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<論文>中国の流通近代化に関する一考察

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近畿大学短大論集 第49巻第 1号(2016年12月) P.43 肪

中国の流通近代化に関する一考察

抄録 本稿では、中国の流通近代化の特徴にっいて考察する。まず、日本の流通近代化と発展途上国の流 通近代化に関する先行研究を取り上げ、中国の流通近代化にっいての基本的な認識を示してぃる。次 に、中国における流通の発展の近代史を確認し、外資政策と商業文化の分析を通じて、中国の流通近 代化の特質を提示している。最後に、中国の流通分野の現状を視野に入れ、今後の研究課題を明らか にしている キーワード 中国、流通近代化、国家主導、商業文化 柳 偉達 Ahslract

This paper attempts to consider the characteristics of distribution moderniZ且tion in ch血a

The first partshows the basic understanding of china's distribution modernization by 血troducing

Preresearch studies on Japanese distribution modernization and the distribution modernization

Of devel0血ng countries. The second part ofthis paper examines the modern history of distribution in china, through the analysis ofthe policy towards foreign investment 日nd commercialculture. And then it shows thecharacteristics of distribution modernization in china. F血a11y, this paper Clarifies the need for further study on the basis of analyzin目 the current situation of the distri、

bution industry in china

A study on the Distribution Modernization in china

key words

Ch血a, distribution modernization, state・dom血ated, commercialculture

1.はじめに 2.流通近代化に関する先行研究 2.1.日本の流通近代化論 2.2.発展途上国と流通近代化 3.中国と流通近代化 3.1.歴史からみる中国の流通 Liu, weida 目 次 近畿大学短期大学部講師 2016年9月30日受理 3.2.中国の流通近代化の特質 4.おわりに

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1 はじめに 中国では、近年、貿易と投資ではなく国内消費 の成長に基づく持続的な成長ヘの転換を図り、「新 常態(ニューノーマル)」1 に積極的に適応しよう としている。「新常態」には、中国経済の減速を 懸念する声が上がっている一方、一貫して漸進的 な改革を推進してきた中国にとって成長に伴う各 種の悩みを緩和し、経済構造のレベルアップに努 める時期となるという見方力珂金い。こうして、近 代化の道を歩みつつ、生産と消費を結びつける架 橋として注目されてきた中国の流通は、「新常態 に呼応すべくさらなる変貌を遂げていくだろう。 今後のさらなる変貌を論じることに先立って、 中国の流通近代化とはいったいどのようなものな のかを究明したい。本稿では、上記のような問題 意識に基づき、以下の点について検討していきた い。第一に、既存研究を参考にしながら流通近代 化の意味を吟味してみたい。第二に、中国におけ る流通発展の歴史を視野に入れ、中国の流通近代 化の特徴を考察してみたい。第三に、「新常態 に適応する中国の流通のあり方について触れてみ ナこい。最後に、今後の研究課題を提示する。 にもまた大量配給体制が必然的に進行する事実を さす」③と示している。 彼は著書を『流通革命』と題するよりも「経路 革命」と題したく、経路革命としての流通革命を 論じようとし、「システムの『巨大化』とが流通 革命、経路革命を特徴づける。より高い能率にお いてその機能を果たすナこめに、各種のチャネル・ システムは雜散・集合し、適性あって残るものは、 それ自身の論理によって加速的に巨大化する」と 述ベ、流通のシステムが旧システムにとって代わ ることを訴えている。 田島義博氏は概ね19肪年頃から、従来通りの流 通システムに対し、スーパーマーケットを体系的 に導入することなどで、近代的小売経営に先鞭を つけ、コンサルタントによってアメリカ式のりテ イルマネジメントを普及させ、さらにメーカーの マーケティングの働きもあって、複数の路線をた どりながら流通革命を進行したと述ベ、伝統的 な権威と慣行を破壊することにより、真に消費者 指向的な新しい流通の仕組みを実現するであって、 単なる業態変化や勢力交代ではない」と、流通革 命の本質を指摘し、「新しい流通システムがさか んに登場し、既存のシステムと競争を繰り広げ、 消費者は自分の選択基準にあったものを自由に選 べるという多兀的な状態が理想である」と、論じ ている⑤。 関根孝氏によれば、日本では、当初は流通革命 という用語が用いられており、それに代わって流 通近代化がよく使われるようになったのは1970年 に入ってからであるが、両者はほぽ同義的に用い られていた⑥。そのほか、流通革新という用語も 使われていた。三上富三郎氏は流通革新という用 語を用いて、流通革新には広狭2つの解釈がある と指摘している。彼によれば、広義の流通革新と は流通機構ないし流通システムの変貌全体を捉え て論じる場合であり、大量消費、大量販売、信用 販売、系列化、総合化、多角化、短縮化、組織化、 チェーン化、大型店化、外国企業の進出といった 2.流通近代化に関する先行研究 2.1.日本の流通近代化論 戦後日本の流通の発展を語ろうとすれば、1960 年代の流通革命の役割を切り雜して語ることはで きない。そもそも流通革命という用語は、アメリ 力のウォルター・ホービングの著書"Distribution Revolution"を田島義博氏が1962年に翻訳したこ とに始まった2。 では、当時の論者は当時の流通革命をいったい どう捉えていたのであろう力、 林周二氏は1960年代の日本の流通事情を視野に、 その本質をチャネルの生産性を高めることとし、 生産面における大量生産革命(オートメーシ" ンの大規模な導入、製品の規格化を含む)と、消 費面における消費革命に対応して、商品の流通面

