がん患者の在宅療養導入・緩和ケア導入のバリアは何か?-がん診療拠点病院のソーシャルワーカーに対する全国調査
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(2) (1)意義・目的 背景: 2012 年 10 月 1 日時点で総人口に占める 65 歳以上人口の割合(高齢化率)は 24.1%であ り、2035 年には 33.4%になると推計されている(国立社会保障・人口問題研究所将来推計 人口平成 24 年 1 月) 。急速な高齢化に伴い、がんの罹患、死亡も増加している。がん患者 の緩和ケア・終末期ケアを考えるにあたっては、患者の望んだ場所で療養できるように支 援することが重要であり、特に在宅療養並びに緩和ケアの円滑な導入が課題とされている。 例えば以下のようなデータがある。①わが国の一般住民を対象とした「望ましい死」に関 する調査では、90%以上の住民が「体や心のつらさがないこと」と同様に、 「望んだ場所で 過ごすこと」が重要であると回答したこと(Miyashita M. Ann Oncol. 2007)、②地域がん 診療連携拠点病院における 75 歳以上の高齢がん患者の相談内容では、在宅療養、緩和ケ ア病棟への転医など適切な療養場所の選択に対する支援の必要性が高いこと、③2008 年に 厚生労働省によって実施された終末期医療に関する調査では、治る見込みがなく死期が迫 っている場合、できる限り自宅で療養したいと答えた市民が 63.3%、なるべく早く緩和ケ ア病棟に入院したいと回答した市民が 18.4%であったこと、④一方で実際の死亡場所を見 ると、在宅死は 12.6%、緩和ケア病棟で死亡する患者は約 3%にすぎないこと。 在宅医療ならびに緩和ケアの推進のために様々な制度が整備されてきているが、実際に望 んだ場所で療養できている患者が明らかに増加していることを示すデータはない。また、 在宅医療の導入や緩和ケア病棟の紹介を試みても、実際に患者や家族が受診したのちに導 入に至らないことがある。在宅医療の導入や緩和ケア導入のバリアとしては、見捨てられ 感を感じること、もうできることはないといわれること、紹介から受け入れまでに時間と 手間がかかること、患者家族にニーズがないこと、などが知られている。また、緩和ケア 病棟に入院することのバリアとして 22 項目が、そのうち緩和ケア病棟の運営に関連する項 目として 7 項目が挙げられており、代表的なものとしては『緩和ケア病棟へのアクセスが 悪いこと』、 『抗がん治療を中止しなければならないこと』、『差額ベッド料金などの費用が かかること』 、 『入院の基準が厳しいこと』などがある(Miyashita M, et.al., Supportive Care in Cancer, 2008.) 。これらは、2008 年以降行われたがん対策推進基本計画の重点項目とし て診断早期からの緩和ケア推進に関する施策の実施前に行われた調査であり、また緩和ケ アにかかわる医師や看護師、遺族からの調査の結果である。真のバリアを探索するために は患者に対する調査が必要であるが、心理的、肉体的負担から調査を行うことは現実的で ない。在宅ケアの導入と緩和ケア病棟の紹介を実際に担当するのは、退院支援調整部門に 所属するソーシャルワーカー(SW:Social Worker)、退院支援看護師であり、患者・家族 の気持ちと現実をもっともよく知るのはこれら職種であると考えられるが、これらのバリ アを、実際の連携を担当している SW、退院支援看護師の視点から調査した研究はわれわれ の調べる限り存在しない。.
(3) 本研究の目的は、全国のがん診療拠点病院の退院支援調整部門に所属するソーシャルワ ーカー・看護師からみた、1)がん終末期患者に対する在宅療養導入の障壁(バリア)、緩 和ケア病棟への転院の障壁(バリア)を明らかにすることである。 これらを明らかにすることは、がん終末期患者が望んだ場所で療養できる体制の整備の ための重要な資料となり、在宅医療の推進、並びにがん患者の QOL 向上に寄与することが 期待できる。 (2)方法 【概要】 研究は1)質的研究、2)郵送法による全国調査の 2 つの Phase からなる。 【在宅療養導入・緩和ケア導入のバリアに関する質的研究とそれに基づく質問紙の作成】 以下の手順で質問紙を作成した 1)2015 年 1 月に全国のがん診療拠点病院に勤務する、5 年以上の臨床経験を持つ社会福 祉士の資格を持つ SW、退院支援看護師を選択し、がん終末期患者に対する在宅療養導入の 障壁、緩和ケア病棟の紹介の障壁に関するフォーカスグループインタビューを実施した。 2)上記の結果を質的に分析し、①在宅療養導入を阻害する因子、2)緩和ケア病棟の紹 介を阻害する因子、のプールを作り、それをもとに、6 段階のリッカート尺度を用いた在宅 療養導入、並びに緩和ケア病棟紹介のバリアに関する質問紙(仮)を研究者が作成した。 3)作成された質問紙(仮)を、8 名の専門家(2 名の SW、2 名の退院支援調整看護師、1 名の在宅看護に従事する看護師、1 名の在宅医、1 名の緩和ケア病棟に勤務する医師、1 名 の緩和ケアチームに勤務する看護師)に実際に回答してもらい、意見集約、修正を行って、 質問紙の内容妥当性と表面妥当性を確認した。 【在宅療養導入・緩和ケア病棟転院の障壁に関する郵送法による質問紙調査】 以下の手順で調査を実施した。 1)対象:全国のがん診療拠点病院 424 施設の退院支援調整部門に勤務する SW、看護師。 2)方法:二重封筒法を用いた郵送法、無記名、自記式質問紙調査。2015 年 6 月に、全国 のがん診療拠点病院 424 施設の退院支援調整部門の責任者に調査依頼を送付。自分を 含む同僚の SW、看護師(それぞれ 5 名を上限)に調査用封筒を配布するよう依頼、研 究参加への同意の有無、施設概要と配布部数を内容とした施設代表者用調査用紙の返 信を依頼した。調査の締め切りは、責任者に調査依頼を発送した日から 2 週間後とし、 全施設の施設代表者宛に 1 回葉書で督促を行った。 3)具体的には以下のように行った。①全 424 施設退院支援調整部門の責任者に調査依頼 を送付する。これには施設責任者用の封筒と調査用封筒 10 部(SW 用 5 部、看護師用 5 部) を封入する。施設責任者には、自分を含む同僚の SW、看護師全員に調査用封筒を配布する.
