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幼児の他者感情理解と向社会的行動との関係について

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Academic year: 2021

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(1)Title. 幼児の他者感情理解と向社会的行動との関係について. Author(s). 戸田, 須恵子. Citation. 釧路論集 : 北海道教育大学釧路校研究紀要, 第35号: 95-105. Issue Date. 2003-11. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/1291. Rights. 本文ファイルはNIIから提供されたものである。. Hokkaido University of Education.

(2) 釧路論集一北海道教育大学釧路校研究紀要一第35号(平成15年) KushiroRonshu−JournalofHokkaidoUniversityofEducationat Kushiro−No.35:95−105.. 幼児の他者感情理解と向社会的行動との関係について 戸 田 須恵子 北海道教育大学教育心理学研究室. The Relation between Understanding of OtherPeople’s Emotion and ProsocialBehaviorin Preschoolers Sueko ToDA Department ofEducationalPsychology,. Kushiro Campus,Hokkaido University of Education. 要 旨. 幼児の他者感情理解と向社会的行動との関係を研究するために119名の幼児に参加してもらった(年長児63. 名、年中児56名)。他者感情理解は面接して絵画物語法によって喜び、悲しみ、恐れ、怒りの4感情認知を測 定した。又、向社会的行動については、保母に評価してもらった。感情認知の測定は認知と情動からなって いる。結果は、感情認知は年齢差が見られた。又、怒りや恐れは喜びや悲しみの感情よりも遅れて発達する ことが明らかとなった。例話を聞いてどのように感じたかについての情動は、全体的に得点が低かったが年 齢差が認められ、年長児の方が年中児よりも情動得点は高かった。多くの幼児が恐れや怒りの例話では、悲 しいと回答していたことは、幼児は怒りや恐れは喜びや悲しみより体験が少ないこともあって、不快感情か ら十分に分化していないことが推測された。向社会的行動については年齢差及び性差は認められなかった。 年長児と年中児の年齢差は1歳であるので向社会的行動の発達がそれほど顕著には見られなかったと思われ. る。感情認知と向社会的行動は有意な関係が認められた。特に、年長児においては、感情認知得点が高い者 ほど向社会的行動得点も高かった。しかし、年中児では、感情認知で高得点をとっている者が必ずしも向社 会的行動においても高得点をとっているとは言えなかった。さらに、4つの向社会的行動因子の中で感情抑 制因子は感情認知との関係が認められなかった。この結果は、幼児期は相手の状況を理解した上で自己の感 情を抑制することはまだ難しい段階と考えられる。これらの研究結果から幼児期の他者感情理解は認知的に は理解できるが、それをどのように感じて表現できるかという点ではまだ十分に発達しているとは思われな. い。感情認知の測定法を検討し、これらの結果をさらに検討していく事が必要である。. 研究では、幼児期の向社会的行動と他者の感情理解との関. はじめに. 係を検討していきたい。. 他者とより良い関係を持つためには他者の気持ちを理解. して行動することが必要である。近年社会では他者へのい じめや暴力などが増加し、その間題解決へ努力しているの が実情である。かって日本は、世界の人々から親切な国民. 他者の感情理解について 幼児が他者を理解することは、対人関係の発達には重要 な要素である。他者理解は、向社会的行動における情動や 動機に基礎をおく精神分析理論と関連しており、共感性や 他者の感情理解についても、内発的動機づけ過程として重 視されている(首藤,1994)。さらに、共感性は一般的に2 つの定義、認知的側面と情動的側面から説明される。認知 的側面は「ある状況において、他人の反応を予測する能力. として賞賛されてきた。しかし、社会の変化に伴い人々の. 意識も変わってきている。人を思いやる感情が十分発達し ていればいじめや相手を傷つける行動は起こらないのでは. なかろうか。幼児期は友達との関係において向社会的行動 や他者感情理解が発達する重要な時期である。では幼児期 の思いやり行動や他者感情理解はどのようであろうか。本. −95−.

