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家庭生活情報処理への階層分析法導入に関する基礎的研究

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(1)Title. 家庭生活情報処理への階層分析法導入に関する基礎的研究. Author(s). 菅宮, 健; 今, 尚之. Citation. 北海道教育大学紀要. 第二部. C, 家庭・養護・体育編, 48(1): 7-17. Issue Date. 1997-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2021. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (第2部C) 第4 8巻 第1号. 平成9年8月. i do Un iver JoumalofHokka i IC)VoL 48 ty ofEducat ion (Sec i I t s on l . , No. Au t モ鶏s ,1997. 家庭生活情報処理への階層分析法導入に関する基礎的研究 菅宮. 健*・ 今. 尚之**. * 0 7 0北海道旭川市 北海道教育大学旭川校家政教育講座家庭教室 * * 7 0 0北海道旭川市 北海道教育大学旭川校生涯教育講座生活情報教室. A Study on lntroduction of Analytic Hierarchy Processinto Home Li fe lnformation Processing. ‐ Ken SUGANI IYA*・ N aoyuki KON** *Home Economi ikawa Campus cs Laborator i i i tyofEducat ver s on ,Asah , Hokkaido Un , Asah ikawa H k k i d 0 7 0 o a o , , *Cour f i i 韻kawa Ca seofLi e ‐Long Educat ido Un i ony i ion ] mPus ty ofEducat Ve r s ,Asa , Hokka , Asa上甑kawa ido , Hokka ,070. ▽▽e are doing various decision αLakingsint i fe he h。]α1e l ionizat i。n ofthesociety ,butinfonnat loodinginformat ions areinvi ingt andf icul t hediff is ty ofdec ion makings ‐ Therefore ,VVeshouldlearn i teracyandt co立Iputerl hedecision 宜ーakingtechねiqueforareasonabledecisionlr i fe 1 akingin せl eho 】mel. ‐. Th i heinforInat ion process ing andt sstudy considerst hedecision 宜Lakingproble f i 1ninthehomel eand ion 。f Analyt exalnines せieintroduct ic Hierarchy Process(AHP) -. 1. は. じ. め. に. 家庭生活における情報処理は,rその多くがより幸福な生活を実現するための意思決定を目的とすることが 多 い. 実 際, 家 庭 生 活 で はさ ま ざま な場 面 に お いて意思 決定 が なさ れて いる しか し そ の多く は極め て 日 . ,. 常的なことが多く, 無意識のうちに経験などを判断材料として情報処理を行い その結果を意思決定に反映 , させている. この場合, 意思決定に失 敗 した と しても生 活 に与 える 影響 は小さ い しか しなが ら 例 え ば高 .. ,. 額な耐久消費財の購入, さらには転居や子供の進学先の決定など 将来の生活環境に与える影響が極めて大 , き い非 日常 的な意 思決定 で は, 経験 に頼る こと は難 しく 一 方 で は 過剰 ともい える 情 報 に囲ま れ そ のた , , , め に情 報 を処 理 しき れない ことも 生 じる な ど 意 思 決定 の 困難さ はますま すそ の度 合 い を高 めてき ている , .. そのため, 目的に合わせ適正な意思決定を行うことが妨げられ 結果として不満足であったり さらには危 , , 害や被害などにあうなど, 質の低い生活現象を招く一因ともなっている . この様な現状下において, 生活者として主体的かつ合理的に意思決定を行う方法が 学校教育はもとより , 生涯学習においても機会あるたびに学ばれることが望ましい 平成六年度よりの新学習指導要領では 例え . , ば高等学校家庭においても情報教育の一端を担うこととなり 氾濫する生活情報の中から適切な情報を選択 , して活用できる能力の育成を目的とすることからも 意思決定手法の学習はより強く望まれるようにな た , っ といえよう. しかし, 意思決定手法というと企業や行政などにおいて専門家が行う 高度で複雑かつ難解な , ものと誤解され, 生活の場面では敬遠されることが多く見られる . (7).

