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齒科領域に於ける知覺クロナキシーの臨牀的研究 (其の1) 齒牙知覺クロナキシー測定法竝びに正常齒牙知覺クロナキシー値に就いて

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(1)

104 前 田=齒 科 領 城 に 於 け る知 覺 ク ロナ キシー の 臨 牀 的 研 究

齒 科 領 域 に於 け る知 覺 ク ロ ナ キ レ ー の 臨 牀 的 研 究

(其 の1)齒

牙 知 覺 ク ロ ナ キ シー測 定 法 竝 び に

正 常 齒 牙 知 覺 ク ロ ナ キ シー値 に就 い て

大阪帝 國大學醫學部齒 科學敎 室(弓倉敎授)

マ ヘ

量平

リ ヨ ウ ヘ イ (本論文 の 要 旨 は第12囘 口腔病 學 會總 會 に於 い て發 表 せ り)

第1章

從 來 最 も一 般 に 應 用 せ られ仁 る齒 髄 知 覺 器 の

診 査 法は 之 を 器 械 的,温 度 的,化學

的竝 び に電

氣 的 刺 戟 法 を以 て 其 の主た る ものと せ り。

然 れど も,周 知 の 如 く齒 髓 は 其 の外 周 を全 く

硬 組 織 に 依 りて 包 擁 せ ら るゝが 故 に,之 等 を使

用 し診 斷 を行 は んと せ ば,充 分 な る愼 重裡 に 行

は ざれ ば,其 の 間 に あ りて過 誤 を生 す る憂 頗 る

大 な り。 況 んや齒髓 疾 患の特 性と

し て 疼 痛 甚

だ 放 散 し易 く,且 又 疼 痛 の所 在 を 自 ら明 示 し難

き例 に 於 い て は一 層 の 困難 性 を増 大 す るの み な

り。

蓋 し近 來 齒 科 醫 學 の 進 歩 は齒 髄 機 能 の精 密 適

確 な る探 索 を 要 求 しつゝ あ り.而 して 上述 せ る

各 種 診 査 法 に 依 りて は實 際 上精 密 な る變 化の 追

及 を行 ひ 得 ざ る は周 知 の 事 實 に して,從 來 最 も

使 用 價 値 大 な る ものと せ られた る シユ レー デル

氏 電 氣 診 斷 法 に於 い て す ら,組 織 の抵 抗 に 依 り

て 左 右 せ られ 必ず し も正 確 な る齒 髄神 經 の状 態

を表 現 す る もの に 非 す 。 且 又判 別 し得た りとす

る も,斯 る時期 に 於 い て は既 に,往

々臨 牀 症 歌

竝 び に齒 髓 の器 質 的 變 化高 度 に して既 に 治 療 の

目的 に 副 ひ得 ざ る場 合 多 し。 殊 に 早 期 諺 斷 を理

想と し,早 期 治 療 を 目的と す る齒髓診 斷 に供 せ

んと す るは尚 隔靴 掻痒 の 感 な き あ実 はず 。

之 れ 余 が ク ロ ナ ギ シー法 を齒科 臨 牀 に應 用 せ

んと 試 みた る所 以 の存 す る所 な り。 惟 ふ に19

06年 佛 國 生 理 學 者Lapicque敎

授 夫 妻 に 依 り ク ロ

ナ キ シー法 を神 經 竝 び に 筋 肉 の 興 奮 性 に應 用

し,神 經 生 理 學 上 一 大 改革 を 行 ひ し よ り爾 來40

年 之 が 應 用 に 關 して 幾 多 の 研 究 行 はれ,ひ

い て

は實 際 臨 牀 方 面 へ の 應 用 又 一 段と 進 展 せ り。 吾

が 國 に於 い て も,早 くよ り本 學 梶 原 教 授 に依 り

て研 究 せ られ,臨 牀 方 面 に 於 い て は 永 井,宮

本,大 原,中 川 其 の他 諸 氏 の業 績 あ り。

飜つ て,齒 科 方 面 に於 い て は,ク

ロナ キ シー

法 の臨 牀 的研 究 は余 未 だ 寡 聞 に して 之 れ あ る を

聞 かず 。 即 ち余が 本研 究 を 行 ひ し所 に して大 方

諸 賢 の

御 批 判 を仰 が んと す る所 以 な り。

第2章

ク ロナ キ シーの 概 要

從 來一 般 に應 用 せ られ れ る 電 氣 診 斷 學 は 生 理學者 Du-Bois-Raymond,Pfl ケger等 に依 り創 設 せ られた る 電 氣 生 理 學 た 基 礎と し發 逹 し來 れ る もの に して,平 流 或 は 交 流 電 氣 た 使 用 し 共 の 開 閉 に 際 し現 は るゝ神 經 或 は筋 肉 の 最 小 興 奮状 態を 以 て 診 斷 に 供 せ り。而 し て之 等 最 小 の興 奮を 起 す に 必 要 な る 最 小 強 度 の電 流 た 閾 價 刺 戟と 呼 び,平 流 の 場 合 に 於 い て はm.A,感 應 電 流 に於 いて は巻 軸 距 離をm.m.にて 表 は した り。 就 中平 流 電 氣 は最 も盛 に 利 用 せ られ,健 常 な る神經 筋 肉 に於 いて は 有 名 な るPf ケgerの 攣 縮 法 則(Norm ale Zckungsgesetz)適 用 せ られ,從 つて 又 此 の法 則 の變 化 に 依り て種 々な る程 度 の病 變 の診 断と せ り.然

れ さ も從來 の 之等閾價 刺戟な るもの は 組織 の興奮性

(2)

