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小中学校における友達や先生からの被受容感が関係自尊心に及ぼす影響についての一考察

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Academic year: 2021

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(1)小中学校における友達や先生からの被受容感が            関係自尊心に皮ぼす影響についての一考察 専 攻 教育実践高度化専攻 コース 心の教育実践コース. 学籍番号 P100411 氏 名  住田  慎介  現在r自尊感情」という言葉は,教科・領域.  研究調査では,まず,現任校のある中学校. を越えて様々な文脈の中で聞かれるようにな. 区において教員を対象としてr自尊感情のと. り,それぞれの分野において自尊感情を高め. らえ方についての調査」を実施した。その結果. るための取り組みが行われるようになってき. から,教員が自尊感情を育むためには他者と. ている。生徒指導提要(文部科学省,2011)でも,. の関わりが重要になってくると考えているこ. 自尊感情の重要性が示唆されている。. とや,教員の自尊感情のとらえ方は,特性自.  児童生徒の自尊感情が低いことは,低年齢. 尊心よりも他者との関わりの申で変化してい. 少年の生活と意識に関する調査(内閣. く状態自尊心,なかでも関係自尊心の考え方. 府,2007)や平成22年度全国学力・学習状況調. に近いことが確認された。. 査(文部科学省・国立教育政策研究所,2010).  その結果や先行研究をもとに,学校生活の. の質問紙調査,中学生・高校生の生活と意識. 中で関わりの深い友達や先生からの被受容感. 調査(独立法人国立青少年教育振興機構,2009).. によって関係自尊心が高まり,関係自尊心が. など各種調査結果から指摘されている。この. 高まることによって対人関係構築行動とgooa. ような状況は,学習指導要領の理念とするr生. enoughの自尊感情や自己受容の中核となる. きる力」や0ECDのキー・コンビチンシーで. 自分を大切に思う気持ちである「これでいい」. 求められる能力から見ると大きな問題である. が高まり,この「これでいい」が高まることに. と考えた。. より,向上心や自己有用感も高まっていくと.  本研究では,先行研究をもとにしながら自. 仮定し,自尊感情を高める心理過程(仮説). 尊感情を他者との関係における感情を伴った. を作成した。それをもとにして質問紙を作成. 自己評価である関係自尊心という視点からと. し,小中学生を対象とした調査を6月と10∼. らえ直すことにした。さらに現実自己と理想. 11月の2回実施することとした。. 自己の関係から被受容感が自尊感情を高める.  1回目の調査でえられたデータを,探索的. ことにつながると考えた。そこで,児童生徒. 因子分析を行ったところ「これでいい」,向上. が友達や先生から受け入れられていると感じ. 心,対人関係構築行動は1因子性,被受容感(友. る被受容感が関係自尊心を高め,関係自尊心. 達被受容感,先生被受容感),関係自尊心(関係. が高まることによって安定した自尊感情,さ. 的幸福,関係的存在意義)は,それぞれ2因子. らには自己有用感や向上心や対人関係構築行. 性であることが確認できた。さらに検証的因. 動も高まってくると考え,被受容感が関係自. 子分析した結果,対人関係構築行動(協調性行. 尊心等に与える影響について検証することに. 動,共感性行動),先生被受容感(先生関係性,. した。. 先生配慮性)は2因子性であることが確認でき. 一84一.

(2) た。. いの本音を交流し合うことで,自己開示,他.  それをもとに,共分散構造分析を用いモデ. 者理解,自己受容が促進されことをねらい,. ル解析を実施した。分析に当たっては,中学. 構成的グループエンカウンター(SGE)を行っ. 生と小学校上学年と小学校下学年に分け発達. た。また,縦割り班活動では児童が相互に関. 段階の違いにおける反応の違いについて検証. わり合い,協力し合うよう,ランキング形式. することとした。また,被受容感を友達被受. の活動を取り入れ,児童の達成感や被受容感. 容感と先生被受容感に分け,それらが関係自. が高まるような取り組みを行った。これらの. 尊心を経由して,またあるいは直接的に,対. 活動を全校で継続的に行うことで,児童に意. 人関係構築行動や「これでいい」,向上心にど. 識に変容が見られた。. のように影響を与えているかを見るために,.  本研究では,自尊感情の一側面である関係. それぞれを4つのモデルに分け,計12のモデ. 自尊心に焦点を当てて,尺度を作成し調査・. ルを解析した。その結果,小学校上学年,中. 検証してきた。友達や先生から受容されるこ. 学生ではすべてのモデルが適合と認められ仮. とが自尊感情を高めることにつながることや,. 定した心理過程の妥当性が示された。. 発達段階のおける変化の様子を可視化するこ.  2回目の調査では,1回目の調査同様の手. とができた。しかし,家族からの被受容感に. 順でモデル分析を行い心理過程の妥当性につ. ついては調査を実施していない。今後,家族. いて再確認した。友達や先生からの被受容感. からの被受容感の影響を明らかにし,保護者. が関係自尊心や,関係自尊心を経由して「これ. の啓発に努めていくことは今後の大きな課題. でいい」「向上心」「対人関係構築行動」に影響. である。. を与えるという基本的な構造には変化が見ら.  実践では,全校で継続的な取り組みを行う. れなかった。. ため,教育課程外の時間を活用して,学級内.  また,友達や先生からの被受容感と関係自. や縦割り班活動にSGEやチャレンジランキン. 尊心の相関の変化について分析を行い,小学. グの活動を取り入れ一定の効果を確認するこ. 校1年生から3年生くらいまでは,友達や先. とができた。今後,日頃の学級経営や授業の. 生からの被受容感と関係自尊心の相関は上下. 中で,児童生徒が相互に関わり合うような学. の入れ替わりが見られ一定ではないが,自尊. 習活動や相互評価の場面を意図的に取り入れ. 感情が低下し始めるといわれる小学校4年生. ていくことも重要である。. の頃から友達被受容感の方が,先生被受容感.  小学校,中学校にある子どもたちの自尊感. よりも関係自尊心との相関が高くなる傾向が. 情を高めていくためには,他者との関わりの. あることが明らかになった。. 中で受容される体験を繰り返すことが大切で.  実践研究においては,関係自尊心を高める. あることはいうまでもない。今後も,子ども. ため,友達からの被受容感を高めるための取. 遠の被受容感を高めるための取り組みを学校. り組みを行った。ここでは,学校生活アンケ. 教育の中でも,継続的に取り組んでいく必要. ートの友達被受容感に関わる項目に対応する. がある。. ものになるよう配慮した。教育課程外の時間 を活用しながら,全校で継続的に取り組める ものになるようにした。学級ではr話す」r聞. 修学指導教員  新井  肇. く」という基本的なスキルを活用しながら,互. 指導教員 竹西亜古. 一85一.

(3)

参照

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