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授業づくりカードの作成

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Academic year: 2021

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(1)Title. 授業づくりカードの作成. Author(s). 芳賀, 均; 佐藤, 友夏. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 66(2): 303-311. Issue Date. 2016-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7877. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第66巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 66, No.2. 平 成 28 年 2 月 February, 2016. 授業づくりカードの作成 芳賀 均・佐藤 友夏 北海道教育大学旭川校. Creation of a Lesson Planning Card HAGA Hitoshi and SATO Tomoka Asahikawa Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 音楽の授業に対し,小学校の教育現場の教員や,それを目指す教職課程の学生には,少なか らず抵抗感がある。しかも,多忙な教師は日々の業務に追われ,なかなか音楽の授業方法の研 究にまで手が回らないという現状がある。また,大学の授業「小学校音楽科教育法」で学ぶ, 音楽専攻でない学生からは,将来的に小学校の教育現場において「ピアノが苦手だから音楽の 授業には積極的になれない」とか「私は音楽は教えられない」という言葉が聞かれないように したい。このように,教師や学生の音楽の授業に対する抵抗感を取り除いていく上で,まず, 授業を構成することができるという実感をもてることが重要であると考える。本稿では,そう したことに資する道具として,モジュールの形をとった様々な活動を,見たり,引き出したり, 取捨選択したりして授業を構成するための「授業づくりカード」の作成について述べる。. は,小学校における歌唱共通教材24曲の全てと鑑. はじめに. 賞教材の例を合わせて30曲程度を15回の授業で. 平成20年告示の学習指導要領には,音楽におい. 扱っており,その中で学習指導要領の解説や音楽. て 「共通事項」 「批評」といったことが打ち出され,. 的な基礎知識・技能,授業の構成方法等について. 1). 様々な実践や研究が現場でも為されている 。し. 触れる形で実施している。この授業で重視してい. かし一方で,多忙な教師は日々の業務に追われ,. るのは,苦手意識に由来する音楽の授業に対する. なかなか音楽の授業方法の研究にまで手が回らな. 抵抗感の克服である。理論的なことや技能的なこ. いという現状もある。例えば,音楽鑑賞の授業で. とを先行させるのではなく,とにかく楽しいとい. は,とにかくレコード(CD)を聴いて感想文を. う経験と,実践できるという手応えを学生自身が. 2). 書く形で完了するといった状況は存在する 。. 感じられるようにする。そのことで,音楽の授業. 他方,教員養成課程の大学生に向けた「小学校. を行うことに対する意欲が高まった状態で教育現. 音楽科教育法」という授業がある。筆者(芳賀). 場に着任し,彼らから「ピアノが苦手だから音楽. 303.