(3) . 菅宮. 健・今. 尚之. 本稿は, 以上の問題意識より生活者が家庭生活における合理的な意思決定の手助けとするために, 手軽に 実行できる意思決定手法として階層分析法 (AHP) の導入について検討するものである. 本稿の第1章は, 本研究の問題意識と目的を述べるものであり, 第2章では家庭生活での情報処理問題屋 意思決定 プロセス, 生活における意思決定に必要な情報処理手法の要件について述べ, 階層分析手法の導入 について述べるものである. また, 第3章では階層分析手法の特徴と数学的な背景を説明し, 第4章におい て, 実際の消費行動を事例として階層分析手法による意思決定を行う. 第5章はまとめである. 2. 家庭生活における情報処理と意思決定問題. ( 1 ) 家庭生活での情報処理 近年, 我々の日常生活の環境において社会の情報化が日常的な話題となり, 多くの人々 が, 今後情報化さ } しか しなが れた 環境 の 中 で生 活 して ゆ か な けれ ばな らない こ とを, 漠然 と した 意識 の 中 で感 じ取 っ て いる1 .. ら, その情報化という言葉自体は, 現在端的に説明されておらず極めてあいまいなままで広く用いられてい る. かつて, 第二次世界大戦当時は情報戦などという言葉が使われ, 高度経済成長化においても情報化の必 要性は企業経営者の間で高く認識され, マスコミなどでも一時期情報の重要性を取り上げるなどしていた. このように情報という言葉は以前から使われていた が, 現在においてはそれがより我々の日常生活まで近づ いてきたといえよう. この背景には大量の データを蓄積し提供できる情報処理機器が低廉小型化し, パーソ ナル化したことや通信基盤の充実と新たな技術開発が存在していることは見落とせない. この技術的な進歩 務響を与 えて きた. このた め も あり, 情 報ある い は情 報化 という 言葉 は し ばし ばコ ンピ ュ ー は産業に 様々 な影 タ ある い はコ ンピ ュ ータ の利 用 と置 き 換 え ら れ話 さ れる こ と が 多 い. さ ら に, 情 報 処 理 と いう こ と もコ ン. ピュータの操作と同意義に捉えられることも多く, そのことは日常生活において必要な情報処理に対しても 誤解を与えるものとなっており, 情報処理は特殊なものという認識が多くもたれている. しか し, 我々 の 日常 生 活 において 情報 処 理 は必 ず しも 特殊 なも の で はな い. 例 え ば, 我々 は, マスメ ディ. アなど家庭外から情報を入手し, その情報を消費することによって意思決定を行う作業, すなわち情報処理 を行っているのである. その行いは食事の献立や, 日用品, 食料品の購入先の決定など極めて日常的かつ単 純な場合が多く, 無意識のうちに経験などをその判断材料として情報処理として意思決定を行っているので 謎誓は小さい ある. このように日常的かつ単純な場合の意思決定ではその情報処理を誤ったとしても受ける影 ものと考えられる が, 例え ば, 居住地や進学, 就職の決定な ど人生設計に関わる問題や住宅や自家用車のな どの耐久消費財の購入, 高額商品の購入などその直後の生活はもちろん将来の生活環境にまで大きな影響を 与える場合の意思決定においては, 情報収集に時間をかけ, 得られた情報をもとにさまざな角度から検討が 加えられるなど, 極めて慎重な情報処理がなされた結果として意思決定が行われることが通常である. ところ が, 現在 は特 にマス コ ミ ュ ニケ ー シ ョ ンが発達, さ らに は情 報通信 機器 も 発達 し, いわ ゆる 情 報洪 水 とも言 える 情 報 過多 の状 況 が展 開さ れて いる. この 結果, 多 岐にわ たる ニ ュ ース ソース は断片 の提 供 にと. どまることが多く, 提供される情報そ れぞれのの関連性を把握することが困難であるほど複雑性を示 してい る. その 一 方 では, 刺 激性 の 強い単調 なフ レー ズ が昼 夜 を問わ ずマス コ ミ ュ ニケ ー シ ョ ンによ っ て 流さ れ続. けている. このような情報の過多と複雑さ, わい雑さによって, 生活者を取り巻く意思決定環境は従来以上 豪 往き を増 して いる とい えよう. に複り. このため本来なら ば慎重に多角的な見地から意思決定がなされるべきものが, ややもすればその場の思い 付きで決められることもまた多い. 不要かつ高額商品の購入などが消費者問題として取り上げられることが (8).