前 田=齒 科 領城 に 於 け る知覺 ク ロナ キ シー の 臨 牀 的研 究 105 の み に關 す る もの に あ らす して,各 種 の實 驗 條 件 に 依 り て左 右 せら れ純 粹 な る 組 織 の 興 奮 性 の み 々 規 定 せ る もの に あ らず。從 つて 實 際 上臨 牀 的 應 用 の 範圍 頗 る 限定 せ ら るゝと 共 に 微 細な る病 的 變 化 を 探 索 し以て 的確な る局 所診斷 に資 す るを 得 ざ り しな り。 然 るに ク ロナ キ シー は 既 に 述 ベた るが 如 くにLa -picqueよりて 提 唱せ られた る もの に し て,1814年 Du-Bois-Raymondが神 經 筋 肉 の興 奮性 々 決 定 す る要 素 は 刺 戟 電 流 強 度 の 變 化 にして 刺 戟 電 流 通 過 時 間 に 無 關 係 な り,と 論 じれ る見 解 に 對 す る一 大 革 命な り。 即ちDu-Bois-Raymondの 當 時 に 於 い ては 可能 な り し最 小 の電 流 通 過時 間 は1/200秒 程 度 な り しな り。 共 の後1901年Weissは 一 定 の速 度 々 有 す る ピ ス ト ルの 彈 丸々 利 用 し(圖1),0.0004∼0.0088秒 の 極 め て短 時 間 の平 流 電 氣た 得 るこ とに成 功 し,蛙の 腓 腸 筋 に 就 い て試 みた るに,電 流 通過 時 間 は1/200以上 に 於 いて はRaymondの 述 べ しが 如 く,闥 閾 刺 戟 強 度 は 電 流 通 過 時 間 に は 無 關 係 な る も,それ 以 上 の短 時 間 に 於 いて は 電 流 通 過 時 間 に 逆 比 例 して 闥國 刺 戟 強 度 にて は 最 早筋 肉 の攣 縮を 起 し得 ざ る ごとを 認 め れ り。 此 の發 見 は實 に神 經 筋 肉 生 理學 上 に 於 け る劃期 的 業績と も云 ふべ き もの な り。而 して 彼 は 同一 被試 驗 動 物 に於 い て 電 流 強 度と 通 過 時 間と の 關 係 を測 定 し たる所,刺 戟電 流 強 度(電 厭V)ご 電 流 通 過 時 間(T)と の 關 係 は 圖2に 示 す如 く雙 曲 線(XYZ)に し て,其 の 電 氣 量(VT)と 電 流 通 過時間と の關 係 はQな る直線を 以て 表 は され、,此の 直 線 よ りQ=it=a+btな る方 程 式 が 適 用 せ ら るゝことを 述 ベた り。而 して 之 れ よ り種 々な る實 驗 條件 に 無 關 係 に して 組 織 の興 奮 性 の み を 規 定 す る變 數(Parameter)を 探 索 せ る結 果a/bな る數 値 は之 に 相當 す る こと を 見 出せ り。 