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ルーマニア国際私法の改正について―新旧法の比較検討― 利用統計を見る

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(1)

ルーマニア国際私法の改正について―新旧法の比較

検討―

著者

笠原 俊宏

著者別名

Toshihiro KASAHARA

雑誌名

東洋法学

57

1

ページ

279-360

発行年

2013-07

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006022/

(2)

  目   次         ⑸   扶養義務 一   前書き        ⑹   相続 二   総則規定の特徴          ⑺   物権   ⑴   旧法規定の概容         ⑻   契約債務   ⑵   直接的適用の規定        ⑼   契約外債務   ⑶   外国法の適用の排除       ⑽   流通性有価証券 三   各論規定の概容          ⑾   輸送手段関連規定   ⑴   自然人及び法人         ⑿   時効   ⑵   法律行為        ⒀   国際手続法   ⑶   婚姻関係           四   後書き   ⑷   親子関係           (参考資料)   ルーマニア民法典中の国際私法規定 《 研究ノート 》

ルーマニア国際私法の改正について

新旧法の比較検討

 

  

 

(3)

 

前書き

  ル ー マ ニ ア に お い て は、 二 〇 一 一 年 一 〇 月 一 日、 新 し い 民 法 典 (ル ー マ ニ ア 官 報 二 〇 一 一 年 六 月 一 〇 日 付 第 四 〇 九 号 第 一 部 公 布) が 施 行 さ れ た。 同 法 典 に 先 立 つ 一 八 六 四 年 の ル ー マ ニ ア 民 法 典 は、 主 と し て、 一 八 〇 四 年 の フ ラ ン ス民法典に倣っていたが、新民法典の制定は、ルーマニアが欧州連合への加盟に際して直面するに至った改正手続 と不可分な関係を有するものであり、又、ルーマニア実定私法の現代化の要請から、伝統的なナポレオン民法典と 訣別することがその動機とされる ( Catalina Avasilencei, La codification des conflits de lois dans le nouveau Code civil roumain: une nouvelle forme en attente dʼun contentieux, Revue critique de droit international privé (以下、 RCDIP とし て引用する) 2012, p.248. )。起草に際しては、諸外国の民法が広汎に参考とされており、それらとして、就中、カナ ダのケベック民法典を中心として、フランス、イタリア、スペイン、スイス、ドイツの民法典のほか、欧州連合規 則、国際条約、欧州人権裁判所判決に及んでいる (

Avasilencei, op. cit., p.248.

) 。   二〇一一年の新民法典は、私法の一元的規律の構想の下に、人事、家事、商事に関する規則とともに、国際私法 の 規 則 を も 統 合 し て お り、 同 法 典 第 七 巻 に は、 抵 触 規 定 (以 下、 「新 法」 と す る) が 含 ま れ て い る。 そ の 結 果、 「国 際 私 法 関 係 規 則 に 関 す る 一 九 九 二 年 九 月 二 二 日 法 律 第 一 〇 五 号」 (一 九 九 二 年 一 二 月 一 日 施 行、 以 下、 「旧 法」 と す る) は、 改 正 さ れ た 上 で、 新 民 法 典 へ 移 し 替 え ら れ る こ と と な っ た ( Avasilencei, op. cit., p.248 et suiv. ) 。 尚、 旧 法 中 に 収められていた国際手続法に関する緒規定は、修正を施された上、新しい民事訴訟法典 (二〇一〇年七月一五日法律 第一三四号) へ収められることとなった (

Avasilencei, op. cit., p.249.

 

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マ ニ ア の 欧 州 連 合 へ の 加 盟 の 結 果 と し て、 欧 州 連 合 の 諸 規 則 の 効 力 に 対 し て も 配 慮 す る こ と が 求 め ら れ る 状 況 に 至 っ た。 例 え ば、 旧 法 は 一 九 八 〇 年 の い わ ゆ る ロ ー マ 条 約 (契 約 債 務 の 準 拠 法 に 関 す る E C 条 約) と 基 本 的 に 両 立 し えないものではなかったが、新法においては大幅に修正されており、更に、それに続いて、二〇〇八年のローマⅠ 規 則 (契 約 債 務 の 準 拠 法 に 関 す る 欧 州 議 会 及 び 理 事 会 規 則 二 〇 〇 八 年 第 五 九 三 号) 、 及 び、 二 〇 〇 七 年 の ロ ー マ Ⅱ 規 則 (非 契 約 債 務 の 準 拠 法 に 関 す る 欧 州 議 会 及 び 理 事 会 規 則 二 〇 〇 七 年 第 八 六 四 号) に 従 う こ と が、 明 文 を も っ て 定 め ら れ て い る (新 法 第 二 六 四 〇 条 第 一 項 及 び 第 二 六 四 一 条 第 一 項) 。 か く し て、 新 法 の 成 立 前 に お い て は、 欧 州 連 合 法 の 優 位 に 伴う旧法の改正は実行されることはなく、新法の成立により、旧法は部分的に廃止されることとなった。尚、欧州 連合法の優先的適用は二〇〇三年に改正された一九九一年のルーマニア憲法においても規定されているところであ る (

Avasilencei, op. cit., p.249.

) 。   旧法の一部を明確に廃止する新しいルーマニア民法典第七巻に置かれた諸規定は、渉外的要素を有する民事法関 係、 商 事 法 関 係、 及 び、 そ の 他 の 私 法 関 係 に 関 す る ル ー マ ニ ア 国 際 私 法 の 一 般 法 と し て 位 置 付 け ら れ る も の で あ り、 そ の 第 二 五 五 七 条 第 三 項 は、 「本 巻 の 諸 規 定 は、 ル ー マ ニ ア が 当 事 国 で あ る 国 際 条 約、 欧 州 連 合 法、 又 は、 特 別 法 規 定 が 他 の 規 則 を 定 め て い な い 限 り に お い て 適 用 さ れ る。 」 と 規 定 し て い る。 そ れ が、 ル ー マ ニ ア 国 際 私 法 の 法源の所在であり、又、そのまま、それら法源の間の序列ともなっていると見られる。しかし、国際条約と欧州連 合法との間における適用の優先関係については必ずしも明瞭ではなく、更にきめ細かな検討が求められるところで ある (

Avasilencei, op. cit., p.249 et suiv.

) 。   以 上 に お け る よ う な 改 正 の 経 緯 を 有 す る 新 法 の 検 討 に 際 し、 先 ず、 旧 法 に 関 す る 若 干 の 研 究 ( Octavian Capatina, La rèforme du droit international privé roumain, RCDIP 1994, p.167 et suiv.; Peter Leonhardt, Das neue internationale

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Privatrecht Rumäniens, Praxis des internationalen Privat- und Verfahrensrechts 1994, S.156ff.; Octavian Capatina, Das neue rumänische internationale Privatrecht, Rabels Zeitschrift für ausländisches und internationales Privatrecht 1994, S.465ff. に 依拠した旧法に関する研究として、 拙稿 「外国国際私法立法に関する研究ノート ( 1) ―ルーマニア国際私法 (一九九二年) ―(上) 、(下) 」 大 阪 国 際 大 学 紀 要 国 際 研 究 論 叢 八 巻 一 号 八 九 頁 以 下、 二 号 一 二 一 頁 以 下 参 照。 尚、 旧 法 の 諸 規 定 の 訳 出 に 際しては、 RCDIP 1994, p.172 et suiv. に掲載されている仏語訳に拠った) を出発点として、新法が如何なる内容を有す る も の に 改 正 さ れ た か を 具 体 的 に 比 較 検 討 す る こ と と し た い。 そ れ に よ り、 「国 際 私 法 の 危 機」 を 脱 し た 現 代 の 大 陸型国際私法が、更なる充実を目して展開されるべき方向を探知し、又、欧州連合域外の諸国との関わりを規律す る欧州連合加盟国国内立法について、ルーマニア国際私法を一例として、その趨勢を明らかにするよう、試みるこ ととしたい。

 

総則規定の特徴

( 1)   旧法規定の概容   旧法中の総則規定として、次に掲げる一〇箇条がある。   先ず、新法第二五五七条に相当する旧法第一条においては、国際私法関係の準拠法を決定する規定のほか、国際 私法関係に関する訴訟における手続規定も含まれ、国際私法関係とは、渉外的要素を有する民事関係、商事関係、 労働関係、民事訴訟関係及びその他の私法関係を言うものと規定されていたが、新法においては、国際民事訴訟関 係については民事訴訟法典へ移され、それに代わって、国際条約、欧州連合法、特別法規定の適用の優先が謳われ ている。

