フィリピンの社会開発における包括的アプローチ
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(2) 158 (660). 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 4 ・ 5 号(2008年 1 月). 第 1 章 フィリピンの概要. 策や治安の回復,テロ対策といったフィリピン 国内に蔓延する問題や世界が抱える諸問題を主. 1 節 歴史的,及び政治的社会的背景. 要な課題とし,現在でもフィリピン国内の発展. フィリピンはこれまで苦難の道を歩んでき. に向けた取り組みが行われている2).. た.スペインが植民地政策を開始した 1571 年 から約 300 年間,スペインの植民地として支配. 2 節 フィリピンが抱える諸問題. された.その後アメリカの植民地として,第. アロヨ政権の現在,フィリピンは多様な問. 2 次大戦中は一時期日本軍に占領されるなど,. 題・課題を抱えている.その中でも歴代大統領. 1946 年まで他国に支配され続けていた.. が政策課題として打ち出しているものは,貧困. 1946 年に独立を果たすものの,1964 年から. 解消である.この問題は,フィリピンが抱えて. フェルディナンド・マルコスが政権を握ると,. いる経済の構造的課題として考えられており,. 独裁政治が始まった.マルコス政権では,アメ. これを解決しなければ,治安の回復や経済成長. リカの支援を得て,輸入代替工業化政策を行っ. など,フィリピンが抱えている他の諸問題を解. たが,偏狭な国内市場の制約に行き詰まり,ま. 決することは容易ではないからである3).貧困. た,その後の輸出志向工業化政策にも行き詰ま. 削減に向けてフィリピンでは,多角的な視点か. りを見せ,フィリピン経済は疲弊し続けていっ. ら 多様 な ア ク ターが 開発支援活動 を 行って い. た.こういった社会状況下において,自由を奪. る.その中でも社会開発は,人々の生活状態に. われ,不満を募らせていた国民が立ち上がり,. 不安定性を生じさせる要因や,経済成長の恩恵. 二月革命を起こしたことで,マルコス政権は失. を受けることができない要因を取り除く雇用,. 脚した.1986 年 2 月,コラソン・アキノによ. 教育,衛生といった,人々が生活していく上で. る政権の誕生とともに,初めて民主化の道を歩. 必要不可欠な要素と密接に関わっている.そこ. み始めた.アキノ政権はマルコス政権の負の遺. で次章からは,フィリピンが抱える諸問題解決. 産を抱えてのスタートだったが,新憲法を制定. に向けて社会開発に焦点を当てている機関・団. するなどして,これまでのフィリピンの国内循. 体の活動について見ていく.. 環を変えようと努めた.しかし,クーデター未 遂事件や度重なる自然災害などにより,社会状. 第 2 章 開発支援アクターの取り組み ─ NGO 活動─. 況は不安定のままであった.その後, フィデル・ ラモスが政権を握ることとなった.1997 年に. 1 節 フィリピンにおける NGO 活動の歴史. 起こったアジア通貨危機により,微量ながら. フィリピンは「開発途上国における NGO 先. フィリピンもその影響を受けた.しかし,経済. 進国」4)と言われるほど多数の NGO が存在し,. 成長に伴い,GDP も急速な成長を遂げるなど,. 地域社会に密着した活動,貧困問題への取り組. フィリピンにも明るい兆しが見え始めた政権期. み,社会サービスの提供を展開している5).こ. となった.. ういった NGO の社会的背景には,フィリピン. 1998 年からはジョセフ・エストラダ政権と. がこれまでたどってきたスペイン,アメリカ,. なった.貧困のための政治を掲げたが,不祥事. 日本による植民地支配,マルコス政権や分権的. を起こしたことにより,3 年ほどで退陣に追い. エリート層らによる独裁という,16 世紀半ば. 込まれた.エストラダに代わって政権を握った. から約 300 年以上続いた歴史的背景が関連して. のは,グロリア・アロヨである.エストラダと. いる.. は対立 し た 関係 にあったため,政権基盤は弱. フィリ ピ ン に お け る NGO の 法的起源 は,. かったが,2005 年に再選を果たした.貧困対. 1906 年 の 共和国法 1459(フィリ ピ ン 会社法).
(3) フィリピンの社会開発における包括的アプローチ(渡来,タパ ジギャン クマル) (661) 159. の制定によるもので,この当時から社会的には. できるほど,フィリピン国内においては,市民. 認められた存在であった6).しかし,NGO が. 社会組織が果たす役割の範囲というものが大き. フィリピン国内において積極的に活動し始め,. く,これが世界において NGO 大国と言われる. 社会開発の主要なアクターとして認められたの. 由縁となっている.日本に本拠を置く NGO も. は,独立を果たし,第 2 次大戦後の貧困削減や. フィリピン国内で活動している.今回の調査. 被災民救済,福祉活動など多様な活動が開始さ. で訪問した ACCE は含まれていないが,NGO-. れた 1950 年代に入ってからのことである7).マ. JICA ジャパ ン デ ス ク が 確認 し て い る だ け で. 8). ルコス政権による戒厳令の発令 により,フィ. も,フィリピンで活動中の日本の NGO(2006. リピン国内での NGO 活動は一時的な停滞を余. 年 9 月 25 日時点)は,(財)オイスカ,ケアリ. 儀なくされる事態に追い込まれたこともあった. ン グ フォーザ フューチャーファン デーション,. が,このような状況下でも活動が展開できるよ. 京都 サ マール 友好協会,ア ジ ア 日本相互交流. う,社会変革・民主主義 を 求 め る 団体 に よ る. センター,21 世紀協会,国境なき子どもたち,. NGO 活動の基盤強化に向けた実践9)や,無血. イ フ ガ オ・ア シ ン 川流域 に 小規模水力発電 を. 革命で有名な二月革命を経て,アキノ政権に移. 設置する会(CACEPPI)13)など,少なくとも 7. り変わってからは NGO 活動にも活気が戻って. 団体が活動している.. きた.アキノ政権では,フィリピンが民主化へ. 多領域にわたり活動している NGO ではある. の道を歩み始めたこと,そして 1987 年に制定. が,市民の自発的な社会参加の実現を目指し,. された新憲法や 1991 年の地方政府自治法の制. 政策決定過程への参加を促す活動という点は,. 定により,社会から広範な分野での活動を認め. 大きな目標の 1 つであると同時に,共通した目. られた NGO は脆弱な政府に代わり,基本サー. 的となっている.自らのニーズは自らで満たさ. ビスの提供,農村開発の活動を行うなど,国の. なければならないという思いを持ち,「経済格. 発展を推進する重要なアクターの 1 つとしての. 差という不平等を改善し,人々の能力を高める. 10). 立場を築き上げた .. 機会が与えられる社会を実現し,主体的に政策 決定に関われるような社会を築く」ための活動. 2 節 NGO 活動の形態・活動内容. を行うことで,フィリピンの経済開発を目指し. フィリピン国内の NGO は,認定を受けてい. ている14 .. ). ないものも含めると 5 万〜 10 万団体も存在す ると言われている.活動形態は,フィリピン社. 3 節 ケーススタディ. 会に根を下ろしている NGO から国境を越えて. 2007 年 1 月 26 日から 2 月 3 日にかけて実施. 活動を展開する NGO までと幅広く,多様な規. したフィリピンでのフィールド調査において,. 模,専門性,農村開発からアドボカシー活動ま. 世界中で活躍している国際 NGO である Oxfam. 11). でと多岐にわたる活動内容を持っている .こ. GB Philippine Office と,小規模 な が ら フィリ. ういった多様な専門性,広範な活動分野を持つ. ピンにおいて活躍している日本の NGO である. NGO は, 「非 営 利 法 人,NGO,民 衆 組 織,協. ACCE フィリ ピ ン 事務所 を 訪問 し,フィリ ピ. 同組合,コミュニティ組織,学界,協会,慈善. ンにおける活動内容についてインタビューを. 団体,およびこれ以外のボランタリー組織」に. 行った.フィールド調査にあたり,Oxfam GB. より構成されている市民社会組織の一部である. Philippine Office と ACCE を対象団体として選. 12). .こういった市民社会組織の分類は,計測や. 択したきっかけは,NGO 大国であるフィリピ. 区分の手法により多種多様であるため,不明瞭. ンにおいて,規模の異なる両団体がどういった. ではある.しかし,多様な市民社会組織に分類. 側面や強みを活かし,フィリピン開発に関わっ.
