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導水管へのカワヒバリガイの付着防止技術に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

導水管へのカワヒバリガイの付着防止技術に関する研究( 内

容の要旨(Summary) )

Author(s)

長屋, 圭治

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 甲第132号

Issue Date

2001-03-24

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1853

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名 (本籍) 学 位 の 種 類 学位 記 号番 号 学位授与年月 日 専 攻 学位論 文題 目 長 屋 圭 治(岐阜県) 博 士(工学) 甲 第 132 号 平成13 年 3 月 24 日 生産開発システム工学専攻 導水管へのカワヒバリガイの付着防止技術に関する研究

(ControIEfficacy of Limnoperna fortuneiSettlement on

Conduit) 学位論文審査委員 (主査) 教 授 湯 浅 晶 (副査) 教 授 松 井 佳 彦 教 授 本 城 勇 介 助教授 井 上 隆 信

論文内容の要旨

外来種である付着性二枚貝カワヒバリガイ¢f椚乃呼er朋β血∽叫の日本への侵入が1990年代 の初めに確認された.カワヒバリガイは淡水域に生息するため,農業用水や工業用水に加えて水 道施設に進入し固着するなどの被害を引き起こしている.このカワヒバリガイは中国を原産として おり,香港,韓国でも同様な被害が報告されている.日本における浄水施設の被害としては取水 管内壁への大量付着,除塵機から貝殻の多量搬出,取水ポンプ用冷却機内細管の目詰まり,導 水管内壁への大量付着が報告されている.浄水場内においては生貝の付着は確認されていな いものの,貝殻による検水配管の目詰まり,汚泥濃縮層汚泥流入部に貝殻が堆積することによる 汚泥流入の支障などが報告されている. アメリカやヨーロッパでは付着性二枚貝としてカワホトトギスガイp血血糊叩殉珊叩血)による被 害が多数報告されており,水中を漂う幼生に対して塩素処理を行い死滅させる方法や,防汚塗 料の塗布によって付着を抑制する方法をはじめとして多くの防汚法が検討されている.さらに,付 着忌避性や付着力と基質の表面物性の関係を明らかにするといった付着メカニズムの解明に関 する研究報告も多い.しかし,カワヒバリガイの付着防汚法に関する研究報告は十分でないため, 本研究をカワヒバリガイの付着防汚技術開発の基礎研究として位置付けた.第一にカワヒバリガイ の被害状況を把握することを目的とし,付着を防ぐ方法と付着後に除去する方法の二つの視点か ら付着防汚法について検討した. 阪神水道企業団の導水管内壁に付着するカワヒバリガイの付着密度を調査した.導水管内に 全65箇所の調査地点を定め(調査距離:約35m),内壁にコドラートをあててその中に付着して いるカワヒバリガイを全て脱離し,実験室に持ちかえって計数した.その結果次のことを明らかにし た. ・阪神水道企業団の3期導水路の調査区間においては,管路直線部よりも屈曲部の付着密度 が高い. ・管壁面付近の流速が1m/s以上の場所ではカワヒバリガイの付着密度が低い.

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-15-カワヒバリガイの付着忌避性の評価試験としてフィールドでの付着実験を行うとともに,簡易な 付着忌避性の評価法として室内実験を行った.簡易な付着忌避性評価法の有効性について検 討するとともに,付着忌避性と試験片の表面物性との関係を考察し,次のことを明らかにした. ・シリコーン樹脂系塗料と銅・銀含有樹脂塗料の中にはフィールドにおいてカワヒバリガイに対 する高い付着防汚効果を示すものが存在する. ・付着忌避性の簡易評価試験として静置法と仮止め法を提案した.フィールドで高い付着防汚 性を発揮するためには少なくとも静置法において高い付着忌避性を有する必要があり,スクリ ーニング試験として静置法を用いることが有効である. ・試験片の表面自由エネルギーの水素結合力成分値を低下させることがカワヒバリガイに対す る付着防汚性を高めるための必要条件であると考えられる.表面自由エネルギーの水素結 合力成分値が低いシリコーン樹脂系塗料は,表面粗さを低下させることによって防汚効果を 発揮する. 引張試験機を用いて,試験片に付着した成貝を脱離させて除去性を評価した.除去性と分泌 した足糸数の関係を考察するとともに,試験片の表面物性として表面自由エネルギーと表面粗さ に着目し,除去性との関係を考察した.その結果次のことを明らかにした. ・シリコーン樹脂系塗料の脱離力は0.1N未満であり,相対的に除去性が高い. ・分泌した各足糸が脱離する際に,試験片と接着円盤の界面で剥離する場合と,足糸の繊維 部が切断する場合があることを確認した.また,分泌した足糸数が少ないほど,かつ剥離割 合が大きいほど脱離力や脱離エネルギーは低下する. ・試験片の表面自由エネルギーの水素結合力成分値を低下させることがカワヒバリガイに対 する除去性を高めるための必要条件であると考えられる. 付着したカワヒバリガイを水流によって脱離させるために必要な流速とカワヒバリガイに作用する 抗力を直接的に測定した.さらに抗力の大きさと流速や付着足糸数や殻の大きさなどの関係を考 察し,次のことを明らかにした. ・シリコーン樹脂系塗料に付着したカワヒバリガイは0.5m/s程度の比較的小さいノズル平均流 速で脱離させることが可能で,相対的に脱離性の優れた塗料であることを確認した.各試験 片の脱離に必要な抗力は引張試験での測定した脱離力よりも小さく,平均で1/5程度の大き さであった. ・脱離時に足糸繊維部が切断する場合に限って,カワヒバリガイの殻長と分泌している足糸数 から,その成貝を脱離するために必要な流速を推定した.