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  又、外国人の民事権について、法律に依って定められた条件の下に、ルーマニア市民と同一視されることを定め ていた旧法第二条は、新法において削除されている。   旧 法 第 三 条 は、 「準 拠 法 の 決 定 が 何 ら か の 法 制 度 又 は 法 的 関 係 に 与 え ら れ る 性 質 決 定 に 依 存 す る 場 合 に 顧 慮 さ れ る の は、 ル ー マ ニ ア 法 に 依 っ て 確 定 さ れ る 法 的 性 質 決 定 で あ る。 」 と し て、 法 律 関 係 の 性 質 決 定 に お け る 法 廷 地 法 説を採用していた。その立場は、新法第二五五八条第一項が受け継いでいる。しかし、新法は、反致の場合、物の 性質決定の場合についても規定し、又、不知の外国法制度については、例外的な場合として、準拠法説の立場に拠 ることを定めている。   反 致 に 関 し て は、 旧 法 第 四 条 が、 「下 記 の 規 定 に 従 っ て 決 定 さ れ た 外 国 法 が ル ー マ ニ ア 法 に 反 致 す る と き、 明 ら か に 反 対 の 規 定 が な い 限 り、 適 用 さ れ る の は ル ー マ ニ ア 法 と す る。 」 (第 一 項) と し、 又、 「外 国 法 が 他 国 法 に 対 し て 行 な う 反 致 は、 無 効 と す る。 」 (第 二 項) と 定 め て、 狭 義 の 反 致 の み を 認 め る 立 場 を 採 っ て い た が、 そ の 立 場 は、 新法第二五五九条第一項において総括指定説を表明しながら、第二項において、外国法による反致については、転 致の場合をも含めて、ルーマニア法が適用されるという規定へと変容している。これは、反致肯定論における理論 的根拠としての棄権説に拠っていると見ることができるであろう。   更に、旧法第五条は、不統一法国法の指定の場合における間接指定主義を原則としていたが、その立場は、新法 第 二 五 六 〇 条 に 引 き 継 が れ て い る (第 一 文) 但 し、 新 法 に お い て は、 準 国 際 私 法 が な い と き、 密 接 関 連 性 原 則 に 依 拠すべきことが追加されている (第二文) 。   次 に、 外 国 法 の 適 用 に 関 し て は、 先 ず、 原 則 と し て、 相 互 性 に 拘 束 さ れ な い と 定 め る 旧 法 第 六 条 が、 新 法 第 二五六一条に引き継がれている。

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  又、外国法の内容の確定に関する旧法第七条が、専門家の意見又は他の然るべき方法に則り、それを制定した国 家 の 機 関 か ら 得 た 証 明 に よ り、 裁 判 上 の 審 理 を 通 じ て 確 定 さ れ、 又、 立 証 責 任 が、 外 国 法 を 援 用 す る 当 事 者 に あ り、そして、それを確定することが不可能であるときに適用される法をルーマニア法とする内国法適用説は、その まま、新法第二五六二条においても受け継がれている。   更 に、 旧 法 第 八 条 は、 外 国 法 の 適 用 が 斥 け ら れ る 場 合 と し て、 「そ れ が ル ー マ ニ ア 国 際 私 法 上 の 公 序 に 反 す る と き」 、及び、 「それが不正な手段によって権限を有するものとなったとき」を挙げていた。同条は、公序概念の基準 を国際公序に求めることを明確にすると共に、法律回避の禁止を定めている点に特徴が見られたが、それらは、い ずれも新法第二五六四条第一項においても引き継がれている。ルーマニア法が補充法とされることも同様である。 新法は、公序概念について、ルーマニア法又は欧州連合法上の基本原則、及び、基本的人権を明記して、更なる展 開を示しているように見られる。   更 に、 又、 旧 法 第 九 条 が、 「外 国 に お い て 取 得 さ れ た 権 利 は、 そ れ が ル ー マ ニ ア 国 際 私 法 上 の 公 序 に 反 し な い 限 り、 ル ー マ ニ ア 法 に お い て 尊 重 さ れ る。 」 と 定 め て い た 既 得 権 承 認 の 規 定 は、 新 法 第 二 五 六 七 条 に も 引 き 継 が れ て いる。先決問題との関連において重要な意味を有する規定であると言うことができるであろう。   そして、最後に、国際条約の優先的適用を定める旧法第一〇条の規定は、新法第二五五七条との関連において言 及したように、欧州連合法の優先的適用をも加えて衣更えされている。   か く し て、 新 法 に お い て、 新 た に 総 則 と し て 規 定 さ れ て い る の は、 外 国 法 の 解 釈 及 び 適 用 (新 法 第 二 五 六 三 条) 、 外 国 法 の 例 外 的 排 除 (同 第 二 五 六 五 条) 、 直 接 的 適 用 の 法 規 (同 第 二 五 六 六 条) 、 本 国 法 の 決 定 (同 第 二 五 六 八 条) 、 国 籍の決定及び証明 (同第二五六九条) 、常居所の決定及び証明 (同第二五七〇条) 、法人の国籍 (同第二五七一条) に関

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する諸規定である。 ( 2)   直接的適用の規定   新法において新たに規定されている諸事項の中、直接的適用の法規に関しては、法廷地法たるルーマニア法上の 強 行 規 定 の 優 先 的 適 用 の 場 合 (第 二 五 六 六 条 第 一 項) と 密 接 関 係 地 法 た る 第 三 国 法 上 の そ れ の 場 合 (同 条 第 二 項) と が、それぞれ、規定されている。前者の強行規定の定義において、新法におけるそれは、ローマⅠ規則及びローマ Ⅱ 規 則 の そ れ よ り も 広 義 で あ る と 見 ら れ る が、 実 際 に は、 縮 小 さ れ た も の に 止 ま る で あ ろ う と 指 摘 さ れ て い る ( Avasilencei, op. cit., p.255. ) 。 他 方、 後 者 に お い て は、 明 確 性 に 欠 け る と し て 批 判 さ れ て い る 二 つ の 条 件、 す な わ ち、第三国との密接関連性及び当事者の正当な利益の充足を前提としつつ、強行規定の対象、又、その適用若しく は不適用から派生する結果の考慮に関しては、ローマ条約第七条第一項及びローマⅠ規則第九条第三項に倣い、そ し て、 そ の 目 的 の 考 慮 を 加 え て い る ( Avasilencei, op. cit., p.255 et suiv. ) 。 因 み に、 同 様 の 規 定 と し て は、 例 え ば、 一 九 九 八 年 の チ ュ ニ ジ ア 国 際 私 法 典 第 五 〇 条 も、 「抵 触 規 則 に よ っ て 指 定 さ れ た 法、 当 面 の 法 的 関 係 と 密 接 な 関 連 性を有すること、及び、追求された目的を考慮し、当該法の規定の適用が不可欠であることが明白であるとき、裁 判 官 は そ の 法 の 規 定 に 効 力 を 与 え る。 」 と 定 め て い る。 そ の 他、 一 九 九 七 年 の ウ ズ ベ キ ス タ ン 民 法 典 第 一 一 六 五 条 は、 「何 れ か の 国 の 法 律 を 適 用 す る に 際 し、 関 係 と 密 接 な 関 連 性 を 有 す る 他 の 国 の 法 律 に 依 れ ば、 強 行 規 定 が そ れ ぞれの関係を規律しなければならないとき、裁判所は、準拠法に拘わらず、その国の法律のかような規定を適用す る こ と が で き る。 」 と 定 め て い る。 こ れ は、 一 九 九 九 年 の カ ザ フ ス タ ン 民 法 典 第 一 〇 九 一 条 第 二 項 の 内 容 と 同 一 で あり、同様の規定は、枚拳するに暇ない。

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  尚、絶対的強行法規には国家の政治的・社会的・経済的組織の保護に必要な法規が含まれるが、私人間の権利義 務 の 調 整 を 目 的 と す る 法 規 ま で を も 含 む か に つ い て は 争 い が あ る と こ ろ、 ロ ー マ Ⅰ 規 則 第 九 条 第 一 項 に、 「絶 対 的 強 行 規 定 と は、 国 の 国 益 (例 え ば、 そ の 政 治 的・ 社 会 的・ 経 済 的 組 織) を 保 護 す る た め に 遵 守 さ れ な け れ ば な ら な い と考えられる規定であって、当該規則の下において本来適用されるべき法の如何に拘わらず、その適用範囲に含ま れる全ての事案に適用されるものをいう」という定義規定が設けられたことを背景として、私人間の権利義務の調 整 を 目 的 と す る 法 規 を 含 ま な い と す る 見 解 が 増 え て い る と い う (野 村 美 明「契 約 の 準 拠 法 Ⅰ ― 当 事 者 に よ る 法 選 択 と 強行法規」日本国際経済法学会編『国際経済法講座Ⅱ―取引・財産・手続』 (法律文化社、二〇一二年)二三頁参照) 。果た して、ルーマニア法上の立場がそのようなものであるかは、必ずしも明らかではない。   因 み に、 保 護 さ れ る べ き 何 れ か の 者 を 基 準 と し た 法 と し て、 そ の 者 の 属 人 法 (本 国 法、 住 所 地 法、 常 居 所 地 法) の 適用をもって、その利益の保護が図られているとする考えは、従来から支配的であり、今、なお、法の適用に関す る 通 則 法 (以 下、 「通 則 法」 と す る) を 含 め、 多 く の 立 法 例 に 見 る こ と が で き る 立 場 で あ る。 サ ヴ ィ ニ ー ( Savigny ) が 唱 え た 法 律 関 係 の 本 拠 ( Sitz ) の 法 の 探 求 は、 換 言 す れ ば、 法 律 関 係 の 最 密 接 関 係 法 の 探 求 で あ り、 そ れ が、 弱 者への優遇主義の下にあっては、一方当事者である弱者の属人法の適用へと導くものとなるであろう。しかし、こ こにおいて、重視されるのは、弱者の属人法の適用そのものではなく、当該法がその内容として有している弱者利 益の保護に向けられた実質規定にほかならない。従って、最密接関係法への特別連結とは、端的には、弱者とされ る当事者の保護規定への強行的な連結を意味することとなるであろう。本来の準拠法に対して優先する消費者の常 居所地法及び労務提供地法の強行連結を定める通則法第一一条及び第一二条等に規定された保護条項が、正に、そ のよう役割を担わされた弱者利益保護のための規定であるということは言うまでもない。その場合、本来の準拠法