圖1ソ イス 氏 ピ ス ト ル 斷 續 器 常 時 彼 は 未 だ ク ロナ キ シーな る言 葉を用 ひず,且 又 其 の實 驗 も中斷 せ られ 發 展 な 見 ざ り しな り。之 れ と略 時 な 同 じ く して 和 蘭 の 電 氣醫 療 家Hoorwegは 人體 に 於 いて 之れと 同 襟 な る 事を 見 出 し 居 リたろも一 般 の 注 意 を 惹 くに至 ら ざ りき。 其 後1906年Lapicq`ue はWeiB等 の電 氣刺 戟の 一 般 法 則 に 關 す る性 質を 確か む る爲 種 々な る研 究を 試 みた る結 果,必 ず し もQ= a'+btな る實 驗 成 績を 得 ざ る こと あ る も,一 般 に は WeiBの 云 へ るが 如 く,神 經 筋 肉 の 被 刺 戟 性を 時間の 變數a/bを 以 て表 は すを 最も適 當 な りと し,之れ に ク ロナ キ シーな る名 々 附 した り。 偖 く最 も被 刺 戟 性 を 表 は す に 適 當 な るa/bな る時間 ,即 ち ク ロナ キ シー に 對 す る刺 戟 電 流 の 弧 さ如 何 と云 ふ にWeisの 電 気量 直線 よ り 電 流強 度を 求 むれ ば i=a/t+bと な る。 而 して 實驗 の結 果a/bな る價 の み が興 奮 性を表 は す 變 數 な る こと 判 明せ るが 故 に t=a/bとして上 記 の式 よ りa,bを消 去 せば, i=a+ba/b∴i=2bとなる。 即 ちa/bな る時 間 に相 當 すゐ 電 流 強 度 は 偶 然 に も b即 ち 從來 の平 流 性 閾 價刺 戟即 ち レナバー ゼの2倍 圖2

(3)

106 前 田=齒 科 領 域に於 け る 知覺 ク ロ ナ キ シ ー の 臨牀的研究 に 相 當 す ること判 明 せ り。即 ち 換 言 せばク ロナ キ シ ー は2倍 の 閾 價 刺 戟 強 度を 以て 組 織を 刺 戟 す る時,興 奮を 惹 起 す る に必 要 な る 電 流通 過 時 間 と 云 ふ こと を 得 べ し。 從 つ て實 際 上 に 於いて は,先 づ 從 來 の 如 く閉 鎖 不 流 電 氣 に 對 す る閾 價 刺 戟を 求 め,次 で 電 流強 度 々 を の2倍と な し,その 際 最 小 攣 縮を 起 す に 必 要 な る最 小 電 流通 過 時 間を 蓄 電 器 の放 電 に依 り間接 的 に 求 む, 之を 要 す るに,從 來 の 所 謂 閾 價 刺 戟 部 ちレ オバ ー ゼ なる もの は組 織 の興 奮 性 の み に 關 す る もの に 非 ら ずして各 種 實 驗 條件,例 へ ば 刺 戟 電 極間 組 織 の濕 潤 等 に 依 りて左 右 せ ら るゝ もの な るに 反 し,ク ロナ キシー は 之 等 實 驗 條 件 に無 關係 に して,組 織 の興 奮 性 の み を規 定 す る ものな るが 故 に 余 が 特 に 之 れ が 齒 科 臨牀に 應 用 せ る所 な り。

