1.はじめに 本学部では,平成16年10月に学部組織として地域 教育支援室が立ち上げられ,半年間の準備期間を経て, 平成17年4月から本格的に稼働を始めた。 従来より,本学部は地域の教育にいろいろな係わり をもってきたことに加え,大学がもつ知の資産の社会 還元,つまり地域貢献が求められるようになった背景 もあった。 時期を同じくして,国立大学の法人化に伴い,学部 の基幹目標として,「地域の教員養成・研修の中核的 責任を担い,教育委員会や学校との連携をさらに深め るために,地域教育支援機能を拡充・強化し,地域の 中核的教員養成学部として充実・発展を目指す」と具 体化された。1) この目標の実現に向けて,学部横断的に地域教育を 支援する体制づくりが進められ,これを内容とする教 育実践総合センターの整備に対して,文部科学省の特 別教育研究経費が平成17年度から21年度の5年間にわ たって認可され,地域教育支援の広範な枠組みを構築 することができた。また,この特別教育研究経費の事 業支援の終期以降,本学及び本学部の独自努力によっ て今日まで事業の継続実施に努めてきた。 2 地域教育支援室の体制 (1)設置目的 地域教育支援室は,地域の教育委員会や学校などの 教育機関との連携を深め,地域教育に関する企画・立 案・調整を行うことによって,地域の中核的教員養成 機能の充実と発展に寄与することを目的としている。 (2)主たる業務 地域教育支援室が担う主たる業務は,地域教育に関 する本学部の連携や協力の状況を把握し,その整理を もとに地域との連携支援体制を整備し,その窓口とし て地域との組織的連携事業の企画立案や,個別的な連 携事業に伴う調整を図り,地域の教育課題の解決に向 けた具体の支援を検討することである。 (3)地域教育支援室の構成員 地域教育支援室の専任教員として,滋賀県公立学校 教員経験者1名を教授として採用するとともに,滋賀 県教育委員会との割愛交流人事により1名の派遣を受 け助教授(後に准教授)に充ててきた。平成25年度末 で割愛交流人事がなくなるまで,地域教育支援室の専 任教員は2名体制を維持できたが,それ以後は1名とな り,平成28年度末には専任教員がなくなる事態を迎え る。 この間,室長は佐藤尚武(平成17年度),橋本源之 助(18年度),木全清博(19年度),岩上はる子(20 年度),白井重樹(21 ~ 28年度)の各教授が担当し, 事務局長には滋賀県教育委員会から割愛交流人事で派 遣された西松秀樹(17 ~ 19年度),田中誠(20 ~ 22 年度),青谷恭浩(23 ~ 25年度)の各准教授3名が就 任し,地域教育支援室の事務全般を所掌するとともに, その円滑な運営に当たってきた。 室員には,室長,教育実践総合センター長,企画委
白井 重樹
Shigeki SHIRAI
滋賀大学教育学部-地域教育支援室の 12 年の歩みから-
On the Support Framework and its Practice for the Education in Shiga District
- Through the 12-Year History of the Management of the Support Center for the
Local School Education -
<要約> 国立大学の法人化に伴い,学部の基幹目標に位置づけられた地域の中核的教員養成学部としての充実・発 展を実現する戦略として,教育委員会や学校園と連携した学部横断的な地域教育支援機能の拡充・強化を図るため, 本学部が地域教育支援室を立ち上げ,12 年間に亘ってその企画運営と調整を図りながら事業展開を担ってきた。こ こでは,その理念,推進の組織,事業の構成及びその実践の成果と課題について,下記のとおり報告する。
