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放送と通信の融合・連携時代の光ネットワークシステム

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Academic year: 2021

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放送と通信が融合・連携する次世代ネットワーク社会にお いては,放送を通信インフラに載せたHD(高精細)映像配信 システムなどが期待されている。そのため,映像サービスを含 む大容量伝送をする光アクセスネットワークは,今後ますます 重要なインフラになっていく。光アクセスネットワークで重要な 役割を果たすのは,家庭や企業へのギガビットクラスのサー ビスを可能とし,音声,映像,データのトリプルプレイができる GPONシステム「AMN1220」である。また,メトロアクセスネッ トワークでのトラフィック急増に対応できるのが,40 Gビット/s エクステンダシステム「AMN6300」,CWDM/DWDMシステ「AMN6200」である。 日立グループは,新しいサービスを取り込んだ次世代ネット ワークの要求にフレキシブルに対応できる光ネットワークシス テムを拡充し,グループの総合力を生かした光トランスポート ソリューションを提案している。 1.はじめに 次世代ネットワーク社会においては,IP(Internet Protocol) ネットワークを用いた多様なサービスが提案され,出現すると 考えられる。特にその中で,放送を通信インフラに載せたHD (High Definition)映像配信システムなどは,放送と通信の融 合・連携時代において最も期待されるシステムの一つである。 光アクセスネットワークは,家庭や企業へのギガビットクラスの サービスを可能とし,VoIP(Voice over Internet Protocol)と既 存の電話,アナログとIPのビデオ,およびデータを同時に収容 するトリプルプレイを可能とするPON(Passive Optical Network) が重要な役割を果たす。PONの規格として,IEEE標準準拠 のGE-PON(Gigabit Ethernet PON)※)

とITU-T G.984標準準

拠のGPON(Gigabit-Capable PON)とがある。一方,FTTH

(Fiber to the Home)加入者数の増大と映像サービスの普及 などにより,メトロアクセス領域においてもIPトラフィックの増大

放送と通信の融合・連携時代の光ネットワークシステム

Photonic Network Systems for Digital Convergence

中野 博行

Hiroyuki Nakano

池田 博樹

Hiroki Ikeda

野田 健太

Kenta Noda

山口 勝

Masaru Yamaguchi

ユーザーネットワーク アクセスネットワーク 音声+映像+データ 超大容量伝送 メトロアクセスネットワーク HD映像 ONT OLT 「AMN1220」 GPON 「AMN6300」 40 G-EX 「AMN6200」 CWDM/DWDM 40 Gビット/s 10 Gビット/s×n データ ルータ 音声 2.4 Gビット/s 1.2 Gビット/s

注:略語説明 HD(High Definition),ONT(Optical Network Terminal),GPON(Gigabit-Capable Passive Optical Network),OLT(Optical Line Terminal) 40 G-EX(40 Gbit/s Extender),CWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing),DWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing) 図1 放送と通信の融合・連携時代において重要な役割を果たすGPON,40 G-EX,1心双方向DWDMシステム 次世代ネットワークにおいては,HD映像などの大容量データを使うサービスを提供するために,アクセス領域,メトロアクセス領域において,光ネットワークシステムがな くてはならない重要な役割を担う。 36 Vol.89 No.06 480-481 2007.06 放送と通信の融合・連携時代の社会イノベーションを実現する次世代ネットワークサービス

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37 による大 容 量 伝 送の需 要が 急 速に高まりつつある。I S P

(Internet Service Provider)などでの40 Gビット/sルータの導入 により,これまでの最高速度であった10 Gビット/sに代わり, 40 Gビット/sの光ネットワーク構築が必要となってきた。しかし, 高速化による伝送距離の制限が問題となるため,これを容易 に解消するシステムが不可欠と考えられる。また,10 Gビット/s の波長多重数を効率的に多重して大容量化するシステムへ の要求が高まっている。 ここでは,HD映像配信とデータ通信を共存するGPONシ ステムと,2 kmに制限されていた40 Gビット/s光信号伝送距離 を40 kmに延伸する40 Gビット/sエクステンダシステム,さらに CWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing)装置を 1心双方向DWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing) システムにエンハンスした製品について述べる(図1参照)。