(4) 160 (662). 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 4 ・ 5 号(2008年 1 月). Oxfam International Oxfam Australia. Oxfam Ireland. Oxfam-in-Belqium (Belgium). Oxfam Novib (Netherlands). Oxfam Canada. Oxfam New Zealand. Oxfam France – Agir ici. Oxfam Quebec. Oxfam Germany. Intermon Oxfam (Spain). Oxfam Great Britain. Oxfam America. Oxfam HongKong Oxfam International ホームページ19)より作成. 図 1 Oxfam International におけるメンバー構図. ているのかを知りたいと思ったからである.. においても,生産者や労働者に対するエンパワ. フィリピンにおけるフィールド調査の対象とし. メントの向上を促すなど,経済的・社会的成長. た両団体は,フィリピンの経済的および社会的. を創出し,貧困削減に寄与しうる開発アプロー. 開発に寄与するアプローチの 1 つとしてフェア. チの 1 つとして考えられている15).フェアト. トレードを扱っている.フェアトレードとは,. レードを扱っている NGO を訪問することで,. 貿易市場へのアクセスが乏しく,貿易市場に参. このアプローチがフィリピンの開発成長および. 入できない途上国の小規模生産者と先進国が長. 市民の自発的な社会参加の実現のために,どの. 期的で持続可能な取引関係を結び,生産者や労. 程度寄与しているのかを知ることができるので. 働者,そして彼らの家族が安定した生活を送る. はないかと考え,フィールド調査の対象団体と. ことができるよう,生産者の経済的自立を導く. した.以下は,その際のインタビューをもとに. アプローチである.労働に見合った公正な対価. 作成した内容である.. を支払うことで,彼らが公正な賃金を受け取る ことを保証するフェアトレードは,生産者や労. 1.Oxfam GB Philippine Office16) 第 2 次世界大戦中 の 1942 年,ギ リ シャの 被. 働者が家族を養い, 子どもたちを学校へ通わせ,. 災者を助けるため,イギリスのオックスフォー. 保健医療を受けさせることを可能にする.また. ド市民 5 名が食糧や衣類を援助したことをきっ. 雇用機会を提供し,生産国の伝統的な手法と持. かけに立ち上がった Oxfam は,100 ヶ国以上,. 続可能な資源を用いて商品を生産するという点. 3000 人以上のパートナーと共に働く,13 の組.
(5) フィリピンの社会開発における包括的アプローチ(渡来,タパ ジギャン クマル) (663) 161. . 1ZHCO*-. ࡊࡠࠫࠚࠢ࠻. 1ZHCO)$2JKNKRRKPG. *○は現地パートナー団体を指す [Ms. Vitan の説明をもとに作成]. 1ZHCO0QXKD.
(6) ٤ߪࡄ࠻࠽࿅ࠍᜰߔ. 図 2 Oxfam International Philippine におけるヨコのつながりの構図. 織によって構成17)された Oxfam International. 3)貧困地域における資源へのアクセスと管理. として現在活躍している. 「より公正な世界」. の確保を中心とした社会的支援活動が Oxfam. を目指し, 「現地の人びとの生活が自立するよ. International の メ ン バーと なって い る 国々に. うに,人びとが自分の作物を作ることができる. よって行われている21).. 援助」を通じ,途上国,先進国を問わず,世界. そういった一環として,2006 年には Oxfam GB,. 各国で草の根的な支援活動を行っている国際. Oxfam HK (Oxfam HongKong),Oxfam Novib. 18). NGO である .. (Nederlandse Organisatie Voor Internationale. Oxfam International では 2010 年までに,東. Bijstand) が,Oxfam International Philippine. アジア圏でもっとも深刻な不平等,社会的排除,. というネットワークを設立した.これは,ネッ. 脆弱性といったものを一転させ,絶対的貧困値. ト ワーク に 参加 し て い る 各 Oxfam 事務所 が,. の減少を目指している.そのために,1)生活,. フィリピンにおいて戦略的支援を円滑に行える. 2)健康 / 教育,3)紛争と自然災害,4)市民の. ようにするためのものである.また各 Oxfam. 声を反映させる権利,5)ジェンダーと多様性の. 事務所では,パートナー団体,現地 NGO とパー. 観点からの支援活動を行っている20).その中で. トナーシップを築き,同業者間同士(ヨコ)の. もフィリピンは,最も自然災害を被りやすい. つながりを持っている.このつながりは,各. 国であること,長期にわたる市民紛争により平. Oxfam 事務所同士だけではなく,多様な団体. 和と安全の確保が必要であること,国内の課題. とのネットワークを築き上げ,その結果として. やミクロ経済の課題に取り組んでいるコミュニ. 1 つの場所で実施されるプロジェクトを成功へ. ティへの支援や政策決定への参加促進の必要性. 導くことを可能にしている.. か ら,1)基礎教育,2)災害管理 と 緊急対策,. こ の よ う な 同 じ 組織同士 の ネット ワーク.