3 地域教育支援の構造 地域教育支援室が窓口となり,学部横断的に進めて きた地域教育支援の構造は,次のとおりである。 (1)地域における教育課題解決に向けた支援と教委 ・学校園等との連携協力 本学部が各事業の具体の推進を通して,地域におけ る各関係機関や学校園等と連携・協力し繋がっている イメージは,図1のとおりである。本学部附属教育実 践総合センターの地域連携研究部門に位置付けされた 地域教育支援室が窓口となり,地域における教育課題 解決への支援策として,①共同研究事業,②現職教員 研修事業,③教育相談事業,④学校支援事業,⑤教員 養成実践力アップ事業,⑥インターネット活用事業, ⑦大学等開放事業,⑧教育行政支援事業を実施し,本 学部の教員が学部横断的にテーマに基づいてプロジェ クトに参画し,図の外周に配した各関係機関や学校園 と連携協力しながら事業化し,そのプロジェクトの推 進に当たることを表している。 この実践が12年間に及ぶ中で,教員の欠員が補充で きず,担当教員の不在や地域教育支援室の配属教員の 減少により,実施事業を縮減せざるを得なくなる領域 もあるが,基本的な構造に変化はない。 (2)連携先 滋賀県及び滋賀県教育委員会,並びに滋賀県内の市 町及び市町教育委員会の関係部局関係課,滋賀県総合 教育センター,滋賀県内各市教育センター及び教育研 究所,学校園,県市教育研究団体,公民館,NPOそ の他関係機関と多様である。 員1名,総務担当副事務長の他,学部長委嘱の教員を 含め,毎年度10名前後で構成した。 (4)運営組織 地域教育支援室には,協議組織と事業組織の2つが ある。前者には,室員で構成する支援室会議と具体の 方針案を検討する企画運営会議の2つがある。 また,後者には当該年度の事業推進を担うため,室 員が企画運営部会,実践力アップ支援部会,教員研修 部会,学校支援部会,インターネット活用部会,共同 研究部会,大学開放等関連部会の各部会を分担して担 当し,その進捗管理に当たってきた。 (5) 学部附属教育実践総合センターの整備と地域教 育支援室の位置付け 地域教育支援室の立ち上げと並行し,学部附属教育 実践総合センターの改組に取り組んだ。これは,従来 の教育実践,情報教育,教育臨床の3研究部門の編成 から,新たに地域連携研究部門を加えた4研究部門編 成に改組することであった。地域連携研究部門の窓口 として地域教育支援室を設置した。 教員養成学部として,地域の教員養成・研修の中核 的な責任を担い,教育委員会や学校園等との連携を深 めるためには,大学教員の個人的な努力に期待するだ けでは限界がある。そのため,地域からどのような要 望があっても,学部が総力として対応でき,地域教育 支援機能の拡充強化を図るためには,学部横断的に取 り組む地域教育支援のコーディネーターが必要であ り,その機能を地域教育支援室が担ってきた。 図1 地域教育支援の概念図
本学部教員が申請者となって地域教育支援室へ提出す る。(③) 各プロジェクトから提出された共同研究申請書の内 容を地域教育支援室会議で査定し,予算配分額を決定 する。その通知を受けて,各プロジェクトが始動する。 (④) 年度途中に中間報告も求めながら,事業の進捗を管 理し(⑤),年度末に最終報告を受け,連携年報に掲 載する。本年度末には,連携年報の第12号を発行する ことになる。(⑥) (2)現職教員研修事業 この事業は,地域の教員研修機関と連携しながら滋 賀県教育情報化推進講座に取り組んだり,本学部独自 に発達障害と不登校に関連する研修講座,WISC- Ⅳ知能検査実地研修,読み書き困難・障害についての 公開研修講座など,その時々の地域のニーズに応えた 取組を実施してきた。 中でも,滋賀県総合教育センターとは教員免許状更 新講習が始まるまでは,10年経験者研修の校外研修 に位置付けた多くの研修の場を提供するとともに,大 津が中核市へ移行することに伴っての教職員研修カリ キュラムを大津市教育センターと連携しながら開発も してきた。 また,本学部教員が中心となって新たな教育の地域 への浸透・拡大を目指した取組も実施してきた。コア・ サイエンス・ティーチャー養成拠点構築事業2)3)4)5) 及び同養成事業や睡眠教育研修モデルカリキュラムの 開発6)7)は,その代表的なものである。 (3)教育相談事業 この事業は,本学部附属教育実践総合センターの教 育臨床研究部門の教員が中心となって取り組んできた 地域に開かれた教育相談であり,その対象は幼児・児 童・生徒,保護者の他,子供たちを指導する教員等へ のスーパービジョンやコンサルテーションと幅広い。 学校訪問によるコンサルテーション,青年期や成人 期の発達障害の無料相談,アスペルガー障害を中心と した保護者啓発講座と家族の支援,アセスメントや他 機関へのつなぎをねらいとした面談,アセスメントか ら支援に至る継続的な心理支援,発達障害(LD,多 動)教育相談・アセスメント・学習指導,NPO滋賀 大学キッズカレッジ学習室の開設,電話による教育相 談,不登校児童生徒対応フリースペースの実施など, その対象も幼児,児童生徒,保護者,教員,青年や成 人と多様であった。 (4)学校支援事業 この事業は,地域の教育委員会,学校園,関係機関 等が地域の課題として重点的に取り組んでいる取組を (3)地域教育支援室の予算 地域教育支援室の事業予算は,平成17 ~ 21年度の 5年間は,文部科学省の特別教育研究経費を受けてい たが,事業支援の終期以後は,本学の自主努力で取り 組んできており,主に本学部の地域教育支援室運営経 費と中期計画・年度目標への位置付けによる計画推進 費に依っている。 こうした一連の地域教育支援の事業を展開する中 で,平成21 ~ 24年度には科学技術振興機構のコア・サイエ ンス・ティーチャー養成拠点構築事業を,また平成22 ~ 23年 度には独立行政法人教員研修センターの教員研修モデ ルカリキュラム開発プログラムの事業支援を受け,そ れぞれの共同研究に取り組むことができた。 4 各事業の内容 地域教育支援室が主催してきた各事業の概要は,次 のとおりである。それぞれの取組結果については,毎 年度末に発行している連携年報に記載しており,ここ では,概要についてのみ紹介する。 (1)共同研究事業 この事業は,地域教育支援室の核とも言える事業で あり,地域の教育課題の解決に資する研究を,地域の 教育委員会,学校園,関係機関等と連携して取り組む ものである。地域と連携して取り組むため,この共同 研究や連携事業は,図2に示した過程を経て実施する ことになる。 先ず関係機関等へ大学から共同研究や連携事業の募 集を行い(①),申請のあったものについて,地域教 育支援室が窓口となり,学部教員と調整を進めながら, 各プロジェクトの担当を決定する。(②) 各プロジェクトを担当する学部教員が決まると,そ の学部教員がプロジェクトの代表者となって連携先の 教委,学校及び関係機関と,年度内に取り組むプロジェ クトごとの研究内容,研究計画及び研究経費について 話し合いを進め,その内容を共同研究申請書にまとめ, 共同研究・連携事業の募集 ① (県及び各市町教委,教育センター,学校園, 学部教員,附属学校園) ② 各プロジェクト担当者の調整,決定 各プロジェクトごとの研究計画の検討・作成 ③ (毎年50件程度) 各プロジェクトの共同研究申請書の提出と ④ 査定 各プロジェクトの中間報告書の提出 ⑤ (事業進捗の把握と指導) 各プロジェクトの最終報告書の提出と連携年 ⑥ 報の編集・発行 図2 共同研究・連携事業の実施過程
動に当たっての事前研修や時宜に応じた相談活動を行 い,学生の活動を支援してきた。 特に石山プロジェクトでは毎月末に省察会,毎学期 末に報告会を開催し,退職女性校長や退職園長の支援 を受けながら,活動を省察し臨床的に教師としての学 びに繋げられるよう指導してきた。同様に,栗東・守 山プロジェクトにおいても,省察会と報告会を実施し てきている。 もう一つは,教師力の形成に向けた学生への指導に ついて,事前と事後の指導に工夫を行ってきたことで ある。 事前の工夫としては,実習の前年となる2回生時に, 附属小学校と附属中学校の全面的な協力を得て,指導 教員の派遣を受け,学習指導案の作成や教材研究の基 礎を学び,作成した学習指導案に基づいて模擬授業を 行い,課題を修正し,再度模擬授業に取り組ませてき た。 自主努力で始めた取組であるが,教育実習の効率的 な運営のためには欠かすことのできないものであるこ とから,教育実習の履修条件に位置づけ実施するよう になった。 また,事後指導の工夫としては,教育実習での経験 を教師力の形成に繋げるため,学部プロジェクトによ り各附属学校の副校長の参画を得て教育実習評価規準 を設定13)し,教育実習後のレフレクションに役立て, 自己評価によって自らの課題を明確に捉えさせてき た。 (6)インターネット活用事業 e-Learningシステムを担当していた教員が在籍し ていた当時は,滋賀県総合教育センターと連携し,情 報教育や環境教育に関する動画視聴機能付きのデジタ ル指導案データベースを開発し,広く提供していた。 (7)大学等開放事業 事業開始当時から今日まで継続して実施している事 業として,石山っ子わくわく親子で畑体験隊の取組が ある。