2.トリプルプレイを提供するGPONシステム「AMN1220」 ITU-T(International Telecommunication Union-Telecomm-unication Standardization Sector:国際電気通信連合 電気通 信標準化部門)準拠のGPONは,下り速度2.4 Gビット/s,上 り速度1.2 Gビット/sでIPデータを通信できる次世代光アクセス ネットワークである。米 国では,日 立グループが開 発した GPONを用いてトリプルプレイサービス(電話,インターネット, 映像サービス)がすでに提供されている。このブロードバンド映 像配信サービスの一つとして,IPビデオのダウンロード型が普 及し始めている。日本では2011年の地上デジタル放送への 完全移行に向け,付加価値のある放送サービスの実現が望 まれている。放送データを高精細なHD映像で送信し,さらに データ通信と共存する必要がある。しかし,従来の方式では, HD映像を3∼4本程度配信することはできるが,チャンネル数 が少ないため,放送サービスに適応できなかった。また,IPマ ルチキャストネットワークで,放送サービスを提供すると,番組 のチャンネル切り替え速度が遅いという問題がある。 そこで,日立グループでは,光ファイバ1本で各家庭にHD 映像の放送サービスを実現するため,次世代GPONの開発 を進めている。 第一に,GPONとIPマルチキャストネットワークを連携させる 光ブロードキャスト連携技術を用い,放送チャンネル数を増や すことが可能な多チャンネル映像配信方式を開発した。各家 庭まで同時に高精細映像100チャンネル送信することができ る。これにより,現在のCATV(Community Antenna Television) サービスでのHD配信番組数を超えることができる。 第二に,GPONで局から各家庭の宅内の装置まで多チャ ンネルの映像をあらかじめ送っておくことにより,チャンネルの 切り替えを行う,高速チャンネル切り替え方式を開発した。こ れにより,ミリ秒以下でチャンネルを切り替えることができる。 この二つの放送サービス向け技術を実現するため,IPマル チキャスト機能を実装している。このGPON機器を用いてHD 映像100チャンネルの放送サービス,電話やインターネットサー ビスも同時に対応する。例えば,電話,1 Gビット/sのインター ネットサービスと100チャンネルのHD映像サービスが可能であ る。ここでは,次世代ネットワークで推奨されているH.264の映 像フォーマット約8 Mビット/sを用いており,ダウンロード型映像 サービスはインターネットサービスに含まれる。このように放送と 通信が融合・連携するGPONを光アクセスネットワークに用いる ことにより,効率的な映像放送サービスを実現する(図2参照)。 3.メトロアクセスネットワーク向け光トランスポートシステム 映像を含むアクセスシステムが普及すると,メトロアクセス領 Feature Article チャンネル管理サーバ 放送サーバ IPTVポータルサーバ インターネット 光スプリッタ 光ファイバ 光ブロードキャスト制御 GPON局側装置 GPON宅内装置 チャンネル制御 ネットTV 100チャンネル配信

注:略語説明 IPTV(Internet Protocol Television)

