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有機液体の表面沸騰熱伝達について

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(1)

有機液体の表面沸騰熱伝達について

著者

松村 博久

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

6

ページ

49-54

別言語のタイトル

On the subcooled-boiling heat transfer of

organic liquids

(2)

有機液体の表面沸騰熱伝達について

著者

松村 博久

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

6

ページ

49-54

別言語のタイトル

On the subcooled-boiling heat transfer of

organic liquids

(3)

有 機 液 体 の 表 面 沸 騰 熱 伝 達 に つ い て

松 村 博 久

(受理昭和41年5月31日) ONTHESUBCOOLED−BOH』INGHEATTRANSFER OFORGANICLIQUIDS HirohisaMATSUMURA

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shownafavorableagreement. 1 . 緒 =

化学工業における製造過程で使用される媒体および

原子炉の減速材または冷却材などのごとく,各方面で

多種の有機液体が使用されている.そのために従来か

ら有機液体に対しても水と同様に伝熱に関する多くの

実験が行なわれてきた.とくに非沸騰時の対流領域の

熱伝達および自然対流飽和沸騰領域の熱伝達について

は,水および数種類の有機液体に適用できる整理式も

いくつか報告されているが,自然対流あるいは強制対

流を伴う表面沸騰領域の熱伝達までの広範囲を包含す

る整理式についてはほとんど述べられていない.

以前に筆者ら')2)は水に対する自然対流および強制

対流の表面沸騰熱伝達の整理式を提示したが,この考

え方は有機液体についても応用できるもので,したが

って同様の形式の整理式を導くことができると考えら

れる.本報告では,水および有機液体についての自然

対流あるいは強制対流を伴う表面沸騰時の熱伝達に閲

する一般的整理式を導き,その整理式と従来の整理式

および実験値の比較を行なった結果を述べる. 2 . 記 号 使用した記号はつぎのとおりである. C力:液体の比熱,kcal/kgoC Dd:伝熱面離脱時の気ほう径,m De:水力的相当直径,m /○:関数関係を表わす Gγ:グラスホフ数 g:重力の加速度,m/h2 J:熱の仕事当量,kgm/kcal K:比例係数 Ⅳ":ヌセルト数 Pγ:プラントル数 p:圧力,ata q:熱負荷,kcal/m2h R:伝熱面の半径,m R‘:レイノルズ数 r:蒸発の潜熱,kcal/kg 蝿at:飽和温度,oC 4蝿at:過熱度.oC 4亜ub:サブクーリング,。C α:熱伝達率,kcal/m2h°C β:膨張係数,1/oC γ:比重量,kg/m3 ス:液体の熱伝導率,kcal/mh℃ #:液体の粘性係数,kgh/m2 〃:液体の動粘性係数,m2/h ぴ:表面張力,kg/m 添字; α:大気圧における値 /:液体 fノ:蒸気 3 . 従 来 の 整 理 式 非沸騰時のH然対流および強制対流の熱伝達につい ては,理論的ならびに実験的関係式が多数発表されて

(4)

.……..…(3) Jakob5)の近似式 Y=4x0.68 いる.一般に,自然対流においては M=/(Gヶ・P,.) また強制対流においては ハル‘=/(R‘・Pγ) なる関係がある。 筆者ら')の水についての強制対流乱流熱伝達の実験 によると,実験値とMcAdamsの式 jVh=0.023Rgo・8Pγ0.4……(1) と比較したところでは,両者は±10%の範囲で一致す る こ と が で き た . ま た , デ ィ フ ェ ニ ー ル や サ ン ト ワ ッ クスのような各種ポリフェニールなどの有機液体につ いての強制対流乱流熱伝達の実験値とDittus-Boelter の式 ノV1‘=0.0243Re0.8Pγ0.4……(2) の比較では,±20%の範囲でおさまっていることが認 められている3). 自然対流飽和沸騰の熱伝達の整理式については,従 来から数多く提案されているが,水および有機液体に 関連性のあるおもな整理式をとりあげて表’に示して ある.Levy7)によるベンゼン,n−ヘプタン,四塩化炭 素,イソプロピルアルコール'n ブチルアルコール,n‐ ペンタン,エチルアルコールおよびプロパンなどの有 機液体について,またAtomiclntemationalReport3) によるサントワックスやディフェニールなどの有機液 体についての核沸騰熱伝達に関しては,自然対流飽和 沸騰および強制対流沸騰のいずれの実験値とも(6)式 から導いたLevyの式

