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イノベーション実現におけるマネジメント・コントロールの役割

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マネジメント・コントロールの役割

新 江    孝

伊 藤  克 容

Summary  本稿では,イノベーションとマネジメント・ コントロールとの関係について考察している。 イノベーションをプロセスと見ることで,マネ ジメント・コントロールに対する異なる要請が 明確になること,通常の事業計画と DDP とで は,計算構造は同じであるが,運用の仕方でま ったく異なる影響を組織成員に及ぼすことを指 摘した。 Key Words ① イノベーション ② アイデア創出 ③ イノベーション実現 ④ マネジメント・コントロール ⑤ DDP

Ⅰ はじめに:本研究の目的

と貢献

 イノベーションは,企業の長期的な存続およ び発展のために不可欠な課題である。本稿では, イノベーションに関して,アイデア創出だけで はなく,特にその実現の局面に着目する。以下 では,イノベーションを実現するためのマネジ メント・コントロールについて,先行研究の論 点を整理するとともに,その問題点を指摘し, 発展可能性の高い方向性について考えることを 目的としている。  筆者は企業の組織成員にのぞましい影響を与 え,企業目的の達成を図るための仕組みである MC(management control)に求められる役割 に関してこれまで研究を積み重ねてきた。MC 全体を研究対象とすることの利点は,その重要 な構成要素である管理会計システムとそのほか のコントロール手段との相互依存関係を視野に 収め,計算手法だけに限定されることなく,よ り現実に即した設定で議論ができる点にある(1) 管理会計システムは,組織の文脈の中で機能す るため,組織の置かれた状況やそのほかのコン トロール手段との関係を顧みずに分析すること で,多くの貴重なノウハウを蓄積する機会が失 われてしまう。  本稿を通じて主張したいのは,以下の 3 点で 2015 年 9 月 30 日受付 2016 年 4 月 22 日掲載決定(受理)

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ある。  第 1 に,イノベーションは異なる局面からな る複雑なプロセスであると認識すべきである。 多くの研究が単純化しているように,イノベー ション創出過程の中の時系列的な幅や局面の違 いを想定せず,「行為」としてイノベーション をモデル化することで,MC 理論にとって重要 な点を見落としてしまう危険性がある。イノ ベーションは,いくつかの異なった局面が存在 する,「プロセス」(異質な行為の集積)として 認識すべきである。それぞれの局面では,課題 や優先事項が異なるため,それらを区別せずに 一様に分析したり,議論したりすることは生産 的ではない。  2 点目として,イノベーションの中での時系列 を想定しないがために,MC とイノベーションの 関係に関する先行研究では,「アイデア創出」の 局面に注目が集まっている。Govindarajan and Trimble(2013)では,イノベーション・プロ セスをアイデア創出,イノベーション実現の 2 つの局面に分けている。イノベーションの実現 の局面の重要性は,アイデア創出の局面と同じ ように重要なはずであるが,MC とイノベーシ ョンの関係を実証的に分析したアカデミックな 研究では,あまり取り上げられていない。イノ ベーション実現の段階では,候補となる案件を 適切に評価し,絞り込む必要がある。  3 点目に,実務の動向を追跡した文献では, イノベーション実現の段階では経験知(craft) を用いた管理会計手法が支持を集めていること である。通常の計画を実現するための場合とは 異なった,管理会計システムの運用がなされて いる。イノベーションと管理会計との関係を検 証する際には,管理会計手法自体の運用形態を 「実行モード」と「学習モード」に区別して議 論する必要がある。  イノベーションと MC の関係性を検証しよ うとする場合,両者とも単純ではないのである。 イノベーションについてはどの局面かによって 経営上の課題が異なる。MC の中核をなす管理 会計手法については,どのような用い方をされ ているのかによって,果たす役割が異なってい る。両者をステレオタイプに単純化した議論か らは,効果的な知見は得られない。より現実に 即したモデルを採用すべきである。

Ⅱ プロセスとしてのイノベー

ション

1 .本稿で対象とするイノベーション  イノベーションとは,「当該企業にとって新 しいプロジェクトであって,その結果が不確か なもの」(Govindarajan and Trimble, 2013, 10) だとされる。事前に結果が分らないために,失 敗を覚悟し,その発生を織り込んだマネジメン トを行わなければならない。また,イノベーシ ョンは,その結果予測の容易性という観点から, 「実現が容易なもの」(型通りの対応を少し改善 したもの)と「実現が困難なもの」(精度低くし か,予測できず,失敗を許容せざるを得ないも の)に分類される(Govindarajan and Trimble 2010, 5; 2013, 10)。

