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〈論文〉動物の子育てから教わることII--繁殖の進化と遺伝的プログラムの役割

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Academic year: 2021

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(1)総合社 会学部紀要. 第2巻. 第1号. 動 物 の 子 育 て か ら教 わ る こ と1工 繁 殖 の進 化 と遺 伝 的 プ ログ ラム の役 割 中谷. Learning The. Evolution. Childcare. from. of Reproduction. and. Katsuya. Succeeding. 勝哉. Animals. the. Role. childcare behavior. of genetic programs. of behavior and culture.. that have developed. among animals.. in reproduction. in the instinctive. First, from the viewpoint. of gene survival, I. a hypothesis. the unique roles of the father, family. evolution.. In these discussions,. culture has its fit form, similar to Gestalt, which has its template. behavior. Second, I presented a theoretical. and childcare and described. Finally, I discussed. in the course of human. Programs.. NAKATANI. considered the place of childcare in the evolution of reproduction. formation. of Genetic. the previous paper (I), I discussed the role of genetic programs. and learning regarding. of the function. - II -.. I pointed. model on the. and society. out that every. in the genetic program.. Evolution. produces a genetic program and the program gives form to every behavior, learning and culture. Therefore, we have a tremendous amount to learn regarding childcare from animals. On the other hand, human culture and society also have prominent. キ ー ワ ー ド:子 育 て. 前 稿(1)で. 遺伝 的プログラム. roles in childcare since the age of hunter-gatherers.. 人類 と他 の 動 物. は 、 本 能 と学 習 の比 率 が 連続 し. 活 動 とよぶ こ とが で きる だ ろ う。 繁 殖 は英 語 で. て変 化 す る グ ラ デ ー シ ョ ンの な か に 、 鳥 、 哺乳. reproduction、. 類 、サ ル を位 置 づ け な が ら、動 物 た ち の子 育 て. 親 が 子 をつ く り、 そ の子 が また孫 をつ く り、 そ. を 眺 め た 。 そ れ に はK戦. の よ うに代 々の 個 体 が 子 をつ くる こ とを繰 り返. 略 、子宮一 胎盤 シス. す な わ ち再 生 産 の 意 味 を もつ 。. テ ム 、母 乳 哺 育 、血 縁 集 団 とい っ た 、生 態 的 ・. して 、世 代 が 引 き継 が れ る。 そ の際 、子 育 て を. 生 理 的要 因が 関 わ っ て い た 。 こ こ か ら、 人類 が. す る場 合 も しな い場 合 もあ るが 、子 育 てが 再 生. 究 極 の 学 習 動 物 で あ り、 また 究 極 のK戦. 産 の 効 率 を高 め る役 割 を担 っ て い る の は 、K戦. 略者. で あ り、 そ して究 極 的 に大 き く複 雑 な社 会 集 団. 略 を思 い 出 して も明確 だ。 子 育 て の進 化 を考 え. を もつ こ とが 示 唆 され た 。 そ して何 よ り も、 人. る ため に は繁 殖 ま で視 野 に入 れ て お く必 要 が あ. 類 で は本 能 行 動 が しっ か り と機 能 しな くな っ て. る。. い る こ とが 指 摘 さ れ た 。 本稿 で は そ れ を 引 き継. 本 稿 で は まず 、遺 伝 子 の生 き残 り とい う進 化. い で 、遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム が子 育 て の 本 能行 動 お. 生 物 学 の 視 点 か ら、繁 殖 の進 化 に お け る子 育 て. よ び学 習 の 中 で果 た す役 割 を検 討 して ゆ く。 我 々 は二 つ の性 が 交 わ っ て子 を つ く り、子 育 て をす る。 そ れ を他 の動 物 た ち と同様 に 、繁 殖. 一47一. 大 阪 大 学 大 学 院 人 間科 学 研 究 科 の 山 田一 憲 先 生 に 原 稿 を読 ん で い た だ き、 貴 重 な御 意 見 を い くつ も頂 戴 した。 こ こ に感 謝 の意 を表 します 。.

(2) 動 物 の 子 育 て か ら教 わ る こ とH一. 繁 殖 の進 化 と遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム の役 割 一. の位 置づ け を考 え て み る 。 次 に 、繁 殖 や子 育 て. しろ 「自分 が 、 自分 こ そが 」 とい うふ うに行 動. に お い て遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム が果 たす 役 割 に 関す. して い る か の よ う に み え る。 自分 が 繁 殖 を し、. る私 な りの モ デ ル を提 示 し、行 動 の成 り立 ち と. 自分 の子 を残 す 、 つ ま り個 体 の子 孫 の生 き残 り. 文 化 の成 り立 ち に つ い て の見 解 を述 べ る 。最 後. こそが 本 能 行 動 に よっ て保 障 され て い る、 と考. に 、 人類 進 化 の 中 で発 生 した 父親 、家 族 、社 会. え るべ きで は な い か。 繁 殖 に よっ て 次 の世 代 の. が繁 殖 と子 育 て に お い て果 たす 役 割 に つ い て考. 個 体 をつ く り、 次 の世 代 が また繁 殖 を して そ の. 察 を行 う。. ま た次 の世 代 をつ くっ て、 とい うこ とが 繰 り返 され る。 そ の帰 結 と して 、環 境 条 件 に破 滅 的 な. 遺伝 子の生 き残 り 血縁 関係の論理. 変 化 が な い 限 り、種 あ る い は集 団が 存 続 す る こ とに な る。 行 動 は 「種 の保 存 」 を 目的 と して進. 子 育 て/子 殺 し 前 稿(1)で. 化 して い る わ け で は な い。 子 育 て も、 自分 の子 、本 能行 動 が生 き残 りを保 障 し. 孫 の生 き残 りの た め だ とい うこ とに な る。. て くれ て い る と述 べ た 。 しか しそ れ は何 の生 き. さて 、子 育 て とは全 く正 反 対 の行 動 が 、 動 物. 残 りな の だ ろ う。子 や孫 とい っ た個 体 の生 き残. の世 界 で は起 こ っ て い る。 子 殺 し とい う衝 撃 的. り と も考 え られ る 。生 物 種 や集 団 と して の生 き. な話 だ。 イ ン ドに多 く棲 むハ ヌ マ ンラ ング ー ル. 残 り と も考 え られ る 。 あ る い は遺 伝 子 の生 き残. とい うサ ル の 子 殺 しを 、1962年 に最 初 に 発 見. り とい う考 え方 もあ る 。動 物 た ち が本 能 で行 う. し た の は 、 杉 山(Sugiyama,1965)が. 子 育 て とい う行 動 は 、結 果 と して い っ た い何 を. 学 院生 の 時 だ っ た。 ハ ヌ マ ンラ ング ー ル は、 オ. 残 す の だ ろ う。 ま た言 葉 を変 え れ ば 、動 物 た ち. ス の成 体 が1頭. は い っ た い何 の た め に子 育 て をす る の だ ろ う。. 複 雌 群 をつ くる場 合 が あ る。 この 場 合 オ ス が1. 「種 の保 存 」 とい う言 葉 が あ るが 、種 や 集 団. 頭 で繁 殖 を独 占 して、 他 に あぶ れ た オ ス た ちが. の生 き残 りを考 え る だ け で は説 明 の つ か な い行. い る とい う構 図 に な る。 そ こ で 、 そ の1頭 の座. 動 が い く らで も見 当 た る 。例 え ば 、 オ ス 同士 は. を め ぐる争 いが 生 じ、 と きに そ の座 が 新 た な オ. し ば し ば メ ス の 取 り合 い を して 争 う。 争 い に. ス に乗 っ取 られ る とい うこ とが 起 こ る。 そ の際. は 、 多 くの 時 間 も費 や さ な くて は な らな い し、. に 、新 た な オ スが 群 れ の子 ザ ル た ち を殺 して ゆ. まだ大. とメ ス の成 体 が 複 数 とい う単 雄. 多 くの エ ネ ル ギ ー も消 費す る 。傷 つ い た り命 を. くの だ 。 まず 一 番 幼 い もの か ら殺 さ れ て 、 生. 落 と して しま う危 険 もあ る 。 そ して ラ イバ ル に. 後6カ. 勝 っ た と して も、 求愛 を した り交 尾 を した り と. は 、乗 っ取 りの後 、 数 か 月 の 問 に わ た っ て続 く. い うの も一 苦 労 だ 。 ま して や子 育 て ま です る こ. こ とが あ る。. 月 あ ま りの もの ま で殺 され て ゆ く。 そ れ. とに な る と、大 変 な エ ネ ル ギ ー を要 す る 。 わ ざ. 子 殺 しは 、新 た な オ ス に とっ て二 つ の メ リ ッ. わ ざ そ ん な面 倒 く さい こ とを しな くて も、 だ れ. トが あ る。 まず 、 自分 の子 で な い もの を、 自分. か他 の オ ス が た く さん子 を残 して くれ れ ば種 や. の群 れ に抱 え 込 む コ ス トが な くな る メ リ ッ ト。. 集 団 は生 き残 っ て くれ る だ ろ うに 。. そ して 、子 を失 っ た メ ス た ち に 自分 の子 を産 ま. 挙 句 の 果 て に は 、 交 尾 栓 と い う もの ま で あ. せ る こ とが で き る メ リ ッ トだ。 ハ ヌ マ ン ラ ン. る 。 オ ス が交 尾 の後 で蓋 を して 、他 の オ ス が 次. グ ー ル は生 後8カ. に交 尾 す る の を妨 げ る よ うな代 物 だ 。 トンボ や. メ ス は排 卵 を再 開 して、 繁 殖 が 再 び可 能 に な る. 月 ぐ らい で離 乳 す る。 そ れ で. チ ョウの 仲 間 、 ムサ サ ビ な ど で 知 られ て い る。. が 、授 乳 を して い る 問 は繁 殖 が で きな い。 つ ま. とこ ろ が 、後 か ら来 て も先 の精 子 を ほ じ く り出. り、新 た な オ ス は乳 飲 み 子 を殺 す こ と に よ り、. して ま た交 尾 す る トンボ もい る ら しい 。 い た ち. メ ス を早 く繁 殖 可 能 に して 自分 の子 をつ くる機. ごっこである。. 会 を設 け られ る わ け だ。 そ して 、ハ ヌ マ ンラ ン. そ もそ も、 メ ス もオ ス も 「種 の保 存 」 な どを 一 々考 え て行 動 して い る とは考 え られ な い 。 む. グ ー ル の妊 娠 期 間 は約7カ. 一48一. 月 な の で 、乗 っ取 り. の後 の数 カ 月 間 に殺 され る の は、 元 の オ ス の子.