(7) 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 4 ・ 5 号(2008年 1 月). 162 (664). 化 は,フェア ト レード 事業 で も 活用 さ れ て. 変革や公正な市場アクセスの解放に重点をおい. い る22).フェア ト レード 活動 の 一環 と し て,. た活動を行っているとしている25).. Oxfam GB Philippine Office は 開 始 当 初,手. このように,Oxfam GB Philippine Office と. 工芸品生産者 の サ ポート を 行 い23),1990 年代. Oxfam International から見えるフェアトレー. 後半 か ら は 小規模生産者 を 集 め, 「フィリ ピ. ド活動に対する Oxfam の支援活動は,生産者. ン・フェア ト レード・フォーラ ム(Philippine. の生活向上に対する支援活動と,貿易システム. Fair Trade Forum/ PFTF) 」というネットワー. に重点を置いたキャンペーン活動の 2 つの側面. ク作りの支援を行った. このネットワークでは,. から展開されている.一見関連性がないよう. 零細農業者や生産者に対してフェアトレード活. に見える双方の活動ではあるが,“Make Trade. 動への参加を促し,フェアトレード商品である. Fair” キャンペーンは,生産者に向けた支援活. 手工芸品や農産物のビジネスオペレーションの. 動が有効に,効率的に機能できる環境作りのた. 支援,商品のデザイン開発技術や商品の質を高. めの活動であり,この点においてフェアトレー. めるために多角的な視点をネットワーク参加者. ド に 対 す る 双方 の 活動 は,途上国 の 経済的・. に提供したり,フェアトレード活動を運営して. 社会的成長に向けて相互に補完し合っている.. いくにあたっての必要なスキルを習得するアプ. Oxfam International は,Oxfam に属するメン. ローチ を ヨーロッパ団体の協力を得て実施し. バーや途上国に拠点を置くメンバーの事務所と. ている.またこのネットワークとは別に,2002. のネットワーク,そしてそれぞれの長所を活か. 年からは生産者能力,小規模生産者の輸出能力. し,より公正な世界を築き上げたいという社会. 向上の手助けをする仲介者組織への支援も行っ. 的使命達成に向けて,地に足が着いた活動を展. ている.. 開しているといえよう.. 一 方,Oxfam International で は,Oxfam. 2.ACCE(アクセス―共生をめざす地球市民. GB Philippine Office が行っているような生産. の会―)フィリピン事務所26). 者支援を通じたフェアトレード事業とは異な. ACCE は,日本・ア ジ ア 間 の 交流 や 支援 を. り,“Make Trade Fair” と い う ス ローガ ン を. すすめ,アジアにおける市民のネットワーク. 掲げたキャンペーン活動を実施している.これ. の拡大を通じ,「貧困のない,基本的人権が尊. は,不平等 な 国際貿易システムの変革や貿易. 重された平和なアジアをつくりあげること」. 市場へのアクセスを途上国にも公正に解放す. を目的とした国際協力を行う NGO27)である.. ることを促進させるためのキャンペーンであ. ACCE では,1)フィリピンのマニラにあるパ. る.しかしこのキャンペーンにおいて,Oxfam. サイ市のアペロクルス地区での活動28),2)農. International が訴えている貿易市場へのアク. 業地区支援29),3)フェア ト レード 活動30)を 通. セス解放は,輸出志向型を促すことと同じであ. じて,フィリピン社会の最低層に属する彼らの. り,結果として途上国に対して市場開放を強. 生活環境を改善させるための支援活動を行って. いることにつながるのではないかという懸念. いる.これらの活動は,貧困に苦しむ人々を教. 24). が指摘されている .この点に関して,Oxfam. 育し,技術を教え,やる気を引き起こすことを. International は貿易,特に輸出は雇用や経済成. 通して,グループという組織の中で問題を解決. 長を促進させる幅広い機会を創出し,結果とし. する能力や個々人で問題を解決する能力を養う. て貧困削減に寄与する可能性があるにもかかわ. と同時に,他グループや他の人々とのつながり. らず,現在の国際貿易は,先進国の自己利益の. を通じた問題解決の能力を高めることを目的と. 追求が中心となっており,途上国にとっては不. している.. 利なシステムであることから,貿易システムの. ACCE の フェア ト レード 事業 は,ア ペ ロ ク.
(8) フィリピンの社会開発における包括的アプローチ(渡来,タパ ジギャン クマル) (665) 163. ロス地区で行われているカード作り,そしてペ. 先を見据えた活動を行っていた.不平等な世界. レーズで行われているココナッツを利用した商. の貿易システムを公正なものにすることを目的. 品作りである.全体的な生産者の年齢は 10 代. としたアドボカシー活動は,Oxfam 自身が世. 後半から 20 代が多く,そのうち男性が 10%,. 界中に網羅させているネットワークを活かし,. 女性が 90% である.カード生産に関していえ. 先進国政府,WTO などに発信し,同時にすべ. ば,30 人の生産者のうち 15 人ほどが積極的に. ての人々に恩恵が行き届くような草の根活動に. 作業に取り組んでおり,ココナッツを利用した. 従事しつづけている.これは,設立当時のボラ. 31). 商品生産においては,6 人. が取り組んでいる.. ンタリー(慈善)精神と国際的なネットワーク. また ACCE におけるフェアトレード事業で. を利用した現在の活動形態を巧みに活かした,. は,日本事務所に存在するフェアトレードチー. Oxfam 独自の活動の強みであると考えること. ム日本の協力が欠かせない.フェアトレード. ができる.このような姿勢は,市民のやる気や. チーム日本に所属するボランティアスタッフ. 自信を引き出し,持続性のある生活を送れるこ. が,生産する商品のデザインや色合いなどフェ. とができるような糧となり,また市民の声をく. アトレード商品の開発に対する情報をフィリピ. み取り,それを政府といった社会構造の頂点に. ンの生産者団体へ提供している32).この情報は,. 位置する人々に伝えることができるなど,将来. フェアトレード商品を販売する日本の消費者志. 的に彼らの自立,フィリピン国内の発展に向け. 向が含まれており,フェアトレード商品が日本. たプロセスへとつながるものと考えられよう.. 国内で受け入れられるための重要な役割を担っ. ACCE では小規模団体という,一見 NGO 活. ている.. 動に不利な状況であるととらえられてしまう部. さらにフィリピン国内だけではなく,日本と. 分を,団体の強みとして活かしている.ACCE. の連携によるフェアトレード事業の取り組み. は,事務所を支援対象地域のスラムに置いてい. は,生産者の技術向上に大きな影響を及ぼして. る.小さな家が密接したこの地区には,200 万. いる.カード生産に関して言えば,この事業を. を超す都市貧民が居住しており,ACCE の駐. 開始した当初は,生産者側だけでは商品のデザ. 在スタッフは,地区の人々と同じライフスタイ. イン開発が出来なかったが, 「現在ではデザイ. ルを通して,彼らとの信頼関係を築きつつ,フェ. ン開発を生産者側に任せることができるまでに. アトレード事業活動を実施している.支援受益. 能力が向上している」 ,と駐在員の野田氏は述. 者である彼らと同じ立場に立ち,同じ生活をし. べている.. ていく中で,彼らが必要としているもの,必要 としていないものとの区別を明確にすることが. 4 節 小 括. でき,またこういった姿勢は,現地の人々の気. Oxfam GB Philippine Office と ACCE の 訪. 持ちや考え方が理解できると同時に,彼らの作. 問から,両団体とも団体規模は異なるとはい. 業に関して適切なアドバイスを可能にし,彼ら. え,両団体 と も 貧困削減 に 焦点 を あ て,自身. のニーズに合った支援が確実であることを示し. の強みを活かした活動形態であったことが明. ていると言えよう.. ら か と なった.Oxfam GB Philippine Office で. その一方で,フィリピンにおいて NGO 活動. は,⑴途上国の人々の視点を考慮することで,. を行っていくための今後の課題点として,支. 生産者の声をくみ取ることを重視する現場での. 援者側の活動環境の改善が挙げられる.特に,. 活動と,⑵アドボカシー活動を利用し,多くの. ACCE のような小規模な NGO が存続していく. 人々に活動を理解してもらう先進国への呼びか. 上で不可避となる具体的な課題は,⑴活動資金. けの 2 点から,支援受益者の自立促進のために. 面,⑵活動を運営していく上での専門家の充実,.
