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人の国際労働移動を通してみる親子の関係性 -インドネシア人技能実習生とその家族を中心に- 利用統計を見る

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ドネシア人技能実習生とその家族を中心に-著者

合地 幸子

著者別名

GOCHI Sachiko

雑誌名

アジア文化研究所研究年報

55

ページ

21-32

発行年

2021-01

URL

http://doi.org/10.34428/00012444

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人の国際労働移動を通してみる親子の関係性

──インドネシア人技能実習生とその家族を中心に──

合 地 幸 子

キーワード:インドネシア,国際労働移動,日本,技能実習生 はじめに  本稿の目的は,インドネシア人技能実習生(漁 船員)とその家族を取り上げ,親子の関係性の あり方について考察することである(1)  筆者は,これまでインドネシアにおける高齢 者ケアの諸相に関心を持って研究を行ってき た。インドネシアでは病気を患っている親や介 護の必要な祖父母の世話は子供が中心となって 行っているが,ケアの必要な者がいる世帯の中 で子供世代が海外移住労働へ出ている場合があ る。すなわち成人子と親が離れて暮らす状況で ある。  国際労働移動とケアに関しては,欧米を対象 として,子供を母国に残して海外移住労働に出 るトランスナショナルな親子のあり方を報告す る 研 究 が あ る[Hochschild…2000;…Parreñas… 2006]。また,東南アジアを対象とする研究では, フィリピンやタイの成人子が子供を両親や祖父 母に預けて都市部や海外へ出稼ぎに出る育児を めぐる親子関係が報告されている[細田2019; 木曽2019]。これらの研究は,主に母子関係に 注目したものである。  一方,世界的に人口高齢化が伸展している近 年では,育児のみならず高齢者ケアをめぐる成 人子と親の関係性に注目する必要性が早くから 指 摘 さ れ て い る[ 岩 佐2011;… 細 田2012;… Baldassar… and… Merla… 2014;… Horn… 2019;… Wilding…2018]。  以上のような研究背景から,筆者は日本とイ ンドネシアを帰還・往還する人々に注目してき た。その中から,本稿では(元)インドネシア 人技能実習生とその家族の間におけるやり取り に関して論じる。本稿は,男子成人子と親とい う親子関係に注目するものであり,育児や介護 などのケア実践について論じるものではない。 今後日本とインドネシアにおける家族を国際労 働移動とケア研究の中で論じていくためのひと つの試みとして本論を位置づけたい。  日本の技能実習生に注目するのは,日本の深 刻な人手不足を背景に,今後多くの外国人が技 能実習生として日本に受け入れられると推測さ れるためである。なお,これまで技能実習生は 必ず帰国することを前提としていた。したがっ て,本事例は国際労働移動に関する先行研究が 対象としてきたトランスナショナル・ファミ リーには厳密には当てはまらない。  しかしながら,2016年の技能実習法の制定以 降,技能実習期間がこれまでの 3 年間から 5 年 間に延長された。また,2019年には「技能実習」 修了後に移行可能な在留資格として「特定技能」 が新設され,一部の産業分野に限り,さらに 5 年間の就労が認められた(2)。条件を満たせば家 族帯同が可能であり,定住への道も開かれた。 すなわち,日本―インドネシアで離れて暮らす 期間が長くなる親子が出現しており,そうした 親子は今後さらに増加すると考えられる。  これまでの技能実習生に関する研究は,日本

