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近畿大学農学部周辺の地質と地学の授業

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Academic year: 2021

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(1)近畿大学農学部周辺 の地質 と地学 の授業. 近畿大学農学部周辺 の地質 と地 学 の授業. 鈴 1は. 木. 一 ・ 久*. じめ に. 近 畿 大 学 農 学 部 は奈 良 市 西 部 、 生 駒 山地 と奈 良 盆 地 の境 界 の丘 陵地 に位 置 し、豊 か な 自然 に 囲 まれ て い る。 学 生 数 は1学 年 あ た り670名 ほ どで あ り、 そ の うち 教 員 免 許 を希 望 す る者 は 100名 程 度 で あ る。 そ の ほ とん ど は理 科 の免 許 希 望 者 で あ るが 、 少 数 なが ら水 産 や農 業 の教 員 免 許 取 得 を あ わせ て希 望 す る学 生 もい る。 一 般 に理 系 の学 生 が 中 学 校 一 種(理 科)の 免 許 を取 得 す る に は、 「地 学 」 と と もに 「地 学 実 験 」 が 必 修 と な る。 この うち 「地 学 実 験 」 にっ い て は、 農 学 部 の学 生 は これ ま で本 部 キ ャ ンパ ス に お い て 夏 季 の集 中実 施 を 受 け て きた。 しか し、 受 講 生 の増 加 に と もな って、 平 成18年 度 よ り各 種 の実 験 設 備 の導 入 を 図 り、 「地 学 実 験 」 は農 学 部 に お け る通 常 授 業 と して 開 講 さ れ る こ と と な っ た。 と こ ろで 、 奈 良 県 は防 災 教 育 に関 して は先 進 県 の ひ とっ で あ り、 奈 良 県 学 校 防 災 教 育 研 究 会 議(委 員 長:林. 晴男. 京 都 大 学 防 災 研 究 所 巨大 災 害 研 究 セ ン ター長)が. 設 け られ、 「奈 良 県. 学 校 地 震 防 災 教 育 推 進 プ ラ ン」 が 作 成 され て い る。 ま た、 和 歌 山 県 は、 安 政 南 海 地 震 の さ い の 実話 か ら生 まれ た 「稲 む らの 火 」 で よ く知 られ て い るが 、 同 県 は2006年11月. 、 稲 む らの火 プ. ロ ジ ェ ク ト 「ア ジ ア防 災教 育 子 ど も フ ォ ー ラ ム」 を 開 催 す る な ど、 防 災 教 育 に力 を入 れ て い る。 さ らに兵 庫 県 に お い て は、 県立 舞子 高等 学 校 に 環 境 防 災 学 科 が 設 立 され て い る。 以 上 、 近 畿 圏 の み紹 介 した が、 学 校 教 育 に お い て地 震 を は じめ とす る 自然 災 害 に対 す る教 育 は全 国 的 に進 め られ て い る。 この よ うな 防災 教 育 を 進 め る うえ で 、 地 学 の リテ ラ シ ー は極 め て 重 要 で あ る。 特 に野 外 に お け る観 察 力 を身 に っ け る こ とは、 地 域 を知 り、 そ の 特 徴 を 生 か した 理 科 教 育 や 防 災 教 育 を進 め る うえ で大 切 で あ る。 先 に述 べ た よ うに、 平 成18年. 度 よ り 「地 学 実 験 」 が 農 学 部 の 施 設 で 開講 で き る よ うに な っ. た。 筆 者 は開 講 に先 立 って、 農 学 部 キ ャ ンパ ス周 辺 の地 質 調 査 を行 い、 学 生 実 習 向 けの 野 外 観. *近 畿大学教職教育部. 准教授. 一31一.

