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協同組合事業の革新と組織間調整 : 卸商業団地組合の事例をとおして

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Academic year: 2021

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(1)研究ノート. 協同組合事業の革新と組織間調整 一卸商業団地組合の事例をとおして-. 田. 適. はじめに. 信. 義. 組織間構造にイノベーションをもたらすような事業シ ステムを導入する場合,どのような調整過程を経て,. 事業協同組合が,新しい事業システムの導入を通じ て,共同事業の再構築を図ろうとする場合,多くの障. 組織間統合を囲っているかについて,その調査研究成. 果の1部を報告することにある.. 害に直面する.依って立つ制度的基盤が制約要因にな. るほか,協同体の有するタイトな組織間構造が抵抗要. 1.組合事業再構築にみる革新性. -卸商業団地の場合一. 因として働くからである.. 事業協同組合組織は,組合を媒介組織として,組合. 本題に入る前に,今回事例としてとりあげた卸商業. メンバーの自主性を尊重し,その運営に関しては公平. 団地組合の組織特性の概要と共同事業再構築における. 悼,民主性を保障する組織である.だが一方,組合と. 革新性について言及しておきたい.. メンバーとの関係は,公式化,規範化された構造を有. (1)卸商業団地組合の組織特性. し,他の事業組織に比べて機動性や柔軟性に欠ける面. 卸商業団地組合は,地域卸売商の集約化を目的とし. がある.. た法令に準拠した制度的組織間協同体であると共に,. 組合には,各メンバーが自律的に行動することから. 地理的近接性や地域的連帯感といった組織間の信頼性. 生じる緊張関係やコンフリクトを与件として,全体を. 構築に必要な心理的基盤を併せ持った協同体として位. 調整するようなオーソリティは存在するが,メンバー. 置づけられる.. の行動を共同目標の達成に向けて強制的に従属させる. といった拘束力は持たない. したがって,組合が組合内部の既存の資源ネット. 組合の運営理念としては,. (丑組合員企業の自主性の. 尊重, ②他の組合員企業との互助, ③全体の連帯(一 体性の維持)を掲げている.また組織特性としては,. ワークやパワー構造に変革をもたらすような共同事業. (丑組合員が出資者であり利用者である自己同一性を持. に取り組む場合には,事業の導入によって生ずるであ. った非搾取の組織,. ろう緊張関係を緩和し,組織間協同体としての-体性. 経済の組織で,協働活動効果をあげること,. や組織有効性を維持するための組織間統合の手段を用. 理で作動するのではなく,利用原理によって規律する. 意する必要がある. 組合が,組織間統合に用いる一般的な手段は,調整. (か地域や一部職能を共有する協同 ⑨利潤原. ことを目的とする組織であるという点があげられよう. 組織間構造形態としては,連邦型に分類されるネット. とコントロールであり,その過程で,パワーの行使,. ワーク組織(provan, 1983)に近いものといえる.. コミュニケーション,コンフリクト解決,計画化・標. 組合組織の運営は,ルール化された意思決定機構の. 準化・制度化,及びリーダーシップなどの組織過程が. もとで行われるが,金融に係る領域については,きめ. かかわってくる.. 細かに成文化された規約に基づき進められる.意思決. 本稿は,. 40の卸商業団地組合1)の事例研究をとおし. て,組合が制度的基盤の制約をのり超え,組合内部の. 定機構は,最高意思決定機関である総会のほか,日常 の重要な案件を決定する理事会(役員会),及び理事.

(2) 協同組合事業の革新と組織間調整(田過. 信義). (339). 95. 会の所管の下に,組合の活動領域に応じて,各種委員. け(共同金融),組合員に対する債務保証,組合員の. 会が設置されており,理事会案件に当らないものは,. 経済的地位改善のために必要な団体協約の締結などの. 委員会が独自で意思決定を行なっている.総会は年1. 事業を行うことになっている.だが,各団地組合がこ. 回が一般的で,重要な案件が生じた場合は,その都度,. れまで取組んできた共同事業は,団地規模によるレ. 必要に応じて招集するケースが多い.総会の決議は多. パートリーの差は認められるものの,基本的な顔ぶれ. 数決を原則とするが,団地の一体性を維持する上から. に差はみられない.主なものとしては,組合事業の中. も,ほぼ全員の賛同を得ることを目標にしている.ま. 核となる共同金融・保険事業に加え,教育研修,情報. た別に,日常の業務を処理する事務局が設置されてお. 提供・交流事業や共同施設利用事業(駐車場,食堂,. り,事務局長が理事を兼務して,理事長を補佐するの. 売店,給油,福利厚生,展示場,会議室等),イベン. が一般的である.. ト事業(共同売出し,共同宣伝など)等々がある.. 組合の財政基盤は,組合メンバーからの賦課金及び. これらの共同事業に共通する目標は,資源の共有化. 共同事業からの収益が主な財源となっているが,賦課. を通じて,組合メンバーの取引コストの低減や経営の. 金への依存度が高い組合が多い.. 近代化を行って,集団としてのパワー強化を図ること であり,個別企業の革新の追求に重点が置かれている.. (2)共同事業再構築にみられる革新性 卸商業団地組合は,団地建設にあたって高度化資. また,共同事業を通じて,各メンバーが獲得する資源. 金2)の受け皿組織として設立された.同時に,共同事. は同質性を有し,その事業システムのタスクは総じて. 業として(イ)組合員のための共同購入,加工,販売,商. 公式化されている.組合メンバーの協働行為に求めら. 品企画等の共同経済事業,並びに(ロ)組合員のための福. れる協力範囲は,限定された狭いものであり,メン. 利厚生施設の設置,. バーのハード資源,ソフト資源のレベルによる制約は. (/,)組合員に対する事業資金の貸付. 秦-. 1. 卸商業団地組合の既存事業と新規事業の差異. 新規共同事業. 既存の共同事業 共同事業の目標 協働行為における参加. メンバーの協力範囲 市場との関連性 事業システム,タスク. 獲得する資源のタイプ. 経営の近代化 取引コストの低減. 卸売機能の高度化. 狭い(限定的). 広い(多元的). 間接的. 直接的. 単純.公式的. 複雑.流動的. 同質性 画的. 異質性 複′合的. ハード資源が中心 革新追求の型 主な事業の顔ぶれ. ソフト資源が中心. 個別的. 共同的. イ共同金融.保険事業. イ地域流通VAN事業. ロ共同施設利用事業■. ロ物流効率化事業. ハ教育研修,情報交流.. ハ販売システム開発事業. 提供事業. ニ新業態開発事業. ニイベント事業. ホ新事業分野進出事業. ホ事務代行等のサービス など. など.

