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ドイツ連邦憲法裁判所の権限 : 機関争訟手続 利用統計を見る

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(1)

ドイツ連邦憲法裁判所の権限 : 機関争訟手続

著者名(日)

名雪 健二

雑誌名

東洋法学

51

1

ページ

1-23

発行年

2007-10-15

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000624/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

︻論  説︼

ドイツ連邦憲法裁判所の権限

      機関争訟手続

東洋法学

〇九八七六五四三二一

はじめに

意義および歴史的背景 当事者能力 争訟の対象および審査基準

提訴権能

権利保護の必要性 形式および期問 参   加 決   ︷疋

おわりに

一一

(3)

2

ドイッ連邦憲法裁判所の権限

はじめに

      ︵−︶       ︵2︶  ドイッ連邦憲法裁判所は、一九五一年九月七日に、その活動を開始したが、それは他の裁判機構と比べると極 めて際立った裁判所であると同時に、一つの憲法機関でもある。しかも、この裁判所は、憲法の適用・解釈に関       ︵3︶ する間題について決定する連邦の最高裁判所である。そして、憲法の遵守を直接に保障するためのあらゆる裁判       ︵4︶ 上の手続が、連邦憲法裁判所に集中されており、極めて広範な権限をもって、憲法上の間題に関して決定する。        ︵5︶       ︵6︶  ドイツ基本法および連邦憲法裁判所法に規定されている連邦憲法裁判所の権限としては、憲法訴願手続、抽象       ︵7︶         ︵8︶       ︵9︶ 的規範審査手続、具体的規範審査手続、機関争訟手統、連邦争訟手続があり、これら以外にも、特別な憲法擁護  ︵m︶        ︵11︶      ︵12︶ 手続や選挙審査手続および議員資格審査手続がある。  そこで、本稿では、連邦憲法裁判所に配分されているこれらの権限のうち、機関争訟手続をみていくことにす る。

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︵3︶  連邦憲法裁判所が活動する所在地は、カールスルーエである︵連邦憲法裁判所法第一条第二項︶。  ドイツの裁判機構を図式化したものとしては、ドイツ憲法判例研究会編﹃ドイツの最新憲法判例﹄、一九九九 年、四四六頁がある。  連邦憲法裁判所の地位および組織については、丙一9 。霧ωo巨巴畠\誓9き因o同δ貸U器ω彗8磐R富ω霊轟詔Φー 旨亘S︾邑・﹄。。8勾α霞﹄①拝国旨ωけωΦ且m\国。ζ旨遷Φ一pくR貯ωω琶鵯冥・N畠お。算ド>鼠一。﹄。β臣糞.

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東洋法学

︵4︶ ︵5︶ ︵6V ︵7︶ OO噛廿Oぼ一ω試き勺Φωけ巴oNN辞くR壁の霊轟ωRoN畠吋Φoゴ倉ω●︾象一こ一8どω。G 。試h  国ヨωけ牢一①器嘗魯PU一①くR貯ω霊轟詔R8拝ω富詩①詳営αRω仁邑8お冨亘一犀U①旨零匡き9お8”ψ刈●廣田 健次訳﹃西ドイツ憲法裁判論﹄、エルンスト・フリーゼンハーン、一九七二年、三頁。  連邦憲法裁判所法の授権にもとづいて、これを補完するものとして連邦憲法裁判所規則がある。なお、連邦憲法 裁判所法および連邦憲法裁判所規則の邦訳としては、初宿正典・須賀博志編訳﹃連邦憲法裁判所法﹄、二〇〇三年 がある。  憲法訴願手続は、基本法第九三条第一項第四a号、連邦憲法裁判所法第一三条第八a号・第九〇条以下で規定し ている。憲法訴願手続の詳細については、ωo露巴魯\内○ユ9F国号﹃.お無汁ω魯鼠\困αP即α葭.30 。宗旧ミo零 鴉お冒幕おN島けg9讐。冨づ琶αくΦH貯ぼ8αΦωω§α①ω<①匡霧ω琶鵬詔①旨辟ρぼ一・ω①=ω窪ωΦΦ\評三困岩▽ ぎ胤︵=お閃■y国鋤且ど魯q①ωω鼠諄巽Φ。拝ωぎαR劇巨8段①2σ痔UΦ暮ωo巨蝉且﹂W阜目﹄.︾慧一.﹄。。㎝﹄刈。 肉号﹃﹂①。 。拝Oぼ一ω8鳳O島ざ9ΦくR貯ωω毒閃ωげΦω畠≦①三ρ一員勺g。﹃浮身轟\国。韓卑Φ醇︵田お閃。γ閃Φωけω− 。ぼ洋㎝。冒ぼ①︼W巨αΦωくR貯ωω琶鵯鷺旨耳ω阜目る。。H”ψ竃集引勺Φωけ巴oNNp鋤.四。ρω﹂㎝窯於Oぼ一ω菖き 霞一一嬢暮R\O巨ω8冨OooρくR貯ωω巨閃ω賓。NΦ戻国8拝ド>邑。る。。ρ園α目。認捧殉呂蒔震N8F寂ω閑8算 αRくR貯ωω巨閃ωびΦω魯妻Φ巳9ω。︾邑9る。。。.  抽象的規範審査手続は、基本法第九三条第一項第二号、連邦憲法裁判所法第一三条第六号・第七六条以下で規定 している。なお、一九九四年一〇月二七日の基本法の改正で第九三条第一項第二a号が追加され、これに伴い、連 邦憲法裁判所法第二二条第六a号が追加された。また、二〇〇六年八月二八日の基本法の改正で第九三条第二項が 追加︵これまでの第二項が第三項となった︶され、これに伴い、連邦憲法裁判所法第一三条第六b号が追加され た。抽象的規範審査手続の詳細については、ωo匡巴畠\内oユo跨”勾身目﹂器拝ω窪量\内一虫P園α目褐ミ捧 いα≦9㈱ぎ即α霞。OO陣旧勺Φω什巴oNN辞勲四●O‘ω●旨O噛廿譲Φ言R国雲PZOHヨ窪犀9群o一一ρ一昌るoけRω匿霞ゆ\ 自・韓∪邑R︵牢超ン閃Φω富。ぼ一津㎝。冒ぼΦ︼W巨αΦω<R賦ωω巨暢閃窪。耳一Wα﹂﹄。。一”ψ①一。 。拝田=鴨昌R\ OOo9国α霞.お罵h