(3) 総合社 会学部紀要. 第2巻. 第1号. とい うこ とに な る 。 や が て 自分 の子 の生 まれ て. オ ス た ち に と っ て 、 自分 た ち の 子 で な い も の を. くる 頃 に は 、 も う子 殺 しは起 こ らな い 。. 殺 す こ とで 、 新 た に そ し て 速 や か に 自分 た ち の. こ う した子 殺 しの 例 は 、 本 能行 動 が 「種 の保. 子 を つ く る こ とが で き る わ け だ 。. 存 」 も、 集 団 の 生 き残 り も保 障 して い な い こ と、 そ して 自分 の子 孫 とな る 個体 の生 き残 りこ そ を保 障 して い る こ とを端 的 に示 して い る 。他. 利 己的 遺 伝 子 と利 他 的 行 動 Darwinも. 、 自然 選択 説 の 基 本 に 個 体 の 子 孫. の オ ス の子 孫 が 生 き残 る の で は ダ メで 、 そ の結. の 生 き残 りを据 え て い た。 とこ ろが そ れ で は う. 果 と して種 や集 団 が残 っ て も ダ メな の だ 。. ま く説 明 が つ か ず 、 か とい っ て種 や集 団 の生 き. ま た 、子 孫 の生 き残 りを め ぐっ て は 、種 が 同. 残 り とい うこ とで も具 合 の悪 い場 合 が あ る こ と. じで も雌 雄 の 問 で利 害 が 一致 して い な い とい う. に も気 づ い て い た ら しい。 利 他 的 行 動 で あ る. こ と も示 して い る 。 ハ ヌ マ ンラ ング ー ル の母 親. (吉村,2009)。. 例 え ば仮 に 、溺 れ か け て い る仲. た ち は 乳 飲 み 子 を守 る た め に必 死 の 努 力 を す. 間 を助 け る利 他 的 な個 体 と、助 け な い利 己 的 な. る。 最 初 は 、乗 っ取 りを され る前 に 、元 の オ ス. 個 体 が い た とす る。 利 他 的 な個 体 は 自分 も溺 れ. つ ま り父親 に加 勢 を して 、新 た な オ ス に対 抗 す. る可 能 性 が 高 いの で 、 自分 が 生 き残 る可 能 性 が. る。 乗 っ取 りの 後 も、母 親 は血 縁 関係 の あ る年. 利 己的 な個 体 よ り も低 くな る。 そ うす る と、利. か さ の メ ス と共 同 して抵 抗 す る 。元 の オ ス の子. 他 的 な行 動 を遺 伝 的 に引 き継 い だ 自分 の子 を残. を妊 娠 して い る メ ス が 、新 た な オ ス と何 度 も交. す 確 率 も低 くな る。 こ れが 繰 り返 され れ ば 、結. 尾 を して 、生 ま れ た子 が新 た な オ ス の子 で あ る. 果 的 に利 己的 な個 体 の子 孫 ば か りが 生 き残 っ て. か の よ う に だ ま して 成 功 した とい う例 もあ る。. ゆ き、利 他 的 な行 動 をす る個 体 は消 滅 して し ま. そ うで な け れ ば 、子 を 連 れ て群 れ か ら脱 出 す る. う。 したが っ て 、利 他 的行 動 は個 体 の子 孫 の生. しか な いが 、 こ の場 合 は捕 食者 の 脅威 が増 大 す る。 しか し結 局 、子 殺 しを され た メス は新 た な. き残 りを保 障 して くれ な い とい うこ とに な る。 ハ タ ラ キ ア リや ハ タラ キバ チ とい うの は 、 メ. オ ス の子 をつ くる 。群 の な か で繁 殖 や子 育 て を. スで あ りなが ら自分 の子 をつ く らな い で 、女 王. す る方 が 、 や は り子 孫 の生 き残 りに 有利 だ か ら. とそ の 子 の 世 話 に一 生 を さ さ げ て い る 。 こ れ. だ ろ う。. は 、 よ く知 られ た利 他 的行 動 の例 で あ る。 なぜ. 同 じハ ヌ マ ンラ ング ー ル で も、単 雄複 雌 群 で. そ ん な 行 動 が 進 化 して きた の だ ろ う か 。 こ れ. は な く、複 数 の オ ス が群 れ に い る場 合 に は こ の. を 、遺 伝 子 の 生 き残 りが 保 障 され る とい う観 点. よ うな子 殺 しは報 告 され て い な い 。 そ して 、単. か ら 説 明 し た の が 、HamiltonやDawkinsと. 雄 複 雌 群 をつ くる ラ イ オ ンな ど他 の動 物 で 、 同. い っ た進 化 生 物 学 者 た ち で あ る。 ハ タラ キ ア リ. 様 の子 殺 しが 報 告 され て い る 。 ゴ リラ もそ の 一. や ハ タ ラ キバ チ とい うの は 、実 は女 王 と同 じ両. 例 で 、群 れ の外 の オ ス が群 れ に 近づ い て きて子. 親 か ら生 まれ 、女 王 とは姉 妹 の 関係 に あ る。 人. 殺 しをす る。 子 殺 しを され た メス は群 れ か ら出. 類 を含 む 多 くの 動 物 に お い て 、親 子 の 問 で は遺. て行 き、 犯 人 で あ る そ の オ ス と行 動 を 共 に す る. 伝 子 全 体 の1/2が. 共 有 され 、 また 兄弟 姉 妹 の 問. こ とが あ る。 チ ンパ ンジ ー は単 雄複 雌 群 で は な. で も平 均 で1/2が. 共 有 され る。 こ れ を血 縁 度 と. いが 、 オ ス た ちが 隣 の群 れ を襲 撃 した 後 で子 殺. よぶ が 、 兄弟 姉 妹 は親 子 と同等 な の で あ る。 と. しを した例 が あ る 。攻 撃 を受 け た群 れ の メス た. こ ろが ア リや ハ チ の 場 合 、 そ の遺 伝 の仕 組 みが. ち は襲 撃 者 た ち で あ る 隣 の群 れ に移 籍 す る 。 そ. 「半 倍 数 性 」 と い う特 殊 な もの に な っ て い て 、. の 際 、 子 連 れ の メ ス が 移 籍 して い っ た場 合 に、. 倍 数 体 同士 か らで きた 兄弟 姉 妹 の場 合 と異 な っ. そ の 子 が 移 籍 先 の オ ス た ち に殺 さ れ て し ま う. て くる。. の だ 。 また 、 子 連 れ の メ ス が 自 発 的 に よそ へ. 「半 倍 数 性 」 の仕 組 み とは 、 簡 単 に 表 す とこ. 移 籍 して い っ た場 合 の子 殺 しに つ い て は 、前 稿. の よ うな もの で あ る。 まず 、 オ ス は全 て未 受 精. (1)の. 卵 か ら生 ま れ 、 半 数 体 の 染 色 体 を も っ て い る。. 最 後 で 述 べ た とお りで あ る 。 移 籍 先 の. 一49一.