(3) 96. 横浜経営研究. (340). 第WI巻. ほとんどない.共有資源の利用・獲得をめぐって,メ. 第4号(1998) 規範の不一致,ないしは目標設定の差がもたらす問題. である.組合メンバーの卸売機能高度化関連事業に対. ンバー間に競争関係が生じるケースも少ない.. このような性格を有する共同事業は,地縁的連帯に. する目標・期待は,個々のメンバーが保有するハード. よって結ばれ,ルール化された意思決定機構を有する. 資源(資金,人材,規模など)とソフト資源(経営ス. 団地組合にとって,組織の一体性の維持や事業の効率. キル,情報・知識,顧客ネットワークなど)のレベル. 的運営を行う上で極めて有効に作用する.しかしなが. によって異なっている.具体的には,メンバーの業. ら,団地組合が現在取り組んでいる共同事業は,卸売. 種・業態,規模,経営者の意識・経営姿勢の差となっ. 機能の高度化を目指した事業である.具体的には,也. て反映されている4).多様な業種・業態が集積してい. 域流通vAN事業(通信ネットワーク,. る総合卸団地の場合は,組合メンバーの卸売機能高度. ED標準化,. データベースなど),物流効率化事業(共同配送・保. 化関連事業に対する目標,取組み姿勢は多様化してい. 管,共同流通加工など),-販売システム開発事業. る.特定業種特化型の団地の場合でも,メンバーの規. (デーラーヘルプ,共同受注・納入など),新業態開発. 模,経営姿勢によって,目標のレベル,事業内容につ. 事業(キャッシュアンドキャリー,輸入品開発卸,納. いて差が出ている.. 品代行など),新事業分野進出事業(ニューサービス,. これらの差は,事業の参画をめぐって,個々のメン. コンベンション,レジャー産業等への進出等)などが. バーの私的インセンティブや事業に対する選好度の差. ある.. となって表れ,組合としてそれをどう統合していくか. これらの共同事業は,これまでの事業とは次の点で 性格を異にする(衣-1). (イ)本事業が追求するものは,個別企業の革新よりも,. が課題となっている.. 2つには,新たな資源ネットワークの形成をめぐっ ての問題が発生している.ノ組合が新規事業の導入を行. 実質的な共同行為によって生まれる共同的革新に. うにあたっては,既存の事業を放棄するわけではない.. 重点が置かれる.また協働メンバーが獲得する資. また新規事業に対しては,組合メンバーのすべてが参. 源は,個別企業の異なる資源や外部の高質な資源. 加できるケースは極めて少ない.組合としては,全員. が実質的な共同行為によって転換されたハイプリ. 参加型の事業システムの構築を目指すが,メンバーの. ットな資源3)である.したがって,従来とは異な. 環境条件(経営資源など)の差が大きい場合は,参加. った資源ネットワークが形成される.. に際し,メンバー間に互酬の規範の不均衡(投入資源. (ロ)参加メンバーの協働行為に求められる協力の範囲. の調達と獲得資源の配分をめぐる不均衡)等が生じ,. は,より広範囲に亘る.また事業活動面で,市場 との係りあいが強まることから,その協力関係は. 競争的協力といった性格のものになる. (/,)本事業推進にあたっての主導権及び発言権は,組. どうしても落ちこぼれが出てしまう. したがって,組合内部には,既存の資源ネットワー クと新たな資源ネットワークが併存することになる. その場合,組合内部には,資源ネットワークをめぐる. 合内部の既存の地位パワーよりも,個々のメン. 対立(パワーの獲得と維持をめぐる不協和)が生じや. バーの有する経営資源のレベルによって規定され. すい.とくに新たな資源ネットワークの形成が,これ. る.そのため,事業導入に際しては,しばしば組. までの組合内部におけるパワー構造に変革をもたらす. 合内部のパワー構造に変革をもたらす.. ものであったり,互酬の規範の不均衡を招くものであ る場合は,組合有力メンバーや不参加メンバーの変革. 2.組織間統合をめぐる課題 したがって,組合は事業導入にあたり,組織内部に 生じる緊張関係を調整・コントロールし,組合メン バー間の統合を図るための新たな課題に直面している.. 前述した40の卸商業団地に対するアンケート調査及. に対する暗黙の抵抗(組合活動に対する非協力的態度, 組合からの離脱など)にあい,事前の検討段階で頓挫 しているケースも多い. 3つには,組合メンバーの事業に対する認知の差に. よって生じる問題がある.卸売機能高度化関連事業は. び現地ヒアリング調査をもとに,その課題の主要な側. これまでの事業に比べて,事業システムが複雑かつ高. 面を示すと,次の3点が指摘できる.. 度で,そのタスクも公式化しにくい面を有している.. その1つは,事業目標に対する組合メンバーの価値,. 一方,環境の不確実性が高まるなか,組合メンバーの.

