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感謝と敬意を込めて:小柳先生のご退職によせて

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Academic year: 2021

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感謝と敬意を込めて

志渡岡 理恵

私が小柳康子先生と初めてお話ししたのは、2005年に開催されたイギリ ス・ロマン派学会全国大会でした。このとき私は、イギリスの女性作家ヘ レン・マライア・ウィリアムズの『フランス書簡』について研究発表した のですが、小柳先生はその司会をしてくださいました。司会が小柳先生に 決まったと学会から連絡を受けたときには、とても気持ちが高揚し、緊張 するとともに、「あの小柳康子先生とお話しできる」と嬉しくて胸が高鳴っ たのを今でも覚えています。というのも、小柳先生は早くから高名な研究 者でいらっしゃいましたが、特に2002年出版の『転換期の女たち――国家・ ジェンダー・文学』の「メアリ・アステル論――『結婚の省察』における 家庭と国家のポリティクス」を拝読し、メアリ・アステルという大変重要 でありながら、難解で海外でもまだ研究の進んでいない作家を真っ向から 論じているすごい方がいらっしゃると、小柳先生のお名前は私の心に強く 刻まれていたからです。 実践女子大学には、英語圏の女性作家を研究するのに必要な資料がどの 大学にも負けないくらい豊富に揃っています。これは小柳先生のご尽力の 賜物です。小柳先生は授業でも、常に最新の研究動向をふまえた独自の視 点から多様な女性の活動をとりあげてこられました。これからは私たちが この伝統をしっかり守り、展開させ、受け継いでいかなければなりません。 研究と教育への情熱を静かに燃やし続け、学問の新たな地平を果敢に切り 拓いてこられた小柳先生に、心からの感謝と敬意を込めて「バトンを受け 取りました」と申し上げたいと思います。 普段は穏やかで優しい小柳先生が、良識ある声が必要とされるときには いつも凛と発言されていたのを思い出します。いろいろな女性作家につい て楽しくお話ししたことが一番の思い出です。寂しくなります。これから も、どうぞ私たちを温かく見守っていてください。 124

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