 結果に関する不確かさは,どのような行為に もある程度はつきものであり,整然と分類され るというよりは直線上に程度の大小で位置づけ られるものと考えたほうがよいであろう。 Govindarajan and Trimble(2013)では,結果 に関する不確かさが顕著な状況がイノベーショ ン の 特 徴 で あ る と 考 え て い る 。 本 稿 は , Govindarajan and Trimble(2013)に倣い,不 確実性の高い状況でのイノベーションを想定し て以降の議論を進めることとする。工程改善な どに典型的な漸進的なイノベーションの企業経 営における重要性を否定するものではないが,

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マネジメントの困難性という意味で,より示唆 に富む,実現が困難なイノベーションを考察の 対象とする。 2 .イノベーション・プロセスの 2 つの局面  イノベーションは単独の行為として見るべき ではなく,時系列に並んだ異質な行為の集合体 であると考えたほうが,その本質をより正確に 理解できる。Govindarajan and Trimble(2005, 4; 2013, 3)では,イノベーションの構成要素と して以下の 2 つをあげている。生態学の比喩を 用いれば,「変異」(生物多様性)を生じさせる 段階と「淘汰」によって種を絞り込む段階に相 当する(2)。多様性という観点から,行為の結果 がもたらすベクトルが真逆になっていることが 分る。完全に異なった活動であり,両者を区別 することが MC にあたえるメリットは大きい。 ①  アイデア創出(新規事業の構想などを考え だし,具体化する段階) ②  イノベーションの実現(提案された事業案 を精査し,改善し,絞り込み,価値獲得に結 びつける段階)

 Govindarajan and Trimble(2005, 2013)では, どちらの局面もイノベーションには不可欠であ るが,革新的なアイデアをいくら提起したとこ ろで,それは不確かな思惑に過ぎず,経営上の 重要性でいえば,イノベーション実現の局面の ほうが重要であるとの見解を採っている。  イノベーション実現の局面の重要性は,多く の論者によって,指摘されている。Davila et al. (2006, 89) では,「イノベーションでは,創 造性と価値獲得のバランスが重要である」と述 べ,イノベーション実現段階への配慮を促して いる。Reif (2013)でも,イノベーション・プ ロセスは,アイデアを成果にまで結びつける過 程であると把握し,イノベーションをプロセス だと明確に認識している。Busco et al. (2012) では,イノベーション・プロセスは,創造的探 索 (exploration) と効率的活用 (exploitation) からなること,イノベーションにとって,創造 性は必要条件であるが,十分条件ではないこと が指摘されている。重要なのは,新しいアイデ アを創出するだけにとどまらず,それを現実化 することであり,新奇なアイデアが事業上の価 値に転換されることがイノベーションには不可 欠であるとの見方が提示されていることである。 Anthony (2014, 12) では,「アイデアを市場で 花咲かせるまでの過程の初めの一歩(ファース トマイル)で致命的な失敗を起こしがちであ る」と指摘し,イノベーションをプロセスとし て把握したうえで,特にイノベーション実現の 局面の初期段階が重要であるとの主張を展開し ている。Kotha et al. (2014) では,科学的努力 と商業的成功の間に横たわる本質的なテンショ ンを指摘し,その克服方法を提示している。 Tao et al. (2010) では,イノベーションにおい て最も重要なのは,アイデアから価値獲得への プロセスにおけるハードルをどうにかして飛び 越えることだと述べている。Michel(2014)で も,同じように,イノベーションによる創造性 だけでなく,価値獲得が重要であると主張され ている。  このように多くの論者によって,イノベーシ ョンは異なった局面からなるプロセスとして認 識されている。さらに,アイデア創出だけでは なく,イノベーション実現の局面の重要性が指 摘されている。  Anthony (2014, 9)では,「アイデアから実 際に価値が得られるようになった時点で,初め てイノベーションと呼べる」と述べ,アイデア 創出だけでは意味がなく,イノベーション実現 のプロセスを伴ってはじめて,イノベーション が成立するとの見方が採られている。アイデア の創出だけでは経済的価値をもたらさないため,