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の移民政策や日本語教育,多文化共生の観点か らの研究に蓄積が多い[明石2020;駒井2020; 駒井・津崎2018]。制度面での課題は,日本が どのように外国人労働者を受入れるかよりもむ しろ,外国人労働者の定住化を議論する時期に 差し掛かっているといえよう。しかし,本稿は 受け入れ国や送り出し国の制度的側面を議論す ることが目的ではないため,技能実習制度に関 しては近年の動向に限って手短にⅠで紹介する に留める。  次に,本稿が,漁船漁業分野(養殖業や定置 網漁業を除く)の技能実習生を対象とするのは, その受入れがインドネシア人に特化しているこ と,技能実習制度開始以前から研修生(3)として 受け入れられており通時的な視点をもって研究 するためにふさわしいこと,および,全てが男 性であることによる。  漁船漁業分野のインドネシア人に関し,労働 力の国際化という観点から,技術面における技 能実習生の位置づけやインドネシア人漁船員の 特殊性を明らかにした研究がある。後に詳細を 述べるように,水産高校を卒業したインドネシ ア人技能実習生は,優秀な人材とされている。 即戦力として日本に受け入れられているが,こ れまで日本の研修・技能実習期間 3 年間を修了 した後の再来日は制度上認められていなかっ た。そのため,漁船員としてキャリアアップを 果たすには,実習修了後に主に遠洋漁業に適用 される漁船マルシップ(4)に乗船するか漁船員と して他国への移動を繰り返すしかないという課 題が指摘されてきた[三輪・佐々木・堀口 2017:…8]。そして,こうした技能実習生から 漁船マルシップに乗船していくインドネシア人 らの集団は,水産教育,日本,漁業で生きてい くという共通点を持った「船上のディアスポラ」 と捉えられている[佐々木2018]。  以上を踏まえつつ,本稿は,帰還することを 前提としてきた(元)技能実習生とその家族の 状況を通時的な視点をもって把握することから 始め,現段階で明らかになったことを報告する。 技能実習生らが実習期間を延長するのか,ある いは,帰還するのか,「特定技能」に移行する のかという制度の移行期(本稿を執筆時点であ る2020年)に(元)技能実習生の親子のやり取 りを丹念に記述しておくことには意義があろう。  他方,日本とインドネシアの帰還や往還の形 として,2008年から導入された日本―インドネ シア二国間経済連携協定(EPA)看護師・介 護福祉士があげられる。EPAインドネシア人 看護師・介護福祉士は,受入れ開始当時から注 目度が高く,研究の蓄積も多い。受入れから10 年以上が経過した現在,国家試験の合否にかか わらず母国へ帰還する人や合格後に定住を考え るものも現れている。そうした状況を詳細に報 告する研究では,調査対象者の語りの中に親子 関係に関する言及がある[浅井・箕浦2020]。  親子のコミュニケーションにとって重要な手 段は,日本では2010年代になって興隆した情報 通 信 技 術(Information…and…Communication… Technology:ICT)の影響の大きさがあげら れる。親子はICTを利用して頻繁に連絡を取っ ている。また,子供の多くが母国の家族を経済 的に援助することに喜びを感じている。このこ とからも,インドネシア人に共通して親の意思 を尊重する考えが根強いとの指摘がなされてい る[浅井・箕浦2020:393-394]。  これらの研究に対して本研究は,技能実習生 を事例として,彼らと母国の家族の関係性を母 国で暮らす家族への聞き取り調査も含めて明ら かにすることが特徴である。以上を通して,子 供のキャリアアップを志向して,親が主体的に 振る舞う姿を明らかにする。  本稿の構成は以下のように進める。Ⅰでは, インドネシア人と技能実習について述べる。Ⅱ では,調査の概要を示し,Ⅲで,(元)技能実 習生の現状を報告する。Ⅳでは,事例を検討し, Ⅴで親子関係について考察する。

