小中学校における友達や先生からの被受容感が関係自尊心に及ぼす影響についての一考察
2
0
0
全文
(2) た。. いの本音を交流し合うことで,自己開示,他. それをもとに,共分散構造分析を用いモデ. 者理解,自己受容が促進されことをねらい,. ル解析を実施した。分析に当たっては,中学. 構成的グループエンカウンター(SGE)を行っ. 生と小学校上学年と小学校下学年に分け発達. た。また,縦割り班活動では児童が相互に関. 段階の違いにおける反応の違いについて検証. わり合い,協力し合うよう,ランキング形式. することとした。また,被受容感を友達被受. の活動を取り入れ,児童の達成感や被受容感. 容感と先生被受容感に分け,それらが関係自. が高まるような取り組みを行った。これらの. 尊心を経由して,またあるいは直接的に,対. 活動を全校で継続的に行うことで,児童に意. 人関係構築行動や「これでいい」,向上心にど. 識に変容が見られた。. のように影響を与えているかを見るために,. 本研究では,自尊感情の一側面である関係. それぞれを4つのモデルに分け,計12のモデ. 自尊心に焦点を当てて,尺度を作成し調査・. ルを解析した。その結果,小学校上学年,中. 検証してきた。友達や先生から受容されるこ. 学生ではすべてのモデルが適合と認められ仮. とが自尊感情を高めることにつながることや,. 定した心理過程の妥当性が示された。. 発達段階のおける変化の様子を可視化するこ. 2回目の調査では,1回目の調査同様の手. とができた。しかし,家族からの被受容感に. 順でモデル分析を行い心理過程の妥当性につ. ついては調査を実施していない。今後,家族. いて再確認した。友達や先生からの被受容感. からの被受容感の影響を明らかにし,保護者. が関係自尊心や,関係自尊心を経由して「これ. の啓発に努めていくことは今後の大きな課題. でいい」「向上心」「対人関係構築行動」に影響. である。. を与えるという基本的な構造には変化が見ら. 実践では,全校で継続的な取り組みを行う. れなかった。. ため,教育課程外の時間を活用して,学級内. また,友達や先生からの被受容感と関係自. や縦割り班活動にSGEやチャレンジランキン. 尊心の相関の変化について分析を行い,小学. グの活動を取り入れ一定の効果を確認するこ. 校1年生から3年生くらいまでは,友達や先. とができた。今後,日頃の学級経営や授業の. 生からの被受容感と関係自尊心の相関は上下. 中で,児童生徒が相互に関わり合うような学. の入れ替わりが見られ一定ではないが,自尊. 習活動や相互評価の場面を意図的に取り入れ. 感情が低下し始めるといわれる小学校4年生. ていくことも重要である。. の頃から友達被受容感の方が,先生被受容感. 小学校,中学校にある子どもたちの自尊感. よりも関係自尊心との相関が高くなる傾向が. 情を高めていくためには,他者との関わりの. あることが明らかになった。. 中で受容される体験を繰り返すことが大切で. 実践研究においては,関係自尊心を高める. あることはいうまでもない。今後も,子ども. ため,友達からの被受容感を高めるための取. 遠の被受容感を高めるための取り組みを学校. り組みを行った。ここでは,学校生活アンケ. 教育の中でも,継続的に取り組んでいく必要. ートの友達被受容感に関わる項目に対応する. がある。. ものになるよう配慮した。教育課程外の時間 を活用しながら,全校で継続的に取り組める ものになるようにした。学級ではr話す」r聞. 修学指導教員 新井 肇. く」という基本的なスキルを活用しながら,互. 指導教員 竹西亜古. 一85一.
(3)
関連したドキュメント
It was shown clearly that an investigation candidate had a difference in an adaptation tendency according to a student's affiliation environment with the results at the time of
これらの先行研究はアイデアスケッチを実施 する際の思考について着目しており,アイデア
本プログラム受講生が新しい価値観を持つことができ、自身の今後進むべき道の一助になることを心から願って
自由報告(4) 発達障害児の母親の生活困難に関する考察 ―1 年間の調査に基づいて―
小学校学習指導要領総則第1の3において、「学校における体育・健康に関する指導は、児
にしたいか考える機会が設けられているものである。 「②とさっ子タウン」 (小学校 4 年 生~中学校 3 年生) 、 「④なごや★こども City」 (小学校 5 年生~高校 3 年生)
[r]
糸速度が急激に変化するフィリング巻にお いて,制御張力がどのような影響を受けるかを