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部落解放運動とボランティア

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Academic year: 2021

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(1)部 落 解放 運 動 とボ ラ ンテ ィァ. 部 落 解 放 運 動 と ボ ラ ンティ ア. 北. 口. 末. 広. 本 稿 では 部 落 解 放 運 動 が いか に ﹁ボ ラ ン ティ ア﹂ に積 極 的 に関 わ って いる か と いう こと よ りも 、 部 落 解 放 運動 の新. 決 断 と 実 行 が 求 め ら れ る 変 革 の時 代. た な 飛 躍 のた め に ﹁ボ ラ ンティ ア﹂ が ど う 関 わ って い るか と いう こと を 中 心 に論 ず る こと に し た い。. ω. 変 革 の時 代 と いわ れ る今 日、 部 落 解 放 運 動 も 大 き な節 目 の時 を む か え て いる。 運動 環境 が急 速 に大 き く変 化 し 、 変. 化 に対 応 でき な け れ ば 部 落 解 放 運 動 の将 来 も 決 し て明 る いと は いえ な い。 こ のま ま 運動 の シ ス テ ムも変 革 せ ず 、 運 動. の パ ワーが 徐 々 に減 少 し て いく のを 待 つか 、 そ れ と も、 これ ま で の シ ス テ ムを 脱皮 し、 変 革 への道 を歩 み出 す のか 、. 重 要 な 時 期 を む か え て い る。 急 速 な 環 境 変 化 の中 を生 き 残 る ため に は新 し いビ ジ ョンと新 し い戦 略 が 必要 であ り 、 そ. のキ ー ワー ド の 一つが ﹁ボ ラ ンティ ア﹂ であ る。 そ も そも ﹁ボ ラ ンティ ア﹂ と は ﹁自 発 性 ﹂ な ど の意 味 を持 って い る が 、 部 落 解 放 運 動 も 部 落 大 衆 の持 つ自 発 性 を いか に引 き 出 す か が 問 わ れ て いる と いえ る。. 部 落 解 放 運 動 の新 たな 発 展 のカ ギ は 部 落 大 衆 が に ぎ って い る。 部 落 大 衆 が 運 動 に夢 を も ち、 夢 の実 現 にむ け て果 敢. ■. 一47一.

(2) ②. に挑 戦 でき るよ う な シ ス テ ムを 発 展的 に考 え ていか な け れ ば な ら な い。. な 目 標 にし て つく ら れ た シ ステ ム であ る 。. こ れ ま で の運動 の成 果. 運 動 体 は、 これ ま で の運動 を第 一期 差 別 糾 弾 闘 争 主 導 時 代、 第 二期 行 政 闘 争 主 導 時 代 と位 置 付 け、 一定 の歴 史 的 総 括 を行 ってき た 。. ㈲. な り変 化 し て い る。. し か し 、 今 日 の運 動 の当 面 の目 標 は、 環 境 改 善 と貧 困 の克 服 にお わ れ た 頃 と 大 き く 変 わ って い るし 、 時 代 環 境 も か. り の成 果 を 生 み出 し た反 面 、 若 干 の行 政 依 存 体 質 を生 み出 し た。. と いう ス ローガ ンに よ って部 落 大 衆 の多 く を結 集 さ せ る こと が でき るよ う な 状 況 であ った 。 そし て、 そ の目 標 はか な. よ って、 つま り、 ﹁と にか く雨 も り が しな い家 に住 みた い﹂ と いう言 葉 に代 表 さ れ る よ う に、 貧 困 の克 服 と 環 境 改 善. ま た、 時 代 環 境 も 現 在 の よう な 価 値 観 が多 様 化 し た 環境 で はな く 、 部 落 の中 も 単 一の価 値 観 (モ ノカ ル チ ャー) に. て つく ら れ た 。 そ のた め に行 政 責 任 を 認 あ さ せ、 行 財 政 を も って部 落 の環 境 改 善 と 貧 困 の是 正 を 勝 ち 取 る こと を 主 要. を 前 提 と し て、 それ ら を 克 服 し 、 経済 的 ・社 会 的 ・市 民 的 権 利 が 保 障 さ れ た 状 況 を 部 落 の中 に つく る こと を 理 想 と し. 現 在 の運 動 のし く み は 、 オ ー ル ロ マン ス闘 争 の教 訓 を ふ ま え て、 貧 困 も 差 別 と いう 認 識 のも と、 劣悪 な 部 落 の実 態. これ ま で の運 動 は 何 を 目 標 にし て作 ら れ たか. 第12号. そ の成 果 と 問 題点 を 再 確 認 す る と、 以下 の よう に要 約 す る こと が でき る。. 一48一. 人権 問題研究 資料.

