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社会比較の有効性(2): 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

社会比較の有効性(2)

Author(s)

組原, 洋

Citation

沖縄大学法経学部紀要 = Okinawa University JOURNAL

OF LAW & ECONOMICS(10): 1-21

Issue Date

2008-03-31

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/5985

(2)

沖縄 大学法経学部紀要 第10号 組 原 洋

社会比較の有効性

(

2)

【研究 ノー ト】 まえがき 本稿は、筆者の担 当している比較法文明論 の講義で07年度後期 に取 り上げた内容 を中心 にまとめ たものである。 07年度後期の講義で試みたのは、 2本線 を引っ張 りなが ら講義 を進めるとい うことであった。基 調 として取 り上げるテーマ と、興味に応 じて トピックスを追 うよ うな、今 に即 したテーマを毎回併 せて取 り上げ るわけであるD筆者は、講義の終わ りに毎回質問を出して答えて もらい、次 回の講義 でそれ について論評す るとい うスタイルでや っているが、最初は質問を2聞出す ことで 2本線を意 識 した講義が可能にな るだ ろ うと考 えた。 07年度後期 には、基調 とな るテーマは、最近の様 々な分野における法改正について批判的に検討 することに しよ うと、始 まる前に決めていた。 同年度 前期で裁判員制度 を扱 ったが、 この制度 を導 入す ることに否定的な本が い くつか出 され、それぞれ若干視点が違 う。 それ を紹介す る ことが1 つ。それか ら、会社法が05年 6月に成立 したが、 これ について も徹底的に批判 した本が何冊か出版 されている。筆者個 人として も一度 ちゃん と新 しい会社法を把握 しておきたいとい う気持 ちがあ っ た。 この基調テーマをあま り急がないでゆ っ くり考 えていって、結局結果的には後期 いっぱ いを費 や した。 しか し、それは、 もう一方の、いわば興味本位 のテーマが、何 とい うか予想外 にふ くれあ が って、そちらの方 に時間を食われていった とい うことも関係 している。それは、聴講 して いる学 生達の回答に触発 されてふ くらんでいった ものである。質 問も

2

間ともこち ら関係 にな って、基調 テーマはちょっとお休み とい うこともあ った。聴講者が違 えば、おそ らく同 じことを2度繰 り返す ことはできないであろうQそれは比較 とい うよ りは連想の発展 といった感 じが強 く、 あとでたどる とちょっと分か りに くい面 もあるか もしれない。そ うい う意味で この流れ を記憶が鮮明な うちに書 き留めておきたいと考 えたC こうい う、 いわば連歌的授業をや っているので、 シラバ スに内容は書 き込 めない。なにしろ講義 をす ることで筆者 自身が変わ ってい くのだか らあ らか じめきちん とした予定な ど立てよ うがないの である。そ うい う授業のあ りよ うを示 してみたい、 とい うこと.も本稿執筆動機 の1つであ った。 忌博のないご意見、ご感想等 をいただければ と期待 している。 1,ブータン 07年度後期最初の授業で、ブータン旅行 の DVD を見せた.筆者は07年 8月12日に成 田を出発 し てバンコックに 1泊後13日か ら19日までブータンに滞在 した. ブータンは、 中国が1951年にチベ ッ ト侵攻後、 イン ドとの関係 を強めなが らも、他外国 とは鎖国 に近い状態であ ったが、1974年に外国人観光客 (団体 のみ)受け入れ 開始 した。現在は、ブータン

-

(3)

1-社会比較の有効性 (2) への観光は現地旅行社 に対 して3人以上のグル-プな ら 1日200ドル (オ フシー ズン165ドル)の公 定料金を支払 うことで入国 ビザが得 られ るo ホテル、食事 (ビール代等は別)、車、運転手、専門ガ イ ドがつ く。 日程や訪問地はあ らか じめ決めておけば 自由である。だか ら、かつての東側諸国の旅 とは違 うが、特 に初回であれば まだ何 も見ていないわけだか ら旅行社に任せ るしかない部分が大き い。そ して、実際に旅行 しての感 じもまさに大名旅行である。 ある意味、 こんなに安全、安心な旅 はない。 とい うことは、 自分で計画 を立て、現地 に行 って現実に見てか らまた行 き先等を考えると いったタイプの旅行 を してきた ものにとっては旅の醍醐味はないとも言える。 しか し、そ ういう不 満 も余 り表 に出ない程度に様 々な意味で興味深い経験ができた。 日本語の話せ るガ イドだ ったこと もあって、 いろいろ自由に質問もで きて、疑問はすぐにその場で解 消す るのであった。 ブータンには以前か ら行 きたいと思 っていて、それは、養老孟司氏の ものを読んでである。かつ て、鶴見俊輔氏の旅行記を読んで、書かれた場所 を実際に旅行 した くな り、実際に行 ってみ ること が続 いた時期があ ったが、養老氏の場合 もそ うで、 この数年の うちにマダガスカルや ラオスに行 っ てみたのも養老氏の本 を読んでの ことである。 ブー タンはチベ ッ ト仏教 の国で, これ抜 きに しては何 も語れ ない.輪廻転生 の考 えが基本 にあ り、それ故 に生き物 を大切 にす る。例えば この考 えのゆえに,墓 もない。墓 と仏教が結びついてい る 日本はむ しろ特見な例であるといわれ る。 それか ら、国の考 えとして世界的に有名なのはGNH (国民総幸福)である。 幸せ -財 ÷欲望 とい う公式が考 え られていて、西欧では増大す る欲望 を財 を増やす ことで満た し幸福 を得 よ うとす るのに対 して、仏教の考えでは欲望 を抑えてわずかな財で幸せに暮 らそ うとす る、 といわれ る。 そ うい うことで第1回 目の講義 (10月3日)で次の質問をしたO 質問① 輪廻転生の考 え方 をど う思 いますか。 質問② あなたな りの幸福の公式 を考えて下 さい。 いずれの質問に対 して も様 々な回答があったo 輪廻転生 とい う考 え方 については、 日本 のよ うに、人は死んでご先祖様 にな るという考 え方が普 通の ところではピンと来ないよ うである。 しか し、 もし輪廻転生が あれば とい う前提でいろいろ考 えた もの もあ った。その中に、 「輪廻転生の考 えな ら死後続 く世界 を身近 に感 じることが出来 るか もしれない」 とい うものがあ ったO文献 (1) はそのまえが きで、現代人は近視的景観を生きるよ うにな った と言われ るがブータンでは前景を見ていて も絶えず遠景が 目に飛び込んで くる、前景に ある 「この世」 と遠景の 「あの世」 を一続 きの ものとして体感す ることが可能 と思えると述べてい る。雄大な ヒマ ラヤの裾野 を旅 してみて、輪廻転生 とい う考 えとは無関係 にで も、 前景 と遠景との 立体的な組み合わせは強 く印象に残 った。 GNH は 4代 目国王が1976年、 コロンボでの第 5回非同盟諸国会議に出席後の記者会見で語 った もので、基本的な政策 は、「経済成長 と開発

「文化遺産 の保護 と振興

「環境の保全 と持続 可能な利 用

「よき統治」の4分野をバランスよ く発展 させてい くこととされる。2004年 7月に4代 目国王は 今枝 由郎氏 に次 のよ うに話 した とい う :国 として経済基盤は必須であ り、 しか し仏教国として経済

(4)