(4) . 家庭生活情報処理への階層分析法導入に関する基礎的研究 多 い が, こ れな ども 情報 処 理 を誤 り 結果 と して 意 思 決定 を しく じっ た 結果 発生 する 問題 である こ のよう な .. ことが発生することは先に指摘したとおり, 我々の生活を取り巻く情報環境の複雑性における問題であると 同時に, そのような現象に対応できる教育, すなわち日常生活における情報処理から意思決定へ至る一連の プ ロセス を教育 する こ とが欠 如 して いる こと, さ らに は簡便 な情 報処 理技術 の習 得 がなさ れて い ない ことの. 問題であるとも指摘できよう. 今後さらに進展すると考えれる情報化ときたる高度情報化社会に対して, 生 活者個々人が, 日常の家庭生活において情報処理と意思決定のプロセスを理解し, 意思決定を身近なものと して理解し実行できる手法が, 学校教育はもとより生涯学習の場において学ばれることが重要である . 2 ( ) 生活情報処理における意思決定のプロセス 生活者が生活情報を入手し, それを意思決定に結び付けるまでの プロセスであるが, 一般に図1に示す流 れで行 っ て いる と考 えら れる.. ①. 問題の自覚 第 一 番 目になさ れる こ と は, 問題 の 自覚 である. 商 品 を購入 する,. ①. 就職先を決めるなど現在解決すべき問題点を認識することである.. 問題の自覚. ② 情報の収集 第 二 番 目 に なさ れる こ とは情 報の 収集 である. 商品 の購入 な ら自. 分の財政状態の把握はもちろん購入を希望している商品の機能や性. ② 情報の収集. 能を確認するなどいわゆる商品知識を得る段階である. 一般的にい う 衝動買 い な どは, 問題 の 自覚 は 「買 いた い」 という 衝 動 であり , そ の 時点 で 一 足 飛 びに意思 決定 へ と向 かう も の とい えよう . .⑧ 複 数対象 (代 替 案) の 設定. ③. 複数対象 (代替案) の設定. 第三番目になされることは複数対象 (代替案) の設定である. 商 品の 購入 はも とより, 現在 の 生活 環境 で はいく つ か のオ プシ ョ ン を 設定 する ことが可能 である .. ④. ④. 価 値 付け (評価) の実施. 価値付け (評価) の実施 第 四番 目 になさ れる こ と は複 数の代 替案 の評 価 である ここ では .. 評価基準が設けられ, 選択の対象となった代替案それぞれを比較検 討する も の である. こ の 評価の実施は 一般 的には極めて感覚的に , 処理され, 集団で決定するときには選択された代替案が他の案に比 べ, いか なる 点 に優 れて いる か な どが説 明 しき れ ず そ の ことが 合 ,. ⑤ 意思決定の実行 図, 生活における情報処理から 意思決定 に至る プロセス. 意 形成 にお けるコ ンフリ ク トの要 因 となる ことが 多 く 見 ら れる もの. である. したがって評価の実施では合理的に説得できる手法が, 特に欧米の行政や企業経営において用いら れてきたが, 家庭経営や家庭生活に極めて直接的に関る狭い範囲内 (いわゆるコミュニティ) での意思決定 にお いても, 今後 そ の必 要性 は高ま っ てく る もの と考 え られる .. ⑤ 意思決定の実行 評価がなされた複数の代替案を最終的に選択するものである 評価の結果は定性的 定量的いずれかとな . , るが, 選択においてその数字の意味が理解されるならば定量的な結果の方がより説得性をもつ このため . , 定量的な評価が簡便にできるプロセスの導入が望まれることとなる .. (9).