(3) 戸 田 須恵子 あるいは「他人の思考、感情、行為の中に自分を想像的に. 的広がりをもった共感性となる。. おいて、その人の世界を構成すること」と定義され、情動. これらの発達段階を見ると、他者感情理解が意識化され. 的側面の定義は「他人の情動を経験する結果、他人の感情. はじめるのは役割が取得され始める第3段階であることが. と同じ情動を経験すること」と説明されている(渡辺・瀧. 推測される。向社会的行動や共感性と関係の深い役割取得. 口,1986)。どちらの定義においても相手の感情を理解する. は3才噴から急速に発達していると考えられている(久保,. ことが重要な要素であることがわかる。即ち、共感すると. 1992)。役割取得とは「他者の感情や情動反応、思考、観. いうことは、相手の感情を理解した上で成り立っていると. 点、動機、意図を推測し、それを理解する能力」と定義づ. 言える。又、他者理解の研究は、社会的参照や共感性とし. けられている(Eisenberg&Mussen,1980)。役割取得が. て研究されることの方が多い。そこで本研究では他者の感. 獲得されると自己の感情や内的状態とは別に他者も感情や. 情理解については、共感性の側面から説明していく。他者. 内的状態を持っていることに気がつくようになる。即ち、. 感情理解は、向社会的行動や共感性と正の相関があるとい. 幼児は他者の感情をその人自身の欲求や状態に基づいて解. う研究がある(浜崎,1985)一方で、負の相関を見いだした. 釈していることが理解できるようになる。3才頃は言語を. 研究(Eisenberg&Lennon,1980)もあり、一貫した結. 獲得したことにより、他者の複雑な情動状態に対しても反. 果を見いだしていない。. 応ができる段階である。Hoffman(1977)の理論に基づけ. 低年齢児における情動理解は顔の表情によって判断され. ば、幼児期は役割を取待し、他人の表情や情動についての. る。乳児の表情認知能力の測定は表情に対してのPreference. 理解が急速に発達していく段階であると考えられる。児童. 法や馴化一脱馴化法で注視時間を基礎にして測定されてい. 期からの共感性の発達について研究したものは多く見られ. る。しかし、この表情に基づく情動の理解は、言語が発達. るものの(浅jI卜松岡,1987;井上・西澤,1993;首藤,1990). するに従って言語による表現が勝ってくると言われている. 幼児を対象とした研究はあまり見られない。一連の発達的. (櫻庭・今泉,2001)。櫻庭と今泉は、2∼4才の情動語の. 変化を理解するには、幼児期における感情認知の発達につ. 理解力と表情認知能力について研究し、被験者は、情動を. いて検討を行うことは必要であろう。. 表す表情(喜び、悲しみ、怒り、驚き)の呈示より表情図. 共感性(他者の感情理解)の測定法として絵画物語法が. に対してそれにふさわしいことばを選ぶ方法を選択したこ. 挙げられる(Freshbach&Roe,1968;渡辺・瀧口,1986)。. とを報告している。Freshback(1976)は「他者の情動の. 物語の主人公の感情の認知とその共有によって感情を測定. 状態を弁別し、それを命名する能力は4,5才児のころから発. する。共感性に関して、幼児を対象としたものでは、Freshbach. &Roe(1968)が作成したFASTE(Freshbach and Roe. 達する」という研究結果を報告しており、これらの結果か. Affective Test forEmpathy)と呼ばれる絵画物語法が. ら幼児期において複雑な表情認知が可能になっていくこと が明らかである。. あげられる。又、有馬(1993)は、FASTEを改良して日本. では、共感性はどのように発達するのだろうか。Hoffman. 版の共感性尺度を作成している。FASTEは喜び、悲しみ、. (1977)、有馬(1993)の共感性の発達段階を以下に示す。. 怒り、恐れの4つの感情について扱っている。絵画物語法. 第1段階 対人永続性が獲得されるまでの段階. の利点としては、幼児など低年齢の子どもの関心が比較的. 他の子どもがケガをしたところを見ると自分でも泣き出. 容易に得られることが挙げられる。しかし、例話における. してしまうといった未分化な共感である。1才前後まで. 架空の登場人物に対して十分な情動反応が得られるかどう. 見られる。. かという問題点も指摘されている(浜崎,1991)。十分な情 動状態が得られぬままに、認知面のみが強調された共感性. 第2段階 対人永続性が獲得され始める段階 自分ではなく他の子どもがケガをして苦しんでいること. が、本来の共感性としてみなされるかどうかが問題である。. を理解する。しかし苦しんでいる子どもの母親ではなく、. さらに、絵画物語法の利点として、架空の登場人物ではあ. 自分の親を呼ぶことでその子どもを慰めるような事例が. るものの表情や感情の認知の発達を容易に測定することが. 観察される。この段階までは、他者の役割を取得するこ. できる。向社会的行動を誘発するためには、相手の感情を. とが十分ではないために起こる。. 認知する能力が大きな役割を果たすため(役割取得)、向社. 第3段階 役割が取得され始める段階. 会的行動と他者認知を測定する際に、表情認知の部分を測. 他者の感情に基づく共感性が生じてくる。他者の感情と. 定する絵画物語法は有効な手段であると考えられよう。共. 自分の感情とが互いに独立したものであることが理解で. 感性を測定する他の方法としては、ビデオ録画による顔の. きるようになる。. 表情の分析が挙げられる(首藤,1985)。ビデオによる測定. 第4段階 一般的窮状に対する共感性の段階. は、低年齢の子ども達の表情が読み取りにくいことや、年. 今までの段階では、自分が他者の窮状を直接経験する時. 齢が高くなるにつれて表情が複雑になり、正確な情動を読. にのみ生じるものであったものや、自分の周辺に存在す. み取ることができないなどの問題点がある。. る他者への共感であったが、この段階では貧しさや、社 会的弱者などへの自ら直接経験できる環境を越えた社会. ー96−.

(4) 幼児の他者感情理解と向社会的行動との関係について. て次の事柄が予測される。1)感情認知能力は加齢と共に上 昇するであろう。2)感情認知能力の性差は見られないであ ろう。3)幼児期の向社会的行動には年齢差は見られないで あろう。4)向社会的行動には性差が見られるであろう。即 ち、女児の方が向社会的行動得点が高いであろう。5)感情. 向社会的行動について. 向社会的行動は思いやり行動とも言われ、「見返りを期待 しない人のためになる行動」と定義され、寄与・分与行動、 奉仕活動、愛他行動、寄付行動、支援・援助行動など自発 性に基づいた行動が含まれる。向社会的行動の研究は一連 のEisenberg&Fabesの研究で知られており、向社会的行 動に関するモデルを提示している(1998)。向社会的行動は 2つの理論的背景を持つ。一つは思考や推論、判断、役割 取得といった認知面に関する認知発達理論であり、もう一. 認知能力と向社会的行動とは有意な関係が見られるであろ. う。. 方 法. 被験者:釧路市内にある4つの保育園の園長先生に依頼し、 119名の幼児に参加してもらった。年長児63名(男児33名、 女児30名)、年中児56名(男児33名、女児23名)であった。 又、平均年齢は、年長児は6才1ケ月(範囲5才7ケ月∼ 6才7ケ月)、年中児は平均5才2ケ月(範囲4才6ケ月∼ 5才7ケ月)であった。年長組と年中組では約1年の開き. つは情動や動機といった精神分析理論である(Eisengerg&. Mussen,1980)。向社会的行動は共感性と高い相関が見ら れるので、同情や感情移入といった側面からの研究は少な い。又、向社会的行動判断には役割取得能力も重要な要因 であると考えられている。竹村・高木(1987)はLocus of Controlを用いて、向社会的行動の動機が内的なものか外 的なものかを研究し、内的志向性の高い者は外的志向性の 者よりも援助行動が多いことを報告している。畠山・戸田. がある。 手続き:. 1)感情認知について. (1998)は小学生と中学生の共感性と向社会的行動とは有. が明らかである。又、小学5年生と中学1年生を対象にした 戸田・畠山(2003)の研究では、向社会的行動がその期間. 感情認知測定については、保育園で各幼児との面接によっ て実験を行った。実験者は子ども達と親和関係を結ぶため、 可能な限り保育園の自由時間に参加した。実験は、保育園 の一部屋を利用して個別に面接実験を行った。最初、子ど もに名前とクラス、年齢を確認し、幼児が4つの表情(喜 び、悲しみ、怒り、恐れ)が理解できていることを表情カー ドによって確認した後、次のような教示を行った。「これか ら4つのお話をします。そのお話の中にあなたと同じ年齢 の子どもが登場します。あとであなたにいろいろ質問しま すからよく聞いてくださいね。」と教示後、4つの例話を一 枚ずつ図版を子どもに呈示した。なお、4つの例話の順序 はランダムであった。例話が理解できたことを確認してか ら「この子は00ちやんっていうんだけど、顔がないよね。. に外的志向性から内的志向性へと発達することを明らかに. あなたがこれだと思う顔を4つのカードの中から選んでく. している。この結果から、幼児期の向社会的行動は、外的 志向性によって動機づけられると言える。. ださい」と質問を行った。被験者が「わからない」と答え た場合には、「あなただったらこんな時どんなお顔をするの. 意な関係があったことを報告しているが、相関が認められ なかったことを報告している研究もある即00re,Underwood. &Rosentham,1973)。Moore等は、対象が幼児でその測 定には絵を使用したために、幼児の反応がその絵の表情な どに影響されたのではないかと推測している。さらに、向 社会的行動と共感性との間の相関に性差が認められたとい. う研究もある(Roberts&Strayer,1996)。又、伊藤(1997) は、状況と一致した表情の時に幼児は向社会的行動を適切 に判断することが可能であることを報告している。このよ うに幼児は絵を使用して測定した場合、向社会的行動の判 断はどのような表情をしているかによって影響されること. 上記の研究から本研究においては、幼児を対象に有馬(1993). かな」などの言葉かけで反応を促したが、回答が得られな. かった場合には次の質問に進んだ。又、正しい表情認知が なされなかった場合には、なぜその表情認知がなされたの か質問した。次に、実験者は被験者に「このお話を聞いて. の研究を参考に絵画物語法によって他者の感情認知の測定. を行う。本研究における測定方法は共感性の測定と同様な 手続きをとるが、絵画物語法によって得られる共感性が、 認知的側面であることから、本研究で待られたデータにつ. あなたはどう思いましたか、何でも思ったことを教えてね」. と質問をした。ここで被験者から回答が得られた場合には 「どうしてそう思ったのかな」と質問をした。又、回答が 理解しにくいものであれば、適宜質問を行った。なお、回. いては、感情認知という言葉によって検討を行う。又、向. 社会的行動は自発的なものであるが、友人とのかかわりの 中で援助行動など具体的に現れるために、他者による評価 が可能であると考えられる。感情認知(共感性)と向社会 的行動との相関を比較した研究はあるが、向社会的行動の 測定は絵画物語法によるものが多く、教師評価によるもの はあまり見られない。そこで本研究では、幼児の向社会的 行動については教師の評価の方法をとり、感情認知と向社 会的行動との関係を検討することを目的とする。仮説とし. 答が得られない場合は「どんなことでもいいから教えてく. ださい」などの言葉かけによって反応を促したが、それで も回答が得られない場合には、次の例話に進んだ。 2)向社会的行動について. 向社会的行動の測定は、保育園の担当保母に子ども達の 向社会的行動の評価を依頼した。保母は一人一人の向社会. ー97−.