沖縄 大学法経学部紀要 第1()早

発展が究極 目的でないことも自明であるoGNHとい うのは、今考 えると、幸福 とい うのが非常 に主 観 的 な もの で、個 人差 が あ り、政 府 の 方 針 と は な り得 な い。意 図 した こ とは む し ろ 「充 足 (contentedness)」であるDそれはある目標 に向か って努力す るとき、そ してそれが達成 された と きに誰 もが感 じることである. 目標 はブータン国民1人 1人がブータン人として生きることを誇 り に思い、 自分の人生に充足感 を持つことである。 (文献 (2)参照) GNPが 「充足」の指標 として問題のあることは、現在ではすでに明確 に意識 されている。市場取 引に乗 るものだけが算入 され るか らである。物 々交換 され るものや、無報酬 の家事 についてはど う だろ うか。逆に、GNPではプラスに評価 され る多 くの要素 (例 えば犯罪、事故、公害 のコス トなど) は差 し引かれ るべきであろ う。環境の悪化、 自然資源 の消費の コス トも減算 され るべきであろ う。 国連開発計画 (UNDP)が提唱 して いる人間開発指数 (HumanDevelopmentIndex)も類似の考 え方であろ うO ブータンは このよ うな考 え方 に沿 って特色ある政策 を行 って いるが、それが可能なのも独立 して いれば こそであるDブー タン人よ りはるかに人 口の多いチベ ット人 (6∝)万人)、 クル ド人 (250 0-30CO万人)などは国を持たないがゆえに 「少数民族」であるo ブータンは民族衣装で有名であるが、 ラオス北部やタイの山岳民族は民族衣装 を着 るといじめ られ差別 を受ける。 ブータンでは、1989年 に国王が 「民族衣装着用、国語ゾ ンカの習得使用、伝統的礼儀作法の順守」 を布告 した。 匡ほ いわ く 「ゴー とキ ラを着 ることが重要ではな い。 ネパール国内のネパール人と違 う服装であれば いい。」 このよ うに,民族衣装着用の伝統 もわずか20年弱に過ぎず、20数年前までは首都 に Tシャツ、Gパ ンの若者があふれていた とい う (文献 (3)参照)0 60年以降教育制度が整備 されたが、小学生か ら、国語 (ゾ ンカ) を除いて英語で行われている。 当初は ヒンデ ィー語 による教育が中心だ ったが、60年代初頭 に英語 による教育 に切 り替わ った.ゾ ンカでという主張は強いが、現実には難 しい。 ゾンカは古 典文語チベ ッ ト語 と言えるもので、元来 仏教経典を翻訳するために制定 された言葉であるためである0 1989年国語であるゾンカの習得 ・使 用 を国の方針 として掲げ、95年には官公庁、中央僧院の公文書 を英語か らゾ ンカに切 り替えた。 第 2回 目の講義 (10月10日) では次の質問をした。 質問① しま くと うば条例についての論壇意見を論評 して下 さい。 質問②ブータンの民主化 をど う思いますか。 質問①の論壇 とは、沖縄 タイムス(冶0626朝刊に掲載 された営真嗣朗氏の

「バ イ リンガル」増やそ う 「しま くと うば条例」は内向性」 という文章である。 「しま くと うば条例」 とい うのは、県議会 や公共の場で島言葉つま り沖縄方言 を使用す ることを内容 としてお り、そのよ うな条例制定 につい て反対 の意見 を述 べて いる。方言は趣味でやれば いい ことだ と。そ して、それ と並 んで、現在 は ボーダー レスの時代だか ら英語 の出来 るバ イ リンガル人 口を増やす ことが必要だ としている。 学生の回答は、全回答数47の うち、論壇意見に賛成 (シマ ク トウバ条例 に反対)23、論壇意見に 反対 (条例 に賛成)9、分か らない ・不明等15であった。 現在、若い世代 については、多少聞き取れ る人はいても自分で方言 を話せ る人は非常に少ないと

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-3-社会比較の有効性 (2) 思われ る。方言で言われても分か らないということで、それを公用語にすることに反発するという のは分かる。ほかに、方言の地域性 を問題にす るものもあ り、つま り、方言 といっても1種類では な く、場所 によって違 う。沖縄本島だけでな く離島も含めると,例えば沖縄本島の人には宮古の方 言は全然分か らないとい うことがある。共通語 の必要性 を考えると否定的になるとい うことであ る。 質問②はまさに現在進行形のホ ットなテーマにな っていて、 日本の新聞やテ レビ等でも大き く取 り上げ られている (例 えば朝 日新聞 (東京版)07CX315朝刊 「王室主導 挑む民主化」記事参照)。 ブータンでは2Ⅸ)8年に初めての総選挙が行われる予定であるし、憲法も制定予定である。旅行中、 ガ イ ドさんか らもかな り詳 し くこの関係の話をきいた し、現地の新 聞にもこの関係の記事があっ たOブータン国王は敬愛 されていて、国政 の舵取 りも賢明に行われてきた とい うことで、多 くの ブータン国民は今のままでいいという意見のよ うであるO 学生の回答は様 々であるが、現状で不満がないな ら今のままでいいのではないかという意見がか な り多か ったのはちょっと意外であった。民主化 というのは学生たちにとっても当然の前提ではな いか と思 っていたのだが。 2,スイス、ベルギー 第3回 目の講義 (10月17日)では次のような質問をした。 質問(彰西野氏の意見についてどう思いますかo 質問②次の、 スイスの村条例についてのメモを読んでどのよ うに思いますかO 質問(丑は、裁判員制度 についてのもので、基調テーマである。質問の 「西野氏の意見」 とは、文 献 (4)についての沖縄 タイムス070929朝刊の書評をコピーして、意見をたずねたものである。 裁判員制度については、07年度前期にも文献 (5) と (6)を使 って、 この制度 を導入すべきで はないとする立場の論拠 を紹介 した。文献

(

5)

はおそ らく最初にこの制度導入に真 っ正面から反 対 した本であろう006年に出版 されたとき、同年度の講義でもすぐに使 って、学生に意見を求めたO 裁判員制度 を陪審制 と混同している人が多いし、米国か らいわれたか ら作 ったと思 っている人も多 いがそ うではない。米国は、弁護士数を増やせ と要求はしたが、陪審制の話 も、いわんや裁判員制 度の話 も一切なか ったO 司法制度改革審議会で 日弁連は陪審制を強 く主張 してきたが、審議会終盤 にそれ を牽制す る形で突然出てきたのが裁判員制度であるO妥協の産物 といえる。 裁判への国民参加 というのが制度の大義名分であるが、肝心のその国民は、世論調査の結果を見 ると、裁判員に選ばれてもや りた くないという意見が多数で、ちょうどブータンの民主化 と同じで、 上か らのものである。 文献

(

6)

は、裁判員制度の問題点を具体的に列挙 しているだけでな く、裁判員制度が 日本国憲 法の想定す る裁判制度 に反 し、違憲であるとい うことを強調 している。実際、 裁判員法施行 とと もに違憲性を争 う訴訟が提起 され る可能性が極めて高いが、最高裁が裁判員法の施行に際し、前面 に出て広報活動をしている現状か らすれば達意の判決など出せないであろう。 西野氏は地裁判事 も務めた方で、裁判員制度導入を 「粗雑司法」化であるとし、 これ と対比して

(6)

沖縄大学法経学部紀要 第 10号 現在の裁判を 「精密司法」 と名づけ

何 も問題はないかのよ うに述べているところには問題 を感 じ るが、裁判員候補への呼び出 し状 を 「現代の赤紙」 とまで呼んで、それか ら逃れ る方法を具体的 に 伝授 しているO元裁判官 によ って脱法 のすすめが述べ られ るとは何 とも皮 肉な話ではないか。 しか し、「赤紙」というのは単な る比喰ではないo陪審 にせ よ、参審 にせ よ、刑事 司法に国民を参 加 させ る制度を有 している国の大部分は徴兵制を有 して いる。現在はな くて も、歴 史的には長 く併 存 していた。第2次大戦前に小規模の陪審制を有 していた 日本 もそ うだ った。 これ らの諸国はいず れ も、国民に対 し、国のため,お まえたちの生命 ・生活 を投げ出せ と言える態勢 ・思想 を持 ってい ると言える。 学生の回答は、50人中32人が西野氏に賛成であった。反対はな く、残 る18人は、その他の意見で ある。例えば、西野氏の論旨には賛成できるが、 どうして も裁判官 の立場 とい うことが あ り 「一一般 の日」 というものが欠けているとか、 もう法律はで きているのだか ら起 こりうる問題 の解決方法を 考 えるべきではないかとい った ものである。 質問②でスイスのことを取 り上げたのは、直接 には、 ヨー ロッパの国々の中で スイスはブー タン と特に緊密な関係 を持 ってきていることによる。文献 (7)によればブー タンのブムタン地方 とシェ ムガン地方にはス イス人が多 く農業技術者 として働いてお り、特 にブムタン地方は気候 や景観が ス イスと似 ていることか ら、畜産や乳製品加工 を中心 に技術移転 されて いるとの ことである。 スイス は直接民主制のモデル国であ り、そ うい う意味で文献