(3) 部 落 解 放 運 動 と ボ ラ ンテ ィ ァ. 第 一に、 差 別 のと ら え方 ・解 放 理 論 を 第 一期 、 第 二期 の闘 いを 通 じ て、 大 き く 深 化 さ せ る こと が でき た こと であり、. そ の深化 を部 落 解 放 運 動 の武 器 と す る こと によ って部 落 内外 に大 き な 影 響 を 与 え る こと が でき た 点 であ る。 つま り、. 部 落 内 に お い ては、 部 落 の実 態 を 大 き く 改 善 さ せ 、 部 落外 に お い て は、 部 落 問 題 を 名 実 と も に国 民的 課題 へ推 し上 げ 、 差 別 撤 廃 ・人 権 思 想 を 普 及 さ せた こと であ る。. 第 二 に、 理 論 の深 化 と と も に、 部 落 差 別 の行 政 責 任 を 明確 にし 、 ﹁内 閣同 対 審 ﹂ 答 申 にも 明 記 さ れ た よ う に、 そ れ を 行 政 機 関 に認 知 さ せ た こと であ る。. 第 三 に、 第 一、 第 二 と密 接 に結 び つい て、 運 動 組織 の創 造 、 建 設 、 拡 大 、 大 衆 化 を 推 進 さ せ る こと が でき た 点 であ. る。 第 二期 の行 政 闘 争 主 導 時 代 に経 済 的 欲 求 の実 現 を は か る こと を 通 し て、 運 動 組 織 の急 速 な 拡 大 を 達 成 し 、 幅 広 く. 問題 点 1行 政 依 存 体 質. 共 闘 を 作 り上 げ 、 大 き な政 治 的 影 響 力 を 持 つま で にな り、 それ を 担 う 多 く のリ ーダ ーを 生 み 出 し た 。. ω. し か し 一方 で、 新 た な 課題 、 新 た な問 題 を 生 じ さ せ た 。部 落 解 放 同 盟 の中 央 理 論 委 員 会 第 三 期 運 動 論 部 会 も 指 摘 し. た よ う に、 ﹁﹃特 別措 置 法 ﹄ と いう有 利 な 条 件 は 一部 に ﹃甘 え﹄ や ﹃行 政 依 存 ﹄ の ぬ るま 湯 的 状 況 と 自 主 解 放 の精 神 を. 麻 痺 さ せ、 一種 の ﹃バブ ル運 動 ﹄ と も な りか ね な い危機 的 状 況 を 生 み出 し て い る﹂ と の組 織 主 体 の危 機的 認識 であ る。. これ ま で の運 動 の歴 史 を ふ り返 ってみ ると 、 第 一期 の激 し い差 別 糾 弾 闘 争 が 露 骨 に差 別 す る 人 を 抑 制 す る こと に成. 功 し た。 し か し、 そ の こと に よ って 一面 で部 落 内 外 に ﹁そ っと し てお け ば 差 別 は な く な る ﹂ と いう ﹁寝 た 子 を 起 こす. な ﹂ と い う考 え方 が広 ま った。 第 二期 の運 動 は これ ら の考 え方 に大 き く 足 を 引 っぱ ら れ 、 そ れ を 克 服 す る こと が 重 要. .・.