(2) 近畿大学教育論叢. 第19巻. 第1号(2007・9). 察 ル ー ト の 開 発 を 行 っ た 。 実 績 と し て は ま だ 平 成18年. 度 の み で あ る が 、 本 論 で は 、 キ ャ ンパ. ス 周 辺 の 地 質 概 略 と野 外 観 察 の ル ー トの 概 要 な ら び に授 業 に お け る 位 置 づ け に っ い て 述 べ る 。. II学. 習 指 導 要 領 の 規 定 と学 生 の 履 修 状 況. 防 災 に関 係 した地 学 の リテ ラ シー に関 して、 中学 校 理 科 学 習 指 導 要 領 で は、 内容(2)「. 大地. の変 化 」 に お いて 、 「大 地 の 活 動 や 身近 な地 形 、 地 層 、 岩 石 な ど の観 察 を 通 して 、 地 表 に見 ら れ る様 々 な事 物 の現 象 を大 地 の変 化 と関 連 付 け て み る見 方 や考 え方 を養 う」 と して い る。 さ ら に 「ア. 地 層 と過 去 の様 子 」 で は 「野 外 観 察 を行 い、 観 察 記 録 を基 に、 地 層 の で き方 を考 察 し、. 重 な り方 の規 則 性 を見 い だす と と もに、 地 層 をっ く る岩 石 とそ の 中 の化 石 を手 掛 か り と して過 去 の 環 境 と年 代 を推 定 す る こと」「イ. 火 山 と地 震 」 で は 「火 山 の形 、 活 動 の様 子 及 び そ の 噴 出. 物 を 調 べ 、 それ らを地 下 の マ グ マ の性 質 と関 連 付 け て と らえ る こ と」「地 震 の体 験 や記 録 を基 に、 そ の 揺 れ の 大 き さや 伝 わ り方 の 規 則 性 に気 付 くと と もに、 地 震 の原 因 を地 球 内部 の動 き と関連 付 けて と らえ 、 地 震 に伴 う土 地 の 変 化 の 様 子 を理 解 す る こと」 と規 定 して い る。 っ ま り野 外 観 察 や 実 物 を 重 視 し、 体 験 や 記 録 を もと に問 題 を解 決 す る能 力 を育 て る こ とが強 調 され て い る。 当 然 、 この よ うな 理 科 の 内 容 や 到 達 目標 を指 導 す る た め に は、 教 師 の深 い専 門 能 力 が必 要 とな る。 しか しな が ら、 理 科 教 員 を 目指 す 学 生 に と って 、 地 学 を 学 習 す る機 会 は極 めて 少 な い のが 現 状 で あ る。 農 学 部 に お け る ア ンケ ー ト結 果 で は、 高 等 学 校 に お け る理 科 の 履 修 科 目数 は、2科 目が3%、3科. 目が17%、4科. 理 科 教 育 法 受 講 生118名)。 97%、 化 学H77%、. 目が55%、5科. 目が22%、6科. 目が3%で. 科 目別 の 履 修 率 は、 物 理IB38%、. 生 物IB88%、. 生 物II81%、. あ った(平 成18年. 物 理H11%、. 地 学IB8%、. 度. 化 学IB. 地 学H1%、. という. 状 況 で あ った。 この よ うに、 高 等 学 校 で は ほ とん ど地 学 を履 修 して い な い。 で は、 大 学 に お い て は ど うか。 免 許 法 上 は 「教 科 に 関 す る科 目」 と して、 中学 校一 種 免 許 で は 「地 学 」 と 「地 学 実 験 」 「物 理 実 験 」 「化 学 実 験 」 「生 物 実 験 」 の す べ て が 各1単. 位 以 上 と規. 定 さ れ て い る。 高 等 学 校 一 種 免 許 で は、 「地 学 」 を1単 位 以 上 と、 「地 学 実 験 」 「物 理 実 験 」 「化 学 実 験 」「生 物 実 験 」 の な かか ら1単 位 以 上 とな って い る。 本 学 で は 「地 学 」 と して 「地 学 概 論 1・1工」、 「地 学 実 験 」 と して、 同名 の 「地 学 実 験 」 が 開講 さ れ て い る。 受 講 数 を見 る と、 地 学 概 論1は 前 期 ・後 期 の開 講 で あ わせ て121名 、 地 学 概 論Hは 後 期 の み の開 講 で42名 、 地 学 実 験 は前 期 ・後 期 あ わ せ て71名. 一32一. で あ った(い ず れ も平 成18年. 度 の登 録.

