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「世界史未履修問題」の問題と高校地歴科「地歴基礎」新設の展望 利用統計を見る

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「世界史未履修問題」の問題と高校地歴科「地歴基

礎」新設の展望

著者

須賀 忠芳

著者別名

Tadayoshi Suga

雑誌名

観光学研究

11

ページ

63-83

発行年

2012-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000099/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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観 光学研 究 第11 号 2012 年3 月 63

「 世 界史 未履修問題」 の問題 と高校地歴科「 地歴 基

礎」 新設 への展望

"

「 観光歴史教育論」 を基底 としな がら ∼

A Problem of “Not Take The Required Subject,'World History' in Japanese High School" and Prospects forThe New Subject

“The Fundamentals of Geography and History" in Japanese High School Based on “History Education on Tourism Studies"

1、 は じ め に

須 賀  忠  芳*Tadayoshi

SUGA

2006 年 に 明 ら かと なっ たい わ ゆる「 世 界史 未履 修問 題」 は、 社 会科 教 育 のお り方 はも ちろ ん、 高 校 教育 全般 のお り方 を問 う事 柄 とし て大 きく 取 り上げ られ たこ とは 記憶 に新 しい。 そ の対 応 を含 め て、 高校 地歴 科 へ の新科 目導 入 を模 索 す る、 日本 学 術会 議「 高 校 地歴 科教 育 に関す る分 科会 八 以 下。 「分科 会」 と記 す)は、 世 界史 必修 を見 直し、 新 た な必 修科 目創 設 のた め の議論 を提 起 した。「 分科 会」 は、2008 年6 月 に公 開シン ポジウム「 高校 教育 にお け る時 間 と空 間認 識 の統合一 世 界 史未 履 修 問 題 を ど う解 決 す るかー」 を 開催、2011 年4 月に は最 終 案 作成 にむ け た公 開シン ポジウム「 新 しい 高校 地理・ 歴 史 教 育の創 造 − グロー バル 化 時代 を生 き 抜く た めにー」 を 開催 す ると ともに、 同年6 月、 世 界史 必修 に か わっ て 世 界史A と 日本 史A を 統合 し た「 歴 史基 礎」(2 単位) と地理 A を 組み 替 えた「 地理 基礎」(2 単位) を新設 し、 両科 目 をと もに 必修 とす る 提言 案 をま と めるこ とを 明 ら かに し1、 同 年8 月、 当 提 言 が「 新 しい 高校 地理・ 歴 史 教 育 の創 造 − グロー バル 化に 対応 し た時 空間 認 識 の育成 一」(以 下、「 提言」 と記 す) とし て公 表 され た2。 こ うした、 歴 史 学者 ら を主 体 と し た 日 本 学術 会 議 にお け る「 分科 会」 の動 向 は、 と かく、 社 会科 教 育の あ り方 につい て 冷淡 で あっ た歴 史 学会 等 の状況 を 省 みれ ば、 画 期的 な も ので あっ た と捉 える こ とがで き る。 し かし、 そ の一 方 で、「 分 科会」 が今回 とりま とめた「 提 言」 が、 果 たし て 実m 吐 を持つ も の とな り うる かど うか とい う点で は、 い く つ か の検討 課題 を 有す る も のかお る とい える。 そ うし た問 題 意識 を も とに し なが ら、 本稿 の目的 とす る とこ ろ は、 以 下 の二点 て あ る。 第 一 に、 新必 修科 目設 定へ 向け た動 き の契機 とも なっ た、 い わ ゆる「 世 界史 未履 修 問題」 とは何 で あっ た の か、 ま たそ れ が問い かけ るも のは 何で あっ た の かとい う点 を改 めて 検証 す る もので あ る。 第 二に、 *東洋 大 学

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64 観光 学研 究 第11 号 2012 年3 月 「歴 史 基礎」「 地理 基礎」 とと もに、「 分 科 会」 にお い ても議 論 の対 象 とさ れな が ら否 定的 に捉 え ら れが ち な「 地歴 基礎」 導 入 につい て それ を積 極的 に 評価 し、 そ の基盤 的 な発想 とし て筆者 の提 起す る「 観 光 歴 史教 育論」 を 取 り込む こ とを提 言 す るも ので あ る。 以 上 の論 点を 通じ て、 社 会科 教 育の あ り 方そ の もの につい て 考察 を深 めると と もに、 そ の新 たな 方向 性 につい て論 じ てい き たい と考 え る。 2 「 世 界史未履修問題」 にみる問題 (1 )「世 界史 未履 修問 題」 の実 相 「提 言」 は、「 高 校生 たち に「 時 間認 識 と 空間 認識 を バランス の とれ た形で 教 育 す るこ と」 の重 要性 を 確認」3 し た 中で、 高校 地理 歴 史科 にお け る新科 目創設 を 模 索す る もの だ が、 一 方で、 そ う した 論議 の前提 となっ たの は、「 平成18 (2006) 年 秋にマスメ ディア に よっ て大 々的 に 取 り上げ ら れた 高等 学 校にお け る「 世 界史 未履 修問 題」 の解 決 策 の検討」4 を柱 とし て2007 年5 月 に組 織 され た、 第20 期 日本 学術 会議 にお け る分 科会 の議 論 に はじま る も のであ り、 それ が、 第21 期 に も引 き 継 か れ、 当「 提言」 が発表 さ れ るに至っ た。 高校 地理 歴 史科 にお け る新科 目設 置議 論 の端 緒 とな っ た、「 世 界 史未履 修問 題」 とは、 果 たし てい かな る事柄 であ っ た のか。 ま た、 ど のよ うな 点 が「 問題」 で あっ た と捉 え るべき な のか。「 世 界 史未 履修 問題」 を めぐっ て は、 ジャーナリ ズム の格 好 の題 材 と さ れな がら、 そ れに 関す る本 格 的 な論 考は、 西岡 尚 也5、 安 井 萌6 に よ るもの が 見え る 程度 で あ り、 なお かつ、 学 校現場 の 教員 の立 場 からそ れ を論 じ たも のは ほ とん どない といっ て よい。 本節 にお い て は、 高校 地歴 科新 科 目設置 論議 の 前提 と なっ た ともい え る「 世界 史未履 修 問題」 に つ いて、 正に 現 場 教員 と して それ に直 面し た筆 者 が、「 世 界史 未履 修」 を 強行 せ ざる をえ な かっ た学 校側 の 実情 と、 そ れ に 対す る生 徒の反 応 を中 心に 論ず るこ と とし、 学 校 現場 がそ の対応 に苦慮 し た、 教 育課 程 の 歪 みにつ い て指 摘す るこ と とす る。 そ もそ も、「 世 界史未 履 修問題」 とは、2006 年10 月、 富山県 立 高岡 南高 校に 関す る報道7 を契 機 と して、 高等 学校 の主 導で、 高校地歴 科 にお け る必 修科 目「 世 界史 A」 ま たは「 世 界 史BJ を形 式 上、 履 修 し たこ と とし て、 実際 には、 他科 目 を履 修 させてい たこ と が明 らかに なっ た問 題 で、「 地歴」 の みな らず「 情報」 な ど他教 科 も含 めて、 全 国 各地 で、 必修 科 目の 未履 修 が常態 化し て い るこ と が 明 るみ とな り、 対応 に苦 慮し た学 校長 の中に 自 殺す る者 が出 る など 社会 問題化 し た事 柄 で ある。 当 時、 い わ ゆる進 学校 とし て位 置づ け られ る地 方公 立 高校 の地歴・ 公民 科 教員 であっ た 筆者 もそ の対 応 に追 われ た一人 で あっ た。 当校 にお いて、 こ の年、2 年 次理 系 の「 日本 史B」4 単 位 を教 え てい た 筆者 は、 急 き よ、11 月 に、 生 徒に「 世 界史A」 の教 科書 を購 入 させ、 こ の時 か ら「 世 界 史A」 の 授業 を 展 開す るこ と となっ た。 当科 目が、 教 育課 程 上で は「 世 界史A」2 単 位・「 日本 史A」2 単位 を授 業 す るこ と となっ てい な がら、 実 際に は「 日本 史B」4 単位 を 授業 す る、 とい う、 い わ ゆる「 世 界史 未履 修」 にあ たる科 目であっ た か らで あ る。 この問 題 を受 けて、 そ の 後、 急 き よ、 教 育課 程 の