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ように、流通問題のほとんどを網羅しているが、 流通革新の本質をかえって見失ってしまう恐れが あって危険であると評している,。彼は流通革新 の本質について、①マス・チャネルを通じる大量 販売、②流通における非合理性の排除、合理性の 追求とそれによるマーケティング生産性の向上、 @その結果として起る新しい理念の廉売方式、④ コンシューマー・プロモーションと消費者主導の 購買を挙げながら、流通革新とは、「一方では技 術革新を基盤として展開される大量生産、他方で はコンシューマー・プロモーションによる消費者 主導的購買の拡大に対応する高速度回転のマス. チャネルを通じる大量販売で、しかもそれが主と して新しい理念に立脚する廉売方式によって行な われ、その結果、マーケティング生産性が大幅に 向上する流通の革新過程だ」と、論じている⑧。 上述の諸氏の流通革命論ないし流通近代化論を 整理すれば、大企業による流通経路の短縮化.流 通支配が当時の流通近代化の重要な特質の1つと なるが、これと対照的に流通末端段階での大規模 な大量販売のためのスーパーマーケットという新 機構の成立と発展が、もう1つの特質である。日 本における1960年代の流通近代化の実践は高度経 済成長期において、生産側の大量生産と大量消費 社会の到来に直面しつつ、需給適合機能の充実や 流通活動の生産性の向上を図ることなどが課題と なり、課題解決のための新しい流通システムが戦 前から機能してきた旧流通システムと競い合いな がら流通システム全体の合理性、効率性を向上さ せようとした変化だと認識することができる。 れはその経済・社会・文化・政治機構において多 様異質である」⑨と述ベ、比較研究が重要な意味を 持っが、比較研究それ自体が深刻な方法論的な困 難さを持っていることを指摘している。彼によれ ば、発展途上国の流通機構の展開と構造にっいて 何らかの一般的な提言ないし定式を形成すること は著しく困難であり、もし何らかの一般的な定式 化を追究しようとすれば、われわれ自体が設定し た課題に答えることはできないと、自らの考えを 示している⑩。比較研究を可能にしようとする方 法として、彼は方法論的な困難性の確認と並んで 探求しなければならないことを強調し、発展途上 国における国内市場形成の展開とそれに対応する 流通機構の展開に関する基本的な認識フレームを 構築する必要性を指摘している⑪。 フレームを構築しようとすれば、問題点として は、①比較次元の設定、②比較要素の明確化、@ 比較アプローチの工夫が挙げられている。まず、 比較次元の設定に関しては、全面比較、部分的な 一般化比較と特定個別的な差異の確認といった選 択肢がある。同一次元において事象を整理し比較 してこそはじめて意味のある情報を抽出し得る。 異次元間の比較は比較にはならない。この場合次 元をどぅ設定するかの枠組が最も問題だとみられ ている⑫。 次は、比較要素を確定することである。流通機 構をある種の社会制度の部分システムとして、そ のシステムの内部構造と行動、そのシステムの構 造と行動を規定する外部諸要因の検出と影響方式 の確認といった捉え方を採用することが有効だと みられている。「流通機構の構成要素としての諸 種の流通担当機関を軸にみるのか。また流通機構 を規定する要因としてどのようなものを想定する の力、あるいはまた、機関ごと、あるいはその連 環の定型化様式である流通機構そのものではなく、 そこに流れる諸要素の流れ方を捉えようとするな らば、その諸要素としてどのようなものを取り上 げるのかなどの画定が必要である」と、荒川祐吉 柳:中国の流通近代化に関する一考察 2.2.発展途上国と流通近代化 日本の流通は1960年代の流通近代化を通じて、 急激なイノベーションを成し遂けヲこ。こうした日 本の取組みは発展途上国において実現可能であろ うか。 荒川祐吉氏は発展途上国における流通機構の展 開について、「発展途上国と一口にいっても、そ 45

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氏力井旨摘している⑬。 さらに、荒川氏は比較アプローチの工夫につい て、「『実体』でみるか『フロー』でみるかといっ たアプローチの選択を明確化するのみでなく、本 来この両アプローチは結局は相互に補完しあうも のであり、その補完統合は歴史的発展の中で行な われるものであることから、特に流通機構の展開 の国際的把握という課題との関連において、いわ ゆる『発展段階』論的なアプローチもこれに組み 合わせることを考えるといった、研究方法ないし 接近法上の工夫を試みることである」と、見解を 示している⑭。 荒川氏は流通機構の比較研究について、発展段 階を異にする2つ以上の国ないし社会の相互行為 関連から形成される複雑な流通機構展開ヘのイン パクトを把握する概念フレームを設定する試みを しながら、以下のような仮説的な命題を提示して いる⑮ ①国内流通機構の展開と当該国ないし経済社 会における国内市場形成との間には、かなりの程 度の明確な対応関係があり、対応の内容はそれぞ れの国、社会に固有のものであるにしても、それ にもかなりの共通したパターンを見出すことがで きそうである。 ②流通機構の展開は、まず国内市場形成とそ の展開を前提として、流通を媒介する専門担当者 が登場し、それの連環が形成されることによって 高度化していく。そしてこのような連環がまた国 内市場の拡大を促進し、それが一定の段階に到達 すると流通専門媒介者の内部から工業化に転化す るものが発生し、漸次工業化が展開する。工業化 の展開は今度また新しい商品の投入、商品量質の 拡大等を通して、新しい流通機構を生み出してい くといった関係が最も典型的なものと考えられる。 ③しかし、現実の発展途上国では、ののよう な自生的展開と同時に、他の発展段階のより高度 な国からの国際マーケティング活動や一連の市場 開発政策に付随する資本投下や商品投入に対応す る独自の近代的な流通機構が強制的に持ち込まれ、 国内流通構造における二重性が出現する恐れが常 に存在する。これを二重構造のまま放置するので なく、両者の連関を適切に設定する方策を求める とが、両当事国にとって共通の課題となるであ L一 ろう。 彼は④において、発展途上国は二重構造の統合 を自国の工業化を通じて求めるだろうと述ベ、⑤ において、それまで待つことができないとすれば、 資源の開発・利用・配分、さらには外国資本や商 品の投入に対して、強い政治的規制を加える途を とるほかはないであろうと分析し、発展途上国に おける流通機構展開の的確な認識のためには、そ こにおけるこのような政治的規制の、強いインパ クトを常に検討しておかねばならないと強調して いる姻。 一方、 E .ケイナックは流通システムの環境を、 流通業者が売買を行なう市場の社会的、法的、経 済的、文化的および物的特性を構成している1つ の多次元的なコンセプトとし、流通研究ヘ比較ア プローチを適用するには、多様な国家における流 通制度と慣行の差異がその類似と同様に重要であ るという認識を必要としていることを示し、この ような対比は比較分析には欠くことのできない要 素だと指摘している⑰。彼は「発展途上国の比較 流通における決定的な要素は、先進国で得られ九 経験が流通発展のある種の修正理論を通じて、解 釈され、関係付けられ、そして一般化される方法 である」姻と、発展途上国を主体とする流通機構の 比較研究のあり方を提示している。 既存研究を通してみれば、発展途上国の流通近 代化に関する研究にはその国の経済・社会・文化・ 政治などの環境要因を視野に入れながら、歴史的 な視点で流通の発展状況に焦点を当て、国内の流 通近代化を目指す取組みと他国からの影響をとも に重んじるアプローチが必要であり、発展段階の 異なる他国との比較研究は適切な方法としてよく 用いられる。今日の経済成長以前の中国は発展途