(4) よう依頼し、配布した部数と未配布の封筒を返送してもらうよう依頼した(これにより、 配布数を把握した) 。 当該部署に所属する人員がそれぞれの職種で 5 名以上の時は、任意の 5 名に配布するよう 依頼した。②調査用封筒には、調査の趣旨、調査用紙、返信用封筒を同封し、回答者には、 調査終了後郵送を依頼した。 4)調査項目:調査対象となるソーシャルワーカーの人口統計学的因子、経験年数、がん医 療の経験年数、在宅医療の経験の有無、緩和ケアに対する態度、上記の質問紙作成プロセ スで開発された在宅療養導入を阻害する因子(58 項目) 、緩和ケア病棟の紹介を阻害する因 子(52 項目)に関する同意の程度 【倫理的配慮】 本研究はヘルシンキ宣言(2008 年 10 月修正)に基づく倫理的原則を遵守し、 「疫学研究 に関する倫理指針」 (平成 20 年 12 月 1 日一部改正)を準用して実施した。 【研究の同意を得る方法】 本研究の対象者となる対象者に対して、文書を用いて本研究の趣旨を十分に説明し、質問 紙の返送を持って同意とみなした。 (3)結果の概要 全がん診療拠点病院 424 施設中 292 施設から返送があり、288 施設(67.9%)から研究 協力を得た。施設の背景を表 1 に示す。288 施設の施設代表者によって、看護師 761 名(各 施設ごとの中央値 2、平均±標準偏差 2.6±1.5)、SW1035 名(各施設ごとの中央値 4、平 均±標準偏差 3.6±1.5)に調査用紙が配布された。 総配布数 1796 名中 1673 名(看護師 724 名、SW949 名),から回答が得られた。返送率 は 93.2%(看護師 95.1%、SW 91.7%)であった。1673 件の回答のうち、2 割以上の設問 への回答に欠損がみられた 12 件(看護師 8 件、SW4 件)を除外し、1661 件を解析対象と した。回答者の背景の詳細を表 2 に示す。経験年数の中央値は、看護師 21.7 年、SW8.2 年、 退院支援部門での経験年数の中央値は、看護師 3.4 年、SW7.5 年であった。 1) 在宅医療導入の障壁:在宅医療導入の障壁について、障壁のカテゴリーから A)患者・ 家族に関すること、B)病院の医療従事者に関すること、C)医療福祉システムに関する こと、D) 患者の病状や必要な治療に関することに分けて述べる。 A) 患者・家族に関する障壁についての結果を図 1 に示す。6 割以上の看護師・SW が 障壁となっている(ややそう思う~非常にそう思う)と回答した項目は、頻度の 高い順に、「患者の病状悪化に対する家族の不安」(97%)、「患者の急変時の対応 に対する家族の不安」 (96%)、 「介護力不足」 (96%) 、 「患者の病状悪化への不安」 (95%) 、 「患者の急変時の対応への不安」 (94%) 、 「患者が独居であること」 (94%)、.