(9) 164 (666). 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 4 ・ 5 号(2008年 1 月). ⑶ NGO スタッフの待遇である.このような課. 優先課題として挙げられたのは以下の通りであ. 題を解決するためには,NGO が社会に貢献す. る.. る役割を多くの市民に理解してもらう必要があ. 1.農業の近代化(生産性の向上と食. る.多くの市民からの理解を得るということに. 糧安全保障). 関しては,規模の大きさに関係なく,全ての. 2.基礎的生活サービスの普及. NGO が活動を行う上で考慮すべき点である.. 3.地方インフラストラクチャーの整. 外部の人々によって活動評価が行われる営利目 的 の ア ク ターと は 異 な り,NGO は NGO 活動 に直接関わるステークホルダーによって評価さ れることが多く,自らの活動に対して客観性よ りも主観的な視点が入り,自己満足に陥る傾向 33). がある .これが結果として,NGO の役割の 意義や重要性を不明瞭にしてしまう要因になっ ていると考えられる.今後は,NGO 活動が国. 備 4.自 由化,規制緩和,民営化,国際 化 5.マ クロ経済安定維持と金融システ ムの強化 6.犯罪 と 暴力 の 撲滅 の た め の 中央, 地方政府 お よ び 財界,市民社会 の パートナーシップ. 家という領域を越えてどういった効果をもたら. フィリ ピ ン 政府 は 上記 の よ う な 問題 を,. すのか,そしてそれをどのようにして多くの市. NGO や国際機関と協力して解決を図ろうと努. 民に理解してもらうのかということを念頭に置. 力している.. き,NGO 活動における新たな方向性を見いだ すことも必要になってくるであろう. 第 3 章 開発支援に関る政府系関連機関の 取り組み . 2 節 国際機関の活動形態・活動内容 アジア開発銀行(Asian Development Bank/ ADB36))はフィリピンの貧困削減を中心に社 会・経済発展 の 手助 け し て い る 国際機関 の ひ. 1 節 フィリピン政府の開発に関する基本姿勢. と つ で あ る.ADB の 国別援助 プ ロ グ ラ ム の. フィリピンの中期的開発プラン 1999─2004 を. 中でフィリピンの貧困削減プログラム(2001─. 見ると,政府の方針として優先順位の高いとこ. 2003),環境整備等の貧困層のための協力,市. ろに貧困削減があげられている.NGO や国際. 役所などの公共サービスにアクセスできるよう. 機関だけでなく,フィリピンの開発を考える際. にすること,住宅供給,借地制度などを掲げた. には援助を受ける側の政府の基本姿勢について. プログラムを実施している.都市部の貧困地域. も言及する必要がある.フィリピン政府の開発. の支援と貧困層のためのメトロマニラ都市サー. に関するポリシーとして, 「社会的公正をとも. ビスプログラムという二つの関連性を持つプロ. なった経済成長」34)というものがある.その実. ジェクトを通じて,都市部に集中した貧困層や. 現の た め に は,中期開発計画を立て,それに. スラムの人々の生活向上を図っている.この他. 沿って国を発展させていくというビジョンが. にも経済成長をサポートするようなインフラの. 明確である.その中期開発計画の中には,Ten. 整備,行政能力の強化プロジェクトなど包括的. Point Action Plan35)というものが含まれてい. な援助協力を行っている.. る.大統領が自ら開発の舵取りを握って政策を. さ ら に 国際協力機構(Japan International. 実行していくということで,1999 年には The. Cooperation Agency/JICA)の よ う な 政府系. Presidentʼs Budget Message for 1999 というも のまでつくっていた.当時の中期開発計画の中. 国際援助組織があるが,活動する地域の人々の. には,85 の項目が記載されていた.中でも最. じである.フィリピンにおける JICA の技術協. 生活向上のために協力する姿勢は基本的には同.
(10) フィリピンの社会開発における包括的アプローチ(渡来,タパ ジギャン クマル) (667) 165. 力としては,教育,保健医療,水資源・災害対. ADB は成長を促進し,社会発展とグッドガ. 策,ガバナンス,貧困削減,運輸交通,情報通. バナンス戦略を通じて貧困を削減しようとして. 信技術,自然環境の保護,ジェンダーと環境管. いる. ADB のカウンターパートは,開発途上. 理など多岐に渡る.. 加盟国,民間セクター,他の国際機関,市民社 会および NGO などである.民間セクターだけ. 3 節 ケーススタディ. でも,2005 年は 7 件のプロジェクトに 5 億ド. 1.アジア開発銀行(Asian Development Bank/. ル以上の融資をしている.その他にも株式投資. ADB). は 10 件のプロジェクトに 2 億ドル以上,2 件. ア ジ ア 開発銀行(ADB)と は,ア ジ ア・太. のプロジェクトに担保保証つきで 6800 万ドル. 平洋地域 の 人々の 生活向上,貧困削減 を 目指. の融資をしている状況である.ADB は,アジ. す 66 ヶ国の加盟国と地域からなる国際開発金. アと太平洋地域に特化した活動を地域内の協力. 融機関である.開発途上の段階にある加盟国の. も重視しながら行っている.ADB の取り組み. 開発のために,様々なプロジェクトやプログラ. の中で Catalyzing Investment(投資の触媒). ムを策定し,それを実行するための資金供与も. がある.これは加盟発展途上国にある民間セク. 行っている.その他にも,開発のためのアドバ. ターの企業に対して,事業開始や既存事業の拡. イス,情報提供,地域協力の促進,民間セクター. 大などに必要な資金調達において,他の金融機. の開発プロジェクトへの参加促進などにも貢献. 関などから融資を募る際に ADB が保証する新. している組織である.ADB は 1966 年 12 月に. しい仕組みである.これは貧困削減戦略として. 設立され,本部所在地はフィリピンのマニラに. 2006 年から ADB が取り組んでいる新分野の. あ る.23 の 開発途上加盟国 に 駐在員事務所 が. ひとつである.. あり,東京,フランクフルト,ワシントン DC. 持続可能な開発を妨げるのは,ガバナンスの. に代表事務所があるほか,東京にはアジア開発. 欠如,貧弱な組織,腐敗の蔓延である.これら. 銀行研究所も所在する.. の解決なくして,貧困削減や貧困撲滅はできな. ADB では,域内の貧困撲滅をビジョンとし. い.そのために ADB は,メンバー国における. 37). て掲げている .ADB は開発途上加盟国の貧. グッド・ガバナンスの実現に向けて,他の国際. 困削減,生活状況の改善および Quality of Life. 機関と連携して腐敗防止を進めている.ADB. (生活の質向上)の実現に向けて協力を行って. はガバナンス政策を 1995 年に発案し,2000 年. いる.ADB の主な業務は,加盟国およびその. より実施し,2005 年に改正した.それには政. 国々の民間部門に対する,贈与,融資,開発プ. 府および民間部門のガバナンス,ニーズによる. ロジェクトの準備,実施の支援,開発戦略,政. 柔軟な国別アプローチ,組織能力の開発が付加. 策などの策定能力強化のための助言,研修など. されている.さらに,グッド・ガバナンスの基. である.日本は ADB の創立時からのメンバー. 本的な 4 要素として ADB が挙げているのは,. であり,ADB では特別基金などを拠出する最. 説明責任の確保,透明性,予見可能性と参加で. 大の貢献国である.貧困削減のための日本基金. ある.腐敗防止のための ADB の戦略は,市場. は 2000 年に設立されており,多くの開発途上. における競争原理の推進,行政サービスの効率. 国で有効に使われている.2001 年から 2005 年. 化,ADB が協力するプロジェクトとその関係. までの間で,ADB と日本が共同融資している. 者に倫理意識の向上を徹底することである.ま. プロジェクトが 19 件もあることからも,ADB. た,NGO の活動を ADB が支援するという共. と日本が緊密な関係を保っていることが理解で. 同プロジェクトも実施している.. きる.. フィリピンは ADB の設立当初からの加盟国.