(3) 芳賀 均・佐藤 友夏. の授業には積極的になれない」とか「私は音楽は. 楽科教育法」の授業を,本稿「はじめに」で述べ. 教えられない」という言葉が聞かれないようにし. たような方法で展開した。すると,学生の立てた. たいと考えている。. 授業プランには, 以下のような傾向3)が見て取れた。. それと同時に,授業を構成することができると. ⑴ 活動のべ数(件数の平均). いう実感をもてることが重視されなくてはならな. ・第1回=4.20,第7回=6.15,第13回=7.65. い。そこで毎回の授業では,授業づくりの理論と. これは,一つの楽曲を教材として,いくつの活. 並行して,モジュールのような形で様々な活動を. 動で授業を構成(例:聴く→歌う→歌詞の確認→. 紹介(およそ60におよぶ指導法や授業の秘訣等を. 仕上げに歌う,等)するかの平均である。回を追. 提示した)していき,知識としても蓄積できるよ. うごとに,活動が増加していることが分かる。. うにした。. ⑵ 活動内容(件数の平均). 学生は提示された教材を使ってどのように授業. ・第1回=3.28,第7回=3.85,第13回=4.99. を構成(配当時間は問わない)するかを考える。. これは,⑴の「活動のべ数(件数の平均)」に. その際,歌唱・器楽・創作・鑑賞等をできるだけ. おける同種の活動を重複と見なして(例:ドレミ. 総合的に取り入れた構成にするよう留意する。. 唱をする・母音唱法で歌う,等は歌唱として1件. そうした取組を続けた結果,第1回目の授業と. とする)計測したものである。すなわちこの数値. 比較して,授業の中盤の時期(第7回),終了の. は,例えば「歌唱」の活動に偏っていないか等,. 近い時期(第13回)と,次第に学生の立てる授業. 活動の多様さを示し,1に近いほど活動が単調で. プランにおける授業法に多様性が見られるように. あるということができる。回を追うごとに活動が. なった( 「1」で後述)。また,「ピアノを習いた. 多様になっていっていることが分かる。. くなった」という発言や, 「音楽の楽しさがわかっ. ⑶ 「歌唱」の扱い(取り入れた割合). た」 「音楽の授業に対する印象が自分の中でガラ. ・第 1 回 =98.7 %, 第 7 回 =100 %, 第13回 =. リと変わった」 「ただ歌えるようにする,といっ. 100%. た学習だけでなく,なるべく多くのジャンルを含. 歌唱教材であっても歌唱以外の活動で楽しむと. んで授業を組み立てることが大切だということが. いうことを考えた学生が第1回には見られたが,. よくわかった」 「先生の技術をぬすんでいけるよ. これは音楽の授業を歌唱にとらわれず自由に発想. う授業に意欲的に参加していきたい」といった. しようと取り組んだことと関係していると考えら. ワークシートの記述(全て原文ママ)に見られる. れる。後に,第7・13回の授業プランに見られる. ように,意欲の向上が認められた。. ように,歌唱の活動は全員が取り入れるべきと判. 以上のことから,教師あるいは学生の音楽の授. 断するに至ったようである。. 業に対する抵抗感を取り除いていく上で,楽しい. ⑷ 「器楽」の扱い(取り入れた割合). ということは大切であるが,授業を構成すること. ・第 1 回 =8.9 %, 第 7 回 =90.3 %, 第13回 =. ができるという実感をもてることが重要であると. 91.7%. いえる。その際に,モジュールのような形をとっ. 歌唱教材であっても,旋律を演奏したりリズム. た様々な活動を取捨選択して組み合わせる方法が. に合わせて鳴らすといった,何らかの形で楽器を. 有効であると考えられる。. 用いて楽しむことが,回を追うごとに増加した。 ⑸ 「鑑賞」「ただ聴く」に関して(取り入れた. 1 「小学校音楽科教育法」の授業に現れた 傾向 芳賀は,平成26年度後期に実施した「小学校音. 304. 割合) ・第 1 回 =82.3 %, 第 7 回 =98.4 %, 第13回 = 95.2% これは「鑑賞」と「ただ聴く」のいずれか,あ.