(4) 協同組合事業の革新と組織間調整(田通. 信義). (341). 環境に対する認識や対応姿勢は多様化している.加え. としての役割も果たしている.委員会のメンバーは,. て,メンバーのソフト資源とくに情報力に大きな差が. 組合成員より選定したメンバー,学識経験者,行政か. 97. 存在する.そのため,新事業導入にあたり組合内部に. らの代表等で構成される.またビジョン策定にあたっ. は事業に対する情報の非対称性,新事業に対する概念. ては,. の暖昧性(事業システムに対する信頼性の低下など). 進事業」などの公的補助事業6)とリンクさせて行って. が生じている.これらは,メンバーの中に事業に対す. いる.. る受容不能,比較不能(March=Simon. 「地域活性化事業」 「活路開拓事業」 「情報化促. ビジョン策定段階での組合の役割は, (イ)ビジョンの. 1985)といっ た現象をもたらすほか,新事業組織の組成をめぐって. 策定及び策定手段として委員会方式を採ることについ. 組合内部に新たな緊張関係やコンフリクトの顕在化を. て,組合成員の合意と協力のコミットメントを得るこ. 招く要因ともなっている.. 3.事業革新のプロセスと調整メカニズム このような組織間統合上の課題に対し,調整機関と しての組合は,事業再構築のプロセスに応じ,組合内. と(問題設定)と,. (ロ)委員会の検討を通じて,メン. バー間の価値・期待を統合化し,ビジョンの正当化を. 図れるような方向へと誘導すること(方向設定)であ る.. 前者に関して生じる調整は,ビジョン策定の是非に. 部に新たな調整機構を設け調整したり,組合によって. 関する組合成員の合意形成過程で生じるものと委員会. は組合の有するパワーを行使してメンバー(成員)間. メンバー選定に関する調整とがある.この段階での調. のコントロールを行い対応している.. 整は,組合幹部(主として理事長,有力理事,事務局. 組合が行う調整及びコントロールは,概念的には明. 長)が中心となって行うが,組合成員の合意形成につ. 確に区別されるべきものであるが,実際には調整過程. いては,公的補助事業の活用や委貞会に学識経験者,. とコントロール過程が同時併行的に進行している場合. 行政からの代表を入れることによって,ビジョン策定. が多い.また組合の行使するコントロール過程は,企. の正当性を組合成員に認知させるかたちで行われる.. 業組織などと■は異なり,調整の概念に近い性格を有し,. その識別が困難なものが多くなっている.. 一方,委員会メンバーの選定に関する調整は組合幹部 及び幹部以外の有力リーダーを対象とした調整が中心. (1)組織間協力のプロセスと調整機構. となるが,ここでの調整は,中立的立場にある事務局. 組合が進める事業革新のプロセスは,組合成員間の. 長の果たす役割が大きい.ビジョン策定に着手できな. 協力関係形成のプロセスとして捉えることができる.. またその考察に際しては,山倉(1993)の示す3つの. い組合の多くは,委員会メンバー選定の段階で調整に 失敗するケースも多く,事務局長の調整能力が鍵を握. フェイズモデル(問題設定,方向設定,実行)5)が有. っている.. 益な示唆を提供してくれる. 組合の共同事業再構築のステップは,事例でみる限. 後者に関して生ずる調整は,原則として委員会が行 うが,委員会メンバーに学識経験者や組合成員代表と. り,ビジョン策定段階と個別事業実現に向けてのビジ. して,企業経営に革新的な考え方を持つ人材,リー. ョン実行段階に大別できるが,このフェイズモデルに. ダーシップを発揮できる人材が配置されていると調整. 従えば,ビジョン策定段階は問題設定及び方向設定の. が容易となる.また組合スタッフ(事務局)が委員会. フェイズに関するものが中心課題となる.つぎに調整. に提供する情報が調整に際し,大きな役割を果たすこ. 機関としての組合の立場から,組合成員間の協力関係. ともある.. 形成にどう係わっているかについてみておこう. ①. ビジョン策定段階での調整機構. ②. ビジョン実行段階での調整機構. 実行段階での組合の役割は,ビジョンに盛り込まれ. 組合が事業の再構築を行うに際しては,まず組合と. た方針に基づいて,具体的な個別事業レベルで組合成. して新たなビジョンを策定するのが一般的である.そ. 員の参加を得ながらビジョンを実現していくことであ. の場合,通常は,組合内に「ビジョン策定委貞会」を. る.個別事業の導入に際し,組合が事業を円滑に推進. 設置し,その委貞会を通じて;基本方針,課題の設定,. していくためには,事業の企画段階から事業の実施に. 及びそれに必要な情報の採集や代替案の検討等がなさ. 致る様々な過程で,調整が必要となる.. れると共に,委貞会はビジョン策定に関する調整機構. 事業の推進過程で生じる調整の場面を意思決定レベ.