(5) . 菅宮. 10. 健・今. 尚之. ( 3 ) 生活情報処理における意思決定手法の要件 比較的情報が入手しやすくなったといわれる現代においては, その質や偏りの問題はあるものの情報の .収 集や対象の設定は容易となってきたといえよう. しかし, 情報が豊富であることは, 一方では対象(代替案) の価値付け (評価) とその結果としての意思決定が従来にもまして困難となったといえよう. また, 意思決 定に至る一連の情報処理 プロセスから見ても代替案の評価段階が一番重要な段階であることは充分理解され よう.. このため, 家庭生活などにおいて意思決定を実施する場合には, 評価を支援する分かりやすい道具(手法) の導入 が望 ま れる. この 場合, その支 援 する 道具 が備 える べき 要 件 と して, ①. コ ス トがか か らない. ②. おお げさ で ない. ③. - 人 でも あき ず にできる. ④ 家族間で, お互いの意見 (利害) 調整が可能 などとなる. このような条件を満たすためには, 特別な機材や数学知識を持たずともゲーム的な感覚 で情報 処理を行えることが必要となる. 3. ゲーム的意思決定手法としての階層分析法 (AHP). ) 1 ( ) 階層分析法 (AHP) の特徴3 階層分析法は, アメリカのサーティ によって提唱された意思決定手法で, 評価基準から見た代替案の重要 度 (得点) の積の和によって総合評価を行うものである. 特に図2に示すよう な階層図を作製し, 代替案と その評価基準を図示し, 問題構造の把握を容易にするものである. 現在, 地域計画の実務等で複数代替案の 評価およ び意思決定などに活用されている. この手法の特徴を家庭生活における意思決定の観点から整理す れ ば以 下 と なる.. ① 高度な数学を用いずとも定量的な評価を簡便に行える. このため一般的に使用されている電卓によっ ても 計算 が可 能 であり, パ ソコ ンがあ れ ばさ らに簡 便に評 価 が できる.. ②. 階層図を作成するため問題の構造を把握しやすく, 自分の評価プロセスを見直すことが容易.. 評価基準. 評価基準. 代替案. 評価基準. 評価基準. 代替案. 代替案. 図2 AHP 手法における階層図 (10). レベル2 (評 価 基 準). レベ ル 3 (評 価 対 象).

(6) . 家庭生活情報処理への階層分析法導入に関する基礎的研究. 11. ① 第一段階 : 評価対象 (代替案) を設定し評価の階 層を作る. 最上層は一個の要素からなり総合目的 となる. それ以下の階層 (レベル) では. 意思決定者の主観的判断により, いくつ かの要素が一つ上のレベルの要素との関 係から決定される. 最下層には評価対象 (代替案) が置かれる.. 評価要素を階層構造に分解する. 各レベル毎に各評価要素のペア 比較を行う. ② 第二段階 : 各階層 (レベル) 毎に評価要素の重み 付を行う‐. 各レベル毎に各評価要素の重要. 一つ上のレベルにある関係する要素を. 度を計算する. 評価基準として, 一つの階層 (レベル) における要素間のペア比較を行う. そして, 各ペア比較マ トリクスから,. 各レベルの要素間の重要度を計算する‐. あいまいさの尺度C ‐1を計算する. このとき首尾一貫した回答を期待する ことは難しいことが多い. そのためあい まいさの尺度として, コンシステンシー 指数C .1が定義されている.. 階層全体の重要度を計算する. 目的に対する, 各代替案の優先. ③ 第三段階 : 各レベルの要素間の重要度が計算さ. 結果に納得行くか. 重み付を行う. これにより総合目的に対する各代替 案の優先度が決定される.. 度を計算する. れると, この結果を用いて階層全体の. そして, その結果をもとに意思決定 を行う.. Y e s. 意思決定する. 図3. ③. 階層分析法による評価のプロセス. 評価基準の下でペア比較を行うため得点付けが行いやすく, ゲーム的な感覚で決定できる.. ④. 共通尺度をもたないあるいは首尾一貫性に欠ける不確かなデータを扱うことができる. また, 階層 分析 法 の プロ セス を図3 に示す この分析法では 大きく分けて三段階を経て意思決定へと至 , .. る も の である. そ れ ぞ れの段 階 にお ける 作 業 は以 下の とおり である .. ① 第一段階 この段階においては, 対象とした問題を階層構造に分解する. ただし, 階層の再上層は1個の要素からな り総合目的となる. それ以下のレベルでは意思決定者の主観的判断により, 幾つかの要素が一つ上のレベル の要素との関係から決定される. 最後に階層の最下層に代替案を置く. この作業によって図2に示す階層図 が完成する. 完成した階層図によって視覚的に問題の構造を把握することも可能 である .. ② 第二段階 第一段階で作成された階層図をもとに, 各レベル間の要素の重み付を行う. すなわち, ある一つのレベル (1 1).