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ドイッ連邦憲法裁判所の権限 ︵8︶ ︵9︶ ︵10︶ ︵1 1︶ ︵12︶  具体的規範審査手続は、基本法第一〇〇条第一項、連邦憲法裁判所法第二二条第一一号・第八○条以下で規定し ている。具体的規範審査手続の詳細については、ωo巨巴畠\閤oユo葺因9﹃﹂ω鳶甘劇撃魯\困皿P閃α霞.ま謡抄 ま名Φお㈱刈。殉α套お拝悶Φω什巴oNN辞p鉾ρω﹄。N暁ご国窪p鉾鉾ρω●①曽剛廿霞=閃歪げR\Oooρ殉α旨塵 ㎝①Rh  連邦争訟手続は、基本法第九三条第一項第三号、連邦憲法裁判所法第一三条第七号・第六八条以下、基本法第九 三条第一項第四号、連邦憲法裁判所法第一三条第八号・第七一条以下で規定している。連邦争訟手続の詳細につい ては、ωo巳巴魯\囚oユo葺国α糞。Oo 。律旧団窪塗\困虫P閑α員■一8焦廿いα妻9㈱刈O即号憎No 。宍“勺8け巴oN墨︾卑鉾 ρω﹂ω。罫悶①けRω①一ヨ①ぴω§α−憲且Rあ幕一鉱員bΦ§浮α仁声\国。巨u邑R︵卑詔●γ閃Φω§ぼ一津㎝。 冒ぼΦ国琶αΦω<段貯ωω琶鴨鴨吋一〇拝閃阜督ω﹄。ω暁廿霞一一讐暮R\OoOρ肉α目﹂O。律  憲法擁護手続としては、連邦大統領訴追手続︵基本法第六一条、連邦憲法裁判所法第一三条第四号・第四九条以 下︶、裁判官訴追手続︵基本法第九八条第二項、連邦憲法裁判所法第二二条第九号・第五八条以下︶、基本権喪失手 続︵基本法第一八条、連邦憲法裁判所法第二二条第一項・第三六条以下︶、政党禁止手続︵基本法第二一条第二項 第二段、連邦憲法裁判所法第二二条第二項・第四三条以下︶がある。憲法擁護手続の詳細については、留匡巴魯\ 囚9δ些”胃身﹃﹄認拝団窪3\困o凶P国号﹃﹂話民廿ま≦9㈱刈。勾α霞﹂合律拙稿﹁ドイツ連邦憲法裁判所の権 限﹂、日本法学第七二巻第二号、平成一八年、三三九頁以下。  選挙審査手続︵基本法第四一条第二項、連邦憲法裁判所法第一三条第三号・第四八条以下︶については、 ωo匡巴9\因○鼠o貸殉α昌﹃、認G 。中旧ω窪号\困Φ一P園α員’一一〇〇 。律旧一α毒Φび㈱刈O因α糞・一昭律旧男Φω什巴oNN僧9.四’○こ ω。o 。。斥拙稿、前掲﹁ドイツ連邦憲法裁判所の権限﹂、三五二頁以下。  議員資格審査手続は、基本法第四一条第一項第二段、連邦憲法裁判所法第一三条第三号・第四八条以下で規定し ている。議員資格審査手続については、勺Φ曾巴o目黛鉾鉾ρψ旨’

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二 意義および歴史的背景

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 連邦憲法裁判所は、二つの憲法機関の間の憲法から生ずるその権利義務に関する争訟において決定する︵基本 法第九三条第一項第一号、連邦憲法裁判所法第六三条以下︶。これは、いわゆる機関争訟である。これらの憲法機関       ︵−︶ は、対抗的手続における提訴権者と被提訴権者として対立することになる。しかしながら、両当事者は、同一の 法主体に属することから、解釈上はもともと権利義務についてではなくて、当事者相互の管轄と権限の範囲が限        ︵2︶ 界づけられなければならない。そのようなことから、この手続は、自己訴訟の性質を有することとなる。  基本法第九三条第一項第一号ならびに連邦憲法裁判所法第六三条および第六四条は、機関争訟が関係人の権利 義務についての主張を訴訟要件としていない旨を規定している。したがって、連邦憲法裁判所は、連邦憲法裁判 所法第六四条および第六七条の文言や意味を超越して、当該憲法機関の権利侵害を機関争訟手続の決定主文の中       ︵3︶ で確認してきた。例えば、連邦議会の早期解散に対して、連邦議会議員がその残任期間について、議員の地位を 保全するために機関争訟を起こすならば、こうしたことは、まさに純粋な意味での機関争訟である。しかしなが ら、他の機関争訟の場合には、たいていはこうした紛争とはいえず、政治上の方針についての紛争が中心になっ        ︵4︶ ていることが多い。  ところで、機関争訟は、国事裁判の核心の一部であり、以前は憲法領域の主体間の争訟に対して憲法争訟とい       ︵5︶ った言葉が使われていた。一八四九年のフランクフルト憲法は、帝国のために憲法争訟を想定した。すなわち、