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Ⅰ 技能実習とインドネシア人 1  技能実習から特定技能へ  外国人技能実習制度は,1960年代後半以降か ら実施されてきた研修制度を原型として,1990 年に改正された出入国管理及び難民認定法(入 管法)を受け1993年から開始された。受入れの 目的は先進国の役割としての技術移転や人材育 成と謳われている。その後の2009年入管法改正 では在留資格「技能実習」が設けられ,事実上 単純労働と言われてきた分野に外国人労働者が 正式に導入された[駒井・津崎2018]。  また,2016年に成立した「外国人の技能実習 の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法 律」(技能実習法,2017年11月 1 日施行)では, 技能実習生の保護や二国間における政府取り決 め規定,技能実習制度の拡充(期間をこれまで の 3 年間から 5 年間へ延長),対象職種の拡大 (82職種148作業)が決定された[厚生労働省 2016]。  さらに,2019年 4 月には,在留資格「特定技 能」が新たに設けられ,人手不足が深刻な14分 野で上限を 5 年として外国人労働者の受入れが 可能となった(ここでの在留資格は「特定技能 1 号」となる)。試験に合格すれば,建設業, 造船・船用工業に限って在留期間の更新に制限 のない「特定技能 2 号」へ移行でき,要件を満 たせば家族帯同が可能となった。今後特定技能 2 号の対象職種は拡大するとされている。  以上のように,2016年以降の相次ぐ改正に よって,技能実習から特定技能 1 号へと最長10 年の就労期間が認められ,一部の産業分野では 10年目以降も「特定技能 2 号」による就労が可 能となった。ただし,「特定技能」自体には永 住が許可されていない。法務省による永住許可 に関するガイドラインでは,「原則として引き 続き10年以上本邦に在留していること。ただし この期間のうち就労資格(在留資格「技能実習」 及び「特定技能 1 号」を除く。)又は居住資格 をもって引き続き 5 年以上在留していることを 要する」とされているため[法務省2019],「特 定技能 2 号」による就労資格で 5 年以上在留す る者に永住への道が開かれることになる。 2  外国人労働者にみるインドネシア人技能実 習生  出入国在留管理庁によれば,日本に在留する 外国人は,2019年 6 月時点で約283万人である。 外国人労働者数は約166万人で,そのうち在留 資格「技能実習」は約38万人…(全体の…23.1%) となり,増加率は24.5%と他の在留資格と比較 して最も高い。国籍別では,インドネシアはベ トナム,中国,フィリピンに次ぐ第 4 位(30,783 人)であり,前年比伸び率が23.4%と高い[厚 生労働省2019]。  インドネシア人技能実習生の特徴としては, 漁船漁業分野の就労者が多いことである。イン ドネシア人が漁船漁業分野に特化して受け入れ られている理由は,次の三つの構造的な事情が 関連しているといわれている。  一つは,インドネシア全国に設置された水産 高校の多さと専門教育を受けた豊富な人材,も う一つは,インドネシア国内の失業率の高さ, 最後に,日本とインドネシアを結びつけるマン ニング会社の存在である。こうしてインドネシ アから日本に技術を学びに来る技能実習生は, 稼業が漁業分野の子弟とは限らず,漁業に豊か な 将 来 を 求 め る 傾 向 が あ る[ 佐 々 木2018:… 244]。  一方,日本側の事情は,漁船漁業分野の人口 高齢化および漁業就業者の減少や技術の継承問 題を抱えていることであり,今後もインドネシ アからの労働力受入れが必要不可欠となってい る。技能実習生の受入れには,日本側が斡旋手 数料,来日前後の研修費や研修中の費用などを 負担する必要があるため,安価な労働力を求め たシステムではないとされている[三輪・佐々 木・堀口2017]。

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Ⅱ 調査の概要  筆者は日本の関東・東北地方において,予備 調査として技能実習生の家族構成などの聞き取 り調査を実施した。その中から,既に帰還した 元研修・技能実習生や元技能実習生および2019 年の調査当時に滞日中の技能実習生を選出し, 質的調査を実施した。また,彼らの出身地を訪 問し,家族に対してインドネシア語による聞き 取り調査を実施した。  本稿で使用するデータは,調査対象者の出身 地であり彼らの家族が暮らしているインドネシ ア共和国中部ジャワ州テガル県および西ジャワ 州スバン県において,2019年 8 月から 9 月にか けて約 2 週間の間に実施した調査結果である。 なお,日本において継続中である聞き取り調査 の結果を一部使用する。  主な調査対象者は,元技能実習生 5 名および 技能実習生 2 名と彼らの家族である。全てがイ スラーム教徒であり,調査当時にA氏を除き全 て未婚者である。表 1 では,主な調査対象者の 家族構成を示した。  彼らの最終学歴は,漁船漁業に関する知識を 持つことが前提であるため,全てが国立水産高 校 や 高 等 専 門 学 校(Sekolah Menengah Kejuruan:…SMK)卒業である。主な調査対象 者である元技能実習生のうち, 2 名は日本の九 州地区, 2 名は関東地区, 1 名は東北地区にお いて就労し, 2 名の技能実習生は関東地区で就 労中であった。彼らが技能実習を行っていた・ いるのはカツオ船やイカ釣り漁船,まき網漁船, 底引き網漁船などの近海漁船である。  元技能実習生の帰還後の職業は,2019年の調 査当時にA氏およびC氏が日本へ送り出す技能 実習生のための日本語教師,B氏は自営業,D 氏およびE氏が無職であった。  なお,調査対象者の雇用先の情報は,本稿の 考察を左右することがないため,プライバシー に配慮して詳細な記述は差し控え,本稿で示す 事例の中で必要な情報のみを提示する。 Ⅲ キャリア編成にこめる子供の想い  本章では,技能実習生の現状や帰還後の様子 を記述する。  筆者が実施した聞き取り調査によれば,2009 年以前に日本の漁船漁業分野に受け入れられた インドネシア人研修生では,日本からの仕送り が家族の生活費や兄弟姉妹の学費に充てられ, 表 1  調査対象者の概要および家族構成 滞日 期間 (年生)年齢 家族構成 A 2006-2008 1988 妻(主婦) 子供(幼稚園児) 舅(小売店勤務) 姑(主婦) B 2008-2010 1990 父(自営業) 母(主婦) 弟(日系企業勤務) 妹(高校生) C 2014-2017 1996 父(公務員) 母(主婦) D 2016-2018 1996 母(主婦) 弟(小学生,…中学生) 妹( 1 歳半) E 2016-2018 1996 父(農業) 母(主婦) 兄(企業勤務) 弟(無職) 妹(中学生) F 2017- 1995 祖母 父(建設業) 母(主婦) 兄 3 人(漁船員) 姉 2 人(主婦,…移住労働中) G 2018- 1996 祖母 父(元船舶職人) 母(自営業) 妹 2 人(観光業,…幼稚園児)