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上国としてとらえられるが、中華人民共和国成立 以前に資本主義経済の発展を経験し、その後、社

会主義計画経済の時期を経て、社会主義市場経済

という制度を導入したため、同国の流通近代化ヘ

のアプローチには、その他の発展途上国に比ベ、

様々な環境要因がより複雑に絡み合う。 3.中国と流通近代化 3.1.歴史からみる中国の流通

流通の歴史、あるいは近代商業の歴史には百貨

店の誕生を最初の流通革新と位置づけることがで きるといわれている⑲。日本では、百貨店は1905

年に、「デパートメントストア宣言」を出し、呉

服店から百貨店ヘと移行した三越が始まりであっ た。一方、中国の最初の百貨店は「秋林洋行(Π H. qypnH nHO)」であり、 1900年に東北部のハ ルビンでロシア資本によって創業されたm。両国

の百貨店はほぽ同時期に現れたものの、全く異な

る状況下での成立であった。 日本の百貨店は生産部門における集中化が進み

資本主義が発展する時期に、成立し成長した。戦

後の日本では、チェーンシステムやセルフサービ ス方式に代表される欧米先進国の流通システムを

取り入れ「流通近代化」を進展させたのであった。

一方、中国では19世紀末以降、特に1920年代になっ

て、中国民族資本が極東最大の都市として発展し

た上海に「先施」、「永安」、「新々」と「大新」と

呼ばれた百貨店を開業させたものの、戦乱に見舞

われ資本主義発展の軌道に乗ることができず、流

通発展の道程は粁余曲折であった。 つづいて、商業資本の統計に基づき中国の流通 発展の状況をみてみよう(表D。 柳:中国の流通近代化に関する一考察

1950年ごろまでの中国の商業資本は主として外

資系商業資本と民族系商業資本によって構成され

ていたが、そのなかで、外資系商業資本の多くは 開港都市において「洋行(商社)」といった形態 で現れ、卸売業を中心に事業活動を行った。一方、

民族系商業資本はほとんど農村部の地主資本と外

資系「洋行」の代理人としての買弁の資本によっ

て構成され、中国全士において棉布、金属一般、

百貨、西洋医学で用いる薬剤、食糧などを含む200

余の業種の商業活動に従事し、卸売業と小売業を

両方行った。ここでは、百貨といった業種は近代

的な百貨店を含む、日用雑貨全体の小売と卸売を

営む業種を指す。また、1930年代中頃、国民党政

府は主として輸出入商品の集中取引を対象に商業

統制を行い、貿易分野において官僚資本を商業資

本の領域に流入させた伽。当時の民族系商業資本

の商業活動を概観してみれば、近代的百貨店がこ

く一部であり、商業全体には中国の伝統的な商慣

習が色濃く残り、経営の零細性や発展の地域間不

均衡力湿頁著であった。 いずれにしても中国の商業資本は清朝末期から 関内 東北 商業資本総額 74,884 234,168 317,000 500,295 60,932 382,348 外資系商業資本 9,284 67,9能 87,000 Ⅱ9,295 18,932 15,348 官僚系商業資本 3,000 3,000 民族系商業資本 65,600 166,200 230,000 378,000 42,000 364,000

①ここでは、統計年度の違いで19N年の外資系商業資本総額、1913年の民族系商業資本総額を取り上げてぃる。

② 1931年の満升1事変によって、中国の東北部が全国から分割され「満州国」となったため、ここでは関内(国民{政府の

支配地域)と東北に区分して統計データを示してぃる。 ③ 1947/1948年のデータは国民党政府の支配地域に限るものである

出所:許液新'呉承明編『中国資本主義発展史』(第三巻)、人民出版社、1993年、 731ページより作成。

表1 1894年

中国における商業資本の統計(1894 1948年)