これは,公民館と石山ネイチャークラブと連携 し,小学生の親子を対象とした畑体験活動を軸に,食 農教育の地域連携プログラムの開発を意図したもので あり,多数の学生もスタッフとして自主的に参加して いる。その他,地域の小学校の児童が本学部の教員の 指導を受け,先端科学のおもしろさを体験する教室や, 環境科学を担当する教員の指導を受けながら,一般の 方々が大学の所有する観測船に乗船し,琵琶湖に直に ふれるびわ湖体験学習など,大学の施設を開放して学 びの機会を提供することも行ってきた。 (8)教育行政支援事業 地域における教育フォーラムの開催を支援し,長 支援するもので,校内研究会・研修会に要望に応じて 講師を派遣したり,本学部の全教員が準備しているプ ログラムを提示し,要望に応える形で講義等を行う出 前講義について,講師派遣依頼書の受理・日程調整な ど,派遣に向けての事務を地域教育支援室が担ってき た。 小学校での英語活動や外国籍児童生徒教育への支援 をはじめ,各教科指導や自尊感情の育成など生徒指導 に関したものがあった。こうした中で,継続して派遣 希望が多いのが,特別支援教育に関する講師派遣であ る。容易に解決することが難しい現場の課題にふれ, 研究者,特別支援教育についての指導力のある退職教 員,医師,カウンセラーなどからなる特別支援教育の 充実に向けた支援センターを,それぞれの地域に設置 するなどの行政的施策の必要性を痛感してきた。 また,滋賀県の学校教育をよくするため,優秀な高 校生に教職を目指す進学指導をどう展開すればいい か,この課題をもつ高等学校進学指導部会や教育系大 学への進学実績の高い高等学校などと連携し,教職探 究講座や教職探究フォーラムなどの一連の教職探究の 取組を通して,高校生に教職の魅力,やりがいや楽し さを学ばせてきた。これは,地元地域への教員輩出率 が問われる中にあって,入学生への対応だけでなく, 地元地域からの入学生を増やす必要を感じている大学 の思いが一致した取組であった。途中,教職探究レク チャーや教職探究サテライトレクチャーなどに実施形 態を変えることもあったが,教育学部に学ぶ学生と対 比し,もう一つの教員養成として位置づけ取り組んで きた。毎年度末に発行してきた報告書8)9)10)11)12)に よって,受講した高校生の教職に対する意識が高揚し, 自らの高校時代の課題を克服しようとする気構えをう かがい知ることができる。この取組が高大接続の鍵と なり,AO入試に活用されることが決定し,現在その 検討が続けられている。 (5)教員養成実践力アップ支援事業 この事業では,次の2つの取組を行ってきている。 一つは,学生が実践的指導力をはじめとした教師力を 形成する一助として,公立の学校園へ出向き,そこで の教育活動を支援しながら,学校での教育の実際を学 び,児童生徒への理解力と対応力を高める場と機会を 与えるものである。これには,本学部の近隣の石山幼 稚園と石山小学校でスクールサポーター活動を行う地 域密着型学校支援としての石山プロジェクト,地域実 習(教育実習)の協力校でスクールサポーター活動を 行う問題解決型学校支援としての栗東・守山プロジェ クトの2つのプロジェクトと,広く公立・私立の学校 園でサポーター活動を行う学校支援ボランティア派遣 事業の3つを並行して実施してきた。これらの教育支 援に参加する学生を対象として,地域教育支援室が活
も全国に先駆けるものであった。 ②.地域の教育委員会や学校園等との連携事業や共同 研究など,殆どのプロジェクトや事業が現場対応型で 進行しており,連携事業や共同研究を通した現職教員 の研修の場が,現職教員が勤務している学校現場であ ることが最大の特色である。これまでの教員研修が研 修機関で開催する講座を受講する形態が大半であった ことを顧みると,本事業の実施スタイルは,現場密着 型の教員研修を先取りしたものであり,これから導入 すべき教員研修の新たなスタイルを提示できたといえ る。 ③.教員養成実践力アップ支援事業において,学生が 公立の学校園に赴き,そこでのスクールサポート活動 を通して,現場対応力をはじめとした教師力の形成に 実効があることを,石山プロジェクト及び栗東・守山 プロジェクトの過去12年間に発行された報告書が明 らかにしている。また,学生が学校現場における体験 を,両プログラムが実施している省察会によって,自 らの課題を明らかにしながら整理し,理論と繋げるだ けでなく,時には価値づけ自ら理念を創出する学びに 繋げる機会となっている。