(3) 近畿大学農学部 周辺 の地質 と地学 の授業. 数)。 地 学 概 論1で. は天 体 と気 象 ・海 洋 の分 野 を、 地 学 概 論Hで. は 固体 地 球 の ダイ ナ ミクス と地. 球 の 歴 史 を扱 って い る。 中 学 校 で は1年 次 に 「大 地 の変 化 」、2年 次 に 「天 気 とそ の変 化 」、3年 次 に 「地 球 と宇 宙 」 を学 習 す る。 したが って 、 中学 理 科 免 許 希 望 者 に は ぜ ひ と も地 学 概 論1と Hの 両 方 を 履 修 して 欲 しい と こ ろで あ るが 、 なか なか 厳 しい の が現 実 で あ る。 この よ うな状 況 は本 学 に限 らず 、 多 くの理 工 系 学 部 を持 っ 大 学 に共 通 した課 題 とい え る。 した が って 、 限 られ た授 業 の 中 で いか に能 率 よ く学 習 させ るか 、 と くに地 学 に お け る 「野 外 観 察 能 力 」 を いか に身 にっ け させ るか は、 各 大 学 に お け る重 要 な課 題 とな って い る。. 皿. 農 学 部 キ ャ ンパ ス 周 辺 の 地 形 と地 質 盆地 ・山 地 と活 断 層. 東 大 阪 の 本部 キ ャ ンパ ス か ら見 る生 駒 の 山 麓 は、 ほ ぼ南 北 に極 めて 直 線 的 で あ る。 同 様 に、 奈 良 盆 地 とそ の東 に 広 が る笠 置 山 地 との 境 界 も また 極 め て 直 線 的 で あ る。 奈 良 盆 地 東 縁 の急 崖 は、 農 学 部 キ ャ ンパ ス か ら はそ の 一部 しか 見 え な い が 、 近 鉄 橿 原 線 に乗 って 南 下 す る と車 窓 か らず っ と観 察 で き る。 平 地 と山地 の境 界 が 直線 的 な と き、 そ こに は必 ず 活 断 層 が 存 在 す る。 東 大 阪 の 平 野 と生 駒 山 地 の 間 に は生 駒 断層 が走 り、 奈 良 盆 地 と笠 置 山地 の 問 に は、 天 理 断 層 、 和 爾 断 層 、 三 百 断 層 、 高 樋 断 層 な ど が並 列 して南 北 に走 って お り、 ま とめ て奈 良盆 地東 縁 断 層 帯 と呼 ば れ て い る(第 1図)。 奈 良 盆 地 と東 大 阪 の平 野 に挟 ま れ て 南 北 に伸 び る生 駒 山地 と矢 田丘 陵 は、 西 側 は急 傾 斜 で あ るが 東 側 は緩 や か な斜 面 を持 っ とい う、 二 重 の傾 動 山地 を な して い る。 そ して 活 断 層 は 周 期 的 に 内陸 直 下 型 の地 震 を 引 き起 こ して い る。 生 駒 山地 を構 成 す る岩 石 の多 くは花 商岩 類 で あ る が、 生 駒 山本 体 は黒 色 の、 硬 い斑 れ い岩 で で きて い る。 花 南岩 類 は風 化 を受 け やす くぼ ろ ぼ ろ に な って い る の に対 し、 斑 れ い岩 は風 化 に 強 い た め、 生 駒 山 は生 駒 山地 の 中 で ひ と き わ高 くそ び え て い る。 奈 良 盆 地 の平 坦 な面 は1万 年 前 以 降 に堆 積 した砂 利 や粘 土 の層(沖 積 層)で 覆 わ れ て お り、 これ らは佐 保 川 を は じめ とす る現 在 の河 川 の氾 濫 に よ って もた らさ れ た もの で あ る。 盆 地 の周 辺 に は比 高 数mの. 段 丘 が 何 段 か み られ る。 さ らに 山地 との 境 界 の丘 陵 に は大 阪 層 群 と呼 ば れ. る300万 年 前 か ら30万 年 前 に堆 積 した地 層 が 分 布 す る。 大 阪 層 群 の地 層 は奈 良 盆 地 や大 阪 平 野 の地 下 に連 続 して い る。. 一33一.