(4) 授業づくりカードの作成. るいは両方を取り入れた割合であるが,いきなり. か,どのような教材が効果的であるかという順序. 歌を口移しで教えるといった形でなくなり,まず. で検討していくことになろう。. 楽曲を聴くという活動の意義が理解されたものと. しかし,学習指導案において「児童(生徒)の. 思われる。. 実態」が,タイトルや指導者名,単元(題材)名. ⑹ 「創作」に関して(取り入れた割合). に続く序盤ではなく,先に教材についてなどが記. ・第 1 回 =1.3 %, 第 7 回 =19.4 %, 第13回 =. 述されている場合が多い。つまり,その意味する. 44.0%. ところは, 「児童(生徒)がどのような実態であれ,. 授業の開始時に意識の薄かったものが,回を追. この教材を扱う」ということである。そして,教. うごとに高まっている様子が見て取れる。. 育実習の研究授業をはじめ,現実にはそのような. ⑺ 「その他」について(取り入れた割合). ケースが多いものと考えられる。研究授業でなく. ・第 1 回 =45.6 %, 第 7 回 =41.9 %, 第13回 =. とも,教科書に収録されている教材を一通り順序. 36.9%. 通りに扱っていくのは自然なことであり,そうし. これは,絵を描く等の活動である。そうした音. た現状を直視して方策を考える必要がある。. 楽とは関わりの少ない活動は徐々に減少し,適度. したがって,与えられた教材でどのように授業. に取り入れる程度に落ち着いていったことが見て. をするかという訓練をしておくことは,教育現場. 取れる。. で実践していく上で必要なことであるといえよ. ⑻ 「自己採点」の結果(100点満点中). う。本稿では,そうした側面,すなわち,いかに. ・第1回=61.9,第7回=76.8,第13回=90.7. して多様な活動を組み合わせて授業を構成するか. これは,自分の立てた授業プランに関し,授業. という点にのみ焦点を絞って述べる。授業におけ. の構成について採点する評価表に従って行う自己. る活動のモジュールは,何らかの形ですぐに見た. 採点の結果である。また,第1回の授業時には,. り引き出したりできるものにしておくと,活用し. 大学院生による授業づくりの演示と受講者による. やすいと考えられる。児童(生徒)の実態や授業. 採点により,基準的なものを示している。回を追. の目標から出発する授業づくりと,教材から出発. うごとに自己評価(自信)が高まっている様子が. する授業づくりのいずれにも活用できるようなも. 見て取れる。. のを考案する必要がある。. ⑼ 講座内容の反映(件数の平均) ・第7回=1.71,第13回=3.30 それぞれの前の回までに授業で紹介された授業. 3 「モジュール」に関する先行の活用例. 方法等をどれだけ取り入れて授業プランを立てた. 他分野を含め,活動や学習等の内容についての. かという数値である。回を追うごとに,それまでの. 「モジュール」が活用されている先行実践例を挙. 授業で得た知識が盛り込まれたことが見て取れる。. げる。 ⑴ 「全国学力・学習状況調査の結果に寄与した. 2 授業づくりの二つの方向. と考えられる取組4)」 45分間の授業を15分間ずつ三つのモジュール. 児童(生徒)の発達を期して教育を行う以上,. に分割して「集中タイム」とし,基礎的な学習. 授業は,児童(生徒)の実態の変容をねらって行. の内容を取り扱う授業とする。一つのモジュー. われるべきものであると考えられる。すなわち,. ル(15分)は,5~10分程度の活動(発声練習・. 課題を克服したり,長所をより伸ばしたりという. 音読・フラッシュカードを使った学習等)の組. ことを目指すということである。授業を構成する. 合せによって構成する。学習に変化をもたせ,. 上で,そのためにはどのような方法が適している. 児童の集中力を維持するため,三つのモジュー. 305.