(4) 動 物 の 子 育 て か ら教 わ る こ とH一. 繁 殖 の進 化 と遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム の役 割 一. ア リやハ チ の メ ス や 、 人類 な どの 、倍 数体 の染. い う の が 議 論 の 的 だ っ た 。 そ の 中 で 「種 の 保. 色 体 は2本 で1セ. 存 」 や 集 団 の 生 き残 りと い う 考 え方 は批 判 さ. ッ トに な っ て い る の に 対 し. て 、半 数 体 の場 合 は1本 で1セ. ッ トで あ る 。 そ. れ 、代 わ りに遺 伝 子 の レベ ル に 自然 選 択 が か か. の た め に 、倍 数 体 の女 王 と半 数体 の オ ス の 問 に. る と い う考 え方 が 中 心 に な っ て い っ た。 あ る. で きた倍 数 体 の姉 妹 同士 で は 、 父 方 の染 色 体 は. 遺 伝 子 が 担 う要 因 に よ っ て 、 あ る行 動 が 生 じ. 必 ず 同 じ もの とな り、 そ れ だ け で遺 伝 子 全 体 の. る。 そ の行 動 が 、 そ の遺 伝 子 の存 続 す る確 率 を. 1/2が 共 有 され る 。 そ れ に加 え て 母 方 の 染 色 体. 高 め る もの で あ れ ば、 一 定 集 団 の 中 で そ の遺 伝. が50%の. 子 が 頻 繁 に現 れ る よ うに な り、 そ の行 動 は集 団. 確 率 で 共 有 され る の で 、 都 合3/4の. 血 縁 度 とい うこ とに な る 。 こ の よ うに して 、姉. の 中 で広 く生 じる よ うに な る。 個 体 の子 孫 を残. 妹 と い う の は 親 子 よ り も血 縁 度 が 高 くな る の だ。 他 方 、 メ ス か らみ た 兄 弟 だ と、 父 方 の染 色. さな い よ うな一 見 利 他 的 な行 動 も、 遺 伝 子 の レ ベ ル で は や は り利 己 的 な生 き残 りを 保 障 して. 体 は 全 く共 有 され な い 。 母 方 の 染 色 体 が50%. い る。 こ の よ う な 考 え 方 を 遺 伝 子 選 択 説 と よ. の確 率 で 共 有 さ れ る だ け なの で 、血 縁 度 は1/4. ぶ が 、Dawkinsが. 「利 己 的 遺 伝 子 」 と い う本. (Dawkins,1976)に. ま とめて 以 降、利 己 的遺. とい うこ とに な っ て し ま う。 遺 伝 子 の生 き残 り とい う観 点 か ら言 え ば 、親 が 子 育 て を す る の は 遺 伝 子 の1/2が. 伝 わ り、. 伝 子 とい う言 葉 で広 く知 られ る よ うに な っ た。 利 己 的遺 伝 子 の話 を突 き詰 め て い け ば 、 こ ん. 残 っ て い くか らだ とい う こ と に な る。 と こ ろ. な解 釈 に も行 き着 く。 遺 伝 子 は、 自分 が 決 め た. が 、 ア リやハ チ の メス に とっ て 、 自分 の子 よ り. とお りの 身体 や 行 動 を備 え た 個 体 を つ く りだ. も姉 妹 の方 が 血 縁 度 が 高 け れ ば 、姉 妹 で あ る女. す 。 そ れ は何 の た め か とい う と、個 体 に繁 殖 を. 王 の世 話 を した方 が遺 伝 子 の生 き残 りに寄 与 す. させ て遺 伝 子 を複 製 させ る た め で あ る。 だ とす. る。 ハ タ ラ キ ア リや ハ タラ キ バ チ の利 他 的行 動. る と、個 体 は遺 伝 子 に とっ て は た だ の コ ピー マ. は 、個 体 の レベ ル で は利 他 的 な の だ が 、遺 伝 子. シ ー ンに過 ぎな い。 そ して個 体 は遺 伝 子 に決 め. の レベ ル で は 自 己 と同 じ遺 伝 子 が よ り高 い確 率. られ た通 りに振 る舞 い 、争 い もす る し、繁 殖 も. で生 き残 る た め の役 割 を 果 た して お り、利 己 的. す る し、子 育 て もす る。 そ して遺 伝 子 の コ ピー. だ とい うこ とに な る 。. が で きる。 個 体 に は寿 命 が あ っ て、 やが て一 世. ハ タラ キア リやハ タラキバ チの利 他 的行動. 代 の命 は終 わ るが 、遺 伝 子 は新 しい世 代 の た び. は、血縁 関係 の濃 い相 手 であ るが ゆ えに生 じ. に コ ピー を繰 り返 す こ とで 、永 遠 の旅 を続 け る. る。 こ の よ うに 、血 縁 関係 の 濃 い相 手 に 有利 な. こ とが で きる。 個 体 は、 遺 伝 子 が 旅 をす る た め. 行 動 が 進 化 す る は た ら き は血 縁 選 択 と よば れ 、. の 、乗 り捨 て、 乗 り換 え られ る舟 の よ うな もの. Hamilton(1964)の. 行 動 進 化 の理 論 の要 諦 とな. で もあ る。 な らば 、個 体 で あ る私 た ち は何 の た. り、 そ れが 今 日的 な進 化 生 物 学 の端 緒 と もな っ. め に生 き て い る の だ ろ う。 子 育 て は 新 しい コ. て い る。 血 縁 選 択 は 、 や は り遺 伝 子 が生 き残 っ. ピー マ シ ー ンを完 成 させ る だ け の た め な の か。. て ゆ くた め だ。 動 物 の子 育 て とい う行 動 も、 考. もっ と も、遺 伝 子 の レベ ル で実 際 に は た らい. え て み れ ば親 に とっ て は大 きな負 担 で あ り、血. て い る の は 遺 伝 と進 化 だ け だ 。 そ こで 生 じ る、. 縁 選 択 に よ っ て敢 え て進 化 して きた利 他 的行 動. 遺 伝 子 の頻 度 の増 減 とい う確 率 的 な過 程 を論 じ. だ とい え る。1/2と い う親 子 の血 縁 度 こそ が 子. る のが 進 化 生 物 学 で あ る。 利 己 的遺 伝 子 とい う. 育 て を促す わ けだ。 カバ キ コマチ グモ の メス. 言 葉 は 、遺 伝 子 選 択 説 の よ くで きた メ タフ ァー. は 、 タ マ ゴが 艀 化 す る まで巣 の 中 で 守 る 。 そ し. だ と と らえ て お い た方 が よい。 遺 伝 子 に意 図が. て子 が1回. あ っ た り、 考 え を もっ た りな どは しな い。 利 己. 目の脱 皮 を終 え る と、 自分 の体 を 食. べ させ て命 を終 え て し ま う ら しい 。 1960年 代 か ら1970年. 的 とい うの は 、遺 伝 子 が 増 え た り生 き残 っ た り. 代 にか け て の 進 化 生 物. とい っ た結 果 の 問題 で あ っ て 、意 思 とか倫 理 の. 学 で は 、 自然 選 択 は 何 に対 して か か る の か と. 関 わ る 問題 で は全 くな い。 そ れ は、 天 体 の運 行. 一50一.

(5) 総合社 会学部紀要. 第2巻. 第1号. につ い て 、 人類 が 意 思 や倫 理 の議 論 を さ しは さ む 余地 の な い の と同 じで 、 自然 の営 み そ の もの な の で あ る。. う術 で あ る 。 ア フ リ カ の カ ラ ハ リ砂 漠 に い る ミ ー ア キ ャ ッ トは 、 群 れ の 中 の 一 組 の 雌 雄 だ け が 繁 殖 を し、 残 りの もの は メ ス も オ ス もヘ ル パ ー と し て 子 育 て に協 力 す る。 ヘ ルパ ー は餌 に な るサ ソ リの取. 血 縁 者 に よ る子 育 て 血 縁 選 択 は ア ロ マ ザ リ ング が生 じる大 きな要 因 と言 え る だ ろ う。 血 縁 度 が1/2と. い うの は、. り方 を教 育 した り、授 乳 ま で 行 う。 と こ ろ が 、 ヘ ル パ ー た ち は 必 ず し も血 縁 関 係 が 濃 い と は 限. 母 親 だ け で は な く父 親 に もあ て は まる 。 「世 界. ら な い ら し い 。 そ し て 、 他 の 群 れ の メ ンバ ー と. で最 も過 酷 な子 育 て を す る 鳥」 で あ る コウ テ イ. 繁 殖 す る こ と も あ る ら し い 。 こ の あ た りが 血 縁. ペ ンギ ンを は じめ とす る 鳥 の 父親 た ち の働 きぶ. 選 択 と ど うつ な が る の か 不 明 な と こ ろ だ が 、 砂. りは 、前 稿(1)で. 見 た とお りだ。 また南 ア メ. 漠 の 厳 しい環 境 で 閉鎖 的 な巣 穴 の 中 で共 同生 活. リカ のサ ル で あ る マ ー モ セ ッ トの仲 間 に は 、 父. を す る と い う生 態 に答 え が あ る の か も しれ な. 親 が 積 極 的 に子 育 て を す る場 合 が 多 い と も述 べ. い 。. た。 ど うや ら双 子 や三 つ子 が生 まれ て 、母 親 だ. 利 他 的 行 動 が 、 血 縁 関 係 に 関 係 な く現 れ る. け で は大 変 だ か らの よ うだ 。親 の体 の大 き さに. こ と もあ る。 た だ しそ の場 合 に は 、必 ず 見返 り. 対 して 、相 対 的 に 非常 に大 きな体 の 子 が2頭. も. が 伴 う。 ニ ホ ンザ ルが 非 血 縁 個 体 と毛 づ くろ い. 3頭 も生 ま れ て くる と、 子 を運 ぶ だ けで も母 親. をす る場 合 は 、 して ほ しい個 体 が 必 ず 「して も. だ け で は足 りな い。 前 稿 で は 、 哺乳 類 の母 系 血. らっ てか ら、す る」 とい う互 酬 性 の も とで行 わ. 縁 集 団 で は オ ス の 関与 が小 さい とい っ た が 、母. れ る。 ギ ヴ ア ン ドテ イ ク の反 対 で 、 テ イ ク ア ン. 親 の役 割 を 父親 が 補 わ な くて は な らな い よ うな. ドギ ヴ だ 。 見 返 り を期 待 して 先 に して や っ て. 事 情 を か か え た 場 合 も、 少 な か ら ず あ る わ け. も、そ の ま ま逃 げ られ て は何 に もな らな い か ら. だ。. で あ る。 チ ス イ コ ウモ リは 、夜 間 に哺 乳 類 な ど. 3/4と い う半 倍 数 性 の 場 合 ほ ど で は な くて. の 血 を 吸 うが 、20%程 度 の 個体 は 全 く血 に あ り. 兄弟 姉 妹 に対 して有 利 な行 動. つ け な い ま ま夜 が 明 け て し ま う。 そ れ らに対 し. も多 い。 兄姉 に よ る弟 妹 の世 話 だ 。 バ ン とい う. て 、十 分 に血 を吸 っ た個 体 が 自分 の分 を分 け与. 水 鳥 の映 像 を 見 た こ とが あ る 。繁 殖 期 の最 初 の. え る。 これ が 群 れ の 中で 毎 度 互 い に や り と り さ. 産 卵 で生 まれ た子 が 、 次 の 産卵 で 生 まれ た2か. れ て 、互 酬 性 の 収 支 を合 わせ る こ とに な る。 返. 月 ほ ど下 の子 に 口移 しで餌 を与 え て い た 。 ニ ホ. 礼 を しな い個 体 は群 れ か ら追 い 出 され て し ま う. ンザ ル や チ ンパ ンジ ー の お ば さん行 動 、 つ ま り. ら しい 。. も、血 縁 度1/2の. 若 い あ る い は幼 い メ ス が 下 の子 に 強 い 関心 を示. 血 縁 関 係 の あ る 場 合 の 利 他 的 行 動 に は、 ま. し、抱 い た り、毛 づ くろ い を した り と関 わ る こ. さ に親 に よ る子 育 てが そ うで あ る よ うに 、 見返. とが 多 い の は、 前 稿 で 述 べ た 通 りだ 。 上 述 の. りは伴 わ な い。 しか し遺 伝 子 の レベ ル で考 え る. マ ー モ セ ッ トの仲 間 で は 、性 成熟 に 達 した メス. と、親 は全 く無 条 件 に子 の 利 益 だ け に従 うわ け. が 排 卵 をせ ず 、 弟 妹 の 世 話 を す る 場 合 が あ る。. で は な く、実 は親 子 の 対 立 とい う問題 も存 在 し. マ ー モ セ ッ トは 父親 も積 極 的 な の だ か ら、 一 家. て い る。. 総 動 員 とい うわ け だ 。 ア ブ ラ ム シ は メ ス が単 為 生 殖 を す る場 合 が あ るが 、 そ れ で生 ま れ て きた子 は 血縁 度 が1に な. 親子の対立. 性的対立. 血 縁 度 が1/2と. い うこ とは、親 の遺 伝 子 の. る。 ク ロ ー ン と同 じだ。 そ れ らが 自分 の子 を つ. 1/2は 子 に 伝 わ る が 、 残 り の1/2は. く らず に 、兵 隊 と して 身 を挺 して捕 食者 と戦 う. こ と も意 味 す る 。 つ ま り 、 遺 伝 子 が 生 き残 っ て. とい う種 類 もあ る。 ま る で孫 悟 空 だ 。 自分 の 毛. ゆ くため の 利 益 は 、親 子 で重 な りはす るが 、等. を 多数 の分 身 に して戦 わせ る 、 身外 身 の 法 とい. しい わ けで は な い。 こ こ で 、親 子 の 問 に利 害 の. 一51一. 伝 わ らない.