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帰還後には家を新築し,最後に自分が使用する バイクなどを購入している。彼らは仕送りする ことを,「親が育ててくれたので,親を援助す るのは当然だ」,「兄・姉が私の学費を払ってく れたので,今度は私が弟・妹の学費を稼ぐ」と いう言葉で語っている。  一方,2016年以降に来日した人では,母国の 家族の生活の向上よりも,将来への期待として より具体的な自身の目標を掲げる人が少なくな い。例えば,目標として多くの人が述べる教育 レベルの向上(mau kuliah)は,日本語能力 を高め日本語教師になるのか,宗教教育を受け 宗教にかかわる社会生活の地位を高めるのか, 経済学を学びビジネスを始めるのか,のように 将来の方向性を決定している場合がある。  同様に,多くの人が述べるビジネスを始めた い(mau bisnis)という目標についても,どの 地域でどれくらいの土地を購入し,どのような ビジネスを始めるのか,のように親への援助よ りも自身への投資を語る技能実習生が存在する。  彼らは滞日 2 ~ 3 年を過ぎた頃から,親への 援助か自身への投資かを探りながら,あるいは, 交渉しながら仕送りをしている。このことは, 来日前後の研修費や来日後の生活費を負担せず に済むことから,他職種の技能実習生と比べて 準備金すなわち「親への借り」が少ないことが あげられる。また,彼らの大きな目標が日本で 得た経験あるいは得た報酬を人生におけるキャ リア編成にどのように活かすのかにあるためだ と筆者は考えている。  先の技能実習生は,「 3 年間の技能実習で得 られる報酬では資金が足りない」として,実習 期間を 2 年延長した。試験に合格し実習期間を 延長できる資格を得る必要はあるが,改正によ り技能実習期間が延長できるようになった意味 は大きい。  漁業分野の子弟である技能実習生の場合は, 帰還して稼業を継ぐか,日本で乗船していた漁 船の技術を活かして,次はまた違う外国船籍に 乗船することを考える。父親がまき網漁船を所 有する技能実習生は,当初は 3 年で帰還する予 定であったが滞日中に制度が変わったため,実 習期間を 3 年から 5 年に延長した。一方,技能 実習生F氏は, 3 年で帰還し次はスペインの漁 船に乗船する計画を具体的に描いている。彼に とって,日本での技術習得は次のステップへの 橋渡し的な位置づけとなっている。  稼業が漁業分野以外の子弟や帰還後に漁船員 として就労する伝手がない人であっても,習得 した漁船漁業の技術をキャリア編成に活かした いと考えている人は,「特定技能」への移行を 選択している。反対に,自身の希望を優先し実 習期間を延長しても両親に再三説得され帰還し た人もいる。また,当初は帰還する予定だった 技能実習生は,技術習得度の高さや日本人と性 格が合うことから日本人船員に非常に信頼され ており,「特定技能」への移行を進められ,悩 んだあげく日本に残留した。さらに,日本の文 化や風習が合わずに帰還した元技能実習生は, 漁船員としてのキャリアを活かして次は韓国船 籍に乗船する準備をしている。こうした選択の 全ては,必ず両親に相談して了承を得られた場 合となる。  元技能実習生D氏は,2018年に帰還し高等教 育機関へ進学する予定であったが父の突然の死 によって生活が一変し,教育への投資は諦めざ るを得なかった。母は 1 歳半になる妹の育児に 追われ,働くわけにはいかず,彼は「特定技能」 へ移行することを決意した。  帰還後に人生計画が思うように進まなかった 場合,要件を満たしていれば,技能実習生 4 年 目として,あるいは特定技能として再来日する 選択肢が残されている(注 6 )。家族の病気や 死は少なからず計画の見直しを迫られる。  D氏のように彼らの中には,滞日中に家族の 病気や死といった予期せぬ事態に見舞われる人 がいる。実習の多くが船上であるため,スマー トフォンなどのICTの利用が限られている。そ のため,技能実習生の中には,船上にいたため 父が亡くなったというメッセージを数日後に陸

