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中型哺乳類を典型性注目種とした生態系アセスメント手法の開発

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. 中型哺乳類を典型性注目種とした 生態系アセスメント手法の開発 背 景 発電所の環境影響評価では、生態系に及ぼす影響を評価することが求められている。環境影響予測評価に際 しては、地域の生態系を特徴づける種を、上位性、典型性、特殊性の視点から注目種として選定し、生態系へ の影響を可能な限り定量的に把握することとされているが、具体的な手法は提示されていない。. 目 的 里山地域に生息する典型的な中型哺乳類を対象として、DNA 情報や GIS 等を利用し、注目種と生息環境と の関わりの視点から、開発事業が生態系に及ぼす影響を定量的に評価する手法を開発する。. 主な成果 中型哺乳類の生息環境として重要な「採餌環境」、「行動環境」 、「繁殖環境」に着目し、典型性の視点からの 生態系アセスメント手法を構築した(図 1)。 1.DNA 情報を利用したアナグマの個体数推定 鹿児島県薩摩川内市において典型性注目種としてアナグマをモデル例にして,植生の異なる調査区を設置 し、アナグマの糞を採取した。糞 DNA による個体識別結果から、アナグマの生息個体数密度はクロマツ植 林を主体とする低地で 0.18 個体/ha、常緑広葉樹林とスギ植林が混在する山地で 0.30 個体/ha と推定された (図 2)。 2.地理情報システム(GIS)を用いた餌資源分布の評価 糞分析の結果から明らかになったミミズ、陸生貝類、甲虫などの餌の単位面積当たりの湿重量を餌資源量 として、環境要因との関係を解析した。その結果、植生、土壌、日射量が餌資源量に影響していることが明 らかとなり,三つの要因を用いて餌資源量の分布を定量的に評価することができた(図 3)。 3.行動環境と繁殖環境の好適性モデリング解析 行動環境の指標としての糞場、繁殖環境の指標としての巣穴の位置を GIS 化し、植生等の環境変数にもと づくロジスティック回帰モデルを構築した。その結果、アナグマは常緑広葉樹林を選好し、繁殖環境として は傾斜地も選好していることが明らかとなり、行動環境、繁殖環境を定量的に評価することができた。 4.典型性注目種の生息好適性による総合評価 餌資源量で示される採餌環境、行動環境、繁殖環境のそれぞれの GIS データベースを統合して好適生息区 分図を構築することができた(図 4)。本フローに従って好適生息区分図を作成することにより、注目種と 生息環境との関わりの視点から、地域の生態系への影響を総合的に評価可能になる。. 今後の展開 これまでの一連の研究成果と、生態系アセスメントの事例等を整理・解析し、上位性と典型性の視点から生 態系アセスメントを体系化する。 主担当者. 環境科学研究所 生物環境領域 上席研究員 松木 吏弓、主任研究員 竹内 亨、主任研究員 阿部 聖哉. 関連報告書. 「中型哺乳類を典型注目種とした生態系アセスメント手法の開発」 ─ DNA 解析を利用したタヌキ・アナグマの個体数推定─電力中央研究所報告: V08043 (2009 年 6 月) ─タヌキ・アナグマの餌資源分布の評価─電力中央研究所報告: V08044(2009 年 6 月) ─影響予測・評価のための生息好適性解析─電力中央研究所報告: V08045(2009 年 7 月). 44.

(2) 2.環境/地域環境問題への対応. 2 図2 糞DNAから推定したアナグマの生息個体数 線で結ばれた点(糞採取位置)は、同一個体である ことを示す。 図1 典型性注目種(中型哺乳類)の視点による生態    系アセスメントにおける調査・解析フロー. ´. 好適性ランク ランクA ランクB ランクC ランクD. 図3 餌資源量の推定分布図 ミミズ、陸生貝類、ムカデ、甲虫の幼虫と 成虫、サツマゴキブリ、甲虫以外の土壌昆 虫の単位面積当たりの質重量合計を餌資源 量(g/m2)とした。. ランクE. 図4 採餌環境、行動環境、繁殖環境の3つの視点の好適性を    統合した、アナグマの好適生息区分図 ランクAが最も好適性が高く、AからEにかけて好適性が低く なる。改変位置を示す地図を重ね合わせると、注目種の生息 好適性への影響を定量的に把握できる。. 45.

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