(7) . . 菅宮. 12. 健・今. 尚之. における要素間のペア比較を一つ上のレベルにある関係要素を評価基準として行う. 各ペア比較マトリクス か ら, 各 レベ ルの要 素 間の重 みを計算 する. なお, 首 尾 一 貫 した 回答 を期 待する こと は困難 であり, その あ いま いさ の尺度 と して, コ ンシステ ンシー指 数が定義さ れて いる.. ③ 第三段階 第二段階において, 各レベルの要素間の重み付が計算されると, この結果を用いて階層全体の重み付を行 う. これにより総合目的に対する各代替案の優先度が決定される. ) 2 ( ) 階層分析法の数学的背景4 階層分析法によって代替案それぞれに得点付けがなされ, その優劣がつけられることの数学的な背景であ る が, いま 階層 図にお いて, 各 層 にお ける ある レベ ル の要 素 A, , …, A。 の直 上位 の レベ ル の要素 に対 , A2 する 重 要度 W. i の aj に対する 重 要度 を a i , j とす れ ば, 要 素 A, , W2 , …, W。 を求める もの とする. この 時,a ] と なる. も し, W. …A。 の 一対 比 較マ トリ ク ス はA =[a , j , …, W。 が 既知 なら ばこ の 一 対 比較マ トリクス は以 下 となる. A.. A2. An. W. W. W. , , .・・ , A. W, W2 Wn A =[a” ]=A2. W2 W2 W2 . - . W, W2 Wn :. :. :. W. W. W. n n ・.. n An Wn W, W2 た だ し, W W … W と ころ で, 意 志 決定 者 の判 断 が完 全に首 尾 一 貫 して いる の な ら ば, す べて の場 合のi i j× ,j , k につ いて a a k が成 り立 つ. j さ て, この 一対比 較マ トリ クス A に重 み列 ベク トル W を乗 じる と新た にベク トル n・ W を得る こ とが で き る. し たカミっ て,. A・ W =n・ W. となり, この式は固有値問題 )・W÷=0 (A-n・1 に変 形 できる. ここ で W =0 が成 立 するた め に は n が A の 固有値 に ならな けれ ばな ら ない. この 時 W は A の 固有 ベク ト i=1 ル と なる. さ ら に A のラ ンク は1 である か ら, 固有 値 ぇ ,( , …, n) は一つ だ けが非零 で他 は零 となる. また, A の主対角 要素 の和 は n である か らた だ一 つ 零 でな い ん を ぇ皿 とすると (1 2).

(8) . 家庭生活情報処理への階層分析法導入に関する基礎的研究. 凡i;0 ,. 八ma x=n. 13. (ん ≠入m紙). となる. した が っ て, A1 x に対する 正規化 した 固 , …, A。 に対する 重 み ベク トル W は A の最 大 固有値 』a ) となる. 有 ベク トル (XWi=1. 実際に複雑な状況下の問題を解決する時は W が未知であり, W’を求めなければならない‐ したがって上 述したように W’は意志決定者の答えから得られた一対比較マトリクスより計算する. このような問題は, ’ A ・ W’=入函a x・ W. (ん’ m x は 異の最大固有値). となる. した が っ て, 上 述 した よう に W’は A’の最大 ぇ’ m x に対 する 正規化 した 固有ベク トル となる. こ れ に よ り 未知 の W’が求 まる.. ところで実際に状況が複雑になればなるほど意志決定者の答えが首尾一貫せず, 整合性が低くなる. この よう に A’が 整合 しなく なる に連 れて 必 ず ふa x は n よ り 大 きく なる. これ は次 に示 すサ ーテ ィ の定 理 によ り 明か である.. 』 掛 る≧希 斉一 終着 誘電 以 上よ り 常 に 」 x≧n が成立するので, 等号は首尾一貫性の条件が満たされた時のみ成立する. これから,. 首尾一貫性の尺度としてコンシステンシー指数が導出される.. ニキ デ c l 例 え ば CI=0 と は, 完 全 に首 尾一 貫 性 が ある という こと である. サ ーテ ィ によ れ ば, 通 常, CI≦0‐1 を有効 性 の 限界 と して いる.. 4. 