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の適用を排除してまで保護されるべき「当事者の正当な利益」とは何であるか。新法においても、必ずしも十分に 明らかにはされていない。 ( 3)   外国法の適用の排除   外 国 法 の 適 用 が 排 除 さ れ る 場 合 と し て、 新 法 に お い て は、 法 廷 地 法 た る ル ー マ ニ ア 法 を 補 充 法 と す る 場 合、 及 び、密接関連法をそれとする場合について、規定が置かれている。   先 ず、 前 者 と し て、 ル ー マ ニ ア 国 際 私 法 上 の 公 序 に 反 す る 場 合 で あ る (新 法 第 二 五 六 四 条 第 一 項) 。 そ し て、 公 序 の概念として明示されているのは、ルーマニア法上の基本原則、欧州連合法上の基本原則、人の基本的権利である (同 条 第 二 項) 。 ル ー マ ニ ア 法 上 の 基 本 原 則 に は、 憲 法、 及 び、 新 民 法 典 第 一 条 第 一 項 に よ り、 法 源 と し て 明 示 さ れ た法の一般的諸原則が含まれる。尚、右の基準の序列は、人権、欧州連合法上の基本原則、ルーマニア法上のそれ である ( Avasilencei, op. cit., p.260. ) 。又、法律回避も、外国法の適用が排除されるべき場合として、公序違反と共に 規定されている。旧法においては、単に「不正な手段によって権限を有するものとなったとき」に、当該外国法の 適 用 の 排 除 が 定 め ら れ て い た が (旧 法 第 八 条 b 号) 、 新 法 に お い て は、 ル ー マ ニ ア 法 の 回 避 に 特 定 さ れ て い る ( Avasilencei, op. cit., p.261 et suiv. ) 。 そ し て、 外 国 法 の 内 容 が 確 定 さ れ る こ と が で き な い と き も、 適 用 さ れ る の は ルーマニア法であるが、この点において、新法と旧法とは同じ立場を採用している。しかし、新法においては、そ の 点 の 可 否 に つ い て、 「合 理 的 な 期 間 内」 に 判 断 さ れ る べ き と し て、 事 件 及 び 外 国 規 定 の 複 雑 さ の 程 度 を 考 慮 し た 上 で 決 定 さ れ る べ き こ と が 裁 判 官 に 求 め ら れ て お り ( Avasilencei, op. cit., p.262 et suiv. ) 、 法 規 の 精 緻 化 が 促 進 さ れ ていると言うことができるであろう。

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  法廷地国際私法規則によって指定され、準拠法として決定された外国法と法廷地法とを実質的に比較し、後者の 法の適用がより望ましい結果へ導くと見られる場合に、積極的に公序条項を根拠として、外国法の適用を排除し、 もって、法廷地法である日本法を適用すべきとする学説が、いわゆる機能的公序論と称されて、一九八〇年代初頭 に提唱された。その主張の趣旨は、実定法の根拠として、公序条項を利用することにより、硬直なわが国国際私法 規定を修正することにより、準拠外国法と日本法との二国間において、実質法の内容を比較し、解決の結果におい て、弱者利益の保護をも含めた実質法上の利益の確保が目されるべきとするものであった。しかし、その後、平成 元 年 (一 九 八 九 年) に は、 法 例 が 大 幅 に 改 正 さ れ、 従 来 の 単 一 的 連 結 の 規 則 に 代 え て、 多 く の 多 元 的 連 結 の 規 則 が 導入された。それにより、国際私法規則の柔軟化が促進され、又、個々の規定の解釈における弾力化も可能となっ たため、例外的発動を原則とする公序則の本来的役割の趣旨に反する機能的公序論は、その存立の基盤を失ったと 見られる。しかしながら、弱者利益の保護の理念が普遍化している現在、準拠外国法の適用の結果がそれに反する と 見 ら れ る 場 合 に は、 法 廷 地 の 公 序 (国 際 私 法 上 の 公 序) に 反 す る も の と し て、 当 該 外 国 法 の 適 用 を 排 除 す る こ と も、実定法の運用として可能であると思われる。但し、その場合には、当然に自働適用説に拠って日本法が補充法 とされるべきではなく、弱者利益の保護に適った法の選定を可能とする補充的連結説の立場から補充法を探究する ことが、現代的意義に適うと言うべきであろう。   以上に対して、密接関連性の原則の観点から、原則的準拠法の適用を排除して、最密接関連法の適用を規定して い る の が、 新 法 に お い て 新 た に 導 入 さ れ た 一 般 例 外 条 項 で あ る 第 二 五 六 五 条 で あ る。 同 条 の 特 徴 と な っ て い る 点 は、原則的準拠法と法律関係との疎遠の程度が同条項の発動の基準とされている点である。但し、人の民事上の身 分及び能力に関する法律、並びに、当事者によって選択された法律は、その対象とはされない (同条第二項) 。ロー

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マ Ⅰ 規 則 及 び ロ ー マ Ⅱ 規 則 が 適 用 さ れ る 分 野 に つ い て は、 そ れ に 特 定 さ れ た 修 正 の 構 造 が 用 意 さ れ て い る (

Avasilencei, op. cit., p.264 et suiv.

) 。

 

各論規定の概容

( 1)   自然人及び法人   先ず、各論規定の冒頭には、自然人及び法人に関する規定として、旧法中には、自然人について、次のような七 箇 条 の 諸 規 定 が 置 か れ て い た。 す な わ ち、 自 然 人 の 身 分、 能 力 及 び 家 族 関 係 に 関 す る 本 国 法 主 義 の 原 則 (同 第 一 一 条) 、 本 国 法 の 確 定 (同 第 一 二 条) 、 人 格 権 の 開 始 及 び 終 了 (同 第 一 三 条) 、 人 の 氏 名 (同 第 一 四 条) 、 人 の 本 国 法 の 変 更 (同 第 一 五 条) 、 推 定 死 亡、 不 在 又 は 失 踪 の 宣 告 の 条 件、 効 果 及 び 取 消 し、 並 び に、 生 存 又 は 死 亡 の 推 定 (同 第 一 六 条) 、 善 意 の 第 三 者 の 保 護 (同 第 一 七 条) に 関 す る 諸 規 定 で あ る。 こ れ ら の 諸 規 定 は、 新 法 に お い て、 そ れ ぞ れ、 殆 ど そ の ま ま 受 け 継 が れ て い る。 但 し、 本 国 法 の 確 定 に つ い て は、 総 則 編 中 に 置 か れ (新 法 第 二 五 六 八 条) 、 更 に、 国 籍 の 決 定 及 び 証 明 (同 第 二 五 六 九 条) 、 並 び に、 常 居 所 の 決 定 及 び 証 明 (同 第 二 五 七 〇 条) の 諸 規 定 が 新 し く 追 加 さ れ て い る。 新 法 は、 人 事 に 関 し て も、 成 年 取 得 (同 第 二 五 七 五 条) 、 成 年 後 見 (同 第 二 五 七 八 条) 等 に 関 す る 諸規定の充実を図っている。   次に、法人に関する規定として、旧法中には、次に掲げるような九箇条の諸規定が置かれていた。すなわち、法 人の国籍 (同第四〇条) 、法人の組織上の地位 (同第四一条) 、法人の本国法の適用範囲 (同第四二条) 、外国法人の承 認 (同 第 四 三 条) 、 外 国 法 人 の 権 利 の 享 受 (同 第 四 四 条、 第 四 五 条) 、 法 人 の 合 併 (同 第 四 六 条) に 関 す る 諸 規 定 で あ る。これらの諸規定は、新法において、それぞれ、殆どそのまま受け継がれている。尚、新法において、それらの