(5) 98. (342). 横浜経営研究. 第WE巻. 第4号(1998). ルの段階で捉えると,その節目となるのは(イ)提案され. 強力なリーダーシップを発揮する有力企業が存在しな. た事業プラン導入の採否を決定する上で重要な役割を. い団地に多い.このグループにおける事務局長の役割. 果たす事前の検討段階(事前検討段階),. (ロ)事業導入. は,情報の収集と全体のコーディネイト役を担う場合. が決定され,事業の方向性,事業内容を具体的に検討. が多く,調整の先頭に立つよりは,管理部門の長とし. する段階(事業設計段階),. ての役割を果たすウエイトが高い.. (/l)事業の実施に向けて具. 体的な運営方法や参加メンバーの確定などの最終決定. 委員会方式による調整は,全員参加型の事業構築を 行う場合に,調整に際し組合員に対する説得性,納得. を行う段階(実施段階)の3つの段階である. この各段階で機能する調整主体としては,新規事業 を軌道に乗せた組合の事例でみるかぎり,組合幹部,. 性を持つ長所がある反面,事業の進捗スピードが組合 幹部調整型に比べて,鈍化する欠点を有している8).. 組合内の常設の委員会(理事会,事業企画委員会な. ・混在型-このタイプに属する場合は,意思決定レ. ど),及び個別事業導入を目的に設立された新事業検. ベルの段階に応じて,調整主体が変わるもので,調整. 討委貞会,新事業に参画ないしは関心を持つメンバー. の内容・規模に応じて,弾力的な調整を行っている.. で組成された非公式グループの4つが抽出できる.こ. このタイプに属する組合の事業推進主体と調整主体と. のうち,非公式グループが調整主体となる場合は,辛. は各意思決定段階によって異なる組合が多く,状況に. 前検討段階と実施段階に於いて各2例みられただけで,. 応じて最適の調整環境を作り出す上で長所を有するが,. 該当事例は少ない.非公式グループを除く,. 3つの調. 整主体が意思決定段階で,どう係わっていくかは画一 的に論じられない面はあるものの,大きくは,. 3つの. タイプが識別できる.各タイプの調整機構の差異は,. 一方で責任の所在が不明確になるなどの欠点も顕在化 している9).. (2)ビジョン策定段階における調整過程 ビジョン策定段階で組合が果たすべき役割は,組合. 組合内部のパワー構造や組合事務局の体制及び事務局. が意図する共同事業再構築の目標に対し,組合成員の. 長の資質等に起因する面が大きい.. 認知レベルの差,環境条件や組合への価値,期待面の. ・組合幹部調整型-このタイプに属する組合では,. 差等を統合して,成員全体のコミットメントを得るこ. 新事業の導入に際し,事前の検討段階から実行までの. とである.そのため組合は,正統性を獲得するための. 各段階において生じる調整課題を,理事長又は有力理. パワー資源の獲得や成員に対するコミュニケーション. 事が事務局長と連携しながら調整を行っている.通常. を通じて,成貞間の調整に努める.また方向設定フェ. は,事務局が調整に際しての情報や調整プログラムを. イズに閲し,構成メンバー間に規範,期待の不一致か. 用意するが,理事長及び有力理事も,当該事業システ. ら対立が生じた場合には,それを解決するための手段. ムに対する情報や専門知識を有していて,両者の相乗. も用意することになる.. 効果がもたらす調整力によって,組合成員の合意形成. ①. を行っている.また事務局長には,事業企画力,情報. 組合が調整(コントロール)のために行使するパ. 行使するパワー資源. 収集力,対外接渉力に優れた人材を配して,その中立. ワー資源としては,報酬,制裁,専門知識・情報,正. 的立場と本人の有する専門性,情報力が調整に際し有. 統性,同一化(石井1983,. 効に作用している.. 護野他1980)などが想定される.このうち,ビジョ. このタイプに属する組合の事業革新のプロセスをみ. Patchen1974,野中・加. ン策定段階で重要となるパワー資源は,環境情報等の. ると,ビジョン策定段階で,新規事業の枠組みやメニ. 情報パワーと公的補助事業とのリンク,及び上位組織. ューを検討し,個別事業の導入に関して事前に,意思 決定機関である理事会,総会の承認をとりつけてい. や行政の啓蒙・指導,ビジョン策定委貞会の設置等を 通じて獲得する正統性パワーである.とくに組合が調. る7).. 整機構としての正統性を獲得できるかどうかは,ビジ. ・集団的調整型-このタイプに属する組合は,原則. ョン策定行為に対する組合成員への信頼を得る上で強. として調整は理事会・委員会及び個別事業の導入のた. い影響力を持っている. ② コミュニケーションによる調整. めに設置された新事業検討委貞会など委員会方式を採 用しており,組合幹部が中心となって調整することは 少ない.組合内部のパワー構造は比較的分散しており,. 組合がビジョン策定段階で最も力を入れるのは,組 合有力成員に対し,問題設定フェイズに関する内容を.

(6) 協同組合事業の革新と組織間調整(田通 説明し,支持を得ることである.そのため,委員会発. (343). 信義). 99. レベルに応じ,複数の事業案を企画し,結果として組. 足の前段階で,組合幹部と組合有力成員との間で,個. 合員全員が何等かのかたちで共同事業に参画できる事. 別ないし集団的調整が行われる.調整スタイルとして. 業システムを構築することにより調整していくケース. は,上位組織・行政の介入や組合幹部との人格的調整. (機能的調整型,横浜マーチャンダイジングセンター,. を通じての政治的調整によるものが多い.. 仙台卸センターなど)と,. 組合成員全体に対するコミュニケーションは,文書. による告示・伝達,教育・研修を通じての情報提供・. (ロ)導入する事業案を絞り,. 事業システムの信頼性を成員に認知せしめることによ. 啓蒙,総会での報告・内容説明などを通じて行われる.. って,多数派工作を行い,事業導入の正統性を獲得し ていこうというケース(政治的調整型,ベイタウン尾. なかでも,教育・研修を通じての成員に対する的確な. 道など多数派グループ)の2つのケースが識別できる.. 情報提供如何が成員のコミットメントを得る上で大き. ①. く影響する.組合のなかには,この点を重視し,教. この段階で組合が行使するパワーは多様化するが,. 行使するパワー資源. 育・研修にあたり上位組織や行政から講師を派遣して. 複数の事業案を通じて調整していくケースでは,各事. もらい,ビジョン策定の正当性を成員に認知させる手. 業システムに対する専門知識・情報及び事業に参画す. 法をとるところも多い.. ることによる恩典といった報酬パワーの行使が調整. ③. コンフリクト解決. ビジョン策定段階で生じる対立は,方向設定フェイ. (コントロール)の際に有効に作用する. 一方,事業を絞り込み多数派工作を通じて調整して. ズに閲し,個別レベルのアイテムでメンバー間の利害. いくケースは,専門的・情報パワーや報酬パワーに加. 関係や規範・目標の不--致によってもたらされる場合. えて,上位組織や第三者の情報提供・介入,及び組合. が多い.この解決に際しては,組合がコンフリクトを. 有力幹部の説得などを通じて調整機構としての組合の. 消極的に評価するか,積極的に評価するかによって異. 正統性を獲得することが必要となる.. なってくる.消極的に評価する組合は,給じて満足化 原理による選択や第三者の介入等を通じて,政治的に. ②. コミュニケーションによる調整. 