「教育と福祉を結びつなぐ連携の架け橋j 一 教育現場に福祉の息吹を与える
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の 展 開 … 人 間 教 育 専 攻 現代教育課題総合コース 成 田 浩 彰 はじめに 日本における子どもの教育病理は深刻な状況に あり、その解決は困難を極めている。我が国では、 子どもをめぐる問題やその解決について語るとき、 誰もが「学校。家庭。地域Jの連携を訴えるが、実際 に連携を促す方策を見出せていないというのが実 情である。その様な中で、筆者は「教育」と「福祉」 の連携こそが、 「学校e家庭@地域jの連携をより効 果的なものにすると考える。 本来、「福祉は教育の母体で、あり、教育は福祉の 結晶jと言われる様に、両者の関係は切り離される ものではない。しかし、教育と福祉は異なるもの とて、我々の認識におかれる。子どもの羽rell-be血g を目指した成長という点から、両者は本質的に一 体のものであり、目指すべきものを共有している と捉えられる。 近年、我が国では、教育と福祉の 連携を促す活動として「スタールソーシャルワー タ(SSW)Jが注目されている。 1 何故、教育と福祉の連携が求められるのか 「学校jは教育的機能と併せ、福祉的機能を持ち 合わせていた。だが、社会から求められる教育的 ニーズの肥大化により、親市の専門性というべく 「教育」に特化した。それに伴い、学校が本体、兼 ね備るべき福祉的機能は表退していったのである。 学校の持ち合わせる福祉的機能とは何か。それは、 いわゆる「子どもの生活を保障すべき安全基地と しての機能Jである。学校は教育的機能を果たすべ き専問機関でると同時に、現実には、常に福祉的 機能を持ち合わせていなければならない。 「人間存在Jは自己の世界を持ち、その世界を意 味づけ、また自己を世界に投げ掛ける事で世界に 関与する。 同時に、人間前生はその世界を超越し ようとし、さらに超越を繰り返す荊主である。子 指導教員 近 森 憲 介 どもの「教育の場jは、朝交で、あり、家庭であり、 地域社会である。「人間存在J
たる子どもi士、 これ ら環境との関わりの中で織り成さていく意味空間、 相互に交流し合う自己形成空間の中で、相互連関 的に育まれる。r
環境が子どもを育てるJと言われ るように、「学校一一家庭一一地域jが互いに一制動 し合うことが、子どもの最善の利益へとつながり 得る。つまりは、子どもの自己形成空間における 「安全基地Jの復権は、「学校。家庭@臨むのネット ワークが互いに連携し合える関俸を形成すること が必須条件となる。2 r
三者連携を阻害する問題へのアプローチJ 「人間jは、 「人」の「間Jと書く。それは、「人jは 一人では「人間Jに成りえない事の現われである。 人は他者とa
-e:離感をもち、その狭間に存する「見え ざるものjによって必然的に‘つながりを意識する。 だとすれば、人と他者との狭間に生じる「見えざる ものJにこそ、連、携を機能させる「資産(ソーシャ /いキャヒ。タノレ)Jは秘められている。 「私jと「他者JI土、あらかじめ独立したこ項とし て自存的に対峠しているのではなく、出来事のう ちで、同時的に生成する。だが、この「私ならざる ものJが、事実的には[見知らぬものJとして映現す るとしても、それが異他的である事は、些かも「私J
がそれを享受する事の妨げにならない。「人間存 在」はーとして二つの相主である。「私」たる人間存 在は、「他者」を分かりきることは出来ない。だが、 分かる為に歩み寄るその過程に意義がある。我々 は、共感、受容、連携・樹動等、様々な意味を介し て「つながりj合うことを意識している。 流れえ子く日朝~と共lこ、我々の生活は「豊かJ にな った反面、多くの問題を抱え込む現状へと追いや った。人間関係の希薄化は、つながりや信頼、思 49-いやり等といった「自には見えないもの」の存在 (資粉を軽視し、疎外する。この様な教育病理現 象の根源を見出すべく 「一般システム理論Jによ って考察するo