(4) によ って新 た に行 政依 存体 質 を部 分 的 に生 み出 し た 。 第 三 期 は 行 政依 存 体 質 の克 服 な く し てあ り 得 な い。 自 立 思 想 と. な 課 題 であ った 。 そし て、 そ の課 題 を行 政 闘 争 の成 果 を も って、 一定 程度 克 服す る こと が でき た。 し か し、 そ の成 果. と って ﹁ボ ラ ン ティ ア﹂ は社 会 に貢 献 す ると いう 側 面 だ け でな く、 運 動 自 ら の再 生 と 密 接 に関 わ って い る。 つま り、. 部 落 解 放 運 動 の パ ワー の源 泉 の移 行. これ は部 落 解 放 運動 の パ ワー の源 泉 が移 行 し てき た と いう こと であ る。 私 達 は こ れ ま で の運 動 を 総 括 し て、 第 一期. ン化 し てし ま う こと によ って、 ﹁差 別 事 件 待 ち ﹂ と い った状 況 にな り 、 運 動 の活 気 が 急 速 に衰 え てし ま った 。 つま り、. 原 動 力 も減 少 し 、 第 一期 の運 動 の パ ワーを 大 き く 後 退 す る こと に つな が ってし ま った。 ま た、 運 動 の在 り方 を パタ ー. 動 の急 速 な発 展 と成 功 によ って、 露 骨 に差 別 す る人 を 減 少 さ せ る こと が でき た が、 そ の こ と に よ って差 別 への怒 り の. 時 代 と し、 第 三期 への移 行 の必 要 性 を 明 確 にし てき た 。 これ ま で の運動 を原 動 力 と い う視 点 か ら み る と、 第 一期 の運. を 差 別 への怒 り を 原動 力 と し た差 別 糾 弾 闘 争 主 導 時 代 と 位 置 づ け 、第 二期 を経 済 的 欲 求 を 原 動 力 に し た行 政闘 争 主 導. ㈲. ﹁ボ ラ ン ティ ア﹂ に結 び つい て い る の であ る 。. 社 会 に貢 献 す る よ う な運 動 に し な け れば 運 動 の新 た な 発 展 が勝 ち 取 れ な い の であ り 、 運 動 の新 た な 発 展 は 必 然 的 に. て こな い。 ま た、 依 存 体 質 の中 から 、 自 発 性 や ﹁ボ ラ ン ティ ア﹂ 精 神 は育 たな い。 こ の よう に今 日 の部 落 解 放 運 動 に. 面 があ る こと を忘 れ ては な ら な い。 依 存 体 質 か ら は 自 主 解放 の精 神 は で てこな いし 、 自 己 実 現 を あ ざ す 喜 び は生 ま れ. 自 主 解 放 の精 神 が今 一度 強 化 さ れ ねば な ら な い。 い つの時 代 にあ っても成 果 があ る局 面 、 あ る時 点 で欠 陥 に転 換 す る. 第12号. 運動 自 体 の成 功 によ って、 運 動 の原動 力 を堀 り崩 し て い った の であ り、 そ れ は部 落 解 放 運 動 の性 格 上 、 常 に 存 在 す る. 一50一. 人権問題研究資料.

(5) 部 落 解 放 運 動 と ボ ラ ンテ ィァ. 問 題 点 な の であ る。 第 二 期 にお い ても 同様 で、 急 速 な 発 展 と 成 功 が 住 民 の住 環境 等 一定 の経 済 的 欲 求 を実 現 し た こと. によ って、 そ の原 動 力 を 弱 体 化 さ せ る こと に な った の であ る。 第 二期 の物 理的 ・経済 的 な要 求 に 引 っぱ ら れ て部 落 解. 放 運 動 に参 加 し て いた 層 の運 動 離 れ が 徐 々 に進 行 し て い る の であ る。 こ のよ う に パ ワー の源泉 が移 行 し 、 次 の パ ワ ー の源 泉 を 何 に求 め る のか が 問 わ れ て いる。. 今 日 、 推 し 進 め ら れ て い る同 和 行 政 改革 は、 一面 で は これ ま で の パ ワ ー の源 泉 を 一層 早 い スピ ード で解 体 し て いく. こと にな る。 も ち ろん これ は 、 新 し い パ ワ ー の源泉 への移 行 のた め であ り 、 新 た な 創 造 のた あ であ る 。. 換 言 す ると 、 差 別 糾 弾 闘 争 を 差 別 行 政 糾 弾 闘 争 に発 展 さ せ る こと によ って経 済 的 成 果 を 達 成 し 、 そ の経 済 的 成 果 に. よ って部 落 大 衆 を 引 き 付 け てき た 。 し か し 、 そ の こと が行 政 依 存 体 質 を 強 め 、 自 力 自 闘 精 神 の衰 退 を 引 き 起 こし 、 運. 動 にど う いう 貢 献 が でき るか と いう こと よ り も 、 運動 に何 を し ても ら うか と い った 考 え 方 が 支 配 的 に な り 、 ﹁依 存 す. る個 人 と 衰 退 す る運 動 ﹂ と い った 現 象 を 一部 に生 み出 し、 運動 の パ ワー が徐 々 に そが れ てき た 。 これ ら を 克 服 す る上. 成 功 体 験 の マイ ナ ス面. で ボ ラ ン テ ア の発 想 が必 要 な の であ る。. ㈲. 組 織 や人 間 は成 功 体 験 には 溺 れ易 いが、 失 敗 に は学 び 難 いと いわ れ る。. 部 落 解 放 運 動 は これ ま で基 本 的 には成 功 ・発 展 し てき た 。 し か し成 功 し た か ら こ そ、 成 功 がも た らす 問 題 や状 況変. 化 にう ま く 対 応 でき て いな いと いえ る。 成 功 は そ の体 制 や シ ス テ ム によ る と ころ が大 であ り、 あ る 面 では す ば ら し い. 能 力 を 発 揮 す るも の であ るが 、 そ の犠 牲 と な っていく つか の能 力 が 弱 ま り 失 わ れ る。 第 三期 は そ の弱 ま った自 立 、 自. 一5i.