(6) 動 物 の 子 育 て か ら教 わ る こ とH一. 対 立 が生 じて くる とい うの で あ る 。親 子 の対 立 の例 と して は 、前 稿(1)で. 鳥 の ヒナ の 鳴 き声. 繁 殖 の進 化 と遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム の役 割 一. ら手 を引 く必 要 が な くな る か らだ と説 明 され る (Clutton-Brock,1984)。. 親の側で、対立の要 因. や ニ ホ ンザ ル の離 乳 な どを あ げ た 。 ヒナ が餌 を. が 弱 ま る わ け だ。 そ して 、 今 育 て てい る子 に十. ね だ っ て 鳴 く と捕 食 者 の危 険 が増 す し、離 乳 が. 分 な こ とをす る の で、 高 齢 で生 ま れ た子 ほ ど健. 遅 れ る と母 親 が 次 の 子 を も う け る の が 遅 くな. 康 状 態 が よい 、 とい うこ と ら しい。 しか しこ の. る。. 場 合 は 、母 親 の発 達 も考 慮 す る必 要 が あ る と思. しか し授 乳 を め ぐっ て の対 立 の モ ー ドは 、子. う。 ベ テ ラ ンの母 親 ほ ど子 育 て に習 熟 し、 健 康. の発 達 と と もに変 化 す る 。 イ ヌ や ネ コ の場 合 で. に育 て る可 能 性 も高 い だ ろ う。 エ キ スパ ー トで. も、 最 初 は母 親 の 側 が す す ん で 子 に接 近 す る。. あ る。 健 康 な 子 を確 実 に育 て る こ とが で き れ. 次 の段 階 で は 、母 親 の側 と子 の側 の どち らか ら. ば 、 あ わ て て次 の子 をつ くる必 要 も減 少 す る こ. も同 じ ぐ らい接 近 を す る 。 こ こ で 、母 親 が子 を. とに な る。. 避 け た り攻 撃 す る行 動 が始 ま る 。 そ して最 後 の. ニ ホ ンザ ル の よ うに母 系 血 縁 集 団 をつ くる場. 段 階 に な る と、接 触 は もっ ぱ ら子 の側 か ら求 め. 合 、 メ ス の母 子 関係 は永 続 化 す る。 メ ス は離 乳. られ るが 、 母 親 は 明 らか な 回避 や 攻 撃 を示 す 。 つ ま り、子 が小 さ くて母 親 に依 存 す る度 合 い が. の後 も母 親 と近 い 関係 を維 持 し、 他 個 体 との争 い の場 面 な どで母 親 か ら援 助 を受 け る こ と も続. 高 い ほ ど子 育 て は手 厚 く、子 が大 き くな っ て依. く。 同 時 に 、 自分 が 母 親 に な る前 か ら弟 妹 の面. 存 の 度 合 い が低 下 す る ほ ど子 育 て は省 略 され 、. 倒 を み て、 子 育 て の予 行 演 習 も始 め て い る。 そ. や が て離 乳 に至 る こ とに な る 。子 の発 達 に と も. して 自分 の繁 殖 が 終 わ っ た後 の老 メ ス に は、 孫. な っ て子 育 て の様 態 も変 化 す る の も、遺 伝 的 プ. の世 話 も待 っ て い る。 子 育 て に は 、生 涯 を通 じ. ロ グ ラ ム に織 り込 み 済 み な の だ ろ う。対 立 は し. て 関 わ る こ と に な る の だ。 同 じ個 体 が 子 と な. て い る が 、 そ れ が変 化 して ゆ く過 程 に調 和 を読. り、 やが て親 とな り、 祖 母 とな る。 生 まれ、 育. み と る こ と もで きる と 思 う。 ま た 前 稿 で 、 ニ. て られ 、次 は育 て 、 そ して一 生 を終 え る ま で の. ホ ンザ ル の 離 乳 に つ い て 中道 さん の 論(中. 発 達 の プ ロ セ ス を考 え な くて は な らな い。 そ の. 道,. 1999)を 紹 介 した よ うに 、心 理 的 な信 頼 が形 成. よ う な発 達 の プ ロ グ ラ ム も、 基 本 はK戦. され て い て 、 対 立 の 後 で 仲 直 りの で き る 関 係. 随 伴 した進 化 の産 物 な の だ ろ う。. 略と. が あ る か らこ そ 、母 親 も手 荒 い こ とが で きる の. さて 、先 のハ ヌ マ ンラ ング ー ル の子 殺 しの話. だ ろ う。 そ して 、離 乳 期 の母 親 か ら子 へ の攻 撃. で は 、繁 殖 す る メ ス とオ ス との 問 に も利 害 の対. は 、結 果 的 に は確 か に離 乳 そ して子 の 自立 を う. 立 が あ る と述 べ た。 こ う した雌 雄 の利 害 対 立 を. な が す こ とに な る 。. 性 的対 立 と よぶ(Trivers,1985)。. そ の よ うに して 離 乳 し 自立 に む か っ た娘 と、. 他 に も、 キ. イ ロ シ ョウ ジ ョウバ エ の 精 子 は メ ス に有 害 で 、. 下 の子 を 産 ん で育 て る母 親 との 間 に も対 立 が生. 他 の オ ス との交 尾 を 阻害 す る だ け で な く、 メ ス. じる 。母 親 が常 に下 の子 の方 に加 勢 す る こ とで ニ ホ ンザ ル の 「末子 優 位 の法 則 」 が成 り立 つ こ. の命 を縮 め る こ とに もつ なが る とい っ た例 もあ. とは 、前 稿 で触 れ た とお りだ 。 そ れ が家 系 間 の. そ も二 つ の性 が なぜ 存 在 す る の か とい う とこ ろ. 順 位 関係 と して 、 ず っ と後 の世 代 に 引 き継 が れ. か ら考 え な くて は な らな い。 そ れ は さて お い て. もす る 。. も、 同 じ種 で あ り な が ら、 形 態 も生 理 も行 動. 親 子 の対 立 に 関 して は 、 こ ん な例 もあ げ られ る 。 サ ル だ け で は な く、 ア カ シ カ の よ うに何 回. る。 この よ うな 問題 を論 じ よ う とす る と、 そ も. も、 あ らゆ る面 で雌 雄 の差 異 が 非 常 に著 しい こ とを 、改 め て思 い知 ら され て し ま う。. も子 を つ くる動 物 で は 、母 親 が 高齢 に な る ほ ど. 卵 子 をつ くっ て産 む とか授 乳 をす る とい う負. 子 育 て が手 厚 くな り、 そ れ が長 引 き もす る とい. 担 は 、 一 方 的 に メ スが 担 わ な くて は な らな い 。. うの だ 。 こ れ は 、 高齢 な ほ ど次 の子 を も うけ る. 逆 に 、 ク ジ ャク の羽 根 の よ うに 、求 愛 の た め に. 機 会 が期 待 で きな くな る の で 、急 い で子 育 て か. オ スが 自 らの生 存 を危 険 に晒 さな くて は な らな. 一52一.

