Author(s)
野瀬, 昭博
Citation
南方資源利用技術研究会誌 = Journal of the society tropical
resources technologists, 11(1): 21-31
Issue Date
1995-10-20
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/14106
南方資源利用技術研究会誌 Vol.llNo.1 21-32 1995
総
説
植物の光合成機能か らみた沖縄の農業
野 瀬 昭 博
(佐賀大学農学部)
PhotosyntheticTaritsofCropSpeciesinOkinawa
AkihiroNOSE
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1.は じめに
CalvinとBensonに始 ま る光合成炭素代謝 に 関す る研究 は,1965年 にKortschakによってC. 光合成が示唆 され,活発に研究 されて きた. そ のような中で多 くの成果が得 られ,農学の中で 光合成 も広 く理解 され るようになった.植物 の 生産 は,基本的に光合成に依拠するものである. 本稿では,作物の光合成特性か ら沖縄の農業 を 考察 してみたい. 1)高等植物 における3種類の光合成 高等植物の光合成には,3
種類の変異がある. ひとっ は水稲や甘藷に代表 され る温帯作物 に広 く認め られ るC3
型光合成 であ る.2
番 目はサ トウキ ビや トウモロコシ等の熱帯作物 に認 め ら れるC4型光合成 であ り, 3番 目はパ イ ンア ッ プルやサボテ ンで認 め られ るCAM型光合成で ある. 沖縄農業を支える作物を概観 したとき,沖縄 農業を代表す るサ トウキ ビはC
.型光合成 を有 し,野菜類 はC
,型光合成, それ に栽培面積 は 減少 したとはいえ地域特産品 として重要な位置 を占めるパイ ンア ップル,あるいは近年増加 の 傾向にある洋 ランはCAM型光合成 を有 し, 3 種類の光合成型が沖縄における農業生産 と深 く 係わ っている. 光合成の視点か ら沖縄農業 を考察す る前 に, これ らの3
種頬の光合成 について,簡単 に要約 しておきたい. まず,C3
型光合成の特徴 は30 -40klxに光飽和点 を持 ち25-30℃ に最適 温 度域を有 し,水利用効率を示す蒸散比 は 600-900gH20/gC02と高 い.個葉 レベルでの最大 光合成速度 は40mgCO2/dm2/h以下の値を示 す.次にC
4型光合成の特徴 は. 光飽和点 を示 さず,30-35℃に最適温度域 を有 し,300gH2 0/gCO2近辺の蒸散比 を示す. 個葉 レベルで の最大光合成速度 は40-80mgCO2/dm2/h とC3
型光合成に較べて高い. CAM型 光 合 成 のCAMと はCrassulacean AcidMetabolism(ベ ンケイソウ科酸代謝)の 喝で,本来ある一群の植物が示す有機酸代謝を 意味 して いる (野瀬,1979,1986,1992,1993). この代謝系 は1960年以前 に ヨーロ ッパ を中心 に研究 され,その概要 が知 られていた.CAM が世界の植物生理の舞台で注 目を浴びるよ うに なったのは,Kortschakに始 ま りHatchとSlack によって確立 されたC
4型光合成 の発見以後 で ある. 光合成 とは,光のエネルギーを化学エネルギー に転換 し,そのエネルギーを用いて大気中の炭 酸 ガスか ら炭水化物を作 り出す一連のプロセス である.従 って,光合成による大気か らの炭酸 ガスの吸収 は,光の下で行われると考えるのが 普通である.CAM型光合成 において は, 炭酸 ガスの吸収が夜間に行われ,昼間 には大気 と植物の間のガス交換が著 しく抑制 されることを特 徴に している.つまり,CAM型光合成 におい ては,夜に炭酸 ガスが吸収 され. リンゴ酸 の形 で固定 された後, リンゴ酸 は液胞に貯えられる. 光の下では液胞か らリンゴ酸が細胞質へ流出 し, そこで脱炭酸 され生 じたC02がカル ビン回路-と取 り込 まれる.従 って,CAM型光 合成 にお いて も,光エネルーギーの化学エネルギーへの 転換 は光の下で行われるのであるが,その時に 必要な基質であるC02は内生的に供給 され,植 物体 は気孔を開ける必要がない. この様な特徴 か ら,CAM型光合成にお いて は著 しく高 い水 利用効率を示 し, 蒸散比 は20-80と小 さい. またCAM型光合成の小 さい蒸散比 には大 きな 気孔抵抗 も関係 している. この大 きな気孔抵抗 は,外気か らのCO2吸収がC.光合成 と同様なP EPカルボキシラーゼで行われるにも係わ らず, きわめて低いCO2吸収速度 しか示 し得ない (10