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諸 規 定 の 中、 法 人 の 国 籍 に 関 す る 規 定 は、 総 則 と し て、 自 然 人 の 本 国 法 (属 人 法) に 関 す る 諸 規 定 に 続 い て 置 か れ ている (新法第二五七一条) 。   尚、 旧 法 に お い て は、 自 然 人 及 び 法 人 の 共 通 規 定 と し て、 次 の よ う な 諸 規 定 が 置 か れ て い た が、 新 法 に お い て は、 そ れ ら は 削 除 さ れ て い る。 す な わ ち、 「無 能 力 の 自 然 人、 及 び、 支 払 い を 停 止 し た 法 人 の 法 律 上 の 代 理、 及 び、 制 限 的 行 為 能 力 を 有 す る 自 然 人 の 保 佐 は、 代 理 又 は 保 佐 の 帰 属 が 生 じ る 法 的 関 係 の 準 拠 法 に 服 す る。 」 (同 第 四 七 条) 、「商 人 の 資 格 は、 自 然 人 若 し く は 法 人 が 経 済 的 活 動 を 展 開 す る 許 可 を 取 得 し た か、 又 は、 そ れ が 登 録 さ れ て い る 国 家 の 法 律 に 依 っ て 決 定 さ れ る。 」 (同 第 四 八 条 第 一 項) 、「許 可 若 し く は 登 録 が な い か、 又 は、 人 が 複 数 の 許 可を取得した結果、複数の国家において登録されている場合には、その者の経済的活動の指揮が機能する国家の法 律が適用される。 」 (同条第二項) という諸規定であった。 ( 2)   法律行為   新法において、法律行為に関する諸規定は、第六章「債務」の前に移動している。それに関して、旧法中におい て想定されていたのは、専ら、一方的法律行為であり、その実質的要件について決定するのは、行為者が選択する 法 律 で あ る (旧 法 第 六 九 条) 。 新 法 は、 そ れ を 改 め て、 法 律 行 為 一 般 に 関 す る 規 定 と し (新 法 第 二 六 三 七 条) 、 又、 当 事者による法選択がないときの補充法に関する規定を独立させ、その場合における密接関連性の判断基準について は、特徴的給付を行なう債務者若しくは法律行為の本人の常居所、営業財産、社会的本拠に依拠して明確化が図ら れている (新法第二六三八条) 。   法律行為の形式的要件 (旧法第七一条、第七二条) は、新法においても、法律行為の実質的要件の準拠法を原則と

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して、ほぼそのまま統合されている (新法第二六三九条) 。   尚、 旧 法 に お い て は、 「付 随 的 法 律 行 為 は、 他 の 意 思 が 表 明 さ れ な い 限 り、 主 た る 法 律 行 為 の 実 質 に 適 用 さ れ る 法 律 に 依 っ て 規 律 さ れ る。 」 (旧 法 第 七 〇 条) と す る 規 定 が 置 か れ て い た が、 新 法 に お い て は、 契 約 債 務 を 覆 う ロ ー マⅠ規則のため、そのような規定は廃止されている (

Avasilencei, op. cit., p.266.

) 。 ( 3)   婚姻関係   新民法典においては、ルーマニア市民であると、外国人であるとに拘わらず、外国において締結された同性婚及 び 同 性 間 若 し く は 異 性 間 の 登 録 パ ー ト ナ ー シ ッ プ の 承 認 の 一 般 的 禁 止 を 定 め る 規 定 (第 二 七 七 条) を 置 い て い る が、それが国際私法の法源ともなっている (

Avasilencei, op. cit., p.270 et suiv.

) 。又、新民法典は、婚約についても、 それを法律上の制度として導入している。その結果、新法においても、実質法の内容が反映され、新たに、婚約の 成 立 及 び 効 力 に 関 す る 規 定 も 新 設 さ れ て い る (新 法 第 二 五 八 五 条) 。 か よ う に し て、 旧 法 に 比 し て、 最 も 拡 充 が 図 ら れた各論規定は婚姻に関する諸規定であろう。   婚姻に関して、旧法中には、その成立及び効力に関する四箇条が置かれていたが、それらの中でも、婚姻の実質 的要件に関する旧法第一八条は、婚姻保護のための特別公序規定をも併せて定めている点において、注目されるべ き 規 定 で あ っ た。 す な わ ち、 同 条 第 一 項 に お い て、 「婚 姻 を 締 結 す る た め に 要 求 さ れ る 実 質 的 要 件 は、 各 々 の 婚 姻 当事者の本国法に依って決定される。 」とした上で、 「かようにして決定された外国法の何れかが、ルーマニア法に 従えば婚姻を締結する自由と両立しえない婚姻障害を定めているときであって、婚姻当事者の何れか一方がルーマ ニア市民であり、かつ、婚姻がルーマニアの領域において締結される場合には、問題の障害は適用されることがで

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き な い も の と し て 斥 け ら れ る。 」 と す る 同 条 第 二 項 の 規 定 が そ れ で あ る。 同 規 定 は そ の ま ま 新 法 第 二 五 八 六 条 に 受 け継がれている。   婚 姻 の 締 結 の 方 式 に つ い て は、 婚 姻 挙 行 地 法 主 義 が 維 持 さ れ て い る (旧 法 第 一 九 条 第 一 項、 新 法 第 二 五 八 七 条 第 一 項) 。 し か し、 「外 国 に 在 る ル ー マ ニ ア 市 民 の 婚 姻 は、 権 限 を 有 す る そ の 他 の 官 公 庁 の 許 に か、 又 は、 ル ー マ ニ ア 若 し く は 他 方 の 婚 姻 当 事 者 の 国 家 の 外 交 官 若 し く は 領 事 官 の 許 に お い て 締 結 さ れ る こ と が で き る。 」 (旧 法 第 一 九 条 第 二 項) と し て 広 く 認 め ら れ て い た 外 交 婚 の 方 式 は、 新 法 に お い て ル ー マ ニ ア の 外 交 官 又 は 領 事 官 の 許 に お け る ル ー マ ニ ア 法 上 の 方 式 に 限 定 さ れ て い る (新 法 第 二 五 八 七 条 第 二 項) 。 婚 姻 無 効 に 関 す る 旧 法 第 二 四 条 は、 そ の 婚 姻 の 方 式の保護の立場が受け継がれて、新法第二五八八条として置かれている。   それに対して、婚姻の一般的効力及び夫婦財産制に関する規定は、新法において大きく変容している。先ず、前 者 の 法 律 関 係 に 関 す る 旧 法 第 二 〇 条 は、 「夫 婦 間 の 人 的 関 係 及 び 婚 姻 関 係 は 共 通 本 国 法 に 服 す る。 異 な る 国 籍 が 問 題であるとき、それらの関係は共通住所地法に服する。 」 (同条第一項) とし、 「夫婦の共通本国法又は共通住所地法 は、それらの者の何れか一方が、場合により、国籍又は住所を変更する場合にも、引き続き、婚姻の効力を規律す る。 」 (同条第二項) とし、そして、 「共通国籍又は共通住所がないとき、夫婦間の人的関係又は婚姻関係は、それら の者が共通居所を有するか若しくは有した領域が帰属する国家の法律、又は、それらの者が共同して最も密接な関 係を保持する国家の法律に服する。 」 (同条第三項) としていた。又、後者の法律関係に関する旧法第二一条は、 「夫 婦財産契約の締結のために要求される実質的要件は、各々の婚姻当事者の本国法に依って設定されたそれとする。 」 (同 条 第 一 項) と し、 「夫 婦 財 産 契 約 の 制 度 及 び 効 力 は、 婚 姻 当 事 者 に 依 り、 合 意 を も っ て 採 択 さ れ た 法 律、 そ れ が ないときは、第二〇条に定められた法律に依って規律される。 」 (同条第二項) とし、そして、 「同法は、婚姻中、夫

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婦財産契約を変更するか、又は、取り替えることできるか否かを決定する。変更又は新しい夫婦財産契約は、第三 者 に 損 害 を 与 え て は な ら な い。 」 (同 条 第 三 項) と し て い た。 こ れ ら の 中、 婚 姻 の 一 般 的 効 力 に 関 す る 共 通 本 国 法、 共通住所地法、共通居所地法又は夫婦の最密接関連法の段階的連結の規則は、新法において、共通常居所地法、共 通 国 籍 国 法、 婚 姻 挙 行 地 法 の 段 階 的 連 結 の 規 則 へ と 変 更 さ れ て い る (新 法 第 二 五 八 九 条 第 一 項) 。 又、 新 法 に お い て、夫婦の常居所又は国籍の変更に関しては、当事者に依る法選択との関連における新しい規定が追加されている (同 第 二 五 九 六 条) 。 婚 姻 の 一 般 的 効 力 に 比 し て、 夫 婦 財 産 制 に 関 す る 新 法 中 の 諸 規 定 の 精 緻 化 は 顕 著 で あ る。 尚、 旧 法 に お い て、 無 制 限 の 当 事 者 自 治 が 許 さ れ て い る よ う に 見 ら れ た 立 場 は、 制 限 的 な そ れ へ と 変 更 さ れ て い る (同 第二五九〇条ないし第二五九五条) 。   当事者自治は、新法において、離婚及び別居についても導入されている。旧法において、離婚及び別居について は、 婚 姻 の 一 般 的 効 力 に 関 す る 規 則 を 準 用 す る も の と さ れ て い た (旧 法 第 二 二 条、 第 二 三 条) 。 そ れ に 対 し て、 新 法 は 制 限 的 当 事 者 自 治 の 立 場 を 採 用 し て お り、 し か も、 そ の 選 択 さ れ る 法 の 範 囲 は か な り 広 い (新 法 第 二 五 九 七 条) 。 法選択がないときは、常居所を国籍に優先する連結点として、夫婦の共通常居所地法、最後の共通常居所地法、共 通 国 籍 国 法、 最 後 の 共 通 国 籍 国 法、 ル ー マ ニ ア 法 の 段 階 的 連 結 の 規 則 が 適 用 さ れ る (同 第 二 六 〇 〇 条 第 一 項) 。 旧 法 第 二 二 条 第 二 項 が、 「か よ う に し て 決 定 さ れ た 外 国 法 が 離 婚 を 認 め な い か、 又 は、 非 常 に 厳 格 な 要 件 の 下 に そ れ を 認 め る と き、 夫 婦 の 一 方 が 離 婚 が 請 求 さ れ た 当 時 ル ー マ ニ ア 市 民 で あ る 場 合 に 適 用 さ れ る の は ル ー マ ニ ア 法 と す る。 」 と 規 定 し て い た 離 婚 保 護 の 立 場 は、 新 法 に お い て も 引 き 継 が れ て お り (同 条 第 二 項) 、 し か も、 当 事 者 に よ る 法選択が行なわれた場合にあっても、その点において同様とされる (同条第三項) 。   更に注目されるのは、一方的通知による離婚、すなわち、端的には、イスラム法上の夫による専制離婚のルーマ

