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図書館の外へ (特集 新しい研究図書館を描く -- 海外の実践にみる知の集積・発信のいま -- 学術情報の発信)

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Academic year: 2021

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図書館の外へ (特集 新しい研究図書館を描く --

海外の実践にみる知の集積・発信のいま -- 学術情

報の発信)

著者

町北 朋洋

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

222

ページ

38-38

発行年

2014-03

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003509

(2)

  私は今、米国で労働経済学の研究を行う機会 に恵まれています。渡米後は、現代米国のビジ ネス文化を支える核心を簡潔に表したいと考え てきました。本稿では、スタンフォード大学図 書館を利用するなかで新たに発見した三つの機 能を紹介することで、大学図書館からみえる現 代米国の姿を一言で捉まえます。どういう一文 であれば、 「そう言われれば、そんな気もする」 と多くの人に納得してもらえるでしょうか。

●PDFで相互貸借

  渡 米 後 、 当 地 で は 購 読 し て い な い学 術 誌 の 論 文 が 必 要 に な り 、 研 究 室 の コ ン ピ ュ ー タ か ら 図 書 館 に 「 ロ グ イ ン 」 し て 図 書 館 間 の 相 互 貸 借 手 続 き を 行 い ま し た 。 一 週 間 ほ ど 待 て ば 、 他 所 の 大 学 図 書 館か ら 印 刷 物 が 郵 送 さ れ る は ず だ か ら 、 そ の 時 に 受 取 り に 行 こ う と 思 っ て い ま し た が 、 全 く 意 外 な こ と が 起 き ま し た 。 翌 日 、 P D F フ ァ イ ル で 当 該 論 文 が 私 の 電 子 メ イ ル ア ド レ ス 宛 に 転 送 さ れ た の です 。 実 は 他 所 が 学 術 誌 の電 子 版 を 購 読 し て い れ ば 、 P D F フ ァ イ ル を や り と り す る こ と で 相 互 貸 借 と す る 、 と い う ル ー ル で し た 。 他 所 で の 印 刷 、 郵 送 、 そ し て 当 地 の 図 書 館 に よる 取 置 き 、 到 着 連 絡 の 手 間 を 一 度 に 省 き ま す 。 図 書 館 ネ ッ ト ワ ー ク 全 体 で大 き な 費 用 削 減 と な り ま す 。 地 味 で す が 、 図 書 館 員 の 時 間 の 使 い 方 を 大 い に 変 え 、 専 門 を 磨 く 時 間 の 確 保 にも つ な が る で し ょ う 。利 用 者 が 大 学 図 書 館 を よ り 身 近 に 感 じ 、 学 外 の図 書 館 ネ ッ ト ワ ー ク 網 に 対 す る 信 頼 を よ り 高 め る 仕 組 み で も あ り ま す 。

●寄贈の呼びかけ

  在外研究を終えるにあたり、大量の書籍をど うするか、どう運ぶかを考えなければなりませ ん。良い方法があるよ、と当地の先生が教えて 下さいました。解決法は簡単で、状態の良い本 を選び、図書館に寄贈するのです。図書館への 寄付金と同様に寄贈者の名前が記され、寄贈本 は永く残ります。スタンフォード大学には大小 合わせて二四の図書館があり、そのひとつ、東 アジア図書館に日本から持ち込んだ専門書が収 められれば、未来の日本・アジア研究者が執筆 する博士論文の参考図書になるかもしれず、寄 贈のし甲斐があります。寄付金も含めて図書の 寄贈を大々的に呼びかけることは、図書館にと り、二つの意義があるように思います。ひとつ は別の資料購入に予算を配分できること。もう ひとつは専門家がどの本を重要だと思ってきた か、図書館自身が情報を得られることです。

●展示で付加価値を

  図書館は本をお供えするだけの場所ではあり ません。企画展示が練られていれば、蔵書同士 が訪問者の頭のなかで化学反応を起こし、知識 生 産 に つ な が り ま す。 「 ア ー ト・ ミ ー ツ・ テ ク ノロジー」と題された企画展示では、大学内外 の教員が発明してきた、電子楽器、地図、風刺 画、 撮 影 法 な ど が、 大 学 所 蔵 の 著 作、 私 信、 ノートと共に紹介されています。クレジットを 見ると、細かい専門に分かれた数多くの図書館 員が関わっており、準備に手間をかけたことが 窺 え ま す。 こ う し て 書 庫 に 眠 っ て い る 資 料 を 時々出してきて、並べて比較し、先人の業績の 意味を再定義することで、世の中について鮮や かな視点を図書館が示せるのでしょう。お互い 距離のある異分野の蔵書同士を図書館が束ねる ことで、学生、専門家に関わらず、ひとりでは 普段見過ごしてしまいがちなものに目を留める 貴重な機会が生まれます。   本 稿 で は 大 学 図 書 館 で の 相 互 貸 借、 本 の 寄 贈、企画展示の三つの機能を紹介し、図書館が 知識生産の重要な役割を果たすことを強調しま した。三つに共通する特徴は、図書館が外を向 い て い る こ と で す。 外 を 向 く 誘 因 は、 Y ou ʼve got to wow them! ( 皆 を ア ッ と 言 わ せ る こ と が 大 事 な ん だ[ 参 考 文 献 ① ]) と い う 一 言 に あ ると思います。この一文が図書館を含め社会の 隅々まで染み渡り、人々を限定しているのが現 代米国だと感じています。 ( ま ち き た   と も ひ ろ / ア ジ ア 経 済 研 究 所   海 外 派 遣員) 《参考文献》 ①  『NHKラジオ   入門ビジネス英語』二〇一〇年一〇 月号   NHK出版。

38

アジ研ワールド・トレンド No.222 (2014. 4)

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mn

図書館の外へ

町北朋洋

参照

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