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に上がってはじめて読んだという人もいる。こ うした状況は稀ではない(5)  そうであっても,彼らのほとんどが家族の死 を知ると「一時帰国する」と家族に申し出る。 しかし,母国の家族や親族は,「あなたが帰っ てきても故人は生き返らない。こっちは大丈夫 だから,それより今の仕事をしっかりやりなさ い」と子供に伝える。親は, 3 年間の実習期間 を無事に全うして欲しいと考えていた。  稀に,「あなたが子供の時にどれほど世話に なったと思っているの,なぜ帰国できないの」 と親にいわれた技能実習生が存在するが,子供 は結果的に帰国しなかった。その理由は,同僚 に迷惑をかけることおよび個人的な理由で帰国 する場合の旅費は自分で払わなければならな かったためだと筆者は聞いている。なおかつ, 船上に居ればすぐに帰国できないという事情も 影響しているだろう。彼は,帰国しないという ことを説明するために何度も丁寧に母国の家族 と話し合いを重ねた。   彼 ら の 中 に は 家 族 の 死 を S N S ( s o c i a l… networking…service)に投稿するものがいる。 すると,帰国しない決断をしたことに対する多 くの励ましのメッセージが寄せられる。全てに 確認したわけではないが,帰国したいけど実習 期間は帰国しないという意思を共有しているよ うに見える。  そうして,彼らが 3 年間の技能実習を修了し 次のステップへ進む前には,共通して,盛大な 婚約・結婚式をあげるという目標がある。イン ドネシアにおけるブライダル産業の高まりは目 覚ましく,その規模は2019年に56兆ルピア(約 3831億円)といわれ,今後も増加・拡大傾向に ある[JETRO…online]。  交際相手がいてもいなくても,結婚披露宴に どれだけの費用を支出できるかの重要度は高 い。元技能実習生のA氏は結婚披露宴に30万ル ピア(約27万円,2011年結婚),B氏は80万ル ピア(約72万円,2013年結婚),C… 氏は70万ル ピア(約63万円,2018年結婚)を支出している(6) 時期により異なるが,…30万ルピアを支出したA 氏の結婚披露宴は2011年当時では盛大といえる。  インドネシア全体におけるブライダル産業の 高まりという現象も相まって,結婚披露宴の規 模の程度は日本の技能実習生を経験した者とし ての一つのステータスになる。彼らは外国帰り の男性が女性に「モテル」ことを十分に理解し ている。  一方の親は,結婚という先の目標ではなく, 帰還直後の子供を称えるために,地域をあげた 盛大な祝宴を開催することを希望する。親子間 にささいな齟齬が見てとれる。  このように,子供は母国で暮らす両親の意見 を受入れつつ,帰還後のキャリア編成を描いて いる。以下では,具体的な事例を通して親子の やり取りに注目していく。 Ⅳ 子供の想いと親の期待  本章では,滞日時期の異なる 3 名の事例を描 写する。A氏の事例は,生活がある程度向上し たことで親の目標が達成され,一方のB…氏とG 氏の事例は,子供の帰還後を見据えて両親が子 供のキャリア編成に介入する様子である。 1  女は金で寄ってくる  A氏は2006年から2008年まで,研修・技能実 習生として滞日した。A氏によれば,彼らが暮 らす中部ジャワ州にある水産高校が日本へ漁船 員を送り出すルートを持っていた。水産高校を 卒業した人たちが日本へ働きに行く姿に憧れ て,自分も日本へ行くために水産高校への入学 を決意したという。  2006~2008年当時,A氏の家族構成は父,母, 2 人の弟であった(表 1 を参照のこと)。当時, 彼は月におおよそ手取りで 6 ~ 7 万円を得てお り,そのほとんどを母国の両親へ仕送りしてい たという。一方,両親は受け取った金を幼い息 子たちの学費に充て,さらに家を新築した。  A氏は帰還すると 1 年間仕事をしないで遊ん で暮らした。当時独身だったA氏は,手持ちの

