雇用システムの変化に対応して労働法はその大 きな再編過程にある。 すなわち, 労働力構造の変 化, 労働者の多様化・個別化, 非正規雇用の増加 といった労働法の対象とする労働者自身の像が大 きく変化している。 また, 労働契約の他方当事者 である使用者についても, 産業構造の変化, コー ポレート・ガバナンスの変化をともなう会社法制 の展開, グローバル競争の中での企業の競争条件 の変化等が大きな影響を及ぼしている。 集団的労 使関係では, 労働組合組織率の低下傾向に歯止め がかからないという量的課題に加えて, 増加する 非正規従業員の利害を適正に反映できているのか という質的な課題も提起され, 新たな従業員代表 制度の可否についても議論がある。 これらの雇用 を取り巻く環境変化も影響して, 個別労働紛争の 増加も著しく, 2006 年からは労働審判という新 たな紛争解決制度が動き始めた。 このような雇用システムの変化を反映して, 労 働法制の大規模な再編が進行中である。 2006 年 には間接差別概念を導入した均等法改正が実現し, 2007 年は労働契約法という新立法, 労働基準法 の労働時間制度の改正, パート労働法改正, 最低 賃金法改正等, いずれも社会の大きな関心を呼ん だ労働立法・改正が日程に上った (パート労働法 改正は 2007 年 6 月に, 労働契約法, 最賃法改正 は 2007 年 11 月に成立した)。 2007 年 6 月 23 日に開催された本研究会議では, これらの労働法の再編の意義について検討を行う とともに, 特に, 公労使三者構成の審議会の意義 や機能の評価, 政府によるアジェンダ設定の是非 等, 労働立法プロセスを中心に現状の分析と今後 の労働法政策のあり方について学際的な議論を行っ た。 (なお, 本特別号は 2007 年労働政策研究会議準備委 員会の責任編集によるもので, 掲載論文は後に報告 者による加筆修正を経たものである。) 2007 年労働政策研究会議準備委員長 荒木尚志 (東京大学大学院法学政治学研究科教授) 日本労働研究雑誌 1
雇用システムの変化と労働法の再編(PDF:102KB)
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