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経営上の貢献は少ないため,本稿でも,「アイ デア創出+イノベーション実現=イノベーショ ン・プロセス」という見方を採用する。  Govindarajan and Trimble(2005)では,図 表 1 のようにイノベーションをモデル化してい る。アイデア創出の局面では,創造性が重視さ れる。アイデア創出段階で提起された事業の構 想は,イノベーション実現の局面で事業計画に 具体化され,選抜を経て,市場に投入される。 順調に成長を遂げ,市場でのテストを通過した ものが,イノベーションのプロセスを無事に卒 業し,通常の事業としての地位を獲得するので ある。通常の事業運営では効率性が重視される。 図表中に表れているコードというのは,のぞま しい行動に関する原理である。それぞれの局面 でコードが異なっていることに注目されたい。  段階を進むにつれて,可能性のないアイデア は次々と淘汰されていく。企業内の資源には限 りがあるため,イノベーション実現の局面では, アイデアを事業計画に落とし込むと同時に,将 来の発展可能性を評価し,見込みのないものは 棄却しなければならない。このことから,イノ ベーション・プロセスを漏斗に例える説明の仕 方がよくなされている(Davila et al. 2006, 295)。 3 .イノベーションと MC の関係性に関する 先行研究の特徴  イノベーションと MC の関係性については, これまでに相当な研究の蓄積がなされている。 イノベーションと MC の関係について扱って いる先行研究を網羅的に整理した文献として, Demartini(2014)が有益である。Demartini (2014)では,1980 年から 2011 年までの期間, イノベーションと MC に関連する文献につい てデータベース検索を実施した。359 点の文献 をいったん収集し,内容を検討した結果,68 点に絞り込んでいる。68 点を研究方法論で分 類した場合の内訳としては,実証研究が 51 点, 概念研究および文献研究が 17 点であった。そ れぞれについて吟味し,イノベーションを分類 する 4 つの視点と伝統的な狭義の MC と拡張 された MC(業績管理,PM)との関係性が, 以下の 4 つのマトリクスに整理されている。対 象(種別),性質,源泉,影響のいずれの視点 においても,伝統的な MC がイノベーション を阻害する傾向が図示されているのに対して, 拡張された広義の MC(PM)はイノベーショ ンを促進することが示されている。重要なのは, プロセスとしてイノベーションを把握するとい うアプローチがあまり顧みられてこなかったこ とである(3)  このようにイノベーションと MC に関する 先行研究の問題点としては,多くの研究でイノ ベーションの時間軸を考慮していないことがあ げられる。例えば,Bisbe and Otley (2004)に 見られるように①イノベーションに複数の局面 が存在することを捨象し,単純な行為として把 握していること,②アイデア創出の局面に限定 して,議論を展開していることの 2 点が指摘で きる。質問票調査による実証研究を前提とした 場合,研究自体の実行可能性は高まるが,企業 内部のイノベーション・プロセス現実を把握し, 図表1 プロセスとしてのイノベーション アイデア アイデア創出 イノベーション実現 イノベーション・プロセス 通常事業 事業計画 → 市場投入 → 成長 創造性から効率性への「橋渡し」 コードX (忘却,借用,学習) 価値獲得 効率性 コードA → 創造性 → コードB → → → →

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理論構築するためには,過度の単純化であるお それが否定できない。Bisbe and Otley (2004) の仮説を示した図表 3 を参照されたい。前述の Anthony (2014, 9)などの,アイデア創出だけ ではなく,実現段階も重視するイノベーション の定義に則れば,業績への好影響がイノベーシ ョンに含まれていない b の仮説自体が不整合 で不適切である。業績への効果をともなわない イノベーションの存在を前提としているからで ある。業績達成までも含めた全体のプロセスを イノベーションのプロセスだという見方が重要 である。  管理会計研究としてみれば,アイデア創出が 業績にいかに結びついているかを明らかにする ことには大きな意義がある。しかし,マネジメ ントの視点からすれば,その新しいアイデアを 実際に業績向上に結び付ける努力を行っている わけで,b を達成することこそが課題となる。 先行研究では,イノベーションを主にアイデア 創出のための活動として捉えるケースが多く見 られるが,b の過程全体を含めてイノベーショ ンとして捉えるべきであることが近年,多くの 論者によって主張されていることに注意が必要 である。実際に,b の過程を管理し,達成する ことが,イノベーションのマネジメントで重視 されるポイントである。先行研究では,過度の 単純化の傾向が顕著である。このような単純化 のリスクは,Henri (2006),Chenhall et al. (2011)などのモデルにも同様に見ることがで きる。  ケースに依拠した研究でも,同様の偏向が観 察できる。例えば,Mouritsen et al.(2009) では,アイデア創出としてのイノベーションに 図表2 イノベーションの分類とマネジメント・コントロールとの関係 (出所)Demartini(2014 104)を簡略化して作成。×は阻害関係、○は促進関係(支援関係)を示す。 対象(種別) 源泉 組織,販売 × ○ 経常的 × ○ プロセス 製品 × ○ 起業家的 × ○ MC PM MC PM 性質 影響 組織 × ○ 破壊的 × ○ 技術 × ○ 持続的 × ○ MC PM MC PM

図表3 Bisbe and Otley(2004)のモデル インターラクティブ・コントロール としてのMCの活用 イノベーション a b c 業績 (出所)Bisbe and Otley(2004 713)より作成。

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対して直接的な関心が向けられている。イノ ベーション実現の局面については,それほど大 きな関心が払われていない。  イノベーションを行為として点でとらえるか, 異なる局面からなるプロセスとしてとらえるかは, 研究戦略上の重要な選択肢であり,それぞれに 一長一短がある。局面によって,MC に求めら れる役割が異なる以上,プロセスとして把握す るアプローチにはメリットが大きいと考える。