(7) 総合社 会学部紀要. 第2巻. 第1号. い よ うな例 も多 い 。 鳥 の子 育 て の とこ ろ で も述. は い な い の だ。 まず 、遺 伝 子 が 間接 的 な形 で タ. べ た が 、 メ ス とオ ス の つ が い の 間 で も子 育 てへ. ンパ ク 質 をつ くる。 そ して タ ンパ ク質 は酵 素 や. の 寄 与 が 異 な り、 そ れ は種 に よ っ て も事 情 が. 身体 組 織 とな る。 そ こ か ら また多 様 な化 学 物 質. 違 っ て くる 。 い ず れ に して も、 メ ス もオ ス も繁. が 合 成 され る。 結 果 的 に は こ れ らを受 け て様 々. 殖 の た め に大 きな負 担 を背 負 っ て い る の に は違. な器 官 の構造 と機 能 が 決 定 され る。 そ こ ま で に. い な い 。 そ れ が 、 遺 伝 子 の 生 き残 りを か け て 、. は 、分 子 間 の相 互 作 用 の膨 大 で複 雑 な過 程 が 介. ギ リギ リの利 害 のせ め ぎ合 い を招 い て い る の だ. 在 して い る の だ。 遺 伝 子 が は た ら くタ イ ミ ング. ろ う。. が 僅 か に異 な る だ け で も、 そ の過 程 は大 き く変. 性 的対 立 に よっ て 、異 性 か ら危 害 を及 ぼ され る こ とが あ る 。 もっ ぱ らメ ス の側 の被 害 が多 い が 、子 を 失 っ た り、 自 らが犠 牲 に な っ て 、生 き. 更 され て 、全 く違 っ た結 果 が もた ら され る こ と に な る。 ま た 、個 体 の もつ 細 胞 は そ れ ぞ れが 全 く同 じ. 残 る 遺 伝 子 が 減 っ て し ま う こ と に な る。 逆 に、. 遺 伝 子 を もつ が 、心 臓 の細 胞 は心 臓 の 、大 脳 の. メ ス が交 尾 相 手 を選 択 す る場 合 だ と、 あ ぶ れ た. 細 胞 は大 脳 の とい う具 合 に、 そ れ ぞ れ の細 胞 に. オ ス は 繁 殖 の 機 会 を 奪 わ れ て しま う。 これ で. よ っ て 形 態 も機 能 も大 き く異 な る。 遺 伝 子 の. は 、親 子 の対 立 よ り も雌 雄 の対 立 の方 が深 刻 に. セ ッ トが 同 じで も、 そ の 中 で機 能 す る もの と し. み え る 。 しか し考 え て み る と、 オ ス の娘 もや が. な い もの とが 、細 胞 に よっ て異 な る か らだ。 こ. て危 害 が及 ぼ され る 立場 に な り、 メ ス の息 子 も. の よ うに、 どの遺 伝 子 が は た ら くか、 そ れが い. や が て危 害 を与 え る側 に な る 。 そ れ が順 々 に繰. つ は た ら くか、 そ して そ の は た ら きの結 果 で あ. り返 され る こ とで 、遺 伝 子 の生 き残 り とい う点. る分 子 間 の相 互 作 用 が ど う進 展 す る か 、想 像 を. に お い て は 帳尻 が合 わ され て い る の か も しれ な. 絶 す る ほ ど複 雑 な時 系 列 的 過 程 を経 た の ち に、. い 。親 子 の対 立 の場 合 と同様 に 、 時 間軸 を加 え. 初 め て 身体 や 心 が 形 成 され る の で あ る。 こ う し. た視 点 が必 要 だ 。. た意 味 で 、遺 伝 子 は 身体 や 心 の 「設 計 図」 で は な くて 、Ridley(2003)が. 言 う よ う に 「工 程 図 」. だ と考 え る方 が ふ さわ しい。. 遺 伝 子 と適 応 こ こ で 、遺 伝 子 の概 念 に つ い て触 れ て お か な. さ て 、DNAの. 二 重 らせ ん構 造が 解 明 さ れ. くて は な らな い 。現 在 で は 、 タ ンパ ク 質 の分 子. る ま で は、Mendelの. 情 報 に対 応 す る ゲ ノ ム上 の特 定 の 区 間 を 、遺 伝. が 遺 伝 子 だ っ た 。Mendelは. 子 と い う。DNAのATGCと. 質 の 組 み 合 わ せ か ら、 子 た ち の 形 質 が そ れ ぞ. い う4つ の 塩 基. の 組 み 合 わ せ に よ る情 報 が 、mRNAの. 法則 で考 え られ た もの 、 両親 の もつ形. 構造を. れ 異 な っ た も の に 分 か れ る 比 率 を説 明 す る た. 決 定 し、 そ れ が ア ミノ 酸 に 転 写 さ れ て タ ンパ. め に 、 「遺 伝 因 子 」 が 形 質 を伝 え る と想 定 した. ク 質 をつ く る とい うの が 、 こ こで い う遺 伝 子. (MaynardSmith,1986)。. の役 割 だ 。 こ れ は 、WatsonandCrickに. が どん な物 質 で あ る か は 棚 上 げ に され た ま ま、. DNAの. よる. 二 重 らせ ん構造 の 解 明 以 来 は っ き り し. て き た こ とで 、 今 日で はATGCの. 塩基 配列 も. 簡 単 に特 定 で きる よ うに な っ て い る 。 しか し遺 伝 子 とは 、 あ くま で もそ れ だ け の物 質 で あ る 。 よ く、遺 伝 子 は 身体 や心 の 「設 計 図」 に な っ て い る 、 とい うふ うに言 わ れ る が 、 こ れ に は注 意 しな くて は な らな い 。翼 や指 の形 を つ くる遺. しか し、 そ の正 体. や が て こ れ は 遺 伝 子 と よ ば れ る よ う に な る。 Mendelの. 法 則 で は 、 遺 伝 子 型 が 表 現 型 を直 接. に決 定 す る の で、 遺 伝 子 は ま さに 「設 計 図」 で あ る。 この 時点 で は構 成 概 念 に過 ぎな か っ た遺 伝 子 だが 、や が てWatsonandCrickに. よっ て. 実 体 概 念 に格 上 げ され る こ とに な る。 しか し利 己 的遺 伝 子 な ど、 遺 伝 子 選 択 説 を 唱. 伝 子 とか 、子 に餌 を与 え る遺 伝 子 とか 、攻 撃 的. え る 進 化 生 物 学 で 用 い られ る遺 伝 子 の 概 念 は 、. な性 格 を つ くる遺 伝 子 とい う もの が あ る わ け で. Mendel的. は な い 。一 つ の遺 伝 子 が一 つ の形 質 を決 定 して. 動 を決 定 す る 因子 と して遺 伝 子 とい う概 念 を用. 一53一. な意 味合 い の ま ま な の だ 。 形 態 や 行.

(8) 動 物 の 子 育 て か ら教 わ る こ とH一. い 、 そ れ の 集 団 内 で の増 減 か ら生 き残 りや進 化. 繁 殖 の進 化 と遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム の役 割 一. 活 を 送 れ る こ とが 適 応 で あ る 。 そ れ に は 、 社 会. を論 じて い る か らで あ る 。 あ くま で も理 論 上 の. 的適応 、環境 的適応 、人格 的 適応、行 動 的適. 構 成 概 念 だ と考 え た方 が よい 。利 己 的遺 伝 子 の. 応 、 身 体 的 適 応 な ど い くつ か の 異 な っ た 次 元 が. Dawkinsが. 含 ま れ る こ と に な る だ ろ う。 が 、 こ れ だ け で も. 書 い た もの を み る と、 今 日的 な意. 味 の 遺 伝 子 、 つ ま りATGCの. 組 み合 わせ につ. 相 当込 み入 っ た話 に な る。 ま た 、生 活 に 問題 が. い て は 「しば しば遺 伝 子 と よば れ る 、 同定 可 能. 生 じ る 、 つ ま り不 適 応 と い う 問 題 か ら 考 え る. なユ ニ ッ ト(anidentifiableunitoftencalled. と、 また 様 々 な 議 論 が 展 開 して くる。 そ して 、. agene)」(Dawkins,2004;P.20)と. 適 応 に 近 い 概 念 と し て 、 調 節(adjustment、. い うふ う. に娩 曲 な表 現 を して い る の を み か け る 。 こ の あ. accommodation)、. た りが紛 らわ しい の で注 意 を要 す る 。. あ る い は 慣 れ(habituation)な. い ず れ に して も、遺 伝 子 は遺 伝 や進 化 の メ カ ニ ズ ム に か か わ る概 念 で あ る 。 間接 的 に は行 動 を 決定 す る とい え る が 、遺 伝 子 が行 動 生 起 の メ. 順 応(adaptation)、. 馴 化. ど も論 じ ら れ. る こ とに な る。 な か な か一 筋 縄 で は い か な い の が 心 理 学 で あ る。 Darwinの. 時 代 で は 、 個 体 自 身 が 生 き残 っ. カニズ ムにな っているので はない。遺伝子 が、. て ゆ く 能 力 を 適 応 度(fitness)と. 生 き残 る よ うに行 動 した り、利 己 的 に行 動 した. フ ィ ッ トネ ス と い う言 葉 は 今 で も 用 い ら れ る 。. り とい っ た 、行 動 の プ ロ グ ラ ム を もっ て い る の. 繁 殖 上 の 能 力 だ け で は な く、 個 体 が 環 境 の 中. で は な い 。子 に餌 を与 え る行 動 とか 、攻 撃 的 な. で 生 活 し て ゆ く う え で の 能 力 も含 む の で 、 ど ち. して い た 。. 性 格 とい うの は 、 あ くま で も神 経 系 を 中心 と し. らか とい う と心 理 学 的 な適 応 に 近 い と い え る. た個 体 の メ カ ニ ズ ム に よる もの で あ る 。 そ こ で. だ ろ う。 しか し、 や が て 染 色 体 の研 究 が 進 み 、. 普 段 私 は 、本 能行 動 が遺 伝 子 に よっ て ひ きお こ. Mendelの. され る とは 言 わず に 、 「遺 伝 的 プ ロ グ ラム 」 に. 遺 伝 と進 化 の メ カ ニ ズ ム が 解 明 さ れ て き た 。 そ. 法 則 が 再 発 見 さ れ る とい う な か で 、. よっ て ひ きお こ され る と表 現 す る よ うに して い. れ に よ っ て 、 進 化 生 物 学 の 着 目点 が 個 体 の 生 き. る わ け だ 。 そ れ は神 経 系 の レベ ル の 、 しか し実. 残 り か ら遺 伝 子 の 生 き残 りへ と移 っ て い っ た 結. 際 に は 目に見 え な い プ ロ グ ラ ム で あ り、 あ くま. 果 、現 在 の よ うな適 応 概 念 に な っ て きた の で あ. で構 成 概 念 と して考 え て い る 。. る。. さて 、 こ こ まで 言 っ て きた 生 き残 りの こ と を 、 現 在 の 進 化 生 物 学 で は適 応 と よ ん で い る。 そ して 、個 体 の子 孫 が生 き残 る度 合 い を個 体 適. 遺 伝 的 プ ロ グ ラ ムの 役 割 適 応 的 な行 動 ・適 応 的 な学 習. 応 度 とい い 、 あ る個 体 が そ の生 涯 で生 ん だ子 の う ち、 繁 殖 年 齢 ま で 成 長 で き た 子 の 数 で 考 え る 。 また 、Mendel的. な 遺 伝 子 が 生 き残 る度 合. 生 得 的 解 発 機 構 と鍵 刺 激 遺 伝 的 プ ロ グ ラ ムが 適 応 的 に で きて い る とい. い を遺 伝 的適 応 度 とい い 、 あ る形 質 を もた らす. う話 で あ る 。 トゲ ウ オ の 仲 間 の イ ト ヨ と い う魚. 遺 伝 子 が 集 団 中 に広 ま る 速 度 で 考 え る。 そ し. の繁 殖 期 の行 動 につ い て は 、高 校 の理 科 の教 科. て 、個 体 の子 孫 だ け で な く親 族 、 さ らに は 同 じ. 書 に も出 て い る の で 、 御 存 じの 方 も多 い だ ろ. 遺 伝 子 を持 つ可 能性 の あ る個 体 に ま で広 げ て考. う。Tinbergenら. に よ る、 エ ソ ロ ジ ー の 古 典. え た遺 伝 的適 応 度 を包 括 適 応 度 とい う。 高 い血. 的研 究 で こ の観 察 、 実 験 が 行 わ れ た。 繁 殖 期 の. 縁 度 に よる利 他 的行 動 は 、包 括 適 応 度 か ら説 明. オ ス は腹 が 赤 くな る。 そ して 、逆 立 ち の姿 勢 で. され る こ とに な る 。. 川 底 を掘 っ て巣 をつ くる。 そ れ を 中心 に設 け た. 少 し煩 雑 な 話 に な っ て し ま っ た が 、 今 こ こ. ナ ワ バ リ に 他 の オ ス が 入 っ て く る と攻 撃 を し て. で 留 意 して お きた い の は、 適応(adaptation). こ れ を 守 り 、 メ ス が 入 っ て く る と求 愛 、 授 精 を. とい う概 念 が生 物 学 と心 理 学 とでず れ て い る 点. 行 い 、 あ と は タ マ ゴ の 世 話 つ ま り子 育 て ま で す. で あ る 。心 理 学 で は端 的 に言 う と、 問題 な く生. る(Tinbergen,1951)。. 一54一. 全 て、 繁 殖 に 関 わ る本.