個別事業の導入に際しては,組合幹部の村境連結活. 解決を図ろうとする例が多い.一方,積極的に評価す. 動を通じての情報によるコントロールが大きな役割を. る組合は,ビジョンの中に個別レベルで複数の代替案. 果たす.また組合有力成員に対し,事前の支援を得る. を作成し,場合によってはそれを盛り込むかたちの問. ための精力的なコミュニケーションが展開される.個. 題解決型の対応をとっている.両者を比較すると,前. 別事業導入レベルでは,コミュニケーションによる調. 者より後者の方がビジョン実行段階に入った場合,円. 整は,事前検討段階と事業設計段階以降とでは若干異. 滑に事業が進捗している.. なってくる.後者の段階に入るにつれて,対人的コミ. (3)ビジョン実行段階における調整過程. ュニケーションのウエイトが高まる.更に上記に示す. この段階での組合の果たすべき役割は,ビジョンに. 2つのケースの内でも,差異が認められる.. 盛り込まれた個別事業の実現に向けて,出来るだけ多 くの組合成員の参加・協力を得ることである.個別事. ・機能的調整型対応のケースー事前検討段階では, 組合幹部の提示した事業メニューに対し,文書による. 業の導入にあたっては,組合成員の間に認知レベル,. 告示・通達,組合員を集めての説明会等を通じて,成. 環境条件,目標決定レベルの差が存在するばかりでは. 員のコミットメントを得る.事業設計段階に入ると,. なく,組合内部の資源ネットワークに変革をもたらす. 各事業ごとに検討グループが形成され,グループ内の. ケースもある.したがって,それらを調整し,組合と. 対人的コミュニケーション及び組合幹部と検討グルー. しての一体性,組織有効性を維持するには組合幹部の. プとの情報交換を通じて調整が図られる.このケース. 事業企画力や政治力を必要とする.そのため,成員間. の場合は,組合幹部が提示する事業メニューが成員の. の調整に失敗し,ビジョン策定段階までは順調であっ. 協力,参加に影響を与えるため,事前に組合幹部が外. たが,実行段階に入り活動が停滞したままの組合も多. 部情報や成員の個別ニーズの収集に努めるほか,組合. い.. 有力成員に対する根廻しを精力的に行っている. 実行段階に入り成果をあげている組合の対応状況を. みると,. (イ)成員の規模,業態,ニーズ及び保有資源の. ・政治的調整型対応のケース…事前検討段階では, 組合が絞り込んだ事業案について,組合有力成員の支.

(7) 100. 横浜経営研究. (344). 第調巻. 第4号(1998). 持を得るための説得が最も重要となる.有力成員の協. 業プランの企画・提案は,通常,組合幹部役員,又は. 力を得た後,事業検討委貞会等の集団的調整機構を設. 新事業導入に賛同する有志メンバーないしは有志メン. 置し,それと併行して組合員に対し文書による告示・. バーで構成する委員会(新事業検討委貞会)のいずれ. 伝達,説明会,教育・研修等を行っている.事業設計. かによってなされる.組合幹部にパワーが集中してい. 段階に入ると調整は,委員会等の集団的調整機構の中. る組合は,組合幹部が事業プランの企画・提案とメン. でのコミュニケーションを通じて行われ,集団的調整. バー間の合意形成に必要な調整の両方の役割を兼ねる. 機構での調整がつかない場合は,組合幹部の情報コン. ケースが多いが,組合内部のパワーが比較的分散して. トロールや有力成員の対人的コミュニケーションを通 じて調整が図られる.. ③. コンフリクト解決. いる組合では,事業プランの企画・提案主体と調整主 体とは分かれている.すなわち,組合幹部が事業プラ ンの企画・提案をする場合は,理事会・委員会が,有. 個別事業レベルで生じるメンバー間の対立は,当該. 志メンバー・新事業検討委貞会が企画・提案する場合. 事業に対する目標水準の差,及び事業タスクの割当て. には,組合幹部又は理事会・委員会が合意形成を図る. や資源配分をめぐって生じるケースが多い.この解決. 上で調整主体としての役割を果たしている.. にあたっては,. (イ)組合で妥当と判断した案をもとに,. この段階での調整対象は,主として規範・認識レベ. 不満を持つグループの説得にあたるケースが最も多く,. ルのものである.すなわち,事業目標・内容と組合成. 次いで(ロ)メンバー間の合意形成が出来る迄忍耐強く解. 員の期待・価値との調整(目標決定の差)及び情報の. 決方法を探る問題解決探究型, (/I)各メンバーの満足で. 非対称性や新事業に対する暖昧性がもたらす認知レベ. きる水準で妥協を図る満足化原理の選択で対応する. ルの差を埋めるための調整が中心となる.調整に際し. ケースなどが主なものである.総じて,個別事業の導. ては,組合と成員との間の信頼関係によってなされる. 入に成果をあげている組合の対応は,コンフリクト原. が,信頼性の構築には,事業システムに対する信頼. 因を除去せず協調可能な状態を作り出すよりも,コン. (システム信頼)と事業プランの提案者,調整者に対. フリクト要因を完全に改善していく完全解決型を志向. する信頼(人格的信頼)に基づくものとがある. 前者に関しては,当該事業の有する報酬性(事業に. している.. つぎに,事業成果をあげている組合を対象に,個別 事業の導入過程における調整のスタイルを,先に述べ. 参画することによる恩典)ヤシステムに対する情報の. た意思決定レベルの段階で,もう少し詳しくみていく. 環境認識や経営レベルにおいて高い水準にある組合及. ことにする.. び地縁的連帯意識の比較的弱い組合では,新事業導入. 完全性が大きく影響する.総じて,成員企業の多くが,. をめぐっての合意は,システム信頼に基づくものが多. 4.個別事業の導入過程における調整. い.このケースは,三大都市圏や地方中核都市圏に立 (1)事前検討段階. 地する団地組合に多くみられる.これに対し,成員企. 事前検討段階での課題は,新事業の目標や内容につ. 業の多くが,環境認識や経営レベルにおいて低い水準. いて,できるだけ多くの組合成員の合意・協力を得る ことである.その背景には,. (イ)団地組合が取り組むべ. き共同作業は,規模の経済性が作用すること,. (ロ)組合. にある組合や地域連帯意識が強い組合,組合内の特定. 企業にパワーが集中している組合等においては,シス テム信頼よりも組合幹部の中立性,地元業界・経済界. の組織運営理念として,組合成員の相互扶助による一. での地位に裏づけされた人格的信頼に基づく調整がし. 体性の維持を掲げていることなどがある.したがって,. ばしば用いられる.このケースは,地方中小都市圏に. 新しい事業システムを立ち上げるに際し,少なくとも. 立地する団地組合に多い.. 参加メンバーのグループが,組合内部で多数派である. またこの段階での調整スタイルとしては,政治的調. ことが,事業導入の採否を決するに際して重要となる.. 整に最も力が入れられる.多く用いられるのは,行政,. この段階で調整の役割を果たす主体は,組合幹部(辛. 上位組織,外部専門家等の指導・啓蒙(第三者の介. 務局長も含む)又は理事会・委員会のいずれかである. 入),ついで組合幹部の専門知識・外部情報の提供や,. が,調整主体と事業プランの企画,提案主体との関係. 取引面での当事間の力関係を背景とした接渉を通じて. は,組合内部のパワー構造によって異なってくる.辛. の多数派工作が中心となる..