(5) 戸 田 須意子. 的行動を評価した。実験終了後被験者全員の質問紙を回収. くんは先生に絵をあげたいと思って、先生の絵を描くこと. した。. にしました。. 調査材料:. 展開:長い時間をかけてやっと描けたとき、まことくんは. (1)顔の表情カード. うれしくてたまりませんでした。. 幼児が例話の登場人物の各感情に適した表情認知ができ. 結末:ところが、その絵を友達にとられてしまい、先生に. ているかどうかを判断する目的で渡辺・瀧口(1986)が便. あげようと思っていた大切な絵は破られてしまいました。. 用したカードを参考にして表情. まことくんはその子と喧嘩になりました。. 喜び. 悲しみ. カード(喜び、悲しみ、怒り、. (d)恐れ. 恐れ)を作成した。渡辺・瀧口. 開始:まことくんの隣の家には、大きな犬がいて毎日ワン. は怒りの感情については測定を. ワン吠えるので、まことくんは恐くてたまりません。. 行っていなかったので、新たに. 展開:ある日のこと、まことくんが隣の家の犬に気がつか. 怒りの表情カードを作成した。 幼児の興味拡散を加味した上で、. 怒り. 恐れ. れないようにそっと前を通った時。・。 結末:いつもは、鎖でつないである犬がムクッと起きて、. 頭髪や耳などの刺激条件を削除. まことくんの後から大きな声でほえながら追いかけてきま. し、丸い顔に眉、目、鼻、口の. した。. 4つの部分のみ描いた表情カー. (3)向社会的行動. Figurel 表情カード. ドを作成した(Figurel)。. Toda(1996)が使用した向社会的行動質問紙を一部、文 を修正して使用した。この質問紙は36項目から構成されて. (2)各表情別例話. Freshbach&Roe(1968)や有馬(1993)を参考に、喜. おり、回答は0「全くない」、1「時々ある」、2「非常に. び、悲しみ、怒り、恐れの感情を含んだ4つの例話と、そ. よくある」の3段階評定となっている。各項目の得点を合. の例話の内容を表現した3コマ(開始、展開、結末)から なる図版を作成した。感情認知の調査であるため登場人物 の顔は何も描いていない。又、被験者の性別に応じて男児. 表情及び感情認知の得点化:. 計したものを向社会的行動得点とした。. (a)認知得点. 正しい表情の回答が得られた場合には2点を与えた。又、. バージョンと女児バージョンの図版を作成した。例話の内. 容は次の通りである。. 正しい表情ではないが、回答理由が例話の内容と一致する ものであれば1点を与えた。絵を取り上げられて喧嘩にな. (a)喜び. 開始:まことくん(被実験者の名前)は、おもちやの大好 きな男の子(女の子)です。ある日、まことくんがずっと 前からほしいと思っていたおもちゃをお店で見つけました。 展開:ところが、次の日にお店に行ってみると、まことく んの欲しかったおもちやがなくなっています。「あのおもちゃ 欲しかったのになあ」と、まことくんはがっかりして家に. る怒りの例話において、悲しみの表情カードが選択される 場合や犬に追いかけられる恐れの例話において、悲しみの 表情力岬ドが遥択される場合などが具体的な例である。な お適切でない表情カードが選択された場合や、「わからない」. と回答した場合には0点を与えた。各例話の認知得点は2 点で、4つの例話の認知得点の合計を総合認知得点とした。. 帰りました。. 総合認知得点は8点である。. 結末:おうちに帰ってみると、田舎のおばあちゃんが遊び に来ていました。おばあちゃんは、まことくんにおみやげ をくれました。なんと、そのおみやげは、まことくんが欲. いて得点化を行った。被験者が回答した例話の登場人物の. しくてたまらなかったあのおもちゃでした。. 表情認知に基づき、被験者が例話の主人公と同じ感情を共. (b)情動得点. 有馬(1993)の共感性測定の際の情動カテゴリーに基づ. 有している程度を情動得点とした。例話の主人公の表情の. (b)悲しみ. 開始:明日は遠足です。まことくん(被験者の名前)はずっ と楽しみにしていた遠足の準備をしました。おやつも忘れ. 表情認知がなされており、自分も主人公の登場人物と同じ. ずにいれました。. 点を与えた。主人公の表情認知はなされているが、登場人. 展開:遠足の準備も終わり、まことくんはとてもワクワク していました。け一れども、なんだか頭がズキズキしてきま した。風邪をひいてしまったようです。 結末:次の朝、目がさめると、熱が38度もありました。頭 が痛くて動けません。まことくんは残念なことに、遠足に. 物とは異なる表情認知をした場合には3点を与えた。例話 理由が不十分であったり、第三者的に捉えているものにつ. 行けなくなってしまいました。. など第三者的に捉えているものであれば1点を与えた。質. ような感情を共有していると考えられるものについては4. の主人公の表情の認知はなされているものの、自分の感情 いては2点を与え、例話の主人公の表情の認知が不十分で、 自分の感情理由が不十分であったり、「かわいそうだから」 問の内容を理解していなかったり、無回答、「わからない」. (c)怒り. 開始:まことくんは、絵を描くことが大好きです。まこと. と回答した場合には0点を与えた。4つの例話の情動得点. 一98㌦.