第3章

知 覺 ク ロナ キ シー測 定樣 式

神經 竝び に 筋 肉 の被 刺 戟性 の測 定 に 於 いて,筋 ク ロ ナ キ シー は 筋 肉 の刺 戟時 に於 け る筋 攣 縮 を 標準と せ る もの な るを 以 て,知 覺 ク ロナ キ シ ーの測 定 に於 い て も刺 戟 時 に一 致 して 生ず る一 定 現 象を對 照と せ ざ ろ べ か らず。 然 るに,知覺神 經 の 刺 戟 現 象 れ る感覺は 全 く主觀的 な る もの な るを 以て,他 覺 的 判 別 困 難 な うか の感 あ る も,一 般 人 に最 も理 解 し易 く,且 明 瞭 に 判斷 識 別 し得 る感 覺 を 選 び,之を 標 準と せ ば 可成 り正確 な ろ 點 まで 測 定 し得 る もの な り。 余 は知 覺 ク ロナ キ シー 測 定 に 於 いて 最 も重要 な る 此の 一定 の感覺 標 準を 痛 覺,腰 覺,觸 覺 の混 含せろ が 如き一 種 獨 特 に して,鮮明 な る グ ロ ナ キシー 感と〓稱 すべ さ感 覺を 標 準と せ り。測 定 器 は本 學 梶 原 教 授指 導 に 依 りなれ る蓄 電 器 法 に 依 る 英 弘 ク ロナ キシ ー メー タを 使 用 せ り。 其 の測 定裝 置 の 概 要 は圖3の 如 し. 低抗 其 の 他 の 原 理 は大 體Bourguignonの ものと 同 一 な る も,其 の特 徴 は ク ロ ナ キ シー に相 當 す る電 壓 即ち2倍 の レオ バ ー ゼを 求 む る際,Rh.(レ オバ ー ゼ)を 鍵Ch.(ク ロナ キ シー)に 移 せば 自働 的 に 行 は るゝ 事 な り。 又 電 流 の 開 閉 に用 ふ る手 鍵 は 自働 鍵と し,之れ に 依 つて2秒 間 に1囘 正確 な る開 閉を な さ しめ,そ の 間 各 一 度 の 逆 電 流 々 通 す る 様 工 夫 しあ り.刺 戟傳 導 子 は 不 分 極 の もの 々 使 用 し,陽 極 傳 導子を 右 腕 に 置 き 齒 牙 測 定 用特 殊不 分 極 傳 導子 は 陰 極 に連 絡 し,測定 せ ん とす る齒 牙 に 固定 す 。傳 導 子 の 直徑 は2mmな り。 さて 知 覺 ク ロナ キシー 測 定 はWalthard,Weber, Ahenburger,Trabitzeheの 實 驗 的 研 究 に 依 りて も明 らか なろ が 如 く,筋ク ロ ナ キ シー に 比 し精神 的 影 響 を受 く ろこと 大 な る もの なろ が 故 に 被 驗 者 は 比 較 的 清 肅な る室 に 於 いて 全 く電 氣 的 に 絶 縁 せ る 治 療 椅 子 に 掛 け しめ精神 的乃 至 肉 體 的 に 安 靜 た 命 じた り。 先 づ 最 小 の ク ロ ナ キ ジー感 た 與 ふ る 閾價 電 厭即 ち レオ バー ゼを 求 め,次 で2倍 の レオ バ ー ゼを 以て 最 小 のク ロナ キ シー感 々 與 ふ る蓄 電 器 の電 氣 容量 を 求 む。 此 の測 定 器 に於 いく は 既 に 記 載 せ るが 如 く1σ=4mf の 關 係 成 立 す うた 以て 之を4倍 しク ロ ナ キ シー値 を求 む。 此 の 際 被 檢 者 は 當該 齒 牙 に ク ロナ キシー 感 々 生 ぜ る際 は 直 ち に左 示指 を 屈 仲 し檢 者に 被 檢 者 の感覺 の 有 無を 合 圖 せ しむ る様 命 じた り。 圖3グロ ナ キ シー測 定 裝 置 略 圖 第4章 本 邦 人 正 常 齒 牙 ク ロ ナ キ シ ー 値 從 來 發 表 せ ら れ れ る 齒 牙 の 正 常 ク ロ ナ キ シ ー 値 を觀る に,1933年R.Weherは0.21σ ∼0.35σ を 正 常 値と せ り。 翌1934年 松 本,中 澤 等 は(1.08σ ∼3.0σを 以て 齒 牙 正 常 グ ロ ナ キ シー 値 な りと せ り。1938年 本 敎室永 井博 士は0.08σ ∼0.16σを正 常値 な りと報告 せ られたる に 對 し,翌 年 再 び 坂 本,松 本 等 は 前 囘 の 値 を訂正 し,0.20σ ∼0.80σ な 齒 牙 正 常 ク ロ ナ キー 値 な りと せ り。 而 して,Weber,松 本 等 は,各 齒 牙