こうした手間暇のかかる活 動を通して,学生の中には学校現場の中で生起してい る状況や教育を,研究的に捉える視点を獲得するよう になっている。教育実習が4週間という限られた時間 の中で,教壇に立つ経験に終わらざるを得ない状況の 中では,学校のリアルな現場を教育的に捉え理解し, 学生が地道に教師としての力を身に付けていくには, 両プログラムが長年実践してきたように,教育を臨床 的に捉える場と機会を,全ての学生が踏んでいけるよ うにしていく必要がある。今後の学部教育における教 育臨床の一層の拡大が大切であると受け止められる。 ④.教育委員会や学校園にとっては,連携事業や共同 研究を共に進める中で,大学教員の顔がよく見え,相 談できる気運が醸成されてきたことが,今後の更なる 連携協力を推し進めていく土壌となる。 大学にとっては,ともすれば地域との連携協力には, 大学の資源によるサービス的な側面として受け止めら れがちなところがあるが,かかわりをもった教員が実 感するように,学部教員と現職教員とのネットワーク が拡がり,研究フィールドが大きく拡大する最大のメ リットがある。今日教員養成大学に求められている姿 を考えると,学部の存立にもかかわるポイントとも言 える。 (2)課題 ①.これまでも本学の人事スキームを受け,退職教員 の補充がない中で,地域教育支援室で取り組む内容を 精選し,規模を縮小せざるを得なかったが,地域教育 支援の取組を組織的に展開するには,マンパワーが不 可欠の要素である。今後,専任教員の補充が見込めな 浜市との合併により消滅することになった伊香郡地 方教育委員会連絡協議会の解散式典を兼ねて開催した 教育フォーラム,彦根市での子育てに焦点化した教育 フォーラム,愛荘町でのスポーツ事故防止危機管理 フォーラムの開催14)など,時代を映す鏡ともなった 事業もある。 また,滋賀県及び滋賀県内の市町教育委員会の審議 会,協議会,事業評価委員会,学校統廃合協議会など, それぞれの依頼に応じる形で教員がかかわってきた。 中でも,滋賀県教育委員会と本学部は,滋賀県下の 教育の発展と教育水準の向上を図ることを目的に,自 由な意見交流と相互の連携を密にするため,滋賀大学 教育学部・滋賀県教育委員会教育懇談会を平成9年9月 に設置するとともに,平成13年3月には滋賀大学教育 学部・滋賀県教育委員会連携協議会専門部会を置き, 教員養成,教員研修,教育実践研究等の部会で協議を 重ねてきた。平成20年7月に,滋賀大学教育学部・滋 賀県教育委員会連携推進協議会に改組され,その下で 教員養成,教員研修及び地域連携の各部会が編成され るようになった。さらに平成27年度には,平成29年 度の教職大学院の設置を前にして,滋賀大学教育学部・ 滋賀県教育委員会地域教育連携推進会議に改組され, その下で教職大学院設置準備委員会,学力向上専門委 員会,英語教育専門委員会,いじめ不登校専門委員会 及びインクルーシブ教育専門委員会が組織され,取組 が始まっている。 (9)広報事業 教育実践総合センターの整備に係る特別教育研究の 事業支援を受けていた間には,特別教育研究経費報告 15)16)17)18) を発行してきた。 また,地域教育支援室が発足してから今日まで,毎 年度末に当該年度の成果をまとめた連携年報19)と, 本学部が行う地域教育支援の紹介用パンフレット20) を発行してきた。さらに,教員養成実践力アップ支援 事業として取り組んできた石山プロジェクトと栗東・ 守山プロジェクトについては,毎年度末にそれぞれの 報告書となる「子ども クラス 学校からの学び」(石 山プロジェクト)21) と「教育参加カリキュラムの成 果と課題」(栗東プロジェクト,後に栗東・守山プロジェ クト)22)を発行している。 また,今ではホームページにアップしているが,当 初は全出前講義の内容を説明した紹介冊子も発行して いた。 5 成果と課題 (1)成果 ①.ミッションの再定義で,地域貢献の強化が改めて 明記されることになったが,本学部の取組はそれ以前 から進めており,地域連携の窓口となる支援室の設置