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ニ ア に お け る 承 認 の た め の 厳 格 な 要 件 が 明 文 化 さ れ た こ と で あ る (新 法 第 二 六 〇 一 条) 。 し か し、 そ れ は、 又、 か よ うな離婚を承認する余地を認めるものでもあると言えるであろう。   尚、離婚については、離婚及び別居の準拠法の分野における協同作業を開始させる二〇一〇年一二月二〇日の欧 州 連 合 理 事 会 規 則 二 〇 一 〇 年 第 一 二 五 九 号 (い わ ゆ る ロ ー マ Ⅲ 規 則) が、 二 〇 一 二 年 六 月 二 一 日 に 発 効 す る た め、 新法中の離婚制度に関する諸規定は、 それまでの期間に限られた暫定的なものであると指摘されている ( Avasilencei, op. cit., p.271. ) 。 ( 4)   親子関係   親子関係については、新法は旧法上の規則を踏襲している。嫡出親子関係の成立及びその効力、並びに、準正に つ い て、 婚 姻 の 一 般 的 効 力 に つ い て の 規 則 を 準 用 す る 旧 法 第 二 五 条 な い し 第 二 七 条 は、 新 法 第 二 六 〇 三 条 及 び 第 二六〇四条にそのまま移行している。   婚 外 親 子 関 係 の 確 認、 認 知 に つ い て、 「外 国 の 市 民 た る 子 が 他 の 外 国 国 籍 を も 有 す る 場 合 に は、 そ の 者 に と っ て よ り 有 利 な 法 律 が 適 用 さ れ る。 」 (旧 法 第 二 八 条 第 一 項 第 二 文) と し て、 子 の 利 益 保 護 の 確 保 を 優 先 し た 旧 法 上 の 立 場 は、 新 法 第 二 六 〇 五 条 に お い て 受 け 継 が れ て い る。 又、 同 様 に、 「婚 姻 外 に お い て 出 生 し た 子 の 父 に 対 し、 妊 娠 期 間 及 び 子 の 出 生 の 費 用 を 負 担 す る こ と を 請 求 す る 母 の 権 利」 (旧 法 第 二 九 条) の 規 定 も、 新 法 第 二 六 〇 六 条 に 受 け 継 がれている。   次 に、 養 子 縁 組 に よ る 親 子 関 係 に つ い て は、 旧 法 中 に 四 箇 条 の 諸 規 定 (旧 法 第 三 〇 条 な い し 第 三 三 条) が 置 か れ て いたが、それらの諸規定は、そのまま、新法第二六〇七条ないし第二六一〇条として受け継がれており、養子縁組

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の成立について、養親の本国法と養子の本国法とを累積的に適用する立場、及び、夫婦共同養子縁組について、婚 姻 の 一 般 的 効 力 に 関 す る 規 則 を 準 用 す る 立 場 も、 そ れ ぞ れ、 新 法 第 二 六 〇 七 条 第 一 項 及 び 第 二 項 に 規 定 さ れ て い る。又、養子縁組の効力、及び、養親と養子との間の関係について、養親の本国法に依ることを本則とするが、夫 婦に依って合意された養子縁組の場合には、婚姻の一般的効力について定められた法律が適用され、そして、同法 が養子縁組の解消を規律するとする規定 (旧法第三一条) は、新法第二六〇八条においても同様である。   尚、 子 を 扶 養 し、 子 を 教 育 し、 そ の 者 の 財 産 を 管 理 す る 親 の 義 務 を 含 め て、 親 子 間 の 法 律 関 係 に つ い て は、 「親 責任及び子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行及び協力に関するハーグ条約」に依るべきと規定さ れている (新法第二六一一条) 。 ( 5)   扶養義務   扶 養 義 務 に 関 し て は、 新 法 第 二 六 一 二 条 は、 欧 州 連 合 法、 す な わ ち、 「扶 養 事 件 に お け る 管 轄 権、 準 拠 法、 裁 判 の承認及び執行、並びに、協力に関する二〇〇八年一二月一八日の欧州連合理事会規則」等に服することを明らか にしている。因みに、旧法中には、次に掲げるような二箇条の規定が置かれていた。すなわち、旧法第三四条が、 「扶 養 義 務 の 準 拠 法 は、 次 に 掲 げ る 関 係 に つ き、 次 に 掲 げ る 法 律 と す る。 (a) 親 子 間 の 関 係 に つ い て は、 第 二 五 条、 第 二 八 条 及 び 第 三 一 条 に 従 い、 親 子 関 係 の 効 力 を 規 律 す る 法 律、 (b) 夫 婦 間 の 関 係 に つ い て は、 第 二 〇 条 に 従 い、 婚 姻 の 効 力 を 規 律 す る 法 律、 (c) か つ て の 夫 婦 間 の 関 係 に つ い て は、 第 二 二 条 に 従 い、 離 婚 を 規 律 す る 法 律、 (d) 他 の 者 の 間 の 関 係 に つ い て は、 扶 養 権 利 者 の 本 国 法。 国 籍 の 変 更 が あ る と き は、 新 し い 本 国 法 は 変 更 後 の給付についてのみ適用される。 」と規定し、又、旧法第三五条が、 「扶養義務の準拠法は、特に、次に掲げる事項

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を決定する。 (a)扶養権利者たる者及び扶養義務者たる者、並びに、複数の扶養義務者の間の優先順位、 (b)扶 養 義 務 の 範 囲、 (c) 義 務 の 履 行 方 法 及 び そ の 履 行 の た め に 設 定 さ れ た 期 間」 (第 一 項) 、 そ し て、 「扶 養 義 務 の 範 囲 の決定については、準拠外国法が別段に定めているときであっても、扶養義務者の資力及び扶養権利者の実需を考 慮しなければならない。 」 (第二項) と規定していた。   又、旧法中には、扶養義務に関する規定に続いて、無能力者又は制限的行為能力者の保護に関し、次に掲げるよ う な 四 箇 条 の 諸 規 定 が 置 か れ て い た。 す な わ ち、 旧 法 第 三 六 条 が、 「婚 姻 か ら 出 生 し た か、 又 は、 養 子 に さ れ た 未 成年者の保護であって、父母、又は、場合により、父若しくは母に依って実行されたものは、第二〇条において定 められた法律に依って規律される。 」と規定し、旧法第三七条が、 「後見の設定、変更、効力及び終了、並びに、後 見 人 及 び 無 能 力 者 又 は 制 限 的 能 力 を 有 す る 者 と の 間 の 関 係 は、 被 保 護 者 の 本 国 法 に 服 す る。 」 (第 一 項) 、「後 見 を 引 き 受 け、 か つ、 実 行 す る 義 務 は、 後 見 人 の 本 国 法 に 服 す る。 」 (第 二 項) と 規 定 し、 旧 法 第 三 八 条 が、 「未 成 年 者 又 は他の無能力者若しくは制限的能力を有する者に関し、又は、それらの者が所有する財産に関し、父母又は後見に 依って執られた措置は、然るべき者に依る保護の実行を指揮し、又、監督する官公庁が帰属する国家の法律に服す る。 」と規定し、そして、旧法第三九条が、 「第三七条及び第三八条の規定は、無能力者又は制限的能力を有する者 の財産管理及び他の全ての保護の設定に同様に適用される。 」と規定していた。 ( 6)   相続   相続関係については、旧法中には、相続に関する二箇条、及び、遺言に関する一箇条の諸規定が置かれていた。 す な わ ち、 旧 法 第 六 六 条 は、 相 続 分 割 主 義 の 立 場 か ら、 「動 産 に つ い て は、 そ れ が ど こ に 在 ろ う と も、 被 相 続 人 が