mgCO2
/d
m2
/h
以下)原因 となっている.2
)沖縄の気象特性 光合成は光や気温 といった気象要因の影響 を 直接 うけて変化す る.そこで,沖縄の気象特性 をみると,温度指数に従えば.沖縄の平均気温 ; 那覇22.1℃,石垣23.6℃ は亜熱帯 に類別 され, 年降雨量 ;那覇2178mm.石垣2195mmは湿潤 とな る. つ ま り, 吉良 の分類 (久保, 1982) に従えば沖縄の気候 は,湿潤亜熱帯 と定義 され る. 沖縄の気象を湿潤亜熱帯 と分類 して も具体性 に欠けるので, まず, 日射量の年変化 につ いて 第1図に示 した.比較のため に示 した, 台中, ホノルルにおいて も日射量 は冬季の300Cal/C
d
/d
a
y
か ら夏季 の500Cal/c
n
f
/da
y
へ と年変化 を示す ものの,沖縄地域では冬季 と夏季の違 い が2,5倍 と大 きいのが特徴で あ る. つ ま り, 沖 縄の夏季 (6- 9月)は熱帯地域 と変わ らぬ高 い日射量が得 られる. しか し,冬季は200Cal/c
E
f
/d
a
Ly
前後 と,その E]射量 は, 日本 国内の静 岡.高知,宮崎に較べて も劣 る値 となる. 気温 についてみると (第 2図), 日射量 と同 様 に熱帯地域に較べ年変化幅が大 きく.夏季 は 熱帯 と同様で冬季は温帯の春 ・秋季 と同程度 で ある.また,作物生産に密接に関係す る日気温 較差は年間を通 して5℃ と小 さく,殆 ど変動 を 示さない. 以上のように沖縄の気象 は,夏季の高 日射 ・ 高温 と冬季の低 日射 ・温暖という.極めて特徴 的な組合せで成立 していることが理解されよう. ( E 3 J z I U\ 1C 3 ) f 蒜 コ rIJ d t E l i x .Hj n 皿 皿 ,岳 汀nULh
打1日m mn匹 図 1.月平均日射主の推移 ●,那覇 ;○,石垣;▲,台中 ;△,ホノルル. 野瀬1986より作図. ( U , ) 覗 砺 2 両 図2.月平均気温の推移 ●,那覇 ;O,高知;▲,台申 ;△,ホノルル ; ×,ジャカルタ.理科年表1990年第63冊と気象庁 外国気候表1987より作成.2.
サ トウキビの光合成及び物質生産特性
まず.沖縄の耕地の約50%を占めるサ トウキVol.llHal1995 どの光合成特性 につ いて検 討 して み たい.Cl 型光合成 の基本的な特性 は前節で説明 した通 り である. しか し,C.型光合成 内 に は3種 の変 異型が存在す ることが知 られている. 中で もN ADP-マ リックエ ンザイム型 に類別 され る もの は,C4植物 の 中で も高 い生産力 を示す ものが 多 く (Murata.1981),サ トウキ ビもこの サ ブ タイプに属す る. 表 1.サ トウキ ビにおける個葉の光合成特性 1.光反応 ① 120kk下でも光飽和を示さない。 ② Sucfm 抑cb叩 蝕 血 汀1申,Ssb7eSq S紳 Z07の最大光合成速度に有意な種 ・品種 間差あり. 2,温度反応 (D 最適温度は35-40℃. ② S伽 SkzcrJm 申,S dne喝 S sxTZLcqtetn7の最適温度 ・温度反応性に有意な種 ・ 品種間差あり. ③ pEPIC、NAI)p-MEの温度反応性に有意な種 ・ 品種間差あり.
④ pEp-C、NADP-MEの電気泳動fu値に有意な 種 ・品種間差あり.
3
,窒素反応 S伽 S SiTWSeの光合成に有意な種 ・品 種間差あり. 4.野生サ トウキビ (a sxum 7eW
7
i
)
① 16の光合成関連形質に有意な系統間差あり. 特に、宮古島産S qxTLb uZZD7di他の地域のS sxnLmzeLq7k有意な差を示す頻度が高い. ② 主成分分析の結果、光合成形質にエコタイプ が存在する. ③ 強光下での光合成速度は、気孔開度 と NADP-MEと高い相関を示す. 1)サ トウキ ビにおける個葉の光合成特性 第1表にサ トウキ ビの光合成 に関 して得 られ た成果の要約を示 した.光反応 については, 沖 縄の夏の真昼の光強下 において も, ス トレスの ない状態での光合成速 度 は光飽和 を示 さない. さ らに,その最大光合成速度 は種 ・品種間 で有 意な違 いが観察 された. 温度反応性 (野瀬 ら,1989):前節で示 した よ うに,沖縄の気象は夏季の熱帯 的条件か ら冬 季の冷涼な温帯的条件 まで大 きな変化 を示す. 従 って,栽培が周年に及ぶ サ トウキ ビの場合, その温度反応特性 は,特に興味深 い.沖縄 の主 要品種であるNCo310及び原種 に近 い と予想 さ れ るBadilaを含む8品種 について,光合成 の温 度反応性を検討 した結果.いずれの品種の最適 温度 も35℃付近 に認め られた. 興 味 あ る点 は. 主要品種であるNCo310がいずれ の温度 区 にお いて も低 い光合成を示 し,種子 島育成 のNilが 高 い光合成を示 したことである. 個葉の光合成の律速部位 は大 き く気孔 と葉 肉 代謝部 に2