1947/1948年3 1911/1914年1 単位:万兀 1936年2 1920年

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国共内戦期に至って大きな成長を遂げた。しかし、 国民党政権の台湾退却とともに、中国の商業資本 は当局の取り締まりにより存続の危機に瀕したの である。中国では、1949年に共産党政権が発足し た後、海外資本や官僚資本や民族資本などによる 私的所有とみられる商業は直ちに新政権に接収さ れるか、「公私合営」を経て国家所有になるかと、 再編を余儀なくされた。 前述の「秋林洋行」はロシア、イギリスと日本 の所有者の手を転々とした後、19胎年10月にソ連 より返還され、「国営秋林公司」に改組された。 「先施」は19詑年に国営上海時装公司」に変貌 し、「永安」は1956年に「国営上海第十百貨公司」 となり、「新々百貨公司」は1954年に「国営上海 第一食品商店」とされ、「大新」は19認年に「国 営上海市第一百貨商店」に改造されたの。1956年、 あらゆる産業分野を対象とする中国の「社会主義 改造」がほぽ完了し、資本の存在は中国において 搾取と略奪を生みだし、社会の不平等を作り出す 万悪の源として批判に晒された。その後、中国で は生産と消費が社会主義計画経済体制の枠内に組 み込まれ、商業資本不在の「社会主義流通システ ム」が1970年代末までに中国経済を支え続けたの である。 この社会主義流通システム」伽では、]二業原材 料.燃料・建築材料・機械・設備などの生産手段 の大多数が商品と呼ばれず、「物資」として国の 計画によって統一的に割り振られ、ユーザーに分 配され九。「物資」の分配を管理するのは政府の 商業部門ではなく、「物資」部門であった。また、 日用工業品や農・副産品についても、国は上から 下ヘ命令として下達する「指令性計画管理の方 法を用いて、数百種もの重要商品の生産・買付・ 販売.消費を統制した。これらの商品の供給に関 しては、配給切符制が導入されたのである。当時 の「社会主義流通システム」は閉鎖的なソ連型の 流通システムを参照し、商業部、物資部と供鋪合 作社系統の支配下において、国営商店と供鋪合作 社が小売の役割を担い、国営の卸売企業と台段階 に分けられる卸売ステーションが卸売の役割を果 たしたのである。こうした状況のなかで、流通の 存在とその役割さえも否定する「無流通論」が主 張された伽。 高鉄生氏は『中国滂通産業発厩R告一2000 2003』 の序文において、「当時の経済体制では、流通と 市場は重要ではないと思われ、社会主義経済に係 らない要素だとみられた。当時の経済生活のなか で、流通と市場という用語を保留しても、それは 商品経済と市場経済から切り離して考えられるだ ろう」伽と、計画経済時代の中国の流通事情を分析 している。当時の中国において、流通は社会主義 体制下の生産と流通を結び付けるための単なる機 能にすぎなかっ九。いわば当時の「社会主義流通 システム」は強力な行政指導を受け、商業資本の 廃絶を前提にして組織され、商業利潤の獲得を目 的とせずに生産物の社会的移転を果たす配給統制 機構であった。 E .W .カンディフの研究によれば、流通近代 化は高度に発展した経済システムの下でのみ生じ るのであるが凶、 1970年代末から1990年頃までの 中国では、計画経済と市場調節を結合する経済運 営体制が構築され、流通分野の課題は「社会主義 流通システム」から社会主義市場経済下の流通シ ステムへの移行にあった。 1990年代に入って、経 済体制改革の推進および市場経済化の進展により、 中国における流通近代化の環境はようやく整いつ つぁったのである。その具体的な展開は、以下の とおりである伽。 ① 1980年代前半までの中国では、自由市場が 黙認されていたが、ここで取引される商品は一部 の農産物や日用雑貨などに限られていナこ。1986年 3月の第6期全人代第4回会議においては、国家 が統一分配する生産物の種類と量を減らし、消費 財市場と生産財市場を拡大することを提起し、約 半分の消費財の流通が自由化されたほか、1987年 に生産財市場が出現した。しかし、中国は19認年 48

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秋から経済の調整期に入り、市場化の動向が停滞

した

② 1992年10月の第14回共産党大会では、市場

システムの育成を加速させることが指摘され、全

国的に統一された開放的な市場体系の形成、市場

制度と市場法規の建設強化などが提起された。こ

れによって中国では、ほとんどの消費財の流通が

自由化され、政府部門は全国における市場システ

ムの構築に努めるようになった。

③ 1980年代の中国では経済発展が持続し、消

費者の購買力が高まるなかで商品が不足し、市場

は「生産者の天国」ないし「作れば売れる」とい

われる売手市場の段階にあったが、1990年代の中

国市場は急速に商品過剰となり、中国の統計によ

ると、 1997年下半期に613の主要な消費財のなか で、供給が不足したのがわず力寸.6%にすぎなかっ

た。そして、売手市場が買手市場に転換し、競争

型市場構造が形成されっっあった。

④中国における価格体系の改革は1978年から

農産品、消費財と工業生産財の順に行われ、漸次

統制価格から自由価格ヘの転換を実現しようとし ていた。1990年になって、政府による統制価格下 におかれた消費財と工業生産財の割合は1978年の 97%と100%からそれぞれ29.フ%と".4%に低下し

た。こうして、生産企業に価格設定の自主権が与

えられ、中国企業による価格活動が可能となった。

市場経済下におかれる流通は商業資本によって

担われる。中国国家統計局による『中国統計年鑑』

をみると、1993年版までの国家統計のなかで、「商

業」という項目があったが、 1994年版にはそれが

「国内外貿易」に分類され、 1995年版には「国内

貿易」にまとめられた。 1996年になると、『中国

統計年鑑』のなかで、「各地域における大中型卸

売.小売貿易業の資本金と企業資産(1995年度)」

という統計項目が示された偽。1956年以後に取締

り対象とされてきた「資本」という言葉が国家統

計に登場したことは、中国にとって全く画期的な

変化であった。その意味でも、 1990年代以降、中

柳:中国の流通近代化に関する一老察

国は流通近代化を本格的に図ろうとする時期に

入ったのである。 3.2.中国の流通近代化の特質 1990年代以降の中国には、市場経済下の流通シ ステムが整備されつつぁったとはいえ、大量生産. 大量消費の状況に直面し、それに適応する流通シ ステムの一層の近代化が緊急かつ重要な課題と なった。 1975年以降、中国政府は国家目標として

の工業、農業、国防と科学技術を含む四っの分野

の近代化に力を入れてきたが、ここにきて、新た

に生産と消費を結びっける流通の近代化に取り組

み始めた。これまでの展開にっいて、関根孝氏は 流通生産性の向上と関連させて、「中国における

流通近代化のプロセスでは、市場経済化に伴う卸.