Ⅲ イノベーション・プロセス

における創造性と効率性

1 .到達目標としての創造性と効率性  前節までの議論で,イノベーションと MC との関係を実際に近い形で把握するためには, イノベーションを複数の段階からなるプロセス としてとらえることが重要であること,イノ ベーションを 2 分割した場合の後半部分にあた るイノベーションの実現の局面が,経済的な成 果の獲得のためには不可欠であると広く認識さ れていることを確認した。イノベーションと MC の関係に関する議論は,アイデア創出の局 面に重点が置かれており,まったく異なる機能 を期待される,イノベーション実現における MC の役割についての考察も同じように必要で ある。今日では,MC に期待される役割は複数 あり,それらの役割を同時に達成するためには, MC をパッケージとして捉える必要が生じてい る(4)

 Govindarajan and Trimble(2005)によれば, イノベーション実現の局面における課題は, 「創造性から効率性への移行」として表現され, 「アイデア(創造性)を安定的な価値獲得(効

率性)へと,どのようにして結びつけるか」を 実現しなければならないと表現されている (Govindarajan and Trimble 2005, 6)。

 ここで重要なのは,創造性と効率性を同一時 系列上のトレードオフ関係,つまりジレンマ (Simons 1995, 160)として考えるのではなく, プロセスを進行するにつれて重点変化する,到 達目標として捉える見方が採用されていること である。図表 1 にある通り,移行過程を経て, 事業計画,市場投入,成長目標の達成と段階を 進んで右に移行するにつれて,創造性の必要は 減っていく。事業計画の経済性や実行可能性が 実際に検証され,事業遂行にともなう様々な不 確実性をコントロールし,事業が軌道にのり, 安定するまでは,試行錯誤を行い続けなければ ならず,効率性のみを重視することはできない。 事業として確立し,ある程度目処が立った以降 の段階からは,創造性よりも効率性が重視され るという状況を図表 1 は表している。 2 .イノベーション・プロセスとマネジメントの 3 要素  図表 1 では,イノベーションを異なった局面 からなる,一連のプロセスだと認識している。 このような見方を採れば,イノベーション・プ ロセスの各局面で重視される到達目標が違って くることが理解できよう。  アイデア創出の局面では,検討対象となる, 多様な事業計画の構想が提起されるのが望まし く,「創造性」が到達目標になる。それに続く, イノベーション実現の局面では,「創造性から 効率性への橋渡し」が期待される。提案された 事業計画について,実際の成功可能性が検証さ れ,有望なものだけが選別され,市場に投入さ れる。市場投入後も市場動向に対応して事業計 画の更新がおこなわれ,最終的に見込みのない 場合は棄却される必要がある。検証を通り抜け た事業計画については,大幅な試行錯誤の段階 を終了し,通常事業として認められる。ここま できてはじめて,効率性の追求に重点が移行す

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ることになる。  局面が異なれば MC の役割も大きく異なっ てくることが予想される。それぞれの局面でど のようなマネジメントが求められるのか。この 点 に つ い て は , 筆 者 独 自 の 試 み と し て , Mintzberg (2004, 2007, 2009)による,「マネ ジメントの 3 要素」の概念に依拠して考察を行 う。  図表 4 に示されているのが,「マネジメント の 3 要素」である。Mintzberg (2004, 2007, 2009)によれば,いずれも経営管理活動全般に おいて不可欠な 3 つの要素であるとされる。経 営管理活動では,基本的には Science が適用さ れる傾向があるが,それと同等か,時としてそ れ以上に Art にも依存しており,場合によっ ては Craft に基礎を置く場合もあるとされる。 図表 4 のように,実践としてのマネジメントは, Art, Craft, Science という 3 要素が頂点をな す三角形の内部のどこかに位置づけられる (Mintzberg 2009, 10)。なお,この 3 つの要素は, 経営管理活動に限らず,「人が何かに取り組む際 に利用可能な 3 つの基本的な方法」(Mintzberg 2004, 92; 2007, 362-363; 2009, 10 )でもある。  マネジメントの 3 つの要素のうち Art は, 人間の創造力が発現したるもので,通常は個人 の着想や感覚的な判断にもとづく。Art によっ て,マネジメントに「思い」と一貫性がもたら される。次いで,Craft とは,実践からの学び を意味し,経験(たくさんの人々に共有されて いることが多い)にもとづく。現実を参照する Craft によって,マネジメント実践は,単なる 直感や机上の空論ではなく,地に足のついたも のになる。最後に,Science は,体系的エビデ ンスによる判断であり,分析(専門家によって 行われることが多い)にもとづく。Science の 要素が加わることによって,マネジメント実践 には法則性や秩序がもたらされる。  アイデア創出の局面では,到達目標として創 造性が重要となるため,Art の要素が果たす役 割が大きいと考えられる。これに対して,通常 事業への移行後(価値獲得のマネジメント)の 局面では,事業遂行に関する不確実性の減少に ともない,創造性のウェイトが低下し,効率性 が到達目標として強調される。この局面では, Science の重要性が高まると考えられる。  アイデア創出局面と通常事業の中間に位置す るイノベーション実現の局面では,どのような マネジメントの要素が強調されるのであろうか。  一般に,情報(intelligence)を得るための 方法としては,①合理的計算アプローチと②経 験からの学習(実践)にもとづく学習アプロー チの 2 つがあるとされる(Govindarajan and Trimble 2005, 208)。①はデータを集め,分析し, 予測を行うもので,マネジメントの 3 要素の Science に対応し,②は経験に基づいた Craft に対応している。図表 4 の通り,両者の使い分 けは,将来予測が一定以上の精度で可能な場合 は,合理的計算アプローチを利用し,将来予測 が困難である場合には,事前に推論を実施する ことは困難であるから,実践にもとづく学習ア プローチを利用せざるを得ない。事前に収集で 図表4 マネジメントの 3 要素 Art 思い 想像力 Craft 経験 実践からの学び Science 分析 体系的エビデンス 実践としての マネジメント (出所)Mintzberg (2004, 2007, 2009)より作成。