γ

a

t

9=・蝿皿(γノーγ")・ 万万・I.

……(8) と近似的に合っていることが報告されている.ここに BLは実験的に与えられる係数で,γ"rの関数として表 わされている. 人 為 的 蒸 気 発 生 点 数 32個/cm2の場合は 4=1.33±0.09,m-0.26 Levy7) 4.一般的謹理式の誘導 前節で述べた従来の整理式については,非沸騰時の 対流熱伝達と表面沸騰時の熱伝達の連続的関係を同一 の整理式で表現することができないが,筆者ら')2)は 水についての非沸騰時の対流熱伝達から強制対流表面 沸騰および自然対流表面沸騰の熱伝達までの関係を同 表 1 従 来 の お も な 自 然 対 流 飽 和 沸 騰 の 熱 伝 達 の 整 理 式 A2=900,1/m Po=1,699,kcal/h …………(5) ‘ノスCpγ12

=

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ここに,r=¥

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3

罪=280,m/h 研 究 者 名 整 理 式 備 考 BLは7.’J・の関数で 実 験 的 に 求 め て い る …・…..…(4) 宮内一矢木8) α’1 Insinger-Bliss4) 'ogy=0.363+0.9231ogXー0.047(logX)2 り

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・・・………(6) Jakob5) 西 川 6 )

子=』(脇)q"(淵",(竿),“…………(7)

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(5)

"〃 51 』 /、 松 村 。 : 有 機 液 体 の 表 面 沸 騰 熱 伝 達 に つ い て 様の整理式で表わすことができることを述べた.すな わち,その整理式は 9 = 9 6 + 9 c … … ( 9 ) ここに, 9:対流を伴う表面洲騰時の熱負荷,kcal/m2h 96:沸騰の熱負荷,kcal/m2h 9::非沸騰時の対流熱負荷,kcal/m2h である. 沸騰の熱負荷は実験結果から 96=4.50e力/204That3.6……(10) 非沸脆時の対流熱負荷は,強制対流の場合については 例えば(1)式から

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……(11) 自然対流の場合については例えばSaundersの式 jV7‘=0.14(G,.Pγ)1/3 から

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……(12)

非沸騰時の対流熱負荷は(2)式と実験結果の比較か

らわかるように有機液体に対しても適用できるであろ うが,沸騰の熱負荷は使用する有機液体の種類によっ てそれぞれ異なった値をとる.沸騰の熱負荷というの は自然対流飽和沸騰の熱負荷とかならずしも同一では ないが,熱負荷が大きい範囲または一般に核沸騰と呼 ばれている領域では流速およびサブクーリングの影響 は顕著でなくなるので,自然対流飽和沸騰の熱負荷と ほとんど一致してくる.いま大気圧における水につい て,(10)式と表1に示している従来のおもな自然対 流飽和沸騰の整理式と比較したのが図1であり,これ より上述のことが明白となっている.ただし,宮内一 矢木の整理式は人為的な蒸気発生点数が32個/cm2の 場合であって,人為的蒸気発生点数l∼8個/cm2で あれば図中の破線で示したようになっている.また, 自然対流飽和沸雌として(9)式から求めた場合も図1 に仙線で示してあるが,(6)式とほとんど一致してい る. 表1にあげた従来の自然対流飽和沸騰の熱伝達の整 理式は,水以外のいくつかの有機液体についても成立 することが報告されているので,それらの整理式と水 に対する沸騰の熱負荷を表わす(10)式との相互関係 から,有機液体に対する沸騰の熱負荷についてつぎの 関係が推測される. 2×106