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須賀 :「世界史 未履 修 問題」 の問題 と高 校地 歴 科「 地 歴基 礎」 新設 への 展望 ∼「 観光 歴史 教育論」 を基 底 としな がら∼ 65 再 編 が な さ れ 地 歴・ 公 民 の 配 当 単 位 数 か 変 更 さ れ る な ど、 教 員・ 生 徒 双 方 と も 大い に 困 惑 し つ つ、 当 校 は、 そ の 対 応 に迫 ら れ る こ と と な っ た。 こ の 問 題 に 関 し て は、 と も す れ ば、 受 験 結 果 の み を 重 視 し た 学 校 側 の い び っ な 対 応、 高 校 教 員 側 の受 験 に 必 要 の な い 科 目 の 切 り 捨 て、 と い っ た こ と が や り 玉 に 挙 げ ら れ た。 論 考 に お い て も、 未 履 修 問 題 を めぐ る 当 事 者 とし て の 学 生 の 意 識 を 分 析 し た 安 井 萌 は、 人 文 社 会 学 部 学 生 に 未 履 修 者 が 低 い こ と を 挙 げ て「 世 界 史 を は じ め と す る 地 歴 科 目 を き ち ん と 学 べ ば 学 ぶ ほ ど、 高 校 生 の 人 文 社 会 系 の 学 問 に 対 す る 関 心 は 高 ま る」8 と す る や や 無 理 の あ る 結 論 を 引 き 出 し つ つ9、 未 履 修 問 題 に つ い て、 田 城 賢 司 に よ る「 学 校 とし て の 最 大 の 問 題 は、 受 験 と い う名 目で あ れ 生 徒 の 学 習 権 を 奪 っ て し ま っ た こ と に あ る」1 0と す る、 評 論 家 然 と し た、 当 事 者 意 識 か ら は お よ そ か け 離 れ たコメント を 引 き な が ら、 未 履 修 問 題 を「 あ る 種 の「 人 権 問 題」」 と し て く く り、 そ の 問 題 の「 本 質」 と し て「 学 校 が そ れ を あ え て 行 い、 生 徒 に 不 利 益 を 与 え た と こ ろ」1 1と 帰 し て い る。 ま た、 歴 史 教 育 研 究 者 の 立 場 に あ る原 田 智 仁 も、「 受 験 科 目 に あ ろ う と な か ろ う と、 高 校 生 に 必 要 な 知 識 やリテラシー で あ れ ば、 き ち ん と 指 導 し 評 価 す る の が 教 員 や 学 校 の 務 め で は な い か。( 中 略 )未 履 修 を 推 進 し、 そ の 背 後 で あ た か も 履 修 させ て い る か の ご と く 教 育 課 程 の 二 重 帳 簿 を 作 成 す る と は。 も は や 耐 震 偽 装 や 食 品 の 偽 装 を 笑 え ま い」 と し て、2005 年 末 に 発 覚 し た 耐 震 偽 装 問 題 等 と 同 列 に 扱 い な が ら、 世 界 史 未 履 修 問 題 に み る 学 校 現 場 の お り 方 を 痛 烈 に 批 判 し て い る1 2。マスコミ も 含 め て、 当 時 か ら、 そ う し た 言 が も っ と も ら し く 流 布 さ れ た も の だ が、 学 校・ 教 員 が、「 生 徒 に 不 利 益 を 与 え」 る こ と を あ え て 甘 受 し な が ら も、 未 履 修 状 態 と せ ざ る を え な か っ た 状 態 に 対 し て、 何 ら 論 ず る と こ ろ が な い こ れ ら の 主 張 は、 到 底 受 け 入 れ が た い も の が あ る。 当 然 な が ら、 教 員 側 か 世 界 史 授 業 を あ え て 忌 避 し、 そ れ を 意 味 の な い も の とし て 捉 え て い た わ け で は な い か ら で あ り、 そ う し た 点 で の 現 場 教 員 の 苦 悩 が、 こ う し た 無 責 任 な 言 に は、 何 ら 反 映 さ れ て い な い か ら で あ る。 学 校 現 場 が、 世 界 史 未 履 修 を 断 行 せ ざ る を え な か っ た 要 因 に は、 週5 日 制 の 導 入 で 授 業 時 間 数 が 削 減 さ れ、 授 業 単 位 数 の 確 保 に 窮 々 と す る 中、「 情 報」 や「 総 合 的 な 学 習 の 時 間」 な ど の 新 設 科 目 が 組 み 入 れ ら れ た 経 過 で の 苦 渋 の 選 択 で あ っ た とい うこ と が あ る。「 提 言」 も ま た、 文 部 科 学 省 の 資 料1 3 を 引 き な が ら「 未 履 修 状 況 の 年 次 別 の 変 化 を み る と、「 総 合 的 な 学 習 の 時 間」 が 導 入 さ れ、 全 体 の 単 位 が3 割 削 減 さ れ た1998 年 度 に15.4% と 倍 増 し、 週5 日 制 に 移 行 し た 後 の2003 年 度 に は78.7% を 記 録」 し た こ と を 挙 げ、「 世 界 史 未 履 修 問 題 の 背 景 に は、「 総 合 的 な 学 習 の 時 間」 の 導 入 や 総 単 位 数 の 削 減、 週5 日制 へ の 移 行 な ど に よ る 総 授 業 時 間 数 の 減 少 も 影 響 し て い る こ と が 明 ら か」 と し て、 未 履 修 問 題 に 関 す る 客 観 的 な 分 析 を 行 っ て い る が1 4、 特 に、 い わ ゆ る 進 学 校 を 中 心 に し て、 そ こ で の 新 た な「 対 応」 が 求 め ら れ る こ と と な っ た の が こ の 時 期 で あ っ た と い え る。 授 業 時 間 数 が 削 減 さ れ な が ら も、 大 学 入 試 に お い て は 従 前 の 知 識 偏 重 の 態 勢 がそ の ま ま 維 持 さ れ た こ と か ら、 従 来 の受 験 対 応 を そ の ま ま 保 持 す る ほ か な く、 あ ま つ さ え、 い わ ゆ る 学 力 低 下 も 論 議 の 的 と な り、 新 入 生 の 基 礎 学 力 不 足 が 懸 念 材 料 と も さ れ て い た 時 期 で、 授 業 単 位 時 間 数 削 減 に 応 じ る 教 科 は ほ と ん ど な か っ た と 考 え ら れ る か ら で あ る。

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66 観 光 学 研 究  第11 号 2012 年3 月 当校にお い て も、 そ うし た状 況 は同様 で、 結 果的 に、 そ のし わ寄 せ は、 国 語・ 数 学・ 英語 の主 要 三 教科 を 除い た教 科科 目に向 け られ る こと とな り、 と り わけ必 修 単位 数 の多 い 地歴・ 公 民 がそ の「標 的」 とされ るこ と になっ た。 そ の 結果、 それ まで は、1 年 次 で「 現代 社会」2 単 位「 世界 史A」2 単 位 で必 修科 目を履 修 させて い た もの が、1 年 次 の地歴・ 公民 科 目は「 現代 社会」2 単位 の みと なり、 世 界史 の必 修科 目分 か宙に 浮 くこ と となっ た。 世界 史 の履修 は、 文 系で は、2 年 次にお い て、「 世界 史B」3 単 位「 日本 史B」4 単 位 を履 修す るこ とで 完遂 す るこ と がで きた が、 理 系2 年 次で の地歴2 科 目対応 は、 主 要三 教科 に加 えて理 科 を重点 にお くカリキュラム の下 では 実施 は困 難で あっ た。 そ の結 果、 理系 生 徒に 対す る「 世 界 史未履 修」 が発 生 す るこ と となっ た わけ であ る。 そ の 実際 の「 運 用」 で は、 この 時、 理 系・ 地歴科 に 与え られ てい た単位 数 は2 年 次4 単位、3 年 次3 単位 の計7 単位で、「 世 界史B」「 日本 史B」「 地 理B」 か ら1 科 目選択 し、 そ れ を2 年次・3 年 次 を通 し て履 修 させ、 受 験科 目とし て対応 させてい た。 もっ と も、 それ で も授業 時 間だ けで は受 験 対応 の指導 は難 し く、 長期 休 業 中に 設定 され る課 外授 業 でも 教科 書 内容 を進 め るな ど、 そ の 進度 の 確保 は 苦慮 す る のが 常で あっ た。 当 校の よ うな地方 進 学校 は、 予備 校 等 に受 験指 導 を依存 す るこ と は あり えず、センター 試 験ま でに 教 科書内 容 を ど う仕 上げ て問 題 演習 に あた らせ る が課題 で あり、 そ の指 導につ い て は、 他 教科 教員 か らは、4 単位対 応 の教 科書 が計7 単位 で も終 わ らない こ とにつ い て 常 に指 弾さ れ たも の だが、 進 度確 保に は汲 々 とせ ざ るをえ ない のが現 実で あ り、 い かに受 験に 対応 し た授業 単 位数 を確 保 す る かは大 きな 問題 であ っ た。 未 履 修 の状 況に あっ た理 系 生徒 の世 界史 関連 科 目等 につい て、 書 類 上そ れ を取 り繕 う必 要 かお るな ど、 そ の対応 に は教員 とし て仕tjgた るも のは あ り、 ま た、 そ の変 則 的 な対応 に 積極的 に 賛同 す る地歴・ 公 民 科 教員 な ど皆無 であっ た が、 そ の措 置 を、 教員側 は、 や む を得 ざ るも のと して受 け 入 れざ るを えな かっ た。 そ れは、 学 校 現場 の状 況 や 大学受 験 の 実相 を無 視 した「 上 からの対 応」 に 問題 かお り、 現 場 の教員 は、 実 態に 合 わせ た教 育を 粛々 と執 り行っ て い る とい う認 識 の下で の行 動 であっ た。 未 履 修 が「 横 行」 し た とさ れる、 週5 日制移行 後 の2003 年度 にお け る 地方 進学 校の 状況 は、 多 か れ少 な かれ、 当校 と同 様 なも ので あっ たと推 察 され る。 未履 修 問題 を めぐっ て、 教 育行 政 におい て 決 定し た事 柄 を一高 校 の範 躊で 変更 す るこ とや、 受 験に 関係 し ない 教養 的 な科 目 の排 除 な ど、 その 対応 を 批判 す るこ とは容 易 であ る が、 現 実 にはこ うした 対応 を 取 らざ る を得な かっ た とい うの が現 場 の実 情で あっ た とい え る。 高等 学 校 にお け る世 界 史未 履 修問 題 発生 の背 景 につ い て、「 提 言」 は、 既述 し た授 業 時 間数減 に お け る対応 とい う観 点 に加 えて、 世 界史 学習 が忌避 され たこ とに 特化 し な がら、 次 の要因 を挙げ て い る15 . すな わ ち、 小 中学 校 の義務 教 育段 階で の 社会 科(歴 史分 野)の 学習 で、 世 界史的 内 容 が わず かし か取り 上げ ら れてお らず、「 生 徒に とって は 高校 で初 め て本 格的 に 学習 する た めに 苦手 意識 が 発生 し てい る」 とい うこ と、 また、「 世 界史 教科書 にお け る人 名・ 事 件名 な どの 用語 が年 々 増加 し てい る」 こ とに加 えて「 現 場 の教 授 法も、 多 く の場 合、 知識 詰 め込 み・ 暗記 中心 のや り方 がと られ てい る た め、 高 校生 に負 担 感 を与 え、 世界 史離 れ を助長 し てい る」 といっ た事 柄 であ る。 いず れ も 首肯 すべ き指 摘 であ る。 とり わけ、 後 者につ い ては、 そ の「 負 担感」 は 日本 史受 験で も同 様 で、 大