(6) 主 解 放 や相 互 扶 助 の精 神 を 強 化 す る こと でも あ る 。. ま た、 一つの状 況 が でき ると 、 そ の シ ステ ム に適 し た考 え方 が 生 み出 さ れ 、 そ の考 え 方 、 思想 によ って、 そ の シ ス. テ ムが 維 持 強 化 され る面 を 持 つこと によ って、 改革 す る必 要 が生 じ ても 、 多 く の困 難 を と も な う の であ る 。 つま り 、. 行 政 責 任 を 認 あ さ せ た こと は大 き な 成 果 であ る が、 そ の考 え方 が 過 剰 にな る こと によ って、 何 も か も 行 政 責 任 にし て. し ま い、 本 来 行 政 責 任 でな い部 分 にま で こ の考 え方 が適 用 され た の であ る。 そ の こと によ って、 一部 に依 存 体 質 を 生. み出 し 、 それ を 克 服 し よ うと し ても 過 剰 にな った イ デ オ ロギ ー によ って困 難 さ を と も な った と いえ る 。. こ の過 剰 にな った考 え方 を 克 服 す るた あ に今 部 落 解放 運動 は大 き く 変 革 を め ざ し て いる の であ る 。 元 々、 運 動 の根 本. 的 思 想 であ った自 主 解 放 の精 神 や部 落 の相 互 扶 助 の精 神 の活 性 化 を あ ざ し て い る の であ る 。 そ れ は ま さ に他 者 への貢. 献 であ り、 ﹁ボ ラ ン ティ ア﹂ と 同 根 のも の であ る。 ﹁阪神 ・淡 路 大 震 災 ﹂ の被 災 者 への積 極 的 な 部 落 解 放 運 動 の救 援 活. 同 和 行 政 の改 革 を め ざ し て. 動 は そ の こと の証 であ る。. ω. ﹁部 落 差 別 を な く し て いく社 会 シ ス テム﹂ の重 要 な 一つに同 和行 政 が あ る。. 現在 運動 体 は、 同 和 行 政 の改 革 を めざ し て多 く の取 り 組 み を 展 開 し てい る が、 そ の中 で、 重 要 な 視 点 の 一つに ﹁差. 別撤 廃 への地 区 住 民 の自 覚 を 高 め、 自立 を促 進 す る視 点 ﹂ が あ る 。 被 差 別 の立 場 に あ る住 民 の自 覚 と自 立 を な く し て. 部 落 差 別 の撤 廃 は実 現 し な い。 同 和 行 政 は そ の条 件 整 備 を 担 い、 これ に寄 与 す るも の でな けれ ば な ら な い。 し か し、. 行 政 サイ ドが ﹁自 立 促 進 ﹂ と いう 場 合、 ﹁自 立 でき て いな い人 ﹂ を 自 立 さ せ るた あ に行 政 が 援 助 ・補 完 す る と い った. 一52一. 第12号 人権問題研究 資料.

