Title
Protamine-containing insulin but not analog insulin and duration
of insulin use are risk factors for the production of insulin
autoantibodies in insulin-treated patients with diabetes mellitus(
内容と審査の要旨(Summary) )
Author(s)
西村, 英尚
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学) 甲第960号
Issue Date
2014-12-17
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/50893
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与要件 学位論文題目 審 査 委 員 西 村 英 尚(岐阜県) 博 士(医学) 甲第 960 号 平成 26 年 12 月 17 日 学位規則第4条第1項該当
Protamine-containing insulin but not analog insulin and duration of insulin use are risk factors for the production of insulin autoantibodies in insulin-treated patients with diabetes mellitus (主査)教授 犬 塚 貴 (副査)教授 中 島 茂 教授 山 本 哲 也 論 文 内 容 の 要 旨 インスリン治療は重要な糖尿病治療法のひとつであるが,インスリン抗体の出現は血糖管理に おいて深刻な問題となる場合がある。以前は,動物由来の抽出インスリンの使用が抗体産生の主 因であったが,近年は,遺伝子工学により作成されたヒトインスリン製剤の登場によりその頻度 は減少した。しかしながら,インスリン抗体の出現は未だに経験されるので,インスリンの構造 以外の成因による抗体産生の機序も考えられる。 本研究では,インスリン治療中の糖尿病患者を対象として,インスリン抗体陽性化の新たなリ スク因子の抽出を試みた。 【対象と方法】 2009 年 4 月から 2011 年 12 月までの期間に岐阜大学病院に通院したインスリン治療中の糖尿 病患者のうちで,インスリン抗体を測定した 147 症例(男性 69 名,女性 78 名,平均年齢 56.9 ±15.7 歳)を対象としてカルテ調査を行った。年齢,性別,糖尿病の病型,罹病期間,インス リン使用期間,HbA1c,血清クレアチニン,使用したインスリン製剤の種類(超速効型,速効型, 中間型,持効型,混合型),アナログ製剤の使用について調査した。インスリン抗体の測定は, インスリン抗体キット・ヤマサ®を使用し,施設基準値である結合率が 0.4%以上を陽性と診断し た。解析は,従属変数をインスリン抗体の有無,独立変数を上記項目とし,多重ロジスティック 回帰により検討を行なった。同時に,年齢,性別,糖尿病の病型による影響を調整したオッズ比 を計算した。 【結果】 まず,インスリン抗体と患者背景との関連について解析を行った。インスリン抗体の有無と, 年齢,性別,病型,HbA1c,血清クレアチニン,罹病期間については,いずれも有意の関連は認 められなかったが,インスリン使用期間は有意に関連した(オッズ比 1.07,95% CI [1.01-1.14], p<0.05)。次いで,インスリン抗体と使用インスリンの種類(超速効型,速効型,中間型,持効 [ ]
型,混合型)についての関連を検討した結果,超速効型,速効型,持効型インスリンとはいずれ も有意の関連を認めなかった。しかし,中間型インスリン(オッズ比 2.21,95% CI [1.03-4.73], p<0.05),混合型インスリン(オッズ比 2.35,95% CI [1.01-5.49],p<0.05)において,インス リン抗体の出現と有意の関連が認められた。更に,これらの製剤内容を検討すると,プロタミン 含有混合製剤(中間型+速効(超速効)型インスリン)について有意の関連が認められた(オッ ズ比 4.27,95% CI [1.90-9.58],p<0.05)。したがって,プロタミンがインスリン抗体産生に寄 与している可能性が示唆された。 次いで,遺伝子改変製剤の種類とプロタミンの有無との関連について検討した。その結果,ヒ ト製剤自体では,インスリン抗体と速効型について有意の関連は認められなかったが,プロタミ ン含有の中間型インスリンについては有意の関連が認められた(オッズ比 2.89,95% CI [1.34-6.24],p<0.05)。一方,アナログ製剤であるインスリンアスパルトに関しては,超速効型 では関連は見られなかったが,混合型で有意の関連が認められた(オッズ比 4.04,95% CI [1.29-12.70],p<0.05)。その他のアナログ製剤(リスプロ,グラルギン,デテミル,グルリジ ン)では有意の関連を認めなかった。以上から,インスリンの一次構造自体ではなく,プロタミ ンが抗体産生のリスク因子であることが明らかになった。 【考察】 本研究は,インスリン使用期間およびプロタミン含有インスリンの使用がインスリン抗体産生 のリスク因子であることを明らかにした。一方,アナログ製剤とインスリン抗体の間には関連が ないことが明らかとなった。プロタミンがインスリン抗体産生を促進する可能性として,①プロ タミンがインスリンの立体構造を変化させること,②サケ科由来のプロタミンが使用されている 点(免疫源としての可能性),③プロタミン含有量に従ってリスクが高くなること(用量依存性), が考えられた。 【結論】 インスリン使用期間とプロタミン含有製剤の使用はインスリン抗体産生におけるリスク因子 である。したがって,長期のインスリン使用では,抗体産生を防ぐ観点から,プロタミンを含ま ないインスリン製剤の選択を考慮するべきである。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 申請者 西村英尚は,インスリン治療におけるインスリン抗体陽性化のリスク因子を見出した。 プロタミン含有製剤を控えることにより,長期治療患者において抗体陽性や関連する治療困難の 出現を予防できると期待される。本研究の成果は,糖尿病代謝学の発展に少なからず寄与するも のと認める。 [主論文公表誌]
Hidenao Nishimura, Katsumi Iizuka , Jun Takeda : Protamine-containing insulin but not analog insulin and duration of insulin use are risk factors for the production of insulin autoantibodies in insulin-treated patients with diabetes mellitus