(5) 「家族が家で看取りをすることをイメージできない」 (91%) 、 「家族が在宅ケアを イメージできない」(90%)、「患者本人の家族への遠慮」(86%)、「患者・家族の 在宅療養に関する知識不足」 (86%)、 「家族が在宅での療養を希望していない(病 院での療養を希望)」(86%)、「患者と家族の間で治療・療養の方針が一致してい ない」 (78%) 、 「患者・家族が治療、病状や治療の目的(延命や緩和治療であるこ となど)について説明を受けたのに理解していない」 (76%) 、 「患者が在宅での療 養を希望していない(病院での療養を希望)」(70%)、「病院や主治医に見捨てら れるという患者・家族の思い」(67%)、「患者が病状を知らない」(60%)であっ た。 B) 病院の医療従事者に関する障壁について図 2 に示す。6 割以上の看護師・SW が障 壁となっている(ややそう思う~非常にそう思う)と回答した項目は、頻度の高 い順に、 「医師や看護師が患者と死について話すことができていない」 (75%)、 「医 師に在宅療養の知識がない」(75%)、「医師が在宅は無理と患者・家族に伝える」 (74%) 、 「医師から患者への治療や病状に関する説明が不十分である」 (71%) 、 「医 師から退院支援・調整部門への紹介が遅い」 (68%)、 「医師から家族への治療や病 状に関する説明が不十分である」 (66%)、 「医師からの患者への病名告知が不十分 である」 (60%) 、であった。 C) 医療・福祉システムに関する障壁について図 3 に示す。6 割以上の看護師・SW が 障壁となっている(ややそう思う~非常にそう思う)と回答した項目は、頻度の 高い順に、 「40 歳未満の患者に利用できるサービスが少ない」(92%) 、 「介護保険 の申請手続き後、認定結果が出るまでが遅い」 (85%)、 「家族のレスパイト・ケア のために患者が入院できる施設がない」 (77%)、 「医療従事者が患者や家族に退院 後の療養先の検討を促すタイミングが遅い」 (76%)、 「急に退院が決まり、在宅ケ アを調整する時間がない」 (73%)、 「急性期病院にいる方が患者の経済的負担が少 ない」 (66%) 、 「緊急時の入院病床の確保が困難である」 (62%) 「がん患者が介護 保険で利用できる通所サービスがない」 (61%) 「24 時間対応してくれる診療所が ない」 (61%)であった。 D) 患者の病状や必要な治療に関する障壁について図 4 に示す。 6 割以上の看護師・SW が障壁となっている(ややそう思う~非常にそう思う)と回答した項目は、頻度 の高い順に、 「痛みなどの苦痛が強く症状管理が難しい」(78%)、「輸血が必要で ある」 (78%) 、 「オピオイドが注射で(経皮下・経静脈)投与されている」 (60%) であった。 表 3 に、頻度の高い障壁をまとめて示した。 2) 緩和ケア病棟転院の障壁:緩和ケア病棟転院の障壁について、障壁のカテゴリーから A)患者・家族に関すること、B)緩和ケア病棟の運営に関すること、C)医療福祉連携に 関すること、D)緩和ケア病棟の入院条件に関すること、D) 病院の医療従事者に関する.
(6) ことに分けて述べる。 A) 患者・家族に関する障壁についての結果を図 5 に示す。6 割以上の看護師・SW が 障壁となっている(ややそう思う~非常にそう思う)と回答した項目は、頻度の 高い順に、 「患者・家族が緩和ケア病棟を死にに行くところと認識している」 (78%) 、 「患者・家族の緩和ケア病棟に関する知識が不足している」 (77%)、 「病院や主治 医に見捨てられるという患者・家族の思い」 (74%)、 「患者が予後や今後予測され る経過を知らない」 (72%)、 「患者と家族の間で治療・療養の方針が一致していな い」 (72%) 、「患者ががん治療の継続を強く望む」(72%)、「差額ベッド料金が払 えない」 (68%) 、 「患者・家族が治療、病状や治療の目的について説明を受けたの に理解していない」 (67%)であった。 B) 緩和ケア病棟の運営に関する障壁について図 6 に示す。6 割以上の看護師・SW が 障壁となっている(ややそう思う~非常にそう思う)と回答した項目は、頻度の 高い順に、「緩和ケア病棟の数が十分でない」(83%)、 「外来受診から入院までの 待機時間が長い」 (77%) 、「外来受診を予約してから外来受診までの時間が長い」 (66%)であった。 C) 医療福祉連携に関する障壁について図 7 に示す。看護師・SW が障壁となっている (ややそう思う~非常にそう思う)と回答した項目は、もっとも頻度の高いもの は「医療従事者が患者や家族に転院を促すタイミングが遅い」 (64%)であった。 52%が紹介するタイミングが難しい(早くても遅くても断られる)ことが障壁と なっていると回答した。 D) 緩和ケア病棟の入院条件に関する障壁について図 8 に示す。看護師・SW が障壁と なっている(ややそう思う~非常にそう思う)と回答した項目は、頻度の高い順 に、 「抗がん治療の中止が必要である」 (71%)、「患者が病名を知っていることが 必要である」 (70%) 、 「抗がん治療を行わないことに同意が必要である」 (68%) 「患 者が終末期であることを知っていることが必要である」 (67%) 、 「症状が安定した ら退院が必要である」 (64%)、「予測される予後が 3 か月以上だと入院できない」 (59%) 、 「心肺蘇生しないことに同意が必要である」(59%)であった。 E) 病院の医療従事者に関する障壁について図 9 に示す。6 割以上の看護師・SW が障 壁となっている(ややそう思う~非常にそう思う)と回答した項目は、頻度の高 い順に、 「医師から患者への今後の経過についての説明が不十分である」(81%) 、 「医師から患者への予後についての説明が不十分である」 (79%)、 「抗がん治療が 終末期になるまで(ぎりぎりまで)行われる」 (73%)、 「医師や看護師が患者と死 について話すことができていない」 (72%)、 「医師から患者への治療や病状に関す る説明が不十分である」 (71%)、「医師から退院支援・調整部門への紹介が遅い」 (65%) 、 「医師から家族への治療や病状に関する説明が不十分である」 (64%)で あった。表 4 に頻度の高い障壁をまとめて示した。.