小売業における零細な個人商店の爆発的な増加と

商業集積(自由市場)の発達、民営企業の発展に

伴う新たなマーケティング・チャネルの形成、そ

れとグローバル化のなかで百貨店の進化、新たな

営業形態(業態)の出現、近代的なチェーン経営

形態の導入による小売イノベーション展開など様々

な現象がみられている⑳と、論じている。これら は一見、異なる複数の事象のようにみえるが、社

会主義市場経済に立脚し、流通構造に根ざした中

国の流通近代化の漸進的な取組みの結果だと考え

る。以下では、その取組みの特徴について、国家

主導の外資政策の推進と商業文化の復活から分析

してみよう。 ①国家主導の流通開放政策 前述のように、1990年頃までの中国政府は私

的所有に基づく売買の自由という形式的な枠組

みを漸進的に構築したり、流通過程の基盤を整

備したりして、流通ヘの国家の政策的な関与を

行った。 1990年代に入って、中国では、国内市

場の形成と拡大にっれ、国家による市場問題ヘ

の直接的な介入が支配的な形態をなし、国家の

市場管理効果はより一層強まった。市場問題ヘ

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の直接的な介入に関する具体策として、中国政 府による政策方針、とりわけ流通開放政策の策 定と施行を挙げることができる。 公表時期 1990年12月 1992年7月 政策または法規の名称・動向 「全額外資企業法実施細則 商業小売分野の外資利用に 関する通達 表2 表2に示すように、中国における流通開放政策 の展開は流通外資自由化のプロセスでもあった。 一方、日本では、通産省(現、経済産業省)が、 1967年から1973年にかけて、産業構造審議会流通 中国における流通開放政策の展開 主な内容 流通業ヘの外資を全面禁止すること。 ① 6つの沿海開放都市(北京、上海、天津、広州、大連、青島)と5 つの経済特区(深訓、珠海、油頭、アモイ、海南)でそれぞれ1 2社の 合弁または合作経営の小売企業を試行的に設立する ② 100%外資の小売企業はしばらく認可しない ③試行期間中、外資系小売業の設立は、地方政府を通して国務院(内 閣府相当)に申請し、審査を受ける。 ④許可を得ナこ外資系小売企業は商品の輸出入を行う権利を持っことが できる。ただし、年間輸出入総額は当該小売企業の年間売上高の30%を上 限とする。 ⑤許可を得た外資系小売企業の業務内容は百貨類商品の小売と輸出入 とする。ただし、輸入商品は自社での小売販売に限定する。卸売業務と輸 出入代行業務は認めない。 政府の審査に基づき、一部の都市または地域に限り外資との合弁による 小売企業、生産財の卸売企業の設立を認める。 100%外資ではなく、一定の外資参入による小売・卸売分野の企業の設 立を認める。ただし、その審査と認可の判断は国務院の担当省庁および省. 直轄市佃本の都道府県に相当)の関係部署にようて行なわれる 国務院は2社の中外合弁チェーンストア企業の設立を試行として,忍めた。 国務院所轄の国内貿易部は、流通分野の外資導入にっいて、@合弁相手は、 資本力を有し、先進的な小売業のマネジメントのノウハウを持ち、国際的 にプランドカを持っこと、②中国側が出資比率の51%以上を占めること、 3合弁年数を30年以内とすること、④許可されると、商品の輸出入を行な う権利を与えるが、輸入商品が社内での小売を通じて販売し、その額は年 間売上高の30%以下でなければならない。輸出入額の均衡を取り、輸出額 が輸入額を上回ることが望ましい。 地方政府による外資系商業企業の審査・認可を禁止し、その権限を中央 省庁に集中させる。 1993年3月 1995年6月 全国第次産業発展計画の 基本指針についての通知 外国企業投資産業指導目録 1995年10月 チェーンストアの導入 1997年5月 1999年6月 「地方による外資系商業企業 の審査・認可を禁止する緊急 通達」 「外資系商業企業の設立に関 する試行条例 2001年12月 WT0加盟 出所:筆者作成。 流通外資に対する初の条例として、①外資系小売商業の設立区域をすべ ての省と自治区政府の所在地、直轄市、計画単列市とすること、田外質系 卸売企業の設立を試行的に審査・許可し、資本金の額力熔,000万元(中西部 が6,000万元)以上であること、@チェーンストア方式で4店舗以上を持っ 小売合弁企業を設立する場合、中国側の出資比率が51%以上であること、 ④小売合弁企業の資本金の額力巧,000万元(中西部力玲,000万元)を下限と すること、⑤小売.卸売商業企業の合弁年数を30年以内とすることを明文 化した。 外資による商業分野ヘの参入にっいて、参入地域と出資制限を段階的に 撤廃する。その結果、国務院および所轄官庁の政策方針で、2004年までに、 外資による小売業、卸売業の外資側出資比率、経営内容と出店可能地域の 規制を緩和し、100%の外質系商業企業の設立が可能とし、フランチャイ ズ経営の佑1邱艮も撤廃することになった。

