74 右肋骨弓下小切開法(10cm以内)による小開腹術を施 行してきたので,その近況を報告する. 1991年より1年間に胆道系疾患21例を手術したが, このうち術前に胆嚢穿孔と診断され緊急手術を施行し た1例および腹腔鏡下手術例1例を除く19例に小切開 法を行った.症例の内訳は,男10例,女9例,年齢は 19歳から70歳,平均53.6歳であり,,胆嚢結石14例,胆 嚢・総胆管結石2例,総胆管結石2例,雫石胆嚢炎1 例であった.小切開法を過去5年間における従来の切 開法と比較しても,手術時間,出血量および合併症に 差を認めず,より有意義な手法と思われた. 32.内視鏡下手術の経験一腹腔李下胆嚢摘出術及び 胸腔鏡下肥然気胸修復術一 (社会保険山梨病院)
小澤俊総・草野 佐・矢川彰治・
植竹 正紀・野方 尚・井上 雄志・ 高石 裕子・井口 里馬 最近外科手術,特に良性疾患において,なるべく患 者に与える侵襲を少なくするminimally invasive sur− geryが提唱されるようになって来ている.腹腔鏡下胆 嚢摘出術はその代表的手術手技として急速に普及しつ つある.我々も14例に施行し12例に成功した.術後の 回復は開腹術に比べ極めて良好で,今後正しい適応の 元に行われれば,胆摘術における第一選択になってい くものと思われる. 今回これらの症例に加え,本法の手技を応用した胸 腔鏡下手術にて,自然気胸の治療にも成功したのであ わせて症例を供覧し報告した. 33.高脂血症を伴った急性膵炎の1例 (社会保険城東病院) 中村 英美・佐藤 裕一・石井 洋治・』 葉梨 智子・佐上 俊和 症例は45歳男性.数年来ウイスキーボトル1/2の飲酒 歴がある.1年前より高脂血症,アルコール性肝炎を 指摘されていた.激しい上腹部痛を主訴に入院.血清 は強阿魔状を呈し血清AMY 1,115mg/di,1ipase 1,518mg/dlと膵酵素の上昇を認め, T−cho 655mg/d1, TG 2,545mg/dlと高脂血症の状態を呈した. CTでは 膵尾部を中心に腫大し,pararenal spaceにHuid col・ lectionを認めた.高脂血症を伴った重症急性膵炎と診 断し保存的治療を行った.症状漸次軽減し,血清膵酵 素,脂質の改善傾向を認め退院となった.高脂血症が 膵炎発作に先行して存在し,アルコール過飲により高 脂血症が憎悪し重症急性膵炎が惹起されたと考えられ る1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告す る. 34.慢性膵炎に対して膵頭神経叢切除,膵管胃吻合, 胆管十二指腸吻合を施行した1例 (至誠会第二病院外科) 田中 元文・梁 英樹・清水 泰・ 鈴木 寧 高度に膵機能の低下した慢性膵炎・膵石症の症例に 対して膵頭神経叢切除,膵管胃吻合,胆管十二指腸吻 合を施行した.術前,心窩部痛に対し,鎮痛剤を多用 しており,1日40単位のインシュリンを使用しても, なお血糖コントロールは不良で,PFDも27%であっ た.術後観察期間は,4ヵ月と短いが,痙痛は全く消 失し,体重は5kg増加した.また膵機能は内外分泌共に 改善し,血糖のコントロールは経口糖尿病薬のみで可 能となった.今後,適応を考えれば,本術式は,慢性 膵炎の治療の1方法として試みられて良いと思われ た. 35.十二指腸温存膵頭全切除術を施行した慢性膵炎の1例
(中山記念胃腸科病院,東京女子医大 消化器内科*,第2病理**) 福田 晃,林 恒夫・田中 精一・ 有賀 淳・今里 雅之・武雄 康悦・ :丸山 千文・呉 兆礼・神津 忠彦*・ 笠島 武** 症例は40歳,男性.心窩部痛,口区吐を主訴に当院入 院となった.急性膵炎と診断し保存的に加療し,5週 間後退院となった.その後,特に自覚症状なく経過し ていたが,13ヵ月後再び強い心窩部痛と膵酵素の著明 な上昇を認め,2回目入院となった.CT, ERCPにて 膵頭部膵石と尾側膵管の著明な拡張を認め,慢性膵炎 の急性増悪と診断された.戸井を除去しない限り膵炎 再燃の可能性が高いと考えられたため,胆管十二指腸 温存膵頭部切除および胆嚢摘出術を施行した.胃十二 指腸動脈および右胃大網動脈は温存し,膵の再建は, 胃後壁膵管吻合とした.術後経過良好にて,5週間目 に退院し,現在社会復帰も果している. 36.膵癌切除症例の検討 (防府消化器病センター防府胃腸病院) 小形 滋彦・三浦 修・武藤 博昭・ 江見 泰徳・前尾 吉信・松崎 圭祐・ 川野 豊一・戸田 智博・田園 義一・ 長崎 進 一512一75 当院で1989年から1991年までの過去3年間に切除さ れた膵癌は13例であった.内訳は膵頭部癌7例,膵体 尾部癌3例,嚢胞腺癌2例,粘液産生膵癌1例であっ た.通常の腺管癌に限った切除率は40%,うち治癒切 除は30%に行われたに過ぎず,早期発見の重要性が認 識された. 症例として,画像診断上は慢性膵炎とされたが,癌 を否定できないため手術,治癒切除できた74歳女性の 体部小膵癌の症例と小膵癌との鑑別が困難であった58 歳男性の膵体部の限局性脂肪変性の症例を呈示し,小 膵癌の診断が容易でない現状では,疑わしきは鈎除す る姿勢が重要なことを強調した. 37.当院における膵切除例の検討 (都立豊島病院外科,東京女子医大消化器外科*) 長谷川正治・済陽 高穂 ・山口 峰生・ 上原 健一・小川 一平・佐藤 正典・ 片田 雅孝・神尾 重則 ・竹入 正彦・ 黒木 尚・江口 礼紀* 最近5年間の膵切除症例の現況と最近,膵尾部に発 生した副腎外傍神経節腫の1切除例を経験したので合 わせて報告する.1987年1月より1991年12月までの膵 胆道系手術総数は391例で,このうち胃切除症例数は24 例(悪性疾患は15例)であった.PDは20例に施行し, 胆嚢癌の膵切除5例はすべてHPDで, PPPDは良性 胆管狭窄の1例に施行した.DPは良性疾患の2例の みで,悪性疾患はなかった.提示症例は58歳,女性, 腹部超音波検査にて膵尾部に手拳大の腫瘤を指摘され 入院.画像診断およびエコー下組織生検にてsolid and cystic tumorが疑われ,膵体尾部切除術を施行.術後 の病理組織学的検索で後腹膜原発の副腎外傍神経節腫 と診断した. 38.当科におけるTAE症例の検討 (至誠会第二病院消化器内科, 東京女子医大消化器放射線科*) 細見 麻子・足立ヒトミ・杉本千賀子・ 鈴木 義之・黒川きみえ・磯部 義憲* 今回我々は当科において過去3年間に肝細胞癌に対 してTAEを施行した症例17例を対象としその効果に ついて検討を加え,TAE後抗癌剤間欠動注療法によ り良好な経過を辿っている症例を経験したので報告す る1対象は1989年から1991年迄にTAEを施行した17 症例で,内15例はhypervascularな腫瘍を呈していた が,従来TAEによる効果があまり期待できなかった