(

8

) に載 って いるスイスの村条例 の感想 を 聞いてみたのであるが、 同じ山国だ と民主制の国か王制の国かの違 いはあ って も共通 している面 も あるのではないだ ろ うか。 学生の回答には こんなに細かいことまで決めるのか といった驚きの意見が多か った。 第4同日の講義 (10月24日)で、文献 (9)によって、2CXX)年1月1日か ら施行 されている連邦 憲法を紹介 した。 国家構成のあ り方 との関連で、 この憲法の最大 の特徴は、第3条で、国民主権ではな く、連邦を 構成 しているカン トン (州 とか邦 と訳 され ることが多 い)主権 を規定 していることであろ う。 同 じ 連邦制の国で も、米国や ドイツなどは国民主権である。 これは、 スイスの歴 史を見れば分かる。全 員集会などがよ く機能 し、住民の意思が1つにまとま りやすか ったことと、 どの時代にも王が出現 した ことはな く、スイスに活動拠点 を置 いた封建領主的存在 さえ現れなか った。 フランスやハブス ブルグの歴 史においては個 人名が登場す るが、 スイスの歴 史には登場 しない。国民主権 の主張の背 景には為政者による国民に対す る重大な権利主張が あったが、 スイスではむ しろ外国勢 による権利 侵害が主要な問題 であ った。 しか し、初の連邦憲法 (1848年発布)以来150年の間に連邦の権限は大 幅に拡大 されて, カン トン主権 の実質的な意味はそれだけ小 さくな った。例 えば、第56条によって カン トンの条約締結権 は認め られて いるが、550年 に及ぶ試行錯誤 を経て安全の問題 は連邦 の専管 事項 とな った。第58条3項は、カン トンが兵力を持つ ことを一定範囲で認めたが、その範 囲はかな り縮小された感がある。なお、徴兵制については第59条で規定 されているが、徴兵拒否には92年の 3r.E!J日の国民投票で非軍事的奉仕が認め られた。 第4回 目の講義では次の質問をした。

(7)

一5-社会比較の毛効性 (2) 質問(彰 「押 しつけ」 と言われ ることもある日本 の憲法 と比べて スイスの憲法はどんな感 じが しまし たか。 質問② スイスの4言語主義をどう思いますか。 スイス憲法には、住宅確保,保険制度 の整備、ギ ャンブル規制, 「にがよもぎ酒」 (いわゆるアブ サ ン酒)禁止等、個別的具体的な問題であ って も国民生活に重要な ことは遠慮な く盛 り込 まれてき た。環境保全はその1つの例であるが、憲法で取 り上げたために環境対策が促進 されたと後に評価 されている。 その結果何回 も改正 されてきた。 旧憲法(1874年∼1999年12月末)は163回改正 された。 承認 され なか った もの も入れれば も う少 し回数は増えるD新憲法 もさっそ く改正 され、第119条の 2 (臓器移植) の規定が付加 されている。 質問① に対す る学生の回答の中に 「E]本国憲法制定過程 を描 いた映画 「日本の青空」 を見たOそ れで主 人公の鈴木安蔵 さんに少 し興味を持 った。GHQの一方的押 しつけではないと思い始めてい る。改正を難 し くした理 由は分か らないが、 スイスではた くさん改 正を していて、憲法に対す る根 本的思想や歴 史に違 いが あるのではないか と思 った」 とい うものがあ ったので、文献 (10)によっ て、 日本国憲法制定の経緯 を説明 した。 質問(参の4言語主義は、スイスは8(カ年前には存在せず、民族 としては もともとスイス人とい うも のはな く、 ドイツ人、 フランス人、 イタ リア人、それ にロマンシュ語 を話す少数の人によってつ く られた国であるとい うことが基本にあるC文献 (ll)所収の阿部汎克 「スイス憲法と新 しい言語政 策 一四 言語主義強化の意味を考える-」 によれば、1990年段階で 言語別人 口比は、 ドイツ語は在住 外 国 人 を含 め63.6% (ス イ ス 国籍 保 有 者73.4%)、 フ ラ ン ス語19.2% (20.5%)、 イタ リア語7.6% (4.1%)、 ロマンシュ語0.6% (0.7%)である. しか し、 この比率だけでは、学生はイメージを十分 つかめなか ったよ うである。 同論文 によ って次のよ うな状況 を説明 した。 1996年、 旧憲法第116条改正で ロマンシュ語は公用語へ格上げ された。新憲法では 言語の自由を 新たに憲法上の権利 として うたいあげ るとともに、 4言語は等 しく国語であるとし、公用語決定は カン トンの権利 としている。 4言語がそれぞれの語圏をもって共存 し 「言語の平和」が守 られてい るが、 ロマンシュ語は消滅 の危機 に瀕 し、 また、一部地域でのイタ リア語の極端な衰退か ら、 「2.5 言語」体制だ とも言われている。 しか し、 「2.5言語」化の他に次のような変化が起 こっている。 ①巌有 力言語の ドイツ語で、標準 ドイツ語 とスイ ス方言 の使 い分けが崩れ 教会、学校、裁判な どで さえスイス方言が用 い られ るよ うにな った。標準 ドイツ言吾を相互理解 の言葉 として学習 してい る多 言語 との コミュニケーシ ョンを阻害 し、連邦全体 の求心 力を弱める方向に作用 しかねないO (診言語圏同士 のコミュニケーシ ョンが少な くな ったO 他言語圏の言葉の習得意欲が衰え、複数言語話者が減 った。 ③ このよ うな言語間 コミュニケーシ ョンギ ャップを埋める形で英語の急速な浸透 ・普及が進んで いる。すでに英語 を公教育で教 える方針 を打 ち出 したカン トンもある。 4言語主義 と多文化主義に 反す る形で画一化 を進行 させ る可能性があるb英語が連邦の事実上の共通語 とな り、 4言語は ロー カル言語 に転落す ることす ら考 え られ る。 多言語 システム と連邦制が システム として直接 つなが るわけではな い。 全国共通の支配言語が存 在 しな いこと、複数 の言語がそれぞれ の使用地域 を確保 していることなどい くつかの条什が必要で

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沖縄大学法経学部紀要 第

1

0

号 ある。 連邦制をとっている国でもベルギーにおけるワロン、フラマン語の 「言語戦争」、カナダにおける 英語とフランス語の争いなどと比べ、スイスのような多言語共存は珍 しい。スイスでは、ベルギー で間韻にな っているよ うな経済格差は認め られないO宗派 も, ドイツ語圏は

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1

.

3%

がプロテスタン ト

、3

7

.

2%

がカ トリック、フランス語圏ではプロテスタント

5

3

,

7%

、カ トリック

4生

4%

、連邦全体でプロ テスタン ト

4

0

.

0%

、カ トリック46.1%で均衡が取れてお り、言語圏と宗教圏も一致 していないか ら、 言語紛争が宗教紛争の色彩を帯びることはない。 スイスの場合各言語圏内部に極めて複雑な方言構 成があ り、 1つの言語圏に他の言語圏に対する強い対抗意識を持つような一体性は見 られない。 もし国民に基本的権利 として 言語権 を与えれば、言語の自由権は通貨 と同様 自由競争による不平 等をもた らし、 言語の平等権は国家の法的規制に基づ く言語政策 によらなければ保障 されない。 イタ リア語が 「0.5言語」と嘆かれるようになったのも ドイツ語に追いつめ られたことによる.な お、スイスの外国人比率は

1

9

9

0

年で

1

9

.