(11) 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 4 ・ 5 号(2008年 1 月). 166 (668). であり,様々な分野の活躍を通じてフィリピン. の 中 で,無償資金協力 は 6.55 億円,技術協力. の貧困削減と人々の生活状況の改善に取り組ん. は 42.72 億円であった.2005 年度までの援助実. でいる.ADB のフィリピンで活動する目的と. 績 は,円借款 が 2 兆 326.74 億円,無償資金協. しては,経済社会現状の分析およびモニタリン. 力が 2,408.48 億円,技術協力が 1,753.16 億円で. グ,貧困撲滅のための戦略作成,政府および関. あ る.無償資金協力 と し て は,人材育成分野,. 係機関と政策に関する意見交換などとなってい. 食糧分野のほか,草の根・人間の安全保障無償. る38).ADB はフィリピンの経済社会発展のた. 資金協力(2005 年は 23 件)などとなっている.. めに産官学の共同を重視しているが,政府とし. 一方,2005 年度の技術協力は,農業,防災,医療,. て最も活動を共にするカウンターパートは財務. 教育・職業訓練など幅広い分野における人づく. 部局である.民間との活動の窓口は NGO and. り協力を行っている.また,海上保安や警察の. Civil Society Center39)となっている.ADB は. ガバナンス分野の支援も行っている.さらに,. 中央政府官庁 に 直接支援 を す る 仕組 み を とっ. 開発調査については,投資環境改善に資する案. て い る た め,地方政府 や 自治体 も ADB の プ. 件を優先している.JICA がフィリピンで実施. ロ ジェク ト や 支援 の た め に は,中央政府,政. している主な活動については,以下の通りであ. 府系公社,政府財務機関 な ど を 通 じ て 活動 す. る.. ることとなる.貧困削減のための Muntinlupa. 1)研修プログラム :. Development Fund/MDF40)のようなプロジェ. 地域別研修,第三国研修,国内研修,長期研. クトは NGO と共同で実施する場合もある.. 修および日本フィリピン協定プログラムの研修. ADB が 1968 年 6 月 20 日にフィリピンに対. など,様々な形のものがあり,それぞれのニー. して実施した初めての援助は,水管理の技術提. ズにあった人材育成を目的とした研修を実施し. 供であった.これまで 564 件の借款,民間部門. ている.. への貸し付けなどのプロジェクトを実施してい. 2)技術援助プロジェクト:. る.最も新しいのは 2007 年 2 月 8 日に調印さ. 技術援助プロジェクトとして行われているの. れた『開発政策援助プログラム』で,公共政策. は,機材の提供,研修,専門家派遣,研究活動. 41). の分野では過去最高額の借款となっている .. およびコミュニティーエンパワーメントであ. これからもわかるように,フィリピンは現在,. る.. 経済・社会開発のために戦略的アプローチに力. 3)開発調査:. を入れている.フィリピンは付加価値税(Value. 公共部門の研究を通じ,開発のマスタープラ. 42). Added Tax/VAT) の完全導入と税金の引き. ンを作成することが目的である.地方開発調査. 上げをしたことによって,幅広い層から税金. プロジェクトと呼ばれるものもあり,1 ~ 2 年. を納入してもらうことに成功した43).その結. 間の報告書を作成する場合もある.. 果,2006 年の税収率は 20% に跳ね上がってい. 4)NGO プログラム:. る.その額はフィリピンの国内総生産(Gross. 草の根レベルで地元の人々に直接支援が届け. Domestic Product/GDP)と 比較 し て も 1.3%. られる.JICA が NGO をサポートする形態と. という巨額であり,フィリピン政府の行政能力. 一緒に活動するパートナーシップ型の 2 通りが. が強化しつつあることが伺える.. ある.. 2.国際協力機構(Japan International Cooperation. 5)青年招聘プログラム :. 44). Agency/ JICA ). 21 世紀のための友好プログラムとして,フィ. 2005 年度のフィリピンに対する政府開発援. リピンの様々な職業に携わる人々を 3 週間日本. 助( Official Development Assistance/ODA ). に招くプログラムである.現在は年に 4 グルー.
(12) フィリピンの社会開発における包括的アプローチ(渡来,タパ ジギャン クマル) (669) 167. プが来日し,都内および日本各地で,各分野に. 動を通じた健全な青少年を育成するプログラム. 必要な研修やホームステイなどのプログラムを. で,バランガ市役所が要請し推進しているもの. 実施している. このプログラムの特徴は, グルー. である.この学校は,out of school と言われる,. プのテーマが決まっており,教育,科学技術,. さまざまな理由で学校に行くことができない子. 農業などの分野の専門的な研修や関係機関を訪. 供たちのために無料で開放されている.学校に. 問して,日本がここまで辿った道のり,現在の. 通うことができなくなってしまった主な理由と. 状況と問題点などを専門家や技術者から指導を. してあげられるのは,女性の早婚と出産,子ど. 受けながら勉強することができる. その一方で,. もたちの家族内でのドラッグの使用,それによ. 日本の地方の訪問をし,ローカルな日本の家庭. る家計の圧迫,そして詰め込み型の勉強による. でホームステイをするという極めてユニークな. 生徒の飽きなどである.青少年活動に従事して. プログラムである.言葉や文化を超えた真の意. いる飯島真枝さんは,バランガ市のバターン州. 味での国際交流につながる青年招聘プログラム. バランガにある学校で理数科教師として支援活. はまさに友好プログラムである.. 動を行っている.学校を卒業後,生徒は,大学. 6)青年海外協力隊派遣:. 進学や出稼ぎ労働者を進路として選択する.現. 日本の青年が協力隊員として世界各国で原則. 地の人々と同じ目線で活躍する青年海外協力隊. 2 年間活動する.この制度の下,現在フィリピ. 員を通して,日本の国際協力の一環である草の. ンでは 36 人の隊員が活動している.フィリピ. 根の活動の実態を垣間見ることができた.. ンには,1965 年から協力隊を派遣し,現在は. 7)専門家の派遣45):. 女性隊員も多くなっている.今回の調査で実際. 政府機関の諸部門や国際機関と共同し,様々. 現場で活躍している二人の協力隊員の活動につ. な分野の専門家をフィリピンに派遣して,現地. いて調査を行った.. における業務の効率化を支援している.フィリ. ⒜ 森剛史隊員. ピンでは犯罪が多いが警察による検挙率は非常. 森剛史隊員は,マニラから 110km 離れたバ. に少ないため,初動捜査を始め,国家警察の能. ターン 州 バ ラ ン ガ 市 の Balanga Elementary. 力強化のために警察の専門家の派遣を行ってい. School でコンピュータ技術を教えている.現. る.フィリピンでは,近年の経済活動の発展お. 在は午前 7 時から 8 時までの授業のみを担当し. よび国際化の進展に伴い,犯罪の多様化,凶悪. ている.森氏の所属は内務自治省管轄のバラン. 化が進んでいる.このためフィリピン国家警察. ガ市役所となる.バランガ市では,市の広報と. では,このような犯罪動向に対処するため,科. コンピュータ教育に関しての業務を行っている. 学犯罪捜査の強化を進めており,日本も初動捜. が,教員に対する研修などは指導員不足のため. 査や鑑識分野への技術協力を実施し,フィリピ. 行われていなかった.市はコンピュータ教育に. ン国家警察の能力強化を支援している.. 力を入れたいと平成 17 年から JICA に協力を. その 1 つとして,現地で警察活動に当たって. 要請し,学校教員に向けたコンピュータ指導を. いる日本の専門家の植野改司氏の活動を紹介す. する講師が派遣されたのである.森氏が講師と. る.. してこの地に派遣されて 1 年 10 ヶ月間,教員. 植野氏は,現在フィリピン警察で初動捜査を. に一通りのコンピュータ操作,教授法および簡. 指導している.フィリピンでは,事件現場に入っ. 単なトラブルの対処法を指導している.. て素手で証拠品を触ると,犯人特定につながる. ⒝ 飯島真枝隊員. 証拠が消滅してしまうという認識や,指紋検出. 今回訪問した学校での青少年活動は,青少年. 技術が地方警察署や報道関係者に十分に浸透し. の非行防止のため,平和教育交流による課外活. ていない現状から,フィリピンのカウンタパー.