(7) 表1.調査協力施設の概要 項目. 施設数(%). 中央値(最小―最大) 平均値±SD 548(175-1389). 病床数. 585±229. 専従医師の配置. あり,13(5%). 0. (0-2). 0.0±0.2. 兼任医師の配置. あり,145(50%). 1. (0-5). 0.7±0.9. SW 数. あり,288(100%). 4. (1-19). 4.9±2.7. 看護師数. あり,276(96%). 3 (0-13). 3.2±2.1. 事務員数. あり,171(59%). 1 (0-17). 1.7±2.4. 表 2:回答者の背景 項目. 看護師(716). SW(945). すべて(1661). 年齢(中央値、平均±標準偏差). 47, 46.8±8.4. 34, 35.1±8.1. 39, 40.1±10.1. 性別(女性:n,%). 705(98.5%). 698(73.9%). 1403(84.5%). 勤務先 大学病院(n,%). 168(23.5%). 217(23.0%). 385(23.2%). 500 床以上の病院(n,%). 273(38.1%). 376(39.8%). 217(39.1%). 500 床以下の病院(n,%). 268(37.4%). 345(36.5%). 217(36.9%). 経験年数. 22, 21.7±10.0. 7, 8.2±6.6. 12, 14.0±10.6. 退院支援部門での経験年数. 3, 3.4±3.5. 6, 7.5±6.0. 4, 5.7±5.5. 退院支援への従事(あり:n,%). 661(92.3%). 862(91.2%). 1523(91.7%). 転院調整への従事(あり:n,%). 450(62.8%). 720(76.2%). 1170(70.4%). 在宅導入への従事(あり:n,%). 627(87.6%). 750(79.4%). 1377(82.9%).
(8) 表 3.. 在宅医療導入の障壁. 患者・家族に関する障壁 「患者の病状悪化に対する家族の不安」 (97%) 「患者の急変時の対応に対する家族の不安」 (96%) 「介護力不足」 (96%) 「患者の病状悪化への不安」 (95%) 「患者の急変時の対応への不安」 (94%) 「患者が独居であること」 (94%) 「家族が家で看取りをすることをイメージできない」(91%) 「家族が在宅ケアをイメージできない」 (90%) 「患者本人の家族への遠慮」 (86%) 「患者・家族の在宅療養に関する知識不足」 (86%) 「家族が在宅での療養を希望していない(病院での療養を希望)」 (86%) 「患者と家族の間で治療・療養の方針が一致していない」(78%) 、 「患者・家族が治療、病状や治療の目的)について説明を受けたのに理解していない」(76%) 「患者が在宅での療養を希望していない(病院での療養を希望)」 (70%) 「病院や主治医に見捨てられるという患者・家族の思い」(67%) 「患者が病状を知らない」 (60%). 病院の医療従事者に関する障壁 「医師や看護師が患者と死について話すことができていない」(75%) 「医師に在宅療養の知識がない」 (75%) 「医師が在宅は無理と患者・家族に伝える」 (74%) 「医師から患者への治療や病状に関する説明が不十分である」(71%) 「医師から退院支援・調整部門への紹介が遅い」 (68%) 「医師から家族への治療や病状に関する説明が不十分である」(66%) 「医師からの患者への病名告知が不十分である」 (60%). 医療・福祉システムに関する障壁 「40 歳未満の患者に利用できるサービスが少ない」 (92%) 「介護保険の申請手続き後、認定結果が出るまでが遅い」(85%) 「家族のレスパイト・ケアのために患者が入院できる施設がない」(77%) 「医療従事者が患者や家族に退院後の療養先の検討を促すタイミングが遅い」(76%) 「急に退院が決まり、在宅ケアを調整する時間がない」 (73%) 「急性期病院にいる方が患者の経済的負担が少ない」(66%) 「緊急時の入院病床の確保が困難である」 (62%) 「がん患者が介護保険で利用できる通所サービスがない」(61%) 「24 時間対応してくれる診療所がない」 (61%). 患者の病状や必要な治療に関する障壁 「痛みなどの苦痛が強く症状管理が難しい」 (78%) 「 輸血が必要である」 (78%) 「オピオイドが注射で(経皮下・経静脈)投与されている」 (60%).