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ドイツ連邦憲法裁判所の権限 その第一二六b条では、﹁訴訟当事者が帝国裁判所の決定を求めることに意見が一致するとき、帝国憲法の解釈 に関する上院と下院相互間の争訟およびそれらのいずれかと帝国政府との間の争訟は、帝国裁判所の管轄に属す ︵6V る﹂と規定されている。しかし、フランクフルト憲法は実施されず、一〇〇年後の基本法が連邦レベルで機関争 訟を実現した。  一九世紀において、いくつかの邦︵国家︶のレベルで想定されていた機関争訟は、実際的な意義をもたなかっ た。例えば、プロイセン憲法は、君主と邦議会との間の権限配分、すなわち、邦の政治的将来といったものが一 人の裁判官に依存されてはならないということから、憲法争訟を想定していなかった。一九一九年のヴァイマー ル憲法も、ライヒ国事裁判所にライヒの憲法機関の間の憲法争訟に関して決定する権能を与えていなかった。し かし、それでも、ライヒ国事裁判所は、州内の憲法争訟の決定について補充的に管轄権をもっていた。一九四九 年に制定・施行された基本法は、ヴァイマール憲法時代の経験に鑑み、連邦の憲法機関の間の機関争訟を連邦憲        ︵7︶ 法裁判所の管轄のカタログに取り入れた。  基本法は政治の中心にこのような裁判を受け入れたが、連邦憲法裁判所が実際にどこまで権力の輪の中に踏み 込むことができるかが間題となる。連邦憲法裁判所は、基本法第九三条第一項第一号の文言により、機関争訟に おいて憲法機関の間の争いを決して決定するわけではない。あくまでも、争いを契機として、基本法の解釈に関 してのみ決定する。そこから、政治的結論を引きだすことは政治の課題にとどめるべきであるが、連邦憲法裁判 所は、連邦憲法裁判所法第六七条第一段にいう機関争訟の文言から、機関争訟で争い自体に関して決定する。す

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なわち、連邦憲法裁判所は、被提訴人の異議を唱えられた措置が基本法の規定に違反するかどうかを決定する。        ︵8︶ そのことは、争い自体が手続の対象となり、憲法解釈が予備的間題となったことを意味する。連邦憲法裁判所       ︵9︶ は、早くからこうした広範な解釈に同調した。

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 ︼Wく①昧O国Nρ一。 。︵器h︶る“る。一︵ω一㎝︶葛彗ωけ甲一①ωΦ昌魯pU一ΦくR貯ωω琶oQ﹃ω鵬R一。窪ω訂詩魯ぎα段ω琶αΦ巽Φ− ε巨涛UΦ旨零匡きρψωo 。。廣田健次訳﹃西ドイツ憲法裁判論﹄、エルンスト・フリーゼンハーン、五〇頁。  困窪ωωo巨巴魯\ωけ9壁内o鼠o叶FU曽ωωqpαΦω︿段貯ω霊づ閃ω閃Φユ魯計刈●︾亀一4勾α目’お●  団くΦぽO国合”一︵ω︶.  閏①目暮ω巨o員日国旨ω二WΦ包四\譲Φ旨R竃巴びo胤①ミ国§ω←o昌雪く。鵬Φ一︵国吋ω閃.γ=m且ど魯号ωくR貯ω− ω§ひq段8辟ωαR︼W琶αΦ段①2σ痔UΦ暮ωo巨四民﹄.>魯こ一8♪ω﹂津。 。。  フランクフルト憲法の正式名称はドイツ帝国憲法︵Uδ<Φ陳錺霊鑛留ωU①暮零冨口園α魯ω<o目N。 ・。匡弩N 一G 。お︶であるが、パウル教会憲法︵℃き一ωζ8げ8︿段貯霧ロ鑛︶ともいう。フランクフルト憲法制定の過程について は、山田晟﹃ドイツ近代憲法史﹄、一九七一年、一五頁以下。小林孝輔﹃ドイツ憲法史﹄、一九八O年、一二二頁以 下。同﹃ドイツ憲法小史﹄、一九八五年、一一二頁以下。  フランクフルト憲法第一二六b条の欧文については、勾&o斥ωoど卑R︵国お閃’ンUΦq富o冨くR壁ω雲轟ΦP一S即 ω盛&。なお、フランクフルト憲法の全文は、ω魯器冨ぴ鉾騨P︸ψ這暁h  ωo巨巴魯\丙oユo夢︸勾αづ﹃・o 。斥  ωo巨巴魯\内○はo浮︸園α畦’o 。N。  ω<①珠O国ρ置ω︵嶺O斥︶聯ρωミ︵ωO㎝︶。