分 され る.葉 肉部 の温 度反応性 と し て,C.光合成を特徴づけるPEPカルボキシラー ゼ(PEP-C)と,サブタイプを特 徴 づ け るNAD P-マ リックエ ンザイム (NADP-ME)の2つ の酵素 について飽和硫安に-よって部分純化 した タンパ ク質を用 いて温度反応性を検 討 した.P
EP-Cについて.読谷山で40℃ まで活性増大 が 認め られ るものの,他の品種では35℃に至適温 度を示 した。また、NADP-MEにつ いてみ ると. PR980と読谷山は35℃に,BadilaとNCo310は 30℃ に,Nilは.20-25℃に活性 の至適温度 を 示 した。つまり.40℃の高温度域 での光合成速 度の低下 は葉肉 レベルの活性低下 によることが 予想 され る. また.PEP-CとNADP-MEにつ いて活性染色法を用いたアイソザ イムにつ いて の検討 はバ ン ドの数及 びRf値 に品種間差 が あ ることを示 していた. 窒素の影響 (野瀬 ら,1990):窒素栄養 の コ ン トロールは近代農業技術での重要 な課題 で あ る. また,近年のエネルギー効率 を視点にいれ た作物生産を考案す るとき作物の窒素反応性 は 特 に興味深い.特 に,光合成の窒素利用効率 と い う視点で,C一光合成 はC3光合 成 に比べて高 く.この点をBr
ow
n(1978)はC.光合成 の進化 と結 び付 けて論 じている.また, サ トウキ ビ栽 培 において窒素栄養 は正 と負の両面を持っ. つ まり,茎の収量 について窒素栄養 は積極的 な役 割を果たすが,糖収量 についてはマイナスの作用を及ぼす.沖縄におけるサ トウキ ビの大 きな 課題が糖含量の増大にあることか ら低窒素条件 下におけるサ トウキ ビの光合成特性について検 討 した結果,薫身の窒素含量が低下す るとサ ト ウキ ビの光 一光合成反応 は
C3
型 と同様 な光飽 和型 とな り, ほぼ1
000F
L
mOl
/r
d/s
(約40kl
x)
の光量下で飽和す るようになる.最大光合成速 度には品種間差 は認め られなか ったが,弱光域 の光合成速度に品種間差が認め られた.弱光域 の光合成 と最 も高い相関を示 したのは可溶性 タ ンパ ク含量であった(
r
-0.
6
46,
P
<0
,
0
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1
)
.
1
0
-1
8mgN/dm
2のサ トウキ ビ菓身 において得 ら れた光合成 における窒素利用効率 は2.
5
-3.
7
mg
CO2
/mgN/h
であ った.野生 サ トウキ ビ (Sacchwum q)m血meum)
における光合成の変異 (野瀬 ら
,1
986,1
9
92
,1
99
4)
:現在の栽培サ トウキ ビが セ レ-病抵抗 性 としてS.
q)m加 eumの遺伝質を持つ ことは, サ トウキ ビの歴史の中で有名 な出来事であ る. 南西諸 島 に も野生 サ トウキ ビ(
S.q)mkmeuTTL ワセオバナ)が広 く自生す る.サ トウキ ビで は 種間雑種 はもとより,属問での遺伝質の取 り込 みが可能であるため, これ ら野生種の特性 を知 ることは新 しい品種作成に向けて重要である. 著者 らは,南西諸島に自生す る系統,及 び台 湾あるいは- ワイで保存 中のS.spcntaneum5
3
系統について,個葉の光合成特性 を調査 した. 取 り上げた1
6
形質の全てについて有意な品種間 差が認め られた。1
00kl
x
と言 う強光下での光合 成速度 には20-80mgCO
2/dm2
/h
の変異 が 認め られた.最 も高 い光合成速度を示 したのは. 宮古島平良市大浦で採集 され たJ
W66
で81
.
5
±22.
4mgCO2
/dm2
/h
とい う値であ った。JW
6
6
は大 きな気孔 コンダクタンスと供試系統 中2
番 目に高い可溶性 タ ンパ ク質含量(
SLP)
杏 示 し,可溶性 タンパ ク当 りの光合成速度が4.
07
mgCO2
/mgSLP/h
と高 か った。 しか し, 葉 肉要因 として取 り上 げたPEP-
C
やNADP-
ME
の活性 さらにはフラクション1タ ンパ ク (リブ ロース1,5二 リン酸 カルボキ シラーゼ)含量 に ついては,高い部類に属す るものの他の系統 に 比べ明 らかに高いとは言えなか った。 2番 目に 高い光合成速度(
80.
2±6.