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須賀 :「世 界史未 履 修問題」 の問題 と 高校地 歴 科「 地歴 基礎」 新設 へ の展 望 ∼「 観光 歴史 教育 論」 を 基底 とし な がら∼ 67 学受 験で 必須 とさ れ る受 験 語句 は、 日本 史B を 事例 と すれ ば10000 個 を越 える とさ れ1 6、 そ れ ら を ほ ぼ暗記 し 理解 し た うえで受 験に 臨む こ とが必 須 とさ れ てい る。 それ に備 え るな らば、 受 験指 導 の 側 も相応 の 対応 をせ ざ るを 得 ない。 入試 問題 の 変革 が急 務 で ある 中、センター 試 験 問題や、 一 部 国 公 立大学 の 二次試 験問題 は、 単な る暗 記で は解 け ない、 思考力 を 重視し た 出題 が多 く なっ て き て は い る。 し かしな が ら、 受 験 生 の多 く が 関 わる私 立大 学入 試 問題 は、 過 去の入 試 問題 傾向 を あえ て逸 脱す るこ とはせ ず、 依然 として 旧態 依 然 とした 語句 偏重 の出題 が 目立つ こ とは 大き な課 題 であ る と い える。 さ らに は、 入試 を めぐ る問 題 とつ なが る事 で は ある が、 教師側 の 通史 授業 と語 句理 解 へ の 強い こだ わ りもま た、 未 履 修問題 に 連 関す る授業 対応 の課題 で あ る。 受 験 対策 とし て問題 演 習 等に 取 り組ま せて いく 中 で、 教 師 が最も 危 惧す る生 徒の反 応 に「 授 業で 扱っ てい ない」 とい う事 柄 が あ り、 それ 故に、 教師 は、 自 ら とま た 生 徒へ の受 験に 向け たい わばアリ バイ 作り のた めに、 通 史 を 細 かく 触れ てい く こ とを身 上 とし てい る傾 向 が強い。 同時 に、 教 科書 に載っ てい る語 句 (特に ゴシック 太 字語 句) は必 ず 授業 で 取 り上げ なく て はな らない、 とい うい わば強 迫観 念 さえ 有し てい る とい え る。 他 教科 か らみ れ ば、 い わば無 用 ともい え る通 史・ 語 句へ の こだ わり が教師 側 にあ り、 そ れ が 先述 の「4 単位 の教 科書 な のに ‥」 といっ た批判 につ な がっ てい く わけ で ある が、 これ もま た、 現 状にお い て は、 致し 方 ない 現実 であ る。 世 界 史未 履 修問 題発 生の 背景 とし て は、 さ らに、「 地 歴・ 公 民」 枠 内にお け る現 実対応 の難 しい 必修科 目の設 定で あ るこ と も挙げ ら れ る。 教 育課 程 上「 地歴」「 公 民」 に分化 されて い る とはい え、 現実 の学 校対応 とし て の教師 集団 は「 地歴・ 公民」 とし て 編成 さ れてい るし、 他 教 科 から もそ う見 な され、 校 内 の教 育課 程 にお い て も「 地歴・ 公 民」 として 単位数 の設 定 がな され てい る こ とが多 い。 し かしな が ら、 教 育課 程にお け る必 修科 目は「 地歴」「 公 民」 それぞ れ にあ り、 現 在 は「 地歴」 で世 界史A 科 目ま た は同 B科 目に加 えて、 日本 史Aま た は同B ■地理A ま たは 同Bい ず れ か選択 の2 科 目、「 公 民」 で現 代 社会 が必 修科 目となっ てい るこ と から、「 地歴・ 公 民」 で3 科 目の 必修 科 目 が存 在す る。 こ の時、 他 教科 で、 同 一教 科 内で3 科 目 もの必 修 科 目が 存在す る も のは皆 無 であっ た。 こ うし た点 か ら明 ら かな よ うに、「 地歴・ 公民」 の限 られ た 枠内 で、3 科 目もの 必修 科 目を履 修 させ、 なお かつ受 験に 対応 し た学力 を身に 付け させ る とい うこ とは、 とり わけ地 方進 学校 にお い て は非 常 な 困難を 伴 うも の なの であっ た。 そ れ 故に、 た とえ、「 未 履 修」 が なく なっ た として も、 そ れ は、 教 師側 の多 大 な徒 労 でそ の問 題 を取 り繕っ てい る にす ぎ ず、「 未履 修」 の淵源 た る諸 問題 が解 決 さ れな く ては、 未履 修 問題 が抜本 的 に解決 さ れた とは 到底 言 え ない ので あ る。 (2 )「未履 修 問題」 に直面 し た生 徒の 反応 と その 課題 もっ とも、 い わ ゆる「 未履 修問題」 が全国 的 に話題 とな り、 当校 もそ の範 躊に あ るこ とで 教員 側 は その対 応 に汲 々 とし、 とも すれ ば神 経質 にな り がち で あっ た状 況 の中、 当 の生 徒 の反応 は意 外 に も冷 静で あっ たこ と は印象 深い。2 年 次「 日本史B」 の 授業 が、11 月 半 ばに なっ て、 急 遠「 世 界 史 A」 対応 となっ た 当初 の 授業記 録 を確 認す る と、 受 講 生 徒 は、 次の よ うなコメント を残 し てい る。

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68 観 光学研 究 第11 号 2012 年3 月 .「(19 世 紀初 頭イ ギリス の三角 貿易 を めぐ っ て) こ の構 造図 !イン ドが気 の毒 だ。 今ま で 日本 史 の中 で 日本 は最 低 だ、 卑 怯だ、 同 じ 日本人 として 恥ず か しい と思っ て い たけ ど、イ ギリス も 日本 と同類 だ。 ち ょっ と 日本人 と して仲 間 意識 で はない け れ ど、 うれ しい 気持 ち だ あ。 もっ と もっ と 世 界 を知 り たい と 思っ た。」(2006 年 (以 下年 次省 略)11 月15 日) 。「(太平 天 国 の動 乱 とアロー 戦 争 を めぐ っ て) 太 平天 国 につ い て、 中 学校 では 受 験 前に名 前 だけ を 覚 えた 程度 で あっ た が、 滅 亡の所 は よく分 かっ たので 良 かっ た。 太平 天 国 の政策 で「アヘン 禁 止」 とあ っ た が、 それ につ い てイ ギリス が動 き 出す の はやっ ぱ りな と思 っ た。 自 分 の国 の利益 ば か り考 え、 他 の国 の争 い に首 を出 すイ ギリス に腹 が 立っ た。 (以 下略)」(U 月16 日) 。「(19 世紀 後 半 の東ア ジア の状 況 を めぐ っ て) 今 日やっ た とこ ろ は 日本 史 で聞 い たこ との あ るよ うなない よ うな内 容 だっ た。(中 略)世 界 史 がは じまっ て はや3 回、 今 ま では 日本 史 とい う日本 側 の考 え ばか りだっ た が、世 界か ら 日本 を 見 るとい う新 しい 視 点 も必要 な ので は ない かと 思っ た 今 日こ の頃 で あ る。」(11 月17 日) ・「(辛 亥 革命 を めぐ っ て) 辛 亥革命 を 起 こし た孫 文 が 日本 に来 てい て 中国 同盟 会 をつ く っ てい た のはお どろ き だっ た。日本 史で は辛 亥革命 につ い て軽 く し かや っ てい な かっ た ので 世界 史で く わ し く 見 るこ と ができ て よかっ た。 (以 下 略)」(11 月22 日) 筆者 は、 高 校 日本 史B の授 業実 践にお い て、2 年 次で 近現代 史を 中心 とし、3 年 次 に前 近代 史を 扱 うこ ととし て い た。 受 験 を意識 す るこ と がま だ先 の2 年次 にお いて、 グルー プ学 習や 討論 授業 な どを多 く盛 り込 んで、 帝 国 主義的 発 展の 経過や 近 代 戦争 にお け る動向 な ど、 幕 末 以 降 の近 現代 史を より 実感 を持 っ て学 習 させ るた めの方 策で あっ た。 こ の年 の理系 日本史 B も、「 開国」 から授 業 をスタート させ、10 月 半ばま で に「 日中戦争」 を 終 えてい た。 そ の 後 は、 当 地の 地域 史 に 関連す る戊辰 戦争 に 関す る グルー プ別 の主題 学 習を はさ んで、 戊辰 戦争 とア ジア 太 平洋 戦争 にお け る 当地 の民 衆 動向 を授 業化 しつつ、ア ジア 太 平洋 戦争 の 経過 と終結 を H 月 中に 終え、12 月 か ら2 月 に かけて 戦 後史 を扱 う予 定で あっ た。 とこ ろ が、 そ こ にお いて 想 定外 で求 め られ るこ と となっ た の が世 界史 未 履 修 扱い の対 応 に よる 世 界史授 業 の実施 で、 夏 休み のレ ポート 課 題 と してい た 戊辰 戦争 を めぐ る グルー プ学 習1 7 につ い ては 予 定通 り実施 し た後、11 月 半ば か ら、19 世 紀 初頭 のイ ギリス を 主 体とし た世 界情 勢 か ら世 界史A の授 業 を開始 し た。 前述 の よ うに、 教科 書 の急 な手 配やマスコミ へ の応 対 など、 学校 側 がそ の対応 に 苦慮 した こと はも ちろ ん、 そ の混 乱ぶ り を 目の当 た 引 こし た生 徒側 の動 揺 が懸 念 され た もの の、 前記 の よ うに、 そ の最 初 の数 時 間に 関す る生 徒 のコメント を見 る と、 生徒 側 は非 常に 冷 静に 事態 に 対処 す ると ともに、 一 方 で、 改 めて 世界 史を 学 ぶこ とに 新鮮 な 感想 を持 っ てい る こ とが わ かる。 日本 史 にお け る既 習 事項 で あ る19 世紀 か ら20 世紀 に かけ て の授 業 素材 を世 界 史の 見地 か ら改 めて 学び 直す こ とで、「 今 ま で は 日本 史 とい う日本 側 の考 えば か りだっ たが、 世 界 か ら日本 を 見 る とい う新し い視 点 も必要 な ので は ない か と思っ た」「もっ ともっ と世 界を 知 りたい と 思っ た」 と す る感 想 を残 し てい る のであ る。 こ うした 生徒 の反 応 は、 い わ ゆる進 学校 に 在籍 し高 い