(4) 近畿大学教育論叢. 第19巻. 第1号(2007・9). A生. 1000   500. 駒 山地 大阪 平 野 生駒断層. 矢 田丘 陵 生駒 谷 矢田断層. 笠置 山地A' 奈 良 盆地. 1ヤ+い. 奈良盆地東縁断層帯 い. 領家変成岩類. 0 -500 -1000. 墜 徽 騙 賭鰯 構 湘 悪 繋 亭な#一. 一500 圧目新期花嵐岩類[≡ ヨ古期花醐岩類 醗 白亜紀斑れい岩類 匝]ジュラ紀 皿 領家変成岩類と口 大阪層群以降 斑れい岩類 ジュラ紀付加体 第1図. 近 畿 地 方 の地 層 と岩 石 の 分 布. 上:生 駒 山 と近 畿 大 学 農 学 部 キ ャ ンパ ス を 通 る東 西 断 面 、 下 左:同 断 面 に お け る農 学 部 キ ャ ンパ ス周 辺 の 拡 大 図 、 下 右:近 畿 地 方 中 央 部 にお ける 主 な岩 石 の 分 布 と断 面 線 の位 置(地 質 調 査 所発 行5万 分 の1地 質 図 幅 「奈 良 」 「桜 井 」 「大 阪 東 北 部 」 「大 阪 東 南 部 」 を も と に作 成). 花 南岩 類 農 学 部 キ ャ ンパ ス に は、 基 盤 を な す花 商岩 類 と大 阪 層 群 の 両 方 が 分 布 して い る。 農 学 部 の建 物 が建 って い る と こ ろ の地 盤 は花 歯岩 類 で あ り、 これ は広 く生 駒 山地 に 分布 す る花 商 岩 類 の1 っ で あ る。 これ らは 白亜 紀 に マ グ マ が貫 入 して そ れ が 地下 深部 で 冷 え 固 ま っ た もの で あ るが 、 貫 入 時 期 に よ って大 き く古 期 と新 期 に分 け られ る(第1図. 下 右)。 古 期 花 南 岩 類 は信 貴 山 花 歯. 閃 緑 岩 や岩 橋 山花 南岩 、 高 安 山花 歯岩 な ど、 そ の名 の通 り生 駒 山 地 の 南 西 部 に多 く分 布 し、 片 麻 状 構 造 が顕 著 で変 形 作 用(領 家 変 成 作 用)を 受 けて い る岩 石 で あ る。 そ れ に対 し新 期 花 南 岩 類 は生 駒 山地 の 中北 部 に広 く分 布 す る岩 石 で、 領 家変 成 作 用 の 後 に 何 回 か 貫 入 して き た マ グ マ か らで き た岩 石 で あ る。 キ ャ ンパ ス周 辺 に露 出す る花 南岩 は、 新 期 花 商岩 の うち で最 も早 く貫 入 した 花 崩 岩 類 の1つ で、 富 雄 花 南岩 と呼 ば れ て い る。 奈 良 市 富 雄 を 中心 に南 北10km、. 東 西1∼2kmで. 細 長 く分. 布 し、 西 側 は矢 田断 層 に よ って切 られ て い る。 弱 い片 状 構 造 の認 め られ る粗 粒 の 黒 雲 母 花 南 岩 で堆 積 岩 起 源 の 変 成 岩 を数cmか. ら100mの. 規 模 で 取 り込 ん で い る。 こ の よ うな捕 獲 され た 変. 成 岩 は近 大 橋 下 の富 雄 川 河 床 や、 後 述 す る野 外 観 察 ル ー トに も見 られ る。. 一34一.

(5) 近畿 大学 農学 部周辺の地質 と地学の授業. 模 式 地 で あ る富 雄 元 町産 の 花 商 岩 は、 斜 長 石37.9%、 5.3%、 白 雲母0.2%と. 石 英32.2%、. カ リ長 石24.6%、. 黒雲 母. い う鉱 物 組 成 か らな る(宮 地 ほか 、1998)。. 大阪層群 この 地 層 は建 物 よ り東 側 に、 花 南 岩 を不 整 合 に お お って広 く分 布 す る。 地 質 図 とい うの は地 表 に表 れ て い る岩 石 や 地 層 を示 した も ので あ る。 い ま、 大 阪 層 群 の分 布 域 か ら地 下 に穴 を掘 っ て い くとす る と、 数10mで. 花 商岩 に到 達 す る とい う こ とに な る。. 奈 良盆 地 周 辺 の 大 阪 層 群 は第1表 の よ う に区 分 され て い るが 、 農 学 部 周 辺 の大 阪 層 群 は、 登 美 ケ 岡累 層 中 の東 畑 互 層 と され て い る地 層 で あ る。 東 畑 互 層 は、 お もに 砂、 礫 、 泥 で構 成 され る地 層 で 、 礫 層 か らは じま り砂 層 、 泥 層 へ と次 第 に細 粒 に な っ て い く10数mの. 