(5) 芳賀 均・佐藤 友夏. ルは同じような内容を連続させず,国語,算数,. と「表現」の活動は,本来一体の行為であると考. 学年で決めた様々な教科の内容を取り扱う。. えられる8)ことから,本稿では上述の⑴~⑶およ. ⑵ 「理科に関する小学校教員対象の研修講座や. び⑷の形態をそのまま適合させるのではなく,主. 5). 訪問研修 」. に一つの楽曲で様々な活動を総合的に行うことを. 教員の資質能力向上が求められている現在,. 想定することにする。. 授業改善もその課題の一つとなっており,教員 への授業支援が必要とされている。そこで,小 学校理科に関し,授業支援モジュールを活用し. 4 ある中華料理の本のデザイン. た研修講座や訪問研修が実施されている。複数. 中華料理の周富徳氏の料理写真が掲載された. のモジュールで構成されている研修ユニット. 『選べて簡単!中華の献立』という文献9)の裏表. は, モジュールを「基礎基本」 「授業づくり」 「観. 紙には「この一冊で24389とおりの献立の組み合. 察実験」 「教材製作」の四つのジャンルに分け. わせが楽しめます」との記述がある。その構造は. て作成されている。一つのモジュールは,15~. 【写真1】のようである。すなわち,ご飯類,スー. 30分で実施できる内容を基本としている。. プ類,炒めものなどが,モジュールになっており,. 6). ⑶ 「特別支援学級における自立活動の指導 」. その組み合わせを変えることで,様々な献立を作. 自閉症スペクトラム障害のある児童(生徒). 成することができるという構造になっている。. は,知的障害の有無と関連して実態が多岐にわ. この構造を援用して,音楽の授業における「階. たり, 多様な指導が必要とされている。児童(生. 名唱」や「リコーダー奏」,「身体表現」や「傾聴. 徒)の調和のとれた育成を目指し,障害による. する」等の活動をモジュールにしておき,その組. 学習上又は生活上の困難を改善・克服するため. 合せを様々試すことで,音楽授業を楽しみながら. の指導である「自立活動」において,児童たち. 構成できると考えた。そのことで,「音楽の授業. が集中し,意欲的に取り組むためには,メリハ. の方法が思いつかない」 「音楽の授業はできない」. リのある活動を行う必要がある。1時間の内容. という音楽専攻でない教師や学生の困難さを軽減. については,単一的・均一的なものではなく,. することに資する用具の作成につながることが期. いくつかの活動をモジュール化する。そして,. 待される。. 静と動の活動を組み合わせることにより,より 意欲的に活動させることができる。 ⑷ 音楽科における帯番組的な活動 1時間の授業において,楽曲Aを歌唱し,楽 曲Bをリコーダーで演奏し,楽曲Cを鑑賞する といった帯番組的な展開が見られる。これは, 限られた時間で可能な限り多くの活動をさせる ため,または,基礎的な練習には常時取り組も うとすることから行われる方法である。 ところで, 教科による差,教科間の認知構造(内. 【写真1】『選べて簡単!中華の献立』の構造. 7). 容構造)の差異についての研究 がある。すなわ ち,教科によって,授業の構成法も異なることが ある。モジュールの考え方を音楽科に適合させる. 5 「授業づくりカード」の作成過程. ときに,音楽科の特性について考慮する必要があ. 「授業づくりカード」は, 「小学校音楽科教育法」. る。便宜上分離して行われることの多い「鑑賞」. の授業での経験をもとに,佐藤が作成に取り組ん. 306.