(6) 幼児の他者感情理解と向社会的行動との関係について. 怒りを悲しみとして認知したのは男児に多かった。恐れも 同様に悲しいと受け止めている子どもが多くいたことから、. の合計を総合情動得点とした。総合情動得点は16点である。 (c)感情認知. 犬に追いかけられることは恐いという事より自分にとって. 各感情の例話ごとの認知得点と情動得点を加算したもの. は悲しいと考えたのかもしれない。このような結果は、表 情認知の発達が一様ではなく、悲しみ、怒り、恐れは不快 感情であり、その中の悲しみは早くから発達するが、怒り や恐れはそれほど体験しておらず、まだ十分に分化してい ないためすべて悲しい出来事として捉えたと思われる。. を感情認知得点とした。従って、各例話の感情認知得点は 6点であり、感情認知総合得点は24点となる。 感情認知についての信頼度係数を算出するために、異な る2人の評定者が、各例話毎に得られた全データの10%を独 立して4つの感情認知について評価した。その結果、喜び の例話は㍍=.68、悲しみの例話は㍍=.70、怒りの例話は に=.71であり、恐れの例話はK=.71であった。. Tablel 各例話別の認知平均得点 年長組. 年中組. 男児 女児 男児 女児. 結果と考察. M(SD)M(SD)M(SD)M(SD). 1.感情認知測定結果. 喜びの認知得点 悲しみの認知得点 怒りの認知得点 恐れの認知得点. (1)認知について. Tablelには各例話の認知のクラス別、性別の平均得点が 示してある。表を見ると、年長組では男児の喜び得点が最 も高く、年中組では男女とも喜び得点が最も高い。生後2ケ 月時の表情認知の実験において、Happyfaceを最も早く理 解することからも、喜びの感情が最も発達していることが わかる。喜びの表情得点に対して、恐れや怒りの表情得点. 2.0(.00)1.87(.50)1.70(.72)1.65(.76) 1.94(.24)1.97(.18)1.33(.88)1.39(.82) 1.76(.43)1.43(.67)1.42(.65)1.35(.76) 1.52(.66)1.67(.60)1.48(.66)1.43(.77). Table2 認知間の相関 認知カテゴリー. は低いので、喜び認知より遅く発達するのではなかろうか。. 喜び. 次に、4つの表情認知間の相関を見たところ、喜び、悲し み、恐れ、怒りのいずれとも相互に関係していた(Table2, 両側検定)。この認知理解の結果がクラスや性別によって差 があるかどうか2(クラス)×2(性)×4(4つの表情 認知)の3要因分散分析を行った。その結果、クラス、認知. 悲しみ. 怒り. 恐れ. 喜 び. .46** .31**. .41**. 悲しみ. .39**. .38 **. 怒り. .36 **. 恐れ. において主効果が認められた(クラスF(1,115)=12.46,. *pく.05 **p<.01pく.001. p<.01;認知F(3,345)=9.52,p<.01)。年長児は年中児. より得点が高かった。又、認知はLSD法による多重比較を 行った結果、喜びの得点が怒りの得点よりも有意に高かっ た。又、喜びと恐れとの間にも有意差が認められ、喜びの 得点が恐れ得点より高かった。又、クラス×認知の交互作 用効果も認められた(F(3,345)=4.80,p<.01)。その結果、. (2)情動の測定結果. Table3は各例話のクラス別、男女別の情動平均得点が示 してある。全体的に年長児、年中児ともに得点が低いこと がわかる。高得点を得た年長児は、例話の主人公の感情を 認知し、かつ自己体験や同一視によって例話の主人公と同. じ感情を共有していると考えられる回答をしていた。例え ば、喜びの例話においては「僕はお兄ちゃんよりもあまり おもちゃを持っていない。だから誕生日には一杯おもちゃ があって迷ってしまう。こういう時はうれしい」といった. クラス×喜び(F(1,115)=5.95,pく.05)とクラス×悲し み(F(1,115)=26.76,pく.01)において有意差が認められ. た。即ち、喜び、悲しみのどちらの認知も年長児は年中児 よりも得点が有意に高かった。これらの結果は渡辺・瀧口 の研究(1986)と一致し、年齢差があるだろうと予測した 仮説を支持する結果であった。Freshback(1976)は他人 の情動の状態を弁別し、それを命名する能力は4,5才の噴か ら急速に発達すると述べており、本研究結果はそれを実証 したと言えよう。さらに、絵画物語法による共感性の研究. 回答や悲しみの例話においては「水痘癒で行けなくなった. 達もおり、子どもにとっては怒りより悲しい出来事として. ことがある。すっごく楽しみにしていたのに行けなくて悲 しかった」と自己体験に基づく言及を行った。又、例話の 主人公の感情を認知し、かつ例話の主人公と同じような感 情を共有していると考えられる回答では、喜びの例話にお いて「うれしい。大好きなおもちやをおばあちゃんに員っ てもらったから」などであった。悲しみの例話については 「かなしい、楽しみにしていた遠足に行けなくなったから」、 「悲しい、風邪引いたから」などであった。怒りの例話に おいては「怒った。絵とられたから」、「嫌な気分になった。. 認知したのであろう。又、有意差は認められなかったが、. せっかく先生に描いてあげようと思った絵を破られたから」. では、喜びの感情は悲しみや怒りの感情と比較して共感が. 得られやすいことが示唆されている(浜崎,1991)。怒りの 例話は、主人公が大切にしていた絵を破られ、喧嘩になる という話である。幼児の中には、悲しいと認知する子ども. −99−.