厚 さ の上 方 細 粒 化 シ ー ク ェ ンス が 特 徴 的 で あ る。 こ の よ う な. シー ク ェ ンス は河 川 に よ って 堆 積 した 地 層 で あ る こ とを 表 わ して い る。 模 式 地 は、 こ こか ら 8kmほ. ど北 の精 華 町 東 畑 で あ り、 こ こで は砂 層 と泥 層 が 優 勢 で あ る。 しか し、 本 地 域 で は礫. 層 と砂 層 が 優 勢 で あ り、 これ は基 盤 山地 に近 い こ とを反 映 して い る。 この付 近 の地 層 は ゆ る く東 へ 傾 斜 して い るた め、 東 ほ ど上 位 の地 層 が現 れ る。 富雄 川 よ り東 側 の 丘 陵 に は、 上 位 の水 取 礫 層 や柘 榴 互 層 、 精 華 累 層 が分 布 す るが、 現 在 で は 開発 に よ り地 層 を 観 察 す る こ と はで き な い。 切 通 砂 層 か ら鹿 畑 礫 層 ま で の大 阪 層 群 は キ ャ ンパ ス周 辺 に は分 布 しな い。 ま た、 東 畑 互 層 の 下 部 に は北 谷 火 山 灰 、 最 上 部 に は福 田火 山灰 が 挟 ま れ る(尾 崎 ほか、 2000)。 この うち 福 田火 山灰 は 関 東 地 方 か ら近 畿 地 方 まで 広 く追 跡 され る広 域 火 山 灰 で 年 代 は 175万 年 前 とさ れ て い る。. 第1表. 奈 良 盆 地 周 辺 の大 阪層 群 の層 序(尾. 精華累層 田辺累層. 60m以. 上. 崎 ほか、2000に. よ る)。. 砂 礫 層 と泥 層 の互 層. 柘榴互層. 60-70m. 砂 層 と泥 層 の互 層 で砂 礫 層 を挟 む. 大. 水取礫層. 50-80m. 中 礫 か らな る礫 層 で 砂 層 を挟 む. 阪. 東畑互層. 30-40rn. 砂 層 と泥 層 の互 層 で 砂 礫 層 を挟 む. 鹿 畑礫層. 0-20m. 層 群. 登美 ケ岡累層. チ ャ ー ト円礫 を 多 く含 む 中 礫 層. 上梅谷 砂層. 15-75m. 下部 は砂 礫 層 、上 部 は砂 層 が 卓 越. 鹿背 山互層. 10-35m. 礫混 じり砂層 と シル トの互 層. 切通砂層. 25m. 花 歯岩 質 の粗 粒 砂 か らな り細 礫 を 含 む. 一35一.

(6) 近畿大学教育論叢. W野. 第19巻. 第1号(2007・9). 外 観 察 ル ー トに 露 出 す る 地 層 ・岩 石 と 指 導 法. 野 外 観 察 ル ー トは お もに国 道308号 線 沿 いで あ る(第2図)。. この道 は、 古 くか ら 「暗越 奈 良. 街 道 」 と呼 ば れ 、 大 阪 と大 和 郡 山 を結 ぶ 古 道 で あ っ た。 現 在 はハ イ キ ング コ ー ス と して も賑 わ って い るが 、 生 活 道 路 と して 交 通 量 もか な りあ る。 以 下 、 観 察 地 点 ご とに説 明 す る。. 欝 ・ ・… 勘. 図の輪 測. 富雄花 歯岩 の分布域 、 川.・、 ∵ 瓢 ・ 圃 絶勿3 奮大阪 層群 の分布域 ちララ. 愈億}、. 払 、. 《 第2図. 野 外 観 察 コ ー ス と地 質 の概 略. 一36一. 黛. 雄撫 噸 ミも・. 饗. !分. 、. /. ℃ ノ鱗  妄鷺.

(7) 近畿大学農学部周辺 の地質 と地学 の授業. 観 察 地 点1:教. 室 を 出 て、 グ ラ ウ ン ド外 周 道 路 か ら観 察 地 点1へ 行 く。 こ こで第1回. 目の 位. 置 確 認 テ ス トを 行 う。 交 差 点 で あ り、 さす が に わ か らな い学 生 は い な い が、 談 笑 しな が らっ い て きて い るだ けの 学 生 は反 応 す る の に時 間 が か か る。 地 質 的 に は、 こ こ は基 盤 を なす 花 歯 岩 と大 阪 層 群 の不 整 合 が観 察 で き る重 要 露 頭 で あ る(第 3図)。 不 整 合 とい うの は、 接 触 す る2っ の地 層 や 岩 石 の間 に大 きな時 間 の不 連 続 が あ る こ とを. 第4図. 熱 心 に地 層 を観 察 す る 学生 た ち. 一37一.