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きるデータが限られていて,将来が予見できな いときには,合理的計算アプローチには限界が ある(Govindarajan and Trimble 2005 208)。  イノベーション実現の局面で重視されるマネ ジメントの 3 要素については,次のように考え られる。  イノベーション実現過程において重要な項目 が既知,つまり将来が一定以上の精度で予測可 能な場合には,合理的計算によって,問題解決 に必要な情報が得られる。これに対して,多く の新規事業に該当するが,重要な項目が未知で, 将来が一定以上の精度で予測するのが不可能な 場合には,実践にもとづく学習によって,問題解 決に必要な情報を得ることになる(Govindarajan and Trimble 2005, 91, 154, 208)。ここまでの 議論をまとめると,アイデア創出の段階では Art,通常事業に移行後は Science,その中間 に位置するイノベーション実現の局面では, Science または Craft が強調されると考えるこ とができる。  既存事業を遂行するために伝統的な MC を 適用するならば,その中心には Mintzberg の マネジメントの 3 要素のうちの Sience が位置 づけられる。ところが,不確実性が高く,事前 の予測が困難なイノベーションを実現するには, 実践による学習,つまり Craft の重要性が相対 的に高くなることが予想される。このような推 論は現実にも妥当し,実務上も実践かの学習を 重視した経営手法に対する注目が集まっている。 次節では,Craft の要素を重視した MC とは, どのようなものであるかを見ていこう。

Ⅳ 実践からの学習にもとづ

くイノベーション実現の

マネジメント

1 .テスト・アンド・ラーンのアプローチ  前節で見たとおり,イノベーション実現の局 面では,アイデア創出の局面から提起された 様々な事業計画の構想が,財務数値として具体 化され,市場で生き残れるかどうかを検証する ことに重点が置かれる。不確実性が高く,利用 可能な情報が限られている状況では,テスト・ アンド・ラーンのアプローチが採用される傾向 が強い。テスト・アンド・ラーンのアプローチ とは,小規模の実験を実施し,その実験から得 られた市場からのフィードバックにもとづいて, 重要な仮説を系統立てて検証する方法論である。 マネジメントの 3 要素に関連づければ,Craft を現実に適用可能なように実装した手法である と解釈することができる。不確実性の高い状況 では,オプションが価値を持つのと同様,テス ト・アンド・ラーンのアプローチの有効性が指 摘されている。  様々な呼称や経営手法があるが,代表的な具 体例として,発見志向の事業計画法(DDP; discovery-driven planning) (McGrath and MacMillan 1995, 2000) があげられる。このよ うなテスト・アンド・ラーンのアプローチに拠って いると考えられる類似の手法の手法としては,以下 のような経営手法がよく知られている(Silverstein et al. 2012, 90-91; Balasubrahmanyam et al. 2012; Leifer et al. 2000, 226; Furr and Dyer 2014)。 適用される場面は異なっているが,いずれもリ アルオプションの考え方を現実化するものであ り,不確実性の高い状況下で science の限界を craft で補おうとする共通点がある(5)

◦ ビジネス実験(Thomke and Manzi 2014) ◦  リーン・スタートアップ (Blank 2009;

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Ries 2011)

◦ 実験的イノベーション(Sims 2011, 7) ◦  実地試験記録ツール(Mullins and Komisar

2009)

◦  理論重点の計画法(Govindarajan and Trimble 2004)

◦ 探索と学習 (Lynn et al. 1996)