(13) 168 (670). 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 4 ・ 5 号(2008年 1 月). トの警察署と一緒に,全国各地の地方警察事務. ロニクス,フードプロセシング,ギフト,おも. 所を回り,科学捜査および指紋採取法の研修を. ちゃ,家庭用品製作,ホテル・レストランマネー. 実施している.. ジメント,衣類(裁縫機具の操作および,ドレ. フィリピンの警察は,国家捜査局(National. ス製作)の 9 コースが用意されている.研修は,. Bureau of Investigation/NBI)とフィリピン国. 4 ヶ月のセンター内訓練と 2 ヶ月の実務実習訓. 家警察(Philippine National Police/PNP)に分. 練の計 6 ヶ月となっている.訓練生はコース終. かれ,事件や捜査内容によって役割を分担して. 了の後,国家資格を取得する.卒業後は TWC. いるという.フィリピンでは,警察官 1 人あた. で習得した専門知識を生かし,フィリピン国内. り国民 580 人を担当する計算となるのに対し,. や海外で職業に就く人や,起業する訓練生も存. 日本では警察官 1 人あたり 513 人となる.しか. 在する.. しフィリピンでは,殺人事件だけでも年間 1 万 件以上,強盗,薬物犯罪など凶悪犯罪も圧倒的. 4 節 小 括. に多くなっている.. フィリピンの発展のために様々な分野で協力. 8)TESDA 女性 セ ン ター(TESDA Women’s. している ADB と JICA の支援は図り知れない. 46) Center/TWC) :. ものである.フィリピン政府が目標としている. TESDA 女性センターは,フィリピン政府の. 社会的公正をともなった経済成長のために,両. 技術訓練技能開発庁 の 下 に あ る 職業訓練 セ ン. 機関ともそれぞれの機関の特徴を活かした形の. ターである.今回の訪問目的は,フィリピンに. 事業を展開している.とりわけ ADB は,大規. おける女性の雇用機会促進のための活動内容を. 模なインフラ開発に特化した活動をしている.. 調査することであった.TWC は,アジア太平. 交通の分野ではいくつものハイウェーの建設,. 洋地域における女性のための国際的な技術訓練. エネルギー,企業成長のための融資,民間企業. センターを目指し,高度な能力を持つ女性,世. にノウハウや技術提供,上下水管理などの分野. 界で働くことができる女性,起業家,そして生. で支援をしている.それに比べて JICA は,研. 活していくうえでの経済的環境を広げることが. 修 プ ロ グ ラ ム,技術援助,開発調査,NGO と. できる女性を育成することを目的としている.. の 連携 プ ロ グ ラ ム,協力隊 の 派遣,女性 セ ン. こういった目的を果たすべく,TWC は,高校. ターの支援など人材育成形の支援を中心に活動. 卒業の資格を持った,都市貧困地区の女性,農. をしている.昨今は住民参加,行政能力強化,. 村部の女性,若い女性,季節労働から帰ってき. 公共政策など,政府と住民が協力するようなプ. た女性,海外労働や船乗りを夫に持つ女性,女. ロジェクトも JICA がフィリピンで実施してい. 性従業員,解雇させられた女性を対象とした受. る.いくつかのプログラムやプロジェクトは重. け入れを行っており,アジア太平洋地域におけ. 複している分野もあるが,開発に必要な基本的. る公的機関,民間機関と協力し,研修訓練,起. なインフラの整備,働くための道具(機会),. 業家育成,ジェンダー政策,調査研究を通じた. 活動する人(人材),モノを売る(市場),ルー. プログラムと,プロジェクトを通じて女性の社. ル を 作 る 政府機能(行政)と いった 多方面 で. 会経済的な地位向上に大きな役割を果たして. の条件が揃いつつあるようにみえた.ADB の. いる.TWC では 9 つの分野,12 つの職業訓練. ようなハードを中心とした協力と JICA のよう. コースがあり,訓練生がその中から自分の将来. なソフトの面での協力は,まさに包括的なアプ. 歩む道に必要なコースを自ら選択することがで. ローチといえるのではないか.しかし援助協力. き る.現在 は,自動車機械,ジュエ リー製作,. には限界があり,一定のところまで行けば国際. セラミック,溶接業,コンシューマーエレクト. 機関も手を引くことになる.その日を迎えた時.
(14) フィリピンの社会開発における包括的アプローチ(渡来,タパ ジギャン クマル) (671) 169. にフィリピンの経済や社会が混乱せず自立して. も,政府としての政策立案,NGO および国際. 乗り越えられるかどうか,大きなポイントとな. 機関とのパートナーシップを通じた活動実施,. る.. 最終的な評価を行うことも今後のフィリピンに おわりに. おいて包括的なアプローチで開発を進める上で 重要になってくる.開発支援アプローチに関わ. 今回 の プ ロ ジェクトでは,開発支援に関わ. るすべての組織の専門性を無駄なく活かしてい. る多様な機関・団体を調査することができた.. くために,支援に関する情報交換やアドバイス. 個々の 組織・団体 の 特色 を 生 か し,各組織 は. などが開発支援関連組織同士が相互にできる機. フィリピンの抱える問題解決に向けて努力して. 会を設けることで,現在よりも効率よく,そし. いる. 各組織の特色を活かした問題解決は, フィ. て今以上に強力な包括的アプローチの実施が可. リピンが今後発展する上で重要な道筋を作ると. 能になるのではないだろうか.そうすること. ともに,各機関・団体とフィリピンとの間に友. で,支援アプローチが拡大する可能性もあり,. 好関係を築いていくこととらえることができよ. フィリピンの諸問題に苦しんでいる多くの人々. う.. の手助けにつながるものと考える.そのために. 現在,多様な組織が問題解決に向けて支援を. は 開発支援 に 関 わ る 組織同士 の 連携,つ ま り. 行っており,まさに包括的なアプローチをとっ. フィリピン国内で活躍する個々の組織間のネッ. ている.こういったアプローチがフィリピン国. トワーキング作りが重要である.フィリピン政. 内で確立しているのは,各組織の専門性を活か. 府が必要とする支援分野の優先順位,NGO や. し,解決を導くための支援アプローチに色濃く. 国際機関などの各組織の特性を活かした開発プ. 反映されているからであろう.今回調査訪問が. ランの必要性,その際に既存する組織が果たす. 実現 し た 政府関連機関 の ADB と JICA で は,. べき役割,またヨコの組織の活動領域を拡大す. インフラおよび社会経済開発の分野からフィリ. ることによって誕生する,新たな組織はどうい. ピンの発展に向けた努力をしている.NGO で. う役割を担うべきなのかといった事柄について. は,Oxfam GB Philippine Office が フィリ ピ ン. は,ネットワーキングを活かしたフィリピンに. 国内や先進諸国に対して,いかにして多くの市. おける包括的なアプローチの実現のため,そし. 民の声を伝播させるかという活動を行ってい. て援助効率を高めるためにも,フィリピン国内. る.ま た ACCE で は,都市貧困者 の 生活向上. の発展に向けた今後の課題として指摘しておき. のために労働の機会を提供し, 信頼関係を築き,. たい.加えて,開発援助の分野でもうひとつ問. 住民との協調性を通じて,地道に問題解決を図. 題にしていきたいことは,援助活動が終了した. ろうと努めている.双方ともに,草の根組織と. 後の継続的な活動実施である.あらゆる援助は. いう住民・市民に密着した活動形態を活かして. ドナー側の経済的支援があるときにのみ活気づ. いることが理解できる.. く.支援団体が手を引けば一時的には自立する. しかしながら,現在の包括的アプローチには. ものの,継続的な活動が実施できなくなってし. 限界が見えるのではないかとも懸念してしま. まうおそれが大いにしてあることも忘れてはな. う.たとえ専門性を活かしたとしても,他の組. らない.現在,フィリピンにおいて実施されて. 織と重複してしまうアプローチや,どの組織で. いる政府系機関のそれぞれの活動も,プロジェ. も支援することが難しい領域に突き当たってし. クトが終了する.今後,現地政府や地方自治体,. まう可能性も考えられるからである.例えば,. 市民社会それぞれが自助努力をし,継続的な活. 援助協力の重点分野に関していえば,それぞれ. 動ができるよう,いかに政府や自治体が積極的. の機関では実施にむけた計画の策定がなされて. な努力を行うかが大切であろう..