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そ の 死 亡 の 当 時 有 し た 本 国 法」 に 依 り、 又、 「不 動 産 及 び 営 業 用 財 産 に つ い て は、 そ れ ら の 財 産 の 何 れ か が 位 置 付 けられている地の法律」に依るべきものと規定していた。それに対して、遺言に関する新法第二六三三条が本則と して定めているのは、相続統一主義の立場からの被相続人の死亡当時の常居所地法主義である。これは、相続に関 する管轄権、準拠法、判決及び認証文書の承認及び執行に関する欧州連合議会及び理事会規則提案第一六条に従っ た 結 果 で あ る ( Avasilencei, op. cit., p.273. ) 。 又、 旧 法 第 六 八 条 第 一 項 は、 「遺 言 者 は、 第 六 六 条 に 記 さ れ た 法 律 の 強 行規定を排除する権利を有することなく、その者の財産の相続による譲渡をその法律とは別の法律に服せしめるこ と が で き る。 」 と し て、 被 相 続 人 に よ る 準 拠 法 の 選 択 を 広 く 許 容 し て い た が、 新 法 第 二 六 三 四 条 第 一 項 が 認 め て い る準拠法の範囲は被相続人の国籍国法に限られている。相続準拠法の選択の範囲については、兼ねてより、遺言相 続 に 限 ら れ る も の か、 そ れ と も、 法 定 相 続 に も 及 ぶ も の で あ る か が 論 議 さ れ て い た が ( Dan Andrei Popescu, Some remarks on the applicable law to international successions in Romania, Yearbook of private international law 2007, p.303 et seq. ) 、 同項における規律が 「相続の全体」 に及ぶことから、 相続準拠法は、 抵触規定に依って指定されたものであ れ、 被 相 続 人 に 依 っ て 選 択 さ れ た も の で あ れ、 同 時 に、 双 方 の 相 続 へ 適 用 さ れ る べ き こ と が 明 ら か に さ れ た (

Avasilencei, op. cit., p.274.

) 。   又、相続人の不存在の場合について、相続準拠法の事項的範囲に含まれるとしていることから、相続準拠法説が 採られていたと見られる旧法第六七条の規定の立場は、新法第二六三六条において、遺産所在地法説の立場へと変 容しているように見られる。   更 に、 遺 言 の 方 式 に 関 す る 旧 法 第 六 八 条 第 三 項 が、 遺 言 保 護 の た め の 多 元 的 連 結 の 立 場 か ら、 「遺 言 の 作 成、 変 更又は撤回は、証書が次に掲げる法律の何れに従ったかに拘わらず、それが、作成、変更又は撤回された当時であ

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れ、 遺 言 者 の 死 亡 の 当 時 で あ れ、 適 用 さ れ る 形 式 的 要 件 を 遵 守 す る と き は、 有 効 と 見 做 さ れ る。 」 と し て 挙 げ ら れ て い る 法 の 範 囲 は、 (a) 遺 言 者 の 本 国 法、 (b) 遺 言 者 の 住 所 地 法、 (c) 証 書 が 作 成、 変 更 又 は 撤 回 さ れ た 地 の 法律、 (d)遺言の対象となる不動産の所在地法、 (e)遺産の移転手続きを行なう当局又は機関の法律である。こ れについては、新法第二六三五条においても同様である。 ( 7)   物権   物権に関しては、旧法中には、一般原則、有体動産、輸送手段、有価証券、流通性有価証券、無体財産、公示方 法等に関する詳細な諸規定が置かれ、それが、旧法の特徴の一つとされていた。新法においては、それらの物権に 関する諸規定を踏襲しながら、新たな編成の下に、当該諸規定を配置している。以下においては、旧法における諸 規定を掲げると共に、それらの諸規定と新法との対応関係を示しておきたい。尚、輸送手段及び流通性証券につい ては、旧法における配置に従い、後に言及することとする。 旧 法 第 四 九 条   占 有、 所 有 権、 及 び、 担 保 物 権 を 含 め、 物 に 関 す る 他 の 物 権 は、 反 対 の 特 別 規 定 が な い 限 り、 そ れ ら が 存 在するか、又は、位置付けられている地の法律に依って規律される。 (新法第二六一三条第一項相当) 旧 法 第 五 〇 条   動 産 又 は 不 動 産 の 性 質 並 び に 物 に 関 す る 物 権 の 内 容 は、 第 三 条 に 拘 わ ら ず、 そ れ ら が 存 在 す る か、 又 は、 位置付けられている地の法律に従って決定される。 (新法第二五五八条第三項相当) 旧 法 第 五 一 条   何 れ か の 国 家 の 大 陸 棚 に 位 置 付 け ら れ た 海 底 資 源 開 発 の プ ラ ッ ト ホ ー ム 及 び 他 の 耐 久 的 設 備 は、 本 章 の 意 味において、不動産と見做される。 (新法第二六一三条第二項相当) 旧 法 第 五 二 条   場 所 を 変 更 し た 物 に 関 す る 物 権 の 設 定、 譲 渡 又 は 消 滅 は、 そ れ が 問 題 と な っ て い る 権 利 を 創 設 し た か、 変

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更したか、又は、消滅させた法的事実が生じた当時、所在した地の法律に依って規律される。 (新法第二六一七条相当) 旧法第五三条   運送中の物は、次に掲げる場合を除き、それが発送された国家の法律に服する。   (a)当事者が、第七三条及び第七四条に従い、合意により、適用されることとなる他の法律を選択した場合   (b ) 物が暫定的措置として、 又は、 強制的売買の一貫として倉庫に寄託されているか、 又は、 供託に付されている場合 であって、寄託又は供託の継続期間中、それが暫定的に配置された場所の法律が適用される場合   (c)物が乗客の個人財産の一部を成す場合であって、それがその者の本国法に服する場合(新法第二六一八条相当) 旧 法 第 五 四 条   輸 出 用 の 物 に 関 す る 所 有 権 の 留 保 か ら 生 じ る 条 件 及 び 効 力 は、 当 事 者 が 別 段 合 意 し な か っ た と き、 輸 出 国 の法律に依って規律される。 (新法第二六一九条相当) 旧法第五五条   輸送手段に関する物権の設定、譲渡又は消滅は、次に掲げる法律に服する。   (a)船舶又は航空機に依って掲げられた旗の法律   (b)運送会社の資産の鉄道車両及び道路車両については、その組織上の定款の準拠法(新法第二六二〇条第一項相当) 旧法第五六条   第五五条に掲げられた法律は、次に掲げる資産に同様に適用される。   (a)技術上の装備の一部を成す物であって、継続的に運送手段に存在するもの   (b)輸送手段の技術上の援助、維持、修補又は更新の費用のための債権(新法第二六二〇条第二項相当) 旧 法 第 五 七 条   記 名 株 券、 指 図 株 券、 無 記 名 株 券 及 び 社 債 の 発 行 は、 発 行 法 人 の 組 織 上 の 定 款 の 準 拠 法 に 服 す る。 (新 法 第二六二二条第一項相当) 旧法第五八条   第五七条に掲げられた有価証券の中の何れかの譲渡の条件及び効力は、次に掲げる法律に服する。   (a)記名証券のそれについては、発行法人の組織上の定款の準拠法

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  (b)指図証券の支払地の法律   (c ) 連続する占有者の間の関係、 及び、 それらの者と第三者との間の関係においては、 譲渡の当時、 無記名証券が存在 する地の法律(新法第二六二二条第二項相当) 旧 法 第 五 九 条   有 価 証 券 が そ れ が 明 示 す る 商 品 の 表 象 的 証 券 で あ る た め の 条 件 を 充 足 す る か 否 か は、 そ れ の 内 容 に お い て 明 示 さ れ た 法 律 が 確 定 す る。 か よ う な 明 確 性 を 欠 く と き、 証 券 の 性 質 は、 発 行 会 社 が そ の 本 拠 を 有 す る 国 家 の 法 律 に 従って決定される。    証 券 が 商 品 を 表 象 す る と き は、 前 項 に 従 い、 動 産 と し て そ れ に 適 用 さ れ る 法 律 が、 そ れ が 明 示 す る 商 品 に 関 す る 物 権 を規律する。 (新法第二六二三条相当) 旧 法 第 六 〇 条   知 的 創 造 の 作 品 に 関 す る 著 者 の 権 利 の 発 生、 内 容 及 び 消 滅 は、 そ れ が 出 版、 上 演、 展 示、 放 送 又 は 他 の 適 当な方法に依って最初に公衆に知らしめられた国家の法律に服する。    公表されない知的創造の作品は著者の本国法に服する。 (新法第二六二四条相当) 旧 法 第 六 一 条   工 業 所 有 権 の 発 生、 内 容 及 び 消 滅 は、 登 録 若 し く は 登 記 が 行 な わ れ た か、 又 は、 登 録 若 し く は 登 記 の 申 請 が提出された国家の法律に服する。 (新法第二六二五条相当) 旧法第六二条   物質的損害賠償及び精神的損害賠償の取得は、著作権又は工業所有権が侵害された国家の法律に服する。 旧 法 第 六 三 条   外 国 の 自 然 人 及 び 法 人 の 著 作 権 及 び 工 業 所 有 権 は、 ル ー マ ニ ア の 領 域 に お い て、 ル ー マ ニ ア 法 及 び ル ー マ ニアが当事国である国際条約に従って保護される。 旧 法 第 六 四 条   物 に 関 し、 あ ら ゆ る 事 由 に よ っ て 実 現 さ れ た 公 示 方 法 は、 そ れ が 完 了 す る 当 時 そ の 地 に お い て 適 用 さ れ る 法律に服する。 (新法第二六二六条第一項相当)