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ドイッ連邦憲法裁判所の権限 三 当事者能力  基本法第九三条第一項第一号は、機関争訟手続の関係機関として、基本法または連邦最高機関の規則において 固有の権利をもった﹁連邦最高機関﹂と﹁他の関係機関﹂を挙げている。それに対して、連邦憲法裁判所法第六 三条に定める当事者適格の規定は、一方では完全であるべき連邦最高機関の列挙が不十分であり、他方では連邦 議会や連邦参議院の部分機関が提訴人および被提訴人として挙げられている。基本法第九三条第一項第一号の文 言によると、部分機関とするにはおよばない他の関係機関を、連邦憲法裁判所法第六三条は考慮していない。基 本法第九三条第一項第一号と連邦憲法裁判所法第六三条は、解釈上一致しなければならず、憲法の優位が保たれ        ︵−︶ なければならない。  機関争訟における提訴人および被提訴人は、連邦憲法裁判所法第六三条に列挙されている連邦最高機関であ る。それは、連邦大統領、連邦議会、連邦参議院および連邦政府である。連邦憲法裁判所法第六三条に挙げられ       ︵2︶ ていない基本法第九三条第一項第一号の意味における連邦最高機関は、基本法第五四条に定める連邦会議であ る。連邦参議院議長が基本法第五七条により、大統領の権能を代行するときは、それもやはり、基本法第九三条        ︵3︶ 第一項第一号の意味における連邦最高機関である。この場合、例えば、連邦大統領は、連邦参議院議長に対し て、故障がなかったという理由をもって、この権能の主張を機関争訟の手段で争うことができる。基本法第五三 a条に定める合同委員会も、別の連邦最高機関である。それに対して、基本法第四五b条の連邦議会の防衛受託

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者、基本法第八八条の連邦銀行、基本法第一一四条の連邦会計検査院、基本法第九五条第一項の連邦最高裁判所       ︵4︶ および第二項の裁判官選挙委員会は、連邦最高機関ではない。また、連邦憲法裁判所は、関係機関とはなりえな ︵5︶       ︵6︶      ︵7︶ い。同じように、州憲法裁判所も当事者能力はない。市町村や市町村組合も当事者能力はなく、他の公法上の団        ︹8︶ 体、すなわち、教会、労働組合、経済連合体も、当事者能力はない。さらに、すべての市民の総計としての国民        ︵9︶ および個々の公民は、機関争訟手続において当事者能力はない。  ﹁部分機関﹂︵基本法第九三条第一項第一号︶および合議制的に組織された連邦機関の各部分機関は、それが基 本法または連邦議会規則もしくは連邦参議院規則によって、固有の権利を有している限り、当事者能力がある。       ︵10︶      ︵11︶ 固有の権利をもった部分機関というのは、連邦議会議長および連邦参議院議長、連邦議会の委員会と会派、連邦      ︵12︶       ︵13︶ 政府の構成員、さらには議員である。議員の場合は、その固有の地位より生ずる権利を主張するのではなく、連 邦議会という全体の機関の権利を主張することになる。会派やグループの当事者能力について、機関争訟は野党          ︵14︶       ︵15︶ 側の制御の道具となる。ドイッ連邦議会の調査委員会における会派も、当事者能力がある。連邦議会規則第一〇 条第四項により認められているグループ、それは会派の地位を与えられていないが、機関争訟においてその議院        ︵16︶ 規則上の権利に関して当事者能力がある。その時その時の個別的な投票において形成されるような多数派および        ︵17︶ 少数派は、当事者能力をもちえない。しかし、基本法︵例えば、第四二条第一項第二段・第四四条第一項︶および 議院規則︵例えば、連邦議会規則第八五条の連邦議会議員の五パーセントによる法律の第三読会における変更の申立       ︵18︶ て︶において挙げられている一定の少数派は、当事者能力をもつ。なお、連邦参議院の部分機関としての州が機

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ドイッ連邦憲法裁判所の権限 関争訟手続において当事者能力があるかどうかが、間題となる。もっとも、これは支持できないといえる。とい うのは、地域団体としての州は、機関でもなく、部分機関でもなく、連邦参議院という連邦機関の構成員でもな      ︵19︶ いからである。いうまでもなく、州と連邦との争訟は、基本法第九三条第一項第三号による連邦と州の争訟であ る。  ﹁他の関係機関﹂︵基本法第九三条第一項第一号︶とは、例えば、議会という機関の部分としてではなく、自己 の責任において、議会内で秩序権および懲戒権を憲法機関として行使する連邦議会議長は、基本法第九三条第一       ︵20︶ 項第一号の意味における他の関係機関でもある。議員も、機関争訟において関係人でありうる。もちろん、議員 を連邦議会という全体機関として把握することも可能であるが、これはその際立った地位と一致しない。各連邦 議会議員は、議員としてのその地位を侵す、つまり、憲法上保障されている法的地位を侵害する措置に対して、        ︵21︶ 連邦憲法裁判所に訴えを提起する権利がある。連邦議会議員は、固有の機関的地位により提訴人である。この指 摘は重要である。なぜならば、ドイッ連邦議会規則が一定の定足数ないし会派のおかげで、個々の議員の地位を       ︵22︶       ︵23︶ 一層狭めるからである。例えば、議員は、総会でのその発言権の制限、または連邦議会の早期解散がその議員の 地位と結びついた権利を侵害し、もしくは憲法違反の仕方でこの地位を奪うといったことを機関争訟で主張する ことができる。その際に、議員は、その固有の地位を自らの名で主張する。議員は、これを単に連邦憲法裁判所 法第六三条の意味における部分機関として行うわけではない。議員が連邦議会の権利を主張しようとする場合 に、それは、当該議会の部分機関として機関争訟を提起する。しかしながら、議員は、独立した憲法機関として 10