育研修カリキュラムの強化と発展化,睡眠教育に 関する教員研修モデルカリキュラム開発委員会 8) 教員になる志を高めるために 滋賀大学居育学部 平成24年3月 9) 私たちの教職探究フォーラム実施報告書 滋賀大 学教育学部 平成25年3月 10) 私たちの教職探究フォーラム2013実施報告書 滋賀大学教育学部 平成26年3月 11) 「教職志望」の高校生の発掘と支援の展開 滋賀 大学教育学部 平成27年3月 12) 連携から接続へ 「教職探究」の過去・現在・未 来 滋賀大学教育学部 平成28年3月 13) 白井重樹,田中誠,平野拓朗,佐敷惠威子,奥西 邦彦,小西喜朗:教育実習評価規準の作成とその 活用~質の高い教 育実習の実現に向けた支援 のために~,滋賀大学教育学部附属教育実践総合 センター紀要 『パイデイア』Vol.20,pp45-52 14) スポーツ自己の未然防止のために(危機管理研修 資料),滋賀大学教育学部,平成22年11月 15) 地域連携に関わる教育研究プロジェクト報告~平 成18年度特別教育研究経費報告~,滋賀大学教 育学部,平成19年3月 16) 地域連携に関わる教育研究プロジェクト報告~平 成19年度特別教育研究経費報告~,滋賀大学教 育学部,平成20年3月 17) 地域連携に関わる教育研究プロジェクト報告~平 成20年度特別教育研究経費報告~,滋賀大学教 育学部,平成21年3月 18) 地域連携に関わる教育研究プロジェクト報告~平 成21年度特別教育研究経費報告~,滋賀大学教 育学部,平成22年3月 19) 地域教育連携年報,第1号~第12号,滋賀大学教 育学部・地域教育支援室,平成18年3月~ 29年3 月 20) 学校教育・地域学習への滋賀大教育の支援~学校・ 教員・地域のための滋賀大学教育学部の活用法 (各 年度版),滋賀大学居育学部 21) 子ども クラス 学校からの学び,第1号~第12 号,滋賀大学教育学部,平成18年3月~ 29年3月 22) 教育参加カリキュラムの成果と課題,滋賀大学教 育学部,平成23年3月~ 29年3月 い中で,これまでの取組を継承することは容易いこと ではない。学部経営において地域教育支援をどう捉え, 今後の運営にどう生かしていくのか。その基本的なあ りようが問われている。 ②.省察会によって学生の力が確実に伸び,子供その ものや活動を捉える視点が確かになっていくことを実 感している。実践を臨床的に考察する機会が学生に必 要である。現場での体験を踏むことから一歩進み,体 験を省察し,自らの学びへと繋げる経験へ引き上げる 視野をもちながら,学生に活動させることが重要であ り,そのためにも,教育の臨床的アプローチを学部教 育の中に位置付けていくことが求められる。 ③.特別支援教育に関する学校現場からの指導助言の 要請が変わることなく大変多く,担当教員の献身的な 努力で対応している現状がある。学校には特別支援教 育コーディネーターが配置され,その研修が積まれ, 各教育委員会に配置された相談員のアドバイスも受け ながら,学校では熱心な取組が行われている,しかし, 目の前の課題に戸惑う現状が依然として強い。本学部 教員の努力や各学校の個別の努力に課題の解決を期待 するだけでなく,特別支援教育の専門家や実践家から なるケア組織の構築が考えられてもいい段階に推移し ていると考えられる。そのため,より広範な課題解決 に資するため,各地域に特別支援サポートセンターと も呼べる組織を設置し,特別支援教育を専門とする大 学教員,特別支援教育に指導力を有する退職教員,カ ウンセラー,医師などからなる構成員によって,学校 を直接サポートする行政的な施策も検討いただけるよ う提言しておきたい。 参考文献 1) 滋賀大学中期目標(第Ⅰ期)・中期計画No.2 2) 平成21年度理数系教員養成拠点構築事業(滋賀大 学)業務成果報告書,国立大学法人滋賀大学・滋 賀県教育委員会 3) 平成22年度理数系教員養成拠点構築事業(滋賀大 学)業務成果報告書,国立大学法人滋賀大学・滋 賀県教育委員会 4) 平成23年度理数系教員養成拠点構築事業(滋賀大 学)業務成果報告書,国立大学法人滋賀大学・滋 賀県教育委員会 5) 平成24年度理数系教員養成拠点構築事業(滋賀大 学)業務成果報告書,国立大学法人滋賀大学・滋 賀県教育委員会 6) 平成22年度教員研修モデルカリキュラム開発プロ グラム 幼・小・中学校における睡眠教育研修モ デルカリキュラムの開発,睡眠教育に関する教員 研修モデルカリキュラム開発委員会 7) 平成23年度教員研修モデルカリキュラム開発プロ グラム 子どもの健やかな成長をはぐくむ睡眠教