(6) 授業づくりカードの作成. だ。以下の⑴~⑹の過程で取り組みながら,作成 中のカードについて,実践で使用可能であるか芳. 6 「授業づくりカード」の実際. 賀と佐藤で検討して問題点に関する工夫を施し,. 「5」で作成した「授業づくりカード」は【図. それを佐藤が修正するという工程で行った。. 1】に示す60枚となった。その記述内容は(写真. ⑴ まず,活動の種類を挙げていく。「歌う」「リ. では判読しづらいため)次頁【図2】に掲出する。. コーダーを吹く」などの活動をカード1枚につ き1件ずつ書き出していく。 ⑵ しかし, 「聴く」にも様々あるため, 「聴く(体 を動かしながら)」という形で書き出す。 ⑶ 所要時間を書き込む。 ⑷ 「歌唱」 「器楽」「創作」「鑑賞」「その他」に 分類してカードに「歌」「器」等と記入する。 ⑸ 前後の活動とのつながりを記入する。例えば, 「 『移動ド唱法』の後に『リコーダー奏』は適 さない」等の場合は「×」印と活動名を記入す. 【図1】授業づくりカード. る。 ⑹ 「目標」のカード,または,枠を作成する。 しかし,作業に取り組むうちに,上記⑷~⑹に. 7 使用方法についての配慮. ついて,以下の問題点が判明した。. 音楽科の授業の現状について述べられた文章か. ⑷については,本来一体のものである「鑑賞」. らは,以下の三点のような問題点が見えてくる。. 「表現」を区別することの問題や, 「歌詞の解釈」. ⑴ 聞いて・歌って終了といった,わが国の音楽. のように一概に活動の種類をいえないものが多. 科の授業の平均的な姿,「このような授業を原. く,また, 「録音する」のような,活動というよ. 型にして,笛の伴奏や合奏がとり入れられたり,. りは教師の作業といえるようなものもあり,「歌. 簡単なリズム練習,音程練習,創作練習がとり. 唱」 「鑑賞」等に適すか否か程度の記入(色分け. 入れられ,若干のかざりがつけられているのが. による)に留めるようにした。それでも色分けを. (傍点は原文ママ)」と 音楽科の授業の現状10). 行ったのは,活動の偏りが一目で分かるという機. いうことからは,具体性に乏しく,授業の具体. 能を残したかったためである。. 的なイメージがわいてこないという問題がある。. ・. ・. ・. ⑸については,授業の目標によっては,モジュー. ⑵ 「授業を客観的に構成し創り出していこうと. ルの順序性が一概に判断できないことがあるた. することに否定的な立場が生まれる」という指. め,詳細に記入することを断念する判断をした。. 摘に続き, 「こうした立場から行われる授業は,. しかし, 「 『移動ド唱法』の後に『リコーダー奏』. 極論すれば,『出たとこ勝負』→『勝負の決め. をすると混乱を招く」といったように,明らかに. 手は教師の音楽的力量,豊かな感性,情熱,ひ. つながりの悪いものが存在するため, 「前後のつ. たむきな生き方』という図式のもとに,教師と. ながり」についても簡単に記入したものがある。. 子どもとの臨機応変な対応という形で構築され. ⑹は,目標として「リコーダーを演奏できるよ. る。そして,それが子どもを大切にすることに. うにする」といった短期の目標と, 「豊かに感受. おきかえられてしまうのである11)」とあり,. する」といった長い時間をかけて育んでいくもの. 教師個人内に留まって行われる芸のようになる. が混在することと,目標は様々であり,際限なく. という問題が考えられる。これでは教師集団の. なることから,この作業を中止した。. 共通の財産とはならない。. 307.

(7) 芳賀 均・佐藤 友夏. 【図2】授業づくりカードの内容. 308.

(8) 授業づくりカードの作成. 【図3】記入された解説や留意点等. 【図5】授業づくりカードを並べた様子. 【図4】授業づくりカードに記入した解説や留意点等. 309.