(8) 近 畿 大学 教 育 論 叢. 第19巻. 第1号(2007・9). 示 す 用語 で あ る。 こ の場 合 は、 地 下 深 所 で マ グ マ が冷 却 → そ の後 、 大 地 が数kmに. わ た って 隆. 起 → 大 地 は侵 食 さ れ 、 花 歯 岩 が 地 表 に顔 を 出 す → 長 い 時 間 が経 過 した 後 、200万 年 ほ ど前 に な って大 阪 層群 の 地 層 が 堆 積 した→ それ が そ の後 ふ た た び地 殻 変 動 で 隆起 した、 とい う歴 史 を 表 わ して い る。 この 地 点 で は、 不 整 合 と い う地 質 学 に と って最 も大 切 な概 念 の ひ とっ を 、 体験 を通 して身 に っ け させ る。 な お、 帰 路 、 時 間 が残 って いれ ば こ こで 地 質 学 的 な ス ケ ッチ の取 り方 の練 習 を行 う。 観 察 地 点2:こ. こ は私 道 と国 道308号. 線 の 交 差 点 で あ る。 国 道 に入 る と、 道 幅 が狭 い うえ に. 車 も多 い の で安 全 に は十 分 気 を使 う こ と、 具 体 的 に は、 両 端 に い る もの に は見 張 係 と して、 車 が 来 た こ とを大 声 で知 らせ るよ う指 導 して い る。 観 察 地 点3:こ. こで2回. 目の位 置確 認 テ ス トを 行 う。 この 場 所 は峠 に あ た って お り、 地 形 図. で そ の こ とが 読 め る か ど うか確 か め る。「シ ャ ーペ ンの 先 の1点 で この 場 所 を 示 せ 」 と い うのが 課 題 で あ る。 こ こ、 と い って 指 で 示 す こ とは ほぼ 全 員 が で き る が、1点 で 示 す の は困 難 な学 生 も多 い。 観 察 地 点3か. ら4ま で は連 続 して地 層 が露 出 す る。 本 来 な らば、 一 人 一 人 が シ ャベ ル な どで. 露 頭 を 削 って 、 新 鮮 な面 を 出 して観 察 す る こ とが望 ま しい が、 狭 い上 に大 勢 で 削 る と土 砂 の量 も多 く、 周 辺 に迷 惑 をか け る ので 教 師(筆 者)が 代 表 して露 頭 を 削 り、 そ れ を観 察 す る よ う に して い る(第4図)。 こ こで は地 層 と は何 か を 指 導 す る。 よ り具 体 的 な課 題 と して は、 この露 頭 が粒 度 の異 な る何 枚 の 地層 に 分 か れ て 見 え るか 、 で あ る。 これ が で き な い と中学 校 の理 科 授 業 で地 層 は教 え られ な い。 砂 や 泥 で で きて い る崖 を 見 て 、 これ を地 層 と して 認 識 で き るか 、 この点 は極 め て重 要 で あ る。 これ を 解 決 す る筆 者 の工 夫 と して 、1枚1枚. の 地 層 の厚 さ を測 定 させ 、 柱 状 図 を作 る課. 題 を与 え て い る。 実 際 に は厚 さ と と も に、 粒 の 大 き さ、 色 調 、 硬 さ、 ラ ミナ な ど を観 察 させ 、 柱 状 図 の右 側 に記 載 させ る。 この と き粒 度 に よ って 柱 状 図 の 幅 を 調 整 す る方 法 も指 導 す る。 こ う して作 成 した柱 状 図 が第5図. で あ る。 この 実 習 は、 た だ 説 明 を 聞 くこ とが 多 い野 外 実 習 の な. か で、 自分 た ち で デ ー タを取 る とい う実 験 科 目本 来 の趣 旨 にの っ と って 、 地 層 を 見 る眼 を 養 う こと が で きる もの で あ る。 観 察 地 点4:こ. こを す ぎ る と、 地 層 の露 出 が悪 くな る。 そ れ で も礫 層 が 点 々 と観 察 で き るの. で、 礫 の大 き さ に注 目 させ て大 き さ を計 測 さ せ、 そ の変 化 を記 録 させ て い る。 そ れ ま で 、 砂 層 が 主 体 で あ った地 層 群 か ら、 礫 層 が優 勢 に な った こ とを読 み取 る こ とが大 切 で あ る。. 一38一.