家庭 生活 に お ける 商品購 入 を事例 と した AHP 導 入の 実 際. } ( 1 ) 家庭生活における意思決定と消費者問題5 家庭生活における意思決定問題は様々存在する が, とりわけ意思決定の結果が将来の生活にまで大きな影 響 を与 える こ とが 予測さ れる 場 合, 慎 重 に なさ れて いる の が実 情 と考 え られる. そ して, いわ ゆる 家 族会議. なるものが行われるなど, そこでは家族構成員の間で, 意見交換による情報の共有, 外部情報の分析などの 処理 が なさ れ意 思 決定 が行わ れる. このよう な こ と は例 え ば, 居 住地 の選 定や 地域 コ ミ ュ ニ テ ィ ー との 関り. 方, 子供の教育, 就職など将来の生活環境に影響 -が強いものであるほど実施されているものと考えられる‐ このほかに, 高額商品の購入においても情報処理とその結果としての意思決定が慎重になされているものと 考 え られる.. 特に, 高度大衆消費時代の到来と共に高額な耐久消費財が, 家庭用品として家庭生活場面において用いら れるようになってきた. それらの商品の購入金額は比較的高いものであり, 家計に占める割合でみると年間 所得に対し大きなウェイ トを占めている. このため多く の家庭においては長期間に渡って償還することや, 長期 の 債務 をも っ て購う こ とを行 っ て いる.そ の例 と して 最も 身 近 なも の と して は自家用 車 があ げられよう.. このような高額の耐久消費財は商品のライフサイクルが短く, 似通った機能でありながら企業において差別 (1 3).

(9) . 14. 菅宮. 健・今. 尚之. 化 を図づて いる こ とにより 様々 な形 態 のもの が 市 場 に流 通して いる. そ して, そ れ らの商 品知 識 と して, メ ー カ ー による 宣 伝 はも とよ り, メ ディ ア による 批評 な ど様々 な情 報 が飛 び交 っ て いる. こ の こ と は, 消 費 であ. る生活者にとって, 商品に関する知識としての情報が極めて短期間で陳腐化する ことを意味している. この ため, 品質, 機能, 性能などに付いて判断することが困難となり, 価格が適正であるか不当であるかの判断 も出来なくなってきている. さらに, その商品自体を購入し, 利用することが生活者自身の日常の生活にお いて 合理 的 なもの である かの判 断も 困難 とな っ てき ている. このよう な現状 に対 応 する た め には 日常 生活 に. おける情報処理から意思決定へ至る一連の プロセスを消費者教育との関連づけの中で教育すること, さらに は簡便な情報処理技術の習得が必要不可欠であるとも指摘できよう. 以上の様な問題意識より, 本稿では家庭生活における情報処理とその結果としての意思決定問題の事例と して, 家庭生活における消費を対象とすることとし, ワープロ購入を事例として階層分析法を用いた意思決 定 プロ セス を紹介 する.. ( 2 ) 意思決定のための評価基準の設定 意思決定の現場において, 選び方=評価要素を頭の中で整理できていないことが第一番目の問題となるこ とが多い. この部分は, ある程度の経験が必要な部分でもあり, 児童, 生徒に対しては事前指導が必要とな るものと考えられる. この評価要素の選定では通常ブレーンストーミングなどが行われるが, 学校教育や生 涯学習の場においても, それらの実施方法の指導も兼ねながら選定することも可能 である. なお, 今回の事例では評価階層は一層のみとし, 対象を同一価格帯にある三機種のワードプロセッサとし たため, ① 操作性のよさ, ② サポート体制, ③ 機能の豊富さ, ④ 印字品質, の4点とした. もちろ ん, 評価要素は個人の選好でかまわないので, デザイ ンなどが取り上げられることもあろう. これらの評価 要素をもとに描いた階層図を図4に示す. 3 ) 評価基準の重み付け計算 ( 評価階層図が作成されたら次に, 自分が選定した評価要素 (レベル2の各要素) それぞれをどのくらい重 要視しているか重み付けを行う. 今回の4要素でも各人それぞれで重要視の度合いは異なるものである. 重要度 (重み) 付けは, ペア比較を行うマトリクス (表) を作成し, それぞれの評価要素について自分が 重要と思う度合いを記入する (表1) .. ワ ー ド プロ セ ッ サ. レベ ル 1 (評 価 目 的). 機種選 定. 操作性のよさ. 機能の豊富さ. 機 種A. 図4. サポート体制. 機種B. 印字品質. 機種C. ワードプロセ ッ サの機種選定を事例とした階層図 (1 4). レベル2 (評 価 基 準). レベ ル 3 (評 価 対 象).