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金で女性に服を買い与え,カラオケに連れて 行っては食事をおごり,交際費の全てを支払っ た。「男性は女性に対してそうするものだ,女 は金で寄ってくる」とA氏は当時を振り返る。  そして遂に,母は次の人生計画を持たない息 子の生活態度を叱責した。そのため,A氏は友 人に誘われた日本の漁船マルシップ(遠洋漁業) に 1 年間乗船した。   1 年後に帰還すると,同じ村の女性と結婚し た。そして,結婚後に再び日本の漁船マルシッ プに乗る予定だったが,妻に「行かないで」と 言われたため,友人の飲食店で働くことにした。 漁船マルシップ時代に受け取った報酬は,結婚 費用とその後の出産費用,出産祝いの儀礼と儀 礼に必要なヤギの購入で全て無くなった。A氏 夫妻は,この時点でまだ新居を所有していない。  A氏の事例は,以下でB氏の事例と比較する。 2  親の期待と子供の交渉  B氏は2008年から2010年まで研修・技能実習 生として滞日した。B氏は,A氏が卒業した水 産高校の後輩にあたり,日本における技能実習 先も同じである。当時の月収は,おおよそ手取 りで 7 ~ 8 万円で,そのほとんどを両親へ仕送 りした。A氏と比較して月収がわずかに高いの は,日本の賃金が年々上昇していることが関係 している。  父は小さなタイヤ店を営んでいる。父はB氏 が滞日中に送金してきた金で自分の店舗の並び に住居付きの店舗を購入した。父によれば,そ の物件の購入には,父がもう 1 件店舗を持ちた いという願いと出来れば息子がタイヤ店を営ん で欲しいという 2 つの願いが込められていた。 それを知ったB氏は親の期待に配慮して,ひと まず同意した。  2010年に帰還すると,タイヤ店をやらないか という両親を説得し, 1 年間という期限を設け て高等教育機関で宗教教育を受けた。タイヤ店 を開店したのはその 1 年後の2011年である。  タイヤ店は父の顧客を譲り受ける形で繁盛し た。店が安定したところで,B氏は2013年に同 じ村の女性と結婚した。結婚披露宴の資金は, 父が使わずに貯金していたB… 氏からの仕送り 金が充てられている。さらに,B氏は,店舗の 奥にあるそれまで家族が暮らしていた住居をB 氏夫婦の住居になるよう両親へ交渉した。  この話を聞いたA氏は,A氏とB氏は漁船員 としての同じ過程を経験してきたはずなのに, 「自分はB氏に比べたらまだまだ劣っている」 と述べ,「その差は親の考え方だ」と断言した。 A氏によれば,技能実習生時代に稼いだ金の 8 割は親が使用したという。A氏が「また日本で 働きたい」と嘆く横で,B氏は「また日本へ行 きたいとは思わない」と笑みを浮かべる。 3  親への抵抗  G氏は,中部ジャワ州にある水産高校を卒業 した後2018年から技能実習生として来日してお り,調査当時は日本で実習中である。  父は元船舶職人で現在は仕事を引退してお り,母は非常に繁盛している食料販売店を経営 している。両親は,息子が日本へ行くと直ぐに, 帰国後に仕事に就けるようにと,家から車で30 分ほどの場所に土地を買い工場を建設した。そ のことをG氏は知っている。母は店を担保に工 場の建設費を銀行から借りた。その返済には息 子から届く毎月の仕送り(約 8 万円前後)が充 てられた。  ところが,母によると,息子が日本へ行って 2 年目になると,仕送り額が徐々に減っていき, その半年後には全く仕送りが届かなくなった。 両親はSNSを利用して息子に連絡を取ったが一 向に返事がなかった。その後も 1 年以上仕送り は届かず,銀行への返済は母の店の売り上げか ら支払うことになった。  一方のG氏は,月の報酬の一部を貯金し,ほ とんどは交際相手の口座へ送金していた。後に そのことに気づいた両親は憤慨し,父は「親子 の縁を切る」といい,母は「交際相手が悪い」 と一方的に決めつけた。その傍らでG氏の妹は,