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その地位から生ずる権利を主張する場合にだけ、機関争訟手続を起こすことができる。したがって、議員が立候 補者として、基本法第三八条第一項から生ずる被選挙権を連邦政府の広報活動の措置に対して、また、前議員と        ︵24︶ して、その老齢年金を主張する場合にはできない。ここでは、市民の基本権が間題となるので、憲法訴願が正し い手続の仕方である。  連邦憲法裁判所の裁判によると、基本法第一二条にいう政党は、当該基本法第九三条第一項第一号の意味にお ける他の関係機関である。もっとも、政党は、その特別な憲法上の地位から生ずる権利のために憲法機関と争う       ︵25︶ 場合に、かつその限りでのみ、他の関係機関である。その点で、政党は、その特別な、つまり、基本法第二一条 に規定された憲法上の地位にもとづき、連邦最高機関の地位および機能において対等である憲法機関とみなされ ︵26︶、       ︵27︶ る。したがって、憲法訴願は、訴訟上の適切な手段ではないとされる。  ところで、連邦憲法裁判所の裁判によると、政党がその憲法上の地位をある憲法機関に対して主張する限り、 それは機関争訟を提起することができるし、提起しなければならない。もっとも、機関争訟は、被提訴人も憲法 機関である場合においてのみ可能である。例えば、政党がその憲法上の地位を放送協会に対して主張する場合        ︵28︶ は、憲法訴願を提起しなければならない。その理由は、放送協会は憲法機関ではなく、よって、被提訴人として 当事者能力はないからである。したがって、政党の特別な憲法上の地位ではなくて、各人と同じようにその基本 ︵2 9︶ 権を主張するならば、憲法訴願の途だけがある。加えて、政党は、放送協会の評議会において代表される権利も 機関争訟で主張することはできない。このことは、政党が政府や立法者に対して機関争訟を提起する場合にもで

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ドイツ連邦憲法裁判所の権限 きない。なぜならば、この権利が政党に帰属するのは、憲法およびその特別な憲法上の地位からではなく、その        ︵3 0︶ 一般的社会的地位より帰属しうるからである。  なお、基本法第二一条の違反は、直接に憲法訴願の方法で主張されえない。その理由は、基本法第二一条が基 本権を含んでいないからである。しかし、普通基本法第三条第一項との関係で第二一条第一項が間題となる。し たがって、基本法第三条第一項との関係で、憲法訴願において基本法第二一条を基準にした審査が開かれてい る。 12

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 内一壁ωωo巨巴魯\ωけ餓磐国o﹃一〇島”U霧ω仁昌qΦω<Φほ器ω§晦確R一魯計8︾慧一,”勾q⇒けo 。O。  連邦会議は連邦の特別の憲法機関であるが、常設の機関ではなく、連邦大統領を選挙するための機関である。こ の連邦会議は、連邦大統領の選挙が唯一の任務であって、その目的のために招集される憲法機関である。 ︾×Φ一国。葺雲hN貫Oげ琶αQ6浮注酵Φω肉Φ。げρ亭閃R巨什q窪ω巨α①ω冥鐘8旨Φp貫冒ω一。。 。♪ψ8ω’ を参照せよ。  ωo匡巴畠\内〇二〇けF閑α昌吋’o 。S  閑o一彗q霊①葭ざ<R貯ωω琶暢鷺oN①曹Φo拝①・>琶,﹄。。合即α舜qN●  U一ΦけR=α日茜冒”9ΦけR国αヨお︵国﹃ω瞬ンぎ”○歪β凝ΦωΦ貫o。.>鼠一48。8︾拝Oω因α自.㎝・  ω<Φ珠O国Nρ漣ド  国くRお国ど旨Sを参照せよ。  団くo珠O国一鯉9︵o 。93ごOρ一誤︵80ご.なお、国ヨω什ω窪α葉国o瞠餌昌譲一鉱PくΦ昧器霊p暢冥08の80げ“ド >色‘寄舞㊤紹Oぼ一ω自き℃Φω琶。NN僧くR貯ωω巨鴨蜜。N畠お。ヌω9︾色●︸ω・一。9園虫昌。一αN6冨一ごω\

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ドイッ連邦憲法裁判所の権限 パ  パ

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)  )  ) 困O︵NOω︶旧NトωOO︵器O︶脳置”一謡︵一鴇︶旧・ 。9ま呉No 。“︶旧Oρo 。O︵o 。o 。︶“一一ρおG 。︵蒔8︶。  ωo匡巴魯\区oユoけF国α葭,8.  閃<Φ陳O国①9一〇叉一嵩ご08①災$︶。なお、国m辞ヨ暮]≦餌gΦさ9Φ園8窪ωω冨一冨pひq山段唱○一置ω魯oづ℃巽富8P 冒ω一〇。どψo 。o 。o 。●を参照せよ。  団くΦ昧O国ざ09  例えば、納税義務者として主張するような場合である。  一WくRお国。ρ器︵。ω斥︶。 14 四 争訟の対象および審査基準  機関争訟手続の対象は、被提訴人の措置もしくは不作為が基本法の規定に違反しているかどうか、また、提訴        ︵−︶ 人が主張する権利をその者に認めるかどうかに関しての憲法機関の争いである︵連邦憲法裁判所法第六四条第一 項︶。その措置は、法的効果をもつものでなければならない。もっぱら予備的ないしは執行的性格をもった行為        ︵2︶ は、機関争訟手続における異議申立ての対象とはなりえない。       ︵3︶  そこで、法的に効果をもつということは、議会での口頭の質間に対する政府の回答や議会において少数派が法        ︵4︶ 律案を違憲とする単なる主張などはそれにあたらない。しかしながら、例えば、連邦議会議長による秩序維持の ための措置として、連邦議会議員の発言を正当と認めるかどうかの間題といったものは機関争訟の対象となる が、秩序を保持するためのもっと寛大な手段としての議員に対する戒告は、連邦憲法裁判所の見解によると、そ