(10) . 家庭生活情報処理への階層分析法導入に関する基礎的研究. 表1. 1 5. 評価要素に対する重要度 (重み) の決定. 機能の豊富さ. 操作性のよさ. 印字品質. サ ポー トのよさ. 重要度. 操作性のよさ. I. 7. 5. I. 0‐41. 機能の豊富さ. -7. I. ー3. ー5. 0‐06. サ ポ ー トの よ さ. -5. 3. I. ー7. 0‐10. I. 5. 7. I. 0‐43. 印. 品. 字. 質. 行の項目が列の項目より 同じくらい:1. C1(整合度)=0‐06. やや重要:3. 重要: 5. かなり重要:7. 非常に重要:9. 1行目の操作性のよさと1列目の操作性のよさは同じものなので1をつける. 以下, 同じ評価要素のペア 比 較 で は1 をつ ける. 次 に, 操作 性の よさ と機能 の 豊富さ を比較 する. ここ で は, 例 え ば家 族 共用 の ワー プ. ロであるので操作 (行の項目) が簡単であるほうが機能 (列の項目) の豊富さよりもかなり重要なので7を つけた. 操作性とサポート体制とでは操作性を重要と考えるので5をつけた. また, 操作性と印字品質では い づれも 同 じと考 える の で 1をつ けた.. このように, 行の項目が列の項目より重要なら正の得点を, 列の方が重要ならば負の得点を与える. 以下, 同様に行と列のペア比較を繰り返し空欄を埋める. なお, 機能の豊富さと操作性の比較では, 先に比較が終 わ っ て おり, 行 と列 を入 れ換 えた だ けなの で- 7 を記入 する こ とに なる. す でにペ ア 比較 が 終了 した も の は. 以下同様となる. 得点の記入が終了したら重要度の計算を行う. ( 4 ) 評価対象のペア比較 次 に, 操 作性 の良さ な ど, レベ ル2 にお ける 4 つ の 評価要素についてそれぞれ各機種間の優秀性 (ないし. 重要性) を決定する. 作業としては, 先に行った評価要素の重要度決定と同様にペア比較を行い, 表に得点 を記 入 する.. ここでは機種間の特徴を表2に示した関係と仮定し, 仮の得点を与えた. 実際にはカタログや評価記事の 出ている雑誌, 口コミなどの各種情報をもとに, 主観的に決定するものであり, 各人の感覚に基づいて得点 付けして構わないものである. ただし大小関係はきちんと整理しておく必要はある. 階層分析法の利点は自 分の感覚をもとに得点付けしても評価結果に意味が出てくるところにある.. 表2 評価対象に対するペア比較結果. 操作性 機種A 機種B 機種C 機能 機種A 機種B 機種C. 機種A. 機種B. 機種C. サポート. I. 7. ー5. -7. I. -9. 5. 9. I. 機種A 機種B 機種C. 機種A. 機種B. 機種C. I. -3. 5. ー3. I. 3. -5. -3. I. 印字 機種A 機種B 機種C. 機種A. 機種B. 機種C. 3. -3. -3. I. -5. 3. 5. I. I. 機種A. 機種B. 機種C. I. ー3. 3. -3. I. 5. 3. -5. I. 各機種間で仮定した特徴の関係 操作性 のよさ: C> A>B 機能の豊富さ:B>A>C. サ ポー ト体制:C>A>B 印字品質 :B>A>C. 機種Aは全て平均的な特徴を持つ. 機種Bは機能が豊富で印字品質がよい. 機種Cは操作性とサポートが優れている. (1 5).