(9) 芳賀 均・佐藤 友夏. ⑶ 「その楽曲そのものを素材として,その楽曲. する」,⑨「発表する(感想など)」である。この. の構造その他が学習されなければならない。も. ように,様々な種類の活動を伴った,単調ではな. ちろんその学習はつねに,音楽の概念や法則あ. い授業を構成することが可能となった。このこと. るいは構造としてのリズム・メロディー,形式. から,音楽の授業の総合的な展開が期待できると. など中心とする音楽科の基本的な教育内容とき. 考えられる。. 12). り結ばれて学習されなければならない. 」と. あり,教材研究を通して教材の構造等を十分に 理解した上で活動を選択しないと,教材と指導 との間に齟齬が生じる。. おわりに 本稿は,教師の音楽の授業に対する抵抗感を取. 以上を踏まえると,「授業づくりカード」は,. り除いていく上で,まず授業を構成することがで. その使用において,以下の三点に配慮して使用す. きる,という実感をもてるようにすることを目的. ることが望ましいといえる。. として論を進めてきた。ここに掲出した「授業づ. ⑴ どんな目標をもって授業を行うのか絶えず意. くりカード」には一定の効果があるものと期待さ. 識しながら授業づくりに取り組むこと。. れる。. ⑵ できるだけ他者との学び合いの場での活用も. 今後の課題として,実際の授業において使用し. 意識すること。個人で行う際は,その授業の構. てその効果を確認したり,「授業づくりカード」. 成について他者に説明できるように意識するこ. の記述量の充実や種類の拡大といった改善に取り. と。. 組んだりすることが挙げられる。. ⑶ 授業の目標,または,教材の特性に合わせた 活動を取り入れること。. 8 「授業づくりカード」の使用例 作成した「授業づくりカード」を使用し,『春 の小川』を教材として,佐藤が授業を構成した。. 註 1)芳賀・佐藤「『教育音楽(小学版)』における音楽鑑 賞に関わる指導過程の検討」(日本学校音楽教育実践学 会 第8回 北海道支部例会における発表,平成27年3 月7日)において,近年(平成10年代以前と比べ,平 成26年)の音楽授業には,楽曲を歌う際などにはレコー. 『春の小川』に適すると思われるカードを,全. ド(CD)を聴取して細部を捉えたり味わったりなどし. てのカードの中から最大限選択し,それらを並べ. てから次の活動に移るという傾向が現われていること. 替えながら,単調な授業にしないことや,前後の 関係に注意しつつ,取捨選択をして並べていった。. が見て取れた 2)例えば,芳賀が平成27年6~7月にかけて公立小学 校において行った19時間の研究授業における打合わせ. その際,カードに記入されている解説や留意点. の際,学級担任や教務担当の教諭等との会話の中で,. 等を参考にした(前頁の【図3】を参照。なお,. このような現状が話された. 使用したカードに記入されている解説や留意点等 は前頁の【図4】に整理して掲出した)。. 3)「小学校音楽科教育法」(平成26年度後期AHクラス) の授業において学生が記入したワークシートのうち, 使用の承諾を得たものの集計結果. 実際にカードを並べ替えて,授業を構成した様. 4)国立教育政策研究所「基礎的・基本的な知識・技能. 子が,前頁の【図5】である。例として構成した. を定着させる取組の実践例~平均正答率が向上した小. 授業は,①「聴く(体を動かしながら)」,②「歌 う(固定ドで)」,③「歌詞を読む」,④「歌詞の. 学校の例(特にA問題)~」 http://www.nier.go.jp/08zireishuu/shou_07zirei.pdf (2015.9.9.13:26閲覧)から引用・要約. 解釈をする」 ,⑤「歌う(歌詞をつけて)」,⑥「歌. 5)水﨑直美「小学校理科における研修ユニットの工夫. う(伴奏つきで)」,⑦「交互唱をする」,⑧「パ. -授業支援モジュールの開発と活用を通して-」福井. ズルの並び替えをする」・「鍵盤ハーモニカを演奏. 310. 県教育研究所,http://www.fukui-c.ed.jp/~fec/siraberu/.

(10) 授業づくりカードの作成. siraberu/kiyou/h23kiyou/mizusaki.pdf (2015.9.9.13:24閲覧)から引用・要約 6)山梨県総合教育センター「特別支援学級における自 立活動の指導に関する研究Ⅰ-小学校の自閉症・情緒 障害特別支援学級を中心に-」  http://www.ypec.ed.jp/center/kenkyukaihatu/22/ kiyou/H23/23kiyoucd/10tokubetsushien.pdf (2015.9.9.13:25閲覧)から引用・要約 7)倉島敬治「授業構成要素についての認知構造の変容 -教科による認知構造の差異-」『岩手大学教育学部附 属教育工学センター教育工学研究』第5号,岩手大学 教育学部附属教育工学センター,1983,pp.63-69. 8)木村素衞は,「美のかたち」(昭和16年(1941) )の中 で, 「観ることと作ることとは(中略)原理的同一に立 たねばならぬ。後者は前者の必然的発展である」と述 べ て い る( 木 村 素 衞『 美 の プ ラ ク シ ス 』 燈 影 舎, 2000,p.121.) 9)  周富徳・佐伯義勝『選べて簡単!中華の献立』群羊 社,1995 10)八木正一「音楽科における授業構成の現状と課題」 『日 本教科教育学会誌』日本教科教育学会,1981,p.16. 11)同上書,p.14. 12)同上書,p.17.. 附 記 本稿の「5」におけるカードの作成作業・「6」 に掲出したカード(【図1】および【図2】)・「8」 の授業プラン作成については佐藤が,それ以外の 部分については芳賀が担当した。 . (芳賀 均 旭川校講師). . (佐藤 友夏 旭川校芸術・. . 保健体育教育専攻3年). 311.

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