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須 賀 :「世 界史 未履 修問 題」 の 問題 と高校 地歴 科「 地歴 基礎」 新設 へ の展 望      69 ∼「 観 光歴 史 教育論」 を 基底 とし なが ら∼ 学 習 意 欲 を 有 す る 生 徒 の 声 で あ る こ と は 考 慮 に 入 れ る 必 要 は あ る も の の、 教 師 側 か、 教 育 課 程 の 誤 謬 へ の 対 処 と し て 受 験 対 応 を 優 先 し たカリキュラム を 編 成 せ ざ る を え な か っ だ の に 対 し て、 生 徒 側 に は、 受 験 を 離 れ た 歴 史 知 識 を 学 ぶ 意 欲 は 極 め て 高 い も の か お る こ と を 証 左 す る も の で も あ る。 ま た、 そ の 一 方 で は、 歴 史 知 識 を 学 校 授 業 に 依 存 す る こ と が 圧 倒 的 に 強 い 現 今 の 生 徒 は、 授 業 で 取 り 扱 う こ と が な け れ ば、アヘン 戦 争 の 背 景 も 知 ら ず、 辛 亥 革 命 に っ な が る 孫 文 の 動 向 も 知 ら な い ま ま に 中 等 教 育 の 課 程 を 終 え る こ と と な り か ね な い こ と も ま た、 当コメント は 示 し て い る。 い わ ゆ る 世 界 史 未 履 修 下 に あ っ た 時 の 過 去 の 理 系 生 徒 で は、 日 本 史 B に つ い て は 受 験 知 識 も 含 め て 深 い 理 解 を 示 し て い な が ら も、 一 方 で、アメリカ 合 衆 国 がイ ギリス か ら 独 立 し た 事 に つ い て 不 明 確 な 認 識 し か 持 ち 得 て お ら ず、 そ れ を 質 し た と こ ろ、 当 該 生 徒 か ら は、「 授 業 で 習 っ た こ と が な い」「 習 っ た か も し れ な い が 忘 れ た」 と す るコメント が 返 っ て き て 大 い に 失 望 さ せ ら れ た こ と が あ る。 現 在 の 生 徒 は、 自 ら 歴 史 知 識 を 習 得 し よ う と は し な い で そ れ を 学 校 授 業 に 依 存 す る 傾 向 が 強 く、 授 業 で 取 り 上 げ る こ と が な け れ ば、 最 低 限 と も い え る 歴 史 知 識、 地 域 認 識 す ら 持 ち 合 わ せ な い こ と が 起 っ て く る18 . そ の 一 方 で、 与 え ら れ た も の に は 的 確 に 対 応 す る と と も に、 知 識 習 得 に 対 す る 意 欲 は 決 し て 低 く は な い。 そ う し た 生 徒 の 現 実 に 対 し て、 大 学 受 験 の あ り 方 や 教 育 課 程 全 体 を 見 据 え つ つ、 中 等 教 育 段 階 で、 地 理・ 歴 史 に わ た る 社 会 科 的 知 識 を 広 く 授 業 で 取 り 上 げ る 必 要 も あ る と い え る。 し か し な が ら、 世 界 史 未 履 修 問 題 に お い て 浮 き 彫 り と な っ た 高 等 学 校 に お け る 地 歴 科 履 修 の 課 題 は、 何 ら 改 善 さ れ て い な い の が 現 況 な の で あ り、 そ れ を、 学 校 と 現 場 教 員 の「 努 力」 の み で 解 決 す る こ と は 到 底 困 難 で あ る と い え る。 こ う し た 現 状 に 葛 藤 し な が ら、「 未 履 修」 を 追 及 さ れ た 教 員 は、 そ の 後、 粛 々 と そ れ に 対 応 し、 生 徒 の 幅 広 い 知 見 の 習 得 と 進 路 実 現 と の た め に、 正 に 骨 身 を 削 っ て そ れ に 応 対 し て い る の が 現 実 な の で あ る。 3、「 地 歴 基 礎」 導 入 へ 向 け て の 視 座 (1 ) 日本 学術 会 議「 提言」 を め ぐっ て い わ ゆ る世界 史 未履 修問題 を契 機 として、地 歴科 履修 を めぐ る課題 は如 実 に示 され てい な がら も、 新 学 習 指導 要領 にお い て、 当課題 へ の 対応 は 何 ら提 示 さ れるこ と はな かっ た。 そ うした 中で、 冒頭 に触 れ た よ うに、 現 在、「 分 科会」 を中 心 に、 世 界史必 修 を見 直し、 地歴 科 にお け る 新た な統 合必 修 科 目の設 置 が模 索 され てい るこ とは、 行 き 過 ぎた科 目分 立の状 況 下にお い て 遊離 し がち な時 間認識 と空 間認 識 を統 合 させ るこ とは もち ろ ん のこ と、 現場 教員 の指 導 対応 の足 かせ になっ てい る といっ て も過 言で はな い 過重 な科 目必 修 のあ り方 につ い て一 石 を投じ る、 重 要 な提 起で あ る とい え る。 「 分 科会」 にお け る「 提言」 で は、「 歴 史 基礎」 と「 地 理基 礎」 を新設 し、 ともに 必修 にす るこ と が提 起 さ れた。 検討 がな されてい る新 科 目につ い て、 例 えば、 世 界史 と 日本 史 とを 融合 した「 歴 史 基 礎」 に 関して、 高橋 昌明 は「 一 国 完 結型 の 日本 史 と、 日本 が近代 に なっ て やっ と、 し かも 主に 否 定的 な形 で 登場 す る世 界史 が、 別 々に 教 え られてい る現行 とはまっ たく 異 な る内容」 で、「 暦 や紀 年

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70 観光 学研 究 第11 号 2012 年3 月 法、 時 間 の問題」 や「 家 族・ 親 族 (宗族 ) の国 際比 較」 等 のテーマ 学習 を 主 体とし な がら「 事項 中 心、 暗 記 中心 で『歴 史離 れ』 が云々 さ れてい る歴 史教 育の 現状 か らの 脱皮 を 意図し てい る」1 9とす る指 針 を示 してい る。 ま た、「 提 言」 にお い て も、「「 歴 史基礎」 では歴 史的 思考力 の育成 と歴 史的 知 識 の 教授 とに同等 の比 重 をお き、 歴 史 を「 考 え る楽 しみ」 を味 わ える 教科 に変 え て ゆく 必 要 かお る。 そ の た め、 主 題学 習 の充 実を は かる と ともに、 各 章 の冒頭 や 章末 に設 問 を設 け、 生徒 た ち が考え る 面 白 さを 味 わえ るよ うに 工夫 す る。 ま た、 調 べ学 習、 グルー プ研 究・ 発 表・ 討 論、 資 料・ 年表 の収 集・ 解 読 な どの機 会を 増加 し、 自発的 な 学習 に導 く。」2 0とす る 内容 構想 も提示 さ れ、 硬 直化 し た 歴 史教 育 の現 状にお い て、 そ の新 たな 形 を模索 し よ うとい うこ うし た 提 起に は、 賛意 を示 すも ので は あ る。「 地理 基礎」 につ い て も同 様 で、 未 履 修問題 に つい て論 じ る西 岡 尚也 が、「 学習 者 の世 界認 識(空 間・ 地理 認識 )の形 成 が不 十分 のま ま、 歴 史認 識 を強 引に 押し つ け よ うとし ても 消化 不良 に な っ て しま う」「 そ の地域 の地 域 像 =現 在 の地域イメー ジが描 か れな い 状態 で、 不完 全な 地 域像 の上 に「 歴 史像 = 過去 か ら現在 の人 間活 動」 を理 解 させ るこ とに は無 理 かお る」2 1として、 社会 科学 習 の基 礎 とし て の地理 学習 の効 用 につい て 述 べる よ うに、「 地 理基 礎」 の導入 も また、 喧 伝 されるい わ ゆる「 地理 離 れ」 を抑 える と とも に、 地理 的発 想 を基盤 とし た豊 かな 思考力 を育成 す るこ とに 資 す る も のと も思 われ る。 し かし な がら、 両科 目を新 必修 科 目 として 導入 す るこ とを想 定 し た場 合、 実 際の履 修 のお り方 を 考 え る と、 困難 な問題 を惹 起 す るこ と は不 可避 であ る とい え る。 従 来 の必 修科 目最 低 単位数 は、「 世 界 史A」2 単位に加 え て、 受 験対応 を視 野に入 れ た「 日本 史B」 あ るい は「 地理 B」4 単位 の履修 が一般 的 であ る が、 B 科 目4 単位 はそ の まま受 験 科 目とし て残 存 させ、「 歴 史 基礎」「 地理 基礎」 各2 単位 を必 修 とす るな らば、 必修 科 目の 単位数 が増 えるこ ととな り、 い わ ゆる未 履修 問題 につ な が っ た、 週5 日制の 窮屈 なカリキュラム の 中で、 一 層 の負担 と なる こ とは避 け られ ない か らであ る。 こ れに 対 して、「 分科 会」 で は、 必 修 科 目とし て、 地 理・ 日本 史・ 世 界史 を 統合 した「 地 歴基 礎」2 単位 も検討 の俎 上 にの ぼっ た もの の、 桜井 由躬 雄 が「 現状 では 世 界史・ 日本 史 と地理 とで は、 共有 す る ところ がほと ん どない。 地歴 基礎 科 目を必 修 とす る案 は、 理想 で あっ て も現 実に は長 期 の階梯 を 必要 とす る。 現 時点 で の地歴 統合 は現 実的 で はない」2 2と述 べ る よ うに、 そ の導入 は「 現実 的 で は ない」 との理 由で 斥け ら れ た様子 で あ る。 し か しな がら、 こ こで の「 現 実的」 な対応 は、 実 際 の 履修 の おり 方 を想 定 す るな ら、 前述 の よ うに、 全く「 現実的」 な もの と はい えない の が実 態で あ る とい え る。 「提言」 では、「 地歴 基 礎」 のメリット が取 り上げ られな が らも、 次 の 事柄 が、 その 導入 の障 害 と な ると され てい る23 . ①現 在 の教員 養成 課 程に おい て 歴 史 と地理 の教員 養 成 は別々 に 行 われ てい る。 ②教 員養 成 と同様 に、 現 場 の担 当 教員 も歴 史 と地理 で別 々で あ るこ とが多い。 ③歴 史系 と地理系 の研 究 者や 学 会 が 日常的 に交 流す る機 会 が少 ない ので、 教科 書 な どを 共 同で

