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「教育と福祉を結びつなぐ架け橋」 -教育現場に福祉の息吹を与えるSSWの展開-

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Academic year: 2021

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「教育と福祉を結びつなぐ連携の架け橋j 一 教育現場に福祉の息吹を与える

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の 展 開 … 人 間 教 育 専 攻 現代教育課題総合コース 成 田 浩 彰 はじめに 日本における子どもの教育病理は深刻な状況に あり、その解決は困難を極めている。我が国では、 子どもをめぐる問題やその解決について語るとき、 誰もが「学校。家庭。地域Jの連携を訴えるが、実際 に連携を促す方策を見出せていないというのが実 情である。その様な中で、筆者は「教育」と「福祉」 の連携こそが、 「学校e家庭@地域jの連携をより効 果的なものにすると考える。 本来、「福祉は教育の母体で、あり、教育は福祉の 結晶jと言われる様に、両者の関係は切り離される ものではない。しかし、教育と福祉は異なるもの とて、我々の認識におかれる。子どもの羽rell-be血g を目指した成長という点から、両者は本質的に一 体のものであり、目指すべきものを共有している と捉えられる。 近年、我が国では、教育と福祉の 連携を促す活動として「スタールソーシャルワー タ(SSW)Jが注目されている。 1 何故、教育と福祉の連携が求められるのか 「学校jは教育的機能と併せ、福祉的機能を持ち 合わせていた。だが、社会から求められる教育的 ニーズの肥大化により、親市の専門性というべく 「教育」に特化した。それに伴い、学校が本体、兼 ね備るべき福祉的機能は表退していったのである。 学校の持ち合わせる福祉的機能とは何か。それは、 いわゆる「子どもの生活を保障すべき安全基地と しての機能Jである。学校は教育的機能を果たすべ き専問機関でると同時に、現実には、常に福祉的 機能を持ち合わせていなければならない。 「人間存在Jは自己の世界を持ち、その世界を意 味づけ、また自己を世界に投げ掛ける事で世界に 関与する。 同時に、人間前生はその世界を超越し ようとし、さらに超越を繰り返す荊主である。子 指導教員 近 森 憲 介 どもの「教育の場jは、朝交で、あり、家庭であり、 地域社会である。「人間存在

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たる子どもi士、 これ ら環境との関わりの中で織り成さていく意味空間、 相互に交流し合う自己形成空間の中で、相互連関 的に育まれる。

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環境が子どもを育てるJと言われ るように、「学校一一家庭一一地域jが互いに一制動 し合うことが、子どもの最善の利益へとつながり 得る。つまりは、子どもの自己形成空間における 「安全基地Jの復権は、「学校。家庭@臨むのネット ワークが互いに連携し合える関俸を形成すること が必須条件となる。

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三者連携を阻害する問題へのアプローチJ 「人間jは、 「人」の「間Jと書く。それは、「人jは 一人では「人間Jに成りえない事の現われである。 人は他者と

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-e:離感をもち、その狭間に存する「見え ざるものjによって必然的に‘つながりを意識する。 だとすれば、人と他者との狭間に生じる「見えざる ものJにこそ、連、携を機能させる「資産(ソーシャ /いキャヒ。タノレ)Jは秘められている。 「私jと「他者JI土、あらかじめ独立したこ項とし て自存的に対峠しているのではなく、出来事のう ちで、同時的に生成する。だが、この「私ならざる ものJが、事実的には[見知らぬものJとして映現す るとしても、それが異他的である事は、些かも「私

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がそれを享受する事の妨げにならない。「人間存 在」はーとして二つの相主である。「私」たる人間存 在は、「他者」を分かりきることは出来ない。だが、 分かる為に歩み寄るその過程に意義がある。我々 は、共感、受容、連携・樹動等、様々な意味を介し て「つながりj合うことを意識している。 流れえ子く日朝~と共lこ、我々の生活は「豊かJ にな った反面、多くの問題を抱え込む現状へと追いや った。人間関係の希薄化は、つながりや信頼、思 49