(9) 近畿大学農学部周辺の地質 と地学 の授業. 墾. 一 4一. 〇. 〇. 〇 σ0. 【 礫 の最大径 】 ワρ 。 【1cm】. 5一. 下面 復食. 簗. ・ラ・型織 層理. ・多 ぐ 下面侵 食 6一 0000. 【2cm】. 珍 多. 平面型斜交層理. 装 溝 。覇. 2-1. :::\.. 大規模 な トラフ型斜 交層理. 3一. ρ。%° 。2. 【3c団. 】. 7一. 000000 ゲ. ° o σ. o. °。. 。. ・ .。. °Q. 。o. °ρ. °. 。. 。° 。. 0. 。. O. o 。. O. 。. 。. o. 。. o. 4一. 【5cm】. 8-° m. 第5図. 野外観察 コース沿 いの地質柱状図(左:全. 体 の概 略図、右:上 半 部の詳細 図). 観 察 地 点5:こ こ に は風化 した 花 歯岩 が 露 出 して い る。 観 察 地 点1と 同 じ岩 石 で あ るが、 見 た 瞬 間 に、 「前 に見 た の と同 じ」 と反 応 で き るか が 大 切 で あ る。 こ こで は、 観 察 地 点1で. は説 明. しなか った、 花 歯 岩 の 深 層 風 化 を お も な テ ー マ とす る。 これ は今 か ら12万 年 ほ ど前 の気 温 が 高 か っ た時 期 に,花 南 岩 類 が 地 下 深 くまで 風 化 され た た めで あ り、 六 甲 山 や京 都 北 白川 の花 商 岩 な ど と も共 通 す る現 象 で あ る。 観 察 地 点6:こ. こが 最 終 地 点 で あ る が、 こ こに は これ まで 見 て き た礫 層 とホ ル ン フ ェ ル スが. 断層 で接 して露 出 す る。 まず そ の こ とが露 頭 で読 み 取 れ るか 否 か を 課 題 とす る。 ホル ンフ ェ ル ス は接 触 変 成 岩 で あ り、 花 南岩 を作 った マ グマ の熱 に よ り、 当 時 周辺 にあ った 泥 岩 が 熱 変 成 を うけ て非 常 に硬 くな った もの で あ る。 っ ま り前 章 で述 べ た、 富 雄 花 歯岩 を作 った マ グマ が 貫 入 した と き、 周 囲 の岩 石 を取 り込 ん だ捕 獲 岩 の岩 体 で あ る。 ホ ル ン フ ェル ス を侵 食 して礫 層 が お お って いれ ば不 整 合 で あ るが 、 この場 所 で は断 層 関 係 で接 して い る。 そ の こと を説 明 した の ち、 最 後 に 「今 ま で見 て きた、 礫 層 、 花 南岩 、 ホ ル ン フ ェル ス、 断層 の 前 後 関 係 を解 き、 大 地 の生 い立 ち を述 べ よ」 とい う課 題 を与 え る。 帰 路:帰. りは層 序 の見 直 しで あ る。 観 察 地 点5か. 一39一. ら3ま で の高 低 差 を求 め なが ら、 飛 び飛 び.