5
mgCO2
/d
m2
/h)
を示 したTainanにおいて も関連す る光合成要 因 はJ
W66
と同様であった。従 って, 調査 した S.
spm tmwumの光合成 において気孔抵抗が大 きな役割を果た していると予想 される. ( 書 初 4 , , J< S 世 態 甘 . 地 類 溢 稚 ? 領 収 a E Q P i a( 演 ) tS 省 叫 t 綜 fI手島 TanegashiJ77aJs.●
●
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..′, +./ ,ob:2S=jmals,●
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ー
J
t
J
L
AAA 宮 古島 ヽ -6 ・4 -2 0 2 4 6 第2主 成 分 (鍔 光 下 で の光 合成 頚 皮 、 プ ラク シ 1ン lタ ンパ ク と窒兼 含 Jl) 図3.南西諸島で採種 した野生サトウキビの 光合成特性に関する主成分分析 特に興味深い結果 として,供試 した3
3
系統の 野生サ トウキ ビについて主成分分析を行 った場 合 (第3図),第一主成分 に強光下での光合成 速度 と蒸散速度 さらに可溶性 タンパ ク含量, 罪 二主成分に弱光下での光合成速度 とフラクシ ョ ン1タンパ ク及び全窒素含量をとったとき, 野 生サ トウキ ビは自生地の島ごとにグループ分 け され, しか も第二主成分上で左か ら右へ順 に種 子島,徳之島,沖縄島,宮古島と緯度の順 に配 列 された.つまり,野生サ トウキ ビの光合成特 性 は自生地の地理的 ・気候的条件の影響を強 く 受けて変異 しているものと考え られる. 前述 したように温度 は作物の生育にとって極 めて重要な役割を果た し,沖縄におけるサ トウ キ ビ栽培において も重要な側面であ る.S.
甲m一 血Leumの温度反応性 につ いて は1
2
系統 の植物 について光合成の温度反応性 を検討 した.6
0kl
xという光の下で求めた最適 な温度域 はほとん どの系統において35
℃付近に認められた.但 し,Vo
l.llNo
.
11
9
9
5
台湾産のTa
in
aJl及 び ボナペ産 のJW45
は40℃
にな って も光合成の抑制 は生 じなか った.2
)サ トウキ ビの生産ポテ ンシャル 前節 に示 したよ うに,沖縄の気象環境 は 日射 量 と温度 につ いて大 きな年変化を示す.従 って, そのよ うな条件下でサ トウキ ビが如何 なる生育 を示すのか, あるいはそ こに横 たわ る問題 を明 らかにす ることは農業的な視点で興味深 い. 近年の沖縄県のサ トウキ ビの平均収量 は6-7t
on/1
0a
と世界的にみて中位のランクにある. そ こで ポテ ンシャルと しての収量をサ トウキ ビ 競作会の資料 を辿 ってみ る と,1
96
4/1
9
65
年 期 に24.
1
t
on/1
0a
とい う値が久米島の砂壌土畑 で得 られている.つ まり,競作会の例でみ る限 り,沖縄 におけるサ トウキ ビの生産 ポテ ンシャ ルは現在 の平均収量の3- 4
倍あるもの と考 え られ る(
Mi
ya
z
a
t
oe
t
a
l,1
9
84)
.
サ トウキ ビの生育経過をたどると最終収量 の 過半 は6- 9
月の夏季 に生産 され る. つ ま り, サ トウキ ビの収量 にとって夏季の生産力が重要 である. そ こで,夏季の生産力をLAI
(葉面積 指数)が異 なるよ うに調整 した模擬群落におい て,個体群生長速 度(
CGR)
で評価 して み る 4 (c tLJ 望 ) _g i昏 3 * Aug80Q=tMar81Apr Jun Aug Od D∝ Feb82
調 査 日 と,LAI
が5- 6
の条件下 で60
g/A/da
y
と い う値 が得 られ た(
Mi
ya
z
a
t
oe
t
a
l.1
9
84).
このCGR
は世界的 にみて も上位 に位置 し, 沖 縄の夏季のサ トウキ ビの生産力が極めて高 い こ とを示す ものである.6- 7t
on
/1
0a
の収量 を 示すサ トウキ ビつ いて,夏季のLAI
を見 ると1
- 3
と小 さい (仲間 ら,1
987)
.
つ ま り, 現在 のサ トウキ ビ栽培 において は夏季の優れた生産 環境が充分生か されてお らず,その原因 はLAI
不足 によるものと考え られ る.従 って,夏季 に 充分量のLAI
を確保す ることによりサ トウキ ビ の生産力 は大幅に上昇す ることが予想 され る. このよ うな ことか ら,LAI
を単純 に増 やす方 法 と して,株問を1/ 2
に短縮 し2
倍の密度 で 植付 けたサ トウキ ビについて,その生育経過 を 追跡調査 してみた (野瀬 ら,1
9
89
, 第4
図). 結果 は,夏季に5- 7
のLAI
が得 られ7- 8
月 に40-45
g/n
f
/da
y
とい うCGR
が認 め られ, 植付 け後1
ヶ年の9
月に収量 としては充分 な1
7
t
on
/1
0a
の原料茎が確保で きた. しか し,残念 な ことに, このよ うなサ トウキ ビにおいて は9 月以後 に枯死茎が増大 し,通常 の収穫期 で あ る2
月には標準区 と殆 ど変 わ らない1
1
-1
2bn/
1
0a
の収量 に落ち着 いた. Au9800ctMar81Apr Jun Aug Od D∝ Feb82 調 査 日 図4.2倍密植条件におけるサトウキビの乾物生産の推移 栽植密度 :密植区1
3
5×2
0
c
m
,対照区1
3
5×4
0
c
m.