(9) 総合社 会学部紀要. 第2巻. 第1号. 能行 動 で あ る 。. 普 段 は錠 が か か っ て い て は た らか な い。 鍵 が. ラ イバ ル の オ ス が ナ ワバ リを侵 す と、 オ ス は. う ま くは ま っ た と きだ け は た ら く。 解 発 とい う. 逆 立 ち を して 自分 の赤 い腹 を見 せ び らかす 。威. 言 葉 の意 味 は、 施 錠 を解 い て行 動 プ ロ グ ラ ム を. 嚇 の デ ィ ス プ レ イ だ 。相 手 も同 じ こ とを して 、. は た らかせ る こ とで あ る。 そ して こ れが 大 事 な. 互 い に攻 撃 の衝動 を 高 め合 う。 そ して 、 とげ で. こ とな の だ。 なぜ な ら、攻 撃 の プ ロ グ ラ ム は そ. 相 手 を刺 した り、 噛 み つ い た り と激 しい攻 撃 が. の鍵 を もっ た オ ス が 現 れ た と きだ け は た ら き、. 交 わ され る 。 しか し、 そ れ で命 を落 とす よ うな. 求 愛 の プ ロ グ ラ ム は メ ス に対 して だ け は た ら く. こ とは な く、巣 か ら遠 く離 れ た オ ス の方 が先 に. こ とに よっ て 、 メ ス に攻 撃 を した りオ ス に求 愛. 退 散 す る こ とで攻 撃 は終 了す る 。. を した り とい う誤 りが 防 が れ て い る か らで あ. メ ス が や っ て くる と、 オ ス は メ ス に 向 か っ て. る。 「適 切 な 場 面 で 、 適 切 な 行 動 をす る」、 つ ま. 進 ん だ り後退 した り とい うジ グ ザ グ ・ダ ンス を. り心 理 学 的 な意 味 で適 応 的 な行 動 が で きる よ う. 始 め る 。 こ れ が 求愛 の デ ィス プ レイ とな り、 そ. にな っている。それが生 物学 的な意味 の適応、. れ に か らだ を震 わせ て応 じた メ ス は 、 オ ス の誘. す な わ ち生 き残 りに帰 結 す る わ け だ。 教 室 の 中. 導 に した が っ て巣 に入 る 。 オ ス が メ ス の尾 び れ. に歌 が とて も上 手 な人 が 一 人 い た と し よ う。 そ. の つ け根 を つ つ く と、 メ ス は巣 の 中 に タマ ゴ を. の人 が 突 然 立 ち上 が っ て朗 々 と歌 い だ した とす. 産 み 落 とす 。 産卵 が終 わ る と、 オ ス は メ ス を巣. る と、 い く ら上 手 で もこ れ は お か しい。 適 切 で. か ら追 い 出 して 、 メ ス は も う帰 っ て こ な い 。 そ. な い。 逆 に歌 が へ た くそ で も、 カ ラ オ ケ に行 っ. して 今 度 は オ ス が 巣 に 入 り、 タマ ゴ に授 精 す. て熱 唱 に拍 手 喝 采 を浴 び れ ば、 こ れ は い く らへ. る。. た くそ で も適 切 な行 動 で あ る。 そ れ と同等 と も. い ず れ も一連 の行 動 の連 鎖 に な っ て い て 、 メ. い え る行 動 の コ ン トロ ー ルが 、生 得 的解 発 機 構. ス に 対 す る 求 愛 な どは な か な か複 雑 な もの だ 。. と鍵 刺 激 の組 み合 わせ に よっ て達 成 され て い る. こ れ が遺 伝 的 に プ ロ グ ラ ム さ れ て い る 。台 本 に. の だ。. 書 い た もの を二 人 の 人 に1分 間 読 ん で も らい 、. この よ うに 、 イ トヨの本 能 行 動 も よ くで きて. 同 じこ とを再 現 して も らっ た と して 、 間違 え る. い る。 単 純 な もの もあ るが 、 な か な か複 雑 な こ. 人 が 誰 もい な い と い う保 障 は で き ない だ ろ う。. と もや っ て の け る。100%と. はい えないが確実. そ れ を 、 イ トヨは誰 か ら も教 わ らず 、 間違 い も. に や っ て の け る の で 、 ち ゃ ん と子 孫 が 生 き残 っ. せ ず に や っ て の け る 。 こ の よ うに確 実 に繁 殖 に. て い る。 適 切 な場 面 で 、適 切 に解 発 され る。 そ. 関 わ る行 動 を完 遂 で きる か ら、子 孫 が生 き残 っ. して 、殺 し合 い を予 防す る こ と もで きる。 や は. て きた の だ 。 た だ し、 こ の や り方 だ け で 、他 の. り、動 物 の本 能 な ん て、 単 純 で原 始 的 な、 下 等. や り方 で は で きな い の で 、 固定 的行 動 型 と よば. で劣 っ た 、野 蛮 で不 合 理 な もの だ ろ うな ど とあ. れ る もの で もあ る 。. な どれ な い。 そ して大 事 な もの な の だ。. さて 、 こ の よ うな行 動 メ カ ニ ズ ム を生 得 的解 発 機 構 と よぶ 。 こ れ は 、箱 の 中 に鎖 す な わ ち一 連 の行 動 の連 鎖 が入 っ て い る とい う比 喩 で も説. 人類の本能行動 「監 督 の 本 能 的 な 采 配 で 逆 転 に成 功 」 とい っ. 明 で き る。 イ トヨ の オ ス は、 攻 撃 、 求 愛 な ど. た 表 現 が 、 ス ポ ー ツ 新 聞 な ど に は み られ る。. 様 々 な行 動 を す る が 、 そ れ ぞ れ の鎖 が そ れ ぞ れ. ジ ャイ ア ンツ の長 嶋 監 督 が そ うだ っ たが 、 こ れ. の箱 に入 っ て い る 。 しか し普 段 こ の箱 は蓋 が 閉. は 間違 い だ。 本 能 は生 得 的 な行 動 を指 す 言 葉 だ. じ られ て 、錠 が か け られ て い る 。 そ こ に例 え ば. が 、采 配 は監 督 の経 験 や 学 習 の た ま もの だ か ら. ラ イバ ル の オ ス が現 れ る と、 そ の赤 い腹 が鍵 刺. で あ る。 しか し、 わ け の わ か らな い こ とや うま. 激 と な る。 この 鍵 が 錠 を はず す こ と に よっ て 、. く説 明 で きな い こ とが 起 こ る と、 そ れ は本 能 だ. 攻 撃行 動 の箱 の蓋 が 開 き、 中 か ら鎖 が ぞ ろ ぞ ろ. とい うふ うに言 っ て しま う。 本 能 は そ ん な扱 い. と出 て くる 、 とい うわ け で あ る 。. 方 を され る こ とが 多 い。 しか しそ れ だ と、 超 能. 一55一.

(10) 動 物 の 子 育 て か ら教 わ る こ とH一. 繁 殖 の進 化 と遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム の役 割 一. 力 とい う言 葉 と さほ ど違 わ な い こ とに な る 。分. で 、 我 々 が 生 き て ゆ く力 は 、 一 事 が 万 事 こ の. か らな い 、 と同義 で 、何 も説 明 して い な い 。. よ うに学 習 に よっ て 身 につ け る もの な の だ。 そ. 人類 も動 物 の一 員 だ か ら、 よ くで きた本 能 と. して何 を学 習 す る か とい う と、 食 文 化 で あ っ た. い うの が大 事 な役 割 を担 っ て い る はず だ 。 どこ. り、流 通 文 化 で あ っ た り とい う、 文 化 を学 習 す. か で 生 き残 りを 保 障 し て くれ て い る はず で あ. る こ とに な る。. る 。 しか し、我 々 に とっ て本 能 とい うの は 、 な. 前 稿(1)で. 動 物 た ち の子 育 て を み て きた 中. に か わ け の 分 か ら な い 力 で 、 理 性 と対 立 す る. で も、鳥 は お お よそ本 能 行 動 だ け で うま くや っ. や っ か い な もの とい うイ メ ー ジ もあ る 。 そ もそ. て い る の に対 して 、 チ ンパ ンジ ー で は そ うい う. も、本 能 は 意識 に の ぼ らな い の で何 が本 能 な の. わ け に は い か な い様 子 が み て とれ た。 チ ンパ ン. か 自覚 で きな い 。 どこ か で学 習 した とい う経 験. ジ ー も学 習 動 物 な の だ。 しか し進 化 の歴 史 の 中. を伴 わ な い か ら、 当然 そ う した経 験 を覚 え て い. で 、 「本 能 動 物 」 と 「学 習 動 物 」 とが 断 絶 して. な い 。思 考 の対 象 に な らな い か ら、不 合 理 な も. い る とは思 え な い。 本 能 の比 率 と学 習 の比 率 と. の に思 わ れ る 。言 語 化 で きな い の で 、他 者 と伝. は 、連 続 して変 化 す る グ ラ デ ー シ ョ ンを描 い て. え あ うこ と も難 しい 。 そ こ で 、動 物 並 み の原 始. い る と私 は 考 え る。 また 、 「学 習 動 物 」 は 学 習. 的 で下 等 で不 合 理 な もの だ ろ う と思 い こ む こ と. の比 率 が 増 した だ け で 、本 能 は あ い変 らず 大 き. に な っ て しま う。. な役 割 を担 っ て い る と も考 え る。. そ れ とい うの も、 人類 が 「学 習 動 物 」 だ か ら だ ろ う。例 え ば 、 もの を 食べ る とい う最 も基 本. この考 え方 は 図1の. よ うに表 され る。 どん な. 動 物 で も本 能 の遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム を もっ て い る. 的 な こ と で さ え 、 我 々 は学 習 し な い と で き な. し、 どん な動 物 で も学 習 をす る。 そ れ ぞ れ を 円. い 。 ま ず店 で食 材 を 買 うに して も、食 材 の知 識. で表 す 。 本 能 行 動 の レパ ー トリー は動 物 に よっ. や 買 い 物 の 仕 方 を学 習 して い な くて は な ら な. て多 寡 が あ る の で、 遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム の 円 は大. い 。 次 に 台所 で調 理 をす る に も、調 理 の仕 方 を. きか っ た り小 さか っ た りす る だ ろ う。 魚 類 よ り. 学 習 して お く必 要 が あ る 。最 後 に食 卓 で食 べ る. も哺 乳 類 の方 が 大 きい か も しれ な いが 、今 は そ. に も、食 器 の使 い方 を学 ん で い な くて は な らな. れ を 問 わ な い。 学 習 の 円 の方 を考 え よ う。 単 細. い 。 本 能 の 遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム だ け で は不 十 分. 胞 の ア メ ーバ で も、 何 度 も同 じ刺 激 を与 え る と. }1勤 遺伝 的 プ ログ ラム \. 一56一. 物 動 習 学 b 習学. と ム ラ グ 七 フ 的 伝 遺. 1 図. a本 能 動 物.