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-いやり等といった「自には見えないもの」の存在 (資粉を軽視し、疎外する。この様な教育病理現 象の根源を見出すべく 「一般システム理論Jによ って考察するo

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つながりの解体Jによって、 明ら かとされる「見えざる資産Jとは何か。持続的な社 会的相互作用と、 その作用による持続的な効果に よって、様々な連結を生み出す「資産Jの荷主を明 らかとする。 3 教育現場に福祉の風を 閣は現在、教育現場に欠落している福祉的機能 を補完するシステムとして、 SSWの導入を提言 している。

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は学校現場で実践されるソーシ ヤノレワーク活動である。これは、子どもの「生活の 質Jを保証し、well-beingを根ざした共同体として の教育環境作りに寄与する試みであり、社会的に 不利な立場に置かれている子ども達の人権・教育 及び発達の保障を目的に、内なる自立心を引き出 す社会福祉事業である。

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の専門的独自性を基にその価値と方法を 活用し、「学校・家庭・地域j及び関係機関との架け 橋となって、課題解決に取り組むのがスクーパヅ ーシヤノレワーカー(schoolsocialworker=SSWr) である。教育現場に生じる当事者だけでは十分な 対応ができない課題や問題に対し、ネットワーク の形成を促し連携する事で、解決へ導く役割を担 う。学校現場に失われた福祉的機能が再び求めら れるようになった背景には、学校内外で生じる多 くの教育的課題 や障害が

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鯨佐に絡みある中で、子 どもを取り巻く生活環境が激化したことにある。 排他される尊厳や自己実現が困難な社会において、 子どもの「居場所」は何所にあるのか。人間存在が 育ち@学ぶ「自己形成空間」として、学校・家庭・地域 がパートナーシッフ。を結び、互恵的にそれぞれの 役割を果たし得る関係作りには、ソーシヤノレワー ク的現念が現場に根付くことが必要とされる。不 安定な状況にありながらも、一歩一歩の「あゆみj を確実に続ける

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実践が教育現場に福祉の風 を送り込み、「両者連携(教育と福布。」を再統合へ と導く手掛かりとなる。

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連携の行き着く先に 何が為の教育であり、何が為の福祉で、あるか。 そして、何が為の制度であるべきか。教育現場で 施行される制度は誰が為、イ可が為に作られるのか。 それは、次世代を担い行く子ども達の為に他なら ない。子どもは地域の未来であり、希望である。 著者が SSWに求める連携のゴーノレとは、教育現 場において福祉を必要とする者が;前生しなくなる ことにある。学校は福宇品号機能を消失したことで、 彼らを取り巻く様々な教育問題に対応しきれなく なった。今更、 教師

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こ福礼的現念を学ぶことを促 したところで問題が解決する訳ではない。だとす るならば、福祉的機能が消失した現実を受け止め、 その失った役割を担い得る専門家と連携してし、く ことが望ましい。行政改革とは車部設や制度を変え ることではない。そこに生きる人たちの意識を変 えることである。 おわりに 教育と福祉は人間形成と¥1¥う共通基盤のもとに、 現念として棋ざすべき土壌を共有している。 SSW の「連携の架け橋J(こよって、再統合への可能性を 「到来」に投げ掛けることが出来る。 これにより、 「教育Jと「福祉」は、それぞれの枠に括ることのな い根源的な「力の源泉」としての姿を現す。 本質的に一体であったものが、社会ニーズの変 容によって「教育Jと「福祉jという分野に分断され、 そして今お互いがもう一度同じ鞘に戻るためのそ のつながりが求められている。「イ号、が為に」これは 著者の中で、これから先も自身の中で問われ続け ていくものである。教育と福祉は実態としてとい うよりは、むしろ根源的なものを通してつながり あうことは出来る。両者の連携の先にある「力の源 泉」を探って行く。 日 U に U

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