論文審査結果の要旨

外来種である付着性二枚貝カワヒバリガイ¢血′‡甲er〝αβr加ef)が我が国の淡水域に進入 して増殖し,農業用水や水道施設に進入して取水管や導水管内壁への大量付着を生じ,除 塵機から貝殻の多量搬出,貝殻による取水ポンプ用冷却機内細管や検水配管の目詰まり, 汚泥濃縮層汚泥流入部に貝殻が堆積することによる汚泥流入の支障などが報告されている■ アメリカやヨーロッパでは付着性二枚貝としてカワホトトギスガイpref∫∫e′‡αク0か∽叩加) による被害が多数報告されており,水中を漂う幼生に対して塩素処理を行い死滅させる万

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法や,防汚塗料の塗布によって付着を抑制する方法をはじめとして多くの防汚法が検討さ れている.さらに,付着忌避性や付着力と基質の表面物性の関係を明らかにするといった 付着メカニズムの解明に関する研究報告も多い.しかし,カワヒバリガイの付着防汚法に 関する研究報告は十分でないため,本研究では,カワヒバリガイの付着防汚技術開発の基 礎研究として位置付け,カワヒバリガイの被害状況の把握,付着防止方法と付着後の除去 方法の視点から付着防汚法について検討している. 阪神水道企業団の導水管内壁に付着するカワヒバリガイの付着密度を調査した結果,次の ことを明らかにした. ・阪神水道企業団の3期導水路の調査区間においては,管路直線部よりも屈曲部の 付着密度が高い. ・管壁面付近の流速が1m/s以上の場所ではカワヒバリガイの付着密度が低い. カワヒバリガイの付着忌避性の評価試験としてフィールドでの付着実験と簡易な付着忌 避室内実験を行い,付着忌避性と試験片の表面物性との関係について次のことを明らかに した. ・管壁面・シリコーン樹脂系塗料と銅・銀含有樹脂塗料の中にはフィールドにおいて カワヒバリガイに対する高い付着防汚効果を示すものが存在する. ・付着忌避性の簡易評価試験として静置法と仮止め法を提案した.フィールドで高い 付着防汚性を発揮するためには少なくとも静置法において高い付着忌避性を有する 必要があり,スクリーニング試験として静置法を用いることが有効である. ・試験片の表面自由エネルギーの水素結合力成分値を低下させることがカワヒバリガ イに対する付着防汚性を高めるための必要条件であると考えられる.表面自由エネ ルギーの水素結合力成分値が低いシリコーン樹脂系塗料は,表面粗さを低下させる ことによって防汚効果を発揮する. 引張試験機を用いて,試験片に付着した成貝を脱離させて除去性を評価し,除去性と分泌 した足糸数の関係,および,試験片の表面物性と除去性との関係について次のことを明ら かにした. ・シリコーン樹脂系塗料の脱離力は0.1N未満であり,相対的に除去性が高い. ・分泌した各足糸が脱離する際に,試験片と接着円盤の界面で剥離する場合と,足糸の 繊維部が切断する場合がある.また,分泌した足糸数が少ないほど,かつ剥離割合が 大きいほど脱離力や脱離エネルギーは低下する. ・試験片の表面自由エネルギーの水素結合力成分値を低下させることがカワヒバリガイ に対する除去性を高めるための必要条件である. 付着したカワヒバリガイを水流によって脱離させるために必要な流速とカワヒバリガイ に作用する抗力を直接的に測定した結果,抗力の大きさと流速や付着足糸数や殻の大きさ などの関係について次のことを明らかにした. ・シリコーン樹脂系塗料は脱離性の優れた塗料であり,付着したカワヒバリガイは0.5 m/s程度の比較的小さいノズル平均流速で脱離させることが可能である. 以上のように,本論文は導水管等の材料基板に対するカワヒバリガイの付着特性を明 らかし,防汚技術の向上に資する新しい知見を明らかにしており,博士(工学)の学位 論文として合格と判定する.

(5)

-17-最終試験結果の要旨

学位論文提出者は博士後期課程在学中の3年間に勉学・研究活動に精勤し,所定の講 義の単位を修得するとともに,阪神水道企業団水質試験所において1ケ月間の学外研修 を行った.その結果,論文提出者は学位を授与するに十分な専門的知識を有するに至り, 学位申請論文の研究内容はすでに3編の審査付き論文として学術誌・論文集に公表され ている.これらのことを確認して,学位の認定に伴う最終試験を合格と判定した.

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