4%

で、第 1位は イタ リア人、第

2

位はユーゴスラビア人であ る。 第

5

回目の講義

(

1

0

3

1

L])で次のよ うな質問をした。 質問①ベルギーの言語戦争についてどのように感 じますか。 質問(塾 「この国はだれのものか 会社の向こうで 日本が震えている」 という本の題名か らどんなこ とを思い浮かべ ますか。 質問①のベルギ-の言語戦争はちょうど時のテーマにな っていた (朝 日新聞 (東京版)

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7

1

0

3

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朝 刊 「ベルギー南北対立」記事、同

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7

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2

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朝刊 「北ベルギー 自治に気勢」記事参照)。 筆者は

2

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3

年9月、オランダ ・ベルギー図書館見学をした際に北部パルギーは実際に行 ってみて いる (文献 (12)参照)。 ベルギーは

、1

8

3

0

年にオランダか ら独立 した。人 口構成は、北部にフラマン人 (英語で フレミッ シュという。ゲルマン系 ・全人口の

5

7

%)

、南部にワロン人 (ラテン系

・3

3

%)

、外国人

1

0

%

である0

1

9

9

3

年の憲法改正で連邦制国家 とな っているが、連邦構成体 としてレジオン (地域) と共同体が並 立的に存在 していて、分か りに くい. 1つの場所があるレジオンに属するとともに、ある共同体に も属するわけであるO具体的には3レジオン (地域) と3つの共同体か ら成 っているo レジオンは フラン ドル (英語でフランダース)、ワロンとブ リュッセルである。共同体はオランダ語共同体 (フ ラン ドル 十ブ リュッセルの

3

0

%)

、 フランス語共同体 (ワロン 十ブ リュッセルの

7

0

%

)、そ して ドイ ツ語共同体 (ワロンの一部)である。歴史的には第2次大戦 までフラン ドルでもフランス語が公用 語であった。 これに対 してフラマン人はフラマン語 (オランダ語)の復権運動を続け、文化 ・言語 面における自治を要求 してきた。 これが共同体創設につなが った。 ワロン人は

1

9

60年代産業斜陽化 に伴い経済的に後退 し、人 口的にも中央政府で少数派とな っているため、 レジオン制度の創設を主 張 した。 フラン ドル レジオンは全部がオランダ語共同体 に取 り込 まれている

。1

9

80年 には両者を融 合させる決定をしてお り、 フラン ドルには1つの議会、 1つの政府 しか存在 しない。 連邦政府は、外交、国防、司法、社会保障等の機能を持つ一方で、言語 をはじめとす る文化的側

-

(9)

7-社 会比較の有効性 (2) 面については共同体政府 に、その他 の分野 と りわけ経済分野については レジオン政府 に大 きな権限 を持たせ ている。共同体や レジオ ンは独 自の憲法を持たない。 しか し、共同体 とレジオンは連邦政 府 の下位的機関ではな く一定分野 において立法権 を有 し、条約締結権 も有す る.共同体や レジオン の発す るデ クレは国家の定める法律 と同等の効 力を有す る。連邦、共同体, レジオンは原則 として 権限が重な らな い。共同体 の権限は、(彰文化②教育③厚生 (ただ し社会保障は連邦)④対人援助、 レジオンの権限は(D生活環境の管理 (地域整備 ・都市計画、農村開発 ・自然保薄、環境及び住宅) ② 経済 (通貨統 合、連邦政府が保 障す る産業 の 自由、人 ・物 ・資本 の流通 の 自由) とされている (以上については文献

(

1

3

)

等 を参照)。 言語だけで これだけ対立す るとい うことに驚 いた とい う意見が多か った。ベルギーは

EU

の中心 地であ り、民族主義的な対立はないと思 っていた とい う意見 もあ った0 質問②は基調テーマである。 この本は文献 (14)であ り、著者の牛島氏はビジネス・ローヤーで、 王子製紙が北越製紙 を敵対的 に買収 しよ うとした時の北越側弁護士である。本稿執筆 中にみた朝 日 新 聞080216beonSaturdayフロン トランナー欄で牛島氏が小説家で もあることを知 った.書名に ついては、企業 について語 ると 日本 について語 ることにな って しま うことが間々あるが、それは 日 本国民のどれ ぐ らいが企業に関わフて生 きているか考 えてみれば必然の結果であ り、 「この国は誰 のものか」 とは、 この国のステー クホルダーが誰か とい うにとどまらず、そのステークホルダーが 不 当に無視 されているのではないか とい う疑 問提起で もある、 と述べ られている。 学生の回答は様 々であるが、 「三角合併」 について触れた ものが複数あ ったのには驚 いた。M&A 等 について関心 を持 っている学生が相 当数 いることが感 じ取れた。 3

,

「健全な市民社会」 と 日本の社会の現状 第6回 目の講義 (11月 7日)で、次のよ うな質問をした。 質問(丑あなたは堀江貴文民をどのよ うに評価 していますか。 質問② 「下流志向」 とい う言葉を聞いてどのよ うに感 じますか。 文献

(

1

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では、会社関係の様 々な事件が取 り上げ られているが、何 といって もライブ ドアの事 件は社会的 に大 きな話題 とな ったO これ について質問①でたずねてみたo今で も、堀江氏の生き方 に肯定的な回答はあるし、 いい悪 いを超 えて 「すごい」 とい う評価はかな り多か った。 この講義では、会社のあ り方 について、文献 (15)を台本に して考えてい くことに決めた。 最近特 に顕著 にみ られ るよ うにな った株式会社 の暴走は、バブル崩壊後規制緩和、法改正によっ て アメ リカ型市場主義 を導入 したのに、それ に見合 った規律は置 き去 りに したためである。 他方 ヨー ロ ッパは規制緩和前の 日本 と同じで、 自己株式取得禁止、最低資本金制度などを厳格に 守 り抜 き、 自由を抑制 して伝統社会 の長所 を生か しなが ら企業社会 を維持 して いる。便利だが危険 な株式会社 をコン トロールで きる最終的な担保は 「健全な市民社会」である、 とい うのが上村氏の 主張の骨子である. ヨー ロッパは株式会社 を市民が コン トロール しうることにこだわ ってきたD こ れ と比べ、経済産業省が主導 した緊急経済対策 を一般化 ・普遍化 した新会社法は、歴史的観点か ら の洞察がな く、それ を理論的 に支援 したのが 「ファイナンス理論等の経済分析 に傾 いた法理論」で

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沖縄大学法経学部紀要 第 10号 あ り、実際、 日本はど世界の中で 買収 しやすい国はない状態にな っている. 上村氏は、現在 日本の格差は競争の前提条件が存在 しないことに基づ く不 当なものであるとも言 われ る。そ して、日本は

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00年間欧米 の法律を学んできたので、欧米の市民社会 の歴史に学べば世界 を リー ドす る 「日本型モデルの会社法制度」理論 を構築できるのではないか とも言われ る。 具体的な事件処理 との関係では、上村氏は、グ レーゾーンや脱法行為は合法だ とい う考えが まか り通 っていて、罪刑法定主義 も、書いてないことはや って構わないとい うことに短絡 しているのが 問題だ とされ る。 こうい う解釈手法が通 る結果、 日本では、毎年のよ うに証券取 引法本体 の改正が あるのは証券市場規制のあ り方 として失敗 の証明であると言われ る (この法律 も2(X垢年改正で金融 商品取引法 と名前が変わ った)。そ して、なすべ き法の解釈 をしないで、強 きを助け弱きを くじ く法 律家が増えた ことを問題 とされ る。 こうい った考 え方を前提 にすれば堀江氏 の評価が ど うい うもの になるか、言 うまで もなかろ う。 質問②は、堀江氏の評価 と関連 して行 った ものである。 「下流志向」とい うのは文献

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の題名 であるが、この本の145頁で、堀江氏が一時期ニー トを含む若年層 に圧倒的な人気 を博 したのはなぜ か,どうして無業者である若者たちが天 と地ほど生活水準の違 うIT長者に共感 の拍手 を送 るのか、 と問いかけている。 内田氏は

「最 も少ない労働で、もっとも多 くの利益 を出す こと」,「最 も少な い 努 力で、最 も多 い成果を得 ること」 を最 高善 とす る思想 にお いて堀江氏 と若者たちは共通 の考 えを もっているとしているが、 このよ うな説明だけではおそ らく納得が いかないであろう。 その前にま ず、「賃金が安 い」と若者たちが感 じる背景が述べ られている。それは、商品を買 うときと同じよう に労働契約か らも時間を捨象 して しまうか らだ というのであるO無時間モデル、短 い時間サ イズで 考えれば確かに賃金が安 いと感 じるのももっともであるが、長 い時間サ イズで考 えれば損得計算 も また違 って くるのだ と内田氏はい う。 そ して、 この本 の前半では,子 どもた ちが教育 を受ける際に も同じよ うな発想をしていることが説明 されている。そ してそのよ うな発想をす ることを正 当化 し ている原Egを、子 どもたちが消費者 として世間に入 ってい くことに求めている。 「消費者は神様」の 時代であるか ら、子 どもた ちもオ レ様化す る。教育 とい うのは学んで初 めて値打 ちが分か るのに、 学ぶ前か ら値段をつけて しまう。無時間モデルで考 えると、教育のあ りがた さとい うのは分か らな いか ら、当然値段 も暴落 し、学ぶ ことを拒否す る子供たちが生まれ る。文献 (17)147頁以下に,こ のよ うな考え方は 「同じ自分」が あるとい う前提での考 えだ と述べ られている。 もちろん、「同じ自 分」などあ りは しない。それがあれば 「死」 もないはずである。 同じくニー トと言 っても、 ヨー ロッパでは階層化 の1つの症状であるが、 日本の場合社会的上昇 の機会が提供 されているにもかかわ らず子供たちが 自主的にその機会 を放棄 していると内田氏は言 う。 その結果、 日本では社会的弱者が進んで差別的な社会構造の強化 に加担す るとい う形で社会 の 階層化が進んでいるとす る。 こういった理解 を前提に考 えれば、上村氏が考 え られ るよ うな 「健全な市民社会」とい うもの も、 日本ではそ う簡単には実現できないであろうことが予感 され る。 第7回目の講義 (11月14日)の講義で次のよ うな質問をした。 質問①先 日公表 された全国学力調査で沖縄が最下位であることをどのよ うに考えますか.