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部会の答申を受けながら漸進的に流通外資の自由

化を進め、1971年の第四次自由化において店舗数

Ⅱを超える小売業のみ個別審査とし、その他の小

売業は50%自由化と定め、1972年に日米通商会議

でⅡ店舗の範囲で事実上100%の外資系小売業の

自由化を認め、1973年に入って、流通外資の100%

資本自由化が実施された田。両国の流通外資自由

化の取組みを比較すれば、高度経済成長期の日本

は、欧米先進国による国内市場参入の圧力に後押

しされ、新旧流通システムの入れ替えを図るなど

で流通分野の一層の合理化、効率化に努め、産業

構造審議会流通部会を設置し、産官学一体で産業

分野全体の外資自由化の一環として流通外資の自

由化を段階的に策定したのであった。これに対し

て、中国では、市場経済の導入に伴って各産業分

野の近代化が急速に展開され、それに適合する流

通システムがーから築き上げられていたが、流通

分野の遅れへの懸念が日増しに強まり、流通外資

の市場参入で流通分野に及ぽす影響を危倶しなが

らも資本と技術を海外から誘致しなければならず、

政府主導で、流通分野の近代化の進展に見合った

流通外資の自由化政策を調整・修正し続けた。 中国における流通外資政策の実行について、2001

年の「カルフール事件,)が国家主導下の典型的な

出来事として挙げることができる。 2001年8月、

中国の中央政府機関である国家経済貿易委員会、

対外貿易と経済合作部と国家工商総局は、連名で

カルフールを相手に制裁を与える行政命令を下し

ナこ。その発端は、カルフール成都店が中国中央政

府官庁の審査を受けず、地方政府の承諾を得て出

店し、政府当局の流通外資政策を違反し九ことで

ある。その後、中国におけるカルフールの新規出

店は半年以上もストップさせられた。2002年6月、

中国政府は東北部の瀋陽、大連に立地するカル

フールの 3店舗が100%の外資によって出店され、

現行の流通外資政策を違反したものとして、それ

ぞれの35%の出資比率を中国現地企業に譲渡すべ

く行政命令を言い渡した。この事件を通じて、中

国では2004年12月の小売業の本格的な外資自由化

に至るまでに、30店舗以上を出店するスーパーマー

ケット業態などの外資系小売業に対し、外資側の

出資比率を49%までにすることや、「比較的に強

い経済的な実力を有し、先進的な商業経営の経験

および営業・販売技術、広範な国際販売ネットワー

クを持っ外国投資者による外資投資商業企業の設

立を奨励する」ことなどが盛り込まれナこ「外商投

資商業領域管理弁法(2004年)」を新たに公表し、

流通外資政策の実行に関する国家主導の特徴がー 層鮮明に現れた劭。 柳:中国の流通近代化に関する一考察 商業文化の復活

中国では、1956年までの産業分野の社会主義

改造に取締りの対象とされた商業文化を復活さ せようとしている。商務部主導の「中華老字号

(中国老舗)」田を認定するプロジェクトはその主

な取組みの 1つである。「中華老字号」とは19騎

年までに創出され、歴史が長く、世代を越えて

伝承される製品、技芸、サービスで、中国の伝

統文化にっいての背景または関連性を深く有し、

社会に広く知られ、良好な信用度を築き上げ九

ブランドである。 2006年4月、商務部は「『中

華老字号』認定規範(試行案)を公表し、「老

字号」を振興するプロジェクトを実施し始めた。 2006年だけで申請件数は967件あり、そのうち 認定件数は434件であった。商務部によれは、

中国は「中華老字号」を流通の主体をなすもの

と位置づけ、積極的に振興しようとしている。

近代化ヘのプロセスにおいて、経済発展を妨

げる発展途上国の人口特性について、人的関係 における相互不信、知覚された善良性の乏しさ、

限定された向上心、延期した満足の欠如、低い

共感性などが指摘されている郡。中国では高度

成長を遂げながら、「拝金主義」が蔓延し、信

用喪失、偽物・コピー品の氾濫などの問題が深

刻になりっつぁる。問題の解決策の 1つとして、

中国は伝統的な商業文化を復活させ、それを商

(10)