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須賀 :「世 界史 未履 修問題」 の問題 と高校 地歴 科「 地 歴基 礎」 新設 へ の展望 ∼「 観光 歴史 教育論」 を基底 とし な がら ∼ 執筆す る 体制 を構 築 す るの も簡 単で はない。 ④ 地理 は、 自然 科学 と人文 社会 科 学 の両面 を有し てい るとい う学問 の 特殊性 か お る。 71 「提 言」 は、 上記 の事 柄 を挙 げ、「 将来的 にGIS な ど の利 用 が定 着し て歴 史 と地理 の担 当者 間 の 交 流 が 高校で も 大学 で も活発 に なれ ば、 地歴 基礎 案 も考 え られ るだ ろ う」 と留保 を加 え なが ら も、 そ の 条件 整備 に は時 間 がか か るとし て、「 地 歴基 礎」 案 を斥 け てい る。 し かし なが ら、 ここ で の指 摘 は、 二つ の点で、 そ の誤謬 を 指摘 し なくて はな らない。 第一 に、現場 の 対応 に対 す る現 状認 識 が的 確に なさ れてい ない 点で あ る。教員 養 成課 程に おい て、 もちろ ん、 歴 史、 地理、 そ れぞ れの 専門性 の向上 が図 ら れ、 そ れぞ れの 課程 にお け る教員 養成 が企 図 され てい るも のの、 あ くま で も免 許科 目の 技量 とし て 求 めら れてい る のは 地理・ 歴 史相 互 の指 導 力 を有 す る「 地理・ 歴 史 科」 で あり、 なお かつ、 前述 し た よ うに、 依然、「 社会 科」 とし て の教 科 の範 躊 が 厳然 とし て存 在 す る学校 現 場にお い ては、「 公 民 科」 の免許 を 有す るこ と も当然 視 され て お り、 あ るい は、 中・ 高一 貫 ま たは 連携 の観 点か ら教員 採 用 の段 階で、 中高 両種 の社 会科 関連 の免 許 取得 が求 めら れてい るケース も多 い2 4。 ま た、 学 校現 場 にお い て も、 一部 の 進学 校 を除 い て は、 地理・ 歴 史あ るい は公 民 まで 授業 科 目 とし て担 当す る 教員 も少 なくない。 現 実問題 として、 少 なく と も形 式 上にお い て教員 養成 が「 歴 史 と地理 の教員 養成 は 別々」 であ る こ とはない し、「 現場 の 担 当 教員 も歴 史 と地 理で別 々 で あ るこ と が多 い」 わけ で は決 して ない。 混迷 す る社 会状 況にお い て、 そ れに 対応 し た柔 軟な 発想 を 基 とし た、 総 合的 視野 を 有し た、 正 に「 社 会科」 的 発想 が、 地理・ 歴 史、 そ れぞ れ の教員 に 求 め られて い る。 現実 の教員 養成 が、 地理・ 歴 史、 一 方に 偏し た もの であ れ ば、 そ れ を是 正し、 双 方 に通 じ た養成 課 程の構 築 も必 要で あ ろ うし、 そ の一 方で、 現 実に 現 場教員 は、 双 方 の教科 指 導 が求 め られ、 そ の要請 に応 え なが ら 日々努 力 して い る厳 然 とし た事 実か お る。 「 社会 科」 教員 として 奮 闘す る現 場 教員 の総 合性 と、 ま たそ の衿 持・ 力 量 とを、「 提 言」 は あま り に も軽 ん じて はい ない だ ろ うか。 第 二に、 歴 史系 と地 理 系 の研 究者 ら の相互 交流 の不 足 に よる 問題 とい うこと は、 確 かに、 教科 書 執筆 等 の 現実的 な 取 り組 み として は 大き な課題 となろ うが、 そ のこ とを、 科 目編 成 を検討 す る 上で の 障害 とする 見方 は、「タコ つ ぼ」イヒ し た、 自ら の専 門性 を 脱 し よ うとし ない研 究者 側 の手 前勝 手 な 論理 で あっ て、 い わば、 そ うし た 瓊末 な研 究者側 の 事 情に よっ て、 科 目 編成 を斟 酌す る必 要 は全 く ない の では ない だろ うか。 こ こにお い て も、 現今 の 地理・ 歴 史教 育に おい て 正に 発揮 され るべき 「 社会 科」 的発 想 が、 全 く 意識 され てい ない こ とが うか が える。 ま た、 専 門性 の観 点 から も、 地理 が有し てい る「 自然科 学 と人 文 社会 科学 の両 面」 を、 地 理歴 史 の 統合科 目で教 授す る こと は決 して 不 可能 で はない し、 地理 の 自然 科学 的学 問分 野を 交え る こ とで、 歴 史 教育 の発想 が豊 かに な るこ と も考 え られ る。 融 合科 目の設 置 にあ たっ て、 地理・ 歴 史、 い ず れ にお い て も、 専門 家 らの論 議 も含 めた、「 教授 し なけ れば な らない」 とす る固 定的 な教科 内 容 に関 す る意識 を 一掃 す るこ と が必 要で、 そ れ らを 越え た、 新 しい 学 習内容 の 検討 が必 要で あ る。 そ のた め には、 地 理・ 歴 史、 それ ぞ れ の学

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72 観 光学研 究 第11 号 2012 年3 月 問的 枠 組 みを越 え た、 新 たな 着想 が求 めら れてお り、 同時 に、 そ れら の知 識・ 教養 等こ そ 教授 すべ き 内容 とし て 検討 する こ とが必 要で あ る。 そ のた めに、 地 理・ 歴史 相 互の研 究者 の 連携 は言 うまで も ない が、「 社 会 科」 授業 におい て、 日々そ れ らに 取 り組 んでい る現場 教員 を、 そ の科 目編 成 にお い て は 積極的 に 登 用す べき だろ うし、 ま た、 ここ に こそ、 社会 科 教育 の専 門研 究 者 が力 量を 発揮 す るべ き場 があ る に ちがい ない。 地理・ 歴 史研 究者 の 狭倭 な 現状 認識 だけ で、「 地歴 基 礎」 導 入 を悲 観的 に捉 え る理 由 は全く 無い のであ る。 一方 で、「 提 言」 が、 考 古学・ 人 類学 の成果 を 積極 的 に取 り入 れ るこ とを 取り入 れ るこ とを提 議 し てい る こ とに は大い に 賛成 であ る。「 提 言」 も示 す よ うに、 地理・ 歴 史教 育にお い て、 考 古学・ 人 類 学研 究者 の 関与 の度 合い は 高く はなく2 5、 考 古 学・ 人 類 学に 関 わる資 料 も教科 書 中に 取 り上 げ られ るこ とは あっ て も、 お ざな りの感 は否 めず、 それ ら を主 体 とし た授業 を視 野 に入 れ たも のは ほ とん どな かっ た とい っ て よい。「 提言」 は「 日本 社会 の 内向化 か一段 と進 んでい る現 状にお い て、 地歴 科 教育 の 中に 人類 学や 考 古学 の研 究成 果を 積極 的 に取 り入 れ、 実体資 料に 基づい て 歴 史や 地理 を多 様 な視 点 から 学ぶ 機会 を生 徒 に与 える と とも に、 政治 史 中心 主義や 固 定 され た伝 統主 義 を乗 り 越 えた 人類 史的 な 視座 の獲 得を 進 めて ゆく 取 り組 みが、 こ れ から の地歴 科 教育 に とっ て よ り 喫緊 の 課題」2 6であ る と捉 え、 そ の研 究 のあ り方 は、「 歴 史 基礎・ 地理基 礎 の創設 や、 地歴 科 そ の もの を 総合 化 する た めの理 論的 基盤 を も与 え る」2 7とす る が、 正 に、 細分化 し た地 理・ 歴 史教 材 の捉 え方 を、「 社会科」 的発 想 から 総合化 し、 再 編し てい く た めの手 が か りとし て、 考古 学・ 人 類 学、 さら には、 地 理・ 歴 史 の学習 を、 社 会 の現状 に 照らし 合 わせ た観 点 から認 識 す るた めの社 会 学的 分 析 も 必要 となっ て く るに ちがい ない。 地 理学・ 歴 史学 の 成果 をそ の まま 教育 の場 におい て 注入 す る のみ なら ず、 諸学 問 の成果 を反 映 させ な がら総 合化 し てい く こ とが より求 められ るべ きで あ り、 新科 目 はも ちろ ん、 旧来 の科 目 におい て も、 そ うし た視 野 は さらに 必 要 となっ てく るであ ろ う。 ま た、 と り わけ歴 史教 育に つい て、 歴 史 教科 書 の記述 に 基づ く「「 正答 主義」 の傾 向」 を 排 除し。 「歴 史 的 思考力 を 育成 す る方 法の 独 自の開 発 が不可 欠」 であ る とす る中で、「 関係 学 会な どで重 要 用語 を 厳選 す る ガイ ドライン を 作成 し、 大 学入試 の出題 を そ の ガイ ドライン 内 で行 うと とも に、 歴 史的 思 考力 を 問 う問題 の出題 を 増や す よ うに働 き かけ て ゆく」 とい う提 言2 8も非 常に 重 要 で あ る。 前述 の よ うに、センター 試 験や 国公 立大 学 二次試 験 は と もかく、 私大入 試 にお い て は、 と り わけ、 特定 の出 版社 の用語集 が金科 玉 条 たるべ く重 んじ ら れ、 そこ に 記載 さ れてい るこ とを大 義名 分 とし て、 半ばクイ ズのよ うな歴史 問題 が 出題 され るこ とす らあ る。 出題 す る側 も、 自ら の無 益 な受 験勉 強を 顧み なが ら もそ うし た出題 に疑 念の 余地 を持 つ こ とは なく、 ま た、 それ に相 対す る 高 校教員 も そ の 現状 を受 けて、 ひ た すら 暗記 を 強制 する よ うな 授業 を展 開し、 生 徒 は、 た だそ の現 実 に振 り回 されて、 歴 史 的考 察を 深 める こ との面 白 さな どか ら 徹底 的に 排 除さ れな がら、 や みく も に受 験 用語 を 暗記 し、 学習 を 進 めてい く。 そ して、 受 験 が終 わ ればそ うし た用語 は全 く忘 却 され、 歴 史 学習 の 成果 とし て、 何 の得 る こ とも なく、 単 に受 験 の道 具 とし て歴 史学 習に 接し た 体験 があ る と回 顧 する こ とば かり であ り、 そ うし た 中で、 歴 史的 思考力 は もちろ ん、 歴 史的 常識 す らも 体得 し ない まま に