品種 ;NCo
31
0
.
施肥量 は慣行通 り.蓑2
.最終調査時における有機物量と有機炭素量 作 物 aka,Tos苦慧 認 許 余鮒 的 畢 棚% V鵬他 Hi鮒V I眼 穏Qlm サトウキビ書3873b1412320(510)b84 サトウ+ビェ4627且10.23410(904)875 +◆7サJ1 709C 26 403(82)C15 甘書 887C 47 450(47)C22 o LL' l 1 I AT bO LJ' 0 3 <U 9 6 ・4 -1 1 3 6 tL' 5 5 7 9 6 6 9 ⋮ 3 LJ} .4 勺エ ー 7 2 6 3 3 4 3 3 サ トウキ ビ春 . 春 植 え サ トウキ ビ サ トウキ ビ夏 . 支 植 え サ トウキ ビ.(1).kg/ 10a/日.最終t を栽培期間 の一 日当 りに 直 した場 合,表 中の 7ル7 7ペ ッ トはDuncanの多重検 定 で 異符号間 に1%水準 の有意差 あ り.表 中の カ ッコ内の数字 は, 地下部余剰乾物JLを示 して い る.3
)圃場生態系作物 と してのサ トウキ ビ 亜熱帯条件下での生態学的な特性 と絡めて問 題点を指摘 してお きたい.亜熱帯における気温 の高 さは作物の生育 にとって有利 に働 くのであ るが,地温 も気温 と同様 に高い.従 って,沖縄 の耕地土壌の70%が3等級以下の劣悪土壌に類 別される大 きな原因は (大屋,1984), 土壌有 機質の低 さにある (殆 どが1%
以下).っま り, 地温の高 さは有機物の分解 ・消耗を促進す る も のと予想 され る. 1例 として, タイの土壌で得 られた年間の炭素消兼毛量 は約1
.
2
t
o
n/1
0a
に及 ぶ (Kyuma,1983).このよ うな有機炭素 の量 は堆肥 に して6t
on/l
D
a
に相 当す る (野 瀬 , 1984).沖縄 においてはタイほどに年間の炭素 消費が大 きくないと考 え られ るが,何れに しろ 温帯に比べてその量が多 いのは確 かであろ う. つまり,亜熱帯や熱帯条件下で土地利用型 の集 約的な農業を宮 もうとす るとき.土壌有機物 の 効率的な確保 は大 きな課題である. このよ うな 視点か ら作物生産を捉えたとき.サ トウキ ビの 高い/ヾイオマス生産力 と収穫対象物以外の余剰 有機物の量 は注 目に値す る (野瀬 ら, 1989). 第2
表は亜熱帯の基本的畑作物 と して利用 され るサ トウキ ビ,キ ャッサバ,甘藷 についてその 余剰有機物生産力を評価 した ものである.結果 が示すように,サ トウキ ビの生産力が著 しく高 い.つまり.夏植えサ トウキ ビが生産す る余剰 有機物の炭素量 は.熱帯条件下での土壌か らの 年間炭素消費を充分に補い得 るものである. こ のように.サ トウキ ビのようなバイオマス生産 力の高 い作物 は熱帯,亜熱帯の土壌保全の意味 か らも極めて重要である.4
)今後のサ トウキ ビ研究の課題 冬春季の園芸作が活発になるにつれ,サ トウ キ ビの収穫期 と労働力及び土地の競合が激 しく 成 りつつある. この間題を解決す るためにはサ トウキ ビの早熱化を図 り, キ ビと園芸作の2
毛 作体系を作 る必要がある. この栽培体系は沖縄 の気象特性を生かす上で も理にかなった方 向で ある.サ トウキ ビの早熱化については,2
つの 問題点を解決す る必要がある.まず,サ トウキ ビにおいては初期生育が緩慢で一定の茎収畳 を 得 るまでの栽培期間が長す ぎる.少な くと も現 在の半分に栽培期間を短縮する必要がある. サ トウキ ビは他の植物か ら容易に遺伝質を受 け入 れることが出来 る.従 って.初期生育を促進す る遺伝質を トウモロコシやソルガムに求め るこ とは如何であろう. また,近頃のスイー トソル ガムの品種には,以前の ものに比べてスクロー ス含量が大幅に上昇 しているものがある.従 っ て,サ トウキ ビの煮糖合成能のソルガムへの導 入 という,逆の方策 も考え られる. サ トウキ ビとの2
毛作体系をはかる第二 の方 策 は,サ トウキ ビの早熱化の技術である.前 に 述べたように,夏植えの場合茎収量にって は現 行の2/ 3
に栽培期間の短縮 は可能である (野 瀬,1989).残 るのはこのようなサ トウキ ビに どう糖蓄積をさせ るのかということである. つ まり,糖合成系の制御法の解明 も今後の大 きな 課題 と成 ろう. 上述 したようなサ トウキ ビの栽培法の抜本的 な改善を目指 しなが らもサ トウキ ビの生産 コス トを低減させるために,収穫期問の大幅な延長 を計 る必要がある.従 って,沖縄におけるサ ト ウキ ビにとって備えるべ き要点 は夏場の熱帯的 条件か ら.冬場の温帯的条件まで広い気候変化 に耐え うるような光合成.あるいは生理的特性 を付与す ることである. このような目的のため には,野生サ トウキ ビの利用が有望な方策 と成Vol.llNo.11995 ろう. また,前述 したように,サ トウキ ビの機 能 には大 きな変異が存在す ることが予想される. 従 って,高貴種 における基本的な特性を広範囲 に検討す ることも重要 な情報源 となるはずであ る (野擬,1988,野減 ら.1990)
3.