図2 GPONシステム「AMN1220」によるIP放送システム

光ファイバにより,各家庭までHD映像を100チャンネル配信することができる。 ※)Ethernetは,米国Xerox Corp.の登録商標である。

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38 Vol.89 No.06 482-483 2007.06 放送と通信の融合・連携時代の社会イノベーションを実現する次世代ネットワークサービス 域のトラフィックは急激な増大が見込まれる。メトロアクセスネッ トワーク向けの光トランスポートシステムとして,40 Gビット/s対 応のエクステンダシステム「AMN6300」,およびCWDMシステ ム「AMN6200」を機能アップしたDWDMシステムについて次 に述べる。 3.1 40 Gビット/sエクステンダシステムAMN6300 ルータ容量の増大は目覚ましく,伝送速度40 Gビット/sの製 品が導入開始され,次世代ネットワークの重要なインフラを構 築するものと期待されている。しかしながら,40 Gビット/sの信 号処理は可能となっても,それを伝送して都市内のネットワー クを構築するためには,伝送距離制限を克服しなければなら ない。現在,ルータに搭載されている標準インタフェースは VSR2000だけであり,伝送距離は2 kmである。 伝送距離を制限する光SNR(Signal-to-Noise,Ratio),波 長分散,偏波モード分散,ファイバ非線形効果については, 光増幅,分散補償,誤り訂正の各機能を搭載し,伝送距離 40 kmを実現する。40 Gビット/sエクステンダシステムAMN6300 の外観を図3に示す。19インチラックに搭載可能で,高さ3 U (133 mm)である。パッケージとしては,40 G-IF盤,分散補償 盤,および監視制御盤から構成され,40 G-IF盤には40/43 G ビット/s送受信機能のほか,光増幅機能,ITU-T G.709準拠 のOTN(Optical Transport Network)インタフェース,それに準 拠した管理機能とFEC(Forward Error Correction:誤り訂正機

能)を実装している。 このほか,二重化して信頼度を高めた電源・ファンも一つの 筐(きょう)体に収めたオールインワン型装置であり,設置ス ペースを節減でき,特に限られたスペースでのユーザービル などでは大きなメリットとなる。 40 Gビット/sエクステンダシステムの適用例を図4に示す。こ

の例では,ISP(Internet Services Provider)など通信回線の ユーザーが,40 Gビット/sルータのネットワークを構築する場合, ユーザーのαビルから通信事業者のAビルに接続してWDM (Wavelength Division Multiplexing)回線を通して長距離ネッ トワークを構築する場合,αビルから別のユーザーのβビルの ルータと接続する場合などを想定している。このようなメトロア クセス領域での40 Gビット/sネットワーク構築には,伝送距離を 40 kmとするエクステンダシステムが必須の機器となる。 40 Gビット/sエクステンダは,異なった会社のビル間を接続 する場合が多い。このため,対向するビルに出向かずとも回 線の管理や障害切り分けを可能とすることが重要である。 ルータ装置だけで構成されるネットワークでは困難であった回 線の障害切り分けを,標準的なプロトコルを使った遠隔制御 で,装置状態監視機能やループバック機能によって迅速に行 える。装置状態監視機能では,対向側装置の警報,性能情 WDM WDM 対向側の40 G-EXを インライン監視 対向側の40 G-EXを インライン監視 Aビル(通信事業者) Bビル(通信事業者) βビル(ユーザー) αビル(ユーザー) ルータ ルータ 40 G-EX 40 G-EX 40 G-WDM 43 G OTN:G.709 43 G OTN:G.709 VSR2000-3R2/3R3 VSR2000-3R2/3R3 VSR2000-3R2/3R3 光ファイバ 40 km, 24 dB 光ファイバ 40 km, 24 dB 40 G-EX 40 G トランスポンダ 40 G-EX ルータ

注:略語説明 WDM(Wavelength Division Multiplexing),OTN(Optical Transport Network) 図4 40 Gビット/sエクステンダシステムの適用例 メトロアクセス領域において,ユーザービルと通信事業者や,ユーザービル間を結ぶネットワーク構築のために必須の装置となる。 40 G-IF盤 分散補償盤 監視制御盤 430 mm (19インチラック搭載幅) 500 mm 133 mm (3U高)

注:略語説明 40 G-IF(40 Gbit/s Interface)