◦ 重要仮説計画法 (Sykes and Dunham 1995) ◦ 次につながる失敗(Leonard-Barton 1995) ◦  探索的マーケティング(Hamel and Prahalad

1994, 237)。

◦ 仮説基準の計画法 (Dewar et al. 1993) 2 .DDP とは何か

 McGrath and MacMillan(1995, 2000)によ れば,DDP とは,実践から学習するための事 業計画の方法論であるとされる。新規事業の立 ち上げで効果を発揮することが期待され,通常 の事業に適用される事業計画とは運用の仕方が 大きく異なっている(6)。実務での慣行を理論化 したものであり,新規事業を軌道に乗せる際に 用いられるべき MC の中心的な技法として認 められつつある。その前提は,新規事業の開始 時点では,企業内部および外部の変数について, 確実に分かっていることはほとんどなく,多く は仮説であるに過ぎないということである。  DDP 実施の目的は,不確実な状況で,新た なデータが得られる都度,計画を評価し直すこ とで,計画に含まれている仮説を新たな情報へ と体系的に変換することにある。この点が,事 前に設定されたシナリオの効率的な実行に主眼 が置かれた,伝統的な事業計画(実績基準の計 画法,通常の予算管理)との違いである。伝統 的な事業計画は,過去の経験という実績に基づ いて将来が推定できることを前提とした計画法 であり,既存の継続事業に適用するのが合理的 である。イノベーション実現の局面で検討対象 となっているような新規事業の事業計画につい ては,将来の予測数値も不確かであるために, 事業計画と実績を定期的に比較することで,① 事業計画の予測精度を向上させる,②事業計画 の更新の機会を確保する,③事業計画に対する 資源配分の妥当性を検証するといった目的を果 たすことができる。  ベンチャー企業で頻繁に用いられていた実務 を結実させた DDP は,多くの文献で引用され, その効果が主張されている。

 たとえば,Govindarajan and Trimble (2004) は,自分たちが主張する「理論重点の計画法」 と類似の計算手法として DDP を紹介し,その 異同について説明している。Govindarajan and Trimble (2004)の提唱する計算手法と DDP は, 同じ目的を有しており,マイナーな相違点はある ものの,多くの点で共通している。Christensen et al. (2008)は,投資評価手法として,DDP の適切性を主張している。Shim et al. (2011, 383-384)の Budgeting Basics and Beyond (4th ed.)では,資本予算に関する章の中で,DDP について説明している(ちなみに,2008 年の 同 書 3 版 で は 言 及 が 行 わ れ て い な い )。 Anthony (2014, 58)によるイノベーション実 現のマネジメント手法(ファーストマイル・ ツールキット)において,DDP と同様の考え 方が取り入れられている。 3 .Craft を実現する手法としての DDP の意義  DDP はマネジメントの 3 要素のうち,Craft を強調した事業計画の手法であると位置づける ことができる。伝統的な事業計画では,事前の シナリオの適切な実行に主眼が置かれていた。 これに対して,DDP およびその他の様々な呼 称でよばれる学習志向の計画法では,現実と想 定とのギャップを測定する目的として,シナリ オ自体の検証,資源配分の妥当性のチェックに

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より大きなウェイトが置かれている。過去から 将来の予測が不可能な場合には,予測の基礎と なった仮説に注意を向けて,予測と成果との差 異を入念に分析することで,仮説についての学 習を行うのが DDP の意義である(McGrath and MacMillan 1995; Govindarajan and Trimble 2004)。  役割期待が大きく異なっているため,伝統的 な事業計画と DDP とでは,計画未達(計画値 と実績値との差異)の解釈が違ってくる。事前 に設定されたシナリオの実施を目的とする,伝 統的な事業計画では,計画未達は,計画の実行 が不適切であったために生じた現象として解釈 される。対応するアクションとしては,原因分 析や責任追及が行われる。これに対して,学習 のために導入される DDP では,計画未達は事 前に設定されたシナリオおよびその基礎となる 仮説が正しくなかったことを意味する。対応す るアクションとしては,新たな情報にもとづい てシナリオおよびその基礎となる仮説の修正が 実施される。  計画未達をネガティブに認識する,目標必達 の文化の存在は,通常の事業計画では,シナリ オの実現を後押しするのぞましい要因だと考え られる。これとは対照的に,イノベーション実 現の局面では,イノベーション実現の過程にお いて,目標必達の文化が存在することは,よく ないことであると受けとめられる。その理由は, ①当初の予測自体が不正確で,誤りがつきもの であること,②目標達成を強調しすぎると,取 り繕いや社内粉飾がなされ,学習が妨げられる。 その結果,事前のシナリオそのものの問題点は 問われず,必要な修正が試みられず,環境変化 が無視されてしまうことの 2 点である。イノ ベーションのプロセスでは取り組みの相当部分 が失敗に終わることは避けられないため,「計画 通りの結果を出さなかった」ことは必ずしも誤 りではない。「失敗から学習しない」ことこそが 真の誤りである(Govindarajan and Trimble 2005, 104; 2010, 18)。  すなわち,学習を促進するためには組織全体 として試行錯誤を抑圧せずに,むしろ,これを 義務づけ,取り組みについて,高く評価するこ とが不可欠である。失敗を許容しないのでもな く,失敗に寛容なのでもなく,学習のためには 失敗は必然かつ不可避であると考え,これを積 極的に経験しよとするメンタリティの共有がの ぞまれる。そのためには,たとえば DDP のよ うに計画の運用の仕方を従来とは変える必要が 出てくる(伊藤 2014)。 4 .DDP の具体的運用 ◦ 仮説の検証  計画に含まれる仮説の中で重要なものを, 「仮説リスト」に記載する。各仮説について, 変動幅を見積り,シミュレーションを行う。仮 説には内的仮説と外的仮説とがあり,内的仮説 とは,社内で決定できる変数に関する想定であ る。外的仮説とは,社外に起因し,自社でコン 図表5 通常の事業計画と DDP の相違点: 計画未達の解釈 通常の 事業計画 DDP シナリオ の実行 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ 目的 学習(シナ リオ更新 計画の実行が 不適切で あった。 計画未達の 解釈 予測(その基礎 の仮説)が不適 切であった。 責任追及 アクション 新たな情報 に基づく予 測(その基礎 の仮説)の 修正 (出所):Govindarajan and Trimble(2004)をもとに,      筆者作成。