パ イ ンア ップル にお けるCA
M型光合 成の特徴 と物質生産 パイ ンア ップルの沖縄農業 における地位 は低 く,サ トウキ ビと並べて論 じるには問題 もある. しか し,パ イ ンア ップルが特異的 なCAM型光 合成を営み,かつCAM植物が実際農業の中で 利用 されているという点 は,沖縄を超えた亜熱 帯あるいは熱帯一般の作物生産につながる課題 だ と考える. 1)パインアップルのCAM型光合成の特性 (第3
表) 夜 に炭酸 ガスを吸収す るとい うCAM型光合 成の特性 は,環境要因 との係わ り合いを解析す る際,大 きな困難 となる. 従 って,CAM型光 合成の光反応や温度反応 についての研究は, 他 表3.パ イ ンアップルの光合成特性 1.光反応 30-40kliの光条件下で、一日のCO2収支は光飽 和を示す. 2.温度反応 昼/夜温度が31/16-25℃のときに、一 日の CO2収支は最大となった. 3.日 長 短目条件下でC02の吸収が活発になる. 4.耐干性 ① pF4.2というような条件下でもCO2吸収をしめ す. ② 活発なCO2吸収はpF2前後の土壌水分下で現 れる. 5.窒素反反応性 高窒素条件下でCO2吸収が活発になる.特に夜の CO2吸収が促進される. 6.CAM型光合成の制御 パインアップルの夜の炭素ガス吸収は、PEPカ ルボキシラーゼのリンゴ酸感受性では説明でき な い . の光合成型 はど活発に行われていない.パ イ ン アップルの個体を用 いた研究の結果 でCAM型 光合成の特徴を紹介 してみたい (野瀬,1986). まず, 1日のCO2収支でみた光飽和点は平均光 強度に して30-40klxの条件下 にあ る.パ イ ン アップルのCAM型光合成で興味深 いの は, 1 日のCO2収支に対する夜のCO,収支の責献が著 しく,かつ昼間の光条件が夜のCO2吸収を介 し て1
日のCO2収支に影響を及ぼす ことである. 温度 は,CAM型光合成 に対 し極 めて特徴的 な影響を及ぼす.パイ ンアップルで は昼温を31 ℃に維持 し夜曲 を16-25℃ に維持 した ときに 1日のCO2収支が最大 となった. 夜温を28℃ か ら37℃ まで上昇 させ ると1日のCO2収支 は 直線的に減少 した. このように昼夜 の温度差 を 10-15℃に保 ったときに一 日のCO2収支が最大 になる現象 はCAM型光合成の温度反応で はよ くみ られ る. この原因 としては,夜 のCO2吸収 が2
つの ソースを持つ ことと関係 しているよ う に考え られ る.第一のソースは当然大気であり, もうひとつは植物体内の暗呼吸由来 のCO2源で ある.つまり,夜温は内生CO,発生 の程度 と, その時の基質 (ホスホエノール ・ピル ビン酸 ; PEP)と固定 エネルギーの供給 に密接 に係わ り合 っている.また,昼温 は リンゴ酸 の炭水化 物への転換効率に係わ る.このように,CAM型 光合成においては,時々の現象が前歴 となる条 件によって強 く規定されるために. その係わ り 合いが複雑になる. CAM型光合成において,植物 は昼間 に気孔 を開 く必要がない.従 って,CAM植物 の水利 用効率 は蒸散比で20-80と極 めて高 い. パ イ ンアップ ルをpF1-4.5の土壌水分 下 においた 時のCO2収支を調査 した結果,最大 のCO,収支 はpF2-3というC
3,C4植物で生長 有効水分域 といわれ る条件で得 られた. しか し.pF4.2と いう一般の植物が枯死を免れないよ うな乾燥条 件下で もパイ ンアップルは正のCO2収支を示 し, 耐乾性に著 しく優れている. 日長 は植物の生育相の転換に対 して重要 な要因である. しか し. 日長が光合成に及ぼす影響 については余 り知 られていない.パインア ップ ルの