(8) 協同組合事業の革新と組織間調整佃逓 調整は理事会・委員会,事業検討委員会などでの合. (345). 信義). 101. 対する選好度によって規定されるため,新事業に対す. 意形成の過程や個別に組合有力リーダーの支持を得る. るメンバーの信頼をどう獲得していくかも,調整を円. 場でなされるのが通常で,集団的調整が困難な場合は,. 滑に行う上で重要となる.したがって調整には,担当. 組合幹部や新事業の導入に積極的な組合有力リーダー. 者の当該事業システムに対する専門知識や情報の豊か. が,他の組合有力成員の支持をとりつける形で組合員. さが求められ,調整の役割を担う主体は地位的パワー,. 全体の合意形成を図っている.. 政治的パワーを持つ者から情報パワーを持つ者へと移 行している.. (2)事業設計段階 事業設計段階での課題は,参加メンバーの協力関係. この段階での調整は,組合幹部のほか,理事会・委. や秩序の維持に配慮しながら,事業の進め方,組織体. 員会に替って,新事業検討委貞会や事業システムに精. 制などについて,メンバーの了承を得ることである.. 通した有力メンバーの果たす役割が大きくなっている.. この段階に入ると,事業目標の設定,投入資源の調達. また事業推進セクションと調整セクションとの境界が. や成果の配分方法,事業推進メンバーの選定とメン. 不鮮明となり,事前の検討段階に比べ,両者の役割分. バーの役割分担等に関する具体的な検討が行われる.. 担が明確な組合は減少する.事業の具体化が進むにつ. そのため,参加メンバーの能力レベルやメンバー間の. れ,当該事業にたずさわるグループが中心となって,. 利害,競争関係など環境条件の差によって生じる問題. メンバー間の調整を行う方が,効果があるためと思わ. が,調整に際し大きなウエイトを占める.. れる.. また参加メンバーの当該事業に対する協力度は,メ. この段階での調整スタイルは,参加メンバーの競争. ンバー企業の私的インセンティブと事業目標・内容に. 関係,業態,レベルなどに応じた事業グループの分割,. 秦-2. 意思決定レベルでみた調整方法. 事前検討段階. 調整対象. ・新事業の目標.内容と. 組合成員の価値.規範 との調整. ・参加メンバー間の能力 レベル,利害,競争関 係に関する調整. ・新事業に関する組合成. ・新事業に関する参加メ. ・集団的調整による合意 形成. ・教育,情報提供を通じ. ・組合有力成員に対する 説得. ・参加メンバーに対する. ・教育,情報提供を通じ ての合意形成. ・集団的調整による合意 形成. 貞0)認知の差の調整. 調整モード. 事業設計段階. 実施段階. ・新事業をめぐる互酬性 の維持,事業タスク割 当てをめぐる調整. ンバーの認知の差の調 塞. ての合意形成. ・標準化,ルール化,公 式化など,プログラミ ングによる調整. 調整のスタイル. 政治的調整. 指導等を通じての説得. 機能的調整. 規範的.調整. ・第三者の介入. ・事業グループの分割. ・互酬の.規範のルール化. ・多数派工作. ・協働範囲の限定化. ・事業タスクの構造化. ・事業タスクの明確化 調整に必要な. パワー資源. 正統性. 専門知識.情報. 正統性. 専門知識.情報 報酬性. (注)今回とりあげた40の卸商業団地組合の卸売機能高度化関連事業に対する取組み状況は異なるため,本 「事業設計段階」で17事例, 「実施段階」では10事例を参考に作 表では「事前検討段階」では24事例, 成した..