(4)

は-前 田=齒 科 領域 に 於 け る知 覺ク ロナ キシー の 臨 牀 的研 究 107 定 の値を 取 る もの に非 らす して 前 齒 部 の 値 は 小 臼 齒 部 竝 び に大 臼齒 部 の それ よ り大 な る ク ロナ キシー 値 た と る もの な りと報 告 せ るに 反 し,永井 博士 は各 齒 牙 共 略 く同一の 値をと り其 の範 圍 は0.08σ ∼0.16σ な り と發表 せ られた り。 余 は 是 等事 實 の追 及を 行 はんと し,次 の實 驗を 行ひた り。

第1節

實驗材 料竝びに方法

測 定 に 供 した る齒 牙 は 滿18∼70歳 に至 る健 康 な る 男 女 よ り取 材 せ るも の に して,齲 蝕 竝 び に 齒 周 組織 疾 患 に罹 患 せ ざ る健 常齒 牙500本(表1)に して,測 定 部 位 は 前 齒 部 に於 いて は切 端 中央 部,小 臼齒 部 は頬 側 咬頭,大臼 齒 部 は 頬 側 近 心 咬 頭 な り。 測 定 器 はEKO-chronaxiemeterに して,測 定 方法 は 前 章 に 記 載 せ るが 如 し。

第2節

實驗 成績

表1測 定 齒 牙 數(計500) 表2上 顎 齒 牙 に 於 け るク ロナ キシー 度 數 表(單 位 σ.) 表3下 顎 齒 牙 に於 け る ク ロ ナ キ シー 度 數 表(單 位 σ.) 表4A)上 下 顎 各 齒 牙 に於 け る ク ロナ キシー の 算 術平 均(單 位 σ.)

(5)