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トロールできない変数についての想定をいう。 ◦ マイルストーン管理  DPP のメリットは,環境変化についての追 加情報を入手する都度,シナリオを更新できる 点にある。時系列上の重要なイベントをあらか じめマイルストーンとして決定し,マイルス トーンごとに仮説の妥当性をチェックする。  DDP によって,不確実性の高い将来での新 規投資プロジェクトを評価する際に,マイルス トーンごとに,新たに収集した情報をもとに事 業計画を再評価し,改訂できる。イノベーショ ンの実現の局面のように事前情報が乏しい状況 ではマネジメントの 3 要素である Craft に依存 せざるを得ず,経験からの学びを体現化した計 算技法だと考えることができる。  DDP による,アウトプットは,見積財務諸 表であり,計算構造的には,通常の事業計画策 定プロセスと何ら変わるところはない。運用方 法の違いが,大きな性格の違いをもたらしてい るのである。ここで注意しなければならないの は,通常モードでの事業計画と学習に主眼を置 いた DDP のような事業計画では,組織成員に あたえる影響が大きく異なっているということ である(7)。イノベーション・プロセスに関わる MC も一様ではなく,実証研究を行う場合には, 運用モードの違いを考慮に入れることが不可欠 である。

Ⅴ 結びにかえて

 本稿では,イノベーションと MC の関係に ついてこれまでの研究を整理し,論点の整理を 試みた。  本稿の本質的な貢献は,イノベーションと MC の関係についての関係をイノベーションと MC の両面から整理したことにある。イノベー ションと MC の関係に関する実証研究は,こ れまで様々な矛盾する結果が見られた。その原 因は,以下の 2 点にあると考えられる。1 つ目は, イノベーションにはプロセスによって強調点が 異なるのを考慮しなかったこと。2 つ目は, MC にも様々なコントロール手段が含まれ,特 に会計数値によるコントロール手法にも異なっ た運用モードがあることを看過していたことで ある。  イノベーションと MC の関係を取り上げた これまでの研究には,イノベーションに含まれ る複数の異なった内容からなる活動を捨象して, 状況を理解しようとしていた傾向が見られた。 イノベーションには,事業計画の候補を広げる 段階と絞り込む段階の 2 つがある。廣本・伊丹 (1985)で述べられているように,イノベーシ ョンの成果を得るためには,広げる方向だけで はなく,絞り込む方向も重要である。イノベー ションをプロセスとして捉えることで MC に 期待される役割が明確になり,多くの示唆が得 られることを明らかにした。特にこれまでの研 究では,イノベーションのアイデア創出の局面 について多くの研究が行われてきた。アイデア 創出の局面だけでなくその実現過程にも着目す ることが必要である。包括的な文献レビューを 行っている Demartini (2014)でも,このよう なプロセスにもとづく整理が行われていないこ とからも,局面ごとに MC の機能を考えると いう潮流は一般化していないことが伺われる。 イノベーションをプロセスとして考え,アイデ ア創出の局面とイノベーション実現の局面では, MC に期待される役割が異なっていることを念 頭に置くべきである。  イノベーションの実現の局面は,創造性を効 率性へとつなげる過程である(この場合,創造 性と効率性はジレンマではなく,プロセスとし て捉えられる)。このとき,マネジメントの 3 要素である Art, Craft, Science のうち,事前情