(7) 戸 田. 須恵子. などの回答が見られた。恐れの例話においては「犬に追い. が難しいことが明らかである。それは又、年長児において. かけられるからこわい」、「恐い。犬にかじられるから」な. もかなり難しいことが推測される。幼児は自分の体験と例 話の登場人物の境遇を照らし合わせ、自己体験に基づいて. どの回答も見られた。例話の主人公の感情を認知している. ものの、自分の感情理由が不十分なもの、あるいは、第三 者的に捉えている回答例としては、悲しみ、怒り、恐れの. 答をしなければ、情動認知が正しい回答をしていても得点. 例話において「かわいそうだから」と第三者的に同情して. は低くなるので、この得点化について再検討する必要があ. 回答していた。又、得点化において、表情認知が正しい回. いる幼児が多く、喜びの例話においては「うれしいそうだ」. ろう。悲しみ、怒り、恐れの例話において、登場人物に対. など第三者的に捉えいていた。さらに、主人公の感情認知、. する情動反応では「かわいそうだから」という反応が年長. 及び自分の感情理由の言及が不十分な回答については、悲. 児、年中児ともに多かった。有馬(1993)も悲しみや怒り、. しみ、怒り、恐れの例話において「かわいそうだから」と. 恐れのような不快感情には「かわいそうだから」というこ. 第三者的に同情しているものが多く見られた。これらの情. とばで共感することを報告しており、本研究で「かわいそ. 動間の相関を見たところ(Table4,両側検定)、各情動が. う」と答えた被験者は共感の発達段階としては、登場人物. 相互に有意な関係を示した。. の情動と共有する前段階に位置すると言えよう。. 情動のクラス差、性差を検討するために、2(クラス)×. 2(性別)×4(情動)の3要因分散分析を行った。その結. (3)感情認知の測定結果. 果、クラスの主効果が認められた(F(1,115)=24.79,p<.01)。. Table5は各例話のクラス別、男女別の感情認知平均待点. 年長児の待点は年中児の得点よりも高かった。又、情動の. を示している。表を見ると年長児の得点は特に、喜びの感. 主効果も認めにれた(F(3,345)=8.20,pく.01)。LSD法に. 情認知において男女ともに高い得点を示している。感情認. よって多重比較を行ったところ、喜びと怒り、喜びと恐れ、. 知のクラスの発達差、性差を検討するために2(クラス)×. 悲しみと恐れの間でそれぞれ有意差が認められた。喜びは. 2(性)×4(感情認知)の3要因分散分析を行った。その. 怒りや恐れよりも待点が高く、悲しみは恐れより有意に得. 結果、クラス及び感情認知において主効果が認められた(ク. 点が高かった。さらに、クラス×情動の交互作用効果が認. ラスF(1,115)=24.79,p<.01;感情認知F(3,345)=8.20,. められた(F(3,345)=3.06,p<.05)。その結果、年長児の. p<.01)9′年長児の得点は年中児の得点より有意に高かった。. 喜び、悲しみ、怒り、恐れの感情認知得点は年中児のそれ. クラス×感情認知に交互作用効果が認められた(F(3,345)=. ぞれの感情認知得点より高かった。実際、年中児は年長児. 3.06,p<.05)。LSD法によって多重比較したところ、クラス×. と比較して例話の認知は行うものの情動に関しては回答で. 喜びの感情認知に有意差が認められ(F(1,115)=11.45,. きない場合が多かった。クラスの差(年齢差)が認められ. pく.01)、クラス×悲しみの例話においても有意差が認めら. ることと得点が全体的に低いことから、聞いた話を理解し、. れた(F(1,115)=32.81,p<.01)。喜び、悲しみの例話い. その話から受け止めた自分の感情をことばで表現すること. ずれも年長児の得点が年中児の得点よりも有意に高かった。. さらに、クラス×怒りとクラス×恐れの感情認知において Tabie3 各例話別の情動平均得点. も有意差が認められた(怒りF(1,115)=8.13,p<.01;恐. 年長組. れF(1,115)=8.21,p<.01)。恐れ、怒りいずれも年長児の. 年中組. 得点が年中児の得点より有意に高かった。感情認知は認知. 男児 女児 男児 女児. と情動の合計得点であるから、それらと同様な結果がでる. M(SD)M(SD)M(SD)M(SD) 喜びの情動得点 1.09(1.33)1.40(1.20).85(1.31).39(.87) 悲しみの情動得点 1.12(1.30)1.50(1.06).58(1.05).35(.81) 怒りの情動得点 .73(.96)1.10(1.04).39(.85).52(1.02) 恐れの情動得点 .70(1.09).90(1.11).15(.50).39(.92). のは当然と言えよう。いずれも性差に関しては有意差は認 められず、「性差は認められないであろう」という仮説を実 証した。他の研究においても性差は認められておらず(渡. 辺・瀧口,1986)、感情認知は男女の別なく発達していくの ではなかろうか。本研究は、絵画物語法によって架空の人. 物の表情認知、感情の検討をした。又、幼児の反応は第三 Table4 情動間の相関. 者的に捉えている者が多かった。多くの研究者は、絵画物 語法では共感性を測定する上で認知面は測定できるが被験. 情動カテゴリー 喜び 喜 び 悲しみ. 怒り. 悲しみ .50**. 怒り. 者である子どもたちの情動は十分に誘発することはできな. 恐れ. .38**. .33**. .56 **. .56 **. いことを指摘しており、本研究の結果と一致するところで ある。さらに、各感情認知間の相関を検討したところ(Table. 6)、やはり、相互に有意な関係が認められた。即ち、感情. .40 **. 認知の発達は、早期に喜びや悲しみの感情が発達している. 恐れ. 幼児は怒りや恐れも他の幼児より発達していることを示し *pく.05 **p<.01p<.001. ー100−. ている。.