106 二和[ロへ一回○望・ず 10。 百 一(6)式 10 100 △Tsat,℃ 図 1 大 気 圧 に お け る 水 の 場 合 96cc4汎a,t3.6 すなわち,大気圧下においては 96=KJrbata6……('3) ここにおいて,水および有機液体の種類によって比例 係数Kが定まることになる.つぎに各種有機液体に対 する比例係数について調べてみる. 伝熱而離脱時の気ほう径は,浮力および表面張力に よる付着力とから

=

z

で表わされ,気ほうが伝熱面を離れる際に持去る熱量 としての蒸発の潜熱などの考慮から,Insinger-B1iss4), Jakob5)および宮内_矢木8)の実験値を用いて図2に示 すようなつぎの関係が得られる。

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ここで,熱負荷の大きい領域いわゆる核沸騰領域で は対流の影響は小さくなることより,対流を伴う沸騰 熱負荷すなわち全熱負荷はほぼ沸騰の熱負荷に等しい とみなせるので,上の関係と(10)式の大気圧におけ る水の値とから次式のような水および各種有機液体に ついての沸騰の熱負荷が求まる.

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…・・・(14) 104 (7j弐一

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ノノノ

(6)

2×105 1 1 0 ’ C O 4Tsat,℃ 図 4 大 気 圧 に お け る 、 一 ブ チ ル ア ル コ ー ル ’ 1 1 1 1

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20 5.従来の整理式および実験値との 比較ならびに考察 大気圧におけるエチルアルコール,、-ブチルアルコ ー ル お よ び 四 塩 化 炭 素 な ど の 有 機 液 体 に つ い て , Insinger-Bliss4),Jakob5)および宮内-矢木8)の実験値 と従来の整理式およびここで導いた沸騰の熱負荷を表 わす(14)式を用いた(9)式との比較を図3,図4お よび図5に示している.図にみられるように(9)式は かなり良好な一致を与えている.図5の四塩化炭素に / 10 /

慧切拐可 や専辱 ベ ン ー ゼ ン 1 / 2×105 ,I//

_胆

105 二払崖へ︷剣○二隼己 、 0.1 108 2×108 6×106107

(

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図 2 比 例 係 数 の 関 係 図5 104 また,有機液体についての圧力の影響が水の場合と大 差がなければ,(10)式と(14)式の関係から次式が 得られる.

=

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……(15) ノ 103 100 2×105 105

l J O 1 0 0 4Tsat,℃ 図 3 大 気 圧 に お け る エ チ ル ア ル コ ー ル

〃;

●Insinger-BIiss4)の実験値 104 105 一O宮内一矢木8)の実験値

i

(4)式 “戸﹃﹃一軍ロ茎ざ

−Mし〃

堅屋、冒旬U茎曲己

10 4Tsat,℃ 大 気 圧 に お け る 四 塩 化 炭 素 104 l〆 I

/

103 103 i lll 野 一一一一一Jakobケ〕実験F1 (7)式一

ノノ〆 式式 (9)式 (6)式一 ノ

;

.(4)識 (9)式

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(7)弐・‐ 、 ﹄

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云=(3)式 5)式

(9)式

(7)

