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保健医療学学会設立十周年記念の祝辞(PDF)

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保健医療学雑誌 10 (10 周年特集号) 114

保健医療学学会設立十周年記念の祝辞

保健医療学学会 初代会長

九州保健福祉大学

特任教授 中山広宣

本学会は志を共にする諸先生のご指導とご 支援により,平成 22 年の 2 月 25 日に設立致し ました.そして,10 年の歳月の中で初学者のみ ならず多くの研究者が研究論文としてその足 跡を刻み,令和の時代を迎えることができまし た.初代会長そして第1回学術集会長として十 周年を迎えられたことに感慨もひとしおであ り,私の後任である渡辺先生をはじめとして関 係者の皆様に心より感謝を申し上げます. 元号令和は万葉時代の太宰府の坂本八幡宮 での歌会の一文から引用されたとのことです が,この坂本八幡宮は菅原道真公が左遷された 太宰府政庁跡に隣接して私の日々の散歩コー スでもあります.また,『和』というお言葉か ら『和をもって貴しとなす』と説いた聖徳太子 が建立した福祉,医療,教育の礎である四箇院 は本学会の理念と同様であり不思議なご縁を 感じます. 聖徳太子は「四箇院の制」により,四天王寺 に敬田院,施薬院,療病院,悲田院の四つの施 設を設立したそうです.敬田院とは仏教精神を 基本とした教育を行ない,施薬院とは病人に薬 を施し,療病院とは言うまでもなく病院のこと で病気を癒し,悲田院とは身寄りのない者や老 人を救済する福祉施設のことです.日本最初の 教育,医療,福祉の実践が行なわれたというこ とに諸外国に類を見ない文化的・歴史的意味が あると思います.また,聖徳太子は十七条憲法 を制定し,その中で,性善説を基本に,人の生 き方を説いています.先にも記載しましたが, 「和を以て貴しとなす」というお言葉は,日本 人であれば誰でも聞いたことがあると思いま す.他には,礼を守りなさい,人と意見が違っ ても怒ってはいけない,大事なことは多くの人 と議論して決めなさい,などです.この思想は 現代に引き継がれています.聖徳太子の教えは 日本人の思想や文化のルーツなのでしょう.そ して,我々が探求するチームリハビリテーショ ンの理念も全く同じだと考えます. 本学会設立の目的は,第一に狭義のリハビリ テーションにとどまらず,人の生活(保健,医 療,福祉,教育)に関係する方々の研究交流の 場として,第二にその成果をもって社会に貢献 すること,第三に学部卒業後,あるいは大学院 終了後の研究継続を支援することにありました. 近年の保健・医療・福祉・リハビリテーショ ン分野においては,EBM,EBP ということは当 然ですが,それに加えて,QOL やリカバリー(回 復)という対象者の思いや主体性を大切にする という支援が望まれています.このような主観 的命題は,数値で表すことは非常に難しいこと であります.また,内的要因や外的要因によっ て絶えず変化します.そのため,「対象者中心 の支援」と言うことは簡単ですが,今,本当に 対象者中心の支援ができているかと問われれ ば,断言することは難しいと思います.しかし, 多くの専門職がその領域を超えて,恊働研究や 積極的な情報交流を行ない,社会を包含した統 合的なチームリハビリテーションが推進され れば,よりよい生活支援が可能になると考えま す.本学会が,「自分らしく生きる」という観 点から,改めてリハビリテーションの本質を再 考する機会,そして新知見の発見やリハビリテ ーション科学の向上に繋がり,さらには,私の 造語ですが「人間生活学」という,人がより良 い生活を創るための学問の交流の場として発 展することを祈念いたします. 最後に,本学会が領域を超えた幅広い研究発 表,情報交流の場として,数多くの方々に活用 していただくようお願い申し上げます. これをもちまして,保健医療学学会十周年記 念の挨拶とさせていただきます.

参照

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