(8) 幼児の他者感情理解と向社会的行動との関係について. Table6 感情認知間の相関. TabLe5 各例話別の感情認知平均得点 年長組. 感情認知カテゴリー. 年中組 喜び. 男児 女児 男児 女児. M(SD)M(SD)M(SD)M(SD). 喜 び. 喜びの感情認知得点 3.09(1.33)3.27(1.44)2.55(1.65)1.96(1.33). 悲しみ. 悲しみの感情認知得点 3.00(1.23)3.47(1.09)1.91(1.54)1.74(1.29). 怒り. 怒りの感情認知得点 2.48(1.13)2.60(1.47)1.82(1.11)1.87(1.51). 恐れ. 恐れの感情認知得点 2.27(1.42)2.66(1.42)1.67(.68)1.91(1.41). 悲しみ. .52**. 怒り. 恐れ. .39**. .38**. .49**. .56** .41**. *pく.05 **p<.01pく.001. Table7 向社会的行動の項目得点 N=119 目. 項. M(SD). 01.大人との困った状況で、気持ちをコントロールできる. 1.25(.54). 02.この子どもは他の古戸ね達の行動(遊び活動など)にすぐ受け入れられる. 1.19(.65). 03.園での課題をしっかりこなすことができる. 1.53(.52). 04.他の子ども達は、この子どもと遊んでいる時一緒になって笑う. 1.36(.59). 05.自分から進んで自己紹介をする 06.余っているおやつなどを他の子ども達に進んであげようとする. 1.09(.72) 1.05(.67) 1.05(.67). 07.仲間からほめられるとそれを知らせる 08.時間内に自分の課題をこなすことができる. 1.45(.53) .93(.71). 09.遊びに加わるよう他の人を誘う. 10.やっていた課題の道具や園の有物を片づける. 1.35(.55). 11.仲間と一緒に話すのが好きである. 1.67(.49). 12.課題をする時に自分の持ち物や材料を自分から他の子ども達に貸したり共有する. 1.13(.65). 13.ケガなどして、傷ついた人を助けようとする. 1.07(.66). 14.他の子ども達と一緒になって遊ぶことができる. 1.40(.59). 15.怒ることを抑えることができる. 1.24(.61) .81(.67). 16.教室で、課題ができない子ども達を助けようとする. 17.仲間と一緒にふり遊びやごっこ遊びをやる. 1.40(.61). 18.泣いていたり、起こっている子どもをなだめたりする. .93(.62) 1.18(.55). 19.毎日の役割(片付けなど)を能率よくやっている 20.すぐ新しい友達ができる. .87(.61). 21.仲間遊びのリーダーとなる. .66(.80). 22.他の子ども達と遊ぶ時に、よいアイディアを出す 23.先生の指示を注意して聞くことができる. 1.30(.60). 24.他の子ぢも達多少乱暴な遊びしている時でもうまく一緒に遊べる. 1.10(.65). .81(.76). 25.課題をあまりうまくこなすことができなかった子どもの作品をほめてあげる. .77(.57) 1.42(.66). 26.すぐ笑う. 27.多少乱暴な遊びをしている時でも他の子ども達に対して協力的な行動ができる. .97(.59). 28.たくさんの友達を持っている. 1.01(.65). 29.他の子ども達は、この子どもと話すことを楽しみにしている. 1.12(.58). 30.気分の悪い子どもを助けようとする. .97(.69). 31.他の子ども達の意見や非難を十分受けとめることができる. .97(.50). 32.他の子どもとトラブルを起こした時も、自分の気持ちをコントロールできる. 1.13(.58). 33.他の子ども達はこの子どもと多少乱暴な遊びをすることを楽しみにしている. .71(.68). 34.間違いをした子どもに同情を示す. .97(.52). 35.他の子ども達は、この子どもと一緒にいるのが好きだ. 1.21(.48). 36.適切な状況で、自分について良いこと(適切なこと)を言う. 1.30(.58). 一101−.

(9) 戸 田 須恵子. 2.向社会的行動測定結果 向社会的行動の各項目の平均得点をTable7に示す。高得 点を得ている項目は3(1.53点)11(1.67点)で、得点の低 い項目は、21(.66点)、33(.71点)、25(.77点)である。 続いて、クラス別及び性別の向社会的行動得点をTable8に 示す。全体的に見て、年中児の女児が他のグループより低 い得点となっている。クラスの発達差、性差を検討するた め2(クラス)×2(性)の分散分析を行った。その結果、. Table8 年齢別・性別の向社会的行動得点 年中組. 年長組. 男児. 男児. 女児. 女児. 得 点 40.94(13.20)40.13(13.42) 42.13(11.79)37.58(15.67). 得点範囲 10∼59 11∼67 20∼63. 7∼63. クラス、性別においていずれも主効果は認められず、交互. Tab[e9 向社会的行動因子分析結果. 0. 2. 1. 5. 2. 7. 0. 0. 1. 1. 2. 3. 1 0 1 2 0 2 2. −102−. 0. 累積寄与率 53.4. 1. nU 4 2 9 7 9 5 7 1 2 3 1 0 0 3 0. 19.毎日の役割(片付けなど)を能率よくやっている 10.やっていた課題の道具や園の有物を片づける. 1. 3 1. 23.先生の指示を注意して聞くことができる. 9 0 4 1 3 1 9 0 6 1 7 4 5 7 4 0 7 8 2 0 2 2 1 0 0 1 1. 2 3 2 3 ﹁⊥. 03.囲での課題をしっかりこなすことができる. 0 1. 08.時間内に自分の課題をこなすことができる. 2 4 3 2 6 7 5 3 3 7 5 1 9 3 3 0 5 3. 01.大人との困った状況で、気持ちをコントロールできる. 0 2. する. 32.他の子どもとトラブルを起こした暗も、自分の気持ちをコントロールできる 31.他の子ども達の意見や非難を十分受けとめることができる 15.怒ることを抑えることができる. 2. 1 1. 12.課題をする時に自分の持ち物や材料を自分から他の子ども達に貸したり共有. 1. 1 0. 16.教室で、課題ができない子ども連を助けようとする. 5 1⊥ 8 4 2 5 4 ワ︼6 0 17 71 66 2 2 7 0 720 05 19 14 0. 2 0. 3 4 4 3 6 5 ︹ 1バ︶]⊥ 4 9 7 0 9 0 1 2. 26.すぐ笑う. 2. 7. 18.泣いていたり、起こっている子どもをなだめたりする. 25.課題をあまりうまくこなすことができなかった子どもの作品をほめてあげる 07.仲間からほめられるとそれを知らせる. 1. 7. 30.気分の悪い子どもを助けようとする 13.ケガなどして、傷ついた人を助けようとする 34.間違いをした子どもに同情を示す. 2. 2. 06.余っているおやつなどを他の子ども達に進んであげようとする. 1. 9. 05.自分から進んで自己紹介をする. 0. 0. 3. 4 4 1. 0. 8 6 3. る. 33.他の子ども達はこの子どもと多少乱暴な遊びをすることを楽しみにしている. 2. 2. 8 1 3. 9. 4 0 2. 2. 0. 7 5 1. 2. 7 4 2. 0. 8. 8 5 0. 3. 4 3 2. 11.仲間と一緒に話すのが好きである 27.多少乱暴な遊びをしている時でも他の子ども達に対して協力的な行動ができ. 1⊥. 1. 6. 6 1 1. 5. 6 7 2. 17.仲間と一緒にふり遊びやごっこ遊びをやる 04.他の子ども達は、この子どもと遊んでいる時一緒になって笑う. 8 4 2 5 1 3 9 6 5 5 2 6 4 9 4 6 6 7 5 8 2 9 6 9 2 2 0 7. 0. 3. 4 3 0. 35.他の子ども達は、この子どもと一緒にいるのが好きだ. 1. 1. 5. 5. 3 1 1. 02.この子どもは他の古戸ね達の行動(遊び活動など)にすぐ受け入れられる 20.すぐ新しい友達ができる. 2 3 1. 22.他の子ども達と遊ぶ時に、よいアイディアを出す 29.他の子ども達は、この子どもと話すことを楽しみにしている 09.遊びに加わるよう他の人を誘う. 0 1 3. 14.他の子ども達と一緒になって遊ぶことができる. 21.仲間遊びのリーダーとなる 24.他の子ぢも達多少乱暴な遊びしている時でもうまく一緒に遊べる. 5 2 4 1 9 3 1 9 4 6 4 2 0 3 0 5 4 3 2 2 2 1 00 7 7 0 9 8 8 7 7 7 7 7 7 7 6 6 6 6 5 5. 28.たくさんの友達を持っている. 1. 第1因子第2因子第3因子第4因子. 目. 8. 項.