(15) 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 4 ・ 5 号(2008年 1 月). 170 (672). 注 1)渡来絢,ジギャン・クマル・タパ,劉ヌオ『フィ リピンの経済開発に関するフィールド調査 調 査報告書』,2007 年 2) (財)世界経済情報サービス(ワイス) 『 ARC レ ポート 2005 フィリ ピ ン』WEIS,2005 年: 5─10 頁 3)前掲書 19 頁 4)木村宏恒「 NGO 参加型開発の実態」『開発・ 国際・NGO─フィリピンカラバルゾン開発計 画をめぐって─』,三一書房,1998 年:182 頁 5)JICA「フィリピン国別援助研究会報告書(第 3 次)」,JICA,1999 年:69 頁 6)(財)国際協力推進協会『途上国 に お け る NGO の開発協力受け入れの状況 国際社会に おけるわが国の経済協力に関する問題点と可能 性調査』,(財)国際協力推進協会,1996 年:8 頁 7)五十嵐誠一『フィリピンの民主化と市民社会 ─移行・定着・発展 の 政治力学─』,成文堂, 2004 年:57 頁 8)共産主義勢力の拡大を望むマルコス大統領の 布告令.1972 年 9 月 23 日 に 発令(五十嵐,前 掲書:61 頁) 9) 新 た な 道 の 模 索 と し て, 共 同 体 組 織 化 (Community Organization / CO)という市民社 会の組織化を進めたり,民衆組織(PO)の組織 作りに努めた(五十嵐,前掲書:62 頁) . 10)APPC Conference Sept. 5─7,2003 “Asia Pacific Philanthropy Consortium: Governance, Organizational Effectiveness and the Nonprofit Sector” <http://www.jcie.or.jp/japan/cn_appc/ philippines.pdf>[検索日:2007/06/10 ] 11)NGO-JICA ジャパンデスク philippines『フィ リ ピ ン に お け る NGO 団体 の 歴史』(最新更新 日:2006/09/25) <http://www.jica-ngodesk.ph/japanese/Page5. htm#5-1>[検索日:2007/06/12 ] 12)APPC Conference Sept. 5─7,2003 前 掲 書: 5頁 13)NGO-JICA ジャパンデスク philippines『フィ リピンで活動中の日本の NGO 』<http://www. jica-ngodesk.ph/japanese/Page3.htm#3-1> [検索日:2007/06/12 ] 14)GAP(国際公益活動研究会)監修『台頭する 「市民社会」 ア ジ ア の NPO 10 ヶ国 の 非営 利団体レポート 新しいアジア公益活動の潮流 と展望』,アルク 1997 年:215 頁,221─222 頁 15) 主に 2 つの文献 (Anja Osterhaus (ed.) “ Business Unusual Successes and Challenges of Fair Trade,” Fair Trade Advocacy Office,Brussels. 2006 年:10─11 頁,The British Association for Fair Trade Shops(BAFTS) “BAFTS… the story so far Trading for Justice, ” <http://www.bafts. org.uk/BAFTS_Files/BAFTShistory.pdf>[検 索日:2007/09/19 ] )を参考にした . 16)2007 年 1 月 29 日に訪問し,主に Ms. Shalimar Vitan と Ms. Margarita Hakobyan にインタビュー を行った. 17)13 の組織は以下のとおりである.オースト ラリア,ベルギー,カナダ,フランス,ドイツ, イギリス, 香港, アイルランド, オランダ, ニュー ジーランド,ケベック,スペイン,アメリカに よって構成されている(オックスファム・ジャ パン活動紹介資料参照) . 18)Ms. Vitan の説明をもとに作成. なお, 詳細は, Oxfam <http://www.oxfam.org.uk/>[検 索 日:2007/02/06 ] ,オック ス ファム・ジャパ ン <http://www.oxfam.jp>[ 検索日:2007/02/06], オックスファム・ジャパン活動紹介資料を参考 にした. 19)<http://www.oxfam.org/en/about/oxfam_sites. htm>[検索日:2007/10/02 ] 20)Oxfam GB ホームページより,<http://www. oxfam.org.uk/what_we_do/regional/eastasia/ overview.htm>[検索日:2007/02/06 ] . 21)1984 年 か ら Oxfam Australia,1986 年 か ら Oxfam Hong Kong(Oxfam HK<http://www. oxfam.org.hk>, [検索日:2007/02/06 ] ) ,1987 年からは Oxfam GB が支援活動を開始してい る.Oxfam Novib の 開始年 は 不明 で あ る が, 1980 年代から実施している.その後,Oxfam America も支援に加わり,対フィリピンの直 接的支援が行われていたが,Oxfam America は 2001 年にフィリピンからカンボジアに事務 所を移し,Oxfam Australia は現在,フィリピ ン事務所を閉鎖している(Ms. Vitan へのメー ル イ ン タ ビュ ー[実 施 日:2007/02/19 ] よ り) .2002 年 か ら,Oxfam Australia と Oxfam HongKong は,先住民族 プ ロ グ ラ ム と ジェン ダーアクションプランの支援を開始. 現在では, Oxfam Australia が能力育成と制度的支援の領 域において現地 NGO の主要な 2 団体とともに 最終的プログラムを支援している.Oxfam GB では,台風災害に対する緊急支援やミンダナオ 紛争に対する支援,LaoLao 地区における経済 的,お よ び 衛生的支援 を 行って い る(Oxfam Australia <http://www.oxfam.org.au>, [検 索 日:2007/02/06 ] ) . 22)Oxfam では,フェアトレード事業に関する 活動(主に手工芸品生産者,食品加工業者)も 行われている.Oxfam におけるフェアトレー ド 活動 は,世界的 な 秩序 と なって い る 自由貿 易のルールを変え,貿易が貧困の原因となる.