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社会比較の有効性 (2) 質問②会社法で最低資本金制度 を廃止 した ことをど う評価す るか。 質 問① は、沖縄 で は新 聞紙 上 で も大 き く取 り上げ られ 問題 とされ た。学 生 の回答 をみ る と、 シ ョックだ、残念だ、 とい う反応がやは り多いが、逆に、沖縄 らしくていい、気 にしていないとい うものも結構 ある。 質問② についての上村氏の考 え方が否定的な ものであることは説明を要 しないであろ うO 昭和13年 (1938年) にできた有限会社法には最低資本金制度が設け られ、最低資本金 1万円 (覗 在の時価2000万円ぐ らい) とされたD しかし、株式会社にはそ ういう規定がなかったD株式会社は 大きいものと決 まっていたか らである。 ところが、戦後、法人成 りの歯止めが きかず、1990年改正 で株式会社は1000万円、有限会社は300万円とす る最低資本金制度が設け られた。最終的に96年ま でにこの要求 を満たす とい うことだ ったのが、手のひ らを返 し、資本金1円でいい、 となったわけ である。 第8回目の講義 (11月21日)で次のような質問をした。 質問①株式会社は誰 ものなのか。 質問②学 力世界一 といわれ るフ ィンラン ドで起 こった生徒乱射事件 につ いてどのよ うに思 います か。 質問① の法的な解答は、株式会社は法人で、独立 した法主体であるか ら、会社は会社 のものと言 うしかない。 しか し、 ここで ききたか ったのは、 もちろん、株式会社 の利害関係者 としてどのよ う な ものが考え られ るか とい うことである。そ して、 上村氏のよ うに考えれば、会社は広 く市民社会 の もの とい うことにな ろう。株式会社は株主の ものと言えるほどには株主の権利は強 くない。 とい うよ り、株主の権利 とは、株式 とい う証券上の権利であ り、会社そのものの所有 とは区別 して考え られ るべ きであろう。 なお、 入会権な どの 「総有」 との比較は、文献 (18)によって行 った。 質問② の事件 については、拙稿 「フ ィンラン ドの地方行政 と公共図書館」(沖縄大学法経学部紀要 第 10号・2008年 3月) に記 した。朝 日新聞 (東京版)071109朝刊によれば、ヘルシンキ北部のヨケ ラ (Jokela)中等高等学校で07年11月 7日、18歳の男子生徒が銃 を乱射 して、男子生徒 5人、女 子 生徒1人と女性の校長 と看護師を殺害 し、事件を起 こした男子生徒 もその後 自身の頭部を撃ち自殺 した。報道 によれば、フ ィンラン ドの銃所有は人 口100人あた り56丁で、所有率は米国等に続き 3位 なのだ とい う。そ して、 フ ィンラン ドには徴兵制が あ り、17歳以上に徴兵義務があるという。 筆者が2007年中に 2回図書館見学のため旅行 しての印象では、 フィンラン ドは治安 ももちろんい いが、そんなにス トレスのない社会のよ うに感 じられたので、 きわめて意外であった.犯人は抗 う つ剤 を服用 していた といわれ るので、病気 による例外的なケースではないか と考 え られ るが、犯行 の行われた場所はヘルシンキ郊外で、郊外が危ないとい う一般論は フ ィンラン ドで もあるいは妥当 す るのか もしれ ないO 日本 よ りち ょっと小 さい国土 に520万人のフ ィンラン ドにおいても、都 市化 は確実 に進んで いる。見学 した図書館 にも、 トイレの中が青い光 にな っているところがあ り、その

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沖縄入学法経学部紀要 第 10号 理 由は、静脈注射で麻薬類 を打てないよ うに静脈の位置 を見えな くす るため と聞か された。 第9【ロ1日の講義 (11月28日)で次の質問をした。 質問(む スイスの民間防衛 についてど う思 いますか。 質問② この講義を聴いて堀江資文氏のイメー ジは変わ りま したか。 質問①は、 フ ィンラン ドでの生徒乱射事件で フィンラン ドに も徴兵制のあることを知 り、徴兵制 に つ い て い ろ い ろ調 べ は じ め た の で、 まず は、世 界 的 に有 名 な ス イ ス の 民 間 防 衛 に つ い て

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でその概要を紹介 した上で、学生に意見 を求めた ものである。 スイスにおいては

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年に、当時の冷戦の高ま りを受け、スイス政府が民間防衛のための冊子 を各家庭 に260万部発行 ・無 償で配布 した ことがあるが、 この冊子 の邦訳である文献

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も参照 した。 ビ ック リす るほどの詳 細 さで危機に際 しての対応が書かれている。 学生の回答をみ ると、好意的な意見が多か った。 日本 において民間防衛 といえば武 力攻撃事態等 における国民の保護 のための措置 に関す る法律 (国民保護法) に基づ く国民の協力が想起 され るの であるが、同じよ うに考 え られ るであろうか。 学生の回答の中に、 スイスの場合戦争は兵隊があたれば いいとい う考 えがな いのだ ろ うとし,日 本の城 との対比を述べたものがあ った。 これ については文献 (20)で、近 世ヨー ロッパにおけ る城 のあ り方を紹介 したD町の中に武家屋敷がないo町人の町であ り、兵士 もまた町人達 自身で組織 し た。武装費は 自前で、財 力あるものは騎兵隊、財力劣 るものは歩兵 とな った。 日本だ と、領主 ・上 級武士の屋敷の周 りに内堀が あ り、その外 に武家屋敷、 さらに外堀 の外側 にな って初めて商人や職 人の住宅が現れ る。 門前町等では町を守 る防御陣 らしいものはない。 質問②は基調テーマを前に進めるための質問である。 第10回 目の講義 (12月5日)で、次の質問をした。 質問①民主主義によって戦争は防げ ると思 いますか。 質問② 「制限速度での走行は難 しい」 を読んで、 ど うすれば よいと思 いますか。 質問①は、朝 日新聞 (東京版)071124朝刊 に掲載 された、小林慶一郎氏 (経済産業研究所上席研 究 員)の 「民主主義による平和 戦争防ぐメカニズムは経済モデルで構想 を」 と題す る記事 をもと に考えた。民主化 の効果 について 「デモ クラテ ィツク・ピース (民主的平和)」 とい う国際政治学の 学説があるそ うで、「民主国家同士は戦争をしない」とい う内容だそ うだが、もしそ うな ら、世界中 で民主化 を進めることは戦争の危険を減 らす とい うことになる。 その理 由としては、公開の場で透 明な政策決定がな され るとい う民主主義の特性によって、疑心暗鬼 を防止 し、戦争を抑止す るとい うのが1つ。 もう 1つは、民主主義はそもそも暴力を使わず、話 し合いで、問題解決するという規 範に基づ く政治体制だ とい う考え方。 また、強制的な民主化は可能だ ろ うか、 とい うことは, イラ クとの関係で現実的な課題 とな る。 こういった問題 を解 くために国民 と政府の関係構造 を分析す る - l l