じ S3 104 2×103 ゴーヅ 2×103 終りに,御指導くださった京都大学工学部佐藤俊教 授ならびに御助言をいただいた鹿児島大学工学部石神 重男教授に深甚なる謝意を表わします. 106 おいては熱負荷が大きくなると実験値は(9)式よりも 大きな値を示しているが,このことは低熱負荷の飽和 沸騰からバーンアウト点近傍の飽和沸騰へと沸騰現象 が移行しているために特性1111線が変っていることを表 わしている. 岐美ら9)'0)による大気圧下でのディフェニールおよ びネオSKオイル#350(組成はサントワックスRとほ ぼ同じで,メタタフェニール50%,パラターフェニー ル40%,オルソターフェニール5%およびポリフェニ ール5%である)を用いた自然対流表面沸騰の実験値 と(8)式および(9)式の比較を,ネオSKオイル#350 に つ い て は 図 6 お よ び デ イ フ ェ ニ ー ル に つ い て は 図 7 に示している.図6および図7において(9)式は実験 値と定量的な一致はしていないが,(8)式とくらべた 場合は(9)式の方が実験値の定性的傾向をよく表現し ていることが認められる.ただし,(9)式の計算にあ たってはデイフェニールおよびネオSKオイル#350の 膨張係数についての資料がみつからなかったので,こ こでは3×10-31/℃なる値を用いてある.なお図7中 の鎖線はJordanら'')の大気圧におけるディフェニー ルの自然対流飽和沸騰の実験値を示している. 以上の比較結果によると,熱負荷の比較的大きい領 域では(9)式と従来の整理式との間にはほとんど差異 は認められない.しかしながら,前にも報告')2)した ように非沸騰時の対流領域から表面沸騰の初期の領域

.

〃/ ノ 至蝿一[崖、︷⑰○二串ロ / 鷺 。 105 / −24 8℃ 松 村 : 有 機 液 体 の 表 面 洲 脇 熱 伝 達 に つ い て 1 1 0 1 0 0 JTsat,℃ 図 6 大 気 圧 に お け る ネ オ S K オ イ ル # 3 5 0 1 1 0 1 0 0 jTsat,℃ 図 7 大 気 圧 に お け る デ ィ フ ェ ニ ー ル においては従来の整理式では表現できないところを, ここで導いた(14)式を用いた一般的整理式の(9)式 は実験値と良好なる一致を示していることが確認され た. 6 . 結 論 水についての自然対流表面沸騰の熱伝達および強制 対流表面沸騰の熱伝達の整理式を前に報告したが,そ れは非沸騰時の対流熱負荷と沸騰の熱負荷の和を全熱 負荷とするという考えにもとづく整理式である.この 考えを各種有機液体にも適用するために沸騰の熱負荷 として(14)式を用いた整理式(9)式を得た.これに より水および各種有機液体の表面沸騰が一般的に整理 される. 従来の整理式および実験値とここに導いた一般的整 理式(9)式との比較検討の結果,従来の整理式よりも (9)式が実験値をその全域にわたってはるかに良く表 現していることが認められた.なお圧力の加わった場 合および強制対流を伴う場合については実験値がない ので,ここでは検討しなかった. 106 105 国︻置へ[珂○望今己 104

綴H

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ブクーリ ● 5 4 ① 4 1 | ’ | 〆グ,,ビ o 2 4 − 。 J 1 /一

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一 ■ ー U - I ■ ■ ■ .!ケプクーリンク' −L:13℃ − 6 3 ℃

2

[鋤叫;

に二

砺回

(8)

参 考 文 献 1)佐藤・松村:日本機械学会論文集.28,195(1962 ∼11),1542. 2)松村:鹿児島大学工学部研究報告.4(1964∼11) 17. 3)AtomiclntemationalReport,NAA-SR-5688, (1960). 4)T、H,Insinger&H・Bliss:Trans.Amer、I、‐ st、ChemEngr.,36(1940),491. 5)M、Jakob:HeatTransfer,Vol.I(1949), Wiley&Sons、Inc、 6)西川:日本機械学会論文集.22,120(1956), 557. 7)S,Levy:Trans、ASME,81(1959),37. 8)宮内・矢木:化学工学.25,1(1961),18. 9)岐美・他3名:日本機械学会関西支部第38期定 時総会講演会.前刷,(1963∼3),53. 10)岐美・他2名:京都大学工学研究所研究葉報. 24(1963)および26(1964). 11)J・P・Jordan&G・LePpert:NucLSciEng‐ 、9.,5(1959),349.

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