学校ver.3.0 を目指した専門高校における学科間連携の可能性 人間教育月数 現代教育課題総合コース 渡部 洋平 1 .問題の所在 地域や企業との協働による商品開発等に関す る研究は数多くあり,生徒や地域にもたらす効 果等を報告した事例は存在するが,学校ver.3D が求める人材育成を可能にする,学科間連携の 有効性を示した学術的研究は不十分である。 2 .研究の目的と方法 (1)研究の目的 本研究は,学科間連携が,後述するSocie句 5.0 に対応した人材育成が可能かを検証し,そ の可能性について考察することを目的とした。 (2)研究の方法 上記目的j勤戎のため,下記方法で研究した。 ①先行研究調査 産謝冓造と就業形態の変化や,文部科学省の 学校ver.3.0 など学科間連携と関連の深い提言・ 学補研究についての先行研究調査 ②実践事例分析 SPH(スーパー・プロフェッショナル・ハイ スクーノのや学科間連携の実践事例報告書等を 基にした教育的効果,阻害要因の分析 ③学科間連携に関する教員対象質問紙調査 ④学科間連携経験教員対象面接調査 5 字斗間連携の在り方の考察と提案 3 .先行研究調査 (1) Society5.0 とそこで求められる力 指導教員 藤村 裕一 これから訪れるSocie句5.0 では,現在人間が 行っている定型的業務等は、M により代替可能 とされ,産業や働き方は大きく変化する。 Socie句5.0 を生き抜くために求められる力は, 現実世界を理解し意味づけできる感性、倫理観、 板挟みや想定外と向き合い調整する力、責任を もって遂行する力,文章や晴報を正確に読み解 き対話する力,科学的に思考・吟味し活用する 力,価値を見つけ生み出す感陛と力,好奇心・ 探求力等,人間ならではの強みを生かしたもの であることが明らかになった。 (2 ) Society5.0 に対応可能な人材を育成する 学校ver.3.0 Socie句3.0 のエ業社会時代に対応した教育は 学校ver.1.0 であり,教師主導の知識再生型の 授業(教え込みの教育)で,高等学校では未だ に中心となっており,新たな社会Society5.0 に は対応できない。文部科学省が提唱している学 校ver.3.0 では,実体験や,他者との対話・協働 をはじめとした多様な学習活動や,他者との協 働を通じた価値創出のための学びが想定されて おり,大きく変わる社会に対応する人材育成を 目指していることが明らかになった。 (2)異業種連携に関する研究 異業種との協働によって新たな価値の創出を 図る企業の動きについて,イノベーションを起 こす人材に共通するスキルは①関連付ける力, ②質問力,③観察力,④ネットワーク力,⑤実
験力の5 つであり,実践によって開発・強化す ることができることが明らかとなった。 4 .成功事例の共通点と実践上の課題 実践事例について,成功事例の共通点と,実 践上の課題は下記のとおりであった。 <成功事例の共通点> ●学科の特色が生き,状況が改善されるケース ●その取り組みに「自分たちがやらなければな らない」という必然性がある <実践上の課題> ●連携することが先に決まってしまうケースで は,取り組みに価値が生まれない ●健康上,または衛生上取り組みが難しいケー スもあり,高度な知識や技術を要する場合に, 生徒主体での問題解決が図られない 5 .教師の意識と実践に関する調査の考察 (1)教師が授業で生徒に付けたい能力 出現したサブグラフより,思考・表現・判断 力,問題解決能力,社会や人間関係に対応する 力などの学校ver.3.0 を目指した記述が一部確 認されたが,教師の多くは,未だに学校ver. 1.0 や与舛交2.0 を目指していた。 (2)普通教科と専門教科の意識の差 授業をどのように変えていくべきかについて, 教師を普通教科と専門教科に分類し,対応分析 を行い,普通教科は生徒主体で問題解決を図る 授業へとシフトし,社会のニーズに対応する姿 勢であり,専門教科は変化には慎重な姿勢があ ることが明らかになった。 (3)授業改革と学科間連携推進の正の相関 授業は変わるべきである意見と学科間連携を 推進すべきという意見には正の相関があった。 また,連携に否定的な意見と「連携よりも基礎 が大切」や「本来の業務に支障が出る」といっ た考えが対応していることが明らかとなった。 (4 )学科間連携のメリットとデメリット ベテラン教師は自学科の学びを重視する等の 保守的な捉え方で,若手教師は新たな価値を創 造などの革新的な捉え方であった。 (5)学科間連携に対する消極的な鰐今 学科間連携に関しては,客観的には肯定的な 意見が多いが,実際に自分自身で指導するとな ると,否定的・消極的な姿勢がみられた。教師 の意識改革なくして,社会に対応した生徒は育 てられないことが明らかになった。 (6)学科間連携の阻害要因 選択肢に回答者が点数を振り分ける方式の質 間の回答から,学科間連携の阻害要因について は,個人の意識よりも時間的な余裕がないこと や担当組織の不在など,学校全体としての課題 が大きいことが明らかになった。 (7)阻害要因の解消方法 阻害要因の解消方法として,組織的な働きか けもある中で,自己啓発や研修といった個人の 働きかけにより解消できることもあることが明 らかになった。 6 .学科間連携による学校ver.3.0 への移行 連携ありきではなく,取り組みに必喫村生があ る場合に,生徒は主体的に活動することができ, 学科間連携は学校ver.3.0 の学びとして有効で あることが明らかになった。 その実現には,教科書で教えるという授業形 態から,学習指導要領にr鰍Iしながらも学科間 連携による教科横断的な授業への転換が必須で ある。また,連携を推進する組織(校務分掌, 委員会等)の設置,研修によって学校全体が学 校ver.3.0 へと移行しやすくなると考えられる。