(11) 総合社 会学部紀要. 第2巻. 第1号. 反 応 が 弱 く な る 。 こ れ は 馴 化 と い う現 象 で 、 学. 得 的解 発 機 構 が 解 発 され る。 彼 らが そ の と きム. 習 の前 段 階 で あ る 。学 習 の 円 は小 さ くそ して 点. ラ ム ラ と感 じて い る か ど うか は 、 聞 い て み な い. 線 で描 か れ る こ とに な る 。昆 虫 や魚 や 鳥 に な る. と分 か らな い。 しか し、 チ ンパ ンジ ー だ っ た ら. と、 もち ろ ん 条件 づ け が成 立 す る 。 そ れ ぞ れ の. 我 々 の ム ラ ム ラ と似 て い る か も しれ な い。 ち ょ. 大 き さ の 学 習 の 円 が 加 わ る が 、 ま だ 小 さ くて 、. う ど お 尻 の あ た りな の で、 オ ス が そ れ に 近 づ. い わ ば本 能 む き出 しの部 分 もあ る 。 つ ま り、学. き、 そ の ま まお尻 か らメ ス に乗 りか か れ ば マ ウ. 習 の部 分 が あ る に して も、本 能行 動 だ け で もで. ンテ ィ ング とい う交 尾 の姿 勢 に な る(実 際 に は. き て し ま う 。aの. も っ と込 み 入 っ た 「儀 式 」 を経 る必 要 が あ る. よ うな 形 で あ る 。. 人類 に も、 イ トヨ と同様 に攻 撃 や求 愛 や子 育 て な ど、遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム は備 わ っ て い る だ ろ. が)。 と ころが 、 直 立 二 足 歩 行 をす る 人類 は、 マ ウ. う。 しか しそ れ らは学 習 に よっ て形 成 さ れ た行. ンテ ィ ング もす るが フ ェ イ ス ・トゥ ・フ ェ イ ス. 動 に よ っ て 、 ほ ぼ す っ ぽ り と包 み こ ま れ て い. の姿 勢 が 多 い。 そ の場 合 、 お尻 の あ た りに鍵 刺. る 。bの. 形 で あ る。 表 面 に現 れ るの は もっ ぱ ら. 激 が あ っ て も 目立 た な い。 互 い に 向 か い合 っ た. 学 習 され た もの で 、 本 能行 動 が そ の ま ま表 面 に. 状 態 で 目 に 入 る とす れ ば、 鍵 刺 激 は 身 体 の 前. 現 れ る こ とは極 め て少 な い 。胎 児 や新 生 児 の行. 面 に な い とい け な い。 そ こ でエ ソ ロ ジ ー研 究 者. 動 に は 、 ほ ぼ生 得 的 とい っ て よい もの が あ る だ. た ちが 捜 した とこ ろ 、見 つ か っ た のが 先 ず 乳 房. ろ う か ら 、 そ れ ら は 直 接 表 面 に 現 れ る 。2つ. の. で あ る。 こ れ は生 殖 器 の近 傍 に あ る二 つ の膨 ら. 円 が接 した とこ ろ だ 。 しか しそ れ 以外 は思 い 当. み 、つ ま りお尻 の形 状 が 身体 の前 面 に再 現 され. た らな い 。. た とい うわ け だ。 乳 首 は もち ろ ん どん なサ ル に. 人 類 の 求 愛 に も子 育 て に も 、 そ れ ぞ れ 文 化 が. もあ るが 、乳 房 が 人 類 の よ うに年 が ら年 中膨 ら. あ り 、 そ れ が 学 習 さ れ る 。 た だ し文 化 は 多 様 で. ん で い るサ ル は他 に い な い。 そ して、 世 界 中 ど. あ り、 ま た可 塑 的 で あ る 。 どん な もの が学 習 さ. こへ 行 っ て も実 際 、性 行 動 に お い て大 事 な役 割. れ る か に は 、 ず い ぶ ん 幅 が あ る 。 そ して 、学 習. を 果 た して い る。 乳 首 は 赤 ち ゃ ん の もの だ が 、. が よ り多 様 で 可 塑 的 な 部 分 ほ ど分 厚 く遺 伝 的 プ. 乳 房 は お父 さん の た め に あ る わ け だ。. ロ グ ラ ム を 覆 い 、 そ うで な い 部 分 ほ ど薄 くな. そ して、 ブ ラ ジ ャー で寄 せ た り、 パ ッ ドで大. る 。例 え ば 、異 文化 集 団 間 で差 異 の大 きい行 動. き く見 せ た り も され る。 大 きけ れ ば大 きい ほ ど. ほ ど 学 習 に 分 厚 く覆 わ れ 、 異 文 化 集 団 問 で 共. 効 果 が 大 きい とい うの は 、鳥 の抱 卵 行 動 で述 べ. 通 す る 行 動 ほ ど 薄 い こ と に な る だ ろ う 。Eibl-. た超 正 常 刺 激 だ 。 あ の タマ ゴ の模 型 と 同様 に、. EibesfeldtやMorrisら. 、 エ ソ ロ ジ ー の研 究 者. 世 の 中 に存 在 しな い ほ ど大 きな ものが とて も魅. た ち は 、 異 文 化 集 団 問 で 共 通 す る 行 動 に 着 目す. 力 的 に見 え る こ とに な る。 つ ま りこ こ に 、遺 伝. る こ とで 、 人 類 の 遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム を と ら え. 的 プ ロ グ ラ ムが 服 飾 とい う文 化 を通 して浮 か び. る こ とが で き る と考 え た 。 性 行 動 と子 育 て 行. 上 が っ て くる わ け だ。 あ る い は本 能 が 文 化 に置. 動 に 関 して 、 そ の よ う な知 見 を 紹 介 して み よ. き換 え られ た と もい え る。 次 に見 つ か っ た のが 唇 で あ る。 こ れ は女 性 の. う(Eibl-Eibesfeldt,1970;1984:Morris,1967;. 生 殖 器 の色 形 が 、 や は り身体 の前 面 に再 現 され. 1994)。. た こ とに な る。 口 の周 りに、 こ れ だ け粘 膜 の部 性 行 動 の鍵 刺 激. ニ ホ ンザ ル や チ ンパ ンジ ー の. 分 が 広 が っ た サ ル も他 に い な い 。 そ して こ れ. メ ス は 、発 情 期 す な わ ち排 卵 の こ ろ に生 殖 器 の. も、性 行 動 に お い て世 界 中 で大 事 な役 割 を果 た. ま わ りの 性 皮 が 充 血 して 赤 く な る 。 チ ンパ ン. して い る。 こ の唇 の超 正 常 刺 激 をつ くる の は 口. ジ ー な どは赤 い果 実 の よ うに あ か らさ ま に膨 れ. 紅 で あ る。 粘 膜 の色 を 、世 の 中 に存 在 しな い ほ. 上 が っ て 、見 て い る 方 が恥 ず か し くな る ぐ らい. ど鮮 や か に して み せ る。 口 紅 は ま さ に紅 で あ. だ 。 こ れ が鍵 刺 激 とな っ て 、 オ ス の性 行 動 の生. り、 フ ラ ンス語 で もル ー ジ ュ は ま さに赤 だ。 こ. 一57一.