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須賀 :「世 界史未 履修 問題」 の問題 と高校 地歴 科「 地歴 基礎」 新設 へ の展望 ∼「 観光 歴史 教育 論」 を 基底 とし な がら∼ 73 学 習 の課 程 を終 えて いく こ と とな るの が現 実で あ る。 こ うし た「 正答主 義」「 暗記 主 義」 の大 きな 根 源 は、 野 放図 のま ま にお かれ た、 用語 の 理解 度 のみ を図 ろ うと する受 験問 題 の拙 劣 さに ある こ と に 帰す るこ とは容 易 で あり、そ こに ガイ ドライン を設 定し、一 定の 歯止 めを かけ よ うと す る試 み は、 そ こ に縛 られざ る を得 ない 高校 教員 とそ の 生徒 の た めに、 ぜひ に も必要 と なっ てく る 事柄 であ る。 一方、 受 験 と新設 定 科 目に 関し ては、「『歴 史基礎 』は 大 学受 験に 即応し た科 目とは い えない の で、 未 履修 に な らない 措 置 がと られ ねば な らない」2 9とす る、 正に非 現 実的 な言 も なさ れて いて、 そ う し た発 想 が、「 分科 会」 の 大勢 をな す もの であ れ ば、 そ の 姿勢 にも 大い に疑問 が残 る。 い わ ゆる難 関 大 学 を中 心 に、 受 験 科 目と して4 単位 の地歴 B 科 目を設 定 してい る大学 が多い こ とか ら、 地歴A 科 目が軽 視 さ れが ちで あ る現状 か おり、 あ まつ さえ、 受 験科 目に な らない よ うな こ とが あれ ば、 そ の 履 修 が効 果的 な も のとし て機 能し なく な る こ とは明 ら かで あ り、 受 験に対 応せ ず し て 高等学 校 にお け る科 目履修 が成 り 立ち うると は到底 思 え ない か らであ る。 同 時 に、「 世 界史、 日本 史科 目履 修者 に は、 歴 史基 礎履 修 を免 除す るみ なし 規 定」3 0も検討 さ れてい るとも され、 そ うな れば、 受 験 科 目 と も な らない 当該科 目を履 修 させ る学校 がどれ だ けあ る の か甚だ疑 問 とな る。 そ の場 合 には、「 歴 史基 礎」「 地理 基礎」 が必 修 科 目とし て 導入 さ れた とし て も、 高 い理 想 だけ 掲げた だ けで、 高校現 場 にお い て は、 単 なる厄 介者 扱い をさ れる だけ で はなく、 代替 科 目の履 修 に よっ て、 ほと ん ど履修 の 実績 が なく な る、 とい っ たこ とす ら懸 念 され る。 履 修 の 実 際を めぐっ て、「 提 言」 で は、 以 下 のよ うな案 も提示 さ れてい る3 1。 ①現B 科 目 (世 界史・ 日本 史・ 地 理各4 単位 ) を2 単位 に減 少 させた 上 で、1 科 目を選 択 させ て、 基礎 科 目(合計4 単位必 修 ) と合 わせ て 計6 単位 とす る。 ②現B 科 目の4 単位制 を 維持 す るの であ れ ば、 選択 必修 制 をや め、 選 択 しな い こ とも許 容す る 単 純選 択 制に す るこ とに よっ て、 大 学受 験 をし ない 生 徒は 基礎2 科 目計4 単位 で 修了 と し。 大 学受 験 をす る生 徒は さ らに1 科 目4 単 位 を履 修し て、 計8 単位 とす る。 こ れ ら は、 前 述 の用語 の ガイ ドライン 設 定 と合 わせ て、 現B 科 目を 抜本 的 に改 革 し よ うとい う野 心的 な案 で、 そ こ での 前提 とし て、「 地 理 基礎」「 歴 史基 礎」2 科 目4 単位 必修 を 貫 徹す るこ と が考 え られ てい るこ と が わかる。4 単位 とす る基礎 科 目を重 視す るい ずれ の案 にお い て も、 実施 に際 し て の 最低 条件 は、 前 述 の受 験科 目 との 関連 にお い て、「 地 理基 礎」「 歴 史基礎」2 科 目4 単位 で の受 験が、 い ず れの 大学 にお い ても 可能 と な るとい うこ とで あろ う。センター 試 験 で の地 歴2 科 目受 験 が、 今 春 の受 験 か ら可能 と なっ た が、 例 え ば、 基礎 科 目4 単位 とB 科 目の受 験 が採 り入 れら れてい け ば、 学 校 現場 にお け る基礎 科 目の 定着 度 も 高ま るも の と思 われ る。 し か しな が ら、 実 際の履 修 の 場 にお い て、 ① 案にい うB科 目2 単 位設 定 は、 少 なく と も現状 のB 科 目の お り方 か ら考 えれ ば発想 し 難い し、 ②案 にい う必 修8 単位 は、 もち ろ ん、 地歴 科 だけで 見 れば最 良 の もの と なろ うが、 既 述 し てい る ように、 公 民科 の必 修科 目と の抱 き合 わせ や 他 教科に おけ る必 修科 目の配 列 を考 慮 にい れ れ ば、 そ の負 担 過重 は大 きす ぎ ると 思 われ る。 「提 言」 に お ける「 歴 史基 礎」「 地 理基 礎」 か らな る基礎 科 目4 単位 を必 修 とす る案 は、 そ の 学習