(16) フィリピンの社会開発における包括的アプローチ(渡来,タパ ジギャン クマル) (673) 171. のではなく,貿易を貧困削減の糧にしようと いう,持続可能な開発を導くことを目的とし たもので,40 年以上も前から積極的に実施し ている先駆者的存在である(Oxfam GB ホーム ページ よ り <http://www.oxfam.org.uk>,[検 索日:2007/02/06 ]).先進国 か ら の 低 い 助成 金や不公平な貿易競争といった国際貿易のルー ルでは,零細農業者や生産者が生計を立てるこ とは困難であること,そして現在の貿易ルール の代替となりうる「フェアトレード」は,市場 基盤の開拓を行うことによって,貧困に苦しむ 人々の生活を改善することができるという背景 から,フェアトレード商品の市場を拡大するた めの手助けや,地方の人々,特に零細農業者の 生計の維持,そして現状の通商政策を変えよう と す る 啓発活動 や,フェア ト レード 認証 マー クが付いた商品の販売を通して,多くの人々 に フェア ト レード 活動 の 理解・認識 を し て も らうための活動を行っている(主に Oxfam GB Philippine Office へ訪問した際のインタビュー [訪 問 日:2007/01/29 ],お よ び Ms. Vitan の メール イ ン タ ビュー[実 施 日:2007/02/19 ] の内容を参考にした). 23)1981 年フェアトレード商品の生産者へ直接 的 な 支援 を 行って い た.当時 は,ル ソ ン 島, ヴィサヤ諸島,ミンダナオを中心に行っていた (Ms. Vitan へのメールインタビュー[実施日: 2007/02/19 ]より). 24)Walden Bello “What’s Wrong with the Oxfam Trade Campaign,” Reclaiming the Commons,No. 77,April 2002,<http://www.focusweb.org> [検索日:2007/09/28 ] 25)Angus Cleary “Oxfam’s Response to Walden Bello,” Reclaiming the Commons,No. 78,May 2002,<http://www.focusweb.org>[検 索 日: 2007/09/28 ] 26)2007 年 1 月 30 日に訪問し,野田沙良,酒井 絵里香両駐在員にインタビューを行った. 27)ACCE を設立して支援活動を開始したきっ かけは,在日フィリピン人の労働者たちをみた ACCE の 設立者(学生 2 人)が,フィリ ピ ン の現状がどういったものであるのかを確かめる べく,1989 年にフィリピンに旅行をし,フィ リピンの現状を目の当たりにして支援を決意し た.2006 年現在,理事が 7 名,支援ボランティ ア 20 名(社会人 20%,学生 80%)が,日本事 務所において活動を支えている.(野田駐在員 とのインタビュー[実施日:2007/01/30 ]より) 28)マニラに 400 以上あるといわれている都市の 貧困地区の 1 つであるアペロクルス地区にて, 衛生面の向上と生活の向上,教育向上を目的と した支援を行っている.具体的には,1)最低 限の教育を受けてもらうための奨学生プログラ. ム,2)伝染病の減少や衛生知識の向上,公衆 トイレの建設プログラムの実施,3)医薬品の 供給プログラム,4)生計支援を目的としたフェ アトレードプログラムを実施している(ACCE ホ ー ム ペ ー ジ < http://www.page.sannet. ne.jp/acce/ >[検索日:2007/08/29 ]より) . 29)農村地区支援は,パンパンガ州,ケソン州の 2 地域で実施されている.パンパンガ州ではパ イロットファームの運営が行われており,ケソ ン州アラバット島のペレーズでは,教育を支援 するデイケアセンターへ子供達が通えるような 支援やフェアトレード支援,養豚業を通じた収 益金を学費にあてがうプログラムが実施されて い る(ACCE ホーム ページ,前掲, [検索日: 2007/08/29 ] ) . 30)2001 年 10 月から活動を開始しているアクセ スのフェアトレード支援は,都市貧困地区と農 村地区の両方で実施されている.アペロクルス 地区ではカード作りを通じたフェアトレード 活動 が,ペ レーズ 地区 で は,コ コ ナッツ 手工 芸品生産プロジェクトが行われている(ACCE ホーム ページ,前 掲[検 索 日:2007/08/29 ] , および野田駐在員とのインタビュー[実施日: 2007/01/30 ]より) . 31)4 人はココナッツ商品生産に関しては熟練で あり,残り 4 人は訓練生である. (野田駐在員 とのインタビュー[実施日:2007/01/30 ]より) 32)情報は,フィリピン事務所に駐在する日本人 スタッフによって詳細に伝えられる. (野田駐 在員とのインタビュー[実施日:2007/01/30 ] より) . 33) 大 川 新 人『成 功 す る NPO 失 敗 す る NPO NPO 持続発展のマネジメント学習』日本地域 社会研究所,2002 年:27─29 頁 34)JICA,前掲書 51 頁 35)前掲書 49 頁 36)2007 年 1 月 30 日 に ADB 本部 マ ニ ラ 訪問, 現在 ADB が取り組んでいるガバナンス分野 に つ い て の セ ミ ナーに 参加 し,Ms. Sandra Nicoll,Mr. Gambhir Bhatta,Ms. Monawar Sultana,Mr. Bartedes の Lecture をまとめた . 37)Ms. Susan Hoopor に よ る ADB の 活動概要 と主な取り組みについて説明.ADB 広報室資 料. 38)ア ジ ア 開発銀行公式 ホーム ページ, 『各国 情 報 ペ ー ジ』,<http://www.adb.org/PHCO/ about.asp>, [検索日:2007/08/05 ] 39)フィリピンのマニラに本部をもつ NGO と市 民社会センターは,ADB が 2001 年 2 月に設立 したセンターである . 40)<http://www.adb.org/Documents/News/2001/ nr2001084.asp>, [検索日:2007/08/12 ] 41)2007 年 2 月 9 日 付 け の Asia Corporate.
(17) 172 (674). 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 4 ・ 5 号(2008年 1 月). News Network の 記 事,“$250 Million Loan to Support Philippines Policy Reforms,” <http:// www.acnnewswire.net/press/en/35143/ASIANDEVELOPMENT-BANK.html> より. 42)VAT(Value addad Tax) 付 加 価 値 税(日 本の消費税のような税収のひとつ) 4 3 ) A D B “A s i a n D e v e l o p m e n t B a n k & Philippines 2007 A Fact Sheet,” ADB, 2007 44)2007 年 1 月 30 日にフィリピンの JICA 事務 所訪問,兵庫県警から派遣された植野改司(フィ リピン国家警察派遣専門家),竹中成文(JICA フィリ ピ ン 事務所総務班長),鹿目武(JICA フィリピン事務所事業実施管理班長)にインタ ビュー. 45)専門家派遣について現在フィリピンで活動中 の警察業務指導に当たっている専門家とインタ. ビュー . 46)TESDA は Technical Education and Skills Development Authority の 略 .(TESDA 女 性 センターを訪問した際のインタビュー[実施 日:2007/01/31 ] , と TESDA と 関 連 組 織 の オ フ ィ シ ャ ル ホ ー ム ペ ー ジ <http://project. jica.go.jp/philippines/0121420E0/ お よ び TEDSDA ホ ー ム ペ ー ジ <http://www.tesda. gov.ph>, [検索日:2007/08/22 ]を 参考 に し た) . [わ た ら い あ や 横浜国立大学大学院国際社会 科学研究科博士課程後期] [タ パ ジ ギャン ク マ ル 横浜国立大学大学院 国際社会科学研究科博士課程後期].
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