CAM
型光合成に対す る日長 の影響を調査 すると,短 日条件では夜のCO2
吸収が活性化 さ れ,結果 として1日のCO2
収支が大 きくなる. 2)パイ ンア ップルにおけるCAM型光合成 の制御 と限界 (第3表)CAM
型光合成は.夜のCO2
吸収で特徴づけら れる.つまり.1日のCO2
1収支の内で,夜のCO2
収支の占める割合が高 ければ高 いほど,CAM
型光合成の特徴が際だっ ことにな る. 従 って, 1日のCO2
収支に占める夜のCO
Z収支の割合をCAM催 (
CAM
abilib,)と定義 し,CAM
性の 比較を行 うことはCAM
型光合成の制御を目指 すときに有効な知見をあたえる (野瀬,1986).CAM
型光合成において夜 に吸収 され るC02
は リンゴ軟 として液胞に濃縮 されるために.総CO2
吸収量 はおのずと液胞での リンゴ敢貯蔵能 力により定められる. しか し,昼間,特に午後 に生 じるCO2
吸収 は,直接カルビン回路に取 り 込まれるために液胞での リンゴ酸貯蔵で予想 さ れるような上限は存在 しないはずである.従 っ て,CAM
植物の物質生産の改善策のひとつは, 昼間にCO2
吸収を高めること, つま りCAM
性 を低下させ ることにある. このような予想の下 に,環境要因 と1日の 花芽 分 化 項書 ,L6 - 2 0I月21
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収支の関係をCAM
性 と絡めてパ イ ンア ッ プルにおいて解析 した結果 は,CAM
性の低下 が1日のCO2
収支の増大につながったのは,昼 間の光強度を上昇させたときだけであった. そ して,温度, 日長 (短 日),窒素はCAM
性を大 きくしなが ら1日のCO2
収支を増大させた. 3)一年一作型パインアップルは可能か ? 沖縄の露地で栽培 されるパインアップルにお いて,植付けか ら一回目の収穫までには2年∼ 2.5年を要する. この主な原因 はパ イ ンア ップ ルを植付けた後, 8- 9ケ月間殆ど生長 しない 期間が存在す ることにある. その後の生長 はC3
植物と同様 な推移を示 し,最終バイオマス 量 (乾物)も3t
o
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/1
0
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を越す値に達する.つ まり,植付け後に発根が十分ではな く, この こ とが初期生育の遅延につながるものと予想 され る.著者 らはオーキシン処理により発根を促進 させ.その後に前述 したようなパイ ンアップル のCAM
型CO2
吸収に適 した (近似 した)条件 杏- ウス内で実現させることにより,栽培期間 の短縮に関する研究をおこなった.第5
図 は得 られた成果を模式的に表 したものである.結果 は発根処世を行い-ウス栽培で環境条件を整え ることによって,植付けか ら1
3
ケ月で第-栗の 収穫ができることを しめ している. 以上の成果は,著者 らが大学のガラス室で4-5
年間繰 り返 し確認 して きた ものであるが. 農家段階で実証すると発根程度に不安定な面が 観察されている.農家 レベルでの技術として安 定 した技術 となるためには,採苗時期や採苗後 の苗の管理,-ウス内での施肥 ・温度 ・光管理 など細部についての検討を望みたい.4.