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-社会比較の有効性 (2) のに経済学 のモデルが有用だ と小林氏 は言 う。例 えば独裁 制だ と政府 は国民が戦争で死ぬ の もいと わな いので好 戦的 にな るが、民主国の政府 ではそ うは いかな い、 とい った具合 である。 これ に対す る学 生の回答 は、 回答数53中、 民主化 で戦争は防げ るとい うもの17,防げない とい う もの25、 その他 8、不明 3で あ った。 半数近 くは、 民主化で戦争は防げないと考 えていることにな る。 回答 の記述 内容か らして イラク戦争の影響が非常 に大 きいよ うに思われた。 そ こで、米 国の現 状 を述 べな いわけには いかな くな って、文献 (21)第 2章 軍事強国 (江畑謙介) によ って見てみ たD米国は植 民地時代、 そ して独立後 も国内の安定 を確保す るまで に長 い時間 を要 し、 この間 に 自 警団的な武装組織 制度 を発展 させて い った。 周知 のよ うに連邦憲法修正2条は米国市 民が武器 を持 つ権 利 を保障 して いるが、南北戦争後、武装民兵 の一部か ら州 の軍事組織 (ステー ト ・ガ- ド)が 編成 され、1903年 にな って ステー ト ・ガー ドか ら州兵が つ くられ た。連邦政府 予算か ら州 兵編成、 装備 、訓練予算 の補助が 出 るよ うにな ったo 平時は州知事が指揮権 を持 つが、連邦政府 (大統領) 令 によ って連邦軍 への編入が可能で ある。第2次大戦終 了までは、戦 いが終わ るとす ぐに連邦軍 を 大 き く削減 し、 平時 は小規模 な連邦軍だ けで済んで きた。 連邦軍や州兵は 自然 災害や大規模事故に おけ る救援活動 は じめ さまざ まな建設事業や社会事業 に関与す ることが多 く、米国一般市 民 と軍 と の関係は非常 に強 い し、軍 人は一般 に市 民か ら尊敬 され る存在 とな っている。2007年前半時点で、 予備役、州兵兵 力は84万2800 人に達 し、米軍戦闘部隊の約半分、支援 部隊の3分 の1を構成 してい る との ことで あ る。 イ ラ ク戦 争 で海外 に派遣 され る予備役 兵、州 兵数が増 えて社 会 問題化 して い る。 このほか に、連邦、地方 いずれ の政府 とも無関係 な 「私 的民兵

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が残 って い る。1995年 のオ クラホマ ・シテ ィ連邦庁舎爆破事件な どは これが 関係 していた。 これが 「民間警備 (保安)会社」 の基盤 ともな っていて、ブ ラ ック ・ウ オー ター社 に代表 され るよ うな、特殊作戦部 隊出身者 を集 めて警備 のみ でな く、対 テ ロ戦や秘 密 (準)軍事作 戦 を実施す るよ うな会社 も出現 し て いる。 米国製兵器 は 「間違 いがな い」 と言 われ る。 大戦後、米国兵器 はいかな る環境で も使用で きると い う条件が重視 された。 だ か らどの国の軍隊で も使用で きる。 冷戦時代 に巨大な 「軍産 複合体制」 が 生 まれ た。冷 戦後米 国は第三 世界への兵器輸 出で常 に世界 の半分以上、 ほぼ6割 前後 を占めて い る。 こ うい った米 Egの現状か ら 「平和」 を イメー ジす る ことは困難ではなか ろ うか。 質 問② は基本テーマに関す るもので、朝 日新 聞 (東京版)071202朝刊 「声」欄 に載 った次 の投書 に対す る意見 をたずね た もので ある。 「制限速度で の走行 は難 しい」 大学生高野紫織 (千葉県稲毛 区 22歳) 家族3人で9月末、実家 の長野か ら飛騨 高山へ ドライブ した ときの ことです。 父 と交代 して私が ハン ドル を握 りま したOす ると、後続 の車 に クラクシ ョンを鳴 らされ,パ ッシ ング され、あお られ ま した。そ して、 ものす ごい勢 いで追 い抜かれ ま した。 運転 に慣れ て いな い私 は制限速度で走 ることが精 い っぱ いで した。後続車 の約半分は、私 の運転 が悪 いかのよ うにあお って きました。父 は 「気 にす るな」 とア ドバ イス し、母 は 「嫌だね。止 まろ うか」 と気遣 って くれ ま した。 で も、 とて も疲れて しまいました。 観光 なので景色を楽 しも うと思 って いま した。 ところが、 あお られ るのに耐え、追 い抜 く車 と対

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沖縄大学法経学部紀要 第10号 向車が正面衝突 しないか と冷や冷や してばか りで した。 とて も楽 しい ドライブとは言 えませんで し た。 人にはそれぞれ都合が あ り、なるべ く早 く目的地 に着きたい気持 ちは分か ります。 しか し、制限 速度は事故防止のために設け られた規則 のはずです。 速度違反の車ばか りの中で、制限速度 で走 ることの難 しさを感 じると同時に、運転手は制限速度 の意味をきちん と理解す る必要があると思 いましたO 回答結果は以下の通 りである。 「ルールは守 るべ きだ」 (3人) 「ある程度の超過 スピー ドは黙認 されているが、事故が起 きてか らでは遅 い。 なぜ、法 を守 る人が いやな思 いを しなければな らないのか」 「自分は守 るタイプだ。違反で捕 まったか ら」 「後続車を気 に しないで走れば いい」 (4人) 「対抗 しよ うとす るか らいけないQ譲ればいい」 (3人) 「ある程度周 りに合わせて走 るべきだ」 「スピー ド出 して も周 りを見て走れば大丈夫」 (2人) 「制限速度は 目安程度 に考 えた方が いい0100台 中99台が制限を守 っていな いところで守 るのは正 直邪魔だ」 「制限速度は 目安 に過ぎない。 あま り規則 を主張す るのもど うか と思 う」 「守 らな くていいo極端 に50キ ロ制限の ところを100キ ロとか出すのでな く、60-70キ ロぐ らいと いう立場であ ります」 「後続 に迷惑がかかるな ら制限速度 を守 る必要はない」 「制限速度 を現実に適 した ものに見直すべきだ。誰 も守 らない規則を守 らせ るのは難 しい

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人) 「制限速度は一昔前のスピー ドがモデルにな っているのでいいかげん変 えたほ うが よい. しか し、 運転する人た ちは知 らない うちに規則を飾 りのよ うに考 えているとも言 える」 りヾトカー も通常のパ トロールで制限守 っていない。皆が一斉 にスピー ドを抑えるか、制限速度そ のものを見直す しかない」 「1人 1人のモラルが変わ らないと現状は変わ らない」 「最初は個人の意識 を高め、内な る心の答を待つ。後 は警察の監視で物理的 に黙 らせ る。私はバ イ クに乗 っていてあお られた ら譲 る。譲 り合 いの精神 !」 「解決策はない。 とにか く余裕 を持つ ことだ」 「ど うす ることもで きな い。今 まで制限速度 を守 って走 っている 自動車 をほ とん ど見 た ことがな い」 (2人) 「取 り締 ま り強化」 「もっと罰を重 くす る」 「ねずみ取 り強化が もっとも効果的だが、個人的には左は

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キ ロの人が走 って、右は無制限 とす る のが世論 と私の考 えに合 っている」

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13-社会比較の有効性 (2) 「車 は凶器だ か ら危機感 を常 に持 ち速度 を常 に把握すべ きで ある」 「狭 い道 や繁華街では分 か るが、高速、人 の通 る ことのな い時な どはむ しろ制限速度 を守 る方が危 な い こともある」 「制限速度 を守 る人はえ らいが、 自分が忙 し くして いるときに前 にゆっ くり走 る人が いるとイライ ラす る」 「現状では制限速度 の意味がな いので、運転手は きちん と理解す る必要が ある」 2 「制限速度 は本来守 らなければな らな いが、警察 も黙認 して いる部分が あると思 うし、 あま り厳 し 過 ぎ る取 り締 ま りも国民か ら反感 を買 うのではな いかO よ って違反は防げな い」「制限速度 内で も車 の量が多か った ら渋滞 の原 因に もな りうるのでは」 「制限独度 で の走行 は運転手 として 当た り前だが、時 には道路状況 によ り臨機応変 に速度 を変えな ければな らな い」 「心 にゆ と りを持 つ ことが必要。 しか し、仕事 に追 われ るとそれ も難 しい。 車 に依存 しないですむ 移 動手段 を作 る必要が あ る」 「法律 に重 い軽 いが あ って いいのだ ろ うか」 「道路 は免許 され た車 の走行 のみ許 して いると解すれば 人 をはねて も死なな い程度 の速度設定 をし て もよいが、道路 は流通網 (?) と考 え経済優 先 と考 えれば高速度設定 して もよい。経済優先で考 えれば制限速度 で のろの ろ走 る車 は危 険な存在 とな って しま うか もしれ ない」 「道 を増や して も問題は解決 しな いので、状況 に合わせ て 自分 の行 動 をとる」 以 前、 ネズ ミ捕 りによる速度取 り締 ま りに対 して、その違法性 を争 ったケー スが あ った ことを記 憶 して いたので インターネ ッ トで検索 してみ ると次 のよ うな記事が見 つか った。