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旧 法 第 六 五 条   第 六 四 条 に 記 さ れ た 方 法 で あ っ て、 不 動 産 に 関 す る 権 利 を 設 定 す る 効 力 を 有 す る も の は、 物 権 の 発 生、 譲 渡、 留 保 若 し く は 消 滅 又 は 物 的 担 保 の 法 的 根 拠 が 他 の 法 律 の 適 用 に 依 っ て 構 成 さ れ て い る と き で あ っ て も、 そ れ が 位 置 付けられている国家の法律に服する。 (新法第二六二六条第二項相当) ( 8)   契約債務   債務に関しては、先ず、契約債務について、旧法中には、次に掲げるような詳細な諸規定が置かれ、それが、旧 法の特徴の一つとされていた。しかし、新法においては、それらの契約債務に関する諸規定に代えて、専ら欧州連 合 法 等 の 諸 規 則 に 従 う と す る 新 た な 規 則 が 導 入 さ れ て い る (新 法 第 二 四 六 〇 条 第 一 項) 。 従 っ て、 旧 法 中 の 契 約 債 務 に関する詳細な諸規定は、全て、実定法としての存在意義を失っている。以下においては、旧法における諸規定を 掲げて、新法との対照を明らかにしておきたい。 旧法第七三条   契約は、当事者が双方の合意をもって選択する法律に服する。 旧法第七四条   契約の準拠法の選択は、 明白であるか、 又は、 疑いなくその内容若しくは状況に起因しなければならない。 旧法第七五条   当事者は、契約の全体又は何れかの部分のみの準拠法を選択することができる。 旧法第七六条   準拠法の選択に関する合意は、第七三条に従い、当事者の合意に依って変更されることができる。   契約の締結時の後に取り決められた準拠法に関する合意の変更は、 次に掲げることはできないが、 遡及的効力を有する。   (a)契約の方式の有効性を覆すこと   (b)その間に第三者に依って取得された権利を侵害すること 旧法第七七条   第 七 三 条 に 従 っ て 選 択 さ れ た 法 律 が な い と き 、 契 約 は 、 そ れ が 最 も 密 接 な 関 係 を 有 す る 国 家 の 法 律 に 服 す る 。

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   か よ う な 関 係 は、 契 約 締 結 の 当 時、 特 徴 的 給 付 の 債 務 者 が、 場 合 に よ り、 そ の 者 の 住 所、 若 し く は、 そ れ が な い と き はその者の居所、又は、営業用財産、又は、定款上の本拠を有する国家の法律とに存在するものとする。    不 動 産 に 関 す る 権 利 又 は 不 動 産 に 対 す る 一 時 的 用 益 権 に 関 す る 契 約 は、 不 動 産 が 位 置 付 け ら れ て い る 国 家 の 法 律 と 最 も密接な関係を有する。 旧法第七八条   特徴的給付とは、次に掲げる給付を意味するものとする。   (a)売買のような譲渡契約又は他の同様のものに依って、動産を譲渡する当事者の給付   (b)賃貸借契約又は他の同様のものに依って、一定の期間、財産の利用を人の自由にさせる当事者の給付   (c )受任者、受託者、請負人、及び、一般的に、労務契約に従い、それを履行する当事者に依って実行される給付   (d)保証、担保又は他の同様のものの契約における保証人の給付    関 係 当 事 者 が、 状 況 か ら、 契 約 の 他 の 国 家 の 法 律 と の よ り 密 接 な 関 係 が 存 在 す る こ と と な る こ と を 立 証 す る と き、 前 項に定められた推定は排除されることができる。 旧 法 第 七 九 条   当 事 者 の 一 方 の 特 徴 的 給 付 を 考 慮 し て 位 置 付 け ら れ る こ と が で き な い 契 約 は、 実 質 的 要 件 に つ い て、 そ れ が締結された地の法律に服する。    異 な る 国 家 に 存 在 す る 当 事 者 が、 手 紙、 電 報 の 取 交 し 又 は 電 話 に よ っ て 交 渉 し た と き、 契 約 は、 承 諾 さ れ た 契 約 締 結 をすることの確定的な申込みを開始した当事者の住所又は本拠の国において締結されたものと見做される。 旧法第八〇条   第七三条ないし第七九条に従い、契約の実質に適用される法律は、特に、次に掲げる事項に適用される。   (a)契約の法的性質及びそれが含む条項の解釈   (b)契約から生じる債務の履行

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  (c)それらの債務の全体的又は部分的な不履行の結果、並びに、不履行が惹起した損害の算定   (d)契約から生じた債務の消滅の態様   (e)契約の無効原因及び無効の結果    契 約 か ら 生 じ た 債 務 の 実 行 の 方 法 は、 実 行 地 の 法 律 に 従 わ な け れ ば な ら な い。 債 権 者 は、 そ の 者 が、 契 約 を 考 慮 し て、 不 履 行 を 予 防 す る か、 若 し く は、 是 正 す る た め の 措 置、 又 は、 損 害 を も た ら す そ の 効 果 を 制 限 す る た め の 措 置 を 講 ずるとき、同法を遵守しなければならない。 旧 法 第 八 一 条   契 約 の 準 拠 法 に 関 す る 当 事 者 の 合 意 の 実 質 の 存 在 及 び 有 効 性 は、 そ れ ら の 者 が 選 択 し た 法 律 に 依 っ て 決 定 される。    前 記 の 法 律 が、 か よ う に し て 取 り 決 め ら れ た 選 択 を 有 効 で な い も の と し て 宣 言 す る と き、 契 約 は 第 七 七 条 な い し 第 七九条に示された法律に依って規律される。 旧 法 第 八 二 条   当 事 者 の 一 方 に 依 っ て 争 わ れ た 契 約 の 実 質 の 存 在 及 び 有 効 性 は、 そ れ が 有 効 で あ っ た と 見 做 さ れ た な ら ば それに適用された法律に従って決定される。 旧 法 第 八 三 条   契 約 に 対 す る そ の 者 の 合 意 を 与 え た こ と の 事 実 を 争 う 当 事 者 の 沈 黙 の 法 的 効 果 は、 問 題 と な っ て い る 自 然 人の本国法又は法人の組織上の定款の法律に服する。 旧 法 第 八 四 条   異 な る 国 家 に 住 所 又 は 本 拠 を 有 す る 当 事 者 の 間 の 契 約 は、 申 込 者 が 承 諾 を 知 っ た と き に 締 結 さ れ た も の と 見做される。    そ の 性 質 に よ る か、 又 は、 受 益 者 の 要 求 に よ っ て、 特 徴 的 給 付 の 即 時 の 実 行 を 課 す る 契 約 は、 申 込 者 が 予 め 承 諾 が そ の 者 に 通 知 さ れ る こ と を 要 求 し な か っ た と き、 そ の 給 付 の 債 務 者 が 実 行 を 開 始 し た と き に 締 結 さ れ た も の と 見 做 さ れ

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る。そうでなかった場合には、前項の規定が適用される。 旧法第八五条   本章に依って契約に適用される外国法は、その抵触規定を除き、その実質規定を含むものとする。 旧 法 第 八 六 条   契 約 は、 第 七 一 条 第 一 項 に 定 め ら れ た 法 律 に 依 っ て 設 定 さ れ た 形 式 的 要 件 で あ っ て、 同 様 の 方 法 を も っ て 適用されるものに服する。    上記に拘わらず、契約は、次に掲げるとき、方式の点について有効であると考えられる。   (a ) 契約が締結された当時、 異なる国家に存在する当事者が、 それらの国家の一方の法律に依って定められた形式的要 件を充足したとき   (b)当事者の代理人が、契約の締結の当時、その者が存在した国家の形式的要件を充足したとき 旧 法 第 八 七 条   有 体 財 産 に 対 す る 権 利 が、 そ れ に 依 っ て 設 定、 変 更、 譲 渡 又 は 消 滅 さ れ る 契 約 に 有 効 性 又 は 対 抗 性 を 付 与 するために必要な公示方法は、有体財産が所有するか、又は、位置付けられている地の法律に服する。 旧 法 第 八 八 条   動 産 売 買 に 適 用 さ れ る た め に 当 事 者 に 依 っ て 取 り 決 め ら れ た 法 律 が な い と き、 動 産 売 買 は、 売 主 が、 契 約 の 締 結 の 当 時、 場 合 に よ り、 住 所、 若 し く は、 か よ う な も の が な い と き は、 居 所 又 は 営 業 用 財 産 若 し く は 社 会 的 本 拠 を 有する国家の法律に服する。 旧 法 第 八 九 条   第 八 八 条 の 規 定 の 例 外 と し て、 商 業 上 の 売 買 の 契 約 は、 次 に 掲 げ る と き、 買 主 が 営 業 用 財 産 又 は 社 会 的 本 拠を有する国家の法律に服する。   (a)問題となっている国家に存在する当事者に依って交渉が行なわれ、かつ、契約が締結されたとき   (b ) 契約が、 明白に、 売主が問題となっている国家において商品を引き渡す債務を実行しなければならないことを定め ているとき