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       ︵5︶ れは警告的性格を有するにすぎないから、法的に重要な効果をもたないとする。また、法律が提訴人の憲法上の       ︵6︶ 地位にとって法的効果をもつ限り、法律の発布、より厳密には立法行為も、連邦憲法裁判所法第六四条の意味に       ︵7︶ おける措置に該当する。そこで、機関争訟は実際には規範審査となるが、無効宣言とはなりえない。立法者の不        ︵8︶ 作為については、機関争訟手続の方法で異議を申し立てることはできない。  ヨーロッパ法の定立行為への参加も、連邦憲法裁判所法第六四条第一項の意味における措置であるが、法の定 立行為そのものがではない。ドイツの代表は、憲法上認められたものの範囲内でのみ、法の定立行為に参加する       ︵9︶ ことが許されている。この法の定立行為が憲法と一致するかどうかは、憲法上の間題ではない。       ︵10︶      ︵11V  審査の基準は、不文の憲法を含めて憲法であって、憲法より下位にある規則やその他の法ではない。

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 ωくRお国①o 。”一︵おyなお、国くRお国お︸ゼも参照せよ。  ωくΦ珠O南①o 。一一︵刈糞︶旧08藤OG 。︵“に︶●  これについては、Oぼ一ω江き=崖鴨呂R\○ぼ凶ω8鳳OooρくR鼠誘§膓Ro器費Φ魯計ド︾亀ど閑身づ、ω㎝㎝律を みよ。  ω<Φほの国一ρ旨ω︵一謡ご田N”置ω︵一㎝o 。勢一①o 。︶’  団くΦほO国Oρω置︵ωo 。一h︶。  閃くΦ珠O国“矯一一㎝︵H旨ご曽”ωOO︵器O︶“o 。ρo 。認︵ωω㎝︶旧o 。μN窯︵NO刈︶旧露wo 。O︵o 。刈︶旧一〇ρN曽︵器“ご一8”ま藤︵一$ご 崔倉ε叉=鼻yなお、︸oωけ霊Φ旨8ぎび○茜墜ω霞Φ芦ぼ℃9Rω区qβ\国○﹃馨U冨8ス国お堕ン局Φ曾ωoぼ捧9 冒ぼΦ閃二且8︿R貯器琶閃詔R8拝切“押ψ89も参照せよ。

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ドイツ連邦憲法裁判所の権限

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パ  パ 1110 )  )  これについては、未決定のままである。ωくRお国貫o  ωo霞巴oミ訳oユ○けプ園α⇒﹃.8。 。。︵。 。刈︶二8”一灌︵屋。 。い︶ニミるo 。父8“︶二峯一ミ︵揖。 。︶。  缶注嬢号R\08ρ勾号惜ω轟なお、この点については、連邦憲法裁判所が詳しく述べている。切くRお国貫 8ω︵N曽yを参照せよ。  ωくR︷O国ρG o8︵G 。No 。︶,  困きωωo巨巴畠\ω8︷き民oはo葺∪四巴W巨αΦω<①昧蝉ωω§ひqω鳴誉算刈●︾魯・勾α糞。。。●

五 提訴権能

16  提訴人は、連邦憲法裁判所法第六四条第一項にもとづいて、そのものが、またはその所属する機関が措置もし くは不作為によって、基本法により与えられているゆえに、その固有の権利義務が侵害されていること、そし て、それが直接に危険に晒されていることを主張しなければならない。つまり、提訴人は、その侵害またはその        ︵−︶ 危険を主張しなければならないし、主張できなければならない。提訴権限、すなわち、当事者能力と区別される べきこの提訴権能は、法的に効果をもった行為そのものが間題となり、この行為によつて提訴人の権利の侵害が        ︵2︶ ありうることを前提とする。  連邦憲法裁判所法第六四条第一項における措置は、法律でもありうる。したがって、機関争訟手続において は、原則として、法律が憲法に適合しているかどうか審査されうる。いずれにしても、法律が提訴人の憲法上の        ︵3︶ 地位を侵害しうることが前提である。

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 各関係機関の間の法律関係は、憲法によって形成さなければならず、相互の権利義務は憲法上の関係から生じ        ︵4︶       ︵5︶ なければならない。部分機関は、機関の多数がその権利を侵害されたとみなさなくても、訴訟当事者たる地位       ︵6︶ で、その属する機関みずからの憲法上の権利をその機関のために主張することができる。  連邦憲法裁判所は、これまでに、このような訴訟当事者たる地位をもっぱら議会の会派に認め、連邦議会の委        ︵7︶ 員会などの他の当事者能力のある部分機関に認めなかった。その点で、連邦憲法裁判所の裁判は、長い間必ずし も明臼ではなかった。しかし、連邦憲法裁判所は、議会に対する個々の議員の訴訟当事者たる地位をはっきりと       ︵8︶ 否定した。したがって、訴訟当事者たる地位は、連邦憲法裁判所法第六三条以下によってはじめて可能となる。