(9) 表4.. 緩和ケア病棟転院の障壁:. 患者・家族に関すること 「患者・家族が緩和ケア病棟を死にに行くところと認識している」(78%) 「患者・家族の緩和ケア病棟に関する知識が不足している」 (77%) 「病院や主治医に見捨てられるという患者・家族の思い」(74%) 「患者が予後や今後予測される経過を知らない」 (72%) 「患者と家族の間で治療・療養の方針が一致していない」(72%) 「患者ががん治療の継続を強く望む」 (72%) 「差額ベッド料金が払えない」 (68%) 「患者・家族が治療、病状や治療の目的について説明を受けたのに理解していない」 (67%). 緩和ケア病棟の運営に関すること 「緩和ケア病棟の数が十分でない」 (83%) 「外来受診から入院までの待機時間が長い」 (77%) 「外来受診を予約してから外来受診までの時間が長い」 (66%). 医療福祉連携に関すること 「医療従事者が患者や家族に転院を促すタイミングが遅い」 (64%) 「紹介するタイミングが難しい(早くても遅くても断られる) 」 (52%). 緩和ケア病棟の入院条件に関すること 「抗がん治療の中止が必要である」 (71%) 「患者が病名を知っていることが必要である」 (70%) 「抗がん治療を行わないことに同意が必要である」 (68%) 「患者が終末期であることを知っていることが必要である」 (67%) 「症状が安定したら退院が必要である」 (64%) 「予測される予後が 3 か月以上だと入院できない」 (59%) 「心肺蘇生しないことに同意が必要である」 (59%). 病院の医療従事者に関すること 「医師から患者への今後の経過についての説明が不十分である」 (81%) 「医師から患者への予後についての説明が不十分である」(79%) 「抗がん治療が終末期になるまで(ぎりぎりまで)行われる」(73%) 「医師や看護師が患者と死について話すことができていない」(72%) 「医師から患者への治療や病状に関する説明が不十分である」(71%) 「医師から退院支援・調整部門への紹介が遅い」 (65%) 「医師から家族への治療や病状に関する説明が不十分である」(64%).
(10) 図1.在宅医療導入に関する障壁(患者・家族に関すること). 5. 患者の病状悪化に対する家族の不安. 01 2. 19. 8. 介護力不足. 01 3. 17. 6. 患者の急変時の対応に対する家族の不安. 01 3. 18. 3. 患者の病状悪化への不安. 01 4. 7. 患者が独居であること. 01 5. 4. 患者の急変時の対応への不安. 01 5. 02. 8. 02. 12. 11. 患者本人の家族への遠慮. 02. 12. 10. 病院や主治医に見捨てられるという患者・家族の思い. 1. 2. 13. 患者・家族が在宅医療に対して悪いイメージを持っている. 3. 0% 全くそう思わない. そう思わない. 38 47. 24 41. 23 41 23 13. 39. 34. 20%. あまりそう思わない. 30%. 40%. ややそう思う. 50% そう思う. 8. 14. 41. 27. 60%. 70%. 4. 11. 19. 44. 19. 7. 23. 30. 28. 10. 10. 27. 30. 26. 19. 22. 29. 19. 10. 9. 26. 41. 20. 13. 28. 37. 18. 11. 36. 39. 10%. 15. 34. 29. 8. 14. 家族が家に病人がいると思われたくないと考えている. 24. 39. 1 6. 12. 患者が病状を知らない. 48. 9. 9. 患者・家族の在宅療養に関する知識不足. 1.患者が在宅での療養を希望していない(病院での療養を希望). 30. 34. 0 5. 04. 48. 27. 15. 家族が在宅ケアをイメージできない. 17.患者・家族が治療、病状や治療の目的について説明を受けたのに理解していない. 34. 23 7. 13. 45. 17. 02. 18. 患者と家族の間で治療・療養の方針が一致していない. 30. 23. 16. 家族が家で看取りをすることをイメージできない. 2.家族が在宅での療養を希望していない(病院での療養を希望). 48. 80%. 非常にそう思う. 90%. 2 100%.
(11) 図2.在宅医療導入の障壁(病院の医療従事者に関すること). 20. 医師に在宅療養の知識がない. 1. 29. 医師や看護師が患者と死について話すことができていない. 2. 6. 19. 医師が在宅は無理と患者・家族に伝える. 2. 7. 26.医師から患者への治療や病状に関する説明が不十分である. 1. 6. 24. 医師から退院支援・調整部門への紹介が遅い. 1. 7. 27.医師から家族への治療や病状に関する説明が不十分である. 1. 7. 25.医師からの患者への病名告知が不十分である. 2. 23. 医師が最後まで治療したいと考えている. 3. 22. 医師が患者の希望を奪いたくないと考えている. 2. 21. 医師が最期まで自分で診たいと考えている. 3. 28. 医師が終末期ケアに関心がない. 4. 6. 16 17. 10. 26. 12 11. 30. 30%. あまりそう思わない. 17. 27 40%. 50%. ややそう思う. 60% そう思う. 6 15. 27. 33 20%. 7. 32 35. 15. 11 19. 36. 13. 10. 24 34. 32. 10. 24. 31 28. 10%. 18. 34. 26. 12. 27 35. 23. 13. 28. 29. 22. そう思わない. 28. 35. 17. 0% 全くそう思わない. 36. 70%. 4. 16. 6. 14. 7. 80%. 非常にそう思う. 90%. 100%.