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旧 法 第 九 〇 条   取 引 所 又 は 市 場 を 介 し た 競 売 は、 問 題 と な っ て い る 国 家 の 法 律 が 当 事 者 に そ れ ら の 者 の 合 意 に 依 っ て 準 拠 法 を 選 択 す る こ と を 許 し、 か つ、 そ れ ら の 者 が 明 白 に か よ う な 選 択 を 執 り 行 な う と き で な い 限 り、 契 約 の 締 結 が 前 記 の 手段によって実現する国家の法律に服する。 旧 法 第 九 一 条   第 七 三 条、 第 七 六 条、 第 七 七 条 及 び 第 八 八 条 な い し 第 九 〇 条 に 依 っ て 売 買 に 適 用 さ れ る 法 律 は、 特 に、 次 に掲げる事項を規律する。   (a)契約の解釈   (b)当事者の権利及び義務   (c)契約から生ずる債務の履行   (d)買主が譲渡された財産又は商品の収益及び果実に対する権利を取得することとなる時期   (e)買主が譲渡された財産又は商品に関する危険を負担することとなる時期   (f)所有権の留保の条項の当事者の間の有効性及び効果   (g)法廷地の手続法に服する問題を除き、損害賠償を獲得することを含めた契約の不履行の結果   (h)期間の満了に基づく失権のような契約から生じた債務の消滅の態様   (i)契約の無効の結果 旧 法 第 九 二 条   商 品 の 受 領 が 行 な わ れ る 国 家 の 法 律 は、 他 の 明 白 な 合 意 が な い 限 り、 量 的 及 び 質 的 な 検 査 の 期 間 及 び 手 続 き、並びに、それらの財産が拒絶されるとき、それらについて執られることができる手段を定める。 旧 法 第 九 三 条   本 人 と 代 理 人 又 は 仲 介 人 と の 間 の 関 係 に お い て、 他 の 合 意 が な い 限 り、 仲 介 人 が そ の 者 の 権 限 を 行 使 す る 国家の法律が適用される。

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   仲介人が職業として仲介人又は代理人の職務を実行する場合には、その者の職業上の本拠の法律が適用される。 旧法第九四条   第九三条に示された法律は、特に、次に掲げる事項に適用される。   (a)仲介人の権限の存在、範囲、変更及び終了   (b)それらの権限を踰越するか、又は、それらを濫用することの結果   (c ) 仲 介 人 の 全 体 的 又 は 部 分 的 に そ の 者 の 権 限 を 委 任 す る こ と 、 及 び 、 付 加 的 又 は 代 替 的 な 仲 介 人 を 指 名 す る こ と の 能 力   (d)仲介人と本人との間の利益衝突の危険が存在するとき、仲介人が本人のために契約を締結することの可能性   (e)不競争の条項   (f)弁償されようとしている損害の場合 旧 法 第 九 五 条   代 理 さ れ た 者 と 第 三 者 と の 間 の 関 係 は、 そ れ ら の 者 が 明 白 に 他 の 方 法 を 取 り 決 め な か っ た と き、 仲 介 人 の 職業上の本拠が存在する地の法律に服する。    か よ う な 本 拠 が な い 場 合 に は、 次 に 掲 げ る も の が 問 題 と な っ て い る 領 域 に 存 在 す る と き、 仲 介 人 が 行 動 し た 国 家 の 法 律が適用される。   (a)代理された者の本拠、住所若しくは居所、又は、   (b)第三者の本拠、住所若しくは居所、又は、   (c)取引所、市場若しくは仲介人がその者の任務を遂行するために参加した競売が開催された地の本拠 旧 法 第 九 六 条   第 九 五 条 に 示 さ れ た 法 律 は、 特 に、 仲 介 人 が そ の 者 の 権 限 の 実 際 的 又 は 潜 在 的 な 行 使 を 通 じ て 取 り 行 な っ た行為の効果を定める。 旧法第九七条   委任の履行の態様は、履行が行なわれる国家の法律に依って設定された条件に従わなければならない。

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旧 法 第 九 八 条   何 れ か の 国 家 に お い て、 手 紙、 電 報、 テ レ ッ ク ス、 電 話 又 は 他 の 通 信 手 段 に 依 っ て、 そ の 他 の 国 家 の 第 三 者 と 通 信 し た 仲 介 人 は、 そ の 者 の 職 業 上 の 本 拠、 又 は、 そ れ が な い と き は、 そ の 者 の 住 所 若 し く は そ の 者 の 居 所 か ら 行 動したものと見做される。 旧 法 第 九 九 条   本 人、 仲 介 人 又 は 第 三 者 が 異 な る 国 家 に 複 数 の 職 業 上 の 本 拠 を 有 す る と き は、 仲 介 人 に 依 っ て 遂 行 さ れ た 行為と最も密接な関係を呈する本拠が考慮されるものとする。 旧法第一〇〇条   不動産に関する管理又は処分の行為を目的とする代理は、財産の所在地の法律に服する。 旧 法 第 一 〇 一 条   労 働 契 約 を 規 律 す る た め、 第 七 三 条 及 び 第 七 六 条 に 従 い、 当 事 者 に 依 っ て 取 り 決 め ら れ た 法 律 は、 そ れ が、 か よ う な 選 択 が な け れ ば、 準 拠 法 上 の 強 行 規 定 が 賃 金 労 働 者 に 保 障 す る 保 護 を 侵 害 し な い 態 様 に お い て の み 適 用 さ れることができる。 旧法第一〇二条   労働契約は、当事者がそれについて別段取り決めない限り、次に掲げる領域の国家の法律に服する。   (a ) 賃金労働者が一時的に他の国家に派遣されているときであっても、 契約に従い、 その者が平常的にその労務を遂行 する領域   (b ) 賃金労働者が、 正にその者の職務上の性質により、 複数の国家において労務を実行するときは、 その者を雇傭した 会 社 の 本 拠 が 所 在 す る 領 域。 但 し、 労 働 契 約 の 他 の 国 家 と の よ り 密 接 な 関 係 が 存 在 す る 場 合 に は、 同 国 の 法 律 が 適 用されなければならない。 旧法第一〇三条   当事者に依って取り決められた法律がないときは、 次に掲げる契約には、 次に掲げる法律が適用される。   (a)労務の実行の契約には、企業家の本拠の法律   (b)運送、発送及び他の同様のものの契約には、運送人又は発送人の本拠の法律

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  (c ) 銀行の自律的保証を含め、 銀行契約には、 金融会社の本拠の法律。 但し、 二つの銀行の間の関係には、 他方のため に業務を給付する銀行の法律が適用される。   (d )危険に対する保険の契約には、保険業者の本拠の法律。同法は、保険証券の譲渡又は質入れに同様に適用される。   (e)寄託契約には、受託者の本拠の法律   (f)贈与には、贈与者の本国法   又、債務の譲渡及び消滅に関しても、旧法中には、次に掲げるような四箇条の諸規定が置かれていたが、これら の諸規定も、新法へ引き継がれなかったものである。 旧 法 第 一 二 〇 条   債 権 の 譲 渡 は、 当 事 者 の 他 の 契 約 が な い 限 り、 被 譲 渡 債 権 の 法 律 に 服 す る。 譲 渡 人 が 及 び 譲 受 人 の 合 意 に依る他の法律の選択は、被譲渡債権の債務者の同意がなければ、その者に対抗できないものとする。    譲渡人と譲受人との間の債務は、譲渡が基礎付けられた法的関係に適用される法律に服する。 旧 法 第 一 二 一 条   合 意 に よ る 代 位 は、 当 事 者 が そ れ に つ い て 別 段 取 り 決 め な い 限 り、 債 権 者 が 取 り 替 え ら れ た 債 務 の 法 律 に服する。    法 律 上 の 代 位 は、 そ れ に 依 っ て、 人 が 債 権 者 に 弁 済 す る こ と が で き る か、 又 は、 弁 済 し な け れ ば な ら な い 法 律 に 服 す る。同法は、次に掲げる事項を定める。   (a)弁済人が、その者の債務者との関係において、最初の債権者に代位するか否か   (b)債務者に対して行使されることができる権利 旧法第一二二条   取立委任及び更改は、それらの目的を形成する債務の準拠法に服する。 旧法第一二三条   相殺は、相殺によって部分的又は全体的な消滅が対抗される債権の準拠法に服する。

参照

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