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74 観 光学 研究 第11 号 2012 年3 月 効果 にお い て疑 念 を差 し挟 む もの はない ものの、学 校現 場 の現状 を 勘案 すれ ば、そ の実施 にお い て、 極 めて困 難 なも の かお るとい わざ るを えない。 同 時 にそ こで示 され た「 地歴 基 礎」 悲観 論 ともい う べき、当科 目に対 す る否 定的 な見 解 は一 掃 され るべき で、高校 現場 にお け る履 修 状況 等 を勘案 して、 新 た な必 修科 目 の設 定を構 想 す るな ら ば、 地 理 と日本 史・ 世 界史 を融 合し た「 地 歴 基礎」2 単位 の 導入 こ そ が有効 で あ ると考 え るこ と がで きる ので あ る。 (2 )「地 歴基 礎」 試 案の 提起 「地歴 基 礎」 の 学習 の実 際を 想 定す る なら ば、 日本 か ら世界 へ の地 域区 分ご と に、 そ の地理的 状 況 をま と めつ つ、 地域 に特 徴的 な史 跡や 産物 を 通し て歴 史 学習 に連 関 させ る主題 学 習 を主 体 とす る こ とが 考え られ る。 そこ で は、 旧来 の歴 史 学習 でい う歴 史語 句や 年代 及 び 地理 学習 でい う地名・ 物 産の 暗記 主義 的 学習 手法 か ら完全 に 脱却 し、 地域 そ の ものを 焦点 化 し、 地 域にお け る地 理的 歴史的 課題 を取 り上 げ、 探 究さ せてい く こ と を学習 課題 とし て設 定 してい き たい。 地理 と歴 史 を 統合し、 総 合的 に 把握 させ てい く発 想 は、 既 に、1930 年代 に、 喜 田貞 吉 に よっ て提 起 され てい る3 2。 国 定教 科書 にお け る 南北朝 正 閏問題 との 関わ りで知 ら れ る喜 田は、 一 方で、「 土 地其 も の」 を媒 介 とし た歴 史的 考 察 を重 視す べき こ とを主 唱 し3 3、 そ の視 野は、 正に 地理 と歴 史 を 総合 的 に捉 える も ので あっ た とい え る。 ま た、 日本 民 俗学 を確 立し た柳 田国男 と 日本 にお け る近代 人文 地理 学成 立 に貢 献し た小 田内通 敏 とを 対比 した 野渾 秀樹 は、「 柳 田は、 自ら の学問 を 日本 に固 有 の学問 で あり な がら、 欧 米 流 の近代 科 学 として仕 上 げ るた めに 独力 で努 力 を傾 けて き た」「 他 方、 小 田内 は、 欧 米 の先 進地 の地 理 学思 想 の導入 に努力 し、 日本 にお け る人 文 地理 学 の確 立の た めに努 力 を 傾け た」 とし てそ の 手法 の違 い につ いて 明 らか にす るが3 4、 両者 がい ず れ もそ の研 究 対象 とし たの は「 郷土」 のあ り方 であ り、 地 域 の様 相か ら歴 史的 地理 的特 質 を抽 出し、 そ れを考 察 の対象 と し た 点で は同 一で、 地域 の事 象 を地 理・ 歴 史相互 の観 点 か ら俯瞰 して 探 究し てい く 方向性 は喜 田の 視 野 と共 通す る もので あっ た とい え る。 そ うした 戦 前期 にお け る認 識 も踏 ま えつ つ、「 地歴 基礎」 の設 定の 意義 を考 え るな らば、 戦 後 におい て、 分化 的 状況 が 進 んだ社 会科 のあ り かたにお い て、 そ れ を 統合 し、 総合的 観 点 を回復 させ る意 味 からも、 一 つ の大 きな好 機 と捉 え るこ とがで き る。 そ れ を、 現 況にお け る地理・ 歴 史相 互 の研 究者 らの自 ら の専門 性 に縛 られ た窮 屈 な発 想 に よっ て 抑制す る こ とは、 混迷 す る社 会状 況に おい て 今 こそ 求 められ るべ き社 会科 を 基点 とし た総合 的視 野 の育成 を妨 げ る もの とな ろ うし、 ま た、 実 際の運 用 にお け る観点 か らも、 科 目及 び履 修 単位 増加 に よる 現 場 教員 の負 担感 を何 ら 考慮 しな い、 非 現実 的 なも の となっ てい る と言 わ ざる をえ ない。 加 え て、 た と えば、 世 界史 と 日本史 と を融 合し た「 歴 史 基礎」 につ い て 検討 すれ ば、 そ の発想 は、「 世 界」 と「 日 本」 とを区分 け す るこ とで歴 史 認識 を 分断 させ る傾 向 にも あっ た旧 来 の歴 史 学習 のお り方 に襖 を 打 ち込 む もの とし て評 価 もで き るも の の、 そ れ は、 極 端 に 日本 史分野 に 偏っ てい た、 従来 の中 学校社 会科 歴 史学習 に 世界 史 分野 の学 習 を積 極的 に組 み込 む こ とで、 そ の意 図は 十分 に 実現 す るこ とがで き ると思 わ れ、「 歴 史基 礎」 を高 校地 歴科 に導 入す る こ とは、 科 目融 合 にお け る中 学校歴 史 学習 の 意 義 を 損な い か ねない も の とな ると もい え る。 こ れ らの観 点 か ら、 高 校 地歴 科 にお け る新 たな必 修科

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須賀 :「世 界史未 履修 問題」 の問題 と 高校地 歴科「 地 歴 基礎」 新設 へ の展望 ∼「 観 光 歴史 教育 論」 を基底 とし な が ら∼ 75 目を模 索 す る時、「 地歴 基礎」 の導入 こ そ が有効 で はない かと 強く 主張 したい。 一方 で、「 地歴 基礎」 にお け る 具体的 な 教材 開発 の おり方 を 考 える時、 それ が 地理 と歴 史の 単な る 寄せ集 めで は意 味が ない。 従来 の通 史学 習や 地誌 学 習を 単に 接合 す る意 図で 捉 えるな ら ば、 そ の 統 合 が「 現実的 では ない」 も の として片 づ け られ るこ とに 何 ら異論 を 唱え る もので は ない。 当科 目は、 全く 新 しい 発想 から 取り 組む べき で、 そ の一つ の手法 と して、 地 理 と歴 史の 双方 の観 点 を融合 させ た 授業 論 とし て筆者 の主 唱す る「 観光歴 史教 育論」 を と りあ げ たい。「 観 光歴 史 教育論」 とは、 歴 史 授業 にお い て、「 観 光」 を 切 り 口として、 地域 の様 々 な都 市・ 文化 遺 産を 取り 上げ る とと もに、 そ の 活用 の お り方 につい て 学習 主 体に投 げ かけ、 観 光 資源 とし て の歴 史 遺産 を概観 させ る と ともに、 そ こに 見 出 され る歴 史表 象 のあ り方 を考 察 させ る取 り組 みで あ る3 5。 本 論 は、 歴 史教 育 に供す る 立場 で教 材 開発 にあ だっ て き たが、歴 史的 概 念 のみ な らず、地域 にお け る観 光資 源 のお り方 を捉 えさ せ、 「土 地」 そ の もの を題 材 とす るも ので ある こ とか ら、 地 理 的認 識 を深化 させ るた めの 取り組 み と も な り、 歴 史 的視 野 と地理 的 視 野の相 互 関連性 は 極 めて 高い。 こ の こ とか ら、 地 理・ 歴 史相互 の観 点 か ら地域 の状況 を多 角的 に 把握 す るた めの 手法 とし て、 正 に、 新 科 目「 地歴 基 礎」 の基 礎的 概念 と して成 り立 ち うる もので あ る とい え る ので ある。 「観 光 歴 史教 育論」 の発想 に 立脚 し た授業 展 開につ い て 構想 す れば、 地 理学 にお け る地誌 研 究 の 成 果 を反 映 させ な がら3 6、 正 に、 地 理・ 歴 史 を総 合化 す る観 点 から観 光 のお り方 に着 目し、 地 域 の 特 色や そ の課 題 につい て 主題 学 習に 取 り組ま せ、多 様 な 地域認 識 を 形成 させ るこ とがで きる だろ う。 全 体構 成 を概 括す れ ば、 科 目全 体の 導入 とし て3 時 間程 度 を用い て、 歴 史 と地 理を 考察 す るこ と の 意 義に 触 れ ると とも に、 そ のお り方 につい て、 日本、 そ し て世 界 を旅す る こ との楽 し さや そ の 地理 的・ 歴 史的 背 景 を認識 す るこ と から 実感 させ るこ と とす る。 ま た、 各 地 の祭 礼や 料理 な ど、 民 俗(族) 学 的視 点 も 参照 させ、 世 界各 地 の地 域 のあ り方 につい て、 多 角的 に理解 させ るた めの 手が かり とす る。 さら に、 内容 で は、 日本 と世界 の歴 史 と地理 につ い て、 地 域 ごと に概観 し、 そ の認 識 を深 め る こ と とし、 そ の 際、 領域 ご とに2 つ 程度 の都 市や 地 域を 取 り上 げて、 観 光者 の観 点 か ら、 歴 史的・ 地 理的 特 色や 地域 振 興の あ り方 につ い て把 握 させ る と とも に、 そ の背景 に あ る各地 域 の抱 える課 題 につ い て 考察 させ る こ ととす る。 最 終章 にお いて は、 地 理的・ 歴 史的特 色 に立脚 し た、 国内・ 海 外 の旅 行 計 画 を立案 させ、 そ の学習 の成 果 につ い てま と めさせ るこ と とす る。 終 わ りに、 科 目全 体 の ま と めと して3 時 間 程度 の 授業時 間 を設 定し、 既 習 事項 を整 理 しつ つ、 現 代世 界 に内 在す る諸 問題 の背景 と して の歴 史的・ 地理 的状 況 につい て 考 察させ る ととも に、 一 体化 し た世 界の あり 方につ い て認 識 さ せ、 時 間的・ 空 間的 広 がり にみ る世 界 とそ の現 状 につい て理解 させ、 当科 目を総 括す る こ ととす る。 具 体的 な授 業構 想 とし て は、 東 北 地方 を 教材化 す る中 で、 地 域 事例 とし て平 泉 を取 り上 げた 実 践 試 案 を構 築し た (資料1 参 照)。