(12) 図3.在宅医療導入の障壁(医療・福祉システムに関すること) 48. 40歳未満の患者に利用できるサービスが少ない 35.介護保険の申請手続き後、認定結果が出るまでが遅い 44. 家族のレスパイト・ケアのために患者が入院できる施設がない 50. 医療従事者が患者や家族に退院後の療養先の検討を促すタイミングが遅い. 12 5 1 4 2. 9. 1 7. 45. がん患者が介護保険で利用できる通所サービスがない. 12. 2. 8 6. 49.在宅でがん患者を診療できる診療所や訪問看護ステーションが少ない. 5. 46. 在宅療養を担当する施設の情報が少ない. 3. 43. 緊急時の連絡体制・受け入れ態勢の保障がない. 4. 13 12 12. 29. 16. 12. 27. 27. 18. 11. 30. 15. 32 28. 26. 5 6. 16. 32. 25. 42. 訪問薬剤指導ができる薬局がない・わからない. 6. 16. 32. 26. 3. 0% そう思わない. 17. 10%. あまりそう思わない. 23. 33. 18. 30%. 28 40%. ややそう思う. 50%. 60%. そう思う. 9. 3. 10. 3 7. 9 16. 70%. 5. 11 27. 31. 6. 14. 34. 20%. 7. 14. 41 21. 5. 12. 28. 21. 8. 15 31. 38. 14. 30.退院時カンファレンスが開かれない. 28 27. 15. 12. 39.24時間対応してくれる訪問看護ステーションがない. 全くそう思わない. 20. 9. 51. 退院支援プログラムがないか、機能していない. 29. 10. 17. 41. 麻薬の調剤をできる薬局がない・わからない. 14. 6. 17. 31.退院時に在宅療養に必要な情報がない・足りない. 3. 8. 24. 6. 34. 病院と在宅医療機関の間で治療・ケアの役割分担が明確でない. 15 21. 32. 40. 麻薬の処方ができる診療所を見つけるのが難しい. 33.在宅ケアを担当する医療福祉従事者間で在宅療養目標や役割が共有できていない. 12. 20. 26. 29. 14. 22. 28. 21. 11. 23. 29 24. 6. 12. 24. 38 26. 17 27. 37. 11. 37.訪問診療をしてくれる医師がいない. 29. 19. 3. 33. 31. 19. 47. 急性期病院にいる方が患者の経済的負担が少ない. 38.24時間対応してくれる診療所がない. 31. 14. 1 4 1 7. 37. 22. 7. 32.急に退院が決まり、在宅ケアを調整する時間がない. 36.緊急時の入院病床の確保が困難である. 33. 22. 80%. 非常にそう思う. 8 90%. 3 100%.
(13) 図4.在宅医療導入の障壁(患者の病状・必要な治療に関すること). 57. 輸血が必要である. 2. 58. 痛みなどの苦痛が強く症状管理が難しい. 3. 0% 全くそう思わない. 10%. そう思わない. 20%. 30%. あまりそう思わない. 40%. 50%. ややそう思う. 11. 2. 9. 2. 17. 31. 24. 17. 52. 酸素吸入が必要である. 22. 36. 20. 9. 56. 食事の介助が必要である. 4. 13. 18. 29. 23. 13. 53. オピオイドが投与されている. 5. 19. 28. 24. 15. 9. 55. 点滴をしている. 8. 23. 29. 20. 14. 6. 54. オピオイドが注射で(経皮下・経静脈)投与されている. 21. 31. 26. 12. 7. 27. 29. 22. 13. 7. 60% そう思う. 70%. 80%. 非常にそう思う. 90%. 100%.
(14) 図5.緩和ケア病棟転院の障壁(患者・家族に関すること). 3. 患者・家族が緩和ケア病棟を死にに行くところと認識している 9. 患者・家族の緩和ケア病棟に関する知識が不足している. 1 6. 15. 1 4. 18. 5. 病院や主治医に見捨てられるという患者・家族の思い. 1. 7. 4. 患者ががん治療の継続を強く望む. 1. 7. 10.患者と家族の間で治療・療養の方針が一致していない 7. 患者が予後や今後予測される経過を知らない. 11. 患者・家族が治療、病状や治療の目的について説明を受けたのに理解していない. 9 4. 1. 患者が緩和ケア病棟での療養を希望していない. 8 0%. そう思わない. 23 22. 10%. あまりそう思わない. 20%. ややそう思う. 40%. そう思う. 60%. 12. 15 18. 50%. 10. 15. 18 23. 30%. 15 19. 25. 27. 11. 26 38. 21. 11. 27. 27. 20. 15 23. 34. 25. 12. 23. 38. 20. 7. 11. 2. 家族が緩和ケア病棟での療養を希望していない. 全くそう思わない. 8. 9. 28. 34. 18. 5. 6. 患者が病名を知らない. 35. 20. 11. 32. 22. 1. 1. 31. 36 18. 1 5. 8. 差額ベッド料金が払えない. 36. 70%. 13 15. 80%. 非常にそう思う. 9 90%. 100%.