108 前 田=齒 科 領 域 に於 け る知 覺ク ロナ キ シ ーの 臨 牀 的 研 究 表4B)齒 牙 ク ロナ キ シー の年 齢 的 觀 察 表5上 顎 齒 牙 に 於 け る レオバ ー ゼ(單 位V.) 表6下 顎 齒 牙 に於 け る レオバ ー ゼ(單 位V.) 即ち表2,3,4に 示 せ るが 如 く,齒 牙 ク ロ ナ キ シー は19歳 ∼70歳 の間 に於 い ては 年 齡 別 的 變 化 々 認 め ずし て常 に0.08σ ∼0.16σ 間 に在 り。 次 にWeber,松 本 等 の 實驗 成 績 よ り余 も 亦 各 齒 牙 別 に 之な 觀 察 せ る に全 く前 二 者 の 報 告と 異 り,永井 博 士 の發 表 せ られ れ るが 如 く 各 齒 牙共 略 く同 一 のク ロナ キシー 値 々 示 せ るを 知 れ り。 而 して余 の ク ロナ キ シー値 は 松 本,We-ber等 の それ に 比 し小 な る 値 な 取 り 且動 搖 範 圍 小 な り。 レオ バ ー ゼは增 齢 的 に減 少を 示 す もの な るが 故 に, 余 は 之 々 表5,6の 如 く3群 に 大別 觀 察 せ り。 之 た 觀 るに 一 般 に 上 顎 齒 牙 に於 け る レ オバ ー ゼは 各 年 齢 共 下 顎 の それ に 比 し大 に し て,前齒部 の 値 は臼 齒 部 の そ れ に 比 し稍く 小な る傾 向 あ り。 即ち余 は0.08σ ∼0.16σを 以 て本 邦 人 正 常齒 牙 ク ロ ナ キシー 値と 認 め れ り。 レオ バ ー ゼ は本 邦 人 に於 い て は 上 顎 前 齒 部10V∼40V,同 臼 齒 部10V∼60V ,下 顎 前 齒 部5V∼35V,同 臼齒 部7V∼50V を正 常値 とせ り。 既 に 記 載 せ るが 如 く 余 は 上 下 顎 孰 れ の 齒 牙 に 於 い ても健 常 な る もの に於 いて は0.08σ ∼0.16σ の 一 定 範 圍 の ク ロ ナ キシー 値を 示 す もの なる こ とを述 べた る も,更 に余 は齒 牙 の各 部 位 に 於 け る値を 示 し,合せて

(6)

前 田=齒 科 領 域 に 於 け る知 覺 ク ロナ キ シ 一の臨 牀的 研 究 109 二,三 興 味 あ る事 項 に就 き説 明 す べ し。 圖4(A)は 齒 牙 の 各部 位 に 於 け る ク ロナ キ シー 竝 び に レオ バ ー ゼを 示 せ る もの な り。 即 ち1に 於 け る が 如 く,切端 竝 び に 脣 舌 側孰 れ,の部 位 に 於 い て も ク ロ ナ キシー は 略〓 同 値を 示 せ るに 反 し,レ オ バ ー ゼ は測 定 部 位 々 異 に す るに 從 び變 動 せ り 又 臼 齒 部 に於 い て も同 樣 に して,各 咬 頭 に て測 定 せ る値 は 各 齒 牙 に於 い て略く 同一 な る も,又 レオ バ ー ゼ は 各 部 位 に依 り て異 な れ り。 次 に興 味 あ るは,(B)に 示 せ るが 如く,琺 瑯 質 上 よ り測 定 せ る グ ロ ナ キ シ ー値 は 象 牙 質を 露 出せ しめ 其 の 面 上 よ り測 定 せ る値 と 略 く同一 な ること な り。 又(C)は 前 齒 部 破 折 に 依 り て齒 髓神 經 の 露 出 せ る もの に就 きて 夫 々測 定 した る もの に して,齒 髓 直上 よ り測 定 する も,象 牙 質,琺 瑯 質 上 よ り測 定 す る も, レオバ ー ゼ に變 化を 認 む る のみ に し て,ク ロ ナ キ シー 値 に變 化を 認 め ざ る事 實を 示 せ る もの な り。(D)は 完 全 な る拔 髄,或 は 齒 髓 の死 滅 せ る場 合 に 於 い ては如 何 な る部 位 に 於 い て 測 定す る もク ロ ナ キ シー竝び に レオバ ー ゼ は無 限 大を 示 す もの な り。 上 述 せ るが 如 く健 康 な る齒 牙 に於 いて は,孰 れ の 部 位 に 於 い て もク ロナ キシー 値 は一 定 範 園 内 に 於い て 略 く同一 の値を 示 す もの な り。 之 れ 知 覺ク ロ ナ キ シ ー の臨 牀 應 用 上 特 記 す べ き其 の特 性 な りと思 考 す 。 圖4