図3 40 Gビット/sエクステンダシステム「AMN6300」の外観

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39 報を遠隔監視することにより,対向側のビルに出向くことなく, 装置の状態を保守・管理することができる。また,40 Gビット/s 主信号ループバック試験機能により,装置間における伝送の 正常性確認が可能である。 3.2 1心双方向DWDMシステムAMN6200 メトロアクセス領域における,手軽で使いやすいCWDMと して,AMN62001) は8波長1心双方向システムを供給してきた。 しかし,この領域でもさらなる大容量化が求められつつあるこ とから,小型で使いやすい特徴を生かしながら,32波長 1心双方向DWDMシステムを開発した。 波長帯は,エルビウムドープファイバ増幅器の帯域の1,550 nm とし,その中で短波長側(Blue-band)と長波長側(Red-band) に分けて送信波長と受信波長を分離し,1心双方向伝送を 実現している。送信側と受信側には,16波長をそれぞれ一括 増幅する送信光増幅器,および受信光増幅器を搭載するこ とができ,最大伝送損失33 dB〔SMF(Single Mode Fiber)伝 送路の場合〕を実現する。 AMN6200 CWDMのプラットフォームを用いた32波長1心双 方向DWDMシステムの構成を図5に示す。AMN6300とほぼ 同じ大きさ(高さ3U)で,この中に,1心双方向用波長多重分 離部,DWDM波長多重分離部,送受信光増幅部,分散補 償部を搭載する。 トランスポンダ盤は,10 GbE,GbE,STM-64(OC-192), STM-16(OC-48)などのクライアントインタフェースを収容し, シェルフを増設することにより,16チャネルのトランスポンダ盤を 収容可能である。 4.おわりに ここでは,アクセスネットワークにおけるGPONシステムによ る映像配信とIPデータ伝送共存,メトロアクセスネットワークに おける40 Gビット/sの伝送距離を延伸するエクステンダシステ ム,10 Gビット/sを中心とした各種インタフェースを効率的に大 容量伝送可能とする1心双方向DWDMシステムについて述 べた。 次世代ネットワークにおいて,放送と通信が融合・連携され る中で,映像サービスを含む大容量伝送を実現していくため, 光ネットワークはますます重要なインフラになっていく。 今後,日立グループは,新しいサービスを取り込んだ次世 代ネットワークの要求にフレキシブルに対応できるように光ネット ワークシステムを拡充していく考えである。また,総合的な製 品力を生かした光トランスポートソリューションを提案し,放送 と通信の融合・連携時代における次世代ネットワークの実現に 貢献する。 1)中野,外:ユビキタス情報社会の基盤となる光トランスポートプラットフォー ム,日立評論,87,6,553∼556(2005.6) 2)中野,外:快適なトリプルプレイネットワーク環境を支える光トランスポートシ ステムと光アクセスシステム,日立評論,88,6,490∼493(2006.6) 参考文献 執筆者紹介 中野 博行 1981年日立製作所入社,株式会社日立コミュニケーショ ンテクノロジー ネットワーク装置部 所属 現在,光トランスポートシステムの開発に従事 工学博士 電子情報通信学会会員,IEEE会員 Feature Article 野田 健太 1988年日立製作所入社,株式会社日立コミュニケーショ ンテクノロジー ネットワーク装置部 所属 現在,光トランスポートシステムの開発に従事 電子情報通信学会会員 池田 博樹 1995年日立製作所入社,中央研究所 ネットワークシステ ム研究部 所属 現在,光アクセスネットワークの研究に従事 電子情報通信学会会員,IEEE会員 山口 勝 1978年日立通信システム株式会社入社,日立情報通信エ ンジニアリング株式会社 ネットワークシステム第2部 所属 現在,光トランスポートシステムの開発に従事 1心双方向 D W D M D W D M 図5 AMN6200 CWDMのプラットフォームを用いた32波長1心双方向 DWDMシステム CWDMシステムのプラットフォームを用いて,小型で使いやすい大容量の DWDMシステムを提供する。

参照

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