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憤慨した母を見て笑っている。  この話を聞いた元技能実習生のC氏は,「親 も子もどちらも悪い。だけど,一番悪いのはG だ。親の恩を忘れている。親も悪い。子供が働 いたお金は子供が自由に使えるようにするべき だ」と述べた。  そう語るC氏は,日本へ行く前に父親から「自 分の人生だから外国に行ってもいい。国内で働 いてもいい,何をしてもいい」といわれており, 3 年間に稼いだ金は全て自分が使え,その後の 生き方にも親が口を挟むことはなかったとい う。C氏のように,全て自由になる事例は稀で ある。  後に,G氏は帰還して船舶業につくと話してい た。G氏の行動は,親への抵抗だったのだろうか。 Ⅴ 考察  以上のように,技能実習生・漁船員の現状を 示すと共に, 3 年で帰還することを前提とした (元)技能実習生の親子のあり方を見てきた。 本稿では,子供の将来のためとして,主体的に 振る舞う親の姿が明らかになった。以下では, (元)技能実習生の現状と親子の関係性につい て若干の考察をおこないたい。  まず,技能実習生の現状を見ていくと,日本 の技能実習生をステップに教育レベルを向上し たい,および,ビジネスで儲けたいと考えてい る人がいる。すなわち,資金獲得により重きを 置いており,漁船漁業分野で生きていくと決め ていたわけではないが制度が変わったのでもう 少し日本にいようと考える人たちである。これ らの人は,日本に残留することで自身への投資 がより現実的になっている。  また,先行研究でも指摘されている通り,は じめから漁船漁業分野で生きていくと決めてい るが日本とは限らない人がいる。これらの人に とって,日本の「特定技能」は一つの選択肢と なった。  彼らが初めの 3 年間をどのようにキャリア編 成の中に位置付けていくのかは様々であるが, そこには親の大きな期待があり,彼らは親の期 待を尊重しながら,次のステップを探っている。 「親が育ててくれたから」という語りからも理 解できるように,子供が未婚の間は親の意見に 従うことが当然のこととみなされている。そこ で多くの人が結婚によって親の世帯から独立す るということをキャリア編成の中に組み入れて いる。  次に,A氏の事例では,家族の生活や兄弟姉 妹の学費を援助し,子供は自身への投資を親へ 交渉することなかった。親は次のステップへの 計画性を持たない子供を叱責はするが,具体的 な将来への期待は提示していない。後にA氏は 結婚し自分の世帯を持ったことで,「親への恩 返し」は終わったと考えている。  B氏やG氏の事例では,それまで親が手掛け てきた事業を拡大したいという親の想いが息子 の将来と混同されていた。そのため,B氏は親 と交渉することで教育レベルの向上を実現した のち,親の準備したビジネスを始めていた。も う日本へは行きたいとは思わない,という語り からは,教育レベルの向上はわずか 1 年であっ たが,結果的に親の意向に従ったことが生活の 向上につながったためであろう。  一方のG氏は,親が子供の将来の道筋を作り, そうした親に子供は親と交渉しない方法で抵抗 した。B氏とG氏では,日本で技能実習を経験 したことを契機に築かれた親子関係は真逆に見 える。親が大きな期待を一方的に子供に強いる こと,および,子供が親のそうした期待を考慮 せず自身への投資を優先することで些細な齟齬 が生じている。親子の間で気遣いや配慮が必要 だということであろうか。  ここで男子成人子と親の関係性として見てみ ると,インドネシアにおいて親が事業を拡大す ることによって子供を後継者にする傾向がある か否かはB氏の事例だけでは判断できないた め,さらに調査を実施する必要がある。一方, 漁業分野出身の子弟が漁業を担うことを親に期 待されることは十分あるだろう。