齒芽各 部位〓〓 サ3ワロナ

キシー

第5章

齒 牙 知 覺 ク ロナ キ シ

ー法 に 關 す る總 括 的 觀 察

前 章 に 於 いて 余 は 健 常 齒 牙500本 に 就 きて 本邦 人 正 常齒 牙 ク ロ ナ キ シー値 竝 びに 標 準 レオ バー ゼを 決 定 せん が 爲 測 定 觀 察 せ る もの に し て,余 は0.08σ ∼ 0.16σを 以 て 本邦人 正 常 齒牙ク ロナ キ ジー値と せ り。 而 して 又 齒 牙 の 孰 れ の 部 位 に 於 いて 測 定す る も 齒 髓 健 常なろ もの に 於 い て は 此 範 圍 間 に 存 在 す る事 實 は 特 に ク ロ ナ キ シ ーの 齒 牙 臨 牀 應用 上 特 記 す べ き もの な り と思 考 す 。 而して 余 の 正 常 値 をWeber,松 本, 中澤 等 の 成 績と 比 較 觀 察 す る に,余 の値 は最 小,最 大 共 に著 し く小と な れ るを知 る。 其 の理 由 に 關 し ては 種 々考 慮 せ らるゝ も少 くと も,本問題を 解 決 せんと せ ば同一 方 法 に依 りて測 定 檢 索 す べ き もの と 信 す る も り の な る も,測定 材 料 の年 齡 は グ ロナ キ ジ ー値と 重 たな る關 係 あ る ものな り。 即 ち永 久齒 牙 グ ロナ キ シー 値 の 決 定 には 發 育 完 了せ る ものを 選 定せ ざ るべ か らず。 又 レオバー ゼは一般 に 上 顎 の もの は 下顎 の それ に比 し大 に して,前 齒 部 は 臼齒 部 の それ より 小 な り。而 し てレオ バ ー ゼ は松 本,中 澤 等 の値 に比 し余 の値 は稍 く 大 な り.而 して レオ バー ゼ に於 いて も 其 の値 の變 化 はク ロ ナ キシ ー値 の 場 合と 同樣 に し て發 育 未 完齒 牙 に 於 い て は發 育 完 了せ る もの に比 し大な る 値 を 取 る もの な るが 故 に注 意 せ ざ るべ か らず。 而 して 現 に 記 載 せ るが 如 く各 齒 牙 共 略 く同一 の 値 を取 り且 り 齒 牙 各 部 位 に 於 い て も略 く同一 値 々と れ る こと は 實 に 本 法 の 齒 科 臨 牀 應 用 上極 め て重 大 に して 興 味 あ る こ と と思 考 せ ら る。 表7

第6章

1.余

は本 邦 人 正 常 齒 牙 ク ロナ キ シーと して

(7)

110 前 田=齒 科 領 域 に於 け る知 覺ク ロナ キ シーの 臨 牀 的 研 究 0.086∼0.16σの一 定 範 園 内の 値 を 得た り。 而 して 又 齒 牙 の 孰 れ の 部 位 に 於 い て 測 定 す る も健 常齒 髄 な る場 合 は 上 記 一 定 範 圍 内 を 示 す 。 2.レ オ バ ーゼ は 上 顎 前 齒 部 は10V∼40V,上 顎 臼 齒 部 は10V∼60V,下 顎 前 齒 部 は5V∼30V, 下 顆 臼 齒 部 は7V∼50Vを 標 準 値と せ り。 擱 筆 す るに 當 り,終 始 御 懇 切 な る御 指 導 竝び に御 鞭 撻 を 忝 う した る 恩 師 弓倉敎 授 竝 び に 永 井助 敏 授 に深 甚 な る敬 意と 感 謝 の意 を表 し,本 研 究 に 際 し御 援 助 せ られた る敎 室 諸 員 に 滿 腔 の 謝 意 な 表 す。 (文 獻 は 第3篇 に 記 載)

参照

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