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報が乏しい場合には Craft で代替したり,補完 したりする必要が生じる。実務でこれを担保す る手法として DDP および類似の手法に多くの 論者が言及していることが確認された。イノ ベーションが異なった活動からなるプロセスで あるのと同様,事業計画についてもその運用の され方によって,シナリオの実行を強調したも のか,シナリオの更新(選別)に軸足を置いた ものかが変わってくることを明らかにした。  会計数値によるコントロール手法がイノベー ションに与える影響を吟味する研究がこれまで 数多く積み重ねられてきた。会計数値によるコ ントロール手法が企業のイノベーション創出活 動にプラスマイナスいずれの効果を与えるかは, ⑴イノベーションのどの局面を問題にしている のか(アイデア創出の局面か,イノベーション 実現の局面か),⑵会計数値によるコントロー ル手法がどのような用いられ方をしているのか (シナリオの実行に重点を置いているのか,学 習に重点を置いているのか)によってまったく 異なった結果が想定されることに注意すべきで ある。 (謝辞)  本稿は,日本原価計算研究学会第 40 回大会自 由論題報告をもとに作成したものである。司会の 中村博之先生(横浜国立大学),貴重なコメント を頂戴した櫻井通晴先生(城西国際大学),中村 輝夫先生(元日本化薬),島吉伸先生(近畿大学), 匿名査読者に深く感謝の意を表します。  本研究は,ISPS 科研費 26380617 の助成を受け たものです。 (注) ⑴マネジメント・コントロールは,たとえば,「従 業員の行動および意思決定を,組織の目標およ び戦略と一致させるためにマネジャーが用いる すべての手段ないしシステム」(Merchant

1985; Merchant and Van Der Stede 2007)と定 義されるなど,今日では,会計コントロール以 外のコントロール手段も含めて,パッケージと してマネジメント・コントロールは捉えられて いる。本稿ではこのような広義での MC 概念を 前提としている。この点に関する議論について は,新江・伊藤(2010)を参照されたい。 ⑵たとえば,Burgelman は,変異,淘汰という生 態学の概念を用いて戦略変更プロセスを説明し ている。戦略変更に対する MC の役割について, 新江・伊藤(2012)では,この Burgelman モ デルに依拠して検討を行っている。 ⑶イノベーションをプロセスとして把握し,アイ デア創出段階だけではなく,実現段階を重視す る見方は,イノベーション・マネジメントや新 規事業マネジメントの研究領域では多くの論者 によって行われている。MC 研究の分野につい ては,イノベーションをプロセスとして把握し, MC との関係を考察する見方はほとんどなされ てきていない。 ⑷この点に関する議論については,新江・伊藤 (2010)を参照されたい。 ⑸経営戦略に重要な非財務的業績足的尺度を体系 化した手法としては,BSC(Balanced Score-card)がよく知られている。それ以外にも,論 者や適用企業によって多くの種類があり,それ らは戦略的業績測定システム(Strategic Per-formance Measurement System, SPMS)と総 称されることがある(Chenhall, 2005)。本稿で も DDP 以外に多くの呼称や手法があることは よく理解しているが,ここでは,リアルオプシ ョンの考え方を実装するための craft に依拠し た事業計画の「典型例」という意味で DDP を 用いて,これ以降の議論を進めている。 ⑹本稿では,実行に重点が置かれた伝統的な事業 計画法と対比される,学習志向の計画法の代表 例として DDP をとりあげた。その具体的な適 用事例については,大江・北原(2002),伊藤 (2014)などを参照して頂きたい。 ⑺このような現象が見られるのは,会計には構成 的役割(constitutive role)があるためである

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(Hopwood 1983)。この点に関する議論につい ては,新江・伊藤(2014)を参照されたい。 【参考文献】 新江孝・伊藤克容 . 2010. 「マネジメント・コント ロール概念の再検討―コントロール手段の多様 化をめぐる問題を中心に―」『原価計算』34(2): 150-160. 新江孝・伊藤克容 . 2012. 「マネジメント・コント ロール概念の再検討―戦略創発との関係に着目 して―」『会計学研究』26: 1-15. 新江孝・伊藤克容 . 2014. 「組織変化におけるマネ ジメント・コントロールの役割―新たな視点の 提案―」『原価計算研究』38(2): 15-26. 伊藤克容 . 2014. 「新規事業評価のための DDP に 関する考察」『成蹊大学経済学部論集』 45(2): 101-117. 廣本敏郎・伊丹敬之 . 1985. 「研究開発管理におけ る緩急の組合せ」(今井賢一編著『イノベーシ ョンと組織』東洋経済新報社 : 73-94). 大江建・北原康富 . 2002. 『儲けの戦略 : 新規事業 の計画・評価・検証』東洋経済新報社 .

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参照

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