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 インドネシアの漁村における親子関係に関す る研究では,親子の対人コミュニケーションが 非常に重要だとされている。なぜなら,伝統的 な漁業の価値観が親から子へ代々受け継がれる ことで漁村文化が維持されているためである。 したがって,漁村という特定の文化で構築され る親子関係は,相互依存的であるという。親は 子供に様々な技法を伝える一方,時には親の権 限において経済的に子供を支配する場合がある [Triwardhani…and…Chaerowati…2019]。  そうであれば,G氏の親子関係は,伝統的な 船舶技術の継承という価値観の上に成り立って いると考えられ,男子成人子と親の関係性が子 供の将来だけを見据えたものではない特殊な関 係であることがわかる。G氏の妹が親の憤慨す る様子を見て笑っていたのは,G氏が抵抗しよ うと親子関係がそう簡単には切れない文化的背 景を知っているからであろう。 おわりに  2020年,世界は新型コロナウィルス感染症拡 大という未曽有の事態に見舞われ,本稿を執筆 時点で収束の見通しがついていない。2020年 4 月以降に来日する予定だった技能実習生の受入 れは止まっており,また,帰国できなくなった 技能実習生は 2 万 4 千人とされている(7)  このパンデミッックは,日本の産業構造に多 大な影響を与えるのみならず,国際的な労働力 の移動にも大きな影響を与えるだろう。そして, 彼らの家族に関わるライフスタイルも変容する 可能性がある。  このような状況ではあるが,最後に,技能実 習生とその家族を国際労働移動とケア研究のな かで議論することの可能性について言及してお きたい。  冒頭で述べたように,漁船漁業に将来を託す インドネシア人は,「船上のディアスポラ」と の指摘がある。これまでの国際労働移動研究で は,インドネシア人漁船員に関する日本の受入 れ制度や技術的な側面に目が向けられがちで あった。今後は技能実習から「特定技能」へ移 行する人びとに注目した日本の「船上のディア スポラ」に対して多角的視点をもって報告して いくことが課題である。ケア研究の視点から述 べれば,彼らが日本の「船上のディアスポラ」 になっていく過程を母国の家族との関わりを含 めて分析することである。  また,現状では,日本の技能実習生は帰還を 前提とした実習であるため,技能実習生とその 家族をトランスナショナル・ファミリーとは呼 べないが,今後は就労が目的である「特定活動」 へ移行する人々の動向に注目していきたい。親 子の現在だけを見るのではなく,長期的な視点 に立って分析していくことが必要である。成人 子と親の関係性に注目する意味は,親子の良好 な関係が,いずれ育児や介護といったケアの関 係性につながると考えられているためである。 これらについては,別稿で続報を報告したい。 <注> ⑴ 本稿は,文部科学省科学研究費補助金基盤研 究(C)2019-2021年度「日本とインドネシアに おけるケアの循環―移民家族のウェルビーイン グの実証的研究」(研究代表者:合地幸子)の研 究成果の一部である。 ⑵ 技能実習生が「特定技能」へ移行するには同 じ業種でなければならない。 ⑶ 2010年 7 月に在留資格「技能実習」が設けら れる以前は,外国人研修制度に基づき 3 年間の 研修・技能実習が行われていた。 ⑷ マルシップとは,「日本人が所有する日本船籍 を,外国人に裸用船で出し,これを受けた外国 の用船主が配乗権をもって,外国人船員を配乗 している船舶」である[木畑1978:218]。漁船 漁業分野の技能実習生で漁船マルシップへの転 船するのは 3 ~ 4 割ほどだといわれていたが, 特定技能の新設でマルシップ漁船への転船がど う変わるかが課題とされていた[佐々木2018:… 246-254]。特定技能が始まればマルシップ制度 は必要なくなるという漁船漁業分野に従事する

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日本人船員の声もある(筆者の聞き取り調査に 基づく)。 ⑸ 船内無線LAN(Wi-Fi)を整備している漁船も あるが,全てではない。そのため,母国との連 絡状況はスマートフォンなど通信機器の所有状 況よりも,ICTが利用できる環境(陸上)にい るかどうかが影響する。こうした理由から,本 稿ではICTの利用状況の分析は割愛する。 ⑹ 貨幣単位インドネシア・ルピア(Rupiah)と 日本円の換算には年によって変動があるため, 目安としてここでは全て 1 円=0.009ルピアで換 算した金額を示す。 ⑺ 本稿を執筆時点の2020年 8 月25日に,出入国 管理庁は,技能実習修了後に異業種への転向を 認めると発表した。これは,新型コロナウィル ス感染症の影響を受けて母国へ帰国できなく なった技能実習生が対象とされる特例処置であ る。(日本経済新聞オンライン2020年 8 月25日付 記事「出入国在留管理庁,技能実習生,修了後 も異業種への転職可能に 政府」   h t t p s : / / w w w . n i k k e i . c o m / a r t i c l e / DGXMZO63007660V20C20A8EAF000/ <参考文献> 明石純一 2020 『人の国際移動は管理されうるのか―移民を めぐる秩序形成とガバナンス構築』ミネルヴァ 書房. 浅井亜紀子・箕浦康子 2020 『EPAインドネシア人看護師・介護福祉士の 日本体験―帰国者と滞在継続者の10年の追跡調 査から―』明石書店. Baldassar,Loretta.,Merla…Laura…(eds)

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The Relationship Between Children and Parents in

International Labor Migration:

Focus on Indonesian Technical Intern Trainees and Their Families

GOCHI Sachiko

Japan accepts many foreign technical intern trainees because of its labor shortage. In 2020, the country established a new residency status,“Specified Skilled Worker”, which can be transferred from technical interns and is aimed at working, and began accepting foreign workers. This change will increase the number of foreign workers. Given this background, in this paper, I examine the relationship between parents and children through interviews with Indonesian technical interns and their families. In particular, I focus on the relationship between male adult children and their parents, taking the case of fishing sector technical intern trainees as an example. In this case, parents behaved independently to realize their hopes for their children's future. Parents unilaterally place strong expectations on their children, who resist without considering these expectations. This creates a trivial discrepancy. The above, indicates that the relationship between adult males and their parents is influenced by the interdependent relationship between the parents and children in the fishing sector, which has a cultural background of technological succession.

参照

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