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東北地方太平洋沖地震の発生過程The Process by Which the Tohoku Earthquake Generated

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A17

東北地方太平洋沖地震の発生過程

Generating process of the 2011 Tohoku earthquake

○飯尾能久・松澤 暢

Yoshihisa IIO, Toru MATSUZAWA

The generation process of the Tohoku earthquake is investigated by intensively reviewing various results obtained so far, in order to clarify the reason why the M9 earthquake occurred. First, the state in and around the plate boundary fault off Tohoku before the earthquake is investigated, mainly focusing on the spatio-temporal distribution of aseismic slip on the plate boundary fault. Second, preseismic, coseismic, and postseismic slip distributions are investigated. Finally, several models for the M9 earthquake generation process proposed so far are reviewed mainly based on the slip distributions. As a conclusion, it is pointed out that the main reason why the M9 event occurred is probably that the plate boundary fault near the trench axis had been locked in a long period and/or that dynamic weakening occurred on the fault in the region between the hypocenter and the trench axis. 1. はじめに 東北地方太平洋沖地震の発生過程を明らかにす るために,既に公表されている色々な解析結果を レビューした.主な目的は,M9 の地震が発生した 理由を明らかにすることである.最初に,東北地 方太平洋沖のプレート境界断層とその周辺におけ る地震発生場の特徴を,主に非地震性すべりの時 空間的な変化に着目して調べた.次に,東北地方 太平洋沖地震の地震前,地震時,地震後のすべり 分布を調べた.これらの知見に基づき,これまで 提案された東北地方太平洋沖地震の発生過程に関 するモデルを検証した.その結果,M9 の地震を引 き起こした鍵は,海溝近傍においてプレート境界 断層が長期間にわたって固着していたことか,あ るいは,震源から海溝軸にかけての領域において 地震時に動的弱化が起こったことである可能性が 高いことが推定された. 2.海溝近傍の固着 東北地方太平洋沖の海溝近傍においては,反射 法地震探査等により,上盤側の地層が著しく変形 していること,および,海溝軸から約 50km の間は 微小地震活動が非常に低いことが報告されていた (Tsuru et al., 2000).これらの観測事実は,海 溝近傍では,沈み込んで間もないためにプレート 境界の断層が十分に固着しておらず,ひずみエネ ルギーが蓄えられていないことを示唆していると 考えられていた.しかし,最近になって,海底地 殻変動観測により,すべり欠損レートが 100%に近 い可能性があることが分かってきた(例えば,飯 尾・他, 2011).海溝近傍では地震活動は非常に不 活発であるが,それは,ずるずるすべっているた めではなく,逆に完全に固着していたためである 可能性が出てきた.もしそうならば,そこで,地 震あるいはゆっくり地震が起こることは避けられ ないことである. 3.動的弱化 最近,断層運動における動的弱化,特に Thermal pressurization(TP)という,断層の法線応力を大 きく下げる仕組みが注目されている(例えば, Mitsui and Hirahara, 2009).これが発動すると 摩擦力が著しく小さくなるため,大きなすべりが 発生する可能性がある.TP で重要なことは,普段 ずるずるすべっている場合でも,隣接領域で大き な地震すべりが起こった場合には,TP が発生して 地震すべりを起こす可能性があることである.極 端な場合,すべり欠損レートがゼロでも,地震す べりを起こす可能性も考えられる.その場合でも, 地震前にひずみエネルギーを蓄えている必要はあ る.

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