http://response.jp/issue/2001/0223/article7415_1.htm1 2(カ1年2月23日 ネズ ミ捕 りによる速度取 り締 ま り (50km/h制限 の国道 を、27km/h超過 の77km/hで走行 した 疑 い。 はか一件) に対 して、取 り締 ま りの違法性 な どを争点 に争 って いた広 島弁護士会の弁護士で あ る足立修 一被告 に対す る判決公判が、22日に広 島地方裁判所 で開かれ た。 これ まで の公判 にお いて被告側 は 「規制速度が実勢速度 と懸 け離れてお り、速度超過 に違法性が な い」 「ネズ ミ捕 りは、速度違反 を仕 向け る一種 のオ トリ捜査 であ り違法で ある」 「測定機器、測定 方法 の信頼性 ・正確性 に疑 いが ある」 な どと主張 して きた。 対す る広 島地方裁判所 ・高原章裁判官 は 「スピー ド違反が成立す るには、事故発生の危険性 の有 無は関係な いO いわゆ るネズ ミ捕 りは速度違反 を仕 向ける ものではな く、一定時間内の速度違反 を 一律 に取 り締 まるもの。法 の もとの平等 に も反 しな い。測定機器 の信頼性 ・正確性 について も合理 的 に疑 う余地 はな い」 と、 いずれ も退 け、求刑通 りの罰金3万8000円を言 い渡 したo ちなみ にこれ は反則金相 当額 で ある。 われ われ 日常 ハ ン ドル を握 る ドライバー の感覚 と、裁判所 の感覚 との大 きなギ ャップを浮 き彫 り にす る判決 といえ るだ ろ う。 足立被告 は判決後、「50km/hを少 しで も超 えた ら違反 として取 り締 まるのは合理性が あるとい う

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沖縄 大学法経学部紀要 第10号 裁判所の判断は、交通の実態 に合わないO これでは、ハン ドル を握 っている ドライバー全員が違法 とい うことにな って しまう」 と述べ、即 日控訴 した。 《小谷洋之》 筆 者は諸外国で も結構 レンタカーを運転 してきているが、 日本ほど速度制限が タテマエ化 してい る国は珍 しい。 もう少 し現状 に合わせた規制が必要ではないか と考 えて いる。 第11回 目の講義 (12月12日)は年内最後 の講義であ ったので、07年度後期前半の感想 と、後期後 半の授業への希望 を聞いた。 4,沖縄の内と外から 第12回 目の講義 (1月 9日)では、学生の希望の中に旅行 の DVD を見たいとい うものが複数 あっ たので、2005年 8月にマダガ スカル を旅行 した ときの DVD を見せた。マダガスカル についての解 説は、文献 (22)か らメモを作成 した。 年末に書いて もらった希望 の中に、無防備地域宣言 についてや ってほ しいとい うものが あ り、文 献 (23)を紹介 したのだが、筆者は このよ うな宣言があることを知 らなか った。相 当なマニアが聴 講 しているのかな と思 った。 無防備地域宣言 とは、 ジュネーブ条約第1追加議定書 (1977年)第59条で保護 されている平和 ・ 安全保障方式の1つで、国家が戦争をして も戦争 に参加 しない 「戦争不参加都市」、戦争に協 力しな い 「戦争非協 力都市」 を意味す る。非武装地域であ って もそ こに住む住民の多数が紛争 当事国に対 して敵対的な行為をすれば無防備都市 とは言えないし、軍事施設があ って も敵対的に使用 しなけれ ば無防備都市 とみな され ることもあるO法的保護 を確実な もの とす るためには、無防備地域宣言 を す る必要がある。紛争当事国は無防備地域 の条件が満た されている限 り認める義務がある。 自治体が独 白に行 うことができるのか ?議定書では 「紛争当事国の適 当な当局」が宣言ができる とされているので、できると解 され るが、問題は国の同意な しに独 自に宣言できるか とい うことで ある。赤十字国際委員会の見解では、無防備地域宣言は、政府 による宣言が困難な状況の下では、 地方の軍 当局や、市長 ・知事のよ うな文民当局 も可能 とされているが、市長などが宣言す る場合に は無防備地域の条件を確実 に遵守できる軍 当局の同意が必要 とされている。憲法第9条 を有す る 日 本においては、地方に軍隊が配置 されていることを前提 に軍 当局の同意 を求めなければな らないと 解釈す る必要はないのではないか、 とい うのが この本の著者の見解である。 防衛事項は国の専管事項であるか ら、防衛行政 に関す る無防備地域条例は 自治体で制定できない のではないか ?現行地方 自治法

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年施行)第 1条の

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項は国が 「国際社会 における国家 と しての存立にかかわ る事務」や 「本来果たすべき役割」等 を重点的に担 うこととされているので、 防衛、平和 ・安全保障、外交などは国の専管事項であるとも解 され る。 しか し、明確 に自治体 の権 限外 とされている訳で もないことや、 自治体 の法令解釈権や条例制定権が拡大 した ことな どを考慮 す ると、 旧地方 自治法 (国の事務 として防衛、平和 ・安全保障、外交などを列挙 していなか った) と同様 に、憲法第9条や第92条 (地方 自治の本 旨) に基づ いて 自治体独 自の平和行政 を行 えるので はないか とい うのが この本の著者の見解である。 筆者は、 この本の著者 とは逆 に、現在の 日本 においては無防備地域宣言 を 自治体が行 うことは困 - 1 5 一

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社会比較の有効性 (2) 難だ ろ うと考 えている。 これ と接続す る形で、次 の質問をした。 質問(彰徴兵忌避 をどのよ うに考えますか。 質問②沖縄関係の資料 を読んでの感想 ・意見を書いて くだ さい。 民主主義が 「多数 による専制」 に陥 らないためには兵役拒否は認め られ るべきでなかろうか。 こ れ について文献 (24)が紹介 している ドイツ連邦軍 のあ り方は興味深 い。 同軍は、ナチス時代の反 省か ら、国民は軍隊内にあって も自由な人格 として責任感 をもった市民であ り続けるべきだ とい う 理念の もとに設立 されている。兵士は原理上、他 の国民 と同様の権利 ・義務 をもつべ きであって、 それは一定の職務上の必要 によって制限 され るにすぎないとされ るのである。軍人は 「批判的服従」 をなすべきもの とされ る。米軍 のイラク戦争を支援す ることはできないとして米軍 も利用す るソフ トウェア開発業務 に携わ ることを拒否 した連邦軍少佐 について

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月連邦行政裁判所は、国 連憲章および国際諸法の禁 じる暴力行使 にかんがみ、 イラクに対す る戦争には重大な法的懸念があ るとして、 良心 の 自由に基づ いて命令を拒否す る権利 を認めた。 現在 の米軍は志願制であ り、武 力行使一般 についての良心的兵役拒否は認め られているが、特定 の戦争や作戦 を理 由とす る任務拒否は許 されていない。兵役拒否者は勇気ある人 とみな され る。 こ れ に対 して米軍脱走兵 (無許可離隊)は米国国内では 「裏切 り者」として しば しば敵意 の対象になっ ているO しか しカナダの人 々はおおむね脱走者 に好意的で、彼 らを支援す る運動は活発にな りつつ あるとい う。ベ トナム戦争時には

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万人以上 もの人 々が カナダ に逃れてきた。 イラク戦争後 カナダ に逃れている人数は不明だが

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人 とい う推測 もあるとい う。 質問(丑に対す る学生の回答を見 ると、 イメージが湧かない人が多 いよ うであるが、過半数は徴兵 忌避 に好意的である。 質問②は、沖縄関係の ことをや ってほ しいとい う学生の希望 に沿 った ものである。 沖縄 タイムス

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朝刊 に掲載 された林泉忠 「沖縄 アイデ ンテ ィテ ィのゆ くえ 2」 の調査結果に 意見 を書 いて もらった。調査結果 によれば、 「独立」希望が現在で も2割 いるというのであるか ら、 驚 きである。学生の回答で も、 ビ ック リした とい うものが多か った。 この数字は、条件次第で伸縮 す る。 日本政府が認めなければ少な くなるし、経済的 自立が可能 となれば増えるであろ う。 沖縄 と本土 との違 いについては、文献