(7) 部 落 解 放 運 動 と ボ ラ ンテ ィァ. 発 想 が あ る。 こ の発 想 か ら 足 ら ず を補 う行 政 にな り 、 一般 と の格 差 是 正 だ けが 目 標 にな ってし ま う 。 これ は 一歩 間 違. え ば 、 答 申 にお い ても 否 定 さ れ てい る恩 恵 的 ・融 和 的 行 政 にな ってし ま う。 これ では同 和 行 政 の本 来 の目 標 を 達 成 す. る こと は でき な い。 今 一度 、 ﹁自 立 ﹂ を 権 利 と し て捉 えな お す 必 要 が あ る 。 ﹁自 立 し て生 活 でき る﹂ 権 利 と い う発 想 が. 必 要 であ る 。 つま り 、 憲 法 第 = 二条 の個 人 の尊 重 や幸 福 追 求 権 を基 礎 と し た自 己決 定 権 を 重 視 し た ﹁自 立 し て生 活 で. き る ﹂ 権 利 の実 現 を め ざ し て、 そ の条 件整 備 を 推 進 す る こと が 大切 な の であ る。 そ れ が今 日 の同 和 行 政 改 革 に求 め ら. れ て いる こと であ る 。 こ の場 合 にも ﹁ボ ラ ンテ ィ ア﹂ の発 想 が 必 要 であ る。 ﹁ボ ラ ンティ ア﹂ に は 自 己 責 任 の 原 則 が. これ か ら の運 動 の目 標 は. あ る 。 こ の原 則 と 行 政 の責 務 と し て の条 件 整 備 を 統 一的 にと ら え る必要 が あ る。. ⑧. ま た 、 ﹁差 別 と は何 か﹂ と い う面 と 重 ね合 わ せ て見 る と、 まず 差 別 を 要 約 的 に 一断 面 を いえ ば 、 意 識 的 側 面 か ら は. 優 越 感 と 蔑 視 であ り 、 政 治 的 側 面 か ら は 特 権 と 無権 利 、 あ る い は権 利 の制 限 であ り 、 経済 的 側 面 か ら は格 差 であ る。. これ ら を 運 動 史 と 重 ね ると 、 第 一期 の差 別 糾弾 闘 争 主 導 時 代 は、 政 治 的 側 面 の差 別 撤 廃 を 中 心的 な 課 題 と し て取 り. 組 ん だ 時 期 であ り 、 第 二期 の行 政 闘 争 主 導 時 代 は経 済 的 側 面 の格 差 撤 廃 を 中 心 的 な 課 題 と し て取 り組 んだ 時期 であ る。. そう し た 視 点 か ら 見 るな ら ば 、 第 三 期 は 政 治的 ・経 済 的 な 側 面 を さ ら に追 求 し つ つ、 意 識 的 ・文 化的 な 面 を 重 視 し た. 自 己 実 現 型 運 動 が 求 め ら れ て い ると いえ る 。 ま た、 それ らが 達 成 され な い限 り 、 部 落 の完 全 解 放 は あ り え な い。 し か し 、 部 落 の内 外 にあ って そ の面 はも っと も 不 充 分 だ と い わざ るを 得 な い。. た と え ば 第 二期 の運 動 の制 度 要 求 や 経 済 的 要求 は行 政 サ イ ド の政 策 決 定 さ え 勝 ち 取 れ ば 、 それ が 実 現 でき た 。 し か. 一53一.