(9) (346). 102. 横浜経営研究. 第Ⅷ巻. 第4号(1998). 参加メンバーの協働範囲の限定化,事業タスクの役割. 委員会や事業参画メンバーの意見も参考にして,プロ. 分担の最適化などを通じての機能的調整に重点が置か. グラミング化による調整を行う組合が多い.. れる.また調整にあたっては,委員会での検討方式に 加えて,参加メンバーに対する教育,情報の提供,メ ンバー企業に対する個別相談・指導に力を入れ,参加. 5.事業革新に成果をあげている組合の特徴 最後に,本稿をまとめる意味で,事業革新に成果を. メンバー間に新事業に対する情報の偏在や認識面の差. あげている組合と成果をあげられないでいる組合との. 異をなくし,コンセンサスの確立を図ることに注力し. 間に,与件面(組合の規模,組織活動,組織間構造な. ている.. ど)や調整過程での対応状況にどのような差異が認め. (3)実施段階. られるかをみていくことにする.. 実施段階での課題は,互酬の規範の不均衡や新事業. まず各組合の事業革新の進展度を,卸売横能高度化. での地位・権力の争奪を巡ってもたらされる緊張関係. 関連事業として,先にあげた5つの事業について個別. やコンフリクトを未然に防ぐことである.また不幸に. に評価し,その総合指標を5段階10)に尺度化して,. して脱落者が出た場合には,参加メンバーと不参加メ. 事業革新の進展度を示す指標とした.つぎに総合指標. ンバーとの間に不利が生じないような配慮も,組合内. との関連をみるため,組合の規模,組織活動,組織間. 部の一体性や秩序を維持する上で必要となる.. 構造や調整モード,組合が調整に際して行使するパ. 実施段階では,新事業の組織・運営体制,参加メン. ワー資源などから40の変数(各変数とも5段階に尺度. バーの役割分担,資源の配分等について具体的な検討. 化)を選び,総合指標との偏相関係数を算出してみた.. が行われるため,事業目標の水準や投入資源・コスト. その結果,. と獲得する成果・利益とのバランス,事業を通じての. しては表-3に示す6つの変数が抽出された.この結. 恩典の受け方や権限の所在等が明確になる,したがっ. 果から,次の諸点を指摘できよう.. て,これらの事態をめぐって緊張関係やコンフリクト. (イ)組合事業の革新は,規模の大きい組合ほど進展し. 1. %の有意水準で相関が認められた変数と. が生じやすい.このため,調整にあたっては,互酬の. ている.それは規模の大きい組合ほど,組合の組. 規範のルール化や組織・運営システムの成文化,事業. 織体削が充実していることもあるが,組合成員の. タスクの構造化等の作業を通じて,規範的調整を行う. 属性・ニーズに応じて,規模の経済性を損なわな. ことが重要となる.調整主体は中立性が求められ,辛. い範囲で共同事業の細分化が可能であり,成員の. 業に係る主体から,再び組合幹部ないしは理事会・委. 協力を得やすい状況をつくり出すことが出来る点. 員会が担うケースが増加する.. が大きいと推察される.. 組合幹部や理事会・委員会は,参加メンバーから新. (ロ)組合事業の革新は,組合成員間の人的交流,情報. 事業の資源配分や事業タスクのルール化,成文化につ. 交流が活発な組合ほど進めやすい.だが,取引関. いての裁量権についての合意をとりつけ,新事業検討. 係からみた成員相互間の依存度との関連は低い.. 秦-3. 事業革新の進展度と相関が認められる変数. 与坪甲. 対応面 0.6125. ・団地組合の規模 ・組合成員間の相互依存度 人的交流.情報交流頻度. (取引活動の額度) (地域的連帯感). 0.5293. (o.3551) (o.2326). ・組合共同事業のメニュー数. 0,4486. ・調整モード 委員会方式による合意形成 組合有力成員に対する説得. (文書等による告示.伝達). 0,5377 0.4962. (o.3852). ・パワー資源 専門知識.情報. 0.4239. (正統性) (報酬性). (o.1382) (o.1168). (注) N-40,数値は1ヲ`の有意水準で相関が認められる偏相関係数.. ( )は参考の為に提示し. た相関係数で,. 1. %の有意水準にはない..

(10) 協同組合事業の革新と組織間調整(田通 また組合の事業活動が活発で,事業のメニューが. 信義). (347). 103. 以上の諸点については,本題の体系的把握を行う上. 豊富な組合ほど事業革新の進展がみられる.但し,. からも重要な課題であり,研究成果がまとまり次第,. 個々の既存事業に対する成員の依存度の高さとは. 本誌で報告する機会を持ちたいと考えている.. 関連がみられない.これは成員の組合事業に対す. 注. る価値・期待が多様化していることを示すものと いえよう.. (),)事業革新の進展度が蒔い組合ほど,委員会方式に よる合意形成や組合有力成貞に対する説得に力を. 1)卸商業団地は,昭和24年に制定された「中小企業 協同組合法」及び昭和38年に制定された「中小企 業事業団法」に基づく「店舗等集団化事業」 (政 令3条1の1)に準拠して建設された.平成8年. 入れている.プログラミング化による調整や教. 度末現在で,全国に189団地が建設されている.. 育・研修等を通じての調整に関しては差がみられ. 卸売業が集団立地している団地は,大別すると 本稿でとりあげた卸商業団地のほか,昭和41年度. なかった..構造化された組織間事業協同体におい て,事業の再構築を行う場合,調整モードとして. に制定された「流通業務市街地の整備に関する法 律」 (略称,洗市法)に基づき建設された団地. 集団的調整では委員会方式,対人的調整では組合. (通称,流通団地)及び企業が任意に集まって形. 有力成員を対象としたコミュニケーションの有効. 成された団地がある.. 性が高いと考えられる.. ト)組合が調整(コントロール)に際し行使するパ ワー資源としては,専門知識や情報が事業革新の 進展度を示す指標と相関が認められた.一方,正 続性や報酬のパワーに関しては差がみられない.. したがって,組合が事業の再構築を進めるに際し, リーダーシップを発揮するためには,組合幹部が 当該事業についての専門知識や情報を修得するこ とが重要と思われる.. 残された課題 これまで卸商業団地組合の事例研究をもとに,本題 に対する若干の考察を試みた.だが残された課題も多 い.その1つは,概念的に区別される調整とコント ロールに関する操作次元の問題がある.本稿では,こ の点についての方法論的考察を用意することができな. かった.インディケ一夕-,測定用具の選択を含め今 後の研究課題である. 2つには,調整過程における組合幹部のリーダーシ ップに関する分析がある,リーダーシップに関する研. 究は,既に多くの成果が示されている分野であり,本 稿でもこの点に論及することを試みたが,十分な論証 を得られるまでのデータを収集することが出来なかっ た.. なお,事例研究は,質問紙を用いてのアンケー ト調査と現地面接調査(ヒアリング)を実施して データ及び資料等を収集. 