(15) 図6.緩和ケア病棟転院の障壁(緩和ケア病棟の運営に関すること) 17. 緩和ケア病棟の数が十分でない 13. 外来受診から入院までの待機時間が長い 12. 外来受診を予約してから外来受診までの時間が長い. 2. 5. 10. 1 5 3. 25. 15. 22. 10%. そう思わない. 19. 19. 25. 30%. あまりそう思わない. 40%. 12 16. 15. 27 20%. 16 20. 29. 33 0%. 21 25. 24 18. 18. 医療従事者からの受診予約を受け付けてくれない. 全くそう思わない. 29. 22. 19. 14. 緩和ケア病棟に外来がない. 35. 27. 9. 8. 15. 緩和ケア病棟が緊急時の対応をしてくれない. 27. 17. 7. 16. 緊急時の入院が不可能. 21. 10 13. 25 50%. ややそう思う. 60% そう思う. 70%. 9 9. 80% 非常にそう思う. 90%. 4 2 100%.
(16) 図7.緩和ケア病棟転院の障壁(医療福祉連携に関すること) 20. 医療従事者が患者や家族に転院を促すタイミングが遅い. 2. 10. 24. 5. 23. 紹介するタイミングが難しい(早くても遅くても断られる). 17. 36. 33 0%. そう思わない. 10%. 32 20%. 30%. あまりそう思わない. 40%. 50%. ややそう思う. 9 14. 36. 28. 22. 緩和ケア病棟側の相談窓口が分からない. 全くそう思わない. 32. 25. 11. 19. 退院支援プログラムがないか、機能していない. 19. 26. 13. 21. 連携担当者同士が顔見知りでない. 36. 18. 7. 1. 16. 8. 1. 24 60% そう思う. 70%. 6. 80%. 非常にそう思う. 8 90%. 21 100%.
(17) 図8.緩和ケア病棟転院の障壁(緩和ケア病棟の入院条件に関すること) 24. 抗がん治療の中止が必要である. 17. 25. 患者が病名を知っていることが必要である. 20. 21. 32 25. 27. 抗がん治療を行わないことに同意が必要である. 20. 26. 患者が終末期であることを知っていることが必要である. 21. 31. 25. 24. 35. 予測される予後が3か月以上だと入院できない. 24. 25. 27. 29. 苦痛がないと入院できない. 30. 全くそう思わない. そう思わない. 30%. あまりそう思わない. 40%. 12. 22. 50%. ややそう思う. 7. 22 18. 35 20%. 10 19. 15. 36. 予測される予後が短い週単位以下だと入院できない. 7. 22 25. 25. 10%. 10 20. 19. 31. 人工呼吸器が使えない. 0%. 10. 22. 28. 33. 高い薬が使用されていると入院できない. 12 24. 24. 25. 32. 放射線治療ができない. 10. 26. 29. 34. 認知症・周辺症状があると入院できない. 11. 26. 21. 28. 30. 輸血ができない. 12 27. 28. 28. 心肺蘇生しないことに同意が必要である. 14. 31 29. 24. 37. 症状が安定したら退院が必要である. 18. 60% そう思う. 70%. 7. 13. 9. 80%. 90%. 非常にそう思う. 4 100%.
(18) 図9.緩和ケア病棟転院の障壁(病院の医療従事者に関すること) 46. 医師から患者への今後の経過についての説明が不十分である. 1 5. 13. 47. 医師から患者への予後についての説明が不十分である. 14. 16. 1. 52. 医師や看護師が患者と死について話すことができていない. 2. 49. 医師から患者への治療や病状に関する説明が不十分である. 1 6 7. 50. 医師から家族への治療や病状に関する説明が不十分である. 1. 9. 3. 42. 医師が患者の希望を奪いたくないと考えている. 4. 39. 医師が緩和ケア病棟に関する知識を持っていない. 5. 51. 医師が終末期ケアに関心がない. 6. 0% 全くそう思わない. そう思わない. あまりそう思わない. 40%. ややそう思う. 6. 16. 6. 50% そう思う. 60%. 7. 33. 14. 4. 31. 15. 4. 7. 15. 7. 14 70%. 4. 11. 39. 29 30%. 17. 17. 30. 27. 20%. 9. 25. 34. 20. 10%. 21. 28. 29. 9. 40. 医師の緩和ケア病棟に対する悪いイメージ. 9. 31. 32. 18. 22. 31. 33. 16. 9. 24. 27. 13. 10. 26. 29. 14. 38. 医師が緩和ケア病棟への転院に対して、「治療医学の敗北」のイメージをもっている. 14. 34. 26. 12. 48. 医師からの患者への病名告知が不十分である. 26. 34. 26. 6. 13. 38. 13. 4. 29. 36. 18 22. 2. 41. 医師が最期まで自分で診たいと考えている. 33. 18. 8. 45. 医師から退院支援・調整部門への紹介が遅い. 43. 医師が最後まで治療したいと考えている. 37. 8. 44. 抗がん治療が終末期になるまで(ぎりぎりまで)行われる. 15. 30. 36. 80%. 非常にそう思う. 90%. 3 2 100%.
