTT)遺伝子 (5-HTTLPR)がある。5-HTTはシナプス間隙のセロトニン(5-HT)再取り込みを行う膜たん ぱくであり,シナプス間隙の5-HT量の調整を行う。よって5-HTTが5-HT神経系の調節に重 要な役割を持つと考えられる。5-HTTLPRには44塩基対のinsertionがある“1"アリル, insertionのない“s"アリルの二種類が存在し,5-HTTのたんぱく発現量と機能に関与する。こ の機能差が不安感受性や不安反応の個体差へ結びつくと考えられている。また,近年の脳機能イ メージング研究の進展により,ストレスに関連した脳部位が報告されつつある。加えて, 5-HTTLPR多型と脳活動の関連が報告されている。機能的核磁気共鳴画像(functiol/alMRI) を用いた研究では,恐怖及び怒りの表情認知課題において,右扁桃体の賦活が5-HTTLPR遺伝 子の`'1/1"型に比いs"アリルを持つ個体において強い事が報告されている。しかし,不安形成 のモデルとされる恐怖条件付けを用い,5-HTTLPR多型による脳活動の差を測定した報告は未 だ無い。我々はセロトニントランスポ一夕ーの遺伝子多型により,ストレス感受性及びストレス 負荷時の脳活動様態は異なるという仮説を考案し,これを検証した。

方法

ストレス関連疾患群104例と健常ボランティア90例の合計194例を対象とし,全例に 5-HTTLPR遺伝子解析と心理検査を施行した。末梢血から白血球を分離し,得られたDNAを PCR(PolymeraseChainReactio11)法により増幅し,電気泳動によって5-HTTLPR遺伝子多 型を分析した。心理検査はSTAI(StateTraitAnxietyInventory),SDS(Self-rating DepressionScale),PSS(Perceived-StressScale)を用いた。遺伝子多型と心理検査をノンパ ラメトリック法で比較した。また,健常ボランティア304例を募集し,遺伝子解析を行い, 5-HTTLPR遺伝子のs/s型,s/1型,1/1型各10例,合計30例を無作為抽出し,fMRI検査に導 入した。課題には不安形成モデルである恐怖条件付けを用いた。恐怖条件付けにおける無条件刺 激として左背足に閾値+20%の電流500m秒を用い,条件付けを行った。ホワイトノイズ,ブザー・ 電流なし,ブザー・電流ありの条件をランダムに提示した。課題施行中は左手掌で皮膚電位変化

(4)

(SkhlCollductanceResponse:SCR)を測定し,条件付けられた事を確認した。条件付け後の 脳活動をブザーのみ,ホワイトノイズの条件で比較し,多型との関連性を検討した。脳画像解析 にSPM2(Wellcome,DepartmentofCog・11itiveNeurology,Londo11,UK)を用いた。

結果

患者群と健常群の多型分布及びアリル頻度に差はなく,5-HTTLPR多型とストレス関連疾患

に直接の関係はなかった。患者群と健常群を統合し,埠伝子多型との相互作用をANOVAによっ

て検証した結果,不安水準の高さに5-HTTLPR多型と性別の相互作用が観測された。男性では “1"アリルを持つ個体に比し,⊥`s/s"型の個体で不安が高く,女性では逆の結果となり, 5-HTTLPR遺伝子多型の効果は性別によって反転する事が示唆された。画像解析の結果,ブザー 時に縁上回の活性がs/s郡に比し1/1群において高かった。またホワイトノイズ時にはs/s群で は橋,1/1群では左眼窩前頭皮質の血流量が有意に高かった。

考察

不安水準における5-HTTLPR多型の効果は性別により反転することが明らかとなった。また ストレス負荷時の脳活動様態は遺伝子多型間で異なることが明らかとなった。条件づけ時の脳活 動変化における多型差は,ストレス感受性の個人差やストレス関連疾患の病態に関与していると 考えられる。本研究結果より,5-HTTLPR多型が脳における情動処理に深く関与することが示 唆された。

(5)

審査結果の要旨

セロトニントランスポーター(5-HTT)はシナプス間隙のセロトニン(5-HT)再取り込みを 行う膜蛋白である。シナプス間隙の5-HT量は主に5-HTTによって調節される。そのため, 5-HTTプロモーター調節領域(5-HTTLPR)はヒトのストレス反応を規定する可能性が高い遺 伝子の一つである。5-HTTLPRには44塩基対の挿入がある1アリルと挿入がないsアリルの二 種類が存在する。1アリルは5-HTTの蛋白発現量がsアリルよりも多く,5-HT再取り込み機能 が強い。この機能差が不安感受性や不安反応の個体差の一要因であると考えられているが,必ず しも一致した結果は得られていなかった。本研究では,セロトニントランスポーターの遺伝子多 型により,ストレス感受性及びストレス負荷時の脳活動様態が異なるという仮説を検証した。 対象はストレス関連疾患群104例と健常ボランティア90例である。心理検査により,不安, 抑うつ,自覚ストレスを測定した。同時に,末梢血から白血球を分離し,得られたDNAをPCR (PolymeraseChainReaction)法により増幅し,電気泳動によって5-HTTLPR遺伝子多型を 分析した。ノンパラメトリック法で多型による不安,揮うつ,自覚ストレスの相違を比較した。 また,健常ボランティア304例に遺伝子解析を行い,5-HTTLPR遺伝子のs/s型,s/1型,1/1 型各10例,合計30例を無作為抽出した。これらに脳の機能的核磁気共鳴画像(fMR工)検査を 施行した。高調ブザー音を条件刺激,左背足に加えた閾値+20%の電気刺激500msexを無条件 刺激,白色雑音を中立刺激とし,中立刺激+無条件刺激なし,条件刺激+無条件刺激あり,条件 刺激+無条件刺激なしをランダムに提示した。検査中は左手掌で皮膚電位変化(skinConduc-tanceResponse:SCR)を測定し,恐怖条件付けがなされた事を確認した。脳画像解析にSPM2 (Wellcome,DepartmelltofCognitiveNeurology,London,UK)を用い,恐怖条件付け後 の脳活動の多型による差をブザーのみ,ホワイトノイズの条件で比較した。 ストレス関連疾患群と健常群の多型分布及びアリル頻度に差はなかった。しかし,患者群と健 常群を統合すると,ANOVAによって不安水準の高さにおいて5-HTTLPR多型と性別の相互作 用が認められた。男性では1アリルを持つ個体に比し,s/s型の個体で不安が高く,女性では逆 の結果となった。FMRIによる脳画像解析では,条件刺激時に縁上回の活性がs/s群に比し1/1 群において高かった。また中立刺激時にはs/s群では橋,1/1群では左眼窩前頭皮質の血流量が 有意に高かった。 本研究は,日本人を対象として,不安水準における5-HTTLPR多型の効果に対する性別の影 響をはじめて明らかにした。また恐怖条件付け時の脳活動様態が5-HTTLPR多型で異なること を解明した。5-HTTLPR多型には大きな人種差が存在する。日本人では,sアリルの頻度が高 く,欧米と大きく異なっている。日本人で得られたこれらの結果は5-HTTLPRそのものの不安, 恐怖,ストレス反応への影響を強く示唆している。本研究は今後の新たな研究の展開を生み出す 新奇性ならびに重要性が高いと評価できる。 よって,本論文は博士(医学)の学位論文として合格と認める。 占一L『

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