業倫理または経営理念として流通システムに取 り入れようとしている。 中国では、古代の先哲たちは市場経済につい て数多くの知恵を残し、今日の課題を解決する 上でも重要な参考になると認識されている。例 えば、前漢時代の司馬遷は『史記・貨殖列伝』 において、「天下の人々は、和楽してみな利の ナこめに集まり、入り乱れてみな利のために去る」御 という表現で、世の中を活発にするのは利己心 であることを論じている。また、「農民は食糧 を供し、虞は資材を供し、工人はこれを製品化 し、商人はそれを流通させる。この働きは、上 からの政教による指導や、徴発・期会によって 行なわれるのではない。人々はおのおのその能 力に応じ、その力をつくして、欲しいものを手 に入れるまでのことである。それ故、物の安い のは高くなる徴候、高いのは安くなる徴候だと して適宜に売買し、おのおのその業につとめ、 仕事を楽しむ状態は、水は低い方に流れるよう なものであり、日夜休むときがない。まことに、 道に符合するところであり、自然の理のあらわ れではない力U田と、司馬遷は社会分業の重要性 を指摘し、市場動向に基づく自由な商業活動の あり方を示している。古代の商業文化は主とし て研究者によって整理され、中国の市場経済に 結び付けようとされている。 1993年から毎年、 中国社会科学院の経済部門、歴史部門、近代史 部門は各大学と「伝統経済と近代化」をテーマ とする討論会を開催し、儒教思想が経済発展に 果たした役割、近代化ヘのプロセスに関する再 認識、中国経済の特徴などが検討されている飾。 また、1990年代以降、中国古代、特に明清時 代以来の成功商人と老舗は現在中国の流通業者 の模範として次々とテレビドラマ化され、メディ アを通じて国民に広く知られるようになっナこ。 こうしたなかで、清国時代の官僚でありながら 中華老字号」の「胡慶餘堂」薬局を創立した ことなどで知られている胡雪岩は、1996年と2006 年に 2回もテレビドラマにされた。視聴者はテ レビドラマを通じて、薬局経営についての「(ニ セモノを戒める)戒欺」という胡雪岩の言葉に 感銘を受けた。そのほか、実在した商人または 商業経営を描くドラマとして、「中華老字号」 の「同仁堂(漢方薬小売)」を題材とした「大 宅門」(2001年放映)、清国時代の山西商人の喬 致庸の経歴を題材としたドラマ「喬家大院」(2006 年放映)、中華老字号の「瑞妖祥(シルク・ 衣料品小売)」を題材としたドラマ(2009年放 映)などを挙げることができる。中国の報道を 調ベてみれぱ、「大宅門」、「喬家大院」、「一代 大商孟洛川」はいずれも中央テレビ局に放映さ れ、放映年度の全国視聴率の上位を獲得した。 中国では、ドラマ作品の放映に検閲制度があり、 中央テレビ局が歴史上の商人または商業経営を テレビドラマで放映することは流通近代化の進 行と自国の商業文化の歴史を結合させるための 国家主導の取組みとみることができょう。 中国の流通近代化は旧流通システムに対する リフォームよりも斬新な流通システムの模索と いう側面力阿凱、図 1のように、そのプロセス は漸進的ではあるが、中国は計画経済時代の流 通システムを真っ向から否定し、国家主導で流 通開放政策を策定し先進諸国の流通構造・流通 行動・流通システムなどを学習・導入し、さら にその成果と、社会主義体制、国内の流通事情、 伝統的な商業文化などと融合させ、中国の流通 近代化として具現化しつつぁった。 4.おわりに それでは最後に、近年における中国の流通近代 化に伴う諸変化をまとめておこう。 第1に、流通近代化の推進に伴い、あらゆる小 売業態が流通外資とともに中国各地に展開してい る。しかしながら、呉小丁氏によれば、中国にお ける小売業態は、成熟した市場経済下の「業態発 展法則」にしたがって発展してきたのではないた

(11)

社 入于 主義 場経済化 柳:中国の流通近代化に関する一考察 通外資開放政策 出所:筆者作成 通イ 120000 100000 80000 60000 40000 20000 0 の 商業文化の継承 ン フ 図1 の 中国における流通近代化の推進 整備 わル 2014年 2013年 2012年 2011年 (億元) 口全国小売業売上総額.外資系小売業売上総額 中国国家統計局編『中国統計年鑑(2012年、 2013年、 2014年、 2015年)より作成。 図2 中国における外資系小売業売上総額の推移 出所 め、強い中国的特色を帯びている圃。また、 20Ⅱ 年から2014年に至って、外資系小売業の売上総額 は4384.1億元から6,948.5億元ヘと増加したものの、 全国小売業の売上総額に占める割合が2011年6.95%、 2012年6.8%、 2013年6.5%、 2014年6.2%と年々低 下している。図2 をみると、中国における外資系 小売業の地位が低いことがわかる。 第2に、2016年4月、中国'嫡は『インターネッ ト十流通』行動」政策を打ち出し、農村部と都市 部の住宅区にインターネットを普及させることで 無店舗化小売業などを推進し、流通政策の方向性 を流通近代化から流通革命ヘと転換させようとし 化 ^ ^ ている仭。この政策方針の実施によって、中国に は市場分割の解消などを通じた全国統一市場の形 成と強化が加速されるだけでなく、1960年代の日

本の流通革命が「R部olution in everyday goods

by chain store (チェーンストアによる日常の暮

らしの革命)」如と表現されナこが、 Revolutionin

everyday goods by internet (インターネットに

よる日常の暮らしの革命)」の機運が高まってい る。 中国国家統計局のデータによると、 2016年上半 期のインターネットにおける小売総額は、 2015年 同期に比ベ28.2%の増加を示し、 2兆2,367億元に

通近代

会 ラ

Π一

(12)