(10) 近畿大学教育論叢. 第19巻. 第1号(2007・9). に露 出す る地 層 を柱 状 図 に ま とめ させ る。地 層 は水 平 で あ る もの と仮 定 し、 眼 の高 さが 約L5m と して、 自分 の体 を頼 りに高 さ を読 み取 りな が ら、 地 層 の 重 な りを と らえ て い くの で あ る。 な お、 眼 の高 さ を基 準 に して高 さを求 め る方 法 は第1回. 目の 授 業(キ. ャ ンパ スの 測 量)に お. い て学 習 済 み で あ る。 ま た、 地 層 は ゆ る く傾 斜 して い るが 実 用 上 は水平 と して 問 題 はな い。. Vま. とめ. 農 学 部 に お け る地 学 実 験 の授 業 は1単 位(週1コ. マ ×15回)で. あ るが 、 運 用 上 は2コ マ連 続. ×7回 と して、 前 半 グル ー プ と後 半 グ ル ー プ に分 けて 実 施 して い る。3時 間 を有 効 に使 う こ と が で き、 さ らに近 くに露 頭 が あ る と い う有 利 な条 件 に よ って、 平 常 授 業 に お け る野 外観 察 が 可 能 に な っ た。 当 日 の天 候 を見 て、 室 内課 題 に切 り替 え る こ とが可 能 で あ る こ と も教 師 と学 生 の 負 担 を軽 減 して い る。 最 後 に、 野 外 実 習 を行 って 感 じた こ と を い くっ か述 べ て ま とめ に代 え た い。 まず 、 どれ が1枚. の地 層 で あ る のか 識 別 で き な い学 生 が か な りい る とい う問題 で あ る。 どれ. が1枚 の 地 層 で あ る のか 識 別 で き な けれ ば、 当然 柱 状 図 は作 成 で きな い。 高 等 学 校 の教 科 書 で は地 層 面 に ク リノ メ ー タ ー を あて て 走 向 と傾 斜 を測 る と い う観 察 実 験 課 題 が あ る が、 これ もで きな い こ と に な る。 て いね い な、 そ して 具 体 的 な課 題 が 必 要 で あ る と感 じた次 第 で あ る。 学 生 に と って 次 にわ か り に くい の は地 質 図 、 断 面 図 、 柱 状 図 の相 互 の関 係 で あ ろ う。 中学 校 の教 科 書 で は野 外 観 察 の 方 法 と と も に、 断 面 図 と柱 状 図 が 出て くる。 高 等 学 校 で は、 そ れ に加 え て野 外 観 察 に よ るル ー トマ ップの 作 成 法 と、 ル ー トマ ップ を もと に した地 質 図 ・柱 状 図 の作 り方 が扱 わ れ て い る。 少 な くと も中 学 校 の 理 科 教 員 で あ る限 り、 柱 状 図 と は何 な のか を理 解 す るた め に、 自分 で フ ィ ール ドを歩 いて 作 成 した と い う経 験 が 大 切 で あ ろ う。 今 の学 生 は地 形 図 が読 め な い と いわ れ て 久 しい。 地 学 の 野 外 観 察 に限 らず 、 学 校 で は遠 足 や オ リエ ンテ ー リン グな どの行 事 が よ く行 わ れ る。 そ の 際 に も正 確 に地 形 図 が 読 め る こ と は事 故 防止 に もっ な が る大 切 な教 師 と して の能 力 で あ る。 そ の さ い、 先 に もふ れ たが 、 自分 の位 置 を 1点 で 示 させ る訓 練 が 大 切 で あ る と感 じた次 第 で あ る。 地 学 の野 外 観 察 を習 った こ との な い学 生 は、 露 頭 を見 て も、 そ れ が観 察 す べ き対 象 で あ る と 感 じな い。 農 学 部 に お け る地 学 の野 外 観 察 授 業 はま だ始 ま った ば か りで あ る。 今 後,さ. まざま. な ご意 見 や学 生 の要 望 を取 り入 れ て、 地 学 の リテ ラ シー を 向上 させ るた め に努 力 を して い きた いo. 一40一.

(11) 近畿大学農学部周辺 の地質 と地学 の授業. 文. 献. 尾 崎 正 紀 ・寒 川. 旭 ・宮 崎 一 博 ・西 岡芳 晴 ・宮 地 良 典 ・竹 内圭 史 ・田 口雄 作(2000)奈. の地 質 。 地 域 地 質 研 究 報 告(5万. 分 の1地 質 図 幅)、 地 質 調 査 所、162p。. 宮 地 良 典 ・田結 庄 良 昭 ・吉 川 敏 之 ・寒 川 告(5万. 良地 域. 旭(1998)大. 阪 東 南 部 地 域 の地 質 。 地 域 地 質 研 究 報. 分 の1地 質 図 幅)、 地 質 調 査 所 、113p。. 宮 地 良 典 ・田結 庄 良 昭 ・寒 川. 旭(2001)大. 阪 東 北 部 地 域 の地 質 。 地 域 地 質 研 究 報 告(5万. 分. の1地 質 図 幅)、 地 質 調 査 所 、130p。 西 岡 芳 晴 ・尾 崎 正 紀 ・寒 川 報 告(5万. 旭 ・山 元 孝 広 ・宮 地 良 典(2001)桜. 分 の1地 質 図 幅)、 地 質 調 査 所 、141p。. 一41一. 井 地 域 の地 質 。 地 域 地 質 研 究.

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