2)団地組合,及び入居者に対する20年元利均等返済 (3年,据置)の低利融資制度 3) 「実質的な共同行為によって転換されたハイプリ ットな資源」という点では,異業種が共同開発で (神田,. 複合技術を開発する場合と類似している. 寺本, 1987,. p.44) 4) 1994年1月に(秩)日本総合研究所が調査した卸 商業団地入居企業484社の集計分析結果をみると, 規模,取扱い商品の差が最も大きく,ついで業種, 進出時期,経営姿勢,経営者の意識の順になって いる.概要については, る調査研究」報告書p.. 「地域流通活性化に関す. 70参照のこと. 「問題設定」フェ 5)山倉(1993) p.206によれば, イズは協力の場の設定や協力へのコミットメント を得ることで,共通問題の定義,利害者・資源の 識別など,協力のコンテキストづくりが含まれる. 「方向設定」フェイズは,基本原則の確立,課題 の設定,情報探索などを通じて事業目標・価値の 正当化,定式化を行うこと. 「実行」フェイズで は,構成組織の対応,外部支援の確立等を通して, 組織間構造化をはかることであるとしている. 6) 「地域活性化事業」 「活路開拓事業」等,公的補助 事業に関しては,国又は地方自治体より調査研究. 等に対して補助金が出る. 7)例えば,横浜マーチャンダイジングセンター,仙 台卸商センターなどがある.. 8)例えば,盛岡卸センター,ベイタウン尾道などが ある.. 3つには,組合成貞に焦点をあてた分析が欠落して. いる.組合が仕掛ける事業の仕組み及びそれに伴って 発生する組合組織内の構造変革に対し,成員がどのよ. うに対応し,それが組合の組織間統合手段とどういう 形で結びついていくかの解明が残されている.. 9)例えば,長野アークス,八戸総合卸センターなど がある.. 10)卸売機能の高度化に関連した事業として,地域流 通vAN事業,物流効率化事業,販売システム開 発事業,新業態開発事業,新事業分野進出事業の.

(11) (348). 104. 横浜経営研究. 第Ⅶ巻. 5つの事業分野についての進捗度を「白紙状態」 「事前検討段階」 「導入決定し,事業内容を詰めて いる段階」 「本格的運用に向けての試行,準備段 階」 「既に事業の運営を行っている段階」の5段 階で評価し,その合計点(5点-25点,実際は5 点-21点に分布)の分布状況をみて, 5段階に尺 度化した.各段階の母数は, 5点(高い) 10サン プル, 4点 7サンプル, 7サンプル, 3点 点 7サンプル, 9サンプルの構成 1点(低い). 2. 参考文献 H.. D.. and. A.,. Action-sets,. sets,. Simplicity". in. eds,. Handbook. ford. University. March,. Whetten. Nytoron, of. ∫.G. and. P.. Marking a. Organizational. press,. pp.. Ⅲ. A.. Simon. the. W.. and. H.. Design,. most. of. Starbuck I, Ox・. VOI. 385・408. (1958), "Organizations". (土屋守章訳「オー ガニゼーションズ」ダイヤモンド社). New. Wiley. York,John. Nicotera,. A.. M.. Press,. Nicotera,. A.. Grounded havior". Sons. (1995), "Conflict. ed. Communicative York. and. Processes''State. of. New. 17・35. pp. M.. Or.ganizations:. and. University. Management. "Beyond. Model. two. Dimensions:. A. Ⅲanding. Be-. Con且ict. of. communication. Quarterly,. 6, pp.. 282-306 Patchen, on. M.. (1974),. Organizational. al. "The. Locus Decisions". and. Basis. of. Organizational. Performance,. (1983),. "Federation. dc. Van,. (1976),. ll, pp. as. Network''Academy. γol. 8-1, pp.. view, Van.. Human. Linkage. M.,. 195・221. Interorganization-. an. of. Management. Re-. 79・89 A.. L.. "Determinants. Organization". Delbecq. and. R.. Koenig,. of Coordination. Modes. Sociological. Review,. American. Jr.. within 41,. pp.. 322・338. No.79,. 「流通におけるパワーと対立」千 「企業間協調の経営的視点」経営. ln且uence Be-. pp.27-47. (1986), 「異業種交流の進化とマネジメン No.78, ト(2)」前掲, pp.63-81 商工中金事業開発部(1995), 「高度化終了後の団地組 合事業推進事例(上)」商工金融1月号, pp.26-63 野中郁次郎,加護野忠男 他(1980), 「組織現象の理 論と測定」千倉書房, pp. 271-296 林 伸彦(1985), 「中小企業協同組合の理論的一考 察一組合組織への経営学的アプローチ-」経済 科学,. (1993),. Theory. and K.. 研究所論集(東洋大学), pp. 65-87 神田 良,寺本 義也(1987), 「異業種交流の進化と マネジメント(3)」経済研究(明治学院大学),. (1981), "Organization-. Network:. and. havior Provan,. 石井 淳蔵(1983), 倉書房, pp. 38-45 柿崎 洋一(1995),. となった.. Aldrich,. 第4号(1998). No.. 32-4, pp. 1231150. (1987), 「中小企業協同組合の活性化につ いて一非営利組織のマネジメント論からのアプ No. 34-3, pp. 169-203 ローチー」経済科学, 山倉 「組織間関係」有斐閣, 健嗣(1993), 112-121,. 181-196,. 〔たなべ. pp.. 202-207. のぶよし. 横浜国立大学経営学部教授〕.

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参照

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