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困雲のω9巨3\ω鼠彗図鼠o葺U器一W巨αΦω<霞︷器ω琶鵯鵬①ユ。拝S>琶‘寄漢。。“。  冒ヨ言ωΦダω富讐ωおoプけ廿一〇 〇●>無一‘NOOρ国血員.o oooS  ぢのΦP男q糞。o oOO。  ωくRお国N口嵩︵一留yしかしながら、それについて、連邦憲法裁判所判例集第二七巻は、選挙戦の費用に対す る分割弁済に関して、政党と連邦議会議長との間の争訟の中で否定している。団くΦほO国撃崩呉一鴇︶.  訴訟当事者たる地位については、国露ωけω窪鼠\国o冨辞霞蝕PくΦ珠器ω琶鵯冥o器幹8辟︸ド︾q戸勾段唇ε8斥  一WくRお国一る巴︵G 。昭︶。例えば、連邦議会の多数派がたとえ議論の余地のある措置を認めても、会派は連邦議会 の権利を主張することができる。なお、ωくRお国。。 。﹂︵臼︶るρ淺父ωま︶二。。﹄ま︵ま。 。︶二8︸。 。欠。 。O︶二。合 一鰹︵おω︶・  しかし、連邦議会議員のグループは、会派と同等である。  ωo匡巴畠\国o鼠o叶F園α糞。逡。

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18 ドイッ連邦憲法裁判所の権限    六 権利保護の必要性  権利侵害または権利が直接に危険に晒されていることの主張と並んで、別に権利保護の必要性が審査されなけ      ︵−︶ ればならない。この権利保護の必要性の存在は、原則として、提訴権能によって明らかにされなければならな ︵2︶ い。したがって、権利保護の必要性がないことに対する具体的な手掛かりのある場合にのみ、審査されうる。そ れは、とくに提訴人にとって、目的を達成するための簡単な手段がある場合に間題である。いずれにせよ、この 意味における簡単な手段とは、他の憲法上の手続の種類ではない。異議を申し立てられた措置が完結し、もはや       ︵3︶ 効果をおよぼさない場合でも、権利保護の必要性がある。 ︵1︶ Oぼ一ω8鳳U紹窪﹃貰戸ωけ帥導ωおo辟HるOOρ器。︾鼠一4勾α葭.謡G 。、 ︵2︶国旨ωけω窪盆\国。ざ旨田Φ一PくR貯ωω琶閃ω冥oNΦ曹8貰N’︾亀一・”丙身卜  ω琶鴨震oNΦ幹8算。 。,︾琶。︸ω﹂一。 。D ︵3︶国o一鋤民コΦξざくR貯ωω巨暢鷺oNΦ弾Φo鐸。●>琶4勾α舞。ω。 一。。 。。 。旧Oぼ一ω江き℃①ωけ巴oNNpくR貯ω−   七 形式および期問 提訴は文書で提出し、かつ理由づけをしなければならない ︵連邦憲法裁判所法第壬二条第一項︶。その理由にお

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いて、異議を唱えられた措置および侵害された権利が示されなければならず、また、提訴権能が明らかにされな ければならない︵連邦憲法裁判所法第六四条第二項︶。その際に、解釈の過程で権利保護の目標がはっきりと確認       ︵−︶ されれば足りる。  提訴の期間は、提訴人が異議を唱えられる行為を知った後、六ヶ月以内になされなければならない︵連邦憲法 裁判所法第六四条第三項︶。異議を唱えられる措置にあたり、法律の発布が間題となるときは、期間の満了は法律         ︵2︶ の公布もって始まる。期間の計算は、民事訴訟法第二二一条以下、とくに民法第一八七条以下との関係で、民事 訴訟法第二二二条第一項による。期間満了後には、理由の追完などはできない。六ヶ月の期問に際しては、除斥        ︵3︶ 期間が間題となる。除斥期間を逃すと原状回復はない。 ︵1︶ 国導ω什㊥窪畠\国oざ暮内一〇一PくR貯ωω琶鵯RoNo費ΦoげρN・︾鼠一←閑α霞。一。ω県 ︵2︶ωくRお国N藤”謡N︵謡。 。︶。 ︵3V切く段お国鐸頴叉N竃h︶為一る8︵。 。8旧貫。。。︵。 。課︶●なお、国霞訂詳団9凝ρ幹↓ぎα興匡雲自\甲琶o   ω9巨舞−国⑦一げ幕仁\牢きN困Φ芝浮吾Φ層二WΦ什﹃窒︼W毒αΦω<Φ昧効ωω巨閃ω鴨旨窪ω鴨ω欝る。。㎝層≧け露臣霞.旨。

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  八 参   加 連邦憲法裁判所の決定は、 関係しない機関にとっても拘束力がある︵連邦憲法裁判所法第三一条第一項︶。した

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ドイッ連邦憲法裁判所の権限       ︵−︶ がって、当該提訴権者は、手続に参加することができる︵連邦憲法裁判所法第六五条第一項︶。  ︵1︶国旨ω二WΦ&四\国oざ旨困①旦く鼠器ω巨ひQ﹃8﹃oN①脅8算N9︾魯‘臣摸﹂。蒔P    九 決   定  連邦憲法裁判所は、連邦憲法裁判所法第六七条第一段により、異議を唱えられた措置、または不作為が基本法 の規定に違反しているかどうかをその決定において確認する。したがって、連邦憲法裁判所は、その措置を破棄        ︵−︶ することはできず、規範を無効と宣言することもできない。つまり、機関争訟において、規範の有効性に関して 決定を下すことは、連邦憲法裁判所には認められていない。憲法違反の状態を除去するのは、むしろ、立法者に        ︵2︶ 委ねられなければならない。理由のない提訴は、異議を唱えられた措置の憲法違反を確認することなく却下され る。        ︵3︶  連邦憲法裁判所は、被提訴人が法律の発布により憲法に違反する行為をしたということだけを確認する。  ︵1︶肉o一曽且霊窪蔓”くR貯ωω§鵯質oN畠お9計①。︾鼠一こ勾q糞①P  ︵2︶困窪ωω9一巴3\ω鼠胤き因oユo登U器劇琶αΦω<①昧器ω琶鴨鴨旨算S>邑‘即α昌唇㊤S  ︵3︶困くRお国N企ω。。︵ω9h︶9 20