(12) 動 物 の 子 育 て か ら教 わ る こ とH一. の化 粧 とい う文化 を 、 ほ とん どの場 合 に女 性 が. 繁 殖 の進 化 と遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム の役 割 一. え た 、 か な り普 遍 的 な プ ロ グ ラ ム な の だ ろ う。. 用 い る。 ア フ リ カ系 の 人 だ と黒 い で は な い か 、. 他 に もい くつ か子 育 て の鍵 刺 激 を あ げ る こ と. とい う反論 が で きる が 、 そ の反 論 に も反 論 が あ. が で きる。 まず 、 幼 児 体 型 。 新 生 児 は 四頭 身 で. る 。色 の効 果 の小 さい分 は 、面 積 で効 果 を あ げ. あ る が 、 頭 が 大 きい だ け で は な く、 手 足 が 短. て い る とい うわ け だ 。鍵 刺 激 は加 算 的 に効 果 を. い。 三 歳 ぐ らい ま で の子 に 、頭 の上 で両 の手 の. 高める。. ひ らを合 わせ て ご らん と言 っ て も届 か な い。 お つ む テ ンテ ンに な っ て しま う。 そ れ か ら運 動 協. 子 育 て の鍵 刺激. は、 どち ら. 応 の不 足 、つ ま り不 器 用 さ。 ス タス タ歩 く よ り. が可 愛 くみ え る だ ろ う。教 室 で尋 ね て も圧 倒 的. 図2のaとbで. も、 ヨ チ ヨ チ 歩 く子 が か わ い い 。 箸 で シ ャ カ. にaの 方 で 、bに 手 をあ げ る学 生 は まず い ない 。. シ ャカ食 べ る よ り、 ス プ ー ンで ボ ロ ボ ロ こ ぼ し. ど ち ら も 同 じ線 と 円 で 人 の 顔 の 形 が 表 さ れ 、. なが ら食 べ る子 が か わ い い。 ペ ラペ ラ しゃべ る. パ ー ッ の 配 置 と輪 郭 が異 な る だ け で あ る 。 さ ら. よ り も、舌 た らず な子 が か わ い い。 実 際 の とこ. に い え ば、 ど ち ら も紙 に線 が 描 か れ て い る だ. ろ 、生 まれ た ば か りの赤 ち ゃ ん は あ ま りか わ い. け で 、 人 の顔 な ん か で は 決 して な い 。 に もか か. くな い とい う人 が 多 い。 しか し、 い か に も頼 り. わ らず 、aは か わい く見 え る。 これ をベ ビ ー ・. な げ な姿 を見 れ ば 、構 わず に い られ な くな る と. シ ェ マ と よぶ 。 か わ い い とい う気 持 ち は 、思 わ. い う もの だ ろ う。 そ ん な赤 ち ゃ んが 大 きな泣 き. ず 近づ い て構 い た い と きの気 持 ち だ 。 つ ま りそ. 声 を あ げ る こ とで、 や は り構 わず に は い られ な. の と き、子 育 て の生 得 的解 発 機 構 が解 発 さ れ て. くな る し、 元 気 な の だ と安 心 もす る だ ろ う。. お り、 ベ ビー ・シ ェ マ は子 育 て の鍵 刺 激 とい う. 視 覚 的 、聴 覚 的 な鍵 刺 激 だ け で は な く、肌 ざ. こ とに な る 。 こ れ は 「輪 郭 が 丸 い」+「 パ ー ッ. わ りな どが 触 覚 に、 赤 ち ゃ ん の にお い が 嗅 覚. が下 半分 に 集 まっ て い る」 とい う情 報 の組 み合. に 、 と い うふ う に は た ら く鍵 刺 激 も考 え ら れ. わせ で あ る が 、赤 ち ゃ ん は た い て い頬 が ふ っ く. る。 人 類 の赤 ち ゃ ん は こ と さ ら未 熟 で無 力 な状. ら して額 が広 い の で 、 こ の特 徴 を備 え て い る わ. 態 で 生 ま れ て く る が 、 こ れ で もか 、 こ れ で も. け だ 。 こ れ は どん な異 文 化 集 団 に お い て も同 じ. か 、 と鍵 刺 激 を大 人 に投 げ か け て、 確 実 に子 育. だ 。 そ して 人類 だ け で は な く、 鳥 で も、 イ ヌ で. て を させ る こ とに成 功 して い る わ け だ。 親 鳥 に. も、 サ ル で も、幼 い子 に は 当 て は ま る 。種 を超. 餌 を与 え させ る ヒナが 、 口 を大 き くあ け て鳴 き. D 図2ベ. ビー. ・シ ェ マ.

(13) 総合社 会学部紀要. 第2巻. 第1号. 叫 び 、視 覚 的 、聴 覚 的 、様 々 な鍵 刺 激 を使 うの. つ くっ て い る。bの よ うな 顔 も、 あ ご を引 い て. も思 い 出 さ れ る 。. 上 目づ か い で見 上 げ て い る の を 、少 し上 か ら見. とこ ろ が 、 こ の よ うな鍵 刺 激 を利 用 して成 功. 下 ろせ ばベ ビー ・シ ェ マ に近 づ く。 彼 氏 に 向 け. して い る の は赤 ち ゃ ん だ け で は な い 。 例 え ば. て 、 彼 女 も これ は 使 え る。 そ して 舌 足 らず に. デ ィ ズ ニ ー で あ る。 ミ ッ キ ー も ドナ ル ドも ベ. しゃべ り、 た どた ど しい 身ぶ り もす れ ば さ らに. ビ ー ・シ ェ マ を そ な え て い る 。 ミ ッ キ ー マ ウ ス. 効 果 的 だ。 実 際 、 恋 人 た ちが 二 人 き りに な る と. は1928年. に誕 生 して い るが 、初 期 の ミ ッ キ ー. 言 葉 づ か い や 身振 りが 幼 くな る。 こ れ らの鍵 刺. は 顔 が 細 く て 手 足 は 細 長 か っ た 。 性 格 も短 気 者. 激 は赤 ち ゃ ん か ら発 せ られ る の で は な いが 、子. だ っ た 。 そ れ が ベ ビ ー ・シ ェ マ と幼 児 体 型 で 修. 育 て行 動 を解 発 して相 手 に 自分 を構 わせ る効 果. 飾 され て 、現 在 の よ うな か わ い い ミ ッキ ー に変. を もつ 。 彼 氏 は、 思 わず 近 づ い て構 わず に は い. 化 し た と い う歴 史 が あ る 。 ゾ ウ の 親 子 、 ダ ン ボ. られ な くな る、 だ ろ うか?. と ジ ャ ン ボ は 、 ち ょ う ど 図2のaとbの. よ う. な 関 係 だ。 ダ ン ボ は超 正 常 刺 激 とい え る ほ ど、 ベ ビ ー ・シ ェ マ も 幼 児 体 型 も誇 張 さ れ て い る 。 そ の メ チ ャク チ ャか わ い い ダ ンボ が 、 サ ー カ ス. 代理本能 この よ うに、 人 類 の性 行 動 や子 育 て の鍵 刺 激 は 、 同 じ ものが 古 今 東 西 を通 じて み る こ とが で. で メ チ ャク チ ャか わ い そ うな 目に あ う。観 て い. きる。 またエ ソ ロ ジ ー で は 、挨 拶 、攻 撃 、 防御. る 者 は 、 思 わ ず 近 づ い て 構 い た い 気 に させ ら れ. な ど、様 々 な社 会 的行 動 につ い て も、 鍵 刺 激 の. る 。 つ ま り子 育 て の 生 得 的 解 発 機 構 が 解 発 さ れ. は た ら きが 明 らか に され て い る。 しか し、 そ の よ うな鍵 刺 激 が は た らい て も、生 得 的解 発 機 構. るのだ。 遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム が マ ンガ や ア ニ メ とい っ た. は完 全 に は た らか な い。 遺 伝 的 プ ロ グ ラ ム は鍵. 文 化 を 通 して現 れ る の で あ る 。 ミ ッキ ー の 身長. 刺 激 に よ っ て 起 動 す る 。 しか し走 ら な い の だ 。. は 約70cmと. 代 わ りに走 る の は 、学 習 され た行 動 の プ ロ グ ラ. さ れ て い る 。 も し も丸 顔 で 目 と耳 巨 大 黒 ネ ズ ミが 、 白 手 袋 を は. ム で あ る。 本 能 は学 習 に受 け渡 され 、文 化 を学. め て パ ン ッ と靴 を は い て 二 本 足 で 本 当 に 歩 い て. 習 した行 動 が 表 面 に現 れ る。 そ こ で遺 伝 的 プ ロ. きた ら、 そ れ は こ の世 に存 在 しな い化 け物 で あ. グ ラ ム は、 服 飾 、 化 粧 、 マ ンガ、 ア ニ メ とい っ. る 。 そ れ が か わ い い と い う こ と で ブ ラ ン ド価 格. た文 化 に反 映 され て浮 か び上 が っ て くる とい う. の 買 い物 を す る とい うの も、考 え て み れ ば 情 け. 形 に な る。. の 大 き い70cmの. 鳥 の子 育 て で. 本 能 行 動 は遺 伝 子 の生 き残 りを保 障 して くれ. 出 て きた 、 ジ ュ ウ イ チ の ヒナ が打 ち振 る贋 物 の. る。 と ころが 人 類 の よ うな学 習 動 物 で は、 そ れ. 鍵 刺 激 に 、 だ ま され て餌 を運 ん で くる宿 主 み た. が 確 実 に は た らか な い。 な らば 、生 物 学 的 な適. いだ。. 応 が 保 障 され な い こ とに な る。 また、 イ トヨの. な い 話 で は な い か 。 前 稿(1)の. 「ア ニ メ 大 国 」 な ど と い わ れ る 日本 に も、 鍵. オ スが メ ス に攻 撃 した りオ ス に求 愛 した り しな. 刺 激 の 利 用 で 成 功 し た 例 が 数 多 くあ る 。 ま ず 、. い よ うな 、生 得 的解 発 機 構 の機 能 が 確 実 に期 待. 藤 子 ・F・ 不 二 雄 つ ま り ド ラ え も ん の 作 者 だ 。. で きな い。 な らば 、適 切 な場 面 で適 切 な行 動 を. ドラ え も ん は 二 頭 身 な の で 、 幼 児 体 型 の 超 正 常. す る と い う、 心 理 学 的 な 適 応 も保 障 さ れ な い 。. 刺 激 に な っ て い る 。 ロ ボ ッ トな の に 、 か わ い. 代 わ りに、 人 類 は文 化 とい う もの をつ く りだ し. い 。 そ の 先 代 のQ太. 郎 は オ バ ケ だ が 、 これ も. て 、 そ れ を利 用 して行 動 して い る。 そ う考 え る. 幼 児 体 型 で オ バ ケ の くせ に か わ い い 。 ま さ に 化. と、文 化 は機 能 不 全 に 陥 っ た本 能 の代 理 を して. け 物 の よ う な オ バ ケ で あ る。 ま た、 セ ー ラ ー. い る と もい え る。 文 化 は代 理 本 能 な の だ。. ム ー ン とか 、少 女 マ ンガ系 の キ ャラ ク ター は お. 動物学者の 日高(1972)が 最初に、社会心理学. し な べ て ベ ビ ー ・シ ェ マ だ 。 ア イ ドル の グ ラ ビ. 的とで もい えそ うな代理本能の概念 を提 案 した。. ア も 、 た い て い 上 目づ か い で ベ ビ ー ・シ ェ マ を. 私 は少 し違 うニュアンスで、今の文脈 のように機. 一59一.

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