(8) し 、 第 三 期 の重 要 な 課 題 であ る文 化 的 要 求 は自 己努 力 と 密 接 に結 び つい て いる。 識 字 運 動 に み ら れ る よ う に識 字 学 級. を 開 設 す る条 件 整 備 は 行 政 の責 任 で行 わ れ る が、 そ れ だ け で文 化 的 要 求 が実 現 さ れ た わ け ではな い。 非 識 字 者 自 身 が. 文 字 を 学 ぶ 努 力 を し な い限 り 実 現 し な い。 つま り自 己実 現 の欲 求 と 結 び つい て こそ課 題 を 達 成 でき る の であ る。 こ の. よ う に第 三 期 の部 落 解 放 運 動 は ﹁自 己実 現﹂ や ﹁ボ ラ ンテ ィ ア﹂ と 切 り 離 し て考 え る こと が でき な い時 代 だ と いう こ. 差 別 の源 泉 の移 行. と でも あ る。. ⑨. ア ル ビ ン ・ト フラ ーが 権 力 の源 泉 を 説 明 す る中 で、 暴力 か ら 財 力 へ移 行 し、 ま す ま す ﹁知 力 ﹂ のし あ る位 置 が 大 き. く な ってき た と い って い る。 権 力 の源 泉 は 差 別 の源泉 でも あ る。 国 際 政 治 にお い ても、 軍 事 覇 権 か ら経 済 覇 権 へ、 そ. し て技 術 覇 権 の時 代 と いわ れ て い る。 ﹁知 ﹂ の面 が 一層 重 要性 を持 ってき たと いう こと であ る。 つま り 、 意 識 、 文 化 、 ﹁知 ﹂ の面 が差 別撤 廃 にと って、 も っとも 重 要 な 面 にな ってき た の であ る。. し か し 、 こ の面 で部 落 解 放 運 動 は着 実 な 前 進 を勝 ち取 って いな い。 市 民 の差 別意 識 の撤 廃 は市 民意 識 調 査 を 見 る限. り 、 遅 々と し て進 ん で いな いし 、 部 落 内 の低 学力 を は じ めと す る問 題 も 大 き く立 ち 遅 れ て いる。 そ の こと が 近 年 ま す. ま す 重 視 され てき た ﹁知 ﹂ の面 で の格 差 と な り、 差 別 の源 泉 を 再 生 産 さ せ て いる と いえ る。 そ し て、 そ の再 生 産 さ れ. て い る源 泉 が 政 治 的 ・経 済 的 な 格 差 と 相 互 的 な 関 係 に な って い る。 ま た 、 近 年 それ を 助 長 す る 傾 向 が 日本 社 会 にあ ら わ れ てき て い る。. 一54一. 第12号 人権問題研究資料.

(9) 部 落 解 放 運 動 と ボ ラ ンテ ィ ア. ⑩. 部 落 の利 益 を 擁 護 す る組 織 か ら部 落 解放 を めざ す 組 織 へ. これ ま で の運 動 は部 落 差 別 撤 廃 のた め に必 要 な 課 題 と 部 落 出 身者 の欲 求 を う ま く結 合 さ せ る こと に よ って、 運 動 の. 原 動 力 と し てき た 。 こ の教 訓 を ふ ま え 、部 落 差 別 撤 廃 のた め に必 要 な 今 日的 課題 であ る社 会 シ ス テム全 般 の改 革 や 部. 落 出 身 者 の ﹁自 立 促 進 ﹂ な ど の課 題 を 多 様 化 し た部 落 の欲 求 と 結 合 さ せ る 必 要 が あ る。 特 に単 一目 標 大 量 組 織 化 か ら. 多 数 目 標 (組 織 ) 少 人 数 組 織 化 と いう 発 想 で、個 々 の部 落 出 身 者 の多 様 な 自 己実 現欲 求 を 運動 の今 日的 課 題 と結 び つ け て いか な け れ ば な ら な い。. ま た 、 運 動 組 織 は本 来 、 部 落 解 放 を め ざ す 組織 であ り な が ら、 行 政 闘 争 の成 功 と それ によ る 同 和事 業 の拡 大 な ど が. と も な って、 一面 、 部 落 大 衆 だ け の利 益 を 擁 護 す る共 同体 組 織 にな ってし ま った 。 再度 、 本 来 の機 能 的 組 織 の面 を 強 化 し な け れ ば 、 衰 退 し てし ま う こと を 忘 れ ては な ら な い。. 部 落 解 放 運 動 に何 か を し ても ら う こと を 期 待 し て いる組 織 構 成 員 で はな く 、 社 会 や 部 落 解放 運 動 に何 が でき るか を. 考 え る組 織 構 成 員 への転 換 を せま ら れ て い る。 そ う し た中 で、 組 織 構 成 員 の力 を 充 分 に発 揮 でき る よ う な 多 様 な ボ ラ ンテ ィ ア活 動 が 必 要 な の であ る。. 一55一.

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