(11) . 菅宮. 16. 健・今. 尚之. 表3 総合評価の結果. 総合評価. 操作性のよさ. 機能の豊富さ. サ ポ ー トの よさ. 印字品質. 重要度. 0‐41. 0-06. 0‐10. 0-43. 機種A. 0‐23. 0‐28. 0‐26. 0‐26. 0‐25. 機種B. 0.05. 0.65. 0‐10. 0‐64. 0.34. 機種C. 0‐72. 0‐07. 0‐64. 0‐10. 0‐41. C 1(整合度) ‐. 0.10. 0‐03. 0‐02. 0‐02. 0.06. 機種Aの総合評価=0 ‐23×0.41十0.28×0.06十0.26×0.10十0‐26×0‐43 機種Bの総合評価=0.05×0.41十0.65×0.06十0.10×0.10十0‐64×0‐43 機種Cの総合評価=0.72×0.41十0‐07×0 .06十0.64×0.10十0‐10×0‐43. 5 ( ) 総合評価と意思決定 評価基準の重要度と, 評価対象のペア比較の結果より得点表を作成し, 総合評価値を求める (表3) . この結果, 機種Cの得点がわずかながら機種Bを上回り機種Cが第一候補として選ばれた. ここでこの結 果を優先するのが一般的ではある. しかし, 操作性が他と比べてかなり悪いという欠点を認めた上で機能が 豊富で印刷が良いな機種Bを選択してもよい. この場合の選択は欠点を正しく理解したうえのものであるた め, 必 ず しも後悔 する もの とはなり にく い といえよう.. ( 6 ) 評価の計算と情報処理機器の利用 AHP にお ける 計算 はペ ア比 較マ トリクス (表) の 最大 固有値 とそ の 固有 ベク トル を求 める こ とにある. そ. の結果から各要因の重みベクトルと整合度指数C ‐1が計算される. これらは四則演算による簡略計算方法も ある の で, 家 庭 で 一般 的 な電卓 でも 計算 できる. また, 精度 良く 計算する た め に は プ ロ グラム を用 いる こ と がよ い. 最近 は表 計算 ソ フ トのア ドイ ンマク ロ で提 供さ れて いる 例 も ある. い ず れを採用 する か は各 人 の情. 報処理機器環境によるものである. コンピュータを利用せず, 電卓などを使用した簡易法による計算では, 意思決定を定量的に行うことは特 殊 な こ とでない こ と を示 す教 材 ともなろう. また, 表計 算ソ フ トの利 用 では パ ソコ ン活用 によ る データ 処理 の 事例 教材 と して も用 いる ことが でき よう.. 6. ま. と. め. 以上, 生活における意思決定手法として AHPの導入を提案した.「高等学校学習指導要領解説 家庭編」 による と, 家庭経済と消費″ の中にフ生活情報の活用フが加えられている. ここで学習することは情報の収集 と意思決定へのプロセスであるが, 意思決定の手法を身に付けずにやみくもに情報を収集するのでは, 情報 洪水ともいわれる情報化社会において消費者 としての適切な行動がとれるようにはならない. 情報活用を正 ) しく理解させるためにも意思決定手法の学習が必要となろう6 . このためには, 本稿で紹介したような手法が実際の家庭生活でより気軽に利用できる必要がある. 実際に 児童・生徒の教育に携わっている方々と共同で, ペア比較などがより簡単にできるシートや手順を示した チ ャ ー トの 作成, コ ンピ ュ ータ プロ グラム の 開発 を含 めた 教材 開発 が今後 の 課題 となろう.. (16).

(12) . 家庭生活情報処理への階層分析法導入に関する基礎的研究 参. 考. 文. 17. 献. 9 97年度研究発表会講演概 1) 今 尚之:高校生を対象とした生活情報環境と情報化社会の認識に関する調査,日本家政学会1 要集, 日本家政学会, 1997‐6. 9 9 1 3 生活情報論 (第3刷)」 2) 日本家政学会編:「家政学シリーズ2 , 朝倉書店, 1 ‐ 9 9 3 総合技術センター 3) 木下栄蔵:「問題解決型意思決定法-AHP手法と応用技術-」 ‐5 ,1 , 4) 今. 175~205 尚之:Fuzzy 測度を用いた社会資本の評 価法に関する 研究, 商 学討究第46巻第 1号, pp , 小樽商科大学, .. 1995‐7. 9 8 7 5) 巻 正平:「消費者問題読本 第2版」 .3 , 東洋経済新報社, 1 6) 岡本俊雄編:「教師のための情報教育入門講座. 高等学校編」 , パ ーソナルメ ディ ア, 1993.7. (17).

(13)

参照

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