(10) 幼児の他者感情理解と向社会的行動との関係について. TablelO 向社会的行動因子得点. の方が高い得点を得るであろうと予測したが結果は仮説を. 支持しなかった。Eisenberg(1980)は、向社会的行動にお 年長組 年中組 因子名 いて男性は、援助が道具を必要とする救援・援助活動や危 女児 男児 女児 男児 険を伴うものにおいて女性よりも援助的であり、女性は慰 社 交 性 15.45(5.19)14.50(6.36)15.13(6.36)12.50(6.48) めを代表とするようにJL、理的な援助が必要とされたり、援 支援・援助 10.30(3.64)10.97(4.07)9.47(4.65)9.96(5.79). 助を必要とする人が知人や友人である場合に男性より援助. 感情抑制 3.88(1.62)4.67(1.65)4.81(1.82)5.21(1.82). 的である。そのために、実際はそうでなくても教師は上記. 課題達成 6.91(2.16)7.97(2.09)6.09(1.35)6.21(2.40). に述べた女性の援助行動特徴から向社会的行動について女. 性を高く評価する傾向があることを述べている。又、年齢 による発達差は認められていないという結果は、仮説を実 証したと言える。向社会的行動においては、動機づけの観. 作用効果も認められなかった。結果は、「年齢差は見られな いであろう」という仮説を実証した。即ち、5,6歳時では 向社会的行動の発達差は見られないことが明らかとなった。 次に、向社会的行動36項目について因子分析を行った(主 因子法、バリマックス回転)。固有値1以上で因子を抽出し. 点から見ると外的志向性をもった向社会的行動であるので. 4∼6歳間ではそれほど大きな違いはないと考えられる。 発達的変化を見るためには、小学生も含めて、年齢差を大 きくして検討する必要があろう。次に因子間の関係を検討 するために、相関係数を算出した。各因子間に有意な関係. たところ、8因子が抽出された。しかし、因子内の項目の 説明がつかないため、固有値1.5以上で4因子を抽出した。 因子分析結果はTable9に示す。第1因子は、友達、仲間、 遊びなど、保育園での自由遊び時間における友人との関わ. が認められた(Table12に記載)。. 3.感情認知と向社会的行動との関係について 感情認知において、クラス差が認められたことから、年. りが特徴づけられる項目から成り立っているので「社交性」. 因子と命名した。第2因子は分与や援助、同情など、困っ ている子どもに対する支援に関する項目から成り立ってい. 長児、年中児別に感情認知総合得点を高、中、低の3群に. るので「支援・援助」因子と命名した。第3因子は、怒り を抑えること、感情のコントロールなどの項目から構成さ れているので「感情抑制」因子と命名した。第4因子にっ いては、教師との関わり、また保育園での課題などによっ. 分けた。年長児では高得点群19人、中得点群25人、低得点 群19人で、年中児では高得点群11人、中得点群33人、低得 点群12人に分けられた。群別による感情認知得点と向社会 的行動得点はTablellに示した。表を見ると特に、年中組に. て特徴づけられる項目群から成り立っているので「課題達. おいて感情認知の高得点群が向社会的行動において必ずし. 成」因子と命名した。各因子得点はTablelOに示してある。 各因子におけるクラス間の発達差、性差を検討するため2 (クラス)×2(性)の2要因分散分析を行った。その結 果、クラス、性別においていずれも主効果、交互作用効果 は認められなかった。先行研究では性差が認められた研究 もあるが本研究においては性差は認められなかった。女児. も高待点をとっているとは限らないことが明らかである。 感情認知得点の群間の差を年齢別に分散分析で検討したと. ころ年長児、年中児共に有意差が認められた(年長組F(2,62)= 3.69,pく.05;年中組F(2,55)=4.25,pく.05)。多重比較 (LSD)を行ったところ、年長児においては、高得点群と 低得点群間で、又、中得点群と低得点群間において有意差. Tab】ell得点群別の感情認知及び向社会的行動得点. 年 長 組 高得点群 感 情 認 知 向社会的行動. 中得点群. 年 中 組 低得点群. 高得点群. 中得点群. 低得点群. 16.37(1.21)11.08(1.63) 6.84(1.60)13.73(2.37) 7.70(1.45) 2.77(1.56) 45.11(8.61) 43.44(13.14) 35.37(13.12) 38.73(12.11) 42.67(14.10) 29.33(13.24). Table12 感情認知及び向社会的行動因子間の関係 感情認知 感 情 認 知 社 交 性. 支援・援助. 社交性 .26 **. 感情抑制. 課題達成. .32**. .11. .26**. .56**. .38**. .56**. .46 **. .42 **. 支援・援助 感情抑制. .49 **. 課題達成. *p<.05 **pく.01***pく.001. −103−.