ロー カル ・エネルギ ー作物 と しての甘藷
沖縄では伝統的に甘藷が長い間栽培されて き た.地球環境問題のなかで森林の減少をいかに 食い止めるかは大 きな課題 となっている.森林 の減少の主要な部分は熱帯雨林であるが,発展 途上国における森林の減少 も見逃せない問題 とVol.llNo.11995 なっている.後者における森林の減少は主 に薪 としての森林の伐採である.つまり,途上国の 地域 においては日常の生活を支えるための エネ ルギーの確保が重要な課題 となっている. 表4.最大余剰 エネルギー等, エネルギー生産 に関す るパ ラメターの変異 農大余剰エネルギー 11月 11月現収生 生産安臥 エネェネルf Jは 区 到達B EdH海扮 汚扮価 乾物辛 産 ん+I- -収支 鮒 後Icd/n・LL/mrど/m, (%) (%)ど/m・円/m・icd/m・ 129 45B6 510 142 5280 588 126 3684 410 171 4533 504 157 7627 848 140 4768 530 133 4868 541 198 7661 835 168 7555 840 473 491833723096 544 525233093583 380 503429922498 467 339634065093 786 609635064698 491 557230523362 502 529032203325 789 5950289457g5 779 52_1230326233 792 1098 796 1104 805 11ユ5 796 1103 800 1109 80.8 1121 80-3 1114 807 1119 816 1130 以上のようなローカル ・エネルギーをいかに 確保す るかということで, エネルギー自給型 ア ルコール生産プラン トモデルが開発されている. 著者 らは甘藷についてエネルギー自給型アルコー ル生産プラン トの原料 としての可能性を検討 し た . エネルギー原料 としての作物の生産を捉 え る とき,最 も重要な特性 は栽培 に使われるエネル ギー供給量 と得 られるエネルギー量のアウ トプッ ト/ イ ンプ ッ ト比である.ちなみに,わが国の 水稲でのエネルギー ・アウ トプ ッ ト/イ ンプ ッ ト比 は約0.5で,水稲栽培 はエネルギー生産 と してはマイナスということになる.幾種類かの 実験区を設 けて甘藷のエネルギー生産特性 を検 討 した結果 (第4表), そのエ ネルギ ー ・アウ トプ ッ ト/イ ンプ ッ ト比,つまりエネルギー収 支 は3.8-6.9で非常 に高 いことが明かになった. ただ し,現在のエネルギー自給型 アルコール生 産プラン トでは茎葉をプラントの稼働エネルギー として使用 し,系外か らのエネルギー投入をゼ ロにす ることが設計の原則 とされて い るため, 甘藷の植物学的特性か らは茎葉部が不足す るこ ともあさらかとな った. しか し,エネルギー収 率 は高 く,プラン トの運転 エネルギー源 と して は甘藷以外の作物の利用 も可能なものと考 え ら れる.
5.
おわ りに
南方資源利用研究会の推薦を受け第15回沖縄 研究奨励賞 (1993年1月) を頂 いた. この場 を借 り改めて皆様 にお礼 を申 し上 げ る.1994 年4月に琉球大学へ赴任 し20年1ケ月,あっと いう間の沖縄での生活であった.その間にたず さわ った研究に対 して評価を頂 き有 り難いと感 謝 している.寛を頂 くにはまだまだ未熟であ る と思いなが ら,研究のさらなる展開を計ったり. 気を入れ直すのには良い機会になるものと思 い 推薦をお願い し,受賞の喜びに浸 ることがで き た.再奮発を期 しているときに沖縄を離れ るこ とになり申 し訳ない気持 ちで い っぱいである. 少 しばか り釈明の機会を頂 くと,本稿で述 べ さ せて頂いたCAM
型光合成やC.型光合成の研究 を もう少 し深 く追求 してみたいというのが, 舵 任のひとっの理由である.沖縄を離れ何故パ イ ンやサ トウキ ビの研究かと思われるか も知れな いが,研究は必ず しも場所に限定 されるもので はないように考えるようになった. ヨーロ ッパ やアメ リカでの熱帯研究は熱帯でのみ展開 され ているわけではな く.温帯や寒帯で深 く研究を おこないなが ら熱帯 とい う現場へアクセス して いる.CAM
型光合成.C
4型光台尻 ス クロー ス代謝 という20年の沖縄で得たテーマは何にも ましてお もしろい.残 りの20年を切 った大学生 活で存分に取 り組んでみたい, とい うのが勝手 な決断 となって しまった. 第5
回南方資源利用研究会の特別講演会 (宮 城弘岩,1989)で当時県工業連合会の副会長 であった宮城弘岩氏が沖縄の産業振興で欠 けて いるもののひとっ として技術へのこだわ りを指 摘 された. また.光合成の研究にたず さわ りな が らヨーロッパの研究者の研究への こだわ りを 改めて感 じさせ られるようになった.20年 とい う短 い沖縄での研究生活で技術や研究にたいする理解 も浅 はかな ものであ り,大見栄を きれ る わけではないが,そんな 「こだわ り」が大切 な よ うに もお もえている. 講演の最後 に も述べ させていただいたが, こ こで取 り上 げたサ トウキ ビやパ イ ンア ップル産 業 は厳 しい状況 に追 いっめ られ,一部のマス コ ミ関係者か らは沖縄農業 をだめに した元凶の よ うな評価を受 けている. しか し,サ トウキ ビや パ イ ンア ップルの持っ作物 と しての特性 は, 沖 縄 の気象環境 にそれな りに適 した もので.先人 の選択 はそれ ほど間違 っていなかたよ うに, 私 は考えている. また, これ らの作物 は世界規模 あるいは地球規模でみた場合 に極 めて重要 でか つ可能性を秘 めた作物であ る.沖縄農業の振興 のために新 たな作物を導入 して活性化 を計 る こ とも重要であろ うが, そ こには技術 として の連 な りが必要 なよ うに も考え られ る.現実 は脈絡 のない展開が発展を もた らし, その理由付 け は 後でついて乗 るものだ とい う,現実のお も しろ さも理解で きるが,科学の一端 にたず さわ る者 の信条 と して論理性 に も少 しは こだわ りたい. 私の研究成果が沖縄農業の展開 に参考 になれ ば 誠 にあ りがたい ことだ と思 っている.
文
献
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