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一〇 おわりに

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 以上、連邦憲法裁判所の権限としての機関争訟手続についてみてきたが、これまでに、この手続において、ド        ︵−︶ イツ連邦共和国の存続にとって極めて重要な決定がなされてきた。例えば、政党資金に関する決定、選挙戦の時        ︵2︶      ︵3︶ 期における連邦政府の広報活動、基本法第一一二条にもとづく連邦財務大臣の緊急権限、一九八三年の連邦議会   ︵4︶    ︵5︶      ︵6︶      ︵7︶ の解散、軍備増強、政党に関係する寄付金、連邦国防軍の域外出動、NATOの戦略的構想を展開し続ける際の       ︵8︶ 連邦議会の権利などである。しかし、この機関争訟は、統計的にみて、必ずしも連邦憲法裁判所の裁判を形成づ       ︵9︶ けてはいないが、実際に増大していることは事実である。その理由は、連邦レベルにおいて政治的力関係が変化 し、また、新たな政治間題が生じているからである。つまり、機関争訟の手段をもって、連邦憲法裁判所へ訴え を起こす者は、政治的手続でみずからの意見を主張する見込みがない。したがって、憲法争訟の背後には、政治 的に形成された権力争いが隠れている。そこで、連邦憲法裁判所は、議院内閣制の将来の機能性に鑑みて、権力        ︵−o︶ 争いを引き続いて解決すべく努力をしていることがわかる。  なお、基本法第九三条第一項第四号、連邦憲法裁判所法第二二条第八号と基本法第九三条第一項第五号・第九 九条、連邦憲法裁判所法第二二条第一〇号にいう別の機関争訟がある。すなわち、連邦憲法裁判所は、一州内の 公法上の争訟にとっても権限がある。それは、当該規定の文言にもかかわらず、憲法上の争訟だけが、しかも、 連邦憲法裁判所法第七一条第一項第三号により、一州内の機関争訟のみがあてはまる。しかし、この管轄は、他

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ドイッ連邦憲法裁判所の権限 の出訴への途がない限りという点で二次的である。そこで、連邦憲法裁判所法第七一条第一項第三号により提訴 を権限づけられている者は、連邦憲法裁判所に訴えを起こすことができるが、その場合、その者は州法により、       ︵11︶ 州憲法裁判所に対する機関争訟においては提訴人ではありえない。しかし、政党で、州憲法裁判所が州法によ       ︵12︶ り、機関争訟においてその提訴権限を否定する場合、提訴人でありうる。また、バイエルン州の憲法裁判所は、        ︵13︶ 連邦憲法裁判所の裁判を手本にしており、また、政党の当事者能力を機関争訟手続において肯定しているから、 連邦憲法裁判所のこの二次的管轄はバイエルン州では間題とならない。  連邦憲法裁判所は、一州内の機関争訟において、機関貸与の手段で州憲法裁判所として活動する。しかしなが ら、これは州法律による指示を前提にするが、シュレースヴィッヒ・ホルシュタイン州だけが利用している。 22 パ  パ パ  ハ  パ  パ  パ  パ パ

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)  )  ) V  )  )  )  ) ) ゆくRお国鐸8。る。﹂お,とくに、ωくRお国。 。㎝﹄簿 閃くΦ跳○国“ト旨9 劇くΦほO国臨︸一. 困くR団○国①ρ一・ 劇く①汰O国①o o︸一。 ωくO昧O国刈G o︶一。 閃<R暁O国OρNo o①● ︼Wく①昧O国一。舎一巽 機関争訟手続の増加は、ドイツの統一および世界政治におけるドイツの変化した役割による。 例えば、選挙権問

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︵10︶ ハ  ハ  ハ

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)  )  ) 題︵国くΦほ○国o 。鉾o 。o 。o 。旧o 。ρ器Nるρ。 。ε、統一条約訴訟における議員の地位︵ωくRお国o 。ρ呂90 。88刈。︶、議会 における民主社会党グループの地位︵ωくRお国。。斜o 。。ε、連邦国防軍の海外派兵︵ωくRお国。ρNo 。e、NAT O戦略︵ωくRお国ε企旨ごを参照せよ。また、少なくとも暫定的ではあるが、新たに連邦の州に加わったこと によって、一州内の機関争訟にとり連邦憲法裁判所の二次的な管轄が重要となった。例えば、一WくRお国。 。9ω郵 oo9①仰o oo o”8旧Oρら旧Oど謹90ρ一G oρ  ωo匡巴3\国oユo昌勾身いo 。㎝●なお、連邦憲法裁判所における機関争訟手続の処理件数であるが、二〇〇五年は 八件である。連邦憲法裁判所が一九五一年に設立されてから、二〇〇五年までの機関争訟手続の処理件数は、八四 件である。これについては、遷壁ωωo巨巴畠\ω8貯⇒民象δ登U霧団巨8零①珠曽ω霊轟確R8浮㍉︾亀一’︸国身μ 刈。 。こα旨言ωΦpω汁きけ段oo辟一﹂。 。。︾琶●︸殉αヌ。藁  園o一鋤&コ雲§くR壁ωω巨ひQ﹃ωRoN①幹8亘9︾亀,”園α員藁  ωくRお国ドω胡︵ωミ律︶を参照せよ。  切餌鴇くΦ汰○=国p勾器”o 。O︵o 。“h︶.

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