(11) 戸 田 須恵子. が認められた。年中児においては、中得点群と低得点群と の間に有意差が認められた。しかし、高得点群と低得点群 の間には有意差は認められなかった。又、年長児では感情. 本研究の結果から、他者の感情認知や共感性測定、また 向社会的行動の測定において重要な役割を果たすのはその. 測定方法ではなかろうか。感情認知や向社会的行動は、内 発的動機づけに基づいた自発的なものであるために、その. 認知高得点群は向社会的行動得点においても最も高い得点. を得ていた結果となった。この結果から、感情認知能力を ある程度有する子ども達は、他者の視点に立って行動をす. 測定方法は自己報告形式に頼らざるをえない。今後、感情. ることができるために、向社会的行動得点が高いことが示. よう。又、共感性のもう一つの重要な要因である幼児期の 情動面についてであるが、情動得点が低かったという結果. 認知と向社会的行動の関係についてさらなる検討が望まれ. 唆される。共感性やその共感性の重要な側面である感情認 知については、向社会的行動と関連があることが指摘され. は、幼児の感情発達、即ち、話を聞いて、それに対してど. ている(浜崎,1991;首藤,1994)。そこで、感情認知と向. う感じたか、ことばでそれを表現するという過程がまだ十. 社会的行動因子との相関を見ると感情抑制因子を除くすべ. 情認知得点が高い者は向社会的行動得点も高いことが明ら. 分に発達していないということなのか、得点化に問題があっ たのかさらに検討する必要があろう。FASTEなどの絵画物 語法では情動面を十分に引き出すことはできない。幼児期. かである。このことは、共感性や他者の感情認知など他者. の子ども達の情動面を十分に誘発させることが可能な測定. の理解がその行動発生の重要な内発的動機づけによると言. 材料についての検討が必要であろう。. ての因子と有意な関係が認められた(Table12)。即ち、感. えよう。感情認知と感情抑制因子の間に有意差は認められ なかったが、感情抑制因子は「他の子ども達とトラブルを 起こしたとき、自分の気持ちをコントロールできる」、「怒 ることを抑えることができる」、「大人との困った状況で気. 本研究では、向社会的行動の測定結果を因子分析するこ. とによって、社交性因子、支援。援助因子、感情抑制因子、 課題達成因子の4つの因子を抽出した。感情認知は感情抑 制因子を除いて、3つの因子と正の相関が認められ、感情 認知と向社会的行動とは関係があることが明らかになった。. 持ちをコントロールできる」の4つの項目から構成されて. いる。これらの4つの項目は、他者のために何かをすると いうよりは、他者の感情状態を理解して自分の感情を抑制 するという意味を持った項目である。このことから、幼児 期では、他者の視点に立ち、その状況で自己コントロール をすることは難しい段階と言えよう。どの年齢で他者の感 情を理解し、しかも自分の感情を抑制することができるよ. 時期である。保育現場においてはこれらの能力を育成する ためのカリキュラムが実践され、より望ましいカリキュラ. うになるかは次の研究課題であろう。. ムの開発が望まれる。と同時に、幼児の感情認知、情動、. 感情抑制因子は他者と良い関係を結ぶには必要な因子であ. る。関係性の立場から感情認知と感情抑制との関係をさら に検討していく事が必要であろう。 幼児期は感情認知や向社会的行動の発達において重要な. 共感性等を適切に測定する方法を開発することが今後の課. 題であろう。より良い方法を開発することによって、これ らの能力をより適切に捉えられることを可能にし、それに. 全体的考察. 本研究は、共感性の重要な要素である他者の感情予測、 感情認知について測定を行い、向社会的行動との関係につ いて検討した。共感性や向社会的行動などは、かなり早い. よって保育現場の実践をより支援していくことができるの. ではなかろうか。. 時期から芽生えるとともに発達していくと一般的に考えら 引用文献. れている。本研究においては、認知面や情動面、それらを 合わせた感情認知において、年長児は年中児より発達して. 有馬比呂志(1993)幼児の共感性に関する研究 一4つの感. いること、又、喜びや悲しみに対して怒りや恐れはやや遅. 情条件における共感反応一 広島文教女子大学紀. れて発達することが明らかとなった。しかし、向社会的行 動においては、年長児、年中児の間に発達差は認められな かった。被験者の年齢差は1歳である為、向社会的行動の 発達はそれほど顕著ではなかったと思われる。今回の評価 は担当の保母によってなされており、保育園での行動によっ て評価されている。もし、幼児の行動が家庭と保育園で異 なるならば、親からの評価をしてもらうことによってどの. 要,28, 浅川潔司・松岡沙織(1987)児童期の共感性に関する発達. 的研究 教育JL、理学研究,34,231−240 Eisenberg,N.(1979)DevelopmentofChildren’sMoral JudgmentDevelopmentalPsychology,15,128− 137. Eisenberg,N.&Fabes,R.A.(199㊥ProsocialDevelopment. 程度のギャップがあるか検討をする必要があろう。感情認. InEisengberg,N.(Ed.)HandbookofChild. 知と向社会的行動間の関係では、特に年長児では感情認知. PsychologyFifthEdition(Vol.3)JohnWiley&. 得点の高い幼児が向社会的行動においても保母から高い評. Sons(pp.70ト778). Eisenberg,N.&Lennon,R.(1980)Altruismandthe. 価を得ていたことが明らかとなった。しかし、年中児にお. AssessmentofEmpathyinthepreschoolyears. いては必ずしもそうではなかった。. ー104−.

(12) 幼児の他者感情理解と向社会的行動との関係について. ChildDevelopment,51,552−557. 竹村和久・高木修(1987)向社会的行動の動機と内的・外. Eisenberg,N.&Mussen,P.(1980)Therootsofprosocial behaviorinchildren(菊池章夫・二宮克美共訳) 1991思いやり行動の発達心理 金子書房. 的統制志向性 教育心理学研究,35,23−32. Toda,S.(1996)Childbehaviro,familyinteractions,&. parenting practices across different cultural. Eisenberg,N.&Strayer,).(1987)Empathy andits. context:Japanese parenting practices and. development,CambridgeUniversityPress(pp,. children’ssocialcompetencePresentedatthe. 3−16). ConferenceofBiennialISSBD. Freshback,N.D.(1976)EmpathyinchildrenPapergiven 戸田須恵子・畠山和也(2003)青年期における向社会的行. at the Western PsychologicalAssociation. 動と自己統制力との関係について 北海道教育大. Meeting,LosAngeles. 学釧路校研究紀要,34,11−19. Freshback,N.D.&Roe(1968)Empathyinsixand 渡辺弥生・瀧口ちひろ(1986)幼児の共感性と母親の共感 SeVen−yearS−01dsChildDevelopment,39,133−145. 性の関係 教育心理学研究,34,324−331. 浜崎隆司(1985)幼児の向社会的行動におよぼす共感性と 他者存在の効果JL、理学研究,56,103−106 浜崎隆司(1991)幼児・児童における向社会的行動の動機. づけの要因としての共感性 幼年教育研究年報, 13,23−35 畠山和也・戸田須恵子(1998)小・中学生の向社会的行動・ 共感性・自己統制力に関する研究 北海道教育大. 学釧路論集,30,213−222 Hoffman,M.L.(1977)Empathy,itsdevelopmentand prosocialemplicationInC.B.Keasey(Ed.). NebraskaSymposiumonmotivationUniversity NevraskaPress,169−218 井上健治・西洋朋子(1993)絵を用いた共感性測定の試み. 東京大学教育学部紀要,33 伊藤順子(1997)幼児の向社会的行動における他者の感情 解釈の役割 発達心理学研究,8,111−120 久保ゆかり(1992)他者理解と共感性 新児童心理学講座 8 金子書房(pp.173−216) Moore,B.,UndeIWOOdmB.,&Rosenham,D.L.(1973) AffectandAltruism.DevelopmentalPsycho− logy,8,99−104 森下正康(1985)幼児の攻撃行動・愛他行動のモデリングー. 教師モデルに関する受容的・否定的態度−JL、理 学研究,61,193−210. Roberts,W.&Strayer,J.(1996)Empathy,emOtional expressiveness,andprosocialbehavior.Child Development,67,449−470 櫻庭京子・今泉敏(2001)2∼4歳児における情動語の理解. と表情認知能力の発達的比較 発達心理学研究, 12,36−45 首藤敏元(1985)児童の共感と愛他行動一倍動的共感の測. 定に関する探索的研究一 教育心理学研究,33, 226−231 首藤敏元(1990)児童の愛他性における共感性と道徳的判. 断の役割 埼玉大学教育学部紀要,39,59−72 首藤敏元(1994)幼児・児童の愛他行動を規定する共感と 感情予測の役割 風間書房. −105−.

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参照

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