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頁の本土 ・沖縄対照年表 をコピー して配布 したo 統一国家確立 の時期 を見てみ ると、lock)年近 くも遅れて いるO鉄製農機具の普及時期は

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年 ぐ ら い遅れている。そ して独立 した と言 って も、1609年の薩摩の侵攻後はず っと実質的に独立を果たせ ないままで今 日まで来ているのである。そ して、そのよ うな従属的な状況下で、「沖縄的な もの」は む しろ時 々の体制に利用 されが ちであった ことも指摘 され る。現在、本土 とは違 うとい う場合 も、 その内容を十分 に吟味す ることが必要である。 この質問 との関連で、祖国を敵 として戦 った 日系人たちの ことを取 り上げてみよ うと思 い、文献 (26)の メモ を作成 したo メモの抄録 を以下 に掲げ る。 *ウチナーンチ ュ ・コミュニテ ィは 日系移民の中で最下層であった.主力艦隊の真珠湾母港化が コ

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沖縄大学法経学部紀要 第10号 ミュニテ ィの経済基盤を確固たるものにし、ヤマ トンチュに追いつき追い越す千載一遇の機会 を 与えた。 *ハワイの 日系兵1420人 (ほとんどが2世で、米国籍所有)の武器返還命令。 ウ ィスコンシン州の キ ャンプ ・マコイへ移動 させ られ、 日系部隊第100大隊へ編入 され る。通称パイナ ップル部隊。 ヨー ロッパ戦線でナチスドイツと戦 うO 白人の弾よけにな った。陸軍の中で最大死傷率だ ったD ドイツ軍は、暗号のような言葉をキャッチして 日本語がだ と分かると驚博 した。 *日本の敗戦後2年た ってもまだ 「勝 った組」運動が盛んだ った。ブラジルの勝 ち組 とは違 い、情 幸削まあったのに、 日本の敗戦を信 じない.ハワイのウチナーンチュの中になぜ帝国の勝利 を盲信 するものが輩出したのか ?沖縄 をみてもこういった。 「みろ ! アメリカはみんな金網の中にい るO収容所だo」 *ハワイの 日系人社会はウチナーンチュ対ヤマ トンチュの二元構造に図式化できる(大分裂)0 「対」 には対立 と対等の意味がある。対立は 日本人社会内に対立 しなが ら共存す る沖縄人の姿。対等は 日系人社会の周辺において 自立する姿. しかしなが らハワイのウチナーンチュ ・コミュニテ ィは 圧倒的に 日系人社会よ り沖縄か らの磁力に同調 し、共鳴 しあ うo 大分裂 したウチナーンチ ュコ ミュニテ ィはさらにプロ ・ジャパン派 とアンチ ・ジャパン派に分かれ る (小分裂)。だが これは思 想的同根か らの分裂であることが分か って くる. 琉球処分 と教育の結果、ウチナーンチ ュはプ ロ ・ジャパンとして生まれ変わった。沖縄でもっとも古いといわれ るのが読谷山 (ユンタンザ) 小学校。チビチ リガマの 「集団自決」はこの精神のね じ曲げ教育の成果。同時にアンチ ・ジャパ ンに徹底するウチナーンチュも誕生したQ *ハワイの沖縄移民1世にはヤマ ト支配か らの脱出者、あるいは 日本国による徴兵への拒否者が多 い。 しかし、沖縄を出たハワイにはすでにヤマ トンチュがいた。 *沖縄には在来種 といわれるシマ豚ア-グがいた。 中国か ら ? 鹿児島も黒豚。以北は白豚。 甘藷とセ ット。エサのいもが味と関係 している。 戦後 まもな く入 ってきた 白豚 も強か った。チ ェスター ・ホ ワイ ト種. これ こそがハ ワイのウチ ナーンチュが贈 った豚だ った。 第13回目の講義 (1月16日)で次の質問をした。 質問:2007年に米国下院議会で採択 された 「従軍慰安婦謝罪決議」を提出したのは 日系3世の議員 だったことをどのように思いますか。 このことを知 ったのは、文献 (27)によってである。学生の回答の中にもマイク ・ホンダ議員の 名前を挙げたものが複数あった。 2007年7月30日米国下院本会議は従軍慰安婦問題について 日本に公式の謝罪を求める決議案を採 択 したO決議案の提案者は 日系3世マイケル ・マコ ト ・ホンダ議員.彼はカ リフォルニア15区選出 の民主党議員であるO この選挙区はシ リコンバ レーに位置 していて、アジア系市民の比率が2(カ0年 国勢調査で26%と、米本土で最 も高い。中国系、韓国系が急増 していて、特に中国系の比率は 日系 - 17

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-社会比較の有効性 (2) の5倍 もいる。ホンダは 日系だけに頼 っていては当選できないのだる。 もちろん親 日的な 日系人も いる。ハワイ州選出の 日系2世ダニエル ・イ ノウ工上院議員は一貫 して 日本政府側に立った。ハ ワ イでは 日系社会が強い勢力を持 ち戦時中の強制収容 も行われていない。なお, ドイツもイタリアも 敵だ ったが強制収容 され ることはなかった。 しか し、 この決議案を出した ことでホンダが 日系アメリカ人社会か ら爪弾 きにな ったということ はない。むしろ、ホンダがアジア系代表た らんとする姿勢は現在の 日系人社会で進行 している流れ を象徴 している。 日系アメリカ市民連盟 (LACL) も活動の基本方針を80年代に転換 して 「アジア 系全体」の権利擁護 を新たな使命 と位置づけている。 この決議問題でも沈黙を守 った。 1990年段階で、アジア系人口は691万人 (全米の2.8%)で、①中国系165万人、② フィリピン系141 万人、③ 日系85万人、④ イン ド系82万人、⑤韓国系80万人、⑥ベ トナム系61万人の順であった。 これが2000年には約1000万人に急増 している (全米の3.6%).① 中国系243万人、② フィリピン系 185万人、③ イン ド系168万人、④ベ トナム系112万人、⑤韓国系108万人、⑥ 日系80万人で、 日系人 だけが減 っている。理 由は、新規移住者がきわめて少ないことと、 日系3世、4世になると他の人 種 ・民族 との結婚 (「外婚」 という)が増え、その人たちが 「日系」の枠か らはずれてい くためであ る。20α)年段階での混血割合は、(丑日系30.7%、(診フィリピン系21.8%、(診中国系15.4%、④韓国系 12.3%、⑤ イン ド系11.6%、⑥ベ トナム系8.3%の順で、白人主流のアメ リカ社会への同化 という意 味で 日系人はアジア系の中で フロン トランナーである。 ホンダは対 イラク開戦にも反対 した。2002年 6月26日、サ ンフランシスコ連邦高裁は、公立学校 での 「神のもとの1つの国家」の誓いは政教分離原則に反 し違憲 との判決を下 した。ブ ッシュ大統 領は猛反発 したが、ホンダは判決支持 を表明した。 こういった ことか ら、ホンダは急進 リベラル派 と考え られる。それだけでな く、アジア系市民には一神教の厳 しさは違和感があるのではなかろう か。 2α)7年 4月のバージニア銃撃事件で犯人 自身を含め33名が死亡 した。犯人のチ ョ・スンヒ (23歳) は8歳の時に家族 と一緒に韓国か ら米国にやってきた 「1.5世」である。 日系は3世、4世の時代を 迎えているが、他のアジア系民族の多 くはまだ1世、 2世、1.5世が中心で、本国との関係がまだ十 分に切れていない。韓国大統領が哀悼の意を表明したが、 アメ リカ政府や メデ ィアは韓国の問題で はな く個 人の問題 とした。戦前は 日本 も本国での政治上の志 をアメ リカにそのまま持 ち込んでい た。 韓国は米国の敵になったことがない。慰安婦問題で直接関係がない米議会に積極的に働きかけた のは両国間の心理的な壁の低 さがあるのではないか。 これ に対 して、 「9・11テロ」は 「真珠湾攻 撃」 と比較 された し、 イラク占領統治でも日本が比較 されてきた。 ツインタワ-ビルは E]系2世 ミ ノル ・ヤマサキが設計 したものであるか ら皮肉な巡 り合わせである。 第14回 目の講義 (1月23日)の講義で次の質問をした。 質問 :日本は憲法で戦争放棄 しているのだか ら、死刑も当然廃止すべきだ という意見を論評 して く だ さい。

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