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カラーコンクリートの性状把握と実物件への適用

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Academic year: 2021

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大林組技術研究所報 No.82 2018

1 ◇技術紹介 Technical Report

カラーコンクリートの性状把握と

実物件への適用

Characterization of Color Concrete and Its Application

to Indoor Structures

溝渕 麻子

Asako

Mizobuchi

小林 利充

Toshimitsu

Kobayashi

吉田 理紗

Risa

Yoshida

都築 正則

Masanori

Tsuzuki

神代 泰道

Yasumichi

Koshiro

1. はじめに

コンクリートは耐震性,耐久性,耐候性,遮音性など に優れ,形状も自由に創ることが可能であり,一般的な 建設材料として,広く使用されている。コンクリート構 造物の中で,打放しコンクリートは,木材や石材などの 天然素材と比較すると,無彩色で単調な印象を与え,断 面が大きな構造物などでは,心理的に圧迫感を与えるこ とがある。国土交通省 国土技術政策総合研究所では,ト ンネル等に配置する換気所・換気塔については「圧迫感 の軽減」が課せられており1),コンクリートの性能のみ ならず,心理的な配慮への要求もされている。この対策 としては,例えば,コンクリートを着色したカラーコン クリートの適用,塗装による模様を描写,凹凸の模様配 置などが挙げられる。 欧米においては,カラーコンクリートは多用されてい るが,日本国内での適用実績は,欧米に比べるとまだ少 ない。これは,コストが多少高くなることが要因として 挙げられるが,多種類の顔料に対して,顔料混入率をパ ラメータとした基本物性の報告をされた研究例があまり ないことも要因の一つと考えられる。 これまでに筆者らは,Photo1 に示すような顆粒顔料を 混入したカラーコンクリート(以下,カラーコンクリー ト)の基本物性について,顔料の混入率による影響や顔料 種類(色)による影響などを把握することを目的に,各種 実験を行った。実験の詳細については,論文等2)~4)で報 告している。 また,これらの実験を受けて,実大模擬部材の施工試 験を実施し,カラーコンクリートを用いた施工性の確認 を行った。 Photo 1 顔料の外観(顆粒状) Appearance of Pigment(Granular)

2. 実大施工試験

実機プラントによるコンクリートを用いて,基本物性 および施工性能を確認することを目的として,実大施工 試験を実施した。カラーコンクリートは打放しで使用さ れることを前提としており,コンクリートの打放し仕上 げで問題となることが多い色むら・表面気泡・砂すじな どの表層品質を確認する必要がある。そこで,カラーコ ンクリートの表層品質,フレッシュ性状,強度性状およ び耐久性の確認と共に,構造物に適用した際の仕上り性 能についても検討を行った。 カラーコンクリートに供するベースコンクリートは, 30-21-20N のレディーミクストコンクリート工場の標準 調合を使用した。顔料の種類は,対象とする構造物の色 のうち,酸化鉄を主原料とする赤とし,顔料混入率はセ メント質量の 5%とした。ベースコンクリートの受入れ 試験後に,現場で顔料をアジテータ車に投入し,練混ぜ を行った。カラーコンクリートは,設定条件としたスラ ンプ21±2cm,空気量 4.5±1.5%を満足した。 Photo 2 実大施工試験体の外観 Appearance of Mock-up Specimen

(2)

大林組技術研究所報 No.82 カラーコンクリートの性状把握と実物件への適用 2 実大部材は壁部材をモデルとし,高さ3,600mm,平 面形状はL 字型(1,200mm+1,200mm),壁厚 250mm とし た。なお,外壁の1 面には開口部(高さ 900mm,幅 450mm)を設け,開口下部の充填状況を確認した。な お,はく離剤は,事前試験4)において気泡低減効果が高 かったものを用いた。 出来栄えは良好であり,目視により確認した充填状況, 砂すじ,コールドジョイントに問題がないことを確認し た。

3. 物件適用

カラーコンクリートを研究施設の一部に適用した。 Photo 3 に示す。 対象としたのは,屋内に施工する直方体の建物2 件で あり,赤と黒の2 種類のカラーコンクリートを適用した。 赤は,実大施工実験を行った顔料を含め,数種類の赤 顔料を用い,混入率を変えて何種類もの見本板を作製し, 決定した。黒は,漆黒に近い黒とし,屋内でしか適用す ることができないカーボンブラックを主原料とする黒顔 料(CB)を選定した。 今回適用したカラーコンクリートの打設量(床スラブ を除く)は,赤が約18m3,黒が約47m3であった。赤は1 日,黒は2 日に分けて打込みを行った。 打込みの際のフレッシュ性状は良好で,経時による変 化も少なかった。また,強度は設計基準強度を十分満た す結果となった。 屋内ではあるが,粉じん等の汚れ防止の目的および人 が触れることを考慮してクリアを全面塗装した。 目立った気泡も少なく,良好な仕上りとなった。塗料 によるカラー塗装と異なり,カラーでありながらコンク リートの素地の風合いを感じられる出来形となった。

4. まとめ

カラーコンクリートについて,基礎性状を確認し,実 大施工試験を実施した。実大施工試験に適用したコンク リートを用いて,各種性状を確認した。また,屋内環境 の物件に2種類のカラーコンクリートを適用した。 (1) カラーコンクリートは一般の打放しコンクリートと 比べ,型枠ジョイント部からの漏水の影響による色 抜けや,ブリーディング水による色むらなど施工上 の注意点がある。 (2) カラーコンクリートは,顔料の種類による特性があ るものの,前以てこれらを把握することにより対処 可能である。 (3) 各種試験の結果,今回の適用範囲(顔料混入率: Photo 3 赤と黒のコンクリート構造物 Red and Black Concrete Structures

セメント質量の5%)では,無混入のコンクリート と大きく差異のあるものは,黒(CB)の凍結融解 試験である。 今後,コンクリートの素地の良さを生かした,環境へ の調和や圧迫感の軽減などの利点を有するカラーコン クリートの推進が望まれる。 参考文献 1) 福井恒明,曽根真理,足立文玄,並河良治:換気塔 のデザイン,国土技術政策総合研究所資料,ISSN 1346-7328,国総研資料第 572 号,163 p.,2010.1 2) 溝渕麻子,他:顔料を用いたカラーコンクリートの 基本物性に関する実験的研究, 日本コンクリート工 学年次論文集,pp. 487-492,2017.07 3) 溝渕麻子,他:カラーコンクリートのフレッシュ性 状に関する基礎的検討,日本建築学会学術講演梗概 集,pp. 71-72,2017.08 4) 溝渕麻子,他:打放しコンクリートの気泡低減に関 するはく離剤の影響,日本建築学会学術講演梗概集, pp. 861-862,2018.09

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