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76 1 単 元 名 観 光学 研究 第11 号 2012 年3 月 資 料1 「 地 歴 基 礎」学習 指 導案 事 例 第1 編 日 本 の歴 史と地 理∼ 日 本を旅 する∼  第2 章 東 北地 方を旅する 2、 単 元 設 定 の 理 由 及 び 観 点 日 本 と世 界 の あり 方 に つ い て、 観 光 の 視 野も 基 底としな がら、 歴 史 学 及 び 地 理 学 的 観 点 から 捉 え ようとす る 時、3 北 地 方 を取 り上 げ る 目 的 は、 以 下 の 事 柄 が 特 徴 的 なも の として 挙 げ られ る。 第 一 に、 多 様 な 山 林 を 有 す る 奥 深 い 山 野 と独 特 な 海 岸 線 の 地 形、 沿 岸 の 豊 富 な 漁 場 か ら、 歴 史 的 にも 林 業・ 漁 業 が 盛 ん であ る ととも に、 平 野 部を 中・C に 米 作 を 主 体 とした 農 業 も 盛 ん で、 全 国 の 農 林 水 産 業 の 拠 点 とし て の 位 置 付 けを なし てい る 点 で あり、 第 二 に、 歴 史 的 経 過 の 中 で、 中 央 政 権 と対 峙した 独 自 性を 示しつ つ も、 そ れ ら が 抑 え 込 ま れ る 形 で 全 国 的 な 統 一 が な され て き た という 点 で あ る。 そうした 地 理 的 歴 史 的 状 況 を 背 景 としな が ら、 地 域 独 自 の 伝 統 産 業 や 祭 礼 が 営ま れ てき たこ とも特 徴 的 で、 そ れらを 取り上 げ、 そ の 位 置 付 け に つ い て 考 察 させ ることに も意 義 を 見 い だ すことが で きる。 ま た、 具 体 的 な 都 市・ 村 落 の 事 例 として、 世 界 遺 産 となっ た 平 泉 や 近 世 宿 場 の 景 観 を 今 に 残 す 福 島 県 会 津 地 方 の 大 内 宿 を 取り 上 げ、 そ の 歴 史 と地 理 の あ り方 を 把 握さ せ、 観 光 を 通じた 地 域 振 興 に つ い て 認 識 させ る 一 方、 そ の 結 果j じる 功 罪 に つ い ても 分 析し、 考 察 させ ることを 通じて 地 域 の 地 理 的 歴 史 的 認 識 を 深 めさ せ ることも 可 能 となる。 3。 単 元の 目 標 ・東北 地 方の 地 形 や 産業など地 誌的 状況を概 観するとともに、 地域 に残る郷 土 芸能 や 伝承・ 行事を取り上げ、 地 域認 識を深 める。 ・東北 地 方にお ける 歴史 的状 況を概観し、 古 代から中世 に至るい わ ゆる「蝦 夷 征 討」から「奥 州 征 伐」、 戦 国 期から 近 世・近 代に 至る奥州 仕 置、 戊辰 戦 争に至 るまで、 中 央政 権と対 峙しつつも、 常に独 自 の 歴史 的 風土 が形 成され てきた 歴史 的 経 過について認 識を深める。 ■12世 紀に大 陸との 交 流も保 持しな がら特 徴的な 文化 圏を形 成し、 世 界 遺産 にも選定された平 泉の 地 理的、 歴史 的状 況を概 観するとともに、 その 選 定経 過に おける混 乱を 通じて、 世 界遺 産 選定 の 功罪 について考 察し認 識を 深 める。 ・地 域 の 歴史 的 拠点 として推移した 会津 若 松の 地理 的、 歴 史的 状 況を概 観するとともに、 その 宿駅として 現在にも その 景 観を残す 大 内宿を取り上 げ、 街並 み 保存 に至るまでの 推 移を 概観し、 歴史 的 景 観の 保 持を 通じた地 域 振興 の あり方 につい て考察し認 識を深める。 4、 単 元 の指 導 計 画 ・東 北地 方 の 地 形と気候 ∼ 豊かな 自然と人 びとの生 活 ∼  ‥1 時 間 ・東 北地 方 の 歴史 ∼ 中央 政 権と対峙した 歴史 的経 過 ∼  ‥1 時 間 ・平 泉の 歴 史と地 理 ∼ 世界 遺 産の 光と影、 骨 寺村 荘園 遺 跡 の軌 跡 ∼ ‥1 時 間(本 時) ・会 津の 歴 史と地 理 ∼ 会津 平 野の 寺社と町、 そして大内 宿 ∼ ■■1時間 5、 本 時の 指 導(1) 本 時 の目 標 ・12 化 圏 一 心 の 的 状 況 を 概 観 す る。 ・ 中 尊 寺 領 骨 寺 村 絵 図 を 読 み 取 り、 地 図 に 込 め ら れ た 人 び との 信 仰 や 生 活 の あり 方 に つい て 認 識 し、 概 況 を 把 握 す る。 地域 の 歴 史 ・世界 遺産 選 定 の経 過 で、 中 世的 村落 景 観が 現 存することで当初 は そのリスト に挙 げられたもの の後 に除 外され ることとなった骨 寺 村荘 園 遺跡 のあり方から世 界遺 産 選定 の 功罪 について考 察し、 認 識を深める。

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須 賀 「 世 界史未履 修 問題」 の問題 と高校 地歴 科「 地歴 基礎」 新設 へ の展望 ∼「 観光 歴史 教育 論」 を 基底 とし なが ら∼ (2) 本 時 の 指 導 計 画 過 程 学 習 活 動・ 内 容 時 間( 分) 教 師 の 活 動 及 び 指 導 上 の 留 意 点 評 価 の 観 点 導 入 ○ 中 尊 寺 金 色 堂 の 写 真を 見 て、 そ の 壮 麗 さを 実 感 するとともに、 そ れ が 岩 手 県 平 泉 に 現 存し、 周 辺 寺 院とともに 世 界 遺 産 にも選 定 され た ことを確 認 す る。 ○ 骨 寺 村 荘 園 遺 跡 の 写 真を 見 て、 ありふ れ た 田 園 風 景 が 平 泉 の 歴 史 状 況 に関 わ る 意 義 のあ る 場 所 で あるとす る 教 師 の 説 明 に 関 心を 抱く。 5 ● 中 尊 寺 金 色 堂 の 写 真を 提 示し、 そ れ が どこ の 建 物 か を 発 問しな が ら、 平 泉 に 関 す る 関 心 をもた せ、 平 泉 が 世 界 遺 産 にも選 定さ れ たことを確 認 す る。 同 時 に、 骨 寺 村 荘 園 遺 跡 の 景 観 写 真 を 提 示し、 そ れ が、 や はり 平 泉 の 歴 史 状 況 を 今 に 伝 えるも の で あることを 触 れな が ら、 本 時 の 学 習 内 容 に つ い て 説 明し、 授 業 意 欲 を 喚 起 する。 □ 中 尊 寺 金 色 堂 の 写 真 と、 骨 寺 村 荘 園 遺 跡 の 写 真 を 見 比 べ な がら、 本 時 の 学 習 内 容 に 関 心 が 持 てた か。 □ 本 時 の 学 習 内 容 の 概 略 に つ い て、 理 解 すること が でき た か。 展 開 ○ 中 世 都 市 として の 平 泉 は、1980 年 代 以 降 の 発 掘 による 中 世 考 古 学 研 究 の 成 果 によっ て明 ら か に なったことを 確 認 する。 ま た、 大 量 の 国 産・ 舶 載 陶 磁 器 が 出 土して いることも認 識し、 そ の 理 由を 考 察しな が ら、 そ れ らが 集 積さ れ た 経 済 拠 点 とし て の 平 泉 の あり方 に つ い て 理 解 す ると ともに、 平 泉 が 他 地 域 の 交 流 拠 点 で あっ たことか ら、 中 央 政 府 か らも重 要 視さ れ てい たことを 認 識 す る。 10 ● 中 世 都 市・ 平 泉 の 有 様 が 確 認 できた の が1980 年 代 以 降 の 発 掘 の 成 果 であ ること に 言 及しな が ら、 そこ から出 土 す る 大 量 の 国 産 哺白載 陶 磁 器を 提 示し、 そ の 生 産 地 を 地 図 で 確 認させ る。 各 地 の 陶 磁 器 が 平 泉 で 出 土 する 理 由 に つ い て 発 問し、 考 察さ せ、 そ の 活 発 な 経 済 活 動 のあ り方 に つい て、 認 識させ る。 ● 金 や 馬、 昆 布 など の奥 州 藤 原 氏 から 中 央 貴 族 へ の 貢 納 品 か ら、 平 泉 が 北 方 の「 蝦 夷」さら に は「オホーツク 文 化 圏」 とも交 流を 持 ち、 そ のことから、 平 泉 が 中 央 政 府 からも重 要 視 され てい たことを 認 識させ る。 □ 中 世 都 市 平 泉 の 解 明 は、 中 世 考 古 学 研 究 の 成 果 で あることを 理 解 でき た か。 □ 出 土 品 の 生 産 地 を地 図 上 で 確 認し、 経 済 拠 点 として の 平 泉 の あり 方 に つ い て 認 識 でき た か。 ○中尊寺領骨寺村荘園におけ る、 鎌 倉 時 代 後 期 のもの ともさ れ る2 つ の 絵 図 を 見 て、 そ の 読 み 解きを 試 みな が ら、 そ の 共 通 点・ 相 違 点 につ い て 考 察し、 発 表 す る。 また、 この 時 挙 げ た 共 通 点・ 相 違 点 か ら類 推 できる 事 柄 を 考 察、 発 表し て、 絵 図 から わ かる 当 地 の 歴 史 状 況 に つい て認 識 す る。 10 ● 中 尊 寺 領 骨 寺 村 荘 園 につ い て、 そ の 概 観 を 今 に 伝 え る、 鎌 倉 時 代 後 期 の もの とも さ れる2 つ の 絵 図(「 骨 寺 村 仏 神 絵 図」「 骨 寺 村 在 家 絵 図」) を 提 示し、 両 絵 図 の 共 通 点・ 相 違 点 に つい て 挙 げ させる。 ● 時 期 の 異 なる2 つ の 絵 図 の 共 通 点 や 相 違 点 か らわ か る事 柄 に つ い て 考 察させ、 以 下 の 事 柄 に 気 付 か せる。・ 常 に 図 の 上 部 に 描 か れ る栗 駒 山 は、 村 の「ラン ドマーク」 として 認 識 され てい るも の と推 測 され ること。・ 両 図 に 描き 込 ま れ る 宇 那 根 社 一六 所 宮 は、 村 落 にお け る 信 仰 の 中 心 であ ったと 思 わ れること。・ 田 地 の 形 状 や 道 の 変 化 か ら、 村 落 内 部 で の 開 発 の 進 行 具 合 が わ か ること。 □ 歴 史 地 理 学 的ア プローチ から 絵 図 を 読 み 解き、 そ の 特 色を 考 察し、 発 表 することが でき た か。 ○骨寺村荘園遺跡の写真を再 度 確 認し、 絵 図 に 描 か れ た 景 観 が、 ほ ぼ そ の まま の 形 で 現 地 で 確 認 できることに 気 付 き、 当 地 が、 中 世 村 落 の 景 観を 今 に 残 す とともに、 平 泉 の 歴 史 状 況 を 実 感 させ る 貴 重な 場 であることを 認 識 す る。 10 ● 骨 寺 村 荘 園 遺 跡 の 写 真 を 改 め て 提 示 し、 六 所 宮( 現、 駒 形 神 社) や 川、 道 筋、 田 地 など、 絵 図 に 描 か れ た 景 観 が、 ほ ぼ そ の まま 現 状 に 残 され てい ることを 示し、 当 遺 跡 の 意 義 に つい て、 理 解さ せ るととも に、 平 泉 の 歴 史 状 況を 実 感 す るた め の 貴 重 な 景 観 であ ることを 認 識させ る。 □ 骨 寺 村 荘 園 遺 跡 の 史 跡とし て の 価 値 を 認 識 す ることが でき た か。 フフ

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