(19) (4)考察 本研究は、本邦初となる全国のがん診療拠点病院の退院支援調整部門に所属するソーシ ャルワーカー・看護師からみた、1)がん終末期患者に対する在宅療養導入の障壁(バリ ア) 、緩和ケア病棟への転院の障壁(バリア)を明らかにした研究である。 本研究で得られた最も重要な知見は、在宅療養導入の障壁として、病院の医療従事者に 関する障壁があげられたことである。現在まで、在宅療養移行の実現に関連する要因とし て、患者・家族に関する・病状に関すること(点滴をしていないこと、酸素療法を受けて いないこと、食事介助が必要でないこと、家族の在宅療養の希望があること)、医療福祉シ ステムに関すること(緊急時の連絡受け入れ態勢が保障されていること、訪問看護趾と連 携が取れていること)があげられているが(福井ら、日本看護科学会誌 2007) 、病院医療従 事者に関する障壁が指摘されたことはなかった。特に、 「医師に在宅医療の知識がない」 、 「医 師が在宅は無理と患者・家族に伝える」 、などは教育により改善が可能なものであり、早急 な対応が求められる。第 2 に、在宅療養移行のバリアとして、 「40 歳未満の患者に利用でき るサービスが少ない」、 「介護保険の申請手続き後、認定結果が出るまでが遅い」、 「家族の レスパイト・ケアのために患者が入院できる施設がない」 、「がん患者が介護保険で利用で きる通所サービスがない」などの医療福祉システムの改善に関する視点が明らかになった ことである。これらの点については、行政に提案するとともに、地域医療システムの中で 創意工夫が求められる。また、退院支援担当者は「医療従事者が患者や家族に退院後の療 養先の検討を促すタイミングが遅い」、 「急に退院が決まり、在宅ケアを調整する時間がな い」などの障壁を感じており、入院時もしくはそれ以前から始まる、包括的な退院支援調 整プログラムの組織的な運用の必要性が示唆される。 緩和ケア病棟への転院のバリアに関する重要な知見としては、既知の障壁に加えて、「緩 和ケア病棟の数が十分でない」、 「外来受診から入院までの待機時間が長い」 、「外来受診を 予約してから外来受診までの時間が長い」、 「紹介するタイミングが難しい(早くても遅く ても断られる) 」 、 「抗がん治療を行わないことに同意が必要である」、 「患者が終末期である ことを知っていることが必要である」、「予測される予後が 3 か月以上だと入院できない」 、 「心肺蘇生しないことに同意が必要である」などの、緩和ケア病棟の運営や入院条件に関 する障壁、 「医師から患者への今後の経過についての説明が不十分である」、 「医師から患者 への予後についての説明が不十分である」、 「医師から患者・家族への治療や病状に関する 説明が不十分である」、「医師から退院支援・調整部門への紹介が遅い」など病状説明並び に退院支援の開始の遅延が障壁として指摘された。緩和ケア病棟の運営に関する問題につ いては、本結果を NPO 法人日本ホスピス緩和ケア協会などと共有し、障壁をできる限り解 決する努力をしていく必要がある。また、病状や予後の説明や退院支援の早期実施につい ては、医師に対するアドバンス・ケア・プランニングに関する教育の実施、組織的な退院 支援プログラムの運用など、地域医療の視点に立ったがん医療の実践の必要性が示唆され る。.
(20) 結語 がん終末期患者に対する在宅療養導入の障壁として、医師に在宅医療の知識がないこと、 医師が在宅は無理と患者・家族に伝えてしまうこと、などが指摘され、医師に対する在宅 医療教育の必要性が示唆された。また、緩和ケア病棟への転院の障壁として、「緩和ケア病 棟の数が十分でない」、 「待機時間が長い」、 「心肺蘇生しないことに同意が必要である」な どの、緩和ケア病棟の運営や入院条件に関する障壁が指摘され、その運営改善の必要性が 示唆された。また、在宅導入・緩和ケア病棟転院双方に共通した障壁として、「医師から患 者・家族への治療や病状、今後の経過に関する説明が不十分である」、 「医師から退院支援・ 調整部門への紹介が遅い」など病状説明並びに退院支援の開始の遅延が指摘され、医師に 対する病状や意思決定支援やコミュニケーションに関する教育の実施、組織的な退院支援 プログラムの運用など、地域医療の視点に立ったがん医療の実践の必要性が示唆された。 ※本報告書は、公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成による. 感想:本研究は当初 SW に対する調査として企画したが、フォーカスグループを実施した 際に多くの SW から退院支援全体を把握するためには退院支援看護師も同様に調査するこ とを勧められ、大規模な調査となった。郵送費が膨大となり、研究費のやりくりが大変で、 大分研究室から持ち出すこととなったが、有益な研究結果が得られた。本結果はがん診療 拠点病院、行政、緩和医療の専門団体にフィードバックし、在宅医療と緩和ケアの推進に 役立てていこうと考えている。助成をいただいた財団および関係の皆様に心より御礼申し 上げます。.
(21)
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