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熱帰還形低ドリフト直流増幅器のゆらぎ 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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論 文

熱帰還形低ドリフト直流増幅器のゆらぎ

橋口住久

飯野聖一

(昭和57年8月31日受理)

Fluctuation in dc Amplifiers Stabilized with Thermal Feedback

SumihisaHASHIGUCHI ShoichiIINO       Abstract  Noise in dc amplifiers with the dua1−amplifier thermal feedback system is calculatさd.  It is shown that the proper selection of the values of parameters in the thermal feedback loop makes the degradation of the noise performance small enough.

はじめに

 直流増幅器のドリフトを改善するために,同一の構 成の初段差動増幅段をもつ二つの増幅器を熱的に結合 して,一方を信号の増幅に用い,他方を熱帰還用とし て,初段の温度の安定化をはかる新しい方式を提案し た1・2)。電気的な帰還では二つの増幅器のドリフトの 代数和が得られるのに対し,熱帰還では,温度の安定 化の効果で.ドリフトが減少する。  この方式では,熱帰還系のゆらぎが熱流を介して信 号系に伝達され,信号系のゆらぎを増加させる。  ここでは,信号のゆらぎの増加をおさえて,ドリフ トの改善を得るための条件を検討する。 解 析  図一1の熱帰還システムにおいて,周囲温度が,dTα だけ変化すると,熱帰還ループの効果で初段差動増幅 段の温度変化はATは,

  dT−、芸、)+誓1}句

  G(s)=αゾ・4ゾH(∫)K(s) となり,信号系の出力のゆらぎ分e。fは,   烏・一芸・21・Kと)・i−1−il2Sse−g)dTa

    +罎・、竺蒜砺・+』

となる。 (1) (2) (3)  熱帰還がないときの信号系出力のゆらぎ分e。は,   eo=αs/1sH(s)]Ta十AsenS      (4) であるから,AT。の影響は ?7T−

A:,lii(、)    (・)

倍になり,温度によらない無相関ゆらぎの増加の割合 は, ∠Ta thermal feedback loOP eof       e、ns      signaI       amplifier        図一1熱帰還システム Fig.1 Thermal Feedback System for drift reduc・     tion dTα:Variation in the ambient temperature ∠7’:Variation of the temperature of the first  Stage tranSistors H(s):Therrnal time constant of the丘rst stage α,,αs:∂VBE/∂T, temperatue coe伍cient of the  first stage enf, ens:equivalent input noise of the amplifiers Af, As:Amplifier gain K(s):Voltage・temperature Transfer coef五cient Su缶xesアand s denote feedback loop and signal path respectively.

一72一

(2)

熱帰還形低ドリフト直流増幅器のゆらぎ   ・+炉1+芸・、9i(lill}s),)・昔  (・) となる。したがって,ドリフトを抑え,ゆらぎの増加 を小さくするには,1/{1−G(s)},G(s)/{1−G(s)}, αs/αf,1/Af、K(s)が小さいことカミ望ましい。  e。f/en、については,信号系本来のゆらぎが少ない 方が望ましいので,e。f≧en、とするのがよい。すな わち,二つの増幅器のうち,低雑音の方を信号増幅に 用いる。  さて,帰還系のパラメータのうち,α∫,Afは,周 波数に依らない定数としてよい。一方,H(s), K(s) は,それぞれ,        H   H(s)=       (一次おくれ要素)       1十τs   K(s)=Ke’Ts(むだ時間要素) であるとする。  ω→0において,ηr<1であるためには,

  G=α∫・4fHκ<o       (7)

でなけれぽならない。  1ηrl,1η∋の目標値(許容値)を,それぞれ,ηT。, OPN。とかけば,式(5),(6)から, Gは, ドリフトが主要 な低い周波数領域において, ・一・G−9°sω

ヌご’nωτ+ぴ{竿裟諺≧☆

      (8) を満足しなけれぽならない。また,所望の全周波数帯 域にわたって,       G2 1+ω2τ2−2G(c・sωT一ωτsinωτ)+G・c。s・ωτ    ≦ηN。m2 ・一㎡(ensenf)2(‘i)2 を満足しなけれぽならない。  式(9)から,所望の全周波数範囲で,Gは,   一η」v。m2(COSωT一ωτsinωT−∼/blG       1一ηN。m2cos 2ωτ    ≦G<0   1)2v=η」v。m4(COS toT一ωτsinωT)2    + rl ・・。m2(1+ω2τ2)(1一η万。m2c・s2ωT) でなけれぽならない。 (9) ⑩a ⑳b  この式から,ηN。mをあまり小さく抑えようとする と,Gの値のとれる範囲が0付近の狭い範囲に制限さ れ,ドリフトの改善効果が小さくなることがわかる。  実用的には,ゆらぎの増加を3dB程度まで許すこ とができるので,OPN。m=1としてよく,こうすれば, Gの値のとれる範囲はかなり広くなる。  式(8)の左辺は,     COSωτ一ωτsinωτ   Gp・=

       。。、・ωT     (iO

において最小値をとる。したがって,Gp>0となるよ うな周波数範囲では,式(8)の左辺は,

G−一副C

Y蒜;:τ)−VlltellLNN. (12) において最大値   {ηiV。.2(COS toT一ωτsinω7「)十N/DTN}2    ηN。m2(1一ηN。.2 cos toT)(1+ω2τ2)       F

   ≡1+ω・τ・       ⑬

となる。  信号系の出力のうち,dT。に起因する成分は式(3)か らFに反比例するので,Fが大きくなるようにすれぽ よい。  式ai)が正である周波数範囲を広くするには,τとT がともに小さいことカミ望ましい。  τは,初段差動増幅素子の熱時定数である。熱容量 を調整することである範囲の値を選ぶことができる。 試作した増幅器ではτ=10秒程度が得られている。  Tは,熱帰還素子へ初段差動増幅素子の間の熱伝達 に要する時間である。発熱素子と差動増幅素子の間隔 を小さくすることで短縮できる。差動増幅素子と発熱 素子がワソチップの構成にできれば理想的である。実 験的には,トランジスタのパッケージを削って金属部 分(コレクタ電極)を露出させた二つのトランジスタを 貼り合わせることで,T=0.1秒程度を実現している。 ま と め  熱帰還によってドリフトを改善し,ゆらぎの増加を 抑えるためには,次のようにパラメータを選べばよ いo  1.  2.  3. る。  4. 初段の温度係数は帰還系の方を大きくする。 熱伝達むだ時間は,できるだけ小さくする。 帰還ループの利得AfKはできるだけ大きくす 所望のドリフト改善量,許容ゆらぎ増加率を設 定し,式(8),(9)を満足するようにパラメータの値を定 める。

参考文献

1) 橋口・飯野・大塚・岩井:熱帰還による直流増幅器の   ドリフトの改善;信学技報MBE 81−24(1981.7) 2)橋口・飯野・大塚・岩井:熱帰還方式による温度ドリ   フトの改善,信学論C,J65,C(5),582−3(1982.5)

一73一

参照

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