達した。まナこ、 2015年のインターネットにおける 小売総額は 3兆8,フ73億元であり、20M年と比較し て、器.3%も増加した紬。今後、中国におけるイン ターネット小売業の動向から目が雜せない。 第3 に、中国経済の「新常態」への対応策とし て、中国政府は2016年に入って、「供給側改革」暢 を実施しようとしている。「供給側改革」はサプ ライサイドの構造改革であり、生産企業の膨大な 過剰生産能力、「爆買い」で見られる越境消費財 購買の活況などを背景に、流通構造の川上に位置 する生産企業の改革に焦点をあてようとしている が、これを機に、商務部は流通分野の情報化、標 準化、集約化の向上を最優先の課題としている。 これらの動向に注視しつつ、中国の流通構造にお ける中国系と外資系、都市部と地方、流通形態に 関する先進的な取組みと伝統的なあり方などにつ いて実証研究を行い、中国の流通近代化の全体像 を掴みその本質にせまることは今後の課題とした 54 同上。 同上書、 79ページから引用。 同上書、 80ページ。 E ・ケイナック著、阿部真也・白石善章訳『マーケティ ングと経済発展』ミネルヴァ書房、 1993年、 120ペー ソ 同上。 小山周三・外川洋子『デパート・スーパー』日本経済 評論ネ士、 6 ページ。 哈爾濱秋林集団股价有限公司ホームページ、 http:// WWW.q1宮roup.com.cn/main.asp、 2010年5月4日。 「哈爾濱市誌日用工業品商業誌」、http://218.10.232. 41:8080/waS40/detail?Ncord=11&channelid=23345& Presearchword=、 2010年5月4日。 許派新・呉承明編『中国資本主義発展史』(第三巻)、 人民出版ネ士、 1993年、 731ページ。 『近代中国百貨業先駆一上海四大公司梢案歴編』上海 書店出版社、2促0年を参照。 「社会主義流通システム」に関しては、日中経済協会 『中国経済関係調査報告書:中国の流通システム』(1990 年)を参照 「無流通論とは、旧ソ連の影響を受け、流通の存在 とその役割を否定する考え方である。宋涛、顧学茉、 庄次彭、衛興華編『20世紀中国学術大典:経済学』福 建教育出版社、 2005年、 380ページ。 高鉄生・郭冬楽主編『中国流通産業発展報告2000-2003』 中国社会科学出版社(2004年)を参照。 E ・ケイナック著、阿剖填也・白石善章訳、"鳩書、112 ハミージ。 岩永忠康監修、西島博樹・片山富弘・宮崎卓朗編著 『流通国際化研究の現段階』同友館、2009年、251ペー ジから引用。 中国国家統計局編『中国統計年鑑』1993年版、1994年 版、]995年版を参照。 関根孝「中国における流通近代化一河北省唐山市の ケース」、 1 ページ。 http://WWW.senshu・.ac.ル/ off 1010/pdf/sh03902.pd件Search='%E4%B8%AD%E5%9 B%BD%E6%B5%81%E9%80%9A%E7%8F%BE%E4%BB% A3%E5%8C%96%E8%A9%95%E4%BE%AI%E6%8C%87% E6%A8%99%E4%BD%93%E7%B3%BB%E7%AO%94%E7 %A9%B6'、 2016年8月13日。 米川伸一・下川浩一・山崎広明編集『戦後日本経営史 第Ⅲ巻』東洋経済新報社、 1991年、Ⅱページ。 「カルフール事件」に関しては、『市場報』、 2001年2 月27日、『国際金融報』、 2002年6月13日、葉榊「中国 市場の政治要因と外資小売企業の出店行動『流通科 学大学論集流通・経営編』第16巻第 1号、2003年7月 を参旦電。 「外商投資商業領域管理弁法(商務部令[2004]第8 号、 2004年4月16日公布、 6月1日施行)を参照。 「中国老字号に関しては、中国商務部「『中華老字号』 ⑳ (注) ①「新常態(ニューノーマル)」は経済構造の合理化を求 め、高度経済成長から中高速経済生長ヘの転換を図る ことであり、今後の中国経済の発展方向として、2014 年5月に習近平にようて示された。 ②流通経済研究所編著『流通がわかる事典』日業出版社、 1987年、 59ページ。 ③林周二『流通革命新論』中公新書、1964年、30ページ ④林周二『流通革命(増訂版)』中公新書、1962年、器 ^ージ。 ⑤田島義博『歴史に学ぷ流通の進化』日経事業出版セ ンター、 2004年、 258 261ページ。 ⑥関根孝「『流通近代化論』再考」、 2ページ、 h比Pゾ/ WWW.senshu・U.ac.ル/scho01/sho/bU11etin/V0186/86_ 001.pdf、 2016年8月13日。 ⑦中小企業診断協会編『今日の流通革新』同友館、1963 年、詑ページ。 ⑧同上。 ⑨荒川祐吉『経済発展と流通機構』千倉害房、1991年、 65ページ。 ⑩同上。 ⑪同上。 ⑫同上書、 69ページ。 ⑬同上。 ⑳ ⑫ ⑳ ⑳ ⑳ ⑳ ⑳ ⑳ ⑳ ⑳ 剖 儒 御

⑭⑮⑯⑰

a8 9

(13)

即 認定規範(試行案)(2006年)を参照。 E .ケイナック著、阿音慎也・白石善章訳、ヨ鳩書、122 ^ージ。 司馬遷著、野口定男訳『史記(下)』平凡社、1971年、 335ページ。 同上。 李暁.張暁紅(翻訳)「中国における経済史研究の現 状と課題」九州大学『経済学研究』第74巻第5・6合 併号、 119 120ページ。 http://catal0今.1ib.kyushu・U ac.jp/handle/2324/1577VKJO0005469897.pdf#se且rch ='%E4%B8%AD%E5%9B%BD++%E5%8F%A4%E4%BB %A3%E5%95%86%E6%A5%AD%E7%B5%8C%E6%B8%8 8%E6%80%9D%E6%83%B3+%E7%AO%94%E7%A9%B6+ +%E7%9B%9B%E3%82%93'、 2016年8月13日。 呉小丁「中国の百貨店と小売業態の特徴」『商学論集』 第"巻第6号、関西大学商学会(2000年)を参照。 『インターネット十流通』行動」政策に関しては、中 国国務院新聞弁公室ホームページを参照。 h比P:// WWW.scio.宮0".cn/323"/32345/33969/34372/zy3437 御 参考文献 加藤義忠現、代流通経済の基礎理論』同文館、1986年。 林周二.田島義博『流通システム』日本経済新聞社、1970 年。 矢作敏行.関根孝・鐘淑玲・畢酒滑『発展する中国の流通』 白桃書房、 2009年 石原武政・加藤司編著『シリーズ流通体系<5>日本の流 通政策』中央出版社、 2009年。 謝憲文『流通構造と流通政策(増補版)』同文館、2008年。 田 御 ⑳ 6/Docume武/1473805/1473805.htm、 2016年8月13日。 渥美俊一『チェーンストア経営の目的と現状』実務教 育出版、 2004年、 30ページ。 中国国家統計局ホームページを参照。 http://WWW Stats.goゞ.cn/、 2016年8月13日。 中国前劣部ホームページを参照。 http://WWW.mofcom. gov.cn/article/zh印gcejd/bj/201釦7/20160701357498 Shtml、 2016年